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2022年7月14日 (木)

安倍氏の遺産、アベノミクス

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安倍氏暗殺事件について、安倍氏が統一協会と「特別な関係」を持っていたために、母親をひどい目にあわされた山上某が「怒りの銃撃」を加えたかのような噂が飛び交っています。まるで山上某が被害者のようです。
左翼メディアは、どうやらこの線で話を作りたいようですが、やめませんか、憶測で想像たくましくするのは。

安倍氏が北朝鮮と癒着して、資金提供まで行っていた統一協会のいいなりになるはずがありません。
副官房長官で正日と拉致被害者奪還で渡り合い、もっとも家族会を支えて強い絆を築いていた政治家は安倍氏でした。
安倍氏は長い総理期間中、一貫して拉致被害者奪還工作を水面下で進めており、当然北朝鮮の内部事情にもっとも精通しているのも彼でした。
そして統一教会は霊感商法にまで手を染めている反社団体だという認識は、政界では知られたことです。

そんな安倍氏が、不用意に統一協会ごときに接近を許すはずがありません。

自民党のみならず、政治家は人気商売です。
あなたを支援すると言われれば、祝辞の一本くらい出すものですし、呼ばれればパーティに顔を出して一緒に写真に納まったりもします。
これは立憲も同じで、辻本女史が関西生コンのような過激派労組とズブズブの関係を持っていたり、有田ヨシフ氏が旧しばき隊という半グレとつきあっていたようなものです。
だからといってこの御両人が、彼らの言うことを素直に国政で実行していたわけでもないように、安倍氏もそうなのです。

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朝日

ネットではもともらしく「祖父・岸信介・父を経て続く深い関係」という情報が氾濫していましたが、安倍氏自身が統一教会の布教を後押しした証拠などまったくありません。
むしろ安倍氏は教団には冷やかで、距離を開けていました。
仮にそうだったとしても、山上某の母親に多額の献金をさせたのは教団で、相手方の顔も名前もわかっているはずです。
殺したいまで復讐したいなら、まず彼らを攻撃するというのが普通の流れです。
それをなぜ、無関係な安倍氏を殺害するのでしょうか。
私はこの男は、ネットに流れる陰謀論に骨まで染まってしまった、哀れなサイコパスに見えません。

週刊文春の報道では、統一教会ではなく、ワシントンポストを名乗ってメッセージ依頼が来たそうで、トランプ氏が出すというので、安倍氏はおつきあいで出したのだとか。
こんな薄弱な根拠で、世界的政治家を暗殺したのですから、驚きました。

政治家と宗教団体との関係など、こんなていどのことでしかなく、政界周辺なら誰でも知っている常識なことです。なにを今さら。
こういう印象誘導って、既視感ありありじゃありませんか。

モリカケサクラで3年間国会は、週刊誌政治ばかりで心底ウンザしましたが、亡くなった後までスキャンダルですか。
進歩しないというか、なんというか、ああ、たまらんこの不毛さ。

これもただの新手のモリカケにすぎませんが、山上某がこれにかぶれて安倍氏をつけねらっていた可能性はあるかもしれません。
ならば、こういう根拠不明の陰謀論が安倍氏を殺したのです。

しかしそれも、警察がきちんと公表すればいいことです。
県警や警察庁が、まともな情報開示をせずにチビチビとリークするからこのような「疑惑」がまた首をもたげるのです。
奈良県警は、警察史上最悪の失態をした上に、これ以上の恥をかきたいのでしょうか。
ずさんな警備の失敗については私もそうとうに腹に据えかねているので、近々書きます。

さて、話を変えましょう。
安倍氏にはやり残したことがあります。さぞかし死ぬに死ねないと思ったことでしょう。
ひとつにはいうまでもなく憲法。
そしていまひとつはデフレ脱却でした。

自民党には二つの派閥があります。表向きのなんとか会という派閥とは違って派閥横断的なもので、財政金融政策をめぐるものです。
積極的に財政支出を政府が増やすことで総需要を増やしいき、景気を良くしていく中で税収を増やし、PB(プライマリーバランス)を健全化していく、という積極財政派がひとつ。
いわゆるリフレ派です。

そしてもう一方には、景気もなにも真っ先にPB健全化を命懸けで達成し、そのために財政支出を押さえ込み、税収を増やすために国民にはさらなる税を課していく、という財務省の別動隊の財政再建派でした。
こちらはいわゆる緊縮派です。別名は財務省のをとってZ。まるでロシア軍みたいです。
この両派は、野党との対立以上に激しいつばぜり合いを自民党内で演じており、予算編成では常にコノコノクヌクヌの関係でした。
数的には財政緊縮派のほうが圧倒的に多いようです。

安倍氏はもちろんリフレ派の旗頭で、元来リベラルの経済政策であったリフレ経済学の考え方を、自民党に持ち込んだのが安倍氏でした。
首相を止めた後も、安倍氏は積極財政派の議連で最高顧問を務めてい、その指導者的立場でした。
安倍氏は自身の政治的影響力をフルに行使して、ともすれば財務省寄りに流れる岸田政権をくい止めていたようです。
今回の参院選でも、今年度中に大規模な第2次補正予算案を編成するよう発言しており、これは岸田氏に対する強いメッセージだったはずです。

安倍氏亡き後は、高市氏しか残りませんし(麻生氏は緊縮派ですので)、政権と党の中枢はことごとく緊縮財政派が占めています。
おそらく、攻防は防衛予算2%をめぐってのものになるかもしれません。
今後、防衛予算増額と経済性政策は、切っても切り離せないものとして見てください。

ところで安倍氏がやった大きな業績で歴史に残るアベノミクスについて、簡単に振り返っておきましょう。
※参考文献 松尾匡『この経済政策が民主主義を救う』飯田泰之『マクロ経済学の核心』

ちなみに松尾氏は、実は思想的にはマルクス主義経済学者なのですが、真面目に分析するとアベノミクスは間違っていないというのが氏の結論です。
飯田氏はリフレ派の論客で、私がいちばん参考にしている経済学者です。

このふたりがアベノミクスについて、結論づけていることを列記していきます。

●アベノミクスの成果の政権発足時と5年後
①日経平均株価:1万230円(2012年12月25日現在) → 2万118円(2017年7月14日現在)

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                                                               日経株価平均推移

②経常利益 48.5兆(2012年度) → 68.2兆(2015年度) 
③有効求人倍率:0.8倍(2012/12)→ 1.49倍(2017/5) 

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                                                                                    有効求人倍率推移

③失業率:4.5%(2012/1) → 3.0%(2017)

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                                                                      失業率推移

④自殺者と完全失業率の相関

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自殺者と完全失業率の相関

⑤大卒就職率 65%(2012/4) → 70%(2015/4)
⑥25歳〜64歳正社員比率 40%(2013/2) → 42%(2015/7)
⑦名目雇用者報酬総額 245兆円(2012/10-12) → 255兆円(2015/4-6)
⑧企業倒産件数 950件/(2013/1) → 742件/(2015/10)

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                                                                       企業倒産年次推移

 
⑨設備投資額 66兆円(2012/4-6) → 70兆円(2015/4-6)
⑩対ドル為替レート  79円(2012年平均) → 119円(2017年平均)

これらの指標、特に失業率の劇的改善と大学就職率の改善などが、若年層に強く支持され、いまや自民党の強力な支持層になっています。
この成果は、アベノミクスのもう一方のエンジンである金融政策を、黒田氏を日銀総裁に大抜擢したことによる大胆な人事によるものです。
もし白川氏のような総裁を、財務省に押し込まれていたなら、このような成果は望めないどころか永久デフレのトンネルにいたはずです。

しかし、安倍氏をしても財政エンジンを吹かしきることができずに、民主党が置き土産で残していった消費増税の地雷を受けていったんは失速の憂き目を見ています。
2013年スタートした日銀の黒田総裁、岩田規久男副総裁体制の目標は2015年に2%のインフレターゲット達成でしたが、それはいまだ未達成のままの課題となっています。
いまも日米金利差による円安・物価上昇といった現象に対して、早く金融緩和を止めろというのが緊縮派らの主張です。
ただし、黒田氏は金融緩和を継続しつつ、今年の末当たりに2%ターゲットにたっする見通しを述べています。

「国内の物価高が長期化してきた。6月の企業物価指数は9.2%上昇した。12カ月連続で5%を上回るのは約40年ぶりとなる。供給制約に円安が重なり、再値上げに踏み切る企業が増えている。日銀は7月の金融政策決定会合で、2022年度の消費者物価上昇率の予想を2%超に引き上げる見通しだ」
(日経7月13日)
日銀7月会合、物価見通しを2%超へ 金融緩和は維持: 日本経済新聞 (nikkei.com)

今後、岸田氏がどこまでやるかわかりませんが、亡き安倍氏が彼の背中を押してくれるように祈るばかりです。

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コメント

出産後の再雇用の恩を実感している私、このグラフにうなづきつつ拝読しています。
これから社会に出てゆく子どもたちへの3本目の矢のメインであったはずの規制改革部門が、モリカケ&特区攻撃で完全失速、しかも消費増税。着火打ち上げ後に、成層圏での切り離しが未だできないままコロナ禍を日本は過ごしてきています。
専門家による効果分析と併せて、当初に政府が発表していた平明なアベノミクス紹介にも目を通すと、実現したこと、手直しをしたこと、まだできていないこと、方向修正すべき部分、などが素人にもふわっと見えてくるかと思います。

https://www.kantei.go.jp/jp/headline/seichosenryaku/sanbonnoya.html

岸田戦略「新しい資本主義」がロンドンで行われた演説でより補完されており、これが仕切り直した3本目の矢として機能する事を私は希望しています。

 私もどうも、山上容疑者の「動機」の部分が腑に落ちません。
母親の破産から20年も経ていて、その後協会側から(法的な「和解」ではないとしても)五千万円は返還されています。
そして、いまだに母親は信者のまま。
自衛隊は17年前に辞めていて、二年前からの人材派遣会社勤務までの15年間は何をしていたのか? いわゆる「反安倍団体」に所属していたとの報道もあり、その事が山上容疑者の行動にどう影響したのか?
奈良県警は少しでも汚名を雪ぐべく、山上容疑者の供述だけにとどまるのではなく、しっかりした捜査を期待したいものです。

記事中、2%防衛費増への対処が岸田政権の財政スタンスをあらわす事になる、という見立てに深く同意します。
岸田は就任後の櫻井よしこ氏の対談で、「防衛費は(従来どうり)積み上げ方式による」と言い、その後の財務省の見解はこれをなぞるかのよう。
しかし、バイデンとの会談後は「相当な増額を確保する決意」としています。この両者の内容は米側から見れば「日本の決意・強固な意志を示すか否か」の点で全く違います。

岸田の周りは「アベノミクス出口論者」である、例えば木原誠二官房副長官のような人材で固められています。
河野太郎は防衛費増に「財源論」を持ち出すピント外れのありさま。
平和安全法制成立の主旨にのっとり、国際社会への貢献と独立国家としての覚悟を示すべき時点である事は岸田さんも十分理解しているハズ。
来る8月の人事が注目ですが、足して二で割る人事のすえ決定権者岸田本人への権限を増幅させたあげく、結果として決断らしい決断をしない政治を選択するだろう危惧します。


山上容疑者に関しては海自での自殺未遂でも母親の件を持ち出したりしていたようなので、自分にとっての体のいいスケープゴート化していた印象はあります。
それが何かの切掛けで「安倍が元凶」にねじ曲がるわけで
海自退官後空白期間にどのような交友関係を持っていたのかは怪しい陰謀論に利用されないためにも県警が威信を懸けて調べ上げて欲しいものです。

アベノミクスが中折れになったのは経済の種火がようやく灯った時期に消費増税という水をぶっかけたからに他なりません。
あの時「3党合意で決まっていたから」と増税をゴリ押しして知らん顔をしている方々が今度は金融引き締めという日本経済の生命維持装置を破壊する行為をさも正しい行為として行おうとしているわけでして。
防衛費増額は国債を使ってでも財政拡大して行うべきものですし、さっさと原発再稼働等で国民負担の軽減を図るなどやらなければいけないことはいくらでもあります。
岸田総理のもうひとつのケツ叩き係のバイデン政府も中間選挙でガタガタしそうですし、プレッシャーの弱まった総理がどのような選択をするのか…ダメな未来予想しか浮かんで来ないのが悲しいですねぇ。

メディアをはじめとする、日本を貶め・衰退させ・滅ぼそうとする勢力は、モリカケでなく、トーイツをネタにできなかったことを後悔しているようですね。これを機に自民党は宗教票とは縁を切るべきです。今回選挙でも先行事例がありましたので。さて、アベノミクスですが、まずはマインドの改善、その後投資の回復というのが基本で、これは大正解の施策です。これまでメディアが日本経済を「ダメだダメだダメだダメだ」と言い続けたことによる、低体温化を、まず改めることがスタートラインでした。そもそも、バブル崩壊後、積極財政・金融緩和で乗り切るべきところを、真逆の策をとった日銀・三重野総裁を「平成の鬼平」と持ち上げたメディアに大きな責任があります。日銀・大蔵省・メディアの大失敗は、旧陸海軍の失敗よりも罪深いものです。複式簿記を理解し、国の事実上の子会社である日銀(安倍氏のこの発言も間違いではないのにメディアは批判しました)の貨幣発行機能を併せて理解すれば、過度なインフレに注意すればよいというMMTは間違っていません。一千兆円を超える負債が問題なのではなく、負債により生じた資産の健全性と収益性が問題なのです。問題なのは、これだけの金融緩和を実施し、低金利としても民間から有力な投資行動が起こらないことです。また、日銀当座勘定には560兆円の残高があり、内200兆円には当座勘定にもかかわらず年利0.1%の利息が支払われています。この2つが問題だと思います。民間の投資意欲が低く、お金がだぶつきまくっているのなら、政府が赤字を作って投資をしなければならないのは自明の理です。公共工事にしても、やるべきことは山ほどあります。人が足りないので、人件費単価を大幅に上げて発注する、日本人労働者を多く使う場合には割増を払うなどしてやるべきでしょう。こういったことを、法学部出身の財務官僚は、本当に理解していないようなのです。安倍氏は、これらのことを全て理解していたと思います。本当に偉大な政治家だと思います。

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