立憲、旧統一教会に解散命令をだせと言い出す
とうとう立憲は旧統一教会の宗教法人格を取り上げろ、と言い出しました。
「立憲民主党の安住淳国対委員長は14日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐり、宗教法人法に基づき解散命令を請求するよう政府に求める考えを示した。「宗教法人としての適格性について大変な疑念がある。解散手続きを裁判所に起こすべきだとの意見が立民内で大勢になる」と国会内で記者団に述べた。
同時に、日本維新の会や共産党など他の野党とも連携して対応する意向を強調。「臨時国会で一定の結論を得た方がいい」と語った。先送りした場合は「自民と旧統一教会との関係も終わらない」と指摘した。来月召集見込みの臨時国会で「徹底追及する」とした」
(産経2022年9月14日)
旧統一教会「解散命令」を 立民・安住国対委員長 - 産経ニュース (sankei.com)
宗教法人格を取り上げて解散命令を出せ、と政府に迫りたいのだそうです。
反対するに決まっている公明との板挟みで、自民を苦境に陥れたいのでしょう。
ただし、本気で旧統一教会を解散まで追い込む意気込みとも思えません。
モリカケサクラ統一教会という具合に、政局パーフォーマンスをしたいのでしょうね。
というのは、元々こんな解散命令の実施例はかつてのサリンテロを働いたオウム真理教くらいしかなく、十数年前に盛んだった霊感商法ていどでは役不足です。
しかも教団本体はとうに分裂していますし、関連団体も多いので、どこまでかけろと言っているのでしょうか。
第2に、効果のほどが見えません。
なぜなら、一見コワモテに見える宗教法人格取り上げしても、たんに課税対象からはずれていた恩恵がなくなり、一般と同じ課税対象になるだけのことにすぎません。
別に破防法の組織解散ではないので、公安調査庁の執拗な監視があるわけでもなし、団体がなくなったら今度は任意の宗教組織に衣替えすればよいだけのことだからです。
あのオウムですら、アレフという別組織で松本をいまでも拝んでいますから、旧統一教会もそうしないわけがありません。
別組織に看板掛け替えをされた場合、解散命令は空振りとなります。
すると出てくるのが、フランスのカルト規制法もどきを作れという動きです。
毎日
「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡り、カルト規制法制定の是非が議論になっている。野党は立憲民主党が中心となり、フランスの反セクト(カルト)法も参考にした法整備を主張するが、旧統一教会問題の「当事者」である自民党と、宗教団体を支持母体に持つ公明党は慎重な姿勢。10月召集の臨時国会の焦点の一つとなりそうだ」
(毎日 2022年9月15日)
反カルト、立法に温度差 野党は法整備主張、自公は慎重と警戒 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
このような意見はファーライトの人たちも言っているのですが、そうとうに無理筋です。
何度か言ってきていますが、こんなカルト法を作れるのは、フランスくらいなものだからです。
そもそもこういうことを言う人は、「政教分離」という概念をよく分からないで使っています。
「政教分離」(Separation of Church and State)は、あくまでも「教会と国家の分離」のことを意味します。
ここで言う「教会」は、カソリック教会のことです。
「政」とは政府、つまり国家のことで、政治活動一般や議会選挙まで含みません。
つまり、あくまでも「政」=国家が、特定の「教」=宗派に特典や恩恵を与えるな、という意味です。
下図のフランス革命前夜のように、市民の上に貴族があり、さらに最上階にカソリック聖職者が君臨する、こういう仕組みは作らせない、ということです。
フランス革命をどう教えるか① : 山武の世界史 (exblog.jp)
一方、日本国憲法は、第20条「信教の自由」で「政教分離」をうたっています。
●憲法第二十条
1信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。
2 何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。
3 国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。
問題は、この1項の「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」という条文を、まるで宗教者が政治参加することを禁じたように解釈してしまうことですが、正しい解釈ではありません。
革命前のフランスのような身分秩序自体が存在しない世俗国家において、国民のひとりとしての宗教者、あるいは信徒が政治に参加したり、政党を作り、はたまた政党を支持する活動をすることは、なんの問題もありません。
これを第20条の文節の前段の「国から特権を受け」の部分を読みとばして、後段の「政治上の権利を行使してはならない」だけ抜き出すから、宗教を信じる者が政治と関われないという意味に歪曲されてしまいます。
これでは宗教者はすべからく政治活動もできないし、選挙権・被選挙権もないというとんでもないことになります。
あくまでもこの文節の前段に「国から特権を受け」てはならない、とあることを見落とさないように。
「国から特権を受ける」ことが問題であって、信徒が政治に参加するのはなにが問題なのですか、ということです。
にもかかわらず、旧統一教会が政治家に講演を依頼した、祝電をもらったというだけで大騒ぎしています。
おいおい、信徒が政治家から話を聞くことが犯罪的なのでしょうか。
こういうメディアの報じ方の根っこは憲法第20条1項の歪曲から始まっています。
国葬が精神の自由を奪うと言って反対しておきながら、政教分離を歪曲してとらえて、旧統一教会狩りをするような連中に「立憲」などと名乗ってほしくはありません。
よく安易に旧統一教会に「反社会的団体」というレッテリングをしていますが、その規定も間違っています。
「反社」という概念はあいまいな使用をして拡大解釈をしないために、キチンとした定義があります。
反社とは暴力団のことです。
「反社会的勢力(以下「反社」といいます。)は、「集団的又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体等」とされています。(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(以下「暴力団対策法」といいます。)2条、9条など参照)。
「威力を示して金品等の経済的な利益を要求する団体」ともいわれ、お金や経済的な利益を得るための手段として暴力等のおどしを使う団体です」
反社会的勢力とは?定義や暴力団との違い・見分け方を解説 (best-legal.jp)
●暴力団対策法
第2条第2号
(暴力団とは)その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む)が集団的にまたは常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
仮に、立憲が主張するように、 とことん旧統一教会を反社勢力として規定して地上から抹殺したいのなら、彼らに暴対策法2条2項のようなことをしてもらわねばなりません。
ここまでやれば立派な反社ですから、晴れて「暴力団対策法」(暴対法)にを適用することは可能です。
もちろん旧統一教会はそんなことをしているわけではありませんから、「反社団体」の拡大解釈なのです。
しかしこの暴対法によっても、暴力団は消滅しませんでした。
憲法の結社の自由に抵触する恐れがある、という左翼法曹界の意見に押されてそこまでできなかった、ということもありますが、地下に潜っただけだったのです。
「本法によって、暴力団員の数は減少し、暴力団事務所の撤去も進んだ。また、対立抗争事件数も減少し、その継続期間も短縮傾向にある。さらに、暴力団員による資金獲得活動も困難になった。
本法の施行の結果、暴力団の活動が法律に触れぬように巧妙になり、一般企業社会への進出(企業舎弟の増加)や組織擬装が増加するなど、組織の不透明化・地下組織化・マフィア化が進んだ。また、組織犯罪の国際化や、暴力団の寡占化や政治的殺害も進むことが懸念される」
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律 - Wikipedia
誰の眼にも明らかな反社勢力である暴力団ですら組織解散に追い込めないのですから、宗教団体はなおさら無理です。
宗教団体は経済的利益の獲得を目的とした勢力ではなく、宗教的教義の実践を目的とした団体である以上不可能です。
信教の自由と結社の自由、政治活動の自由といった基本的人権を侵す危険性を承知の上で、特定宗派を壊滅させようとするなら、フランスのラシイテ(徹底した政教分離)のような国家原理がなければ無理ですが、何度も言ってきているように日本にはなじみません。
ラシイテあってのフランスのカルト宗教禁止法ですから、革命国家ではないわが国では100%無理なのです。
いまや旧統一教会の信教の自由や言論の自由を剥奪すべきだ、という憲法学者すら登場しています。
九州大学南野森教授
九州大学の南野森教授(憲法学)は、TBS報道特集の中でこう言っています。
「統一教会は反社会的だから解散命令を出すべきだ。(反社会的な団体には)信教の自由や言論の自由などを持ち出して議論をしてはならない。統一教会は暴力団体だからだ」
いままで憲法学者らは、憲法は一字一句変えてはならない不磨の大典であるゾとしてきたのに、旧統一教会だけは除外するというのですから、おいおい護憲ってこんなていどのご都合主義だったのねと思います。
しかし現実の法の適用に当たっては、組織的暴力を振るっていないのですから暴対法でも無理、暴力的国家転覆も図っていないので破防法適用は論外、カルト禁止法すらできない以上、「旧統一教会は反社だから一点も接触を持つな」というのは暴論にすぎません。
そんなことを知ってか知らずか、「一点でも旧統一教会と接触していたらアウト」という自民党執行部の気が知れません。
私は旧統一教会に一点もシンパシーを持っていません。
文鮮明を拝むくらいなら、イワシの頭を拝むほうがましなくらいです。
しかし彼らに対するメディアや立憲のバッシングは過熱化し、もはや民主主義の破壊と化しています。
いかなる接点も持つな、解散させよ、取り締まる法律を作れとなると、次にくるのは信徒を予防拘禁せよ、ということになるのでしょうか。
山上のテロを正義化し、故安倍氏の死を貶める目的で始まったこの旧統一教会バッシングは、もうこの一歩手前まできているように感じられます。
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反セクト法のようなものが日本では決して実現しない事は、岸田首相も分かっているのではないですかね。
あるいは「解散命令」なども、今の統一教会の状態をかんがみれば、往時よりも著しく改善されていて対応事実そのものがないです。
遡及的適応でもやるつもりなら、韓国並の行政に退行します。
しかし、マスコミと呉越同舟だった岸田首相は8/31記者会見で、「(自民党所属議員は)過去を真摯に反省し、しがらみを捨て、当該団体との関係を絶つ」、なんて事を言ってしまいました。これが今般の統一教会問題の本当の起源です。
信教の自由や政治活動の自由を省みず、自民党として「反社たる統一教会」と規定、排除したんですから、悪意のマスコミに大量の攻撃ネタをばらまいたようなもの。
自民党と教会の関係を憲法の規定と分けて論じられると考えたのか、単に考えが及ばなかったのか。
岸田さんは8/31記者会をきっかけに支持率低下。その後、説明すればするほど不支持率は上がる一方です。
ところが自民党支持率は微減。産経調査では「微増」ですらあります。
この意味はマスゴミで縷々解説されるのと違い、「テロとの戦い」に敗北した岸田内閣への「保守層の離反」と言えるのではないかと考えています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年9月22日 (木) 08時49分
政教分離を考える時にいつも思う事は、宗教団体はNGなのに経済団体や政治色の強い組織との関わりはOKという基準が意味不明だと言う事です。
経済団体の方が明らかに政治への影響力は強いですし、朝鮮総連や関西生コンのようなほぼ反社といっても過言ではない問題組織との付き合いはなぜ見逃されるのでしょうか?
宗教団体を規制するにしても、まずどのような基準で問題組織と認定するのかあやふやですし、宗教法人への寄付上限の設定や課税ともなれば現在の寺社の存続にも大きく影響が出てきます。
このような安易な方法ではさらなる歪みを生みかねないから「悪質な霊感商法」に照準を絞り安倍政権下にて法整備をしたという過程が置き去りにされています。
よくこの件で「洗脳された上での寄付等はこの法律では対応出来ない」という意見も聞きますが子供相手ならまだしも成人が自分の判断で自分の金を自分が納得が行く使い方をしているのであればそれに法律が介入するのは難しく、趣味に金と時間を消費して安らぎを得るのと何が違うの?という話です。
また、家族や知人を顧みずに行き過ぎた消費行動をするのはその人個人の問題でもあるので、それを宗教団体だけの責任とするのも乱暴な話です。
それを言い出したらパチンコや公営ギャンブルで家庭崩壊となった被害の方が遥かに多く存在します。
この件を切掛けに立民と維新が臨時国会で共闘姿勢を取ると明言するなど、自民一強を崩す千載一遇のチャンスと思っているのかもしれませんが「大丈夫なのかよオイ」という印象しかありません。
こういっては悪いですがこんな瑣末な問題よりも経済、安保の面で早急に対応しなければいけない案件は山ほどあるのですがねぇ…
投稿: しゅりんちゅ | 2022年9月22日 (木) 11時36分
翔士郎ちゃん餓死事件で、碇被告に対する支配が認められて、赤堀被告は保護責任者遺棄致死罪の共犯が認定されました。
「自身の選択」か「被支配」かを確かめるのはとても難しいことだろうと思いますが、この事件では、碇被告が事件が起きる前から残していたスマホ上のメモなども証拠のひとつになったようです。
その赤堀被告は創価学会員との情報がありますね。
検索しましたが、創価学会は今のところ否定していないようです。
であれば、碇被告から巻き上げた金銭が創価学会に流れていないと証明するのはたぶん難しい。
信者や2世信者で金銭上の苦しみを述べておられる方々もあります。(マスコミは扱い継続しないですけれど)
こちらにも問題はあります。
そしてそんな宗教はまだまだ他にもあります。
個人や小規模の占いや除霊などの商売はどうでしょう。
「会員ならこれを買え、払え」と要求されるのは、宗教じゃなくてもありますね。
金銭的な被害を与えた実績があればアウトということでしたら、宗教に限らず、消してしまった方が良い団体や個人、いろいろありますねぇ誰にとっても。
だって、別に宗教でなくても、いや何かの団体でなくても、他人を支配して己の力を感じ続けずにはいられない人って沢山いますでしょう?
みんながみんな、嫌な相手を潰すチャンスに拡げられます。
密告、潜入なりすまし、録音盗撮、メモ残し、証拠の盛りや捏造、マッチポンプな被害者芝居、復讐による自己救済、何でもアリで互いに仕掛け、仕掛けられ、最後に立っていられるのは誰?みたいなブーメラン飛び交う展開になるのか。
特定秘密保護法案の時は、そんな心配までしてましたよね?
一部の弁護士ビジネスの匂いもしてきます。
旧統一教会に限らないで、もっと信者規模の大きい宗教も抱えている問題まで調べて世に問えば、立憲も少ーしは支持率上がったかもしれませんが、管理人さん仰る通り、宗教法人格剥奪、解散なんて実現はしないのを承知で、仕事やってます!風を演出しながら、相手を腐すまでがセットの限定的な商売だと思います(え?違うの?本気でやれると?
けれど、憲法20条ガン無視の先生方に教わらなきゃならない学生が不憫ですし、真に受けて過激なことをするご老人もあるので、火遊びはやめときなさいと申し上げまする。
そして岸田首相には、せめて自分がやった対応の間違いを後悔していて欲しいなぁ。
できれば、何の信者だろうと日本国民である以上はその自由を尊重し、許される付き合いはする、破壊活動防止法に指定される団体や有罪判決を受けたことのある者の団体とお付き合いがある他の政治家・他政党もあるのが現実、自由を保障する憲法を変えるか現行法の手直し或いは新設をしなければ、宗教法人を解散させることまでできない、などを生配信で直接、堂々と国民に話したら良いと考えますがねぇ。
♪この支配からの卒業(何の?
投稿: 宜野湾より | 2022年9月22日 (木) 11時54分
おっしゃることは分かりますが、現状旧統一教会が余計なムーブメントをかましまくりで、マスコミに自らドンドン餌を与えてる状況なので、止まらないでしょうね…
黙って波風立てずにじっと耐えて、嵐が去るのを待っているのが一番良いのに(旧統一教会の味方をしたい訳ではありませんが)、どうしても何か一言言い返さずにはいられない、大声で抵抗せずにはいられないのは、やはり朝鮮半島人の悲しい性なのでしょうかね…
投稿: ねこねこ | 2022年9月22日 (木) 20時32分