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2022年4月19日 (火)

フィンランドNATO加盟の大打撃

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ブチャ大虐殺が明るみ出て、そしてマウリポリで守備隊が全滅したなら和平協議はもう行わないとゼレンスキーは言ったそうです。
となると、例のロシアが突き付けていた和平条件のひとつの「中立化」も吹き飛ぶことになります。
この「中立化」を巡って、西側もそうとうに頭を痛めていました。

「中立化」といっても、いくとおりもの方法があったからです。
①「フィンランド化」
②NATO加盟断念
③NATOに代わる集団的安保体制

リベラル好みの非武装中立は、ロシア案ですから除外します。
大方の西側外交関係者は、①の「フィンランド化」が落とし所だろうと見ていました。
「フィンランド化」とは外交用語にもなっていますが、一言でいえば「強いられた中立化」のことで、「親露ではないが反露ともいえない微妙な立ち位置」の国になることです。
これはフィンランドが、ウクライナと同じように国民が一丸となってロシア(ソ連)と戦ったからできることで、攻めて来たらすぐに白旗を上げましょうなどというどこかの国の評論家ばかりの国だったら、直ちに属国の軛に繋がれてしまいます。
フィンランドは、かつての冬戦争と呼ばれる、ソ連の侵略に対して驚異的な粘り強さで戦い続けたことで、破れこそすれ「中立」を勝ち得たのです。
決して不名誉なことではないので、このある意味もっとも厳しい「中立」に耐えてきました。

ところが、そのフィンランドが「フィンランド化」を止めて、NATOに加盟することを決定する方向を打ち出したので、ヨーロッパは当のNATO諸国の多くは驚愕しました。
驚かなかったのは、今までフィンランドなどとJEF(北欧統合遠征軍)を作ってきた実績がある英国くらいでしょうか。

「4月16日 AFP】フィンランドのトゥッティ・トゥップライネン欧州問題・公営企業相は15日、同国が北大西洋条約機構(NATO)への加盟を申請する「可能性が高い」と述べた。ロシアはこの直前、フィンランドとスウェーデンがNATOに加盟した場合、「結果」が伴うと警告していた。
 ロシアが2月24日にウクライナへ侵攻したことで、フィンランドとスウェーデンでは長年続いた軍事非同盟主義に対する世論と政論が一転。フィンランドのサンナ・マリン首相は13日、NATO加盟申請の是非について「数週間以内に」決定すると表明し、スウェーデンも加盟を議論している」
(AFP4月16日)

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世界最年少首相!フィンランドのサンナ・マリン首相ってどんなひと?|ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)

ちなみにサンマリン首相は34歳にして、世界最年少の女性首相ですが、わが国では閣僚に女性が多いことからジェンダー政権と言われてきましたが、驚くほど大胆な政権でした。
彼女が決めた外交方針は、70年以上にわたった中立政策を捨てて、西側の集団安保体制の一員に加わるというものでした。
といっても、なんでも合議のクラス委員会的NATOでは、承認に4か月から長ければ1年かかりますが。

それはさておき、そのフィンランドが中立を捨ててしまったのですから、なんだか冗談のようなことになってしまいました。
これは効きましたね。ウクライナの奮戦の影で目立ちませんでしたが、ヨーロッパ全体のパワーバランスが一気にひっくり返るような勇断でした。てひ
巡洋艦「モスクワ」の撃沈がストレートパンチだったのに対して、アッパーカットのようにプーチンのキシャな顎に炸裂したわけで、余りの激痛に、ロシアはこんな脅し文句を並べています。

「ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は15日、NATO加盟はフィンランドとスウェーデンが決めることだとしつつも、「このような措置が、われわれの2国間関係や欧州全体の安全保障構造に対する結果を伴うことを理解すべきだ」と警告した」
(AFP前掲)

このように上品に言えば「二国間関係に責任を持て」ですが、要はロシアと敵対関係に入りたいのだな、ならば首を洗っていろ、ウクライナが片づいたら次はお前の番だという意味です。
さっそくフィンランド周辺にミサイルを展開してみせましたが、すぐにこういうことをするからあんたらロシアは嫌われるのです。
まぁ、いくらスゴんでも、キーウ包囲作戦に敗退し、地方都市のマウリポリひとついっかな抜けず、旗艦「モスクワ」が撃沈でしまっては、大いに迫力に欠けますが。

さて、先日英国が主導する北欧10カ国の連合であるJEF(北欧統合遠征軍)についてふれましたが、スウェーデン、フィンランドの西側軍事同盟への加盟でいっそうその意味が重くなりました。

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どうしてここまでロシアがフィンランド加盟に神経を尖らせるのかといえば、その地理的関係です。
下の地図をご覧ください。
フィンランドとロシアはまさに一衣帯水の関係で、フィンランド湾を隔ててヘルシンキとサンクトペテルブルクがにらみ合う関係にあります。
ロシア海軍の主力であるバルチック艦隊はサンクトペテルブルクに母港があり、ここから外洋に出撃しようとするとフィンランド湾を西に航行してバルト海にでねばなりません。
ですから、フィンランドがNATOに加盟すると、バルト海の出入り口を西側陣営に押えられたことになります。
有事ともなればフィンランドはロシア海軍の航行を拒否し、機雷敷設を宣言するはずです。
哀れ、バルチック艦隊はサンクトペテルブルクに雪隠詰となってしまいます。

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毎日

それをなんとか突破してバルト海に出たとしても、沿岸はスウェーデン、ラトビア、リトアニア、ポーランド、そしてドイツといったNATOがびっしりと固めていて、わずかに飛び地のカリーニングラードだけが、離れ小島のようにあるだけにすぎません。
かくて、「ロシアの内海」のような顔でブイブイ言わせてきたバルト海の制海権は、永久に喪失しました。 
このようにスウェーデンとフィンランドのNATO加盟は、バルト海の軍事的力関係を大きく変化させるものなのです。

そしてさらにフィンランドは、2016年8月24日、自国領土内で初めて 仮想敵軍の空襲に対抗する米国との合同空軍訓練を実施しました。
いままでEUには加盟しつつもNATOには首を振っていたフィンランドが、米国の核の傘に入ろうというですから、時代は変わったものです。
これもまたロシアの身から出たサビとはいえ、プーチンはここでもまた再起不能の大失敗をしてしまったことになります。

巡洋艦「モスクワ」の撃沈で黒海の覇権も風前の灯ですから、いまやロシアに出口なし。
そう言えば昨日、巡洋艦「モスクワ」の炎上写真が流出しました。救助に来たトルコ船からのもののようです。
左舷に大きく傾いて火薬庫付近が炎上しています。ここまで来るともう曳航は不可能です。

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Russian Navy Cruiser Moskva Seen Badly Damaged In Unverified Image

下図の黄色の点はロシアの軍港の位置ですが、ロシア海軍の絶望的気分がお分かりになるでしょう。
不凍港がもうないのです。

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https://foimg.com/00049/yhFdKC

残るはオホーツク方面のウラジオストツク、ナホトカ、北朝鮮の羅津、中国の青島に大きな借りを作って間借りするかです。(中国は貸さないでしょうが)
いずれにしても、対岸の火事のようにウクライナを見て、早く降伏しようなどと言っている日本人も、ウライナ情勢は玉突き的にわが国に強い影響を及ぼすことをお忘れなく。


 

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ウクライナに平和と独立を

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コメント

理も不条理も等しくどちらにもある争い事に対してならば、中立でいることに意味はあるでしょう。
しかしながら、戦争犯罪や残虐行為による人権侵害に対して中立でいるとはどういうことか?
スイス連邦政府ですら対露経済制裁を容認しており、NATOやEUと協力してもハーグ条約に規定される「中立」の原理に抵触しない、という議論も既にあるそうです。
「中立」の概念を改めて問い、議論しアップデートする流れをつくったという点でも、プーチンロシアのオウン・ゴールですね。

ほんっっとうにしなくていい戦争をしましたねえロシアは!
以前の記事を思い出しました

本当にフィンランドがNATOに加盟したらロシアがウクライナの端を奪ったところでまるで勘定が合いません、歴史的な大失策です

ただ、この数日でロシアがマリウポリを壊滅させ、勝手に停戦を宣言しロシア人を引き込み住民の盾とする
停戦宣言を受けてフィンランドのNATO加盟が流れてしまう

この展開だけ危惧しています、私はウクライナが軌道打撃の用意が整う前にロシアのほうから停戦を持ちかけてくるかもなどと思ってまして、ゼレンスキーは蹴るだろうけど橋下だったら喜んで合意するだろうなあとか、妄想はここまでにしときます、失礼いたしました

 「ロシア脳」の人たち思いもつかないのでしょうが、帝国復権に賭けるプーチンのロシアは絶体絶命なのだと思います。
プーチンのロシアは周辺国から見て元々まったく魅力がなく、ロシアの民主主義化までおそれた果てのプーチンの愚行が今回のウクライナ攻撃の原因だった側面も大でしょう。

しかし、NATOはさっさとフィンランドとスウェーデンを加入させる事が出来るのか? まさか係争地あつかいして独・仏あたりが忌避するなどしたら、NATOは分裂して英米主導の枠組みが誕生するかも知れません。そうなると、かつてのトランプ政権が目論んでいた様相に近くなります。

今回フィンランドは「フィンランド化」を連呼されてとても嫌らしい、自分達は現状を別に素晴らしいとは思っていないから。
という短信をウクライナ侵攻当初に読んだ記憶があります。
それもあって西に寄るアンケート結果が出たのかなあと思いました。
早速国境付近へ軍を送るロシア、対してトラクター派遣の車列を動画で見せつけるフィンランド。
それをTwitterで見る私達。
Googleはロシアの空撮を全世界に公開。
なんかものすごくベタな物とテクノロジーが相まって、21世紀の戦争は想像の遥か上をいくカオスですね…。

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