巡洋艦「モスクワ」撃沈の衝撃と核搭載疑惑
艦隊旗艦「モスクワ」があえなく撃沈されてしまったために、モスクワは半狂乱状態のようです。
なにやら事故だと言っているくせに、ウクライナに報復してやるぅと息巻いてミサイルを打ち込んでいます。
事故でしょう、事故なんだよね、戦争ではない「特別軍事作戦」で起きた事故なんだよね、モスクワさん。
でも報復するっておっしゃる、ホント分かりやすいねぇ、あんた方は。
いまや「第3次大戦」だ、とロシア国営テレビがガナっているようです。
「ロシア国営が「モスクワ」艦の沈没を報じるなかで、第三次世界大戦がすでに始まったという表現を使ったことが分かった。
15日(現地時間)、英デイリーメールなどによると、ロシア国営テレビロシア-1の報道番組「60分」において、アンカーのオルガ・スカベエワは、「ウクライナで進行中のロシア軍の特別作戦は、すでに第3次世界大戦と呼べる段階に進んだ」とし「ロシアは明らかに米国と北大西洋条約機構(NATO)に対抗して戦っているからだ」と主張した。
スカベエバは、米国をはじめとする西側国がウクライナに大規模武器を支援していることを主張の根拠とした。
この日の放送では、モスクワ艦の沈没に対抗してウクライナに大規模反撃を加えなければならないという主張も出た。特に、ウクライナの首都キーウ(キエフ)に核兵器を使用しなければならないとプーチン大統領に提案する内容もあったと伝えられた」
(コリアンエコノミックス4月17日)
自分から無理無体で手を出しておいて大火傷を負うとお前の責任だ、世界戦争にしてやるとわめく。
ロシア正教会の坊主までもが、ウクライナ民族を絶滅させよ、とハッパをかける。普通の精神状態ではないですね。
それほどまでに「モスクワ・ショック」は巨大なインパクトを与えたのです。
あと3週間後の5月9日「対独戦争勝利記念日」までに、ウクライナを屈伏させることは100%不可能な以上、祝賀モード転じて撃ちてしやまん、NATO、米国なにするものゾ、エイエイオーの国民総動員を呼びかけるものになりそうです。
この時に、巡洋艦「モスクワ」の戦死した452名の水兵たちは、美化されて戦意高揚の材料に利用されるのかもしれません。
「モスクワの510人の乗組員の運命について救出された情報には疑問が残っており、そのほとんどは行方不明である。
ロシアから亡命した政治家イリヤ・ポノマレフは、452人もの乗組員が死亡した可能性があると述べた」
(デイリー メイル4月17日)
救助されて生き延びた水兵らは監禁されて、尋問を受けているという噂もありますが。
ホントに事故による沈没なら銃殺だよな、あの国なら。
まぁそりゃそうでしょうとも、旗艦が撃沈されたのは日露戦争の時のバルチック艦隊旗艦クニャージ・スヴォーロフ以来の屈辱ですから。
「モスクワ」という名前がつくように、この巡洋艦はただのフネではなく、先日沈んだ揚陸艦などとは比較にならない価値を持つものでした。
巡洋艦「モスクワ」が沈んだと聞いたある元海自の幹部が、うそだろう、ありゃ核ミサイルを積んでいるようなバケモノ艦だぜと言ったという話すらあります。
下の写真でもわかるように、全身ハリネズミのようにミサイルで覆っています。
ですから、被弾した場合は脆いだろうとはいわれていましたが、図星だったようです。
https://www.dailymail.co.uk/news
そしてもう一枚の写真は、巡洋艦「モスクワ」が4月10日にセヴァストポリ港を出港した最後の写真です。
いわば遺影ですが、そういえば影が薄いような。(動画から切りとったからですが)
もうこの前から、巡洋艦「モスクワ」の行動パターンがルーチン化しているのがウクライナ側に読まれており、同じ時刻に必ず現れる地点も特定されていたようです。
The Moskva pictured leaving port at Sevastopo for the lasttime
https://www.dailymail.co.uk/news
また、この巡洋艦「モスクワ」には2発の核ミサイルが搭載されていた可能性があると英国紙「デイリー・メイル」が伝えています。
「ロシアの黒海艦隊の旗艦であるモスクワは、セヴァストポリ港の近くで沈没したことが確認された。専門家とアナリストは現在、このロシア軍艦が2つの核弾頭を搭載していた可能性があると警告している。
西側専門家は、「ブロークンアロー」( 核兵器事故)への緊急の調査を求めている」
(デイリー メイル前掲)
https://www.dailymail.co.uk/news/article-10721351/Ukraine-war-Fears-Moskva-warship-carrying-nuclear-weapons-sank.html
艦長以下ほとんどが艦艇と運命を共にしたようですが、その時に共に海に沈んだといわれているのが、下の写真のミサイルです。
P-1000ヴルガン超音速巡航ミサイル https://www.dailymail.co.uk/news
P-1000ミサイルには核弾頭搭載型もあり、それが搭載されていたかもしれないというわけですが、ロシアがそんなことを明らかにするはずがないので、真偽はわかりません。
ただし搭載していれば、ロシアは必死に海底の「モスクワ」からP-1000をサルベージするはずですから、わかるはずです。
現時点では特にその動きはありません。
とまれ、ロシア海軍の象徴とも言えるこのバケモノ艦が睨みを効かせているから、黒海の制海権はロシアが握っていられたわけです。
制海権だけではなく、「モスクワ」はS300対空ミサイルシステムを搭載しており、この南部地域全体の防空システムの要でした。
黒海艦隊に残されたのは、「モスクワ」よりはるかに小さいカシン級ミサイル駆逐艦スメトリーヴイ、クリヴァクI級フリゲート・ラードヌイ、クリヴァクII級フリゲート・プイトリーヴイなどの3隻と、旧式のキロ級通常型潜水艦2隻だけ、あとはろくな戦闘艦はないというお寒い状況になりました。
補充したくとも、黒海の入り口をトルコが塞いでしまったためにできません。
したがって、このバケモノ艦が失われたために、ロシアの黒海支配権は大きく揺らぐことになります。
そもそも2014年にクリミア半島簒奪をしかけた軍事的意味は、半島突端のセバストポリ軍港を完全掌握したかったからです。
ここは黒海を扼する要衝で、この軍港に巡洋艦「モスクワ」を配備することで黒海全域を「ロシアの内海」とするのが目的でした。
その牙が折れてしまったのですから、ウクライナ支援側としては、黒海経由で今まで不可能だったウクライナ支援物資を送る可能性が浮上しました。
もちろん黒海艦隊は弱体化したとはいえまだ残存していますから簡単ではありませんが、この黒海経由の支援ルートが開かれれば、従来のようにポーランド国境からウクライナ長距離横断して届けていた東部戦線への補給が一気に加速します。
面白いのは米国の対応です。
米国はやっとウクライナのネプチューン地対艦ミサイルによるものだと認めたようですが、なぜか慎重な姿勢でした。
もちろん米国はグローバルホークを使って、「モスクワ」の位置情報を、ウクライナに逐一伝達していた以上、その詳細はどの国よりもよくわかっていたはずですし、損害状況も知らないはずがありませんでした。
おそらくワシントンのためらいは、あまりにウクライナが世界が驚愕するような戦果をあげてしまったことに対する驚きと警戒があったのかもしれません。
警戒というのは、プーチンの性格からすれば、核報復をかけることを考えつかないはずがないからです。
西側が勝手に考えている「プーチンのプッツンライン」(レッドライン)には、東部の「人民共和国」が陥落しかければ化学兵器、クリミア奪還に踏み切れば核使用という想定があるそうです。
ロシア海軍の旗艦の撃沈などは、誰も考えていなかったので、米国も素直にアレはウクライナのミサイルの戦果です、といえなかったのかもしれません。
なお、この「オデーサ海戦」のプロセスは、さまざまなSNSで分析されているようなので、簡単にしますが、ドローンとの共同作戦であったようです。
https://www.dailymail.co.uk/news
上図①はいまやこのウクライナ戦の代名詞となったバイラクタルTB2が囮となって北西方向に注意をひきつけ、転進した時を見計らって、②オデーサ付近の海岸近くから対艦隊ミサイル・ネプチューンを複数発発射し、③巡洋艦「モスクワ」左舷に2発命中しました。
うち一発は不発だったという未確認情報もありますが、おそらくは巡洋艦「モスクワ」がトップヘビーになるほど大量に積んでいたミサイルか、あるいはその弾薬庫に命中して大火災を発生させたようです。
不幸なことには、この命中した箇所がよりよにって、下図のように2基のRBU-6000対潜水艦ミサイルや、16基のP-1000対艦ミサイルが搭載されていた箇所(「121」の艦艇番号のあたり)でした。
偶然じゃありませんよ。作った製造元がウクライナですからね。
ウクライナは、ソ連の工業の中心地帯でした。
この巡洋艦「モスクワ」を作ったのは他ならぬソ連時代のウクライナですから、どこがフネの急所か知り尽くしています。
ついでにいえば、ロシア軍の主力のT-72戦車を設計したのもウクライナ、スホーイ戦闘機を設計したのもウクライナでした。
ウクライナに独立され、特に2014年のクリミア戦争で敵対関係になってから、ロシアの軍艦や戦車、戦闘機の更新が進まない理由もそのためです。
だからこそ、ロシアはウクライナを取り戻したかったのでしょうが、逆に永遠の敵にしてしまいました。
今後、支援を与えてくれた米欧に軍事技術を多く提供することになるはずですから、ロシアの軍事はスケスケとなることでしょう。
https://www.dailymail.co.uk/news
このような歴史的大敗北を受けて、プーチンの精神状態のほうが心配です。
ウクライナに平和と独立を
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モスクワの撃沈は指導層だけでなく、ロシア国民にとっても相当ショックだったようですね。しかし、自分から侵略しておいてウクライナへの憎しみを倍増させるロシア人の精神構造の方が理不尽です。
また、艦に巨大で不要なものをたくさん満載して結果的に沈む事になった原因は、やはり戦闘におけるロシア軍の戦い方の拙さがまたしても出てしまった、という事のようです。
ドンバス支配に欠かせないイジュームは依然ウクライナの勢力下で、露軍支配下のヘルソンでは逆に三方からウクライナ軍が囲んでる。
黒海も今はカラです。
先月末には「マウリポリを撤退しても良い」としていたゼレンスキーですが、今は「マウリポリを全滅させるならば、停戦交渉を停止する」と変わっています。どうも積極的に停戦に持ち込みたいのは、むしろロシア軍のように思います。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年4月18日 (月) 08時35分
何だか今のロシアって、暴走する将軍様の行状を諫める老中不在の幕府のようになってきましたね。
投稿: アミ | 2022年4月18日 (月) 15時05分
撃沈の影響力の大きさはロシア側が正式に公表するまで米英側が情報を出し渋ってた点でもよくわかります。
しかし、少し考えれば旗艦の撃沈なんて相当な現場レベルのミスや怠慢が重ならないと普通起りえない出来事なのですが、ロシア国民にはどのようなニュアンスで説明しているのかとても興味があります。
「ネオナチどもの卑怯な手でモスクワとその乗員の命は散った!」
とかフワフワした言葉で誤魔化せるものなのでしょうか?
投稿: しゅりんちゅ | 2022年4月18日 (月) 16時24分
モスクワ撃沈と地上戦の挽回でマリウポリも絶望の淵からほんの半歩だけ帰ってきている?
命を削るように声を発し続けるゼレンスキー大統領のインタビュー内容も、少しずつ色を変え始めているように見えます。
これはキーウに再侵攻の可能性はあれども自分達で経済活動をしようというもの。
1.2ヶ月は世界が助けてくれてもその援助は永遠ではないから自分の足で立つ力を持ち続けようと、今言えるのは凄いことです。
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そしてこちらでは、戦果を上げ領土を奪還してもロシア兵に家族がされた事をやり返すことは私達にはできないのだから、長い時間をかけて裁きを受けさせることしかできない。と語り、露軍とウクライナの決定的な倫理観の差を見せつけながら悲しみと無念さを共有する。
「真の勝利は、加害者が裁判にかけられ、有罪判決を受け、刑が確定したときにのみ訪れる」
「いつまで待てばいいんだろう?長いプロセスだ。この法廷、裁判、国際裁判所は」
「子供、親戚、夫、妻、両親を失った人々にとって、完全な勝利はないだろう。そういうことだ」
「我々の領土が解放されても、彼らは勝利を実感できないだろう」
https://t.co/5AcfyUNIgl
こんな良い子ぶってるけど元々ウクライナなんて云々という論評が今も保守系であります。
そんな平時の過去話を今必死で立ち続けるウクライナへ向けることが、折角遂に到来している「改憲と日本の自立」への民意の醸成に砂をぶっかける行為だと何故解らないのか本当にがっかりです。
単純な岸田聞く耳ヘタレ論も、支持率低下に加味しないのは国民がばら撒かられてアホになってるからでは、きっとないですよ。
無難である事が極端な連中の真ん中で輝いて見えるのはある意味当然なんです。
岸田総理が最も避けているのは決める事ではなく国論が割れる事。官邸主導で国論が割れると多数決で決まらないスタック状態に陥るからです。
投稿: ふゆみ | 2022年4月18日 (月) 17時00分
「ミサイル被害ではない。単なる事故だ。」→キーウへの報復攻撃(何に対する報復???)
嘘をつくにしても、もう少し整合性取る努力したら?と、ロシアに中国に、ついでに韓国みたいなならず者国家を見てるとムズムズします。北朝鮮は逆に、素直で微笑ましいかも。
投稿: ねこねこ | 2022年4月18日 (月) 18時50分