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2022年2月17日 (木)

ロシア軍撤退のフェークニュース、世界を走る

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昨日のロシア軍撤退報道は、ロシア譲歩始まるなどというフェークニュースとなって世界を駆けめぐってしまったようです。
日本のメディアだけならいざ知らず、ロイターが配信したために世界規模の偽情報の拡散となってしまいました。
やれやれ、見事にロシアお得意の偽情報拡散に踊らされるなんて。
ご丁寧にも、戦車を鉄道に積み込んで撤収する様子まで流して、それにかぶるようにプーチンの「ロシアは戦争は望まない」なんていう台詞をつけて流せば、本当にロシアが平和攻勢をかけたようです。

「ロシア国防省は16日、クリミア半島に展開していた装備品を積み込んだ輸送列車がクリミア大橋を通過して恒久的な拠点=所属基地に向かう様子を公開した。
バイデン大統領は「ウクライナ国境地域からのロシア軍撤退をまだ確認出来ていない、ロシア軍は依然として脅威的な立場を維持したままだ」と15日午後(現地時間)に主張したが、ロシア国防省はクリミア半島に展開していた装備品を積み込んだ輸送列車がクリミア大橋を通過して恒久的な拠点=所属基地に向かう様子を16日に公開した。
ただ13万人以上も動員されたロシア軍の内どれだけが恒久的な拠点への移動を開始したのかは以前として不明で、現段階では「軍を後方に下げた」という政治的な演出に過ぎないという可能性もある」
(航空万能論2月16日)

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朝日

案外平静だったのは朝日で、ロシアの「ロシアが米国やNATOと安全保障問題の交渉を進める環境づくりができた 」という、プーチンの代弁者の声を載せる一方で、米国関係者のこのような慎重な意見も乗せてバランスをとっています。

「米国の専門家らはロシアの出方に懐疑的だ。カリフォルニア大ロサンゼルス校(UCLA)のダニエル・トリーズマン教授(政治学・ロシア)は「本当に撤退したのか、侵攻準備に影響する規模の撤退なのか検証する必要がある」と話す。「ウクライナや欧米を欺き、奇襲を仕掛ける可能性もゼロではない。現時点では何の結論も出せない」
米CNNに出演したパネッタ元国防長官も「ロシアからは相反する混在したシグナルが届いているが、プーチン氏の発言は信じられないという前提で動く必要がある。我々がするべきは、最悪のシナリオに備えることだ」と語った。
 ボストン大のジョシュア・シフリンソン准教授(米外交・国際安全保障)は「戦争を始めた責任を、西側に押しつけようとしている可能性もある」と指摘する。ロシアが部隊の撤退に応じたのに、欧米側はNATO拡大の停止を拒んでいる――。そんな理屈で侵攻を正当化する口実にするという可能性だ」
(朝日2月16日)

このシフリンソンの指摘するとおり、プーチンが自らが招いた大規模な戦争準備行為を今になって「進攻を正当化する」ことです。
いつのまにか加害者が被害者づらを始める、中国や北朝鮮がよくやる手段ですね。
これに誘導されると、出てくるのが「ロシアが望んでいるのは西側との対話だ。もっとプーチンを理解しろ」というトンチンカンな対応です。
平和を求めて対話を探るプーチン。対話を拒絶して戦争に追い込もうとしている西側。こういう構図です。
15万もの軍で他国を包囲している者の、いったいなにを「理解しろ」というのでしょうか。
北朝鮮の時もこういう「理解者」が大勢出ましたが、大軍で他国を包囲したら、それだけでアウトでしょう。

もちろん実態は、ロシア軍は少しも撤収などされていません。
ロケット部隊や砲兵、ヘリ部隊はむしろ増強されて、国境に近い位置に前進していますし、黒海の強襲揚陸艦は6隻が増援され、合わせて11隻もの規模に増加しています。

「ロシア国防相はバルチック艦隊所属の揚陸艦を黒海に派遣した理由について「2月上旬に行う軍事演習に参加するため」と述べているが、このまま6隻の揚陸艦がクリミアに居座り続けると黒海艦隊の水陸両用戦力はロプーチャ級揚陸艦9隻、イワン・ロゴフ級揚陸艦3隻、多数の上陸用舟艇で構成されるため黒海沿岸部からの侵攻を警戒しなければならなくなり、ウクライナにとってはモルドバ駐留のロシア軍と合わせて不気味な存在と言えるだろう」
(航空万能論2月9日)

またロシア軍地上部隊は、国境付近に前進し、臨戦態勢に入ったことが衛星からの写真でわかってきました。
下写真では、ロシア軍ソロチの駐屯地で、1カ月前の写真と比べると部隊の増強し、国境付近に展開しているのが確認できます。

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朝日

「米CBSニュースは14日、米当局者の話として、ロシア軍の一部の部隊が集結した地点から離れて「攻撃態勢」に向けて動き出したと報じた。列になって移動する様子が衛星写真で確認された。長距離砲やロケットランチャーなどの装備を発射位置に移動させているという。
 AP通信も国防当局者の話として、少数の地上部隊が数日前からウクライナ国境に向けて移動を始めたと報じた」
(朝日 2月16日)

2月9日から10日に撮影された衛星画像によると、ロシア軍が増強されたのは南部クリミア半島のほか、ロシア西部とベラルーシです。
このうちクリミアのシンフェロポリ北方にある飛行場には、軍用のテント550張りと、数百台の軍用車両が確認されています。
撤退という情報が流れたベラルーシですら、ウクライナとの国境まで25キロ未満に位置する飛行場に、軍部隊や軍用車両、ヘリコプターが増強されています。
ウクライナ国境まで約110キロのロシア軍演習場にも最近大規模部隊が到着したという情報が現地から流れてきています。
この時期には真偽の見分けがつきにくい情報が双方から流れますので注意せねばなりませんが、「ロシア軍撤退」ニュースとは裏腹に着々と軍を増強させているのは確かなようです。

また悪質なのは、実際にサイバー攻撃を仕掛けたことです。

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tokiocyberport.tokiomarine-nichido.co.jp
重要インフラに対するサイバー攻撃の新常識 第3回 (tokiomarine-nichido.co.jp)

【リビウ(ウクライナ西部)=笹子美奈子、ワシントン=田島大志】ウクライナ政府の情報通信部門は15日、国防省、軍のウェブサイトのほか、大手銀行と公的金融機関が大規模なサイバー攻撃を受けたと発表した。ウクライナなどはロシアの関与を疑っている。
国防省と軍のサイトは機能停止になり、発生から10時間以上たっても復旧していない。銀行では数時間、オンライン取引が利用できなくなった。情報通信部門は、ロシアの名指しを避けつつも、「侵略者がよく行う戦術」だと指摘した。
ウクライナでは1月14日にも、外務省や教育科学省など政府機関のウェブサイトが大規模なサイバー攻撃を受けた。
 米政策研究機関は、ロシア軍の侵攻計画として、サイバー攻撃を手始めにウクライナ軍の通信をまひさせ、混乱に乗じて侵攻を開始するシナリオを想定している。一部の米メディアは、露軍侵攻が16日にも始まることが米政府で想定されていると伝えており、ウクライナ政府は警戒を強めている」
(読売2月16日)

このようにサイバー攻撃をしかけて、国防インフラや金融インフラをせっせと攻撃しているロシアが、譲歩なんかするわけはありません。
しかし、一般的にロシア軍のウクライナ周辺配備状況などには関心がもたれませんから、見事に引っ掛かってしまいます。
すると植えつけられるイメージは、「平和を求めるロシア」「対話を求めるプーチン」、「強硬な米国とNATO」ということになってしまいます。

気をつけよう、平和という言葉と暗い道。

 

 

 

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コメント

やはりロシア軍撤退開始は嘘、信用ならぬ国ですね。あのような映像を出されたら騙されます。
戦争を望まないがこちらの要求を飲め、さもなくば侵攻するぞ!ですか。
実際に攻撃を始めたらロシアも深い痛手を負うが、サイバー攻撃が前哨戦なら衝突は避けることは出来ないのか。
こんな時に北海道周辺海域で海自と米軍の合同演習とは言いませんが、航行くらい行いませんかね。

フィギュアのドーピング問題、こちらも訳の分からない理由でワリエワを参加させてます、公平性を欠いてますね。
彼女の素晴らしい演技は観たいですが、スポーツ界でもロシアに対してキチンと制裁すべきだと思います。
出場停止にすべきでした、とりあえず日米の団体にメダルに代わる記念品としてトーチ?
そんな物いりませんや。

 私もうっかり、「これで緩和に向かうサインが出たのでは?」とちょっと思った一人です。正常性バイアスってのは、簡単に働いちゃうのですねぇ。

事実は、「いかなる撤収も確認できていない。主要な部隊は(ウクライナとの)国境から遠ざかるのではなく、むしろ近づいている」(ブリンケン)
「最新の情報からはロシア軍部隊の撤収を示す証拠は示されていない(ウクライナ国防省)、「ロシアが部隊を増やし、部隊がさらに向かっている」(NATO事務総長)、そして、ウクライナ史上最大のサイバー攻撃。

ロシア大統領府は「NATOの分析は間違いだ」と反論していますが、ロシアの言行は一致していないと見るのが当然。
なお、プーチンは「米国との交渉を切望していると表明」しましたが、これは「西側が交渉を打ち切ったため」として軍事攻撃に至るためのワナでしょう。
ロシアによる武力攻撃への正当性アピールや情報工作、国際世論形成工作はほぼ失敗。なお事態は予断をゆるしません。

個人的には、普通にテレビ等眺めている限りは、どこも「…とロシアは主張しています(まあ怪しいけどね)」というニュアンスを示しているように見えました。

「ロシア撤退!あー良かった!話がわかる!素晴らしい!」という報じ方は、感じられませんでした。サイバー攻撃も普通に報じてますし。

いつも楽しみに拝読しております。

IMFの統計によるとロシアのGDPは世界11位で、日本の約3分の1、10位の韓国と同程度です。長期戦になったら絶対勝てないので、日本の真珠湾攻撃やドイツの電撃戦のような作戦ができる状況を作り出そうと企んだのかもしれません。とりあえず占領してしまえば、後はどうにでもできると思っているのでしょうね。
日本もロシアの東の隣国ですが、間に海があって本当に良かったと思います。

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