千葉沖にやって来たロシアポンコツ艦隊
いっそう日本人に嫌われて、好きなのは鈴木宗男さんと鳩山氏だけになってしまいました。
今度は首都近郊の千葉沖を、艦隊でこれみよがしに通過していきました。
まるで暴力団の地回りです。
同じことをNATO艦隊がバルト海でやったら、プーチンは核報復するくらいは言い出しかねませんから、自分がやられたくないことは他人にしないことです。小学校で習わなかったんですか。
「防衛省・統合幕僚監部は、ロシア海軍の艦艇ウダロイI級駆逐艦2隻、ステレグシチーII級フリゲート1隻、ステレグシチー級フリゲート3隻およびマルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻の計7隻が一昨日2022年6月15日(水)正午頃、北海道襟裳岬の南東約280kmの海域を南進したと発表しました。同艦は翌16日(木)午前9時頃、千葉県犬吠埼の南東約180kmを南西進したとのことです。
今回のロシア軍艦の動向に対し海上自衛隊は、青森県の大湊を母港とする第7護衛隊所属の護衛艦「ゆうだち」と、長崎県の佐世保を母港とする第5護衛隊所属のイージス艦「こんごう」で、情報収集や警戒監視を行ったとしています。
また、ウダロイI級駆逐艦1隻とマルシャル・ネデリン級ミサイル観測支援艦1隻を除くロシア軍艦は、去る6月9日(木)に北海道根室半島の南東約170kmの海域で確認されたものと同一とのことです」
(ロシア軍艦、太平洋側を南下し千葉県沖へ 佐世保から「こんごう」駆けつけ警戒監視 | 乗りものニュース (trafficnews.jp)
あとの残りは、沿岸哨戒のための小型哨戒艦艇隻と支援艦で、今のロシア海軍がカラッケツになっているのかわかる内容です。
よくこんな沿岸で密輸を警戒するようなミニ艦艇を、相手国の首都近海を走らせたせたものだ、と失笑します。
海自がミサイル艇や観測船「ひびき」をウラジオストオクの領海スレスレに走らせたら、ロシア人はどんな顔するか、見てみたいものですね。
ウダロイI級は1980年代に建造された旧式艦で、ステレグシチー級フリゲート艦は、2000年以降に建造されたものでウダロイ級よりは新しく、今年4月4日に潜水艦から発射実験した巡航ミサイル「カリブル」が8基と対艦ミサイルが8発搭載可能です。
対地攻撃能力はそれなりに有するものの、ウダロイ級もステレグシチー級も、対空防御能力がすこぶる貧弱です。
ピカピカが自慢のステレグシチー級フリゲートはそもそもSAM(対空ミサイル)を積んでおらず、頼みは旧式のウダロイI級が積む射程12キロ程度の「キンジャール」だけです。
射程12キロでは、日米両海軍が保有するすべての空対艦ミサイル(ASM)の射程が200キロ以上ですから、一桁下ではお話になりません。
おそらく実際に矛を交えることになった場合、ロシア海軍ははるか遠くから撃たれっぱなしになるでしょう。
逆に、ロシア側が撃った対艦ミサイルは、イージスによってあえなく撃ち落とされるのは目に見えています。
また今回は随伴していないようですが、ロシア海軍は4月14日、昨年新たに就役し11月に太平洋艦隊に配備されたキロ級潜水艦「ペトロパブロフスク・カムチャツキーSS-274」と「ボルコフSS-603」から巡航ミサイル「カリブル」を発射しました。
これも音だけ大きい空鉄砲です。
ディーゼル型攻撃潜水艦のキロ級は、中国もコピーしたものを多く使っていますが、海自の対潜哨戒の網に年中行事で引っかかっています。
また巡航ミサイルも、十分な防空システムを持たないウクライナ相手に5月末までに、弾道ミサイルや巡航ミサイルなどを航空機や地上発射機や潜水艦を含む艦艇などから1000発以上発射したと見られています。
しかし米国防情報局(DIA)の分析では、ロシアのミサイルの命中率は、40%にも達せず、巡航ミサイルについても約10%がウクライナにより撃墜されていると発表されています。
よく住宅や病院に巡航ミサイルを当てて民間人を大量に殺していますが、あんがい意図的にやったのではなく、軍事目標を大きくはずした誤爆だったのかもしれません。
唯一、日本が警戒せねばならない脅威は、戦略原潜から発射されるSLBM(水中発射弾道ミサイル)だけといってよいでしょう。
そしてこれではっきりしたのが、ロシア海軍の払底ぶりです。
ロシア軍は、6月3日から10日まで、太平洋において40隻以上の艦艇と約20機の航空機による大規模な演習を実施すると発表しました。
ロシア軍東部軍管区報道機関の発表によると、この演習は3月以降実施されている計画的な訓練の最終段階のもので、対空砲の発射訓練や対潜訓練や機雷除去などを行うとしています。
40隻と聞くと一瞬びっくりしますが、少数の駆逐艦を除いては、フリゲートより小型のコルベットやミサイル艇、対潜哨戒艇、並びに各種支援船などが主体です。
つまりまともな戦力は一握り、あとはかき集めただけのポンコツ艦隊の虚勢にすぎません。
なぜこんなぶざまな威嚇をするのかといえば、もちろんウクライナで制裁をかけている日本への圧力です。
実は既にロシア空軍はやっています。
統合幕僚監部6月8日によれば、6月7日夜間、下図のように日本の札幌を狙うコースを直進し、領空ギリギリで北へ飛び去っています。
「ロシア軍のものとみられる航空機計4機が7日夜、北海道西方の日本海を日本領空に向かって東に直進飛行した。航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応したところ、領空手前で方向を変えたという。防衛省が8日公表した航空機の行動概要を見ると、200万都市・札幌市の方向に突進していたようにも見える。この異様な飛行は何なのか。識者に聞いた。
「近年、類似の飛行は見られない」
防衛省統合幕僚監部によると、4機は北海道西方から日本領空に向かってきた。空自戦闘機がスクランブル対応したところ、2機は1機ずつ離れた空域を日本海上空で旋回飛行して西方へ戻り、2機は樺太方面へ北進したという。領空侵犯はなかった」
(産経6月9日)
ロシア軍機?北海道〝異様飛行〟の狙い 空自戦闘機がスクランブル対応 挑発行為の可能性も 「しいていえば空自千歳基地へ脅し」識者(1/2ページ) - イザ! (iza.ne.jp)
空自千歳基地に対する威力偵察だと推定されています。
このように不意に高速で相手国領空に接近し、その反応時間を見るのが威力偵察ですが、今回はそれに政治的メッセージが含まれていました。
大きくは、海軍と同じでウクライナ制裁をしている日本への脅し、そして直接には6月3日に日本海で行われた米空軍戦略爆撃機B-1が2機に、空自F-15が2機がエスコートしていたことに対するさや当てです。
さて今回の7隻については、ウラジオストクに帰還するかどうかが見どころでしたが、宮古島まで行った後東シナ海に入り、日本列島周回コースに入ったようです。
「防衛省統合幕僚監部は19日、太平洋側を南下していたロシア海軍の艦艇5隻が沖縄本島と宮古島の間の海域を抜け、東シナ海へ入ったと発表した。日本列島を半周するように航行したことになる。防衛省は今回の行動の狙いを詳しく分析し、ロシアの動向に警戒を強めている」
(共同6月20日)
ロシア艦、日本列島半周の航行 沖縄通過、防衛省が警戒(共同通信) - Yahoo!ニュース
極東ロシア陸軍は、とっくにウクライナ方面へ戦力抽出されて骨と皮になっていますが、極東海軍もウクライナ戦争の準備をしていたと見られる去年12月29日には、旗艦「スラバ級」巡洋艦(CG-011)が、ウダロイ級駆逐艦と補給艦を伴って対馬海峡を東シナ海方面へ進出して以降、未だに帰港した形跡はないようです。
そしてさらに「モスクワ」の撃沈などで崩壊寸前の黒海艦隊を支援するために、極東からさらに戦力抽出することもないわけではありません。
ただそれをいまやると、極東がまったく空白になりますからね。
いずれにしても、ロシアの馬脚が現れてしまったのが、このウクライナ戦争です。
ロシアの砲撃で被害 「廃墟と化した」ウクライナサッカー場の巨大クレーターに海外騒然「恐ろしい光景」 | フットボールゾーン (football-zone.net)
ウクライナに平和と独立を
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「人の嫌がることを進んでやりなさい」という教えをどっかで間違って解釈して育ってしまった困ったコです。
まあ30年前と比べれば、フネもヒコーキもまだ動かす余力はあるだけマシな状況でしょう。ソ連崩壊直後なんて本当に艦隊は港で錆だらけ、航空機は燃料無くて放置されタイヤの空気まで抜けてましたから。。
投稿: 山形 | 2022年6月20日 (月) 05時50分
ロシアは物持ちがいいというか、ソ連時代の骨とう品を後生大事に大量保管しているようですね。
第三次世界大戦に備える意味で、国家破綻を省みず大量生産していた兵器を消費出来る格好の場を得たということでしょう。
ですが、最新のスホーイ35なんかウクライナのミグ29に撃ち落されたり、旗艦モスクワはネプチューンで沈まされたりで、なんだかこれまでのロシア強国譚が「神話」でしかなかった事態が頻発しています。
記事中の事象も虚勢を張った国内宣伝向けにはなるのでしょうが、実際には自らの苦衷をあらわにしただけのもの。
油断は禁物ですが、ロシア製の武器体系を採用している人民解放軍の痛手はどうするのでしょうか。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年6月20日 (月) 15時52分
旧式の貧乏艦隊で日本を脅かしてますけど、海に囲まれた日本は確かに有利です。
ロシアの極東地域は年々過疎化が進み、そこへ中露共同事業として中国人がわんさか流入、いまや極東地域の人口の2割を中国が占めるようですね。
プーチンはピョートルだとかほざいてますが、国土はジワジワと中国に侵食され、中国抜きには経済は成り立たない、制裁も手伝って益々中国頼みでしょう。
記事の通りロシア艦隊で怖いのは核兵器、本当に注意すべきは中国。
ウクライナ戦争が原因でロシアが分裂崩壊でもすれば極東ロシアは中国の勢力下。
中国からしたら長い国境は無くなるし、天然資源の宝庫、増えた人間をそちらへ移動させられるわ、いいこと尽くめです。
北方四島まで中国になる可能性もありますしね。
投稿: 多摩っこ | 2022年6月20日 (月) 23時47分