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2022年5月16日 (月)

なぜウクライナで、ロシア軍は穀物を強奪するのか

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ロシア軍はナンでも盗みます。もはや軍隊というより組織窃盗団。
占領した街は、泥棒共の狩場です。
民家に押し入ってカメラや貴金属はあたりまえ、、人気盗品はアイフォーンで、ベラルーシに持ち込んだり、アホウはネットオークションにかけたり。
こんな危ないもの盗んでどーするんだというのが、チョルノービリ(チェリノブイリ)原発から盗んだ放射性物質。

「ウクライナ当局は10日、同国に侵攻したロシア軍が一時占拠したチョルノービリ原子力発電所の研究所から放射性物質を盗み出したと明らかにした。一方、首都キーウ周辺ではこれまでに1200人超の遺体が見つかっており、当局は戦争犯罪について調査していると述べた」
(BBC4月10日)
ロシア軍が放射性物質略奪か、キーウ州では1200人超の遺体 - BBCニュース

かつての大戦末期、ドイツに侵攻したソ連軍の非道ぶりはすさまじく、民家、商店は当たり前、避難民まで餌食にして、残虐非道の極みを尽くしました。

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人類史上最悪…犠牲者3000万人「独ソ戦」で出現した、この世の地獄(週刊現代) | 現代ビジネス | 講談社(3/4) (ismedia.jp)

「前線のソ連軍将兵の蛮行も、その残虐さに引けを取るものではなかった。ソ連軍将兵は敵意と復讐心のままに、略奪や暴行を繰り広げたのである。
「ソ連軍の政治教育機関は、そうした行為を抑制するどころか、むしろ煽りました。ソ連軍機関紙『赤い星』にはこのように書かれています。
『もし、あなたがドイツ人一人を殺したら、つぎの一人を殺せ。ドイツ人の死体に勝る楽しみはないのだ』」
やられたらやり返す、そこにあるのは、剥き出しの憎悪だ。ソ連兵青年将校が見た戦場の証言を聞こう。
「女たち、母親やその子たちが、道路の左右に横たわっていた。それぞれの前に、ズボンを下げた兵隊の群れが騒々しく立っていた」「血を流し、意識を失った女たちを一ヵ所に寄せ集めた。そして、わが兵士たちは、子を守ろうとする女たちを撃ち殺した」
(大木毅『独ソ戦 絶滅戦争の惨禍』)

これが先日の「戦勝記念日」に、プーチンがまるで人類の偉業のように讃えた「大祖国戦争」の現実の姿です。
チェチェン、シリア、そしてウクライナ。
いくら時代が替わろうと、近代装備をまとっていようとも、このロシア軍の残虐な中身はまったく変わらないようです。

このウクライナ戦争の強奪が悪質なのは、それが組織的犯罪であることです。
農家からは大型ハーベスターを盗み、さらには小麦、向日葵の種などの農産品を盗んだそうです。
よその国の兵隊も補給がないと裏庭から鶏をくすねて来る、今日のパンに焼くために小麦を盗む、といった非行をはたらきますが、ロシア軍が違うのは軍上層部がからんだ組織強奪犯罪であること、そしてその非行が罰せられないことです。
いやそれどころか司令部から推奨され、ブチャ虐殺に手を下した部隊など「親衛」という名誉称号すら事件後に得ているほどです。

ところで考えてみればわかりますが、一口に70万トンの穀物といっても大変な量です。
国連WFP(世界食糧計画」が、2014年に南スーダンで実施した食糧支援計画は20万トン規模でしたが、備蓄のためのサイロを作り、送り出し拠点を作り、膨大な数のトラックを準備し、道路を整備し、中継基地を作ってやりきったようです。
2国間をつなぐ穀物 | World Food Programme (wfp.org)

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WFP

今回、ウクライナから略奪したという穀物は戦場を運ぶわけですから、とうぜん巨大なコンボイを作って警備部隊を張り付けて運搬したのでしょうが、武器弾薬、兵士の食糧まで枯渇しているといわれるロシア軍に、そんなことをする余力がよくあったものです。
こんなことをするためには、方面軍司令部からの命令がなければ出来ないことてす。

さすがに見かねた国連が警告を発しました。

「ジュネーブ共同】国連食糧農業機関(FAO)当局者は6日の記者会見で、ロシア軍が侵攻したウクライナから約70万トンの穀物を略奪した可能性を指摘した。「トラックで穀物をロシアに運び入れている事例を確認している」と述べ、トラクターなどの「農業機械も盗んでいる」とした。
 またロシア軍による海上封鎖で黒海沿岸の港湾施設が使用できないことにより、船舶を利用した穀物輸出ができない状態になっていると指摘。世界的な穀物の供給悪化と価格高騰に拍車がかかることに懸念を示した」
(5月3日共同)
ttps://news.yahoo.co.jp/articles/38ae925d4d50dcc9afa38e3e948d619554af3b3a

まぁ、FAO如きがなにを言おうと知ったこっちゃないのがロシアですから、今後も占領が続く限り盗みまくるでしょう。
北部ハルキウでも大規模な穀物強奪が起きたという報道がありますが、最大の被害例は南部のサポリージャです。   

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読売

穀物輸送の中継地となったと思われるヘルソン州の村からも、穀物1500トンがクリミア半島に持ち去られています。
これがただの兵隊の出来心ではないのは、現地消費しているのではなく流通させていることです。
どうやらロシア軍は盗んだ小麦をクリミア半島に持ちこんでいるようです。
上図で、強奪が発覚したサポリージャとクリミアを制するヘルソン、そしてクリミア半島の位置関係をご確認下さい。
サポリージャ→ヘルソン→クリミアという占領地ルートを使ったのでしょう。

「ウクライナ国防省は)ロシアのトラックの車列がロシア軍の保護の下、ザポリージャ州エネルホダルを出発したと主張。車列の最終的な行き先はクリミア半島だと指摘した」
(CNN5月11日)

おそらくウクライナはドローンで車列を追跡したのでしょうが、それがクリミアの彼らが「領土」と主張する地域に運びこまれているのが判ったようです。
つまりこれはただの強奪ではなく、「占領地軍政」の一環であり、彼らの「戦争経済」の一部なのです。

「米政府系「ラジオ自由」によると、ロシア軍はヘルソン州を3月に制圧すると穀物や野菜を強制的に取り立て、2014年に併合したクリミア半島に運び出した。ヘルソンの農作物をクリミアの商店に格安で流通させ、ロシア側のインフレを抑える狙いだという。
 ロシアがクリミア半島に創設した「クリミア共和国」政府は「農作物の安定供給は、ヘルソンの人々との経済協力のたまもの」と主張。ウクライナメディアによると、ロシア側はヘルソン州で通貨としてロシア・ルーブルを広めており、農作物収奪を通じてヘルソン州とクリミアを経済的に一体化させる思惑もある。
 一方、ロシア中部クラスノヤルスク地方の議会は4月27日、シベリアの食糧不足解決に向け、ヘルソン産の農作物を収用するとウェブ上で発表したが、ウクライナで批判が高まった後、「サイバー攻撃を受けたことによる偽情報」として取り消した。
 ウクライナ・ベラルーシ系の有力メディア「ゼルカロ」は、ロシア政府による食糧収奪は、スターリン体制が1930年代にウクライナで起こした大飢饉を思わせると論評。「ウクライナからパンを奪う行為は惨劇を生む」と訴えた」
(東京 2022年5月1日)

送り先がクリミア半島であることに注目してください。
2014年の第1次ウクライナ侵略の際に簒奪されたクリミア半島は、農業不毛の土地でした。
クリミアは掘っても海水まじりの水しか出ないため、淡水需要の85%までをウクライナのヘルソンから送られて生きていました。
併合前までクリミア半島には、本土から北クリミア運河を通じて淡水が供給されていましたが、今は止められています。

併合後は、半島内に23カ所ある貯水池でかろじて淡水需要をまかなってきましたが、一昨年は降雨・降雪量が少なく、貯水量が危機的水準です。
困ったロシアは、地質調査会社が淡水を求めて、巨額の投資をしてアゾフ海沿岸海底の探査作業にまで手を出しているほどです。
当然、水がないような地域で農業が盛んなはずもなく、食料、水、そして電気までもがロシアから送られてきました。
おそらく黒海の制海権を握る半島突端のセバストポリ軍港がなければ、ロシアはこんな不毛の地に触手を伸ばさなかったでしょう。
だから、クリミア半島付け根にあって死活を握る要衝ヘルソンを、ロシア軍は喉から手がでるほど欲しいのです。
今、住民投票をして、ドネツクなどのように「ヘ人共」を作るべく動いていますが、ここをなにがなんでもロシアの領土として確定させてしまいたいようです。
もちろん先日見たように、国際法ではそんなものは認められませんが。

ところで、もうひとつの盗まれたウクライナ産穀物の行く先は、どうやらシリアのようです。

「(CNN) ウクライナ国防省の情報部門は11日までに、ロシア軍が占領地域で盗んだ穀物はすでに国外に送られているとの見方を示した。
同部門は「ウクライナから盗まれた穀物の大部分は、地中海を進むロシア船籍の乾貨物船の上にある」と主張した。行き先として最も可能性が高いのはシリアで、そこから他の中東諸国に密輸される可能性があるとしている。
同部門はまた、ロシアが引き続き、盗んだ食料をロシア連邦の領土や占領下のクリミア半島に運んでいるとの見方も示した」
(CNN5月11日)

ロシアがアゾフ海沿岸の占領を企む最大の理由は、ウクライナを内陸国にしてしまうことです。
ウクライナは、この南部地域に下図のように、主要な港であるマリウポリ、ベルジャーンシク、オデーサなどの積み出し港を持っています。

米軍は戦争勃発時から、ロシアはアゾフ海沿岸を占領するだろうと予測していました。
米全欧陸軍司令官だったベン・ホッジスはこう述べています。

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日経

「海岸線に攻撃を仕掛けて、ウクライナによる黒海やアゾフ海へのアクセスを遮断すればウクライナ経済に大打撃を与えられる。ウクライナ経済は農産品や鉄鉱石などの輸出に依存しているからだ。アゾフ海の港湾都市であるマリウポリやベルジャーンシク、黒海のオデッサに民間船がアクセスできなければウクライナ経済は崩壊する。それがロシアによる戦略的計画の一部だ」
(日経2022年2月12日)

現時点でオデーサを除き、ロシア軍は主要積み出し港すべてを押えています。
世界の穀物輸出量のうちロシア産とウクライナ産を合わせると小麦が約3割、トウモロコシは約2割を占めますが、これらの積み出し港が「ロシアの港」となり、アゾフ海が「ロシアの内海」と化した場合、穀物の海外輸出を国家財源とするウクライナは大打撃を被ります。
ポーランド経由の陸路もあるにはありますが、海運は一気に大量の穀物輸送ができるので、絶対に確保せねばなりません。

ウクライナ産穀物は輸出が不可能になっています。
ウクライナとロシアは、戦争前から世界有数の穀物生産国であり、そのうえその輸出先はヨーロッパより中東に多く輸出される特徴がありました。
これがウクライナの港をロシアが封鎖してしまったために輸出量が激減し、真っ先に干上がったのが中東、特に農業生産力が低いロシアの盟友であるシリアだったというわけです。
シリアだけではなく、中東や北アフリカ諸国を中心に軒並み食糧危機や物価高騰が爆発しています。
ロシアは世界規模の食料危機にまで火をつけてしまったのです。
ウクライナ戦争が与える世界食糧需給については次回に続けます。

 

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ロシア軍が壊した家にコウノトリが戻って来た、とウクライナの人々は喜んでいます。
ウクライナに平和と独立を

 

 

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コメント

ここ3日間ほどしきりに報道されていたものだからてっきり沖縄変換について書くものだと思っていました。

それにしても豊かな土地から食料と人を強奪するロシア軍は中国史の騎馬民族のような連中ですね。

ウクライナ戦争が起きてもなにひとつかわらず「平和の島」と言っていられる人らの祭典のようで、どうにも書く気になれませんでした。
ひとつひとつの事件をどう考えるかというのが私のスタイルなもんで、こういう総論を求められる時期は苦手なのです。
悪しからず。

前線補給がダメダメなのに、これだけの略奪と後送能力だけは圧倒的なのが凄いですね!船や鉄道ではなくトラックによる陸送で70万トンって最上位の司令部指揮下で組織的にロジ確立して淡々黙々と進めないと無理っす。現場の兵士や隊単位だと民家からパソコンやテレビや冷蔵庫盗んで売り払うバカのレベルですけど。。
大祖国戦争戦勝記念日とかねえ。プーチンはつまんねー演説をしてましたけど、ベルリン陥落の1日だけでソ連兵にレイプされた女性が6万人(NHK映像の世紀他)もいたとか。
あの時代から全く変わっていないロシア軍の暴走です。


沖縄返還はたまたま50年という節目なだけで、目新しい報道はありませんでした。
Nスペとかよりもむしろ同局BSの「アナザーストーリー」でのたまたま時期がニクソンショックでドル下落したタイミングで沖縄県民の財産を守る為に奔走した人々や、当時はあさま山荘事件とかの時代ですから···交換用の円の現金を極秘に運ぶ大作戦とかが興味深かったですね。

奪った小麦を乗せた船の寄港を断ったエジプトやレバノンも、黒海が落ち着かない限りいずれロンダリングされた闇物資のような小麦で食いつなぐしかなくなるのかと思うと、ほんと中世かよと。

露の侵略、中東アフリカの食糧危機へ、その不安定化による欧州への圧迫へ、それを支える米の負担へ、そしておそらくアフリカの飢餓は中国も痛める。
誰得な最悪の時代への玉突きの1発目は2/24ですが、ぶつかって跳ぶ先が、台のどこもかしこも新型コロナの疲弊から立ち直りきれてないのが痛いです。
宇の頑張りで第三次大戦勃発を防げたとしても、数年後に救いようのない地域紛争が幾つも起きているのではと暗く想像しています。

沖縄の本土復帰五十年についてコメされていましので出てきました。

アホ共産に社民労働団体やら金くれ反戦団体は別にして!、普通の
呑気な沖縄県民に沖縄出身者は皆、いろいろあるけど、日本本土に復帰してよかったーです。

ヤフーの記事ですが、久しぶりに仲井眞元知事の祖国復帰良かったコメントも載せてみます。
https://news.yahoo.co.jp/articles/921858250b1e3fef3b52afa5b862f34ca25dd7c7

「国民全員にありがとう。『おがげさまで』の一言だ」と元沖縄知事の仲井真氏 復帰50年式典の感想。

 ロシアと中国は世界に不幸しかもたらさない。

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