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2022年10月25日 (火)

台湾侵攻は早まるだろう

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今回の大会で、習近平が選んだ新指導部に特徴的なことは、経済が分かる者がひとりもいないことです。
いままで経済を運営してきた李克強ら開放改革派は一掃されてしまい、経済統計を読める実務派官僚層も指導部内から追い払われました。
10月24日になって、延期されていた第三四半期のGDPが発表されましたが、前年同期比3.9%増と、予想よりは高かったと当局は説明していますが、なにせ発表延期して都合のいい数字でコネ繰り回してこの数字がこれですから、ほんとうはマイナス成長だったと見られています。

やがて外国の貿易統計がでるでしょうから、わかるでしょう。
もうそれを見越して香港の株式市場は売り一色です。どんどん海外のマネーが逃げていきます。

経済運営の具体的方針はなく、その代わりに出てくるのが共産党的赤い精神論です。
気合だぁ、闘争精神だぁ、階級闘争だぁ、米帝なにするものゾ、台湾開放を貫徹するゾ、という赤い気合です。
たとえば今回の党規約改正案は、改革といういままで盛んに使われてきた開放改革路線の表現が激減し、新たに中共の「闘争精神」という文言が激増しました。

たとえば決議では次のように述べています。

「あえて闘争し、あえて勝利する(敢於闘争、敢於勝利)は、党と人民の無敵の強大な精神パワーである。党と人民が得る一切の成果は、すべて闘争を通過したものだ。
大会は闘争精神を発揚して、闘争の本領を増強する内容を党規約に盛り込むこと、つまり赤い遺伝子の伝承に同意する。新たな偉大なる闘争の歴史的特徴を掌握し、全国各民族人民を団結させ率いて、中国の特色ある社会主義の新勝利を奪取しよう」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.644 2022年10月24日)

「あえて戦い、あえて勝利する」「党と人民の無敵の強大な精神力」「赤い遺伝子の伝承」、毛沢東主義丸出しです。
こういったガチガチの毛沢東主義的精神論は、いかにも毛沢東コンプレックスの習らしい表現です。
習は強度の毛沢東信者です。
そのうえに自分が毛沢東の蘇り、自分こそ中国共産党の闘争の歴史が生み出した必然だと信じています。

米ニューヨークの法律学者の虞平は、このように見ています。

「虞平は、こうした表現は、習近平が毛沢東の闘争哲学の魂をよみがえらせているとみている。すなわち、毛沢東が深く信じる「天と闘い、地と闘い、人と闘い、その楽しさ尽きる事なし」という闘争精神だ。習近平は闘争の実践として、政治粛清を党内的に行い、対外的には外国との矛盾を中華民族と帝国主義、あるいは現代強権との闘争として行ってきた」
(福島前掲)

過去、習近平は熱烈な毛沢東信者であることを隠して生きてきました。
習近平がチャイナセブンのトップである総書記に立てたのは、江沢民の上海閥と共青団との内部抗争で指導部を作ることができずに、一見茫洋として人畜無害な熊プーなら人畜無害だろうと思われていた習を選んだにすぎません。
江沢民は院政政治でガッチリ胡錦濤を縛ったように、熊プーなどに権力を与える気はさらさらなかったのです。

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福建省時代の習近平

しかしこの熊プーは実はとんでもないモンスターで、自分が毛沢東の生まれ変わった人間だと信じていたのが、彼らの運のツキの始まりでした。
習近平は、その無害そうな顔の下に文革時代のトラウマを抱えて、ずっと復讐のチャンスを狙ってたのですからタチが悪い。
習近平は屈折した人物です。

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1973年、「上山下郷」の時代の習近平氏(左から2人目)、陝西省延川県。新華社

青沼陽一郎氏は習近平のバイオグラフィを丹念に追っています。
(青沼陽一郎『習近平はいかにして最強の毛沢東信奉者となったのか』)
下放時代の習近平、洞穴暮らしで心に刻んだこと 習近平はいかにして最強の「毛沢東信奉者」となったか(後編)(1/3) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)
この習近平の生い立ちは、同世代の人間としても大変おもしろいので、別途に記事で紹介することにします。

さて、ウクライナ戦争と今回の習近平の完全独裁体制ができるまで、私は台湾侵攻に関してやや懐疑的でした。
合理的に考えれば不可能だと考えて、このような記事を書いています。
ウクライナ戦争の教訓に学ばない中国軍: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

前言を修正します。中国の台湾侵攻の可能性は高いと思います。
ロシアは、西側軍事筋がありえないと分析する中、ウクライナに攻め込みました。
中国もそうしないと誰がいえるでしょうか。

思い出して頂きたいのですが、今年2月ころの日本の論調では、ウクライナ侵攻はないが圧倒的多数でした。
始まった後も、ウクライナ軍は瞬時に殲滅され、ゼレンスキーはたちまち西側に亡命する、だから戦争は短期で終わる、そう読んでいました。
今頃になって、プーチンは狂人だったということが分かりました。
今になると、そうとしか説明のつかない合理性を無視した侵略だったからです。
プーチンは狂っているのか?: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

この狂気の沙汰を可能にしたロシアの条件はふたつあります。
ひとつは徹底してプーチンにのみ権力が集中する個人独裁体制であったこと、ふたつめは軍の統制権もプーチンが持っていたことです。
徹底した個人崇拝が存在する国で反対を唱えることは死を意味します。
情報機関と警察を握っているからです。
いや、そもそも反対を言う前にそのような者たちは、とっくに権力から追放されるか殺されています。

そして政府のみならず、軍もプーチン個人の思惑ひとつで動きます。
今回のウクライナ戦争で4方面から侵攻する、それも19万というなめくさった少数で広大なウクライナを占領しようとする、それを統べる総司令官は置かない、なぜならプーチンが直接に戦争指導するからです。
中国の軍事筋はこれを見てこう述べています。

「どこかの素人が立案したのかと疑う」
(月刊パンツァー11月号『中国から見たウクライナ戦争』)

そのとおり「素人」が指導したのです、プーチンという名の独裁者の素人が。

では、このロシアと同じ条件を持つ国が、もう一つあるのに気がつかれたでしょう。
言うまでもなく、それは中国です。
この大会で中国共産党はとうとう「習近平の党」の私党と化しました。
すべての共産党・人民解放軍・政府はの権力は、習近平ひとりに集中するような仕組みに変えられました。
そして、習は人民解放軍のを動かす権力をひとりの手に納めました。
いままでこのよう過剰な権力を防ぐために、鄧小平が定めた個人崇拝の禁止と集団指導体制というリミッターは打ち捨てられました。
習に合理的な改革開放経済を要求し、国際協調を唱えてきた共青団派はパージに合い,彼らのかつての指導者格で長老だった胡錦濤は大会会場から排除されるという屈辱を味わいました。
もう、習を止められる者はいないのです。

中国は台湾侵攻に踏み切る可能性がきわめて高くなりました。
米海軍トップのマイク・ギルデイ米海軍作戦部長は27年ではなく、今年か来年の可能性も出たと述べています。

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時事 マイク・ギルデイ米海軍作戦部長

【ワシントン時事】中国がこれまで想定された2027年よりも早期に台湾に武力侵攻する可能性が高まっているとの指摘が米政府から相次いでいる。米海軍首脳は来年までの台湾有事もあり得ると警告した。
マイク・ギルデイ米海軍作戦部長は19日に米シンクタンク「大西洋評議会」のオンラインイベントに出席。台湾有事に関する質疑の中で「2027年ではなく、私の中では22年、あるいは23年の可能性もあると思っている」と発言。「過去20年間を見ると、中国は目標よりも早く実行に移してきた」と警戒感をあらわにした。
 中国の台湾侵攻の時期を巡っては、21年にデービッドソン米インド太平洋軍司令官(当時)が27年までの台湾有事の可能性を指摘。27年は中国軍創設100年の節目で、習近平国家主席は同年に「奮闘目標を実現する」としている」
(時事10月21日)
中国、想定より早い台湾侵攻も 来年までの可能性警告―米海軍首脳:時事ドットコム (jiji.com)

この米作戦部長の意見以前には、このようなコーエンCIA副長官とデービットソン・インド前太平洋軍司令官の2027年説という見立てもありました。

「習近平国家首席が、2027年までに台湾を武力制圧する能力を持つように部下に指示した。」と米中央情報局(CIA)のデビット・コーエン副長官が表明したと伝えている。一方、台湾侵攻に対する中国の指導部が、最終的な判断をしたとの情報はないとも伝えている。この2027年という年は、中国人民解放軍の創設100年に当たる年であり、習近平国家首席が続投していれば、3期目の任期を終える節目の年である。2027年に中国が台湾へ侵攻するとの予測は、インド太平洋軍のトップだったフィリップ・デービッドソン氏も2021年3月に米議会公聴会で述べており、その年の米国防総省の年次報告書にも反映されている」
(CNN9月17日 )

今回のギルディ作戦部長の説は、これを5年前倒しにして、しかもインド太平洋軍に「戦闘準備」をとっておくようにという内容まで含んでいます。

「米軍事専門サイト「Defense News」が伝えたところによりますと、マイク・ギルデイ米海軍作戦部長は今月19日、米シンクタンク「大西洋評議会」で、台湾周辺の状況がエスカレートする可能性のある時期について早ければ今年中に台湾周辺の紛争がエスカレートする可能性を否定しておらず、アジア太平洋地域の米軍艦船は「戦闘準備」を整えておくべきだ、と警告しています。
また、「我々が過去20年間見てきたのは、彼ら(中国政府)が断言してきたことはすべて、実行すると言った時期よりも早く実行してきたということだ。しかも現地に投入する船は、戦う準備ができていなければならない」とも述べました」
米海軍作戦部長、「台湾をめぐる対立、年内に激化する可能性」 - Pars Today 

残念ですが、戦争が始まるかもしれません。
中国にとって今の時期は、米国がウクライナ支援で手薄になっている今の時期を狙う可能性があります。
それは米国がウクライナ・台湾の2正面をで戦うことは不可能だと見ているからです。

そして国内的にも、習の独裁体制確立によって反対派を追い払った今、いまや磐石の国内体制があるという号砲に使える絶好の侵攻日和、そう習が考えたとしてもなんの不思議もありません。
国内経済が低迷し、コロナ封鎖で行き場のない憤懣を抱えている国民にもいいガス抜きになる、そう考えても不思議はありません。

 

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コメント

お早うございます。

いつ何が起こってもおかしくないような状況を迎えながら、国会やテレビ等のオールドメディアでは「トーイツ、トーイツ」とまるで熱に浮かされているような状況です。木を見て森を見ないどころの話ではありません。安倍さんが健在ならばと詮無きことを考えてしまいます。

武力を使ってでも台湾を手中にする確固たる意志が習にあるのは間違いないですが、いつやるかとなると、アメリカ側が発するものがどんな確度や筋のインテリジェンスに基づくのか、或いは駆け引きの一部なのか、判断に少々悩ましくもなります。
しかしそれを踏まえても、ロシアが箍(たが)を外して流れ出す人心の荒廃から思うことがあります。
最近の環境アクティビストによる名画への八つ当たりは「代えのきかないものへの攻撃」と報道されていますが、そうであれば、「代えがきかない」のは人の生命や人生や時間も同じなので、そういうものを「破壊されたくなかったら言う通りにしろ」というのはテロリストの発想です。
朝日新聞によれば、ミャンマー国軍が23日夜、少数民族支配地域でコンサートが開かれている会場を空爆し、60名の観客・歌手・兵士が死亡したとのこと。
「やってしまいたい」を実際に着手してしまった者が続くことで、更に邪な考えの実現を後押しするようになる…
もちろんそんな予測こそ外れるのがいちばんに決まっていますが、予感を消せはしないのです。

 習の十年は何一つ実績らしい実績がなく、コロナ対策や経済政策において愚策の連続でした。
けれど、共産党の頭で考えれば、決してそうじゃないんですね。
ウイグルやチベットへの苛烈な締め付けは増々功を奏し、生産手段の国有回帰も進んでいます。何よりも香港を実力で共産党の統治下に置いた点で、習の得点は高かった。
我々の世界の常識とはかけ離れていますが、実績は十分だった。
つづく台湾侵攻は前倒しでやって来ると考えるべきで、ウクライナ情勢とどう絡むのか?そのあたりも目を離せません。

台湾侵攻も心配ですが、習近平がプーチンと同じタイプだった場合には、同時に日本侵攻も現実となりますわ。大中華帝国の再建と、さらには大中華帝国のアジア支配は、習の狂信の一部です。

合理性もヘチマも無くても、当の本人がそう思い込んでいるのだから仕方ない。習は、自分を毛沢東どころじゃなくて、秦の始皇帝の生まれ変わりだと確信していたとしても、あの国の歴史上にはよくいるタイプですわ。それはロシアも同様で、日本人にはとうてい理解できない、大陸には想像を絶するようなトテツモナイ妄想を抱く者がワンサカといるんですわ。それだけ大陸の現実は過酷なのかも知れない。

習は、ハナっから台湾は元々からして中華帝国のモノだし、香港やマカオは西洋の国が衰退していた中華帝国から奪い取った屈辱の土地だったし、元々は中華帝国に朝貢していた野蛮人に過ぎなかった日本は恩知らずにも中華帝国を酷く侵略した、そう思ってる。

今度は大中華帝国が目にモノ見せてやる!と意気込んでいても不思議でも何でもないですわ。私らの「そ、そんな昔の事を!未来志向で行きましょう、当時者らはもう皆んな死んじゃってますよ」なんて、言い訳にしか聞こえないです。

日本の世俗に生きていても時々死んでしまいたくなるくらいメンドウな人達に会うんで、それが大陸ともなると狂人同様と覚悟して良いと思いますわ。もう、迎え撃つしかない、逃げられない。トーイツ騒ぎも、もはや中華帝国の工作か?と思いたくなるくらいメンドウな事になってきました。やっぱ岸田さんじゃ、有事に使いモノにならない気がしてきて凹んでますわ。

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