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2022年4月22日 (金)

アゾフスタリ要塞陥落せず

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マウリポリで驚異的な抵抗が続いています。
西側軍事筋ですら、毎日のように陥落近しと言っているのに頑として落ちないのです。
いまや彼らをして、マウリポリの抵抗は謎だとまで言わしめています。

その理由はひとつには、マウリポリがロシア語圏地域の多い東部で数少ないウクライナ語の街であったことです。
彼らは去年からのロシア軍の演習と称する東部国境での挑発を見て、必ずマウリポリを狙ってくると確信していたようです。
政府もそれをわかっていて、装備や兵員の集積を行っていました。

そしてアゾフ連隊という地場の猛者がマウリポリにはいました。
彼らは2014年からずっと戦い続けているのです。
彼らの獅子奮迅の戦いぶりは世界に伝えられ、彼らに対する悪宣伝を完全に打ち消しました。

今回、さまざまな情報が乱れ飛びましたが(全面投降というのはロシア側が流した偽情報のようですが)、実際は港湾地区とアゾフマシ工場で抵抗していた海軍歩兵35旅団の残存部隊は、アゾフ連隊(国家親衛隊第12特務旅団) とアブフスタリ製鉄所一カ所に合流したようです。
残存兵は約500名、それに一般市民も数百人いると推定されています。

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BBC

当初、これらの部隊は2000人規模だったはずですから、その4分の3を失ったと考えられます。
通常3割の損害で「全滅」と判定されますから、まさに死を決した兵と化しています。
負け癖がついて一般市民を殺すことしかできないロシア兵が、なぜ攻めあぐねているのか、それはウクライナ兵が死兵だからです。

ではなぜ、彼らがかくも勇敢に自らの生命を省みず戦い続けているのでしょうか。
それはマウリポリで戦いを継続することによって、ロシア軍包囲部隊を拘置し、足止めすることでドネツク戦線に合流させないためです。
彼らが1日耐えれば、東部に世界からの支援物資がより多く到着し、1日持久すればウクライナ軍の集合もより進んで、いっそう強固にロシア軍との決戦に備えることが可能となるからです。

失笑することには、ロシア軍は自分がでっち上げた「アゾフ大隊」というネオナチの幻影に自らが怯えてしまいました。
彼らは侵略の口実にアゾフ大隊を使い、彼らをナチのように残虐非道なならず者たちとして大宣伝したために、彼らを過剰に恐怖することになってしまいました。

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Leaders of "Azov" Denis Prokopenko and 36th OBRMP Serhiy Volynsky
https://www.pravda.com.ua/rus/news/2022/04/20/7340941/

捨て石と呼びたいのなら、どうぞそうお呼び下さい。
彼らは昂然と頭を上げて、われわれはウクライナの捨て石になることを志願したのだ、と答えるでしょう。
かつての沖縄や硫黄島で戦った兵士たちが、そうであったように。

彼らが籠もった最後の砦がアゾフスタル製鉄所でした。
これはまるで映画「バイオハザード」のアンブレラ社のような奇怪な構造物です。
「産経抄」はこのように書いています。

「ウクライナに侵攻するロシア軍は、東部地域で攻勢を強めている。アゾフ海に面した要衝マリウポリでは、ウクライナ軍や武装組織「アゾフ大隊」の将兵が市内のアゾフスタリ製鉄所に立てこもっている。東京ドーム約235個分という広大な敷地に平時には1万人以上が働いていた欧州最大級の製鉄所である。
▼第二次大戦中に一時ナチス・ドイツに占領された教訓から、ソ連は地下に要塞を建設した。いくつもの施設はトンネルで結ばれ、ミサイル攻撃にも耐えられるほど頑丈な構造である。製鉄所を包囲するロシア軍と親露派の武装勢力は攻めあぐね、投降を求めてきた」
(産経4月21日)

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マリウポリのアゾブスタル工場 - 9GAG

なんと地下6層まで拡がっており、そこに拡がる無数の部屋は迷路のように互いに連結されているようです。
そして多くの地表にでる隠された出口があり、そこから出没するウクライナ兵のゲリラ攻撃に悩まされねばなりません。
ロシア軍はこれらの真っ暗な地下室をひとつひとつ潰していかねば陥落させたと言えないのですから、やや気の毒になります。
いくらモスクワがなんどもマウリポリを陥落させたといおうと、この抵抗が続く限りそれはありえないのです。

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9GAG

ゼレンスキーは「ハリコフ方面、ドンバス、ドニプロ地方でのロシア軍による砲撃の激しさが著しく増している」と主張し、ロシアが住宅や市民を標的にしていると非難しています。
さらに、こうも述べています。

「これは、何世代にもわたってロシア国家を絶対悪の根源としてマークするような卑怯な行為だ」

ゼレンスキーが非人道的だと非難するのは、ロシア軍側のマリウポリの降伏勧告が一般市民にも向けられていることです。
非戦闘員である一般市民には「降伏勧告」ではなく、救助と避難であるべきです。
シリアでドゥボルニコフがやったのは、降伏勧告をして、それを拒否した市民までをも全員虐殺の対象とすることでした。
同じ人物が同じような状況で「降伏勧告」をだしていることにゾッとします。
ドゥボルニコフは手を焼くと思えば、躊躇なく無差別爆撃と化学兵器を使う男だからです。
日本でいえば川崎にあたるような活気のある美しい街だったマウリポリは、すでにすべてが焼き尽くされて平坦な瓦礫の土地になってしまいました。
この後、ドゥボルニコフが化学兵器に手をつけないことを祈ります。

とりあえずマウリポリから「人道回廊」が開かれたようですが、用意されたバスには禍々しい「Z」の文字がペイントされ、しかもわずか4台でした。
数千人を退避させるのにわずか4台とは!これもただのロシアのプロパガンダです。
西側メディアにこれを取材させながら、
避難する真っ最中に平気で砲撃を加えているのですから、ほんとうにベタな連中です。
市民退避させるという意味は、停戦状態が完全に守られるのが大前提です。
それすら守れないなら、国際停戦監視団を入れるべきです。

「米シンクタンク、ウッドロウ・ウィルソン国際センターのフェロー、カミル・ガレエフは3月6日のツイッターで、ロシアが掲げる「Z」はロシア語の「Za pobedy(勝利のために)」や「Zapad(西)」を表しているという解釈もあると述べた。
ガレエフはそのうえで、解釈にかかわらず、Zは「新しいロシアのイデオロギーと国民意識の象徴」になっており、不吉な含みを持つと続けた。「簡単に言えば、完全なファシストに近づいているということだ(To put it simply, it's going full fascist)」 
(ニューズウィーク米国版4月15日)
https://www.newsweek.com/russia-ukraine-z-vremya-symbol-may-day-victory-1698904

米国のロシアウォチャーは、「ロシアは特大サイズの北朝鮮になってしまった」(Russia is basically an oversized North Korea, but worse.)と評しています 。まことにそのとおりです。
いやまだしも正恩のほうが、他国に攻め込む力がないいぶんだけよほどマシというものです。

なおロシア軍は製鉄所への突入を断念して、勝手に勝利を宣言を出しました。

「露大統領府によると、ショイグ氏は、ウクライナ軍と武装組織「アゾフ大隊」の兵士らが最後の拠点とするアゾフスタリ製鉄所について、2000人以上が残っているが、周辺を完全に「封鎖」していると語った。3月11日の時点でマリウポリに約8100人いたウクライナ兵のうち4000人以上を殺害し、1478人が降伏したと説明した。
 プーチン氏は軍事作戦の「成功」を宣言した上で、製鉄所への突入は「現実的ではない」と述べ、中止を命じた。「ハエも飛ばさぬように」との表現で封鎖の継続を指示し、ウクライナ兵に改めて投降を求めた」
(読売4月21日)
https://news.nifty.com/article/world/worldall/12213-1591766/

「現実的」ね。キーウ敗退は信頼醸成と言い繕い、「モスクワ」撃沈は事故だと言い、ブチャ大虐殺はウクライナの仕業だと言い、マウリポリではまだ守備隊が健在なのにかかわらず「勝利した」と言い繕う。
戦争中だとはいえ、なんと言葉が軽い人たちなんでしょうか。

今回も弱兵の尻をいくら叩いても突入を拒否するは、司令部からはいつまで手こずっているんだ早くドネツク方面に集合しろとせっつかれたので、それを「封鎖継続」と言い繕っているだけのことです。
そう言えば、そもそもこの侵略戦争は「特別軍事作戦」で、人道支援を目的とした「平和維持軍」でしたっけね(笑)。
初めから嘘とプロパガンダばかり。こんなことばかり言っているから自分でも真実と嘘の境がわからなくなってしまったようです。
この後も製鉄所部隊はマウリポリ守備隊が健在であることを世界に発信し続けるわけですから、避難民救出の声と守備隊を称賛する声は高まる一方です。

 

 

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ウクライナに平和と独立を

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コメント

ショイグ国防大臣とプーチンの面会。以前の長テーブルの隅で8メートルも離れてたのが、昨日は丸で喫茶店かよ!というわざとらしい距離感。
まあ、実際に鉄工所要塞に押し込んだのであればそれこそ兵糧攻めにでもしないとロシア軍の被害が積み上がるだけですが。
どのみち補給が無ければいずれ弾薬も食料も尽きます。

製鉄所の下にホーチミンのクチトンネルがある感じ?補給の無さは硫黄島を思い起こします。
地下要塞からアゾフ大隊が情報発信できるネット環境がなければ、とっくにロシアはここに化学兵器を投入していたのでは。
というか、製鉄所への突入も中止して封鎖、というのも「言うからには、それは嘘」なんでしょう。

ある意味、ロシアのウソはわかりやすいというか、情報戦が決して上手ではないですね。トータルで見ると綻びが多いですね。

これで5月9日の演説でも「とりあえず目標は果たした、僕ちゃん偉い」とひとまず言えるから一安心。と。

もうダサすぎて見てらんない…けど、ロシア国民の大半、特に中高年は本当に国・メディアに洗脳されてるから拍手喝采なんでしょうね。

 「マウリポリは陥落した」という見方が一般的でしたがプーチンの「解放宣言」でロシア軍は墓穴を掘られちゃってる感じがしますね。
「攻撃中止」は自軍の損害回避と人道アピールにすぎない事はあきらか。

米政府は「陥落したとは言えない」と正式に表明しましたが、事実はそのとおりで、地下貫通弾投下後も戦闘が続いています。露軍は立てこもる全員を殺害するまでは攻撃を止める事はないでしょう。

「地下道から外部に通じて補給が可能」などの専門家意見も聞きますが、それもどうでしょう?
何とか援軍を構成して英雄たちに助かってもらいたいと切に願いますが、祖国を守る軍神たる役割に殉じる彼らの覚悟には涙がこぼれそうです。


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