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2022年3月25日 (金)

山路敬介氏寄稿 プーチンは「反DSの英雄」などではないその3

043

                                   プーチンは「反DSの英雄」などではない
                     妄想狂かつ「力の信望者」プーチンの真実を保守派は見誤るな 完結
                                                                                                           山路敬介

承前

■ 中国は火中の栗を拾うか?

 これは保守派言論人に限らず良く言われる事ですが、「経済制裁の果てには「中国の一人勝ち」に終わってしまう」というのがあります。
「(中国に)漁夫の利を与える事になりかねない」とか、「中国が抜け穴なので経済制裁はムダ」、「国際社会がロシアと戦う上で、中国の協力が不可欠」と言う議論もですが、どうも違うようです。あえていえば表題の「中国は火中の栗を拾うか?」といった問題の立て方自体もピントが合っていないみたいです。

中国は今、習近平を中心にした「ロシア支援派」と「ロシア切り捨て派」が並走していて、
現在は表面的には西側に寄ったフリをしつつ、裏からはロシアに対する経済的支援を行なっていく、という舐めた方針です。しかし、それもどうやら上手く行きそうにありません。

私たちが想定したより強力な「米国の原理主義」は中国側に再三の警告をしていて、最初から中国をロシアと一体不可分の体制にあるものと規定して冷徹に動いています。
そのうえで中国経済の形成に欠かすことが出来ない西側諸国との貿易取引を重視し、西側了解と国際ルールで一致して臨むかぎり中国は「お構いなし」の判定を得る事ができます。
バイデンは保守派からは親中的と言われますが、中国を「習近平以前」と「習近平の中国」とを分けていて、今の中国に対する二次制裁に躊躇する事はありません。

また、良くCIPS(人民元クリアリング銀行)を通して、ロシアに資金が流れる事が心配されますが、CIPSそのものがSWIFTのシステム上で動いているので、米側は資金の動きを捕捉する事が可能です。習の「ロシア支援派」が勝つならば、いよいよロシア危機を発端として世界を二分する経済戦争が始まりそうですが、朱鎔基元首相らが懸念して習の三選反対を公にするなど、ロシア破綻問題は中国の政治状況にも大きな影響を与えて行くでしょう。

おどろいた事に、中国の主要国営メディアがロシア軍の被害状況をウクライナ発表を基に報道し始めました。それまでは親ロシアで国民世論を誘導していて、中国民のほとんどがロシア寄りの考え方をしていた所へです。小紛紅たちは度肝を抜かれたようです。

しかしながら、中国のやっている事はどうにも予想がつきません。
先日の「習=バイデン会談」での習の眼目は台湾問題にあり、「ロシアを裏切らせたいなら、台湾問題で譲歩せよ」と言っているように見えます。米側の報道では、「交渉ではなく、明確な米国からの警告だった」という論調です。

習近平はあまりバイデンを舐めない方が良いと思います。なんというか、民主党的原則主義者としてのバイデンは、トランプよりも遥かに武力に寄り易い性質を強く持っているとする識者が少なくありません。
バイデンは事故で妻と子供を亡くし、そのようなリベラル目線で語られますが、長い議員生活の中でほとんどの武力的対抗措置に賛成していて、初当選の時分からかなり激しい政治的闘争を切り抜けてきた度胸も持っています。

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【分析】プーチン大統領 軍事侵攻決断の裏側 "インナーサークル"(側近)の実態 - 国際報道 2022 - NHK

■ プーチンの足元が揺らいでいる

 プーチンの国内支持基盤がかなり離れて行っているようです。
その第一は「シロビキ」(軍・警察・諜報機関等)で、支持は継戦に欠かす事の出来ない存在です。

まずビックリしたのは侵攻前に「全ロシア将校協会」が公開でプーチン辞任を突き付けた事でした。(ロシアの退役将校、ウクライナとの戦争に反対を表明 (ukrinform.jp) )
最初は事の真偽もわからず、しかし内容は正鵠を得てしっかりしていて、いかにも軍人らしい文脈で理路整然としていると思っていました。かと言って日本の報道にはまったく出て来ない。
そこで耳にしたのは馬淵睦夫氏の「あれは、フェイクです」との言葉でした。
それからしばらくして本ブログでも記事として取り上げられ、「やはり」との思いでした。

「フェイクです」とする馬淵さんファンには悪いですが、あれは本物でした。
なぜなら、公開書簡をまとめたイヴァショフ上級大将自身が、主旨やら動機をYouTubeや他の媒体でアップして説明しているからです。
また、将校協会のイヴァショフは元々反プーチンで、「大統領に成りたがった私怨によるもの」「将校協会に該当する団体は複数あり、全ロは最小組織」などの記事も見かけましたが、それらこそフェイクと断じられるものでした。

いきなり脱線してしまいましたが、将校協会に限らず、諜報機関の幹部が自宅軟禁に処せられ、将軍クラスを前線に送り4人も戦死させる、公開の場でSVRの長官がプーチンにおびえて答えられないなど、歯車が狂っている事は明らかでした。

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プーチン大統領の側近たち この戦争はどういう顔ぶれが遂行しているのか - BBCニュース

第二の新興財閥からも、続々と公然にプーチン批判が出てきています。
彼らはグローバリストであって、現代資本主義の中で富を得て来ました。それが他国で豪華スーパーヨットを差し押さえられ、マンション、豪邸、銀行口座などが使えなくなって西側との商売が上がったりなので、これは当然でしょう。

第三のメディアにしても、生中継で反戦プラカードを持った女性が登場して話題となりました。
彼女がYouTubeで投稿した動画がまた刺激的でした。こうした状況はこれだけではなく、他にも複数の類似事件が起こっています。ただ単にウソの報道をする良心の呵責に耐えられなくなって退職したメディア社員まで含めると、かなりの数にのぼるようです。

プーチンの支持率は71%などと眉唾の数字が出ていましたが、プーチンは例え戦争に勝ったとしても長くない政治生命です。戦勝で制裁を解除されることはなく、ロシアが国際法や司法判決に則った責任を取るまで延々と続くからです。
どうすれば制裁解除できるか?はまた、プーチン後の政権と西側が決める事になります。
そして、プーチン後のロシア復興期に最大の北方領土返還の機会が巡ってくるでしょう。

                                                                                                                         了                           
                                                                                                                                  文責 山路 敬介

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ウクライナに平和と独立を!

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コメント

ちょうどNATO会議とG7会議が昨日行われ、全面衝突は避けたいとしながらも中国への牽制も含めてしっかりと議題に上げたというのは「なるほど!」なタイミングでしたね。
ロシアの抜け穴になるであろうと多くのテレビや記事で偉そうな人から言われていたCIPSそのものが元々SWIFT上で稼働しているという指摘はお見事です。
そうそう、昨日プーチンがガス代はルーブルで払えという大統領令に署名したそうですけど···契約違反云々以前にそもそもルーブルなんぞ調達出来ないというね。
あー、私たまたまソ連時代の5コペイカ硬貨なら持ってます。
考えてみると共産主義時代のソ連ってやはり変に凄いですね。公衆電話の料金が市内だろうとミンスクからカムチャツカにかけようと5コペイカというとんでもない「平等」ぶり!
日本はようやく昭和基地まで海底ケーブルを電電公社からNTTになった頃に引いた料金は1分で1万八千円で話題になってました。

バイデン爺さん、やりますね!
これまで失点だらけでしたけど、伊達に長く議員やってないのを見せ付けました。
「どうにか纏め上げる」という技術に関しては特筆すべき能力があるようで···だから大統領になれたんだなあ、と。納得。

私も納得w

投稿ありがとうございました。

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