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2022年5月 3日 (火)

プーチン、開戦宣言の目的とは

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プーチンという男は頻繁にゴールポストを動かす人物です。
ウクライナ戦争当初は、ウクライナ東部の傀儡政権を支援するという名目で戦争ならぬ「特殊軍事作戦」として、「平和維持軍」と悪い冗談のような名を自称をしていました。
ところがこの「平和維持軍」は、キーウ攻略を目指してあえなく失敗。
すると「信頼醸成」といういう、これまた苦しい言い訳を言いながら撤退しました。
この後に残されて、世界が知って驚愕したのがブチャ大虐殺でした。

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悪夢の「ブチャ虐殺」生存者の証言...住宅街で起きた処刑、性暴力、拉致の一部始終|ニューズウィーク日本版(newsweekjapan.jp)

すると今度は東部と南部を結ぶ要衝マリウポリを攻めたてましたが、守備隊がアゾフスタリ要塞に立て籠もって頑強な抵抗をすると、「ハエ一匹逃がさぬ」とかいいながら突入断念。
ハエ一匹どころか、既に百数十人の市民が決死の脱出に成功したようです。
これが2回目のゴールポストの移動です。

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BBC https://www.bbc.com/japanese/61295458

そしておそらく3度目が近いと予想されています。
プーチンは、5月9日のなんじゃら記念日にウクライナに宣戦布告することです。
おいおい、じゃあ今ロシア軍が1万3千とも5千ともいわれる甚大な被害を出して戦っているウクライナ戦争はなんなの、とういうことになりますが、ま、それは置きます。
きっとこれは「戦争」ではなく、ただの「軍事行動」なのでしょう。言葉遊びですね。

「「短期間に成果を得られなければ、大規模動員の可能性を排除できない」と述べた。露軍が長期戦に向けた準備を進めている兆候もあるという。
 ウォレス氏は4月28日の英ラジオ番組で、ロシアがウクライナ侵攻を「特殊軍事作戦」と称してきたことに触れた上で、プーチン氏が戦勝記念日に、ウクライナへの「開戦」を表明するシナリオを挙げた。正式な戦争に切り替えれば、予備役の大量動員が可能になる一方、明確な「戦果」を上げるまで終戦が困難になる。
ウクライナ国営通信によると、国防省報道官は、露軍が東部ドネツク、ルハンスク(ルガンスク)両州(ドンバス地方)の制圧作戦で、「短期間に成果を得られなければ、大規模動員の可能性を排除できない」と述べた。露軍が長期戦に向けた準備を進めている兆候もあるという。
ウォレス氏は4月28日の英ラジオ番組で、ロシアがウクライナ侵攻を「特殊軍事作戦」と称してきたことに触れた上で、プーチン氏が戦勝記念日に、ウクライナへの「開戦」を表明するシナリオを挙げた。正式な戦争に切り替えれば、予備役の大量動員が可能になる一方、明確な「戦果」を上げるまで終戦が困難になる」
(読売5月2日)
ロシアが9日に「開戦」宣言か、大規模動員が可能…長期戦に向け準備の兆候 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

たぶん、モスクワは長期戦になることを想定していると思われます。
というのはシナリオが、そう幾通りも描けないからです。
それは今まさに戦われようとしている、ドンバス突出部をめぐる大規模会戦でどちらが勝者となるかでおおよそ決定します。

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【詳報】ウクライナ侵攻17、4月22~28日(日本時間)の動き [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

高橋杉雄・(防衛省防衛研究所防衛政策研究室長)の分析を基にして考えていきます。
ウクライナ「運命の3週間」となる「ドンバス会戦」の行方:高橋杉雄 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト)

第1のシナリオは、ロシア軍がドネツク北部のウクライナ軍主力を包囲殲滅した場合です。
この場合、ロシアはルハンシク、ドネツク両州を完全に制圧できるのは当然として、ウクライナ軍が継続戦闘能力を喪失してしまいます。

ロシア軍は勝利後再編成を行って、今ウクライナ軍が奪還しつつあるヘルソンからマリウポリ、さらには未征服のオデーサへと矛先を向けて、懸案のJ字型ロシア支配地域を完成させ、モルドバの親露傀儡地域(自称「沿ドニエステル共和国」)と連結しようとするでしょう。
オデーサ攻略が成功すれば、ここでウクライナに停戦協議を持ちかけるかもしれません。
ここまでロシアが完全勝利することは考えにくいのですが、いちおう最悪シナリオとして可能性としてはありえます。

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第2が、ウクライナ軍の反攻が勝利した場合です。
ロシア軍がウクライナ軍主力の包囲に失敗し、またイジューム周辺の攻防で敗退した場合、軍事バランスの振り子は大きくウクライナ側に傾きます。
ウクライナ軍は占領地奪回を精力的に行い、ハルキウ周辺、ミコライウからヘルソン、あるいはドンバス方面ではマリウポリやメリトポリの奪回作戦が行われ、ロシア軍を駆逐していくことでしょう。
これが最良シナリオです。

現在世界各国から多くの支援物資が到着していますが、そうとうに楽観にすぎると思いますし、仮にドンバス地域で勝利してもウクライナ軍はロシア軍すべてを国境の外に叩き出すまで戦闘を継続するでしょう。
叩き出さずに占領地を認めてしまった、そこを事実上のロシア領にされて、国土が分断されてしまうからです。

第3に、どちらも決定的勝利を収められなかった場合です。
この場合は、戦線は硬直してしまい長期の膠着状態に入ります。
この膠着状態においては、互いに強固な防御陣地つくって対峙を続ける長期の消耗戦となります。
実は西側軍事筋はこの可能性が高いと見ているようです。

西側軍事筋だけではなく、プーチンもそう考えているフシがあります。
この場合、国家総動員体制を宣言するために開戦宣言をすることになります。
国家総動員令体制を取ると、徴兵によって大量に予備役の招集や新兵を粗製濫造することが可能です。
つまりロクな装備も与えず、満足な訓練もしない兵隊に、銃だけを握らせて、敵陣に突撃させるという、ロシアの古典的人海戦術が復活するかもしれません。

すでに一部ではその徴候がみられ、5月1日、ドンバス地域において強固に守備を固めて待ち受けているウクライナ軍陣地に向けて、ロシア歩兵が少数の戦車に随伴されて突撃をしたようです。
結果はもちろんフルボッコです。

「5月1日のドネツクとルハンシク地域では、ウクライナ軍が10回のロシアのファシスト攻撃を撃退した。
ウクライナの防御側は、2両の戦車、17両の砲兵システム、38両の装甲車と10両のその他の車両を破壊した。
防空ユニットは7機のUAVを撃墜した」
https://twitter.com/mhmck/status/1520871732076322817

10回もの突撃をしたということ自体、ロシア軍指揮官が極度に焦燥しているとしか思えません。
まるで第1次大戦の西部戦線のようですが、こういう人海戦術もどきの戦法を取った場合、たちまち戦死者と負傷者が山のように築かれます。
既にロシア軍は戦死者1万3千人(英国防省推定)で、負傷者はその4倍として5万2千人、合わせて6万5千人規模の損害を出していると考えられています。
いまでもロシア人のトラウマとなり、ソ連崩壊の一因となったアフガン10年の戦死者がそれでも1万5千人ですから、わずか2か月でそれに並んだのです。

ウクライナの発表した数字ではその倍で、戦死者2万3,500人となっています。

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https://twitter.com/UKRinJPN

とりあえず英国の数字をとるとしても、投入されたロシア軍全体が19万として34%の損害率ですから、通常の軍隊では戦闘能力を失った状態、すなわち「全滅」と判定されます。
士気はどん底で、兵隊は虐殺行為や盗みやレイプに走る者が増えています。
このような状態で戦闘を継続することは、民主国家では不可能です。
しかし、今やロシアがこのような損失を省みない自爆的攻撃方法をとり始めたということに注目下さい。
あるいは、塹壕戦で長期持久するていどなら新兵で充分だと考えているのかもしれません。
いずれにしても、そのためには兵隊の頭数が要ります。
そのために、国家総動員令に向けた開戦宣言が必要なのでしょう。

また西側の経済制裁はまだ本格的に効いていない状態です。
これは経済制裁という性格上いたしかたがないものですが、それがプーチンを強気にさせています。
本来、経済がわかる指導者ならば引け時を心得ているもので、落とし所を探ろうと模索するでしょうが、この男は経済と政治の境目がわかっていないために、政治的欲求を優先させます。
結果、行くところまで行ってしまいます。
たぶんプーチンは、自身が政治的に打倒されるまで戦争を止めないでしょう。
そして反プーチン勢力は微弱です。

英国王立連合軍防衛安全保障研究所はこのように見ています。
https://www.twitlonger.com/show/n_1ss15jb

「現在ロシアが抱える最大の問題は、兵站であり、兵站の機能不全が現在の戦況を生んでいる。そして、西側の経済制裁に関しては、エネルギーを持つロシアに有利に働いている。しかし、経済制裁というのは一種の兵糧攻めであり、即効性よりも遅行性が高い性質を持つ、緩やかに様々なものの欠品が本格化する。
その上で、エネルギー大国であるロシアであるが、その実態は決して安定したものではない。エネルギーサービス三社が撤退すれば、新規の油田カス電の開発もできなくなり、既存の設備も3月3日の米国制裁、そして、各国の制裁協力により滞ることになる。現在、ロシアの様々な施設で事故が発生しているが、これもサービス三社の撤退決定と、補修部材などの不足による可能性も高い」

つまり、長期化することの経済的リスクはかぎりなく大きく、それが継戦能力を削いでいくわけですが、プーチンは知ってか知らずか長期戦を選んだのです。
おそらく長期膠着状況に持っていければ、占領地でのロシア化も進行させることができ、国際社会の関心もそのうち低下するだろうから、J字型支配地域のクリミア化も可能かもしれない、経済はそこまで経済官僚どもにケアさせればなんとかなる、そうプーチンが算盤を弾いているとしても不思議ではありません。

この狂気に陥った男によって、更に地獄は延長されるのです。

 

●新緑の季節ですので、衣替えしました。

 

 

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ウクライナに平和と独立を 

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コメント

ロシアは「特別軍事作戦」なる詭弁を作り出したうえに今度の戦勝記念日にはいまさら開戦を言い出すのではないかと予想されていますね。
それほどまでに戦況が厳しくなってきたという現れなのでしょう。
ウクライナが調子に乗ってロシア領土まで侵略行為(露領土内の軍事拠点を叩くミサイル攻撃は別)をやらかさない限りこの状況は変わらないでしょうね。
このロシアの負け戦に対して中国が今後どのような立ち周りを見せてくるかは要注目です。

今日は憲法記念日ですが国会議員の2割強がいまだに憲法改正の議論すらする必要が無いと答えているそうですね。
ウクライナの情勢みてもなおこれは本当にお花畑もいところ。
というか改正反対ではなく議論すら必要が無いは国会議員としては職務放棄ですので早々に辞職していただきたいと切に願います。

いつも楽しみに拝読しております。

以前に読売新聞が、ロシアの戦費は日本円で1日3兆円だと報道していました。ロシアのGDPは日本円で200兆円くらいでしたので、このまま経済制裁の中で長期戦を目指したら経済的には長期になる前に破綻してしまうように思います。加えて、半導体や補修部品が入って来ない中での総力戦となれば、兵器が動かないだけでなくロシアの国民生活全体がとても困った状態になるでしょう。
ブログ主様のご指摘の通り、今後ロシアは軍事的に局地的勝利を得ることがあっても、経済と政治の境目がわかっていないプーチンが行くところまで行って、ロシアという国自体が崩壊することになると思っています。その時の混乱の中で、ロシアの極東でのやけくその軍事行動や、中国が極東ロシアを横取りしようと何かをやらかす可能性を心配しています。

私個人の感情としては、ロシアによるウクライナ侵略の戦争が1日でも早く終結するように願っていますが、欧米諸国中枢の腹の中はそうでもないのかも知れません。ズバリ、ロシア崩壊を狙っていたりして。その為にはプーチンの野郎の性格を利用して、長期戦に持ち込もうとしているようにも見えます。成功すればロシアという国だけでなく、中露の同盟のようなものも同時崩壊してしまい、中共はハダカ同然になります。

旧大日本帝国も負ければ負けるほど軍部のメンツは丸ツブレで、ますます降参できなくなっていきました。そして実質、国が無くなって(気が付けば組織だった大日本帝国陸海軍は壊滅してた)、国自体を米国に投げ出す形となったので、独裁全体主義国家がコロリと民主化されました。米国も、この大成功体験を今だ後生大切にしているでしょう。

ロシア国民も底抜けのアホウではないので、プーチンの野郎の大失敗が明るみに出れば、全体主義の反動がものスゴイと思いますわ。旧ソ連は経済的崩壊でしたが、今度は国家体制そのものが崩壊してしまい、イッキに民主化したりして(私はそう思っていないけど)? 欧米諸国中枢はヨダレが止まらない?

あっ、私は陰謀論者ではありませんので。現実的に冷静に考えると、プーチンの野郎の愚かさを利用するというシナリオも有りかなと。核兵器の使用については大きなリスクがありますが、これを使っちゃあオシマイなんで、プーチン斬首作戦もセットで考えていると思いますわ。独裁全体主義国家は、一つでも多く民主化して欲しい。

日本に暮らす一般凡民の身としては、我が身を守る為にフツーに軍事力も使える憲法にして欲しいですわ。

 ここに来てようやくですが、プーチンの約束はおろか、一片の言葉すら西側首脳のだれもが「全く信じる事はできない」という考えに至っています。
ハナからプーチンには「政治的な妥協」(橋下)やら、東部の割譲(ミヤシャイマー)などでケリがつく種類の相手ではなかった事が明らかとなっています。

プーチンは戦況が思わしくなければないほど、むしろ戦線を広げ、モルドバなどへの新たな侵攻をしようとするでしょう。
オースティン国防長官の言うように「ロシアが他国を侵攻出来ない程度に弱体化させる」以外にないわけですが、それには早くても年内はかかる。
その過程で中国が何をするか、どのようにロシアと接着しているかを明らかにする必要があります。

そういう中で日本政府が期待される役割は、アジア諸国や中央アジア諸国歴訪してのロシア包囲網を固める事がひとつあります。
ですが、これはぜんぜん上手く行っていないです。岸田や林大臣はアジアで空振りばかり。
それは当たり前で、当の日本国自身が憲法改正はおろか防衛体制の整備に時間がかかりすぎていて、他国を説得出来るワケがありません。

今、宮古島には防衛族の奥野信亮議員やら、久間章夫さん関係の団体が視察や会議に来ています。
最終日に記者会見も行う予定ですが、このような防衛関連を下支えする動きには地元です認知度が小さいです。
最低限必須な防衛力を構築できる日が来るのか、疑問でしかありません。

今ロシアは、天然ガス、石油などの代金でルーブルを買い支え何とか体裁を保っていますが、EUが脱ロシアを加速させているので経済が破綻するのは時間の問題です。追い詰められて核を使用すればそれこそロシアという国はなくなります。ロシアの破綻は核万能論の他国にも影響を与える。核は使ってはならない兵器なのです。

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