宗教の出番かも、ただし時間切れ
おととい3回目のワクチンをうったら、副反応がハンパない。
腕は痛いわ、頭痛、倦怠感、もうリッパな軽症者みたいです。
というわけで、今日は軽めに。
さてプーチンは、前に進むのも地獄、後退するのも地獄というドン詰まりの状況なのは見たとおりですが、ひとつ知恵を授けましょう。
こういう時こそ宗教を使うのです。
上げた拳が降ろせないなら、宗教にすがってみてはいかがでしょうか。
「ウィーン発コンフィデンシャル」は優れた国際関連のブログですが、こんなことを半ばジョークのように提案しています。
「ロシア正教会とウクライナ正教会の指導者が胸襟を開いて語り合い、ウクライナ危機の回避でプーチン大統領に助言すれば、正教徒プーチン氏もそれを無視できないはずだ。ひょっとしたら、助け船となるかもしれない。
10万人以上の兵力を動員し、緊張を高めた後で外交的な解決に切り替えることは、大国主義のプーチン氏にとって容易ではないはずだ。米国の経済制裁を回避するために武力衝突を回避したとなれば、自身の面子に傷がつく。しかし、正教指導者が「戦争を避けるべきだ、同じ正教徒の兄弟ではないか」といったアドバイスを受け入れる形で武装解除を指令すれば、正教徒プーチン氏の株は上がる。少なくとも、面子は維持できる。
そのためにも、ロシア正教会とウクライナ正教会の指導者は対話を始め、プーチン大統領に対し「兄弟間の戦争」を回避するように強く訴えるべきだ。戦争が勃発しようとしている時、宗教指導者は沈黙していることはできない。ウクライナ危機を外交手段で回避出来ないのなら、“神の声”を代弁しているという宗教指導者に登場してもらう時ではないか」
(ウィーン発コンフィデンシャル2月14日)
なるほどなるほど、「兄弟間の戦争を回避しよう」ですか。
思いつかなかったな、日本人の私には。
プーチンはかつてこの「ドイツのお母さん」にすり寄った時、「私はキリスト教徒なのです」と言って人たらししたという伝説があります。
メルケルは、その時雷に打たれたような眼でプーチン見たのだそうです。
彼女も東ドイツの共産主義体制下で青春時代を送りましたから、いわば隠れキリシタン。
おーウラジミール、あんたもそうだったのと、プーチンに我が身を重ねてしまったのかもしれません。
ニューズウィーク
以後、メルケルのプーチンに対する眼は、この冷血なチェキスト崩れめという警戒心に満ちたものいから、なんとG7プラスとして西側に迎い入れるるまで変化していきます。
なんともかとも、宗教の力は馬鹿にできません。
まぁ、本質的解決にはなりませんが、やってみたらいかがでしょうか。
というのは、このウクライナ問題に関わる国はすべて引くに引けない状態だからです。
まず、張本人のロシアは全軍の半分を注ぎ込んで3方面からウクライナを包囲するというまねまでしてしまいましたから、もう後に引けません。
同志よ、全軍前進だぁとやれば、戦闘では勝てても、後の西側の全体重を乗せた経済報復で、ロシアの背骨が折れてしまうかもしれません。
というのはかつてのクリミア進攻において西側が取った報復は、とんだ腰抜けだったからで二度目はこういうスカな制裁はしません。
「この時の制裁は、ロシアの銀行とプーチン関係者に対する金融制裁であった。この際、ロシアの銀行発行のVISAやマスターなど国際ブランドのクレジットカードが使えなくなるなど一部問題が生じ、決済の問題などからチーズや乳製品などの欠品が出たが、それがロシアを追い詰めるほどの圧力にはならなかった。
これはエネルギーの決済代金の支払い継続が行われたのが最大の要因といってもよいだろう」
(『ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの』2022年02月10日 菅野泰夫 大和総研)
ロシアによるウクライナ侵攻の裏側にあるもの 2022年02月10日 | 大和総研 | 菅野 泰夫
このクリミア半島進攻は、今回の全面的再進攻の序章だったにもかかわらず、かつてのナチスドイツのズデーテン地方進攻を認めてしまった悪しき歴史を繰り返してしまいました。
結局やった制裁は、ロシア銀行振り出しのクレジットカードを使えなくしたくらいのことだったいうのですから、これでは事実上の割譲です。
この理由はいうまでもなく、ロシアからエネルギーの3分の1を買っているドイツが頑固に制裁を拒否し、西側の足並みが乱れたためです。
今回も訪米したショルツ独首相の最優先任務は、バイデンにノルドストリームという言葉を言わせないことだったと揶揄されるほど、制裁に消極的です。
しかしロシアが本格的な進攻をした場合、ドイツが泣こうがわめこうが制裁に加わってノルドストリームのコックを締めるしかありません。
中国で補填されないように、「シベリアの力」のほうにも制裁をかけるでしょう。
今回も西側社会は金融制裁を行う準備を開始しており、どのようなメニューにするかの話し合いを行っている真っ最中です。
「一番厳しい処置としてはロシア全体を銀行間の国際決済システム「SWIFT」からの排除であり、この場合、ロシア宛の送金が物理的にできなくなる。ま
た、先端技術等の規制も強化されると考えられる。
また、現実的な案として、ロシア軍及びプーチンと関係の深い「オリガルヒ(新興財閥)」を制裁するというものもある。この場合、制裁は限定的になるが、プーチンと一部の勢力にとっては非常に大きなダメージとなる」
(菅野前掲)
前者の国際決済システム「SWIFT」からの排除が決定された場合、一切の貿易決済が不能になりますから、頼みの綱の中国にも頼れなくなり、国家経済の破綻が現実味を帯びます。
逆に軍を撤収させれば、「東部2州の独立」を認めたロシア議会は、プーチンを許さないでしょうから、政権は極めて不安定になります。
つまり前に行こうが、後ろに退こうが、プーチンを待っているのはリアル地獄なのです。
ただし、プーチンが決定権を持っていることには変化はないので、彼の胸先三寸で進攻は決まります。
今回はまんべんなく兵科を取り揃えただけではなく、ロシアとしては思い切った兵站を用意したと言われています。
いまり損害を省みずその気になれば・・・、ということです。
一方、相手国のウクライナのゼレンスキーはといえば、こちらはもっとキツイ。
ゼレンスキーが大統領に当選した公約は、クリミアの奪還とドンバス・ルガンスク地方の掌握、腐敗の一掃でした。
ですから、事実上この東部2州の分離を認めてしまっているミンスク合意などは、ウクライナからすれば無理矢理結ばされたものであって、反故にしたかったわけです。
ブルームバーク ゼレンスキー・バイデン会談
ではこの希望がかなえられたかといえば、ノーです。
バイデンからクリミアの奪還と東部2州について色好い返事はもらえませんでした。
このまま行けば、東部2州での高度な自治権を認めたミンスク合意を再び仲介案にされてしまうことも考えられる状況になってしまいました。
そして今回の危機に際して、ウクライナにはロシア軍の航空攻撃や侵攻を防ぐことのできる通常戦力も、共に戦う同盟国ないことが明らかになってしまいました。
米国とNATO諸国による対戦車ミサイルなどの供与は、絶対数をはるかに下回っており、ロシアに対抗する力がないことは自明です。
ですからゼレンスキーにとっても、この先は行き止まりなのです。
もう一方の役者である米国にとっても、状況はそうとうに深刻です。
「ロシアがウクライナに侵攻して米軍が足を取られれば、その間インド太平洋に十分な戦力を展開できなくなり、台湾有事への備えが弱まってしまう。米国の戦略家の中には、ウクライナには深く関与せず、中国対処に十分な力を蓄えておくべきだという考え方がある。
一方で、米国が各地域で起きる現状変更行動に対してどのような対応をとるかは、ある種の前例を作る行為であり、世界的な影響がある。「ウクライナは同盟国ではない」として真剣に関与しないと、中国にも『米国には余裕がない』と思わせ、台湾や尖閣諸島などで別の現状変更行動を誘発する恐れがある」
(ハドソン研・村野将 産経 2022年2月15日)
ウクライナと台湾は似た部分があり、双方ともに「条約なき友好国」です。
しかし双方 の国も、方や東欧の、方や南シナ海と東シナ海をの結節する要衝であるという点でよく似ています。
「同盟国ではないから」と真剣に支援しないと、中露から米国はもはやこんな重要な要衝の友好国すら見捨てる国になったのだとして、以後そのように扱われることになります。
アフガン撤収の失敗がまさにその実例で、あれを見てプーチンはいけると思ったのかもしれません。
ですから、これ以上大きな失点をバイデンは重ねられないのです。
かといって、台湾を横目でにらみながら、東欧でロシアと戦端を開くことだけは避けたい。
このように三者三様に、判断は行き詰まっており、先行きが見通せないのです。
ならば、とりあえずまったく本質的解決にはなりませんが、宗教を使って「和平」を演じてみるのはいかが、というわけです。
もちろんこんな「兄弟国同士の和平合意」はすぐに破られるでしょうが、多少の時間稼ぎにはなるかもしれません。
とはいえ、時間切れかもしれません。
進攻はあるなら、今週中ですから。
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ホント八百万の神々と各宗派のお寺がゴチャまぜでとりあえず何でも拝んでしまう日本人には無い発想です。
でもロシア正教会って割と最近揉めてませんでしたっけ?
ファイザー→モデルナのパターンですね。比較的に副反応は少なくて効果は高いことが分かってますけど、反応の出方は人それぞれですから···お大事にです。
とりあえず感染リスクは下がるわけですが、もう暫くはマスク着用で手洗いは元から習慣化して然るべしです。
投稿: 山形 | 2022年2月18日 (金) 06時12分
西側の結束→徹底的な経済制裁というのが、バイデンの方針なのですが、これが「本当には出来ないだろう」というのがプーチンの一か八かの「読み」なのだろうと考えざるを得ません。
何かすでに親露派を使った武力攻撃が始まったようにみえ、ロシア軍の介入が秒読みになっているように見えます。
こうした中、日本の林外相はシュルツよりも誰よりも西側で最低最悪です。
国際社会が足並みを揃えて強大な制裁をかけて侵攻を思いとどまらせようとするなか、ロシア側との会談で侵略国家ロシアへの経済協力を議題にしています。部会で外務省は陳謝してますが、岸田首相の責任は重い。
もっとも日本がやるべきはウクライナへの経済支援であるべきところ、国際社会の結束を乱す嚆矢になってしまっているのが現状です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年2月18日 (金) 08時43分
一昨日打ってきました。ワクチン。
モデルナ→モデルナで、自衛隊さん設置の某大型会場で(^^)/。
コロナ前の話ですが、伊勢神宮に春日大社、伏見稲荷と、有名どころの神社仏閣にお参りに行くと、、どこへ行ってもターバン巻いた人やらユダヤの帽子を被った方、南アジアの大乗仏教系のお坊さんたちを見かけていました。
それも大勢w
みなさんウキウキな顔してて、ああ、日本って世界一自由な国なんだなーって感激したものです。
投稿: やもり | 2022年2月18日 (金) 16時23分
林外相ですが、かの日独伊三国同盟を推進した松岡とか白鳥とか大島らとダブってみえて
怖いです。
投稿: やもり | 2022年2月18日 (金) 16時39分
やもりさん。松岡が可哀相です。
松岡は大馬鹿野郎でしたが、それなりに「戦略」らしきものを持っていました。
その戦略が日本を地獄に突き落としたのですが。
林は単なるアッチもコッチも立ててしまう、せこい男にすぎません。
この時期にロシアと、経済強力するという意味も重さ分かっていないのですから、即刻解任すべきです。
そもそも外相などにぜったいにしてはいけない人物でした。
投稿: 管理人 | 2022年2月18日 (金) 17時00分
この日のウィーン発コンフィデンシャルは全文読むと経緯が分かりやすく、長谷川氏の欧州への造詣の深さと共に、宗教の可能性と限界という氏の常なる問題提起の端っこに触れることができます。
事態が風雲急を告げる中、林外相はミュンヘンのG7外相会合に出席するとの事。
先の日露会談の内容(見出しではない)を読む限り、定例の包括経済会談でウクライナ問題に言及したのは良かったと私は考えます。コンタクトを取った国として話に参加する資格が一歩上がりますから。
その前にウクライナへ借款の提案をしておいたことも併せて。
自民党内での右派の元気良い叫びも使ってしっかり重層外交すれば良いです。
投稿: ふゆみ | 2022年2月18日 (金) 17時07分
管理人さん、了解です。
実は、松岡洋右についてはどうも納得出来ないところもあります。
この数年、日露戦争後の近現代史について調べてはいますが、
まだまだ勉強しないといけませんね。
投稿: やもり | 2022年2月18日 (金) 17時39分
林外相も「元々決まってた会談を決まっていた内容でこなしただけ」程度の認識なんでしょう、自分の仕事やその意味する所を全く理解していなければこのような行動をとりません。
あるとすれば岸田首相に「絶対にやれ」と言われたケースぐらいですが、岸田氏本人も林氏と同じタイプの無能なのでそれはなさそうですが。
さらには自身の大ポカの謝罪を部下である外務省にさせているのですからもうひとつタチが悪い。
自分のケツくらい自分で拭けよと言いたい。
しかしこの後すぐG7会合があるというのによくこんなことできますよねぇ
脳みそスポンジなのかと…
投稿: しゅりんちゅ | 2022年2月18日 (金) 18時43分
最新ニュースでウクライナ国境にロシア軍19万人が終結。
プーチンは、ウクライナのロシア住民に迫害があれば侵攻すると発言。
そのウクライナ東部地域では事実上の戦闘が続いている。ロシア系住民の迫害との口実にはなる。
ミサイル発射実験も始めた。プーチンは戦争を始める気です。
ただ、今のロシアは虎の衣を借る狐。西側と対峙したソ連とは国力が違います。ソ連は崩壊したのに、相も変わらず大国気取りのプーチン。
ロシアの、国家予算は日本の1/3の35兆円。
そんな国家が19万人もの大軍をウクライナ国境に張り付かせる。個人的にはやるならどうぞ、出来るならね。という気持ちです。
オリンピックでROCのドーピングが問題になっていますが、ロシアの国民はとても貧しくて、オリンピックで金メダルをとれば莫大な報奨金が出る。
だから金メダルのためには何でもやる。衣食足りて礼節を知る。
だからこそ今のロシアは何をやるか分からない。
投稿: karakuchi | 2022年2月18日 (金) 23時43分
メルケルとプーチンの信仰告白のくだりは、同じく信仰を持つものとしては感動的な話です。 ウクライナ正教もロシ正教も共通する教義内容があるようですので、ウクライナの平和が構築できるための宗教者会議には期待します。
バイデンさんの指導力は、メルケル、プーチンに較べると格段に落ちると思っております。11月の中間選挙で共和党が圧勝するとの見方が大勢ですが、この民主党大統領の行く末はどうなってゆくのか、とても興味があります。
メルケル元首相はトランプさんを𠮟りつけたことがありましたね。メルケルさんって面白い方だと思いましよ。トランプさんはこれに対し、どう思われたでしょうか。憎しみのある反応はトランプさんからは出てこなかったのではないでしょうか。メルケルもトランプもプーチンも大物なんだと思いますね。バイデンはプーチン大統領を人殺しと呼ばわりし、アメリカがウクライナを攻めると煽りました。ウクライナ情勢どう決着するのかな。
投稿: ueyonabaru | 2022年2月19日 (土) 01時11分