宗教を知らないメディアと岸田氏
メディアは旧統一教会を反社団体に指定し、これとわずかでも接点を持てばお前も同罪だと言い出しました。
一種の連座制ですから、おおよそ民主主義国家のメディアとは思えません。
岸田氏はたちまち日向のアイスのように崩れてしまって、こんなことを言い出すありさまです。
「岸田文雄首相が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)との「絶縁」を宣言した。教団と党所属議員の関係が次々と明らかになり、内閣や党に対する世論の批判が強まっていることへの危機感からだ。ただ、具体的な対応策をめぐっては実効性を疑問視する声が早くも出ており、問題の幕引きにつながるかは不透明だ」
(時事2022年9月2日)
旧統一教会問題、幕引き見えず 「絶縁」宣言、実効性に疑問―自民:時事ドットコム (jiji.com)
え~なになに「実効性のある対応が疑問視」ですって、疑問もなにもあるわきゃないでしょう、そんなもん。
しかし岸田氏はこんな「対策」をとるとしています。だから優等生はいやだ。
「いわゆる旧統一教会に関連する問題について申し上げます」として、まず、私個人は、知り得る限り、当該団体とは関係がないということを申し上げます。
社会的に問題が指摘されている団体との関係については、国民に疑念を持たれるようなことがないよう十分に注意しなければなりません。国民の皆さんの疑念を払拭するため、今回の内閣改造に当たり、私から閣僚に対しては、政治家としての責任において、それぞれ当該団体との関係を点検し、その結果を踏まえて厳正に見直すことを言明し、それを了解した者のみを任命いたしました」
令和4年8月10日 岸田内閣総理大臣記者会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp) 。
具体策はこういうことのようです。
「首相は会見で(1)党所属議員と教団の関係の点検結果をまとめて公表(2)関係を断つよう党内に徹底(3)社会的に問題とされる団体と関係しないよう党のチェック体制を強化―の3点を党に指示したと説明した」(時事前掲)
要は自主的にチェックします、というだけのことです。
所属議員に「あなたは旧統一教会となんらかの接触がありましたか」なんてマヌケな質問状でも送付するのでしょうか。
ほんとうにメディアがいうように、旧統一教会が自民を陰で操っていたなら、絶対に「私は旧統一教会のエージェントです」なんて名乗り出るはずがありませんけどね。
たぶんいろいろなメディアにも信徒はいるはずです。
別にかれらは霊感商法をしていたわけではなく、普通の社会人ですからね。
特に宗教を明らかにする必要がない我が国では、どこにも普通にいてあたりまえなのです。
それをまるでユダヤ人狩りのように探し出して、彼らとの接点を明らかにしろという、たいした民主主義国家です。
そうだ、いい案があります。いっそ旧統一教会信徒は服にそれとわかるワッペンでも付けさせましょうか。
メディアはわかっていないようですが、あなた方がやっていることはそのようなことなのです。
いいでしょうか、岸田さん、これはメディアが仕組んだあなたの政権を潰すための罠なんですよ。
メディアが粗雑に使い回す「旧統一教会系」という概念はどこまでを指すのか、概念規定がないところで「党内チェック」なんかやってもゼッタイに後から後から「接点」が見つかって、その都度ワイドショーはうれしげに「疑惑は深まる一方です」とやることでしょう。目に見えています。
現にその後も見つかって、「報告漏れを指摘されています」とやられています。
TBS
「旧統一教会との関係をめぐり、党としての調査結果を公表した後も、議員との新たな接点が発覚している問題で、自民党の茂木幹事長は、「党としてわざと出さないなんてありえない」と述べ、時期を見て追加で公表する方針を示しました。
自民党は、今月8日に党所属の国会議員と旧統一教会との関係を調査した結果、179人が接点があったと公表しましたが、その後も、報告漏れが明らかになるなど不備が指摘されています」
(TBS9月20日)
旧統一教会の調査 「党としてわざと出さないことは有り得ない」 追加報告めぐり茂木幹事長 (msn.com) 。
あたりまえじゃないですか、調査自体が無意味なのですから。
自民党が旧統一教会に乗っ取られていた、アベがその利権配りのドンだったなんて書いている者もいますが、たった2万の団体にそんな力はありません。
できるのは信徒であることを隠して、選挙ボランティアにもぐり込む程度のこと。
ないことを充分にわかって、メディアはさぁさぁ絶縁してみろ、調査後見つかったら大騒ぎしてやるからな、という趣向です。
だって、いわゆる「旧統一教会系」ってどこまでを指すのかだれも明確にしていないのです。
旧統一教会と関連団体は、「世界平和統一家庭連合」のほか「国際勝共連合」などの政治団体だけで29、社会団体15、文化団体8、教育・学術団体21、メディアでは「UPI」、「世界日報」、「ワシントンポスト」など23団体。
宗教団体9、医療団体4、関連企業30と、すそ野まで合わせるとわかっているだけで140にも達します。
これらの旧統一教会との関わりは、濃淡があって、ほとんど無関係に等しいところからゴリゴリのところまで多種多様です。
世界日報などルーツは旧統一教会かもしれませんが、とうにただの保守系新聞に変質していて、宗教臭さなどみじんもありません。
はるかに大きな信徒を持つ創価学会など膨大な係累団体を持っていて、3桁では済まないはずです。
あたりまえではありませんか。宗教はメディアが思うような辺境の修道院に住んでいるわけではなく、私たちも生きている現実の世俗に住んでいるのですから経済活動もし、社会活動もしているのです。
宗教というものが世俗にひろがっていて、信徒といえどただの社会人なのですから、あたりまえといえばあたりまえです。
メディアも岸田氏も、宗教を知らなさすぎます。
宗教はどこか天上界にある。崇高なる存在ではなく、普通の(時にはそれ以上に)カネと欲にまみれた世俗的存在なのです。
だから、スッパリと宗教と世俗を切ってしまえません。
岸田氏の誤りは、これらを一括して漠然と「当該団体」としてしまったことです。
しかしこれをメディアとリベラルは、「旧統一教会系」で一括りにして岸田氏の言葉を借りれば「社会的問題が指摘されている団体」であると決めつけ、なんの証拠もなくすべて「反社会的団体」と決めつけたわけです。
唯一の「反社会的団体」の根拠らしきものは霊感商法ですが、いつの話ですか、そんなもの。
上のグラフを見てわかるのは、もっとも霊感商法が花盛りだったのは民主党政権となる前後の時期で、安倍政権になって急減しています。
山上某の母親も引っかかったのは20年前のことです。
グラフを見ると霊感商法が急減し始めたのは2009年を境にしていますが、これは霊感商法に刑事罰が課せられたからです。
そして霊感商法を消滅に追い込んだのは、メディアに旧統一教会とズブズブだったといわれている故安倍氏です。
2018年7月に安倍政権が消費者契約法を改正したために、霊感商法の契約を無効にすることができ、被害者救済の道が拓けました。
メディアはこのことを隠して「アベは旧統一教会とズブズブの関係だった」と言っていますが、もしそうならばこんな霊感商法に対する規制法を作る道理がありません。
メディアによれば、旧統一教会は自民党を支配しているそうなのに、どうしてこんな霊感商法規制法を作らせたのでしょうか。
そもそも、山上というテロリストが出てきたので、今になって旧統一教会を自民党を操る影の司令塔のように言っていますが、モリカケの頃は森友学園の籠池氏が日本会議役員だから、安倍政権は便宜を図ってやったんだ、なんて報じていませんでしたっけね。(遠い眼)
モリカケ当時は旧統一教会など影も形もありません。
自民党も操る影の司令塔が多くて大変です。
籠池理事長、日本会議の役職も嘘だった。日本会議が「7年前に退会済み」と発表 | netgeek
朝日は民主党政権時代が霊感商法のピーク時だったことを伏せたうえで、それを撲滅に追い込んだ故安倍氏にこんなことを言って糺弾しています。
「国民の暮らしを守るべき政治家が、霊感商法や高額な献金が社会問題となっている教団の活動に、お墨付きを与えるようなことはあってはならない。岸信介元首相以来の付き合いといわれ、歴代の党幹部や派閥のトップが関わりを持ってきた自民党の責任はとりわけ重い」
(朝日新聞社説 8月3日)
いつもながら、「お墨付きを与える」とか「つきあい」といった曖昧模糊とした表現で、責任を追及するのですからたまりません。
モリカケの時は「忖度」などというテレパシーで、安倍氏が官僚を操っていたそうですから、まるで安倍氏は超能力者のようです。
朝日の政治部記者に、政治家が宗教団体とどういう「つきあい」をしているのか、よく社内取材してみるといい。
政治家は支持者を拒めませんから、頼まれればスピーチのひとつもします。
その程度の社交的行為が「お墨付きを与えた」というなら、野党には北朝鮮の建国記念パーティに出席して、大いに「お墨付き」を与えた者が多くいるはずですが。
それはさておき、この画期的法律でこれで霊感商法はパッタリと立ち行かなくなりました。
以降、「世界統一平和家庭連合」に改称してからは、宗教法人として不法行為が認定されたのは民事の2件だけで、刑事事件はゼロです。
しかし、メディアと野党に押されて自民党は「当該団体と無関係である」まで調査すると言い出しました。
意味がわかって使っているのでしょうか。
140団体ちかくある旧統一教会系の諸団体との「関係」など、叩けばかならずひとつやふたつ出てきます。
こういうところが、自民党リベラルのダメなところです。打たれ弱すぎます。
故安倍氏のように理不尽なことを言うメディアと戦おうとする気がまるでなく、初めから白旗を掲げて言うがままになっています。
原発政策や外交、国葬で、おお案外やるじゃないかと思っていた矢先ですから、なんだかなぁという気分です。
優等生すぎるのです。だから文雄クンはケンカができないようです。
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まったく同感です。
岸田さんは、まんまと罠に引っ掛かった。
安倍政権や菅時代に違いをつけてマスメディアとの融和路線で支持率を維持して来たけれど、腰の弱さを見透かされていたんでしょう。政府から出来ない相談を突き付けられた茂木幹事長も大変です。内閣支持率は急落していて、自民党支持率は微減とか。この意味をどう解釈するか? 岸田さんは良く考えてもらいたいです。
宗教をやりながら政治活動をやるのは自由です。地方議員の中には統一教会系信者の自民系議員もいて、この人らの政治活動の自由や信教の自由を侵す事は出来ません。
刑法に違反する行為は摘発されるべきで、2018年の改正消費者契約法で霊感商法による取引は取り消し出来ます。その効果も実際に上がっています。
マスコミが煽っている事を実行性あるものにするならば、「教会そのものの存在を取り締まれ」って事になってしまい、それために「反セクト法」を作れとなるしかありません。
しかしこれは物凄い政治の宗教に対する介入、いわば「宗教弾圧」になるので憲法違反の疑いが濃厚です。
それを分かっていてマスコミは煽っているのに、出来もしない方針を打ち立てて泥沼にハマって行く岸田さんの「弱さ」はリベラル系でも突出しています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年9月21日 (水) 09時02分
>たった2万の団体にそんな力はありません。
できるのは信徒であることを隠して、選挙ボランティアにもぐり込む程度のこと。
そうでしょうね。自民党の議員さんには助けられた方は多いのではないでしょうか。統一教会の方に対しある種の違和感はありますが、親戚にも信者がおりまして私としてはあまり敵愾心はないのです。むしろ左翼過激派の方が怖い感じです。
自民党やメディアの対応には違和感があります。
投稿: | 2022年9月21日 (水) 09時24分
>これはメディアが仕組んだあなたの政権を潰すための罠なんですよ
掌返しが十八番のマスゴミの事ですから、数年後にはしれっと「岸田首相は内心の自由に抵触する愚行をやった、憲法14条を踏みにじる自民党に改憲させるなど怪しからん!」
と言う論調に鞍替えするかも。
投稿: | 2022年9月21日 (水) 11時10分
名無しさん。HNを入れて下さい。
投稿: 管理人 | 2022年9月21日 (水) 11時17分
この3ヶ月のマスコミの動きですが、安倍元総理暗殺直後は自身がふりまいたヘイトが原因ではないかとビビって総力をもってお悔やみモード。
で警備不備の責任を少しでも逸らそうと奈良県警が保身でテロリストの生い立ちから目的まで暴露しマスコミもこれに乗っかり自身のヘイトをばらまいた責任を取るどころか更なるヘイトをばらまいて全てを「安倍の身から出た錆」という都合の良い結末へ誘導しようと必死になっているように見えます。
反対者の理論は法解釈も目茶苦茶で憲法も基本的人権も無視、酷いものになるとテロリストを援助しようとする者すら現れています、とても冷静とは言えない心理状態です。
これまでに起きた事象とその背景をみる余裕があればこんな事にはならなかったと思うのですが。
昨今のSNS等で「小さな声を大きく聴かせる」事が容易になっていることへの免疫の無さと「権力者と対峙するマスコミは常に正しい事を言っている」という幻想の相乗効果が生み出した危険なムーブメントに他ならないと感じています。
投稿: しゅりんちゅ | 2022年9月21日 (水) 12時02分
すみません。ひとつ前のコメントでHN入れるのを忘れてました。
投稿: KOBA | 2022年9月21日 (水) 12時11分
対応について同感です。
そして私もメディアと韓国側は、宗教弾圧や差別にこじつけられる失言や対応が出る事をずっと狙ってつついてると思いながら見ています。
岸田首相は外相として腰抜け軟弱とそしられたのとは桁違いの首相への圧に全身さらされてボロボロの様子ですが、本当に悩ましいのは景気と物価と安全保障。
職場の隣席のパートさんが、前は値上げを嫌がるばかりだったのが「うちらの貯金の価値が激減しても、子どもが汗水たらして稼いだ円の価値がペラッペラにならない方がいい」とか言うように。
少しずつ、何か意識が変わってきていたらいいなあと思います。
投稿: ふゆみ | 2022年9月21日 (水) 12時29分
私にも内心の自由がありますから、消えてなくなればいいのにって思う人たちや団体があります。
で、そこからどういう選択をするのか。
宗教もまた自由、自由ゆえに社会に害悪を及ぼす事態も起こし得る。
自由を守りながら、人や社会への被害のもととなる行き過ぎた行為を規制する法整備をしたのが安倍晋三元首相。
だのに何故、守るべくして守られた自由の一線を簡単に踏み潰す?
死者の気持ちや他者の気持ちを正確に代弁することなどできないけれど、石川啄木の歌を思い起こすには充分な酷さ。
石をもて 追はるるごとく ふるさとを 出でしかなしみ 消ゆる時なし
その者に選択の自由も止まれぬ事情や気の毒な面もあるからといって、犯罪行為が許されることはないし、許されないからといって、その者の止まれぬ事情や気の毒な面が無かったことにはされない。ただそれだけ。
犯罪の認定と罰と情状酌量を決められるのは法律であり、裁判の場だけ。
自由を守り守られながら、我々は犯罪行為やテロリズムに忖度もお墨付きも与えないことを示すだけ。
自分は常に正しい側にいたい、いつも石を投げる側でいたい、自分が正しい側にいることを他人に認めさせたい。間違ってしまった事実は無いことにしたい。
そのために、自分の歴史であれ他人の存在であれ嫌なものは消したい、消して当然。
そういう魅惑的だがお手軽な考えを持つと、簡単に遠く極端まで誘導されてしまう。
1861年生まれのアメリカのジャーナリスト・コラムニストであったドロシー・ディックスDorothy Dixは言った。
懺悔はいつの時も弱さの顕れ
勇敢な魂なら秘密を守り
あなたが下す罰を沈黙のうちに受け入れる
Repentance is always a weakness.
Brave souls keep their secrets and accept your punishment in silence.
我々は他人に罰を下せるのだろうか。
それに相応しい賢さがあるだろうか。
いつも間違わずに石を投げる側でいられるのだろうか。
我々が他人を罰したいと思う時、他人にどんな罪があるかよりも、「正しい側にいる自分」を見ている、そんなことはないだろうか。
ま、新聞テレビと、一部の政治家・学者・識者専門家の先生方よりは、自分の判断力は今のところまだマシだな、とは思ってますけど。
投稿: 宜野湾より | 2022年9月21日 (水) 13時08分
いつだったか二階氏が政治家は支援者を選ぶ権利無いというようなコメントを出していましたが、まさかあの二階氏に同意する日が来るとは思いませんでした
投稿: しゃちく | 2022年9月21日 (水) 13時37分
お久しぶりですブナガヤさん。HYです。いつも秀逸な記事をありがとうございます。全く同感です。正直ここまで尾を引くとは思いませんでした。それほど、立憲や共産やメディアは「モリカケサクラ」のような裁判ごっこ以外で自らの存在意義を見出せなくなっているのでしょう。
ふと私の頭の中に「リベラルの自殺」という言葉が浮かびました。一つは岸田氏を筆頭とした自民党リベラル。中韓やメディアにおもねた姿勢が限界を迎えます。もう一つは今まで「リベラル」を自称してきた野党とメディア自身。政治目的やイデオロギーために自ら自由を否定し始めていることに気づかずに突き進んでいます。
ここ数年、中国関係のきな臭さで「今のアジアは1930年代のヨーロッパようだ」と思っていましたが、ますますそのようになってきました。もし日本のメディアで「中国では宗教をしっかり管理している」なんて馬鹿げた主張が出たら、私は天を仰ぎます。
投稿: HY | 2022年9月22日 (木) 00時14分