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2022年4月14日 (木)

衛星から見るマウリポリの惨状と守備隊決別の辞

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NHKが、いい意味でのNHKらしい報道をしています。
マウリポリの現況について、宇宙からのリモートセンシングで撮られた画像によって、今この製鉄と港湾の都市が置かれた状況が理解できます。
ウクライナ “最大の激戦地” AI解析で見えたこととは | NHK | WEB特集 | ウクライナ情勢

NHKがとった方法はこうです。
現在米国企業「プラネット」が運用する衛星からの画像は、マリウポリ中心部の5キロ四方がすべて収まっています。
解像度は、50センチの大きさまで認識できます。
たぶん軍事衛星の解像度はもう一桁高いはずですが、公開されるはずがないので、これでよしとしましょう。

NHKは、この「プラネット」が撮った侵攻前の2021年8月29日と31日の画像と、侵攻後の映像を比較しています。
下図に黄オレンジ赤のドットが見えますが、これは侵攻による変化の度合いを現しています。
衛星画像を20m四方で区切って、大きく破壊された地域を黄色から赤で表示していますが、都市中心部に集中しています。

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NHK

そのうち特に破壊がひどい施設は、市民がいる産科病院と総合病院、工科大学、避難場所となっていた劇場、美術学校、ショッピングセンター2箇所という民生施設でした。
軍事目標は一切ありません。
これらすべてに赤に区分されており、ロシア軍があえて市民を無差別に標的にして攻撃をしかけていたことが裏づけられます。
いうまでもなく、これは重大な戦時国際法違反です。

●戦時国際法(ジュネーブ諸条約)に定義されている攻撃禁止施設
・非戦闘員への攻撃
・学校への攻撃
・病院への攻撃

したがって、住宅地域、商用地域、病院への攻撃自体が禁止されており、マウリポリにおいてロシア軍は一切の国際法への考慮なく攻撃していたわけです。
マウリポリ中心部の東側にあるのが、3月16日に子どもを多く含む避難民がいたにも関わらず標的にされて破壊された劇場跡です。
マウリポリ市当局は、子どもを含む少なくとも300人が死亡したと推計しています。
しかもこの避難施設は、庭の地表に大きく「子ども」と書いて警告を呼びかけていました。

周辺の住宅などの建物も屋根が焦げていたり、黒く穴が空いていることが確認できます。 
破壊の度合いは下図のように真っ赤なドットに表示されており、完全に破壊されたことがわかります。

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NHK 劇場

劇場から北東に800mにあった美術学校も完全に破壊されています。
この劇場と美術学校は共に、屋根のほとんどが吹き飛び、壁面も火災によって焼けただれて黒く焦げて残っています。
このような破壊のされ方は、地上戦闘の結果であるより、上からの攻撃、つまり空爆、ないしは砲撃によるものだ思われます。
この劇場周辺の住宅地が平らに開けており、おそらくロシアが地上軍を突入させるに際して障害物を砲撃で破壊したとかんがえられます。

現在、戦闘は海岸に近いアゾフ製鉄所に限定されつつあります。
それがわかるのが黒煙の推移で、西から東に推移していきます。

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NHK 3月28日の黒煙(赤丸)

同地域の4月3日の映像ですが、黒煙はなくなっています。

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NHK 4月3日 黒煙は消えている。

残念ですが、これによってマウリポリの守備軍は中心部から東の海岸方面へと後退していることがわかります。

ここを守っていた守備隊の海軍歩兵第36旅団は、4月12日付けで最後のお別れの通信を出しました。
彼らはすべての弾丸を打ち尽くしたのです。

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「弾薬が不足しているためロシア軍への抵抗は今日が最後になるかもしれない。
最後まで持ち場を放棄せずウクライナに忠誠を誓う、この抵抗の代償を忘れずロシアに勝利して欲しい。
我々は最後までマリウポリ防衛のために戦い抜いたし、今も持ち場を守り続けている。
私たちは敵に陣地を明け渡した訳ではないが都市は封鎖され、包囲され、弾薬や食料が届かなかったのだ。
我々は最後まで耐え抜いていた。海軍歩兵旅団を信じ、信じ続けてくれた全てのウクライナ人に感謝している。この信念のもとに我々は長い間耐えてきた。私たちはこれまでも忠誠を誓ってきたし、これからも忠誠を誓い続ける。
全てのウクライナ人は抵抗の代償を忘れず、最後まで勝利を守り抜かなければならない」
Морпехи из Мариуполя: Мы не сдавали позиций, помните цену этого сопротивления

戦いは最後の抵抗拠点であるアゾフスタル製鉄所の周囲だけとなりました。
なお海軍歩兵旅団は投降したという情報と、包囲を突破してアゾフ連隊と合流したという説があります。

 

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grandfleet.info

ウクライナに平和と独立を

 

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コメント

 ロシア軍はなぜ民間人をわざわざ狙って大量殺戮するのか?
それがプーチンの戦略だからです。
民間人を大量に、しかも出来るだけ惨たらしく虫けらのように殺傷する事によってウクライナの意志をくじき、人命大事の降伏にゼレンスキーの判断を傾けるための戦略です。
プーチンは黒いネクタイなどして、「悲劇だ」とか白々しい事をぬかしてますが、ヒトラーよりもさらに上を行く外道です。

そして、仮に橋下徹が言うように降伏したらどうなるか?
合理的な計算として母数が4000万人もいるウクライナでは、このまま戦い続けるよりも、降伏後のロシア軍の占領統治による粛清の方がはるかに犠牲が多いのはあきらかです。
それが分かっているから、ウクライナの国民世論は戦い続ける意見の方がはるかに多いのです。

ゼレンスキーには、なるべく早く多く住民を西部や国外に逃がし、しかるのちにロシア軍に戦って勝つより他に方法はありません。ロシアは橋下が思っているような相手ではないのですから。


 ネット上には賢しらに大手メディアとは違う意見を言って喜ぶ手合いが多いのですが、うんざりします。

 特に、ウクライナ・ネオナチ論を得々と語る連中にはがっかりさせられますね。まあ、どこの国にも一定の極右勢力がいるのは、ヨーロッパ全体の問題だし、それを言えば、共産党の国会議員がいる日本は協賛国家になってしまう。そもそも近隣国があそこまで応援したりしない。ロシアの何たるかを肌身にしみているからこその反応でしょう。

 まあ、人と違うことを言って自分が偉くなったように感じるんでしょうが、マスターベーションにすぎません。

 それにしても、プーチンが悪魔のような総司令官任命したことで、東部戦線は相当に厳しくなるのでしょうね。ご武運をと祈るしかありません。

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