自称「徴用工」最高裁現金化判決延期
韓国の「外交」とは、要は国内向け政治ショーのことです。
これは中国や北朝鮮と同じです。
一見、日本に対してわーわー言っているようでも、わが国なんか眼中になく、見ているのはひたすら国内の支持者です。
これは韓国の兄弟国家の北が、ミサイルを撃っているのは実は国内向けのパーフォーマンスなのと一緒です。
日本と戦っているふりのひとつもせにゃ、国内が落ち着かないのです。
これは先日、なんの脈絡もなく新大統領のユン・ソンニョルが突然ホワイト国に戻せと、言い出したことでもわかります。
「韓国政府が4日の日韓外相会談で、輸出管理で優遇措置を与える「ホワイト国(優遇対象国)」への復帰を日本側に求めたことが20日、分かった。いわゆる徴用工訴訟問題をめぐり韓国最高裁による日本企業資産の「現金化」に向けた手続きが進む中で、日本側の前向きな姿勢を引き出すことで尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の「解決策」に韓国国内の理解を得る狙いがあるとみられる。日本側は徴用工問題とホワイト国復帰は別問題として要請に応じない姿勢を示した」
(産経8月20日)
<独自>徴用工問題 韓国が「ホワイト国」復帰要請 日本は「別問題」と拒否 - 産経ニュース (sankei.com)
なにを言っているのやら。
ご承知のように「ホワイト国」待遇は、日本企業が軍事転用可能な先端材料や電子部品などを輸出する際に、手続きを簡略化する優遇措置のことです。
よく韓国が「輸出規制だ」などと大げさに言うので誤解される向きもありますが、別に禁輸なんかはしてはいません。
とうぞお買い上げくださいな、ただし怪しげなテロ支援国家に大量破壊兵器の材料と部品となるようなものを転売してもらっては困りますから、管理を徹底してくださいね、というただの「輸出管理規制」です。
おそらくサムソンなどの大手はいまでも日本企業から堂々と正面玄関から買っているはずで、要は日本側の検証に耐えうる輸出入管理をしてくれればよいだけのことです。
こんなことは世界すべての国にお願いしていることで、特に韓国を標的としたわけではありません。
むしろいままで韓国が杜撰な輸出入管理をくぐって、第三国を通してイランや北に核兵器材料を転売していたことを、見て見ぬふりをしてきた上に、ほとんどすべての国に出していない「ホワイト国」という優遇措置をしていたほうがおかしかったのです。
日本は北に対する日米韓三カ国連携を重視して準同盟国扱いにしていましたから、甘い対応をしていたのです。
しかしこの信頼関係が崩壊した以上、今さら優遇措置などする道理がないので止めたのです。
それを日本にすれば、なんで今の時期に「ホワイト国に戻せ」なんて言われなきゃならんのか、さっぱりわからなかったことでしょう。
ユン政権は口では友好を唱えながら、竹島周辺を複数回測量させているのですから、本気で日韓関係を修復する意志があるのかわかりません。修復する意志があるなら、自称「徴用工」判決を韓国政府は認めないというべきでしょう。
自分が蒔いた種は自分で刈ってから握手を求める、それが常識ではありませんか。
さすがのリン外相も、この二枚舌に対してこう言うはずです。
「これに対し、林芳正外相は「徴用工の問題とは別だ」と拒否した。そのうえで「現金化に至れば、深刻な状況を招くので避けなければならない」と重ねて伝えた」
(産経前掲)
さて、本丸の自称「徴用工」訴訟ですが、ひとりで勝手に煮詰まって七転八倒しているようです。
ムン閣下が自称「徴用工」判決を、韓国最高裁を使ってまでやろうとしたのも、国内で凛々しく日本と戦ってくれてるステキなムンおじさんという評判を高めたかったからにすぎません。
いわば思いつきですから、ムン閣下にはこれをしたら日本がどう出る、米国はどう動くなどという高級な思考回路はまったくなかったようです。
ただひとつの望みは、外務省と自民党内にいる日韓議連の連中が、いち早く妥協の線を画策し、日本側のほうから落とし所を差し出すくらいのことでした。
いままで、延々と日本はこの「大人の解決」をし続け、する必要もない謝罪を重ね、出す必要もないカネを支払い続けてきたのですから柳の下にドジョウは何匹でもいると勘違いしたのでしょう。
徴用工訴訟の韓国最高裁判決:日韓関係への深刻な脅威 | nippon.com
ところがあいにく、安倍政権は1ミリも妥協しませんでした。
日本が頑として譲歩しなかったために、訴訟自体が展望をなくして失速し、いまや座礁寸前のありさまです。
原告団はムンの後ろ楯があって訴訟に乗り出したものの、ムン政権崩壊後は二階に登って梯子をはずされたようなものです。
これはムン政権の手先として動かされた最高裁とて一緒で、どうするのだぁ、オレが悪者になるのかとお嘆きのことでしょう。
で、とりあえず先延ばしにしてみましたが、早々に結論を出さないわけにはいきません。
3件だけではない「元徴用工裁判」 最高裁で9件、地裁で20数件が係争中 原告人は約1千人!(辺真一) - 個人 - Yahoo!ニュース
「韓国大法院(最高裁判所に相当)は19日、日帝強占期の徴用判決を拒否した日本企業が韓国国内に持つ資産の現金化に関する最終決定を先送りした。しかし大法院の決定が近く下されるのは間違いないため、外交面での解決策を急きょ取りまとめるべきとの指摘も出ている。日本は「現金化が行われ日本企業に実質的な影響が出た場合、韓日関係は取り返しのつかない破綻に陥る」とかねてから主張してきた」
(朝鮮日報8月20日)
韓国大法院、徴用問題めぐり日本企業の資産現金化決定を延期-Chosun online 朝鮮日報
このように韓国も、置かれた状態をわかって来てはいるのです。
判決を実体化したら、日韓関係は永遠のジ・エンドになるくらい分からなければどうかしていますからね。
日本はやみくもに門前払いしたわけではなく、協議を提案して韓国側に蹴られたという経緯を重視しています。
日本はこの2018年10月30日と11月29日の韓国最高裁が日本企業2社に対し、違法な損害賠償を命じたことを受けて仲裁手続きに入りました。まず、この状態が「韓国が意図的に作り出した違法状態」ととらえて、これは「国際社会における法の支配」を覆す事態だと考えました。
そしてこの解消のために、日韓請求権協定第3条(1)に基づく「外交的協議」を呼びかけ、次に同(2)(3)に基づく「仲裁手続」への付託を韓国政府に通告しました。
当時の茂木外務大臣の談話が残っています。
ちょっと長いのですが、メディアには日本側が一方的に可哀相な元徴用工のおじぃさんらの訴えを蹴った日本政府というセンチメンタルなことを言う人がいるので、基本的なわが国の対応を知るために収録しておきます。
※外務大臣談話 『大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について』
令和元年7月19日
大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)|外務省 (mofa.go.jp)
「2 それにもかかわらず,昨年一連の韓国大法院判決が,日本企業に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。これらの判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し一層不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。
3 我が国は,国際社会における法の支配を長く重視してきています。国家は国内事情のいかんを問わず国際法に基づくコミットメントを守ることが重要であるとの強い信念の下,昨年の韓国大法院の判決並びに関連の判決及び手続により韓国が国際法違反の状態にあるとの問題を解決する最初の一歩として,本年1月9日に日韓請求権協定に基づく韓国政府との協議を要請しました。
4 しかしながら,韓国政府がこの協議の要請に応じず,また,韓国大法院判決の執行のための原告による日本企業の財産差押手続が進む中,何らの行動もとらなかったことから,5月20日に韓国政府に対し,日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を通告し,仲裁の手続を進めてきました。
しかしながら,韓国政府が仲裁委員を任命する義務に加えて,締約国に代わって仲裁委員を指名する第三国を選定する義務についても,同協定に規定された期間内に履行せず,日韓請求権協定第3条の手続に従いませんでした。
しかし、韓国政府はこれらの手続のすべてをすべて無視し、2019年7月19日には、「違法状態解消のための日本政府からの要求を完全に無視した」という意味での国際法違反も確定しています」
日本が要請した仲介手続きに韓国が応じて話し合いに応じていれば、ここまでもつれなかったのです。
それを両国関係がもつれることが戦うことだと錯覚しているムン政権は話あいにも応ぜず、この「国際社会における法の支配」を覆した除隊を4年間も放置しました。
日本側からすれば、平然と国際法のルールに従わない韓国に愛想が尽きたということです。
以後日本は、本件訴訟で一貫して、「『旧朝鮮半島出身労働者』が勝訴し、日本企業に不当な不利益が発生するような事態が生じれば、日韓関係に深刻な事態を招く」と厳しく警告し続けてきました。
この間の日本の非妥協姿勢を見て、これがただの脅しではないとわかってきたので、駐日韓国大使もこんなことを言いだす始末です。
「尹大使は日本企業の資産を現金化した場合「韓日関係がどうなるか想像もしたくないが、おそらく韓国企業と日本企業の間に数十兆、数百兆ウォン(数兆-数十兆円)に達するビジネスの機会が失われる恐れがある」との見方を示した」
(朝鮮日報前掲)
ま、だから、韓国大使は財団を作るから日本に協力しろ、という妥協を要求してくれ、という「和解案」を出しました。
言うに事欠いて、日韓関係はオシマイだぞ、だから徴用工財団を作って、お詫びの言葉とカネを出してくれ、とりあえず韓国政府が建て替えとくからさぁ、というのですが、もうお忘れか慰安婦財団の顛末。
ちょっと前に他人様に煮え湯を飲ましておいて、またぞろ同じことを言い出しなさんな。
ついでにホワイト国に戻してもらえれば、ユン政権の得点となって万々歳。
あんたねぇ、ここまで来てもまだわからないのですか。
いつまでそんなムシのいいこと言っているのでしょうか。
そもそも現金化なんて言っても、押さえたのは知的所有権で、(三菱重工の商標権と特許権)をどこにどうやって売るんだつうの。馬鹿ですか。
前々から書いてきてはいますが、本気で日本に自称「徴用工」訴訟を戦うつもりなら、こんな知的所有権など狙いません。
差し押さえを司法が認めているのですから、転売することが簡単な資産はいくらでもあるはずです。
在韓の事務所や土地のような不動産、預貯金、債券類、株式、あるいは車両でも、機材でもよかったのです。
よく差し押さえすると、債権者らが事務所の機材にベタベタと札を貼っている、アレです。
それをなぜか原告団は、わざわざもっとも売却しにくい商標権と特許権を標的にしています。
そんなもん売れるわきゃないしょ。
三菱重工の商標を買う馬鹿がどこかにいますか。買ってどうするのでしょうか。
三菱マークをつけた粗悪品でも売りさばくしか使い道がありません。
あまりに馬鹿げた「現金化」戦略だったために、私はすでに中国企業あたりと売買の手筈が済んでいると裏読みしてしまったほどです。
というわけで、ここで最高裁が「現金化」のゴーサイン判決を出したら、かえって困るのは原告団と出した司法の方なのです。
こんがらがった糸玉をどういじりまわしても無駄です。
迷った時は初めに戻りなさい、韓国さん。
日韓請求権協定第3条(1)に基づく「外交的協議」を受け入れることです。
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コメント
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仮に日本側がいくらかの譲歩をして尹政権と案をまとめたとしても、100%の確率で最終的な問題解決にはなりませんよね。
だって、これはすぐれて韓国の国内問題なのであって、もっと言えば韓国社会の問題なので下手にクチバシを入れて干渉するべきでない事は、いかな岸田政権でも理解しているのでしょう。
ホワイト国から除外された件についても、実際には何の実害もないはず。事実、サムスンらの日本からの輸入量は増えています。
にもかかわらず、「ホワイト国復帰が不可欠」というのは、お決まりの「国民感情」以上の要素はないのでは。
「不正がやりづらくなったじゃね~か!」ってのなら分かるが、付き合っちゃいられなせんよ。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年8月23日 (火) 13時37分
いつも楽しみに拝読しております。
商標権と特許権の他に差し押さえたのは、日本製鉄とポスコの合弁会社株式だったそうです。未上場の譲渡制限付株式も、商標権や特許権と同様に大変換金しにくいものです。売掛債権など換金しやすいものを差押えないあたりで、韓国側の意図が見えてきますね。
文中の「中国企業あたりと売買の手筈が済んでいる」を読んだところで、正式なスリーダイヤの商標がついたパチモノが浮かんできて、一人で笑ってしまいました。
投稿: 都市和尚 | 2022年8月23日 (火) 21時34分