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2022年3月14日 (月)

プーチンが教えた核万能論とは

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まずはウクライナ戦争の概況から。

「米マクサー・テクノロジーズの人工衛星写真では、ロシア軍の車列の状況から、同軍がキーウ近郊で再編成を進め、首都に向けてさらなる攻撃を計画している様子がうかがえる。
同社によると、写真からは、キーウ近郊のアントノフ空港の北西にいたロシア軍の車列が、キーウ周辺の街に移動している。北側にいた別の車列もルビャンカ付近に移動し、砲撃の陣地を構えたことも見て取れるという。
一方、アメリカの国防当局者は、ロシア軍が過去24時間でキーウに向けて5キロ前進したと話した。
キーウの北西に位置するブチャでは、ロシア軍の砲撃が絶えず、住民らは地下シェルターへの避難を余儀なくされている」
(BBC3月11日)
https://www.bbc.com/japanese/60703279

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BBC

●米国防総省などの情勢分析
・キーウ包囲網は3方向から迫っている。
・最も接近した北西からの露軍は中心部まで15キロ。
・北西部隊後方の兵站部隊は前進を開始。
・北からの露軍はチェルニヒウを包囲し、そこで停滞している。
・北東からの露軍は20~30キロまで接近。
・東からの露軍は、スムイ方面に後退。
・ウクライナ軍は健闘しているが、じりじり押されている。
・露軍は大量破壊兵器を使用し始めている。
・シリア兵がキーフ攻略に投入されるかもしれない。

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BBC

さてプーチンは、小気味いいほど見事に戦後のフレームを破壊していきました。
このことはロシアが勝とうが負けようが、「ウクライナ以後」の世界を決定します。
ラブロフは、「ロシアは攻撃していない」なんて、わけのわからないことを言っていますが、鉄面皮にもほどがあります。
合法的核保有国であるロシアが、核を脅迫の手段に用いて他国に押し入り、数千の無辜の人々を殺戮したのですから、言い逃れができません。
これは三つの意味で戦後の枠組みを壊してしまいました。

ひとつめは、第2次大戦の反省から生まれた「現状の力による変更禁止」というルールを、ロシアが完膚無きまでに壊してしまったことです。
いままで「現状の力による変更」自体は、ロシアはクリミアで、中国は南シナ海で既にやってきたことですが、20万もの大軍を使って堂々真正面から国境を超えた事例は戦後ありませんでした。
しかも世界各国の自制と警告を無視して、です。

これを「侵略」と呼ばないで、なにを侵略と呼ぶのだという歴史的事例を、プーチンは作ってしまったわけです。
仮にこれを国際社会が認めてしまえば、「現状の力による変更」をどの国もしていいことになってしまいます。
これはとりもなおさず、暴力による支配がまかり通る世界の復活を意味します。

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朝日 国連安保理で拒否権を行使したロシア国連大使

二つ目は、侵略国が国連安保理の常任理事国であったことです。
常任理事国の役割は、世界の平和と安定の維持に尽きます。
だから拒否権と核兵器を保有する特権を与えてきたのですが、ロシアはこれを悪用して侵略に走りました。
国連は安保理がロシアの拒否権で機能不全になったために、異例の総会決議を出すことしかできませんでした。
総会決議には制裁が含まれていませんから、あくまでも道義的批判にすぎません。

ロシアは蛙のツラになんとやらで、平然と非難決議を無視して侵略の手をゆるめていません。
このように国連の無力さがこれでもかというほど見せつけられたのが、今回のウクライナ侵略でした。
ですから、国連を平和維持のために使える機関にすることが急務です。
特にP5(常任理事5カ国)からロシアを追放するだけではなく、常任理事国制度を抜本的に改革する必要があります。

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【緊急直撃】元防衛相・河野太郎氏に聞く!ロシアのウクライナ侵攻、プーチン大統領の狙いは?日本がやるべきことは?(読売テレビ) - Yahoo!ニュース

そして三つ目は、核のあり方です。
ロシアの核保有はNPTによて保証されていたわけですが、これを侵略の手段に使ったロシアに核を保有させるわけにはいきません。
なんらかの国際的協調によって、ロシアから核をとりあげる制裁を加えねばならないでしょう。
仮にロシアが敗北した場合、戦後処理の国際会議が開かれるでしょうが、ウクライナ戦争前の核の特権を剥奪をするべきです。
ただしできるかといえば、そうとうに困難であることはいうまでもないことです。
核というカードは、それほどまでに万能感に満ちたゴールドカードだからです。

また日本においては、安倍氏の提言をきっかけにニュークリア・シェアリング論が急速に現実味を帯びました。
この安倍氏の議論は呼びかけとしては面白いのですが、日本においてニュークリアシェアリングを導入しても、そのポタンは米国が握るということをお忘れなく。
ドイツのボタンはNATOと米国が握っていますから、わが国の場合は「持ち込む」ということだけをクリアしたにすぎません。
これについてはそのうちまた機会があれも記事にしますが、岸田氏など一顧だにすることなく拒否してしまいました。
こういうことだけ素早いことです。
しかし、これだけロシアの暴走を見せつけられた後の日本人は、「議論することに賛成」が7割を占めたようです。

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NPT(核兵器不拡散条約)について | 国際平和拠点ひろしま〜核兵器のない世界平和に向けて〜 (hiroshimaforpeace.com)

では、いったいなにが今回の事態を作り出したのでしょうか。
それはロシアという核保有超大国が、核もなければNATOという核の傘もない小国を侵略してしまったからです。
しかも侵略に当たって、プーチンはドスを効かせてNATOと米国に、「手出ししたら核戦争になるからな」という脅迫をしています。
このロシアの核戦争の脅迫に、NATOと米国は屈しました。
ゼレンスキーがロシア軍が撤退するなら中立も辞さない、NATO加盟は検討してもよいという悲痛なことを言ったのは、飛行禁止区域の設定にすら腰が引けている彼らへの痛烈な批判です。

つまり、核さえ持っていればどんな横車でもやりたい放題だ、俺は核をもっているから反撃できねぇだろ、文句があればほんとうに核を使ってやるぜ、はは、俺様は世界の支配者なんだ、という核万能論が生じてしまったのです。
きわめて危険な思想が誕生したのです。

これは戦後の枠組みのひとつであるNPT体制への挑戦でした。
NPT体制は、国連の安保理常任理事国(パーマネント5)と重なって、世界の安定に責任を持てる国に核を持つことを許して、その代わりにその拡散を防ぐのが役割でした。
いわば国連安保理の常任理事国は、核という拳銃を持った警官であることを期待されていたのです。.
ところが今回ロシアという警官は、その拳銃を使って隣国に押し入って強盗を働き殺人まで犯しているのですから、ではなぜこのような危険な狂人に核を持たせているのか、という疑問が世界にわき上がったわけです。

ここでロシアの侵略を失敗に終わらせ、ロシアに厳しい懲罰を与えねばならない理由は、他の地域においても普遍化が可能だからです。
ヨーロッパにおいては、次の標的はポーランド、リトアニアとなるでしょうし、アジアでも中国が模倣するでしょう。

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安倍元首相「台湾有事は日米同盟の有事」 中国政府が日本大使に抗議 - YouTube

中国は、台湾や尖閣への進攻に際して必ずこう言うはずです。
台湾はわが国の内政問題であって、主権の範囲内だ。したがって介入することは主権の侵害であるから核をもっての反撃も辞さない。
この核を使うから手出しをするな、という論理がまかり通れば、中国が行うすべての侵略行為に対して手出しができなくなります。

その場合、今回のウクライナと同じことが再現されます。
国際社会はこの中国の侵略を口で非難するでしょうが、「全面戦争になるために直接支援はできない」と傍観するのです。
バイデンなら、まちがいなくそう言うはずです。

住民がいない孤島の尖閣については、もっと露骨に切り捨てます。
米国は「領有権争いには関知しない」と建前を言って、中国のやるがままに任せてしまいます。
わが国が単独で中国の侵攻を押し返さねばならぬことになるでしょう。

さらに宮古-八重山が侵略されても、ウクライナという一国に対してもあのありさまですから、たかだかアジアの小島のひとつや二つとかんがえるかもしれません。
かくして日米同盟は大きく揺らぎ、日本は真剣に独自核保有を検討せざるをえなくなります。

それほどまでに「核の脅迫」は有効だということを、今回のウクライナ戦争は教えてしまったのです。

 

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ウクライナの独立と平和を!

 

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コメント

老練なラブロフさんもまあそりゃ「言うに事欠く」状況です。
鉄面皮・恥知らず・話にならないなどとテレビコメンテーターさんたちはワイワイやってますけど、私はあのお爺さんも独裁者によく付いて行くよなあ···逃げられない立場なんだろうなあと、ちょっと同情的に感じてます。。

おっと、またPostをタップしてしまった。

頭の写真のストレリチアですね。
えーと、極悪鳥花でしたっけ?

小泉悠氏や小谷賢氏のようなリアリストほどキエフの陥落は不可避と見ているのが冷徹で厳しい現状ですね。
ロシア(というよりプーチン)の全く引くつもりがない信念を変えることはできるのでしょうか?

毎日情勢が変化しますね。
ロシアがNATOの支援物資拠点を攻撃。ロシアから撤退する企業の従業員を逮捕する法案を可決。外国企業の特許の廃止。中国がロシアから撤退する企業の後釜を狙っている。などです。
逆に言うとそれだけ苦しいのです。悪足掻きににしか見えません。
中国も今まで強気強気で来ましたが、ここまで事態が悪化するとロシアに明日の我が身を見ているのかもしれません。ロシアから逃げ出すロシア国民も多数出てきた。ロシア国内のデモも拡大している。
ポーランドの大統領がロシアが生物兵器使用ならNATOも参戦すると発言しました。核使用なら尚更、アメリカ、NATOを刺激します。
アメリカの大統領補佐官が中国のロシア支援は許さないと強い口調で警告しています。
NATOも支援物資拠点を守るため、ウクライナに地対空ミサイルの配備を検討すると言っています。
このまま事態がエスカレートすれば、アメリカ、NATOの介入。当てにしていた中国からの支援もない。ウクライナを占領できたとしても事後処理を行う金も力もない。
ロシアと言う国は本当に消滅するかもしれません。

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