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2022年4月13日 (水)

「死の司令官」ウクライナに

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頑強に陥落を拒んでいるマリウポリの最後の砦となっているアゾフ製鉄所において、ロシア軍が化学兵器を使用した疑いが強まっています。

「ワシントン – 国防総省のジョン・カービー報道官は、ウクライナの包囲都市マリウポルに対するロシアの化学兵器攻撃の可能性に関する月曜日の夜の報道を綿密に監視していると述べた。
もしロシアがこの戦略的な防衛都市で化学兵器を使用したことが判明すれば、紛争が大きくエスカレートし、NATOの行動に直接的な課題を突きつけることになる。
「我々は、ロシア軍がウクライナのマリウポリに化学兵器を配備したとするソーシャルメディアの報道を承知している」と、カービー氏は月曜日に述べた。「現時点では確認できないが、引き続き状況を注意深く監視していく」
https://www.cnbc.com/2022/04/11/pentagon-monitoring-reports-of-possible-russian-chemical-weapons-attack-in-mariupol.html

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さて、これがロシア流なのでしょうか。悪手が悪手を呼び、悪手が故に破綻するとそれを倍増しした悪手をもってきて対応しようとする。
このような負のスパイラルに入れば、この先は見えています。
なんとまぁプーチンは、こともあろうに西側から「死の司令官」とまで言われた冷酷無比な男をウクライナの総司令官にしてしまいました。

「ロシア軍はウクライナ侵攻で、さらに残虐行為を重ねるつもりなのか。ウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナでの軍事作戦を統括する総司令官に南部軍管区のアレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍(60)を任命した。米欧メディアが報じた。シリア内戦で軍事作戦を指揮し、多くの民間人が犠牲となり、「シリアの虐殺者」「血と土の国家主義者」と呼ばれた人物だ。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は10日、CNNテレビで、ドゥボルニコフ氏の総司令官任命について、「ウクライナ国民に対する犯罪と残虐行為(が増える)」との見方を示した。まさに、「死の司令官」といえそうだ」
(産経4月1日)
露軍新司令官は「犯罪と残虐を助長」 米高官 - 産経ニュース (sankei.com)

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アレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍 産経

この人物が、他の指揮官と異なるのは、平然と民間人を巻きぞえにすることです。
いや、正しくは「民間人を標的にする」ことです。
民間人を殺すことが、このドゥボルニコフ将軍の戦略であり、彼の戦争のやり方なのです。

彼の戦歴は、プーチンの戦争と完全に重なります。
ドゥボルニコフ将軍は、旧ソ連の士官学校で教育を受け、1982年に任官して以来、1999年から2000年まで続いた第二次チェチェン紛争に、2015年から16年まで、シリアでそれまで劣勢だったアサド政権軍を支援をする軍事作戦を指揮しました。
ここで彼がとった攻撃方法が、後にこの男を「死の司令官」と名付けることになります。

反政府派の拠点だったアレッポなどにしたロシア軍による無差別攻撃は、あえて民間人を標的にして甚大な被害を与えることで、相手側の戦意をくじき、降伏を迫る作戦でした。
ざっとこの男の犯罪歴を書き出してみます。

●ドゥボルニコフ将軍の犯罪歴(2015年9月から16年6月まで)
・2015年9月 空爆開始
・2015年11月 爆撃機から無差別絨毯爆撃
・2015年12月 市街地でテルミット焼夷爆弾を使用
・2016年2月 市街地でクラスター爆弾を使用
・2017年3月~2019年5月  シリア・アサド政権、VXとサリンガスを提供されて85回使用

シリアで調査に当たっていたヒューマン・ライツウォッチはこう述べています。

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シリア内戦で民間人を殺している「空爆」の非人道性|ニューズウィーク日本版 

「空爆後に現場に駆けつけたある住民は、当該地域を訪れたヒューマン・ライツ・ウォッチ調査員に対し、次のように証言した。
「ひどい有様で、建物はがれきの山と化してしまっていた。素手とシャベルだけで救出作業を始めたよ。食器棚と壁が子どもたちの上に崩れ落ちていた。発見した時は生きていたけれど、子どもたちのおじさんの家に運ぶ前に死んでしまった。ここには診療所も病院もないんだ」
パン屋と病院施設への空爆に加えて、ヒューマン・ライツ・ウォッチが調査して取りまとめた空爆のいくつか、とりわけ周辺に合法的な軍事目標が存在した証拠が全くない地域への空爆は、意図的に一般市民を標的にした可能性がある」
(ヒューマン・ライツ・ウォッチ2013年3月11日) 
シリア:一般市民への空襲 | Human Rights Watch (hrw.org)

また、禁止されている兵器の使用も確認されています。

「(シリア)政府による違法な攻撃手段には、その無差別性を理由に大半の国で禁じられているクラスター弾も含まれていた。2012年10月以降、政府軍が119カ所で150発超のクラスター弾を使用した事実を、ヒューマン・ライツ・ウォッチは調査して取りまとめている。少なくとも人口密集地では禁じられるべき焼夷弾を、政府が使用した事実も明らかにした」
(ヒューマンライツ・ウォッチ前掲)

シリアには独力で化学兵器を研究開発する能力はなく、ロシアが供与したものだと思われています。
また化学兵器使用をアサド政権にさせたのは、当時シリア派遣軍司令官だったドゥボルニコフです。

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シリア政権、5月に化学兵器使用 米国が対抗措置へ 写真4枚 国際ニュース:AFPBB News

「シリアでは、内戦が本格化した12年にアサド政権が化学兵器の所有を認めた。「外部からの侵略」に目的を限定し、反体制派を含むシリア国民には危害を加えないと明言していたが、その後は反体制派が支配する首都ダマスカス郊外や北部アレッポ、北西部イドリブ県で相次ぎ使ったとされる。
 アサド氏の後ろ盾のロシアは、シリアを非難する国連安保理決議に拒否権を行使するなど使用を黙認。化学兵器使用を「越えてはならない一線」と宣言したオバマ米大統領(当時)は13年に一度は決断した軍事行動を見送ったが、17年にイドリブ県でサリンが使われ多数の市民が死亡した際は、トランプ米大統領(同)がシリア空軍基地に巡航ミサイル攻撃を加えた」
(時事2022年3月13日)
「化学兵器」脅威で応酬 ロシア、シリア内戦で使用黙認―欧米、自制促す・ウクライナ侵攻:時事ドットコム (jiji.com)

このシリアでの残虐行為の数々は、今ウクライナの各地でなされているロシア軍の蛮行と完全に重なります。
シリア当局者がいみじくも言ったように、「恐怖で縛って服従させる」のが目的です。

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AFP 廃墟と化したマリウポリ

ロシア軍がシリアのアレッポでしたことを、今ロシア軍は大きく拡大してウクライナ全土に拡げたのです。
都市を厳重に包囲して逃げられなくなったところで、ライフラインを切断し、無警告で住宅地、商用地、行政区に無差別絨毯爆撃をしかけて皆殺しにします。
そして多くの市民に死者がでると、猫なで声で「人道回廊」を設置するといってロシア側に市民を誘導します。
従ったら最後、「ロシア国民」にされてしまいます。
マリウポリの惨状は、親露派の任命した「市長」ですらこう言っています。

「4月8日 AFP】親ロシア派武装勢力に任命されたウクライナ南東部マリウポリの「新市長」は7日、同市の民間人約5000人が死亡したと明らかにした。ロシア国営のタス通信が伝えた。
 東部ドネツク州の一部を実効支配する親ロシア派武装勢力「ドネツク人民共和国」の指導者、デニス・プシーリン氏は6日、マリウポリの「新市長」にコンスタンチン・イワシュシェンコ氏を任命した。
イワシュシェンコ氏は「住宅の60~70%が全壊または一部損壊した」と説明した。また、25万人が市外に避難したという」
(AFP4月8日)
マリウポリで民間人5000人死亡 親ロ派任命の「新市長」 写真3枚 国際ニュース:AFPBB News

ウクライナ当局はマリウポリの民間人死者数について、控えめに見積もっても5000人、数万人に上る恐れもあるとしていますが、この外道の戦法を作り出した当の人物こそが、このアレクサンドル・ドゥボルニコフ将軍なのです。
この悪魔のような男がウクライナにやって来ました。

 

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ウクライナに平和と独立を

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コメント

1番ヤベーのが総司令官に来た!
ソ連時代からの「兵士や人民など畑からいくらでも生える」を地で行く将官。攻撃相手なんかには何をやっても構わないというチェチェンからのプーチンの忠犬です。

というか、今まであれだけの規模を動員しながら「総司令官」がいなかったというデタラメさ!
3日でキエフは陥落するとプーチンは本気で思っていたんでしょう。

今になってFSB第5局(プーチン自身が作ったトコ)を粛清ですか。
完全にスターリンの再来ですね。。
マリウポリ南部の製鉄所は壊さずに確保したかったけどウクライナ軍の抵抗が激しくて、ついに毒ガス使用かよ。

アメリカのレンドリース法の記事でもありましたけど、当時のルーズベルトはスターリンに甘すぎて至れりつくせりしすぎてソ連を勝たせ過ぎた!
中国なんか蒋介石にくれてやればいいくらいの認識だったから、共産党のヤバさに気付かずチャーチルは唇を噛んだ。
冷戦は30年前に終わったはずなのに当時の歪みが今に至って出てきています。
バルト三国は流血しながらも、まだかろうじてソ連だった時代に独立していて良かった。そうでなかったら今のウクライナのように侵攻されてとっくに落ちてたでしょう。
そりゃあ、この状況になったらバランス外交やってきたフィンランドもNATO加盟したくなるでしょうし、独自防衛してきた隣国スウェーデンも倣うでしょうね。。

悪魔のような総司令官の就任はあっても、ウクライナ軍の善戦とキーウ周辺奪還を見て、避難民達が中西部を中心に帰還し始めたようですね。
心配ですが春の種まきや戦う家族を支えたい気持ち等を応援したい自分がいます。

チョルノービリで馬鹿者が盗んだという放射性物質の行方について続報が待たれます。
常識の無さに加えこのような悪辣な軍の体質ならば、畑に捨てたり河に放り込みかねないです。

マリウポリのウクライナ兵士が千人降伏した、とのロシアの主張。もちろんウクライナ政府は否定。

早く、早くロシア兵を駆逐する反抗作戦を。そのための武器を。戦車を。戦闘機を。

ふゆみさん。
ドローンでキーウ上空にばら撒くが最も怖い有り得そうな話かな。
勝手にウクライナに侵攻して好き勝手しときながら、ロシア領内への攻撃があれば再びキエフ攻撃もありえる(今回だけは引いてやったんだゼ!)とか言ってるくらいだし。
いやいや、それこそモスクワに一発くらい撃ち込んでもよかろうに···と思いますわな。まあ、それをやらずにどうにか世界大戦を避けている綱渡りです。

ロシア軍のエロい人がプーチンのとこに行って「親分ー!凄い獲物を持ち帰りましたぜー!」と近付いて、おっとっととヤバイ液体の瓶を叩き割ってぶっ掛けるが最適解だろうけど···無理だよなあ。。

山形さん、作戦上強奪されて管理されているならそれが1番ありそうで怖いですね…。
急激な体調悪化によるパニックと、撤退時のどさくさで散逸したり、被曝の危険に無知な雑兵の間を転々としてベラルーシからFedExでロシア兵家族に何個か送られてるんじゃないかとか、私は思ってました。
ほんと、ヤバい液体ぶっかけたいですよ。

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