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2022年5月27日 (金)

山路敬介氏寄稿 ウクライナ戦争の本質は「民主主義VS専制主義」完

22-072

  本日で連載完了となります。ありがとうございました。
ウクライナ戦争をめぐって露呈してしまったわが国保守論壇の混乱を、きわめて明快に論評していただいて、私も勉強させていただきました。
                                                                     ブログ主

 

       ウクライナ戦争の本質は「民主主義VS専制主義」完
        ~戦後を左右する世論  あやうい認識はプーチンを利するだけ
                                                                                           山路 敬介

承前

注意したいのは、遠藤氏が言いたいことは米・露「どっちも、どっち」論だという事です。
八幡和郎氏の論考(クリントンが戦争覚悟でNATO拡大と開き直り | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp) )や、(ウクライナ:常識の10の嘘と怖い落とし穴 | アゴラ 言論プラットフォーム (agora-web.jp) )も同様であり、遠藤氏のエルドアンの口を借りた「いくつかのNATO国がウクライナ戦争継続を望んでいる」と、停戦仲介国トルコ外相(遠藤誉) - 個人 - Yahoo!ニュース はもっともハッキリした誤謬です。
この種の論考の特徴は「欧米は善、プーチンは悪という善悪二元論で物事を見るべきではない」という事だったり、「侵略したプーチンは悪いが、「悲惨」や「暴力性」から見た感情的な価値判断に流されるな」という事になるでしょう。

こうした論考を読んで、私には韓国の慰安婦論法や徴用工問題のような「蒸し返し論法」を直ちに想起せざるを得ませんでした。
何よりも、2014年以降のNATOや米国、ウクライナやEUの血がにじむような努力の結果としての「ミンスク合意」成立の過程や、それを最終的に破ったプーチンのからくりについての認識が欠如している点が怠慢レベルに痛ましいと思うからです。

2014年からの事柄について、ミンスク合意からミンスク2に至るまで、これまでの研究者の確立した論考はすでに存在しています。こうした研究者の先行研究を無視する事でしか遠藤氏や八幡氏の「どっとも、どっち論」は成り立ちません。ミンスク合意とは正式には「議定書」と言って、これは国際合意です。
合意の効果は、それまでのお互いの言い分や行き掛りの一切を水に流し、ミンスクで合意された内容にそれらを収斂させる事で和解を図る目的の智恵です。そうして過去のわだかまりを解き、平和による一里塚を築くためのものがミンスクの国際合意です。

だから遠藤氏が言うような過去の米国がどうとか、クリントンがどうのという事は関係ないのです。八幡氏の博識も問題ではありません。
もちろん、言ってみる事はいいでしょう。ですが、それを根拠とした場合には中国や南北朝鮮がいつも行なう「歴史のある一部を切り取る方法による非難」と同様、蒸し返しの堂々巡りになるより仕方ありません。

問題は「ミンスク合意」。特にミンスク2が如何にして守られなかったか?それだけです。
そして、最終的にミンスク合意を破棄した責任は100%プーチンの側にあります。
沖縄先住民族論に理解があり、アイヌ問題に力を尽くした民族派の鈴木宗男氏は、「話し合いを拒んだのはウクライナの方で、侵攻の責任はウクライナにもある」とします。
その為の事実のいくつもを披露するのですが、それがまたロシア側に寄り添った事実のみあげつらうので、「やや、こんな人が国会議員? しかも維新の国会議員団副代表かい!」となるのは自然です。

2014年からの顛末でもっとも平明で分かりやすいものは合六強の論文があります。
「長期化するウクライナ危機と欧米の対応」は今でもネットで読めます。
これらの論考によるキモは、ミンスク2が破られた過程です。
ウクライナは合意を履行すべく住民投票を実施しようとします。しかし、ロシアはミンスク合意で約束した「軍を下げる事」をせず、ロシア軍政下での投票を強行せよと主張するのです。
ミンスク合意には「双方とも軍事力を下げる」と記されているのみで、この「双方」はロシア軍の事ではなく、「ウクライナ軍と反政府軍の事である」と強弁します。
まことに詭弁家プーチンきわまった言い分で、これではいかな中立派で当選したゼレンスキーでも肯じる事は不可能です。もし承諾したら憲法違反だし、ゼレンスキーは正真正銘の売国奴となっていたでしょう。民主主義下では絶対に無理な事を突き付けられたのです。
それでもゼレンスキーはプーチンとの会談を設け説得しようとしますが、相手を「弱い」と見るプーチンは一切の譲歩をしませんでした。
ゼレンスキーでさえ戦争準備をする他なく、プーチンの思惑通りになったのです。
この時点ですら、だれでも考えに至る事でしょうが、こうした過程を追うならば、2014年以降のプーチンはウクライナ全体を支配する野望があったと言わざるを得ません。
(それは失敗した第一次作戦の狙いにより明らかとなりました。)

そして、最終的にミンスク合意を破棄したのは、プーチンのロシアの一方的な通告によるものです。2/22のドネツクとルガンスクの併合を行政手続きした事で終わったのです。
「ドネツク人民共和国」「ルガンスク人民共和国」とは何か?ロシアが独立承認して軍派遣へ | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)
言うまでもなく、この責任はウクライナ側にはありません。
つづく2/24に実際の侵攻が起き、ブチャでの住民虐殺、ロシア軍による数えきれないほどの戦争犯罪が明るみに出ました。

遠藤氏のソースが中共幹部からのものが多い事は、過去記事からずっと読めば分かります。
それはある意味、貴重でもあります。しかし、決して「中共のひも付き」などではありませんが、本人が得心してプロパガンダに引っ掛かる典型的な例だと思います。
こうした言論がまかり通るならば、戦後の世界に悪い影響を与えずにおかない事を危惧します。まして「保守」と認識される論者の、最近の体たらくには目を覆いたくなるものです。

                                                                                                               (了)

                    文責 山路 敬介

 

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ウクライナ国歌を演奏する兵士、立ち上がる兵士たち | MCS Young Artists (mcsya.org)

ウクライナに平和と独立を

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コメント

4日間、大変勉強になりました。読み応えもあり、すっきりと理解できました。
毎日のブログ主さんの末尾写真と言葉が胸に染み込みます。

とにかくこういう人達は「どっちも悪い所がある」とか「アメリカが悪」に持って行こうとするんですよねえ。
橋下徹とか今回の侵攻で一気に馬脚を現して疑似保守なのがバレちゃいました。
八幡さんはねえ、賢く全体視する頭はあるけど基本的に得失勘定でしか考えないから。
遠藤誉先生は私も決して中共のヒモ付きでは無いとおもいますが、最近ご高齢のせいか(日本占領下の中国生まれ)判断力や調べて総合的に評価して記事化することが出来なくなってきているのかなあと。。以前から彼女の記事は面白いので読んでたんですけど、最近の中味スカスカ感が酷いです。

「ロシアが悪い」という意見は「全てウクライナが正しい」ことまで意味しないし、「ロシアが悪い」の立場でそんなことまで言っている人はいません。
ウクライナの過去現在に客観的に見て良くないことやこちらに不都合な点がもしあるとしても、それが主権国家が侵略されていい理由にはならないし、侵略された国の味方をしないでいい普遍性の高い理由にもなりません。
ウクライナに「あなた方にも改めるべきことがあるでしょう?」と言う必要があったとしても、少なくともロシアに侵略をやめさせてからの話です。
という前提を共有できない言説、それを信奉する人々が次々と見えてきて、何かとオールドな人々もそろそろ「若手」に譲ったら宜しかろうという現実が露わになりました。
沖縄でも、普段から「沖縄は未だ植民地!」といっている側に、ウクライナについては実質植民地になるのと同じことを求める人たちがいて、劣化していない部分はもうちょっとも残っていないのか、と考えます。
ロシアの代弁者丸出しの者が言うことはまあ捨て置くとして、「どっちもどっち」論は本当にちゃんとものを考えているだろうか、と疑います。

卑近な話で恐縮ですが。
親しくしている後輩が出席したPTA会議で県を跨いだ修学旅行の実施について話し合われた時に、「何かあったら責任とれるんですか?」ばかり述べるメンバーがいて、「では貴方は県外行き反対というご意見ですね?」と聞いたら、帰ってきた反応が「いや…そこまで言うわけじゃないですけど…」だったので、自分の子供のことなのにそんなに責任取りたくないのかとキレる寸前だったけれど、場を荒らしたら不味いと思って我慢した、どうやったら行かせてあげられるかを話し合うはずだったのになぁ、と苦笑で話してくれました。
件のメンバーさんは、「自分は責任を負うことになりたくない」のが主題なんですね。
でも卑近な話と敢えて申し上げた通り、世にありふれた話だと思います。
どっちもどっち論は、どうあれ自分が間違った側になる実績や歴史を避けたい、責任取る側になりたくないという本音に自覚的でいないと、「何故どっちもどっちと言っていいのか、本当にそれでいいのか?」という重要事項が見えなくなる確率が高まりますね。

2014年クリミアの時、私自身「ロシア本当に酷え!」と思うも、その温度は今より低かったと思い返します。
どっちもどっちというならば、その「どっち」には、あの時冷たかった自分も入るという考えは自ずと浮かびます。
今更そう思ったところで遅いです。
遅いですが、中立が意味を成さない、中立ではいられない、そういう場合が客観的に確たる理由を持ってあり得ること、選ばなくちゃならない時はあって、誰もが何かを選びその責任を負っていく心積りというものが自分はどうだろうか?と、ウクライナで戦う人々を見ても他国へ一時避難して生き残ろうとする人々を見ても、避難先からウクライナへ戻ってビジネスを再開する人々を見ても、考えるのです。

あんな人物でも生きている限り為政者でい続けられる、それが専制主義の恐ろしいところですね。

まずは4日分の読みごたえのある記事ありがとうございいます。

保守派に関しては一部の論者にある
「太平洋戦争は欧米に追いつめられて行ったから日本だけが悪い訳じゃない論」
これをベースにどっちも悪いという方向性に振れてしまった印象があります。
識者として多数派の流れとの差別化を図りたいという思惑があるのでしょうがそれをしたいがために一番大事な確定した事実をおざなりにしてしまったら本末転倒だと感じます。
事に至った経緯を知る事は大事ですがそれと個人の価値観からの善悪論を結びつけるのは危険な行為で、特に戦争や殺人といった重大犯罪においては「どんな理由があろうとも最初に一線を越えた側が絶対に悪い」という線引きをしなければ収拾がつかなくなります。

今回のウクライナへの侵攻に関しては
国連常任理事国で核保有国のロシアが根拠薄弱な理由を付けて一方的に隣国ウクライナの主権を侵略する行為を行い、住民を虐殺しているという事。
これを現代社会において許すかどうか?
これだけで十分です。

 いや、今回の記事は長い上に、さらに読みづらくてスイマセンでした。
次回機会があれば、ちゃんと読む人の事を考えます。(反省)

それにしてもウチの県のゼレンスキー、支持率が高い上に自民党候補擁立のドタバタで調子にのってますね。
自民は候補者さえ決まれば、今回は追い込めるだけの要素がじゅうぶんにあります。
候補辞退が相次ぐ背景に、マスコミや左派陣営からの重圧、ある事ない事スキャンダルにされる事に耐えきれないかも、との心配があったようです。あくまで党内部でのウワサですが。

山路さん。お疲れ様でした。

ウチの選挙区も大変なことになってます。
自民県連会長が総裁選で岸田の選対だった遠藤利明なもんで、予算成立に協力した国民民主に配慮して自力候補を立てないという上からの方針だったんですけど、地元県連の不満爆発。とは言っても相手が舟山康江(何故か立民じゃなく国民に行った)ですから勝てる候補がいない。
結局前回の衆院選で敗退した大内理加さんの擁立がやっと決まりました。。

私も、保守とみられる人達が現状に明らかに齟齬した解釈をしてはアタフタしてるのは、我が日本の戦前の体制が無視できない(なんとかして何処か肯定したい)からか、単なる平和ボケかと思いますわ。

私は、結果から判断する(理想とか、ハズだとか、ベキだとか言うのは大の苦手)タチなので、完全に戦前の旧大日本帝国(昭和の軍エリートが大活躍した時代)は、原爆投下や無差別爆撃をされて完敗の無条件降伏をしてしまった皇居前で泣き崩れてしまいそうな結果に全否定です。反米のロシアに、かつての敵国の敵は味方だとばかりに、ロシアに感情移入してしまうのはバカげてますわ。同じく、覇権国家米国の庇護の下での長い平和をアタリマエに思っているのもバカげてる。

「個人は自由に生きるのが一番幸せ」だという基準から見れば、勝手に隣国のヤクザが攻めて来て、無差別に個人を殺すし拷問はするし強姦もするのは、まったくもって許せん! ロシアをド糾弾する理由は、それだけで十分ですわ。プーチンとかいう狂信独裁者なんかにダマされてるロシア国民が不甲斐ない。自分達だって、プーチンの政府に自由を奪われてるのは明らかなのに…

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