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2022年5月24日 (火)

山路敬介氏寄稿 ウクライナ戦争の本質は「民主主義VS専制主義」その1

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 山路氏より労作を賜りました。ありがとうございます。
4回に分けて掲載いたします。
文節の区切り等の編集は原文を尊重して無編集です。

                                                     ブログ主

                                                  ~~~~

                                 ウクライナ戦争の本質は「民主主義VS専制主義」
        ~戦後を左右する世論  あやうい認識はプーチンを利するだけ
                                                                                           山路 敬介


 ウクライナ戦争の帰趨は、いまだ双方とも決定的と言える段階にありません。
ウクライナ軍は東部諸地域で露軍をだいぶ押し出しつつあるように見え、逆にドンバスでは後退戦を強いられています。ただ、欧米の強力な軍事支援を受けるウクライナ軍の優勢が次第にハッキリして来るものとみられ、ゼレンスキー氏が目標とする勝利(ゼレンスキー氏、ロシア軍を「侵攻前」まで撤退させれば「勝利だ」…交渉解決へ意欲も : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp) )までは、さほど時間をかけずに到達する可能性が高いと思います。

マウリポリは残念でしたが、立派にその役割を果たし終えた兵士たちは特筆すべき「称賛」に値します。プーチンは投降した兵士たちを人道的に遇すると約束しましたが、どうなるか真に心配です。ロシア下院議長が言うような処遇になれば、ますますウクライナや欧米からの憎しみを買う事になるでしょう。プーチンが捕虜交換に応じない選択ができるものかどうか、これからしばらくの戦況にかかっていると思います。

また、岸田政権は100%欧米側にたち、プーチン個人にまで制裁をかけるなど、プーチン政権との関係をほぼ完全に壊しました。「これまで築いてきた日露関係~云々」とか、「北方領土問題が後退する~云々」などとする実質が曖昧模糊とした意見や成果を排した事、ロシアから与えられる形式でのみ成立する利益に汲々とする事なく、大変勇気ある決断をしたと評価できます。
そこはただ、当初は「サハリン2の権益を放棄する」言及をしたにもかかわらず後に撤回するなど、岸田さんらしいふらつきも見られます。しかしながら、先のロシア側による入国禁止措置該当者のリストなど見る限り、経済人がたった一人しかいないなどの事実を見るならば、逆にロシア側の苦衷と悲哀に胸を塞がれる感じがしてしまいます。

総じて岸田総理の対応は高評価で、「わが国は祖国の為に戦うウクライナと共にある」とするなど、「たまには良い事をいうなぁ」、と感心した次第です。

激戦が続くいっぽう、混沌とする露国内情勢やロシアと一体化していると見られた友邦たちの態度を見ると、プーチンは中々の泥船状態に陥っている印象があります。
同盟国ベラルーシのルカシェンコ大統領は最近、「国内で領土や家族、子供の為に闘う国民を打ち負かすのは不可能だ」と述べるなど、以前から巧みな理由を付けてプーチンが望む「参戦」を拒否しています。(ベラルーシ大統領「ロシアの侵攻失敗」の認識示唆か(5/11 産経新聞)

もとより「NATOの脅威」など毛ほども感じていない同じ同盟国のカザフスタンも、当初から東部二地域の独立を承認せず、ロシアからの派兵依頼も断わり続けています。(カザフ、ロシアからの軍派遣要求を拒否 東部独立も承認せず 2/27朝日新聞デジタル)
傀儡親露派とロシア軍が不法に占拠するジョージアの南オセチアですら、ウクライナ侵攻非協力派が大統領選で勝利しました。(ウクライナ侵攻協力の現職敗北 親ロ派「大統領選」で―ジョージア:5/11 時事ドットコム)
ロシアは急遽、軍事同盟(CAST)会議を招集し締め付けを図ったようですが、落ち目のプーチンに彼らの面従腹背の態度を直す事は不可能でしょう。
プーチン大統領 軍事同盟に温度差で作戦に影響も? (油井'sVIEW) - 国際報道 2/17 NHK

これまでロシア側が躊躇していた中露国境を跨ぐアムール川にかかる鉄橋の開通式がロシア側により4/27に急遽行なわれ、「中露の関係強化が進んでいる」との報道が出ています。(中ロ間に初の川またぐ鉄道橋完成 両国の関係強化進む|4/29テレ朝news)
 ただ、ここに至るまでの経緯から不信の中国側は少なくとも軍事品の提供には慎重とされ、今のところプーチンの要望を満たしていません。からくも民間企業DJIのドローン供給程度に留まっているようです。けれど中国は国連などで行なった立場表明を変えておらず、西側の経済制裁によって不足した民生品や食料などを大量にロシア側に流入させています。後述しますが、米国が経済制裁の効果を薄めるような中国の行動を見逃す事はありません。本格的なロシア支援は今のところ難しいものの、この秋の習近平三選実現からはどうなるか。

また、中国の元駐ウクライナ・ロシア大使はロシア敗北を断言していて、その記事が当局によって数時間後に消されるなど、中国国内のドタバタぶりも見られます。(5/12 ニューズウィーク日本版)  この内容を興梠一郎氏がYouTubeで解説していて、良い参考になるのでぜひご覧いただきたいと思います。(https://www.youtube.com/watch?v=suhhP8Xmr3o)

これら以外にも「戦況の不利」が親ロシア国側に与えた負の影響を示す情報は多数あって、「ウクライナの勝利」が親露国内民主派勢力に「「ロシアからの解放」につながるかも知れない」、と考えさせたとしても不思議ではありません。その危険が指導者たちに参戦を躊躇させ、これらの国々がロシアの危急にも役立たずである一因でしょう。
いずれにしても、予想外の国際社会における自由主義陣営の歴史的結束がもたらした効用は大きいです。

ただ、不利な戦況にもかかわらず、プーチン自らが白旗を掲げる事はないように思います。(CNN.co.jp : プーチン大統領は「戦争の長期化に向け準備」 5/11米国家情報長官)
第一段階では、一気に首都及び東半分への侵攻して政権を排し、傀儡を通じて全土を支配する計画に失敗。第二段階の東部二州の全面奪取にも失敗。第三段階としてようやく交渉によってマウリポリを落とし、現支配地域を維持するための細々とした持久戦に戦線を移行させながら、次にはアゾフ海や黒海、黒海沿岸地域を掌握する野望を捨てていません。時間とともに自由主義陣営の結束の乱れや、固有の弱点が顕現化して来るのを待つつもりでしょう。黒海封鎖を厳重にして長期的にウクライナ経済を締め上げるなど手だては残されているし、あるいはモルドバなどへの侵攻に切り替えるという見方もあります。

けれど、ロシア国内では相次ぐ富豪の怪死(ロシア富豪の相次ぐ不審死に「非常に大きな見せしめ、口封じということ」5/6)、次々に石油備蓄の爆破や国内重要施設の火災がおき、複数の軍入隊事務所に火炎瓶が投げ込まれる(ロシアで爆発や火災相次ぐ 19件、ウクライナの破壊工作か(5/3時事通信)など、にわかに全貌を把握しづらい事件が頻発しています。ロシアのニュース専門放送局「RT」(旧称ロシアトゥデイ)が5/10、トムスク、キーロフ、サラトフ、マリエル共和国など国内5人の知事が一斉に辞任したと報じたとする情報も出ています。(ロシアの知事5人が異例の同日辞任!「プーチン降ろし」地方から伝播、ソ連崩壊と酷似してきた5/12日刊ゲンダイ)

英紙などによれば「ゲラシモフ参謀長を解任手続き中」とかで、たしかにゲラシモフは戦勝記念行事に出席していませんでした。
ウクライナ国防省は「ロシアでクーデターが進行中」とし、その流れは止められないところまで来ていると発表しています。(ロシアで「クーデター計画進行中」 ウクライナ諜報部門トップ見解5/15(毎日新聞)もっともこれはウクライナのプロパガンダの可能性もあり、直ちには信じられませんが、最近のロシア国内情勢に何らかの異変が起きている事は間違いないようです。英情報部からはプーチン重病説も飛び出しました。(プーチン氏は血液のがん、ザ・タイムズ報じる…5/16  読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
また、ありとあらゆる手を尽くしてルーブルの崩壊危機に尽くしている金融当局ですが、政策金利20%で金の流れを止めた副作用が大きく、企業倒産が過去最高を更新し続けています。こんなメチャクチャなやり方では混乱にいっそう拍車をかけるだけのもので、落ちるところまで落ちた感じが否めません。
ロシアが仮に戦闘に勝利したとしても、これでは打ち続く経済制裁をはねのける事が出来ず、戦勝の果実を得る事は間違ってもないでしょう。

                                                                                                                                                     (続く)

 

 

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ウクライナで戦う約3万人の女性兵士たちの姿 SNSには笑顔で抱き合うグループ写真も(抜粋) | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

ウクライナに平和と独立を

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