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2022年6月17日 (金)

この夏、いつ大停電が起きても不思議ではありません

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少し前のこと、政府がこんなマヌケな要請を国民と企業に出して、国民の顰蹙を買っていました。


「政府は6月7日、今年の夏と冬は電力需給が極めて厳しい状況にあるとして、企業や家庭に節電を呼び掛けると発表した。数値目標のない節電協力要請は2015年以来7年ぶり。
7日午前に5年ぶりとなる「電力需給に関する検討会合」を開き、政府としての方針を決めた。会合後に会見に臨んだ松野博一官房長官は「この夏に向けては全国でできる限りの節電、省エネに取り組むこと。電力需給がより厳しくなると想定される冬に向けては夏以上の需要対策を進めていくことを決定した」と話した」

(ITメディアニュース2022年6月7日)
政府、夏の節電を要請 「12年度以降で最も厳しい」 - ITmedia NEWS

政府はやることやってから自粛を求めろ、ってことですな。
松野官房長官、こんな要請を読まされてさぞかし恥ずかしかったでありましょう。

もちろん、この節電自粛要請には理由があります。

2022年夏季の供給予備率は惨憺たるもので、来月の7月には下図のように東北・東京・中部エリアで供給予備率が3.1%とスレスレの見通しです。

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2022年夏季、電力需給ひっ迫の予想。今冬は広範囲で予備率3%割れ | REiVALUE Blog

供給予備率とは、電力需要のピークに対し、どれくらいの供給力の余裕があるかを示したものですが、安定供給に最低限必要な供給予備率は3%ですから、今年7月など東北・東京・中部電力の3.1%は赤点すれすれです。
猛暑になったり、火力発電所がひとつ止まっただけで、東京は大停電になりかねません。
もちろんほかの電力会社から電力融通を受けて持ちこたえるわけですが、応援を受けるのが前提になってしまっています。
ですから、この電力事情を憂慮して、政府が節電要請を出さざるをえなかったわけです。

では、どのくらいが、平均の電力予備率なのでしょうか。
上図最下段の沖縄電力と、最上段の北海道電力の供給予備率は常に20%から30%ですが、このレベルが原発停止までの平均値でした。
ちなみに、韓国も20~30%台をキープしています。
むしろこれが常識で、電力の安定供給こそ電力会社に課せられた最大の義務だったのです。
ですから、2022年7月の東北、東京、中部の3.1%という数字は、その10分の1ですから、いかに危険な供給ラインかわかります。

このような薄い氷の上をそろそろ歩いているような電力供給にとって、最大の驚異は天候のブレと地震です。
下図は、その時期の平均気温が寒冷にブレると青色、猛暑の場合を赤色に塗ってあります。
これを見ると、気温変動は予測が難しい水物で、2021年の1月のようにマイナス2度Cに接近すると、電力マンは青くなります。

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2021年初頭、電力供給が大ピンチに。どうやって乗り切った?(前編)|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁 (meti.go.jp)

グラフの2020年12月中旬には、強い寒波が日本に流入しました。
2021年1月、気象庁が後日、北・西日本を「かなり低かった」、東日本を「低かった」と評価するほどの厳しい寒波が日本列島を襲いました。
1月1日~15日の全国の平均気温は、平年よりも約2℃低下しました。
このため、1月上旬は全国にわたって電力需要が大幅に増加し、1月8日と12日には広い範囲で「10年に一度」のレベルを超える電力需要が発生します。

この強い寒波はこれ以降も断続的に日本に流れ込み、2021年1月前半まで続くこととなります。
そのために、1月上旬は全国にわたって電力需要が大幅に増加し、1月8日と12日には広い範囲で「10年に一度」のレベルを超える需要が発生します。
下図で赤線が2010年度で、グレイの線が2016年から19年間のものです。
冬の時期に注目ください。赤の点線で囲った期間に需要が大幅に増えています。

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同上

下図は、この2021年1月の電力供給を見たものです。

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同上

いやー、まさに薄氷。
寒波のひどかった2021年1月8日など予備率はわずか1.4%まで落ちてしまいました。
これでよく停電しなかったものだと、電力マンのみなさんに感謝します。
なんとか凌げた原因の一つは、12月下旬に需要がいったんは低下し、例年並みにおちつき、12月24日には九州電力・川内原子力発電2号機が再稼働し、供給力が向上したことです。
九州電力はさぞかしほっとしたことでしょう。

しかし喜んだのも束の間、今度は関西電力・舞鶴発電所や電源開発・橘湾火力発電所などの石炭火力発電が、軒並みトラブルにより停止してしまいます。
そのうえに、需要増で在庫量が減りつつあったLNGが、11月に起こった産出国の供給設備トラブルによって供給が減少し、12月以降、在庫量の調達計画と実績に大幅な差が生じはじめていました。
また、西日本においてわずかに稼働していた九州電力・玄海原子力発電所の運転の停止期間が延長されてしまいます。

原発による3分の1の供給力をもぎとられている日本の電力供給の主力は、いうまでもなく火力ですが、これらがたびたび故障を引き起こして停止に追い込まれています。
その都度、供給はギリギリとなり、火力がやられると管内全域が停電という事態も起きています。
北海道電力・苫東厚真火力発電所の地震による停止は大停電を引き起こしましたし、今年3月の福島県沖地震で止まった東北電力の原町火力100万kW、相馬共同火力発電の新地火力発電所100万kW、合わせて200万kWはいまも停止したままです。

特に東北・東京の両エリアへ送電していた新地火力発電所の復旧見通しは未定で、東北電力の供給力不足の原因となっています。
※参考『2022年電力需給ひっ迫、停止した火力発電所の状況と復旧の見通し』資源エネルギー庁



下図が火力発電所の計画外停止状況です。

石炭火力発電所の計画外停止 ※JEPXの発電情報公開システム(HJKS)より2020/12/1~2021/1/31の期間を集約
発電所名 事業者 ユニット 定格出力 設置エリア 停止日時~復旧日時
原町火力発電所 東北電力 1号機 100万kW 東北 2020/9/15~2020/12/26
鹿島火力発電所 鹿島パワー 2号機 64.5万kW 東京 2021/1/18~2021/1/19
勿来IGCC 勿来IGCCパワー   54.3万kW 東京 2020/1/20~復旧未定
碧南火力発電所 JERA 2号機 70万kW 中部 2020/12/26~2021/1/3
同上 JERA 1号機 70万kW 中部 2021/1/17~2021/1/19
舞鶴発電所 関西電力 1号機 90万kW 関西 2020/12/4~2020/12/5
橘湾火力発電所 電源開発 1号機 105万kW 四国 2020/12/25~復旧未定
松島火力発電所 電源開発 2号機 50万kW 九州 2021/1/7~2021/1/14
同上 電源開発 2号機 50万kW 九州 2021/1/16~2021/1/27
苅田発電所 九州電力 新1号機 36万kW 九州 2020/9/30~2021/1
同上

そして一方で、電力の需要は、コロナ禍からの経済回復などにより昨年度と比べて増加傾向にあり、さらに今夏の平均気温は北・東・西日本で「平年より高い」とされていますから、空調などによる電力需要も伸びると予想されています。

電力は常に、発電所の停止や需要の急増に備えて予備率を充分に持っていなければなりません。 
そのことを「冗長性」と呼びますが、電力自由化以前にはそれは電力会社の義務でした。 
冗長性とは、システムの一部に何らかの障害が発生した場合に備えて、障害発生後でもシステム全体の機能を維持し続けられるように、予備装置を平常時からバックアップしておくことです。
※参考資料 千田卓二など「電力システムのレジリエンスに関する一考察」https://www.jstage.jst.go.jp/article/tsjc/2013/0/2013_175/_pdf

ところが電力会社は発送電分離によって、従来の厳しい供給義務から自由になります。
よく電力会社が独占企業だという人がいますが、それは発送電を単一企業に委託する代わりに、電力の安定供給義務を負わしたためです。
そのために電力会社は、通常の企業ならとっくに廃棄するような老朽火力も、いざという時のための予備電力としてキープし続けてきたわけですが、そのいざという時がほんとうに来てしまったのが、この北海道の事態でした。

このように電力供給の冗長性は安定供給のために必ず必要でしたが、冗長性の維持は厳しい経営を続けている北電にとって、経営負担を増すだけの存在となりかねません。
たとえば、北電は電力供給の冗長性確保のために巨費を投じて石狩湾新港LNG 火力1号機を建設していますが、1号機だけは予定どおり2019年操業開始するとしても、2号機、3号機は企業の自由選択の対象となります。
音別火力などの老朽発電所はとっくに操業するだけで赤字なのですから、整理廃止の対象となるでしょう。 
北電がどのように判断するのかわかりませんが、それ以前に政府が地域の電力供給に全面的な支援を与えるべきです。

電力なき地域は確実に滅びます。製造業が去り、人が散り、村が潰れ、街が寂れ、そのような地域には企業も観光客もやってきません。
しかし、今、その頼みの火力発電は炭酸ガスゼロと、ウクライナ戦争による原油価格高騰によって大きく圧迫されて、見てきたように予備率3%を切りかねない事態にまで立ち至っています。

今、考えられる唯一の現実的解決は、原発の速やかな再稼働です。
たとえば東京の電力逼迫など、柏崎刈羽原発の再稼働で完全に解消されます。
まるで無傷な電源をこの状況で眠らせておく余裕は、もはやないのです。
これについては長くなりましたので、明日にします。

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コメント

もう、今夏か来冬か知らないけれど、一発どっかの大都市圏がブラックアウトしないと、日本の意思決定システムの中では、どーにもならない気がずっとしています。必ず一定数は湧いて出てくる放射脳の方々の意思を尊重するんで、頼りない岸田首相の内閣のもとでは、「まじヤバいんだって! おりゃ、すぐに動かさんかい!」なんてことは、自民党という寄り合い所帯とあの○○な公明党であることもあって、とうてい無理ゲーだと思いますわ。

官僚や事務方から、「内閣は逃げている!もしブラックアウトしたらヤツらの不作為だ」とか言う逆臣みたいなのに数名出て来てもらい、マスメディアがその電力綱渡りの事実を広く報道すれば、「それ見た事か!」と責任を取らされる側が原発再稼働に動くかも知れませんが、そんなこと考えにくいですわ。

米国大メーカーの工場が日本にあれば一番いいんですが、それが無くてもトヨタなどのガイジン大株主に騒いでもらうのも一手かなと、まあ外圧を使うんですわ。国防上の問題として、米軍に「電力も無いくせに、俺ら在日米軍はやってられっかよ!」と騒いでもらうのもいい。とにかくブラックアウトが起こってからでないと、日本国内では解決できない問題ですわ。

特に法的に問題の無い原発再稼働ですらコレなのに、改憲するっていうんだから、いい根性してますわ。まあ、私は暑がりで熱中症の経験もあるんで、ブラックアウトしない事をお願いしますわ。

 「電気は使えるのが当たり前」って考えが我々にはあって、停電でもして熱中症死でもしようものなら、必ず誰かが責任を取ってくれると思い込んでいたのかも知れません。

自由化により市場独占を解かれた大手発電会社は、代わりに事実上供給義務をのがれてます。
彼らも商売ですから、古い火力発電所をメンテナンスして維持する必要を考えません。これは当然です。
卸電力会社とか小売り電力企業が中抜きする事で、肝心の電力を作る側の企業の利益が薄まり、その分責任も薄まりました。

自由化により新たに参入した企業が潤ったケースは多々ありますが、そのツケは安定供給が見込めないなど、我々国民が負っています。
つまり、電力自由化政策は大失敗だったと思わざる得ません。


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