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2022年3月17日 (木)

中国はロシアに加担するか?

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揺れましたね、大きかった。震度5弱だとか。
真夜中だったので損害はわかりませんが、大震災以来最大は確かみたいです。
福島が心配です。

さておとといのこと、なんと中国がロシアと心中したいというニュースが飛び込んできました。

[ロンドン/ワシントン 15日 ロイター] - 米高官によると、ウクライナ紛争を巡り、中国がロシア側の要請に応じて軍事的・経済的援助を行う意思を示したと、米情報当局が14日に北大西洋条約機構(NATO)とアジアの同盟国に外交公電で伝えた。
一方、ロンドンの駐英中国大使館は15日、こうした米国の主張を否定した上で、米政府が「悪意のある偽情報」を拡散し、紛争をエスカレートさせるリスクを冒していると非難した。
同大使館はロイター宛ての声明で、米国はウクライナ問題で中国に対する悪意のある偽情報を繰り返し拡散していると指摘。中国はこの問題の和平協議を促す上で建設的な役割を果たしているとし、現在の最重要課題は事態の鎮静化と外交的解決に向けた取り組みだと表明した。
先の米高官によると、米情報当局の外交公電には、中国がロシア支援計画を否定するとの見方も記されていた。また、詳細はブリーフィングで直接共有する見込みという」
(ロイター3月14日)
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-china-cable-idJPKCN2LB2C9

ありえないとまではいいませんが、眉に唾つけたほうがいい情報です。
たまに飛ばすので有名なロイターですからね。
米中会談を前にした米国国務省筋の意図的リークで、あえて表に出して国際社会に存分に叩かせて、加担などしたらどえらい目に合うからなというブラフだと思います。
先月、米国がロシアの開戦日を16日と予告してみせ、プーチンお見通しなんだからな、やるなよ、とやったのと同じです。

いつも元気のいい戦狼外交官の趙立堅も、珍しくこんなことをこぼしています。

「中国外務省の趙立堅(ちょう・りつけん)報道官は14日の記者会見で、ロシアのプーチン政権が中国に軍装備品などの支援を要請していると報じられたことに対し「ウクライナ問題で、米国は次から次へと中国を標的にした偽情報をまき散らしている」と反発。具体的な説明は行わず、米側に責任を押し付けた」
(産経3月15日)
米、中露協力に警告「深い懸念」 直接高官会議で - 産経ニュース (sankei.com)

いつもは偽情報しかしゃべらない彼が、米国に嘘を言うなというわけで、米国のリークがこたえていることがバレました。
おそらく中国首脳部において、支援派と支援拒否派が微妙な対立をしていたのかもしれません。
その結果、実際に行われた米中会談は、このようなことになったようです。
中国は王毅などという小物ではなく、楊潔篪(よう・けつち)を出してきました。
この楊こそが、中国共産党の外交方針トップで、王などにはなんの権限もありません。

米国側のサリバン代表は、国家安全保障問題担当大統領補佐官(長い)というポジションです。
この大統領補佐官職はブリンケンより上で、この人物を出したこと自体、米国がいかに中国の加担を重くみているのかを、中国側に知らせることになりました。
ジェーク・サリバンはなかなかキッチリと言うべきことを言う人物で、ともすればナヨナヨするバイデンの尻を叩いている人です。
サリバンの1月29日の演説を要約すると、こういうことを述べています。

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ジェーク・サリバン補佐官 キレっキレって顔。フォーサイト

「中国に対し、新疆ウイグル自治区や香港での振る舞いや、台湾への敵意や脅迫への対価を払わせ、行動をとる準備をすべきだ。
(新型コロナウイルスの発生源などの調査について)中国が十分なデータを提供していない。
このパンデミックで何が起きたかを知るには科学的な調査しかない。だが、中国政府からの情報には透明性が欠けている。
正確な発生源を突き止めるには、WHOがやるべきことがまだたくさんある」

パチパチ、よー言うた。サリバンはヒラリー・オバマの外交スタッフだったので、まったく期待していませんでしたが、案外がんばる。
楊潔篪は、外交は恫喝とかけひきくらいに考えている共産党官僚ですから、サリバンのようなタイプが釘を打ち込まないとダメなのです。

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楊潔篪氏、米大統領補佐官と会談 (news.cn)

「米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は14日、ローマで中国の外交担当トップ、楊潔篪(よう・けつち)共産党政治局員と会談し、ウクライナに侵攻したロシアと中国の協力関係に「深い懸念」を表明した。バイデン政権高官が同日明らかにした。中国がロシアの求める軍事・経済支援に応じたり、制裁回避に協力したりする可能性が取り沙汰される中、中国側に警告を発した。
約7時間に及んだ会談でサリバン氏は、米国と同盟・パートナー諸国が「ロシアに(侵攻の)代償を支払わせることで結束している」(政権高官)ことを改めて強調し、中国を牽制した。両者はウクライナ情勢のほかにも、台湾海峡をめぐる中国による威圧的な行動や、米中間の安全保障上の危機管理問題など幅広い議題について「集中的で率直な話し合い」(同)を行った」
(産経3月15日)

実に7時間もの会談で、議題はロシアだけではなく台湾問題にまで及んだようです。
ウクライナ侵略と台湾を重ね合わせて議題にすることで、台湾侵攻などしたら分かっているな、ロシアが受けている「見たこともない経済制裁」だけではおさまらんぞと、抑え込もうとしたのでしょう。
とうぜんなにも決まらなかったようですが、中南海の連中にロシアへの加担がいかなる結果を生むのかを知らしめるのが目的ですから、これでいいのです。

一方、外相の王毅は、よりはっきりと支援には腰が引けていました。

「王毅 国務委員兼外相は7日、北京で開催中の全国人民代表大会(全人代、国会に相当)にあわせて記者会見し、ウクライナ情勢に関して「必要な時に国際社会とともに必要な仲裁をしたい」と述べた。ロシアに近い中国の貢献を求める国際社会の声に押された形だが、具体的にどう導くかは言及しなかった。中国はロシアともウクライナとも良好な関係にあり、ロシアのウクライナ侵攻後、王氏は双方の外相と電話で協議している。
中国は、現在もロシアの行動を「侵攻」とは認めていない。これに関して、王氏は「中国の立場は何度も明らかにしている。我々は公正な態度で問題を判断する」と従来の説明を繰り返した。そのうえで、「問題解決に必要なのは冷静さと理性であり、火に油を注いで食い違いを激化させることではない」と訴えた。 ロシアとウクライナの和平交渉には期待を表明しつつ、「情勢が緊迫するほど和平交渉は必要で、矛盾が大きいほど腰を据えて話さなければならない。中国は建設的な役割を果たしたい」と語った」
(朝日3月7日)
中国の王毅外相「必要な時に必要な仲裁したい」 ウクライナ情勢巡り(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

王毅が言っているのは、中国はこれを「侵攻とは認めていない、和平交渉が煮詰まってきたら仲介してもよい」ていどのことです。
仲介くらいはやぶさかではないていどで、たぶん実態のあるロシア支援には反対なはずです。

そりゃそうでしょうとも、ウクライナ侵略は中国にとってメリットはなにひとつもないのです。
中国の対外政策のキモである一帯一路は、要は有り余った余剰のチャイナマネーの捨て所のルートをつけることです。
中国国内で散々やり尽くした
インフラ投資を沿線国にバラまいて、貿易・投資・技術関係を構築しようとしています。
同時にこのチャイナマネーのニンジンをぶら下げて、政治的に「中国圏」を作るということも目的にしてきました。

特に東欧諸国は、西欧とアジアを結ぶ陸の要衝として重視してきました。
彼らは常々西欧の投資が少ないことに不満でしたから、中国の甘い言葉に飛びつきました。
この東欧における一帯一路に協力的だった筆頭が、こともあろうに今火中のただ中にいるウクライナとポーランド、リトアニアだったわけです。
彼らはNATOに守ってほしいという意味での親西欧であって、外交姿勢は反露であっても反中ではありませんでした。
これらの国々は、中国との関係は悪くなかったのです。
だからウクライナ外相が中国に仲介を求めたわけです。

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ワシントンポスト 友好協力条約を締結するヤヌコビッチと習

いや悪くなかったどころかウクライナは2013年、親露のヤヌコビッチの頃に、中国と友好協力条約を結んで空母遼寧のスクラップやスホーイ27を提供してきました。
この中国・ウクライナ友好協力条約締結に際しての共同声明では、「ウクライナが核兵器による侵略やその類の脅威にさらされた場合、中国はウクライナに対して相応の安全保障を提供する」と明記されていました。
これは中国がウクライナに「核の傘」(核抑止)を提供することを意味します。
このようにウクライナの旧来のスタンスは、親NATOであっても親中的傾斜が強かったのです。

え~、という方にお断りしておきますが、ウクライナという国はしたたかでなければ生き延びられない東欧圏の国だということをお忘れなきように。
彼らは何度亡国の目にあってきたことか。何度世界地図から抹殺されたことか。
ウクライナにしかり、ポーランドに
しかり、リトアニアにしかり、フィンランドにしかり。
これらの国が日本と外交的利害が完全に一致するはずがありません。
腐敗しているからどうだとか、ネオナチだからどーした、早く降伏したほうがいいなどと訳知りを言う者が絶えませんが、何を安全地帯で言っているのでしょうか。
ウクライナ人は負ければ国そのものがなくなるか、よくても異民族支配になってしまうことを知り尽くしています。
だから戦っているのです。
世界はそのウクライナ人の独立を願う志と気高い奮闘ぶりに深い敬意を払っているから支援するのです。お間違いなきように。

中国からすれば、ロシアの「しなくていい戦争」は、このような中国の東欧での政治的経済的資産を破壊するものでした。
習は内心プーチンに、なんてことしてくれるんだ、馬鹿め、オレが営々と10数年かけてきたプロジェクトをブッ壊しやがって、と毒づいていたはずです。
プーチンのSOSに安易に乗ってしまえば、ウクライナはもちろん、ポーランド、リトアニアとの関係修復は絶望的となることでしょう。

そのうえ、昨日見たように、ロシアはクリミア・東部2州でやった分離独立を強行するやり方を、今回もウクライナ南部で踏襲しました。
中国にとって眉根に深い皺が寄ったことでありましょう。
ロシアが勝った暁には、これらの「偽共和国」を中国に承認してくれと言って来るに決まっています。
そんな分離独立を認めれば、中国もまたウィグル・チベットや台湾に対して分離独立を認めねばならなくなってしまいます。

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習氏とプーチン氏―便宜上の同志 - WSJ

そもそも中露関係は同盟というにはほど遠いならず者が肩寄せ合っているていどのものでした。
ウォールストリートジャーナルはこれを「便宜上の同志」と皮肉っています。
軍事的には共同訓練というパレードをするていどのことしかできませんし、利害がそこここで大きく食い違っています。

「中ロの協力には限界があるように見える。防衛面では連携しているが、正式な同盟は結んでいない。米当局者や軍事専門家は、中ロ軍による共同演習を除けば、軍事パートナーシップがどの程度の水準かは判断しづらいと話す。
 ロシアでは中国経済の揺らぎが強まっていることを懸念する声もある。中国の安全保障専門家によると、中国政府はウクライナ情勢が本格的な軍事紛争に発展することを警戒している。ロシアや欧州での中国の商業的利益や、グローバルな貿易・投資と経済が密接に結びついていることが、その理由だという」
(ウォールストリートジャーナル2022年3月17日)

中国の本音が透けて見えるのは、五輪での中露首脳会談における共同宣言にウクライナのウの字もなかったことです。
たぶん、習はプーチンからウクライナ侵攻することを聞かされていなかったのかもしれません。
知らされていないのに、中国が望まざる戦争をおっ始めたあげくは、短期戦争に失敗して兵站が干上がり、「見たこともない制裁」で亡国寸前。
そしてあろうことか核戦争まで口走るに至って、ロシアは義兄弟転じて地勢学的リスクそのものになってしまいました。

ここで合理的に思考すれば、まず中国はロシア支援に絶対乗るはずがありません。
口先支援が精一杯ですが、プーチンがそうであるように、独裁者は時としてとてつもない愚かな飛躍をする人種ですからわかりませんが。

ウクライナに平和と独立を。

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コメント

反米ということ以外は別路線でしょうから、中国としても迷惑でしょうな。
このウクライナ侵攻が、危惧される中国による台湾侵攻を起こさせないような前例になればと思います。

ウクライナの平和を願います。

苦し紛れにロシアが発表した非友好「国」リストに台湾も入れてしまったのは中国としては何も言わないのですかね?
国連安保理理事国が台湾を国として認めた事になっているのですけどw

中国としてはロシアがボロボロになればなるほど飲み込みやすくなるので現状放置するのが最良の手なんですけど、キンペーさんもプーチンに並ぶ見栄で判断を誤るタイプの人間なので何が起きるかわかりません。

中国が支援することがなさそうなのは一安心です。しかしインドがロシアからがばがばと油を買ってしまったら(相当に買い叩くとしても)、ロシアも息がつけてしまいます。西側はインドにどう対していくのか、国内の報道からは見えて来ず、心配しています。

 中共は欧米とプーチンの板挟みに合って、冷汗流している最中でしょう。「中国当局者間でも意見の一致が見られていない」(興梠教授)ようです。
ロシアの財務相がテレビで「制裁を切り抜けるには、中国の経済援助に最も期待している」と直接的な表現で要望しているし、しかし欧米側の圧力はもっと厳しいです。

けど、ここで表立ってロシアへの支援をするならば、「国際法違反に当たるロシアのよる武力行使の遂行において、その事情を知りながらロシアを支援・援助する国も同様に国際法上の責任を負うことになる」(林外相)のであって、昨日は国際司法裁判所でロシアの侵略責任が明確になっています。

合理的な従来の中国様式に従えば「ロシア切り捨て」一択なのですが、習近平はちゃんと我慢できますかね。

それにしても習は、もう既にプーチンに騙されて大恥かいているんですよね。記事にもあるようにプーチンの侵攻を聞かされていず、ゆえに最後まで「侵攻はない。米国のプロパガンダだ」と言い張って、そのうえウクライナでの自国民避難が遅れに遅れました。

プーチンにそそのかされて「(中露間の)際限のない協力」とかいって、しかしここは裏切りどころだと思いますね。
世界的疫病神になったプーチンに寄っても、何にも利益になりませんから。

いつも楽しみに拝読しております。

中国のことですから、第2次大戦末期に日ソ中立条約を破って参戦したソ連みたいに、いよいよロシアがやばくなったら、勝ち馬に乗ろうとしてウクライナに加勢するかもしれませんね。中露はならず者が肩を寄せ合っている関係、というのは本当にその通りだと思います。ならず者は力の論理ですから、相手が弱れば容赦しないでしょう。

で、よく考えてみると、ならず者が肩を寄せ合っている中国とロシアはいずれも日本の隣国です。加えて日本は、半島の上下に匕首を持った子分のチンピラも控えています。海で隔てられているのが幸いですが、自分自身もいざとなったら、家族を守るためスティンガーを撃つ覚悟を決めなければならないということだと実感しています。

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