ウクライナ戦争が始まってしまうかもしれません
ロシアはやる気です。それもこの数日以内に。
「モスクワ、ワシントン時事】ロシアは安全保障に関する米国への返答で、ウクライナ侵攻の意図を否定した。ロシア外務省が17日、内容を公表した。一方、ウクライナが北大西洋条約機構(NATO)に加盟し、ロシアが実効支配するクリミア半島を奪還しようとすれば、ロシアとNATOの武力衝突が起きる恐れがあると警告した。
ロシアはウクライナ情勢に関し、「米国とその同盟国が昨年秋から主張しているウクライナへの『ロシアの侵攻』はなく、計画もない」と指摘。情勢の緊迫化は安全保障に関するロシアの提案に「圧力をかける試み」と非難した。ロシアは返答の中で、中東欧やバルト3国からの米軍の撤退などを求めた」
(時事2月18日)
なになに「米国とその同盟国が昨年秋から主張しているウクライナへの『ロシアの侵攻』はなく、計画もない」ですって。
よく言ってくれます、この熊親父は。
ベラルーシの演習はとっくに終りましたね、しかしベラルーシからも兵は引いていません。
テレビカメラの前で、兵を撤収させてみせただけのパーフォーマンスだということが判明しています。
事実はロシア軍は続々と増強され、いまや19万にものぼり戦後最大の軍事動員の規模に達するとみています。
「ウィーン・ロイター時事】米国のカーペンター駐欧州安保協力機構(OSCE)大使は18日、ウクライナ周辺に展開するロシア軍部隊について「1月30日時点では約10万人だったが、恐らく16万9000~19万人に達している」との見方を示した。
カーペンター氏は「第2次大戦以来、欧州で最も大掛かりな軍事動員だ」と指摘した」
(ロイター2月18日)
またこれらの地域では、実弾射撃を含む軍事訓練が毎日観測されたといいます。
改めてお聞きしますが、ロシアさん、ロシア軍はボーイスカウトで、ジャンボリーでもしているのでしょうか。
もちろんロシア軍は進攻作戦のための兵力集中をしているのです。
「情勢の緊迫化は安全保障に関するロシアの提案に「圧力をかける試み」と非難した。ロシアは返答の中で、中東欧やバルト3国からの米軍の撤退などを求めた」
(時事2月18日)
「ウクライナに対する一切の武器供与をやめる(引揚げる)、東欧やバルトに派兵した米軍を引揚げる…など、この危機が発覚したあとの米欧の支援を全部帳消しにしなさい、ということのようですね…。
制裁の脅しは受け入れ不可能、でもロシアにはウクライナを侵攻する意図はないと。
もうロシアは米欧からの文書返答は求めておらず、米欧のほうとしてもこれ以上文書を返すつもりではないですよね」
(ツイッター2月18日)
つまり、ロシアは、この間米国やNATOがやってきたウクライナ支援やウクライナ周辺国への派兵を全部止めろというのですから、話になりません。
そのような1か100かみたいな要求をつきつけるのなら、米国はウクライナ周辺から15万の兵を直ちに撤収させろと言うでしょう。
先日、ロシア軍撤収というフェークが流されましたがこれもロシア得意の情報攪乱作戦の一環です。
前述のように、ロシア軍は撤収どころか増強しています。
「CNN) 米当局は16日夕、ウクライナ国境からの部隊撤収を進めているとするロシアの主張にもかかわらず、国境沿いに集結するロシア兵はここ数日で約7000人増えたとの見方を示した。米政府高官の1人は、こうした兵員数の増加を踏まえると、ロシアの撤収の主張は「虚偽」になると指摘。プーチン大統領の外交に前向きな姿勢は見せかけに過ぎないと警告した。
この高官は「我々の持つあらゆる情報から、ロシアは表向き対話姿勢を打ち出して緊張緩和を主張しているに過ぎず、その裏では戦争に向けた動員を進めていることがうかがえる」としている」
(CNN2月17日)
2月17日、ブリンケン国務長官は国連安全保障理事会の会合において、「今回の安保理の会合のテーマとなっているミンスク合意について言及し、2014年と2015年に交渉され、ロシアが署名したこれらの合意は、ウクライナ東部の紛争を解決するための和平プロセスの基礎であり続けている」と述べています。
ミンスク合意の線、つまり東部2州に高度の自治権を与えるという所まで妥協しているわけです。
これはウクライナの抵抗に合うでしょうが、ここまではゆずったということです。
にもかかわらず、これで折り合わずさらには返答文書に「軍事技術的措置」という表現まで使って事実上の交渉拒否をするなら、これはロシア側による交渉拒否と受け取ってよいのです。
ブリンケンは国連安保理でこう述べています。
CNN
「米国はウクライナ国境での証拠をもとに、ロシアが「差し迫った侵攻に向けて動いて」おり、軍部隊の撤収は行っていないと指摘している。バイデン大統領も17日、「数日以内」に攻撃が始まるとみられると警鐘を鳴らした。
ブリンケン氏はロシアがウクライナでの軍事行動を正当化するために近く取ると予想される措置を列挙。国内での爆弾テロや集団墓地の発見をねつ造したり、ドローン攻撃を自作自演したり可能性があると指摘した。
ロシアがこうした出来事を「民族浄化」や「ジェノサイド(集団殺害)」と評する可能性にも言及した。
ブリンケン氏によると、ロシア高官はウクライナ全土での爆撃やサイバー攻撃などに踏み切る前に、緊急会合を開く可能性が高い。米国はロシアがすでに戦車や兵員の進撃目標を選定したと見ており、その中にはウクライナの首都キエフも含まれるという」
(CNN2月18日)
ここでブリンケンがいう東部ウクライナでの「軍事行動を正当化するための近く取る措置」とは、いわゆる偽旗作戦のことです。
ウクライナ東部では、親露派の攻勢がすでに始まっており、各所で政府軍と衝突を開始し始める一方で、住民を退避させ始めています。
ロイター 自称「 ドネツク人民共和国」
「【モスクワ=石川陽平、パリ=白石 透冴】ウクライナ東部で親ロシア派武装勢力と同国政府軍による紛争が続き、情勢が急速に悪化する中、親ロ派幹部は18日、占領地域の住民を大挙してロシアに避難させると明らかにした。対峙する政府軍への新たな挑発行為に出る可能性も指摘されている。
東部ドネツク州の一部地域を占領する親ロ派幹部は18日、ウクライナ政府軍による攻撃が予想されるとして、隣り合うロシア・ロストフ州に子供や女性、高齢者の避難を始めると述べた。東部ルガンスク州の親ロ派幹部も同日、住民に避難を呼びかけた。
米欧やウクライナは、ロシアが親ロ派を利用して挑発行為を仕掛け、侵攻の口実を作ろうとしているとみている。ウクライナのクレバ外相は18日、「ウクライナの攻撃作戦があるかのようなロシアのプロパガンダ(宣伝活動)を断固否定する」と述べた」
(日経2月19日)
この東部2州を牛耳る親露派政権が実効支配しており、ロシアは「ロシア人が住む地域」としてパスポートを発給しています。
これはドネツクなどで、ロシア軍が「ロシア人保護」という名分を作るための偽旗作戦の下地作りのためです。
「[モスクワ/ドネツク(ウクライナ) 18日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は18日、ウクライナ東部の親ロシア派支配地域からの住民のロシア国内への避難を調整するために非常事態相を派遣した。
ロシア通信(RIA)によると、大統領府のペスコフ報道官は「プーチン大統領は非常事態相に直ちにロストフ地域に赴き、(避難してくる住民のための)宿泊施設、食事、医療体制など、必要なものを全てを整えるよう命じた」と述べた」
(ロイター2月18日)
ロシア国営のイタルタス通信は、「ドネツク人民共和国で破壊活動中のウクライナ人工作員を2名射殺した」と報じており、露国営のチャンネル1も「ウクライナ軍が2014年以降に失った領土を武力で奪還する作戦計画を準備している」と主張するドネツク軍司令官へのインタビュー動画を放映しているようです。
また、RIAノーボスチは、18日午後7時頃(モスクワ時間)、ドネツク人民共和国の首都ドネツィクの政府庁舎から数十メートル離れた場所で激しい爆発が発生したと報じているようです。
一方、ドネツクと並んで分離独立を主張するルガンスク人民共和国の幼稚園に重火器で攻撃を行ったことを理由にドネツクとルガンスクの両共和国は住民の国外避難を開始したと露国営放送は報じています。
これはロシアが、ウクライナがロシア系住民の支配地域を奪還するため侵攻してくるという開戦の口実を作り出そうとしているのは明らかですが、西側メディアが入れない土地なので、なにが起きても真実は隠されたままです。
英国外相はフェークだと切り捨てています。
ブリンケンが国連で指摘した通りに事態は進行しています。
ブリンケンの予測では
①ロシアが偽旗作戦による自作自演で爆破テロを起こす。
②このフェークニュースをロシア国営メディアが流し、ロシア人の憎悪を十分に煽る。
③クレムリンは緊急対応会議を招集する。
④ウクライナのロシア系住民保護をロシア政府が宣言する。
⑤ウクライナ侵攻開始。
現在は②まで来ていますから、次に考えられる事態は更にこの①の事態を煽ることです。
たとえば、ドネツクなどでウクライナ政府軍が住民を虐殺した、幼稚園を襲撃した、あるいは化学兵器を使用したなどという虚報でしょう。
そして数日以内にクレムリンは緊急会議を招集し、ロシア系住民の保護を目的に「人道支援」を開始すると発表するでしょう。
この進攻が東部地域に限定的なものになるか、北のベラルーシ側、南の黒海側からも同時進攻するのかはわかりませんが、いずれにしてもここ数日が山場のはずです。
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海上自衛隊の伊藤提督の意見に賛成しています。
投稿: 山上 | 2022年2月19日 (土) 07時08分
伊藤さんの動画ですね。私もみました。
私も露軍の兵站は140キロていどしかもたないと思っていますから、東部2州で精一杯だと思っています。軍事的合理性から言っても、後始末の面からもそれが妥当です。
ただわからない。ロシアのような独裁国家だとプーチンの意志次第でどう転ぶかわからないのです。
投稿: 管理人 | 2022年2月19日 (土) 07時31分
黒井文太郎氏
「ロシアは嘘がバレるとか重視してません。
世界線βを自己主張できればオッケーなのです。
世界に事実を審査して判断を下す存在がない以上、AとBの主張が食い違っても、Aはひたすら主張し続ければ自陣営では通ります。
力で立ち塞がる者がなければ無問題。それでクリミアもシリアも手に入れてきました」
↑私の考えもほんとコレです。
こういう国や独裁者を相手にできる「外交努力」とは…
普段もの凄い大声で反戦を謳う人たちがこの危機に黙って目を瞑る…
投稿: 宜野湾より | 2022年2月19日 (土) 17時49分
侵攻に「東部だけ」とか、「キエフまで」とかは無いですね。
武力を持って他国を脅し、領土を削り取ろうとする行為は国際法違反です。
そこに、どのような言い分があってもです。
これが分からない人は「尖閣は無人島だから」、いや「石垣や宮古までだから」と言い出すのではないか?と恐ろしくなります。
まず分断して、しかるのち辺境的な一方を取り込んで内側から蜂起させるプーチンのやり方は常套手段です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年2月19日 (土) 18時46分
ロシアはウクライナに侵攻しないのではないでしょうかネ。ウクライナに侵攻すれば世界の非難を受けますし、経済制裁も受けるでしょう。そんなロシアが国境沿いに10万余りの兵を終結させてますが、これは侵攻するという意思があってのことではなくて、圧力をかけてミンスク合意を実行させたいからではないでしょうか。
私は専門家でもないので、色々のネット情報から自分が納得するものをピックアップして考えたうえで自分の意見として述べるだけですが、今のバイデン政権のやり方はおかしいと常日頃考えております。アフガン撤退の失敗に続いて、今度もバイデンさんの民主党は失敗するんではないでしょうか。
アメリカ民主党は信用できません。日本による真珠湾攻撃も、事前に察知しておりながら、日本が奇襲攻撃をするのを待ち、戦争参加の口実を得たのは、ほぼ歴史的な事実でしょう。また、トンキン湾のプエブロ号が北ベトナムの攻撃にあったことを口実にし本格参戦をし、結局は北ベトナムに負けてしまいましたネ。偽旗作戦を多く実践したのはアメリカなんでしょう、アメリカ民主党です。
ルーズベルト大統領は大きな失敗をしたと思いますよ。日本と戦うことをせず毛沢東を国民党の内戦で敗北するままにしておけば良かったのです(そうなると、大東亜共栄圏を唱えた日本の大義の戦争はなかったのですが・・・)。
ケネディー大統領は例外的にご立派な方だと言えるでしょう。
我々の真の敵はロシアではなくて、中国なんだと心底思います。尖閣を盗ろうとし、台湾を奪おうとし、日本のシーレーンを危うくしているのは中国、中国共産党なんです。ロシアとは手を組みもっぱら対中国対策に専念すべきです。中国とロシアの双方を相手に戦うことは、日米同盟下でも弱い大統領であるバイデンがある限り勝てません。
投稿: ueyonabaru | 2022年2月20日 (日) 01時46分
ueyonabaru さん。あなたのプーチン好きは病膏肓ですな。
好きなのはかまいませんが、現実を冷静に分析して、なおかつ19万の大軍で他国を包囲するのが、ただのミンスク合意だけだと思っておられるのは驚きです。
ウクライナはとりあえず置くとしても、ロシアと組んで中国に対抗する同盟を結ぶというシナリオは、300%、いや1000%ありえません。絶対にやってはならない道だと断言します。
どこからそんな奇天烈なことをお考えになるのでしょうか。
いいでしょうか、今のロシアと同盟するという意味は、すでにロシアが中国と準同盟関係にある以上、間接的に中国と同盟を組む、いわゆるブリッジ同盟を作ることなのです。
それを分かっておっしゃっていますか。
当然のこととして、それは日本が自由主義陣営の一員であることを放棄し、ならず者国家と手を組んでその一員になり下がるという重大な裏切り行為にほかなりませんから、バイデンにかぎらず、あなたが応援するトランプでさえも日本との安保を解消するでしょう。
沖縄に関して指摘しておけば、プーチンのクリミア簒奪の手法こそ、住民投票を使って分離独立させ、その後に「住民の民主的意志において」併合するという新手の侵略方法でした。
この方法を見習った中国は、沖縄県内に分離独立勢力を扶植させています。
おそらくこの方法を取った場合、プーチンは一も二もなく「琉球共和国」を承認することでしょう。
ただし幸いにも、プーチンは日本と手を組み中国と戦う気など毛頭ありません。
プーチンとロシアに対する評価は信仰の対象ではなく、分析と批判の対象なのです。
投稿: 管理人 | 2022年2月20日 (日) 02時33分
ueyonabaru氏がおっしゃることはプーチンやトランプが好きなネット保守層でも言わない無理難題ですな。
プーチン信奉発言をして首になったドイツのシェーンバッハ司令官と全く同じ内容で草も生えない。
投稿: 中華三振 | 2022年2月20日 (日) 08時47分