山路啓介氏寄稿 知事選のあとにその5
ありがとうございました。今回が寄稿最終回となります。
ずしっとくる連載になりました。
今日は下地氏への論考2回目ですが、昨日分にまとめようかとも思ったのですが、長いので分割いたしました。
あすから通常の更新に戻ります。
ブログ主
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知事選のあとに
山路啓介
承前
下地氏のように辺野古軟弱地盤は技術的に施行できないと考えている県民は、何とも多く存在しています。県でさえ最近ではそういう事は言っておらず、膨大な埋め立て用土砂の必要性やジュゴンが何とかの問題などで、事実上無理だ、と言っているに過ぎないようです。つまり、「県があの手この手で、邪魔するから工事はできないよ~」と言っているに等しいのであって、技術的な問題はありません。
そのうえで、沖縄県寄りの報道に良く見られたように、防衛局はあらかじめすべき調査を怠っていたとか、隠していたとか、そういう類推的な事柄からの批判は当たりません。
そもそも地下を工事したら、軟弱地盤など大抵出て来るもの。深さにより、その厚さとか土質などをあらかじめ正確につかむ事は困難です。大体の推計で設計し、工事が進むにつれて調査を行ない、設計変更を行なって精度を上げて行くのがいちばん効率的かつ合理的です。そもそも地下深くの軟弱地盤は工事をする前から、その上に載っている土砂の重さを支えています。よくマヨネーズがどうとか言われたように、底なし沼か何かのようにズブズブと沈んで行くイメージではありませんし、そのような事はありません。深い所にある軟弱地盤ほど、上に新たにのせる荷重の増分が元々かかっている荷重に対する比率は小さくなります。
つまるところ、沖縄県が過去埋め立てして来たいくつもの工事と同じであり、関空や羽田でも同様の部分が存在していたと言う事です。
また、高層建築でも立てるなら岩盤に届く杭が必要ですが、レベル2と言われるまでの基準であるなら問題はありません。我々が木造屋を立てるさいにも地盤調査は必要とされますが、問題があっても地中1メートルの土砂交換や土質改良で済む、あるいはベタ基礎対応でだけで良しとされるのも同じことでしょう。
裁判の方ですが、防衛局が県に提出した変更申請について、8月に国交省が下した県への是正命令が国地方紛争処理委員会によって適法と認められました。続けて沖縄県は高裁に提訴しましたが、県側の勝ち目はないでしょう。というのは、国地方紛争処理委員会でもそうでしたが、今回の訴状も長ったらしいだけで中身がありません。「取り消し訴訟」でケリがついて久しいはずの国の「固有の資格性」にこだわり、そこに有識者の意見を加える程度で、総じてこれまでの主張を繰り返しているだけだからです。おそらく司法の場での判断は、これまで以上にスピードアップされるでしょう。
サンゴ移植訴訟の方も県側の負けが確定して、県が「許可=不許可、何らの処分をしない事が違法である」との最高裁判断が決定しました。県は判決を受けてようやく不許可の処分を下しましたが、「以下同文」とでも言うコースでみじめな負け戦を繰り返して行くでしょう。
肝心な事はすべて「取り消し訴訟」で終っていて、今後県側に有利な判決が出ようもありません。
最も辺野古問題とはオール沖縄のネタ化してしまっているので、徐々に反対派が飽きてくるまで裁判でもしとこうか、っていう程度でしか無くなっているのでしょう。
了
文責 山路 敬介
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長く拙い文章を最後までお読み頂き、感謝いたします。
次はもうちょっとマシになると思うので、ご勘弁を。
ある人が「EEZ内にミサイルを落とされるなど、北朝鮮もやらない事をさんざんやられていて、あれから一か月も経っていない。それでこのような選挙結果とは。沖縄県の人は、この先何が起きようとも、沖縄県民の責任である事を自覚すべき」と発信していました。
なるほど耳の痛い話だし、逆の立場なら私もそう思うかも知れません。
ただ、沖縄県の政治状況は日本政府のスタンスと合わせ鏡のようなものなのです。特に対中問題は政府自民党のウィークポイントで、そこを沖縄革新陣営や沖縄二紙はいやらしく良く見ています。
人権非難決議も満足にできず、セキュリティクリアランスの導入でさえ高市氏を以てしても困難な状況です。だいいち、ミサイルを落とされても、大使の呼び出しすら出来ない体たらくなのが今の日本政府です。
日中友好原理主義の自民党の重鎮は腐るほどいて、こと中国の事に関しては、その方々はデニー氏と何ら変わるところがありません。
沖縄県民はそういう日本政府を見ていて、自ら「火中の栗」を拾いに行きたくない。また、見たくないモノや知りたくない事は沖縄二紙が隠してくれます。救いは自衛隊ですが、防衛費増額だってどうなる事やら。
沖縄革新勢やデニーに投票した人達に言わせれば、安倍後の岸田政権は「米中二股外交」の復活に見えるし、少なくも対中強硬路線から融和路線への転換が生じているように見えています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年9月16日 (金) 08時55分
以前、埋立て関連の仕事をしている知人に同じ事を聞きましたが
「浅瀬なら金と時間をかければ埋立てられない所なんてないよ」
と、即答でしたね。
それを聞いて近い内に議論は工期と工費の問題に移行するのかと思いきや、いまだに「軟弱地盤は埋立てられない」という所から全く動く気配が無いのが不思議でなりません。
政府や佐喜真陣営もそこをきちんと説明しなければいけなかったのですが移設容認という英断を下した割にはそこから踏み込むことが無かったのが残念です。
そして当選した翌日の琉球新報の知事のインタビューにて
政府との関係を巡り「今の司法の限界、憲法を守らなくてもいいという政府、国会の限界が露呈している。それにおもんぱかっていても、しょうがないと思う」と指摘した。新基地建設を止める手段は「世界がカウンターパート(対応機関)だ」と述べ、国際社会への直接アプローチを強める姿勢を示した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/e24c031b33631353983e8f11be03bfbb36634577
えーと…玉城知事は度重なる敗訴の理由を「司法の限界」とされる訳ですか、さらにはどのような憲法違反があったのか不明ですが政府や国会も限界、こんな相手と交渉しても前に進まないから人権問題として国際機関に訴えると…
完全に三権と民主主義の否定、常軌を逸してますね。
先の「日米から沖縄を取り戻す」と合わせて日本と沖縄とを分断独立させる思想を持った人物と取られてもおかしくない問題発言です。
なぜ選挙前にこれを口走らないのかw
(口走ってたけど報じない自由が発動していたのかな?)
投稿: しゅりんちゅ | 2022年9月16日 (金) 15時32分
山路さんありがとうございます。
なのに、ミキオたんがお題だと、何も言うことが降りてこない…
間違った情報や不正確な情報、不完全な情報で怒ったり嘆いたり断定する皆さんは、何故そうするのだろう?それで大丈夫だろうか?とよく思います。
これを止めるだけで、ずいぶん気持ちも違って来ると思うのですがねぇ。
9月14日沖縄タイムス3面では「玉城氏、終盤に辺野古強調」の見出し。
そうかそうか。「基地弱め争点潰し」て「人柄前面 触れ合い重視」だけど、「終盤に辺野古強調」したから、「新基地反対が民意」でセーフ、ということか。
勝つためならなんでも、の好見本のひとつです。
地元of地元の宜野湾市と名護市は変わらず佐喜真候補が取っていて、名護市における票差は縮まったというならば、県全体での票差も前回より縮まっているわけで、概ね拮抗といえる最近の構図は変わっていませんから、時間はかかるが「オール」側が衰退する流れも変わらないですね。
玉城氏が知事であれば、あの岸田政権でも「粛々」をやり易いでしょう。
なので私個人的には、宜野湾市議選でれいわの候補者が2位で当選したことの方が要チェック。
この人の陣営、候補者のビラ渡して「よろしくお願いします」って戸別訪問してたとの情報が。
かくなる上は、議員として、破壊活動防止法の調査指定団体である革命的共産主義者同盟全国委員会、通称中核派とのいかなる接点もないことを証明してみて頂きたいものです。
監視する方にしてみれば、出入りする人たちを把握できて美味しいかも、ですけれどね。
どちらの方面にも、いつまで経っても世の中が自分の思い通りにならないことにキレて、暴力に走ったり言動が病んだ感じになる人が顕著になっていますから、煽りはスルーして、落ち着いて考え過ごしたいものです。
投稿: 宜野湾より | 2022年9月16日 (金) 18時30分