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2022年3月22日 (火)

ウクライナが死守しようとしているのは独立と自由です

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今、ゼレンスキーは、プーチンに一対一の直接交渉を要求し続けています。
これは何を意味するのでしょうか?
私は、BBCをして「桁外れた技量を持つ外交官」といわしめたゼレンスキーが、最後の勝負に出たと感じました。
では、最後の勝負」とはなんでしょうか。
譲れない互いの一線を押えたうえで、それを「停戦合意」の骨組みとすることです。

これはかなりはっきりしてきているはずです。
ウクライナ側の合意要求は、ただの一言に収斂させることが可能です。
それは「独立」です。

その他の項目は、「独立」という絶対に譲れない概念から導き出されるものであって、極論すれば従属的な要求にすぎません。

「ゼレンスキー氏には、譲れない点が1つある。ウクライナがこの恐ろしい経験から、結束した独立国家として浮上することだ。ロシアの一地方としてではなく。プーチン大統領は当初、ウクライナをロシアの一部にしてしまえると考えていたようだが」
(BBC 2022年3月17日)
【分析】 プーチン大統領、今後はメンツを保つ方法を探る ウクライナ侵攻 - BBCニュース

BBCは、ここでソ連の侵略と戦ったフィンランドの例を上げています。

「ヨシフ・スターリンは1939年、かつてロシア帝国の一部だったフィンランドに侵攻した。
ロシア軍はあっという間に快進撃を果たすはずだと、スターリンは確信していた。プーチン氏が2022年にウクライナについて考えたのと同じだ。スターリンの将軍たちは、当然ながら身の危険を恐れ、最高指導者の言う通りだと約束した。もちろん、スターリンの言う通りにはならなかった。
冬戦争は1940年まで長引き、ソヴィエト軍は屈辱にまみれ、フィンランドは超大国に見事抵抗したことで相応の国民的誇りを手にした。フィンランドは領土の一部を失ったが、それはスターリンやプーチン氏のような専制君主がこうした戦争をやめるには、勝ったかのように見せかけなくてはならないからだ」
(BBC前掲)



BBCも指摘するように、フィンランドのケースとウクライナのケースは、よく似ているところと似ていない部分があります。
共に圧倒的な軍事力をもってロシアの侵略を受けた点はまったく同じですが、森林地滞のフィンランドに較べて重化学工業の産業基盤と有数の穀倉地帯を有し、ゲリラ戦争に不向きな平野部である地理的条件は異なっています。
ですから、ウクライナはやむを得ざる場合は、西部地域に政府を移してゲリラ戦も厭わないでしょうが、それはすべての合意をロシアから拒否された場合の最後のオプションであるはずです。
この西部まで戦火に包む手段は、ウクライナ全土を焦土とすることになるからです。

その「やむを得ざる場合」とは、ロシアが「ウクライナをロシアの一部にしてしまえる」と考える場合です。
その場合のロシアの古典的やり方は、イエスマンの傀儡政権を建てることです。
今回ならば、したたかなゼレンスキーを殺害して、ベラルーシで準備に余念がないヤヌコビッチを据えることです。
それが成功すれば、ベラルーシやカザフスタンのような操り人形が支配をするカラッポの属国に変質します。
いうまでもなく、このカラッポの国では、ロシア式の秘密警察支配が行われ、言論・結社・表現の自由は一切失われます。

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ロシア軍、ウクライナ南部ヘルソン到達 郊外に検問所 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

現在、ロシアが占領地域でしている支配政策は、この傀儡国家づくりの予行演習とでもいうべきものだということが分かってきました。
住民ひとりひとりをロシア軍が面通しし、携帯を閲覧し、フェースブックやツイッターに反露的書き込みをしていないか、見てはいないかをチェックして、すこしでも反露的傾向があればそのまま拉致されて行方不明となります。
ロシアが支配するということはこういう意味なのです。
ロシアは、占領地のウクライナ国民から国民意識を抹殺し飼い馴らそうとします。
ウクライナ人は、旧ソ連時代の経験からそれを肌身で知っています。

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「ロシア軍は占領後の殺害・収容リスト作成」 米が国連機関に書簡 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

静岡県立大学グローバル地域センター特任准教授・西恭之氏は『ウクライナ人が恐れるロシアの占領統治)(『NEWSを疑え!』第1033号(2022年3月3日号)でこのように分析しています。

①占領地の反乱・抵抗の鎮圧は、ロシア連邦保安庁(FSB)と国家親衛隊が主力となる。FSBは旧ソ連のKGBの後継組織で、約17万人の国境警備隊と特殊部隊)を持ち、ウクライナ南東部の占領地ですでに活動している。
一方国家親衛隊は2016年に、内務省から国内軍を分離し、警察特殊部隊を統合して創設された治安軍隊です。兵員は34万人。ロシアの定義する領域防衛は、占領地における支配警備と後方支援も含むので、今回も既にウクライナに派遣されている。

②占領地ではFSBが反乱・抵抗の鎮圧の指揮をとり、通信傍受・捜査・防諜が任務です。手足となるのは国家親衛隊を中心にして、内務省の警察部隊、コサック部隊、民間警備・軍事会社を合わせて、ロシアは今回ウクライナに50万人近くを占領地警備投入する予定だと見られている。

そしてロシアが占領地で行う具体的なことは、今まで彼らのやったことからみてこのようなことです。

③令状なしの家宅捜索により押収した文書の情報をもとに、ウクライナ軍の情報機関・警察その他の機関の公務員や政治家が逮捕・尋問する。
彼らの多くは収容所に送られ「行方不明」となる。

④通信と情報の遮断。マスメディアはロシアが検閲体制を敷くまで完全に封鎖される。電話とインターネットは、ロシアの傍受システム「ソルム」に接続するまで遮断される。アマチュア無線機も没収され、無線通信は行政用に限られ、全ての周波数が監視される。郵便を含め、外国と合法的に通信できなくなる。

⑤外出禁止令の後、全ての住民がロシアの出先機関に出頭を命じられ、新しいろロシア占領機関発行の身分証明書が渡され、以後常に携帯することを義務づけられる。密告制度が推奨され、よそ者探しや反露的人物をさがしだすことを命じられる。

⑥ウクライナ貨幣は通用しなくなり、ロシア占領機関の発行した軍票が通貨となる。外貨の所持は一切禁止される。配給切符制により住民を統制し、地下組織を兵糧攻めにする。

⑦現地のロシア系住民に権限を与え、民兵としてロシアの治安維持に協力させる。FSBは公然・非公然の報告制度を設ける。街区や集合住宅ごとに、住民の言動に責任を負う者を一人、公然と任命する。別に、FSBは非公然の密告者を強制または報酬によって採用する。事件の報告が遅れた報告者は処罰する。不服従の事実または疑惑を、住民どうし批判させる。

これがロシアの占領政策です。
そしてこの占領政策が安定化すると次の段階で住民投票を行い、国民の「自由意志」でロシアの一共和国に復帰することになるでしょう。
そしてウクライナ人はいなくなり、ロシア人となります。
命が惜しければ降伏しろと大声で言う橋下徹氏のような馬鹿が絶えませんが、ロシアの占領の実態をまったく勉強ひとつしないで言っている能天気なものです。
それにしても故石原氏が見込んだこの人物がかくも軽薄才子だったとは。
彼らは安直に妥協しろといいますが、なにが妥協できて、なにができないのか、何を失ってはならないのかを知りません。
おっと待てよ、この連中自身は現地採用のプロパガンダ要員になるから安泰なんでしたっけね。

とまれ、このようなことが独立を失うと起きる真実の姿です。
白旗を上げれば平和になるのではなく、奴隷となるのです。
それをソ連時代に身に沁みて知っているゼレンスキーは、「独立」と「自由」が別ちがたい一体の概念であることを充分に分かって交渉することでしょう。
彼は「独立」が、自己決定できる国としての完全な独立が不滅の価値だと信じているはずです。

 

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ウクライナに平和と独立を!

 

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コメント

ウクライナはNATOに入れないし、西側諸国がウクライナに求める姿は「盾」や「緩衝」である、そういう狡くて厳しい現実をゼレンスキー大統領は十分にわかっていて、各国議会でスピーチをしているでしょうね。
それでもウクライナは独立を貫き、ロシアに呑まれるつもりもレッド・チームに与するつもりもない選択をする限り、西側諸国に「新しい同盟」という言葉で表す安全保障を求めて当然と考えます。
どうしたらそれが実現できるか、その取り組みは何処かで既に始まっているのかもしれませんが、米英ヨーロッパ諸国や我が国などでおおっぴらに議論した方が良いと考えます。
「ロシアにも正義がある」と言いながら、それがどんな正義であるか理に適った説明はできない者を出しておくような本邦マスメディアは置き去りでよし。

橋下さんて、声が大きいだけじゃなくてノータリンの気持ち悪い人間だったんですねー。
戦争に負けて降伏して占領された後、幸運にも主権回復して領土も無血で戻り、経済も文化も興隆した国がありますが、負けた相手が民主主義国家であり思想信条の自由をモットーとし、約束したことは守ってくれるアメリカだったからです。
世界一安全な日本にいて、いまこの一瞬の間も生きるために頑張っているウクライナの人々に、ゼレンスキーに、ロシアに降伏しろ、降参しろとわめいている連中には勉強しろとはいいません。口チャックして黙っていろと言いたいです。

 普段のブログ主様はどんな馬鹿に対しても、まず言わない「馬鹿」って言葉を橋下に対して使いました。(笑)
よっぽど腹に据えかねたのでしょう。 私も全く同じです。

石原慎太郎は「命は大事だが、自分の命よりももっと大切な守るべきものがある。それが「人間」と言うものだ」と言いました。
ウクライナの抵抗は橋下徹的に自由主義社会が失ったものを回復する手立てになります。

また、橋下流の論法に従えば、特攻隊も硫黄島も犬死気ちがいになるのでしょう。
しかし、その事から得たのは、米軍をして本土決戦を忌避させた終戦に向けての実利だけでなく、後世に生きる我々日本人にもたらした多大な遺産は今も生き続けていいます。

ウクライナ人の犠牲的闘いは後世のウクライナ人のためのものでもあり、ホロモドールを生き抜いたウクライナ人なら当然の事として受け止めているのではないでしょうか。

追加コメです。

残念ながら、北方領土はロシアに不法占拠されたままです。
一度奪われてしまった領土は取り返すには非常に困難を極めます。
今回の、ロシアによるウクライナ侵攻は、領土問題なんて関係ない、よその国のことだと捉えがちな我々日本人にも考えさせられる件だと思います。

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