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2022年10月 5日 (水)

プーチンは狂っているのか?

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北朝鮮「火星12」と思われる長距離弾道ミサイルを、日本列島超えで打ってきました。

「10月4日朝、北朝鮮が北部の慈江道・舞坪里から東方向に1発の弾道ミサイルを発射。5年ぶりに日本列島を飛び越えて太平洋まで飛行し海上に着弾しました。日本列島の飛び越えは通算7回目となります。
自衛隊観測:水平距離4600km 最大高度1000km 飛翔時間22分
韓国軍観測:水平距離4500km 最大高度970km 速度マッハ17
 観測数値からは、中距離弾道ミサイルが通常弾道軌道(最小エネルギー軌道)で飛行した性能だったと推定できます。過去に発射された北朝鮮ミサイルでは「火星12」が近い飛行性能を持ちます。」(JSF10 月4日)

北朝鮮が中距離弾道ミサイルを日本列島越えで発射(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース

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北朝鮮ミサイル 過去最長の飛行距離 岸田首相「暴挙で強く非難」 | NHK政治マガジン

グアムを標的にしていることは明白で、今後、このようなふざけことをするならば、容赦なくMDで打ち落とすか、日本海側にズラリと中距離弾道弾を配置するしかないでしょう。

さて昨日に続いてプーチンの狂気について考えてみます。
防衛省防衛研究所山添博史氏(ロシア研究・主任研究官)はこのように述べています。

「そうした狂気を計算高く「演出している」というものです。恐怖心を煽ることで、「プーチンの要求をある程度飲まないと、第三次世界大戦が勃発する」と周囲に思わせる。計算された狂気、計算された非合理さです。Madman Theory(狂人理論)というのがありますが、その可能性もあるでしょう」
(山添博史3月4日)
「勝てるようにやっているとは思えない」なぜプーチンは“狂気の独裁者”になったのか 防衛研究所・山添博史氏インタビュー #1 | PRESIDENT Online(プレジデントオンライン) 

ただしこれはマッドではない者がマッドのふりをしているというのが大前提で、ほんもののマッドマンなら話は別です。
マッドマンを分類するとこのようになります。

①マッド度レベル1・真マッド。
②マッド度レベル2・中程度のマッド。半ば狂っているが、まだ計算ができる状態。
③マッド度レベル3・なんちゃってマッド。理性が残されており、スタッフのアドバイスを聞くことができるていどの状態。

正常なものがそのふりをしているのは③に相当しますが、本当にそうだったらかえってほっとするくらいです。
③のなんちゃってマッドは演技ですから、側近はそれを理解して正しい情報を入れるように努めます。
しかしいまや彼に諫言できるものはほとんどの残されておらず、情報機関はおろか軍部でさえ信用していない様子です。
すると、①の真のマッドマンなのでしょうか。

「一つは、本当に精神状態に異変が起きていて、狂気の独裁者になっている可能性です。忠実な部下を含め全員をつるし上げて、誰も逆らえないようにして「俺だけの世界」を実現するヒトラーのようなイメージです。
このパターンだった場合、もう戦争の勝ち負けは関係ない。ロシアの安全も国民生活も関係ない。全てを懸けて、ウクライナを叩き潰す。必要だったら核のボタンも押す。……そういう狂気の独裁者になっているのであれば、非常に怖いです」
(山添博史前掲)

これは権力内部に有力な反対派がいない場合に起きる、孤立型独裁者特有のマッドマンの思考回路です。
独裁者は自分の権力の延命と世界の破滅を同一視しやすいものですが、特に孤立した大国の独裁者は危険です。
たとえば北朝鮮の正恩もこのような衝動に駆られ易いタイプですが、しょせん最貧国なので限界があります。
同じ独裁者でも、元来集団指導体制をとっていた中国で、習近平がそのようなことに走ろうとすれば反対派か長老に暗殺されます。

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まさに狂気の行動 プーチンの精神状況に米情報機関注目  Wedge ONLINE(ウェッジ・オンライン) (ismedia.jp)

一方プーチンはすべての権力を自分に集中してしまったために、権力内に反対派を持ちません。
権力構造の中でオリガルヒはあらかた殺してしまい、シロベッキもだいぶ辞めさせたからです。

したがって、彼がコントロール不能の狂気に陥った場合、果たしてはがい締めしてでも止める人物が現れるかどうかはなはだ不明です。
ウォレス英国防大臣は、ウクライナ戦争を決断したプーチンに対して、「側近の中でプーチンにウクライナ占領計画を中止するよう進言したものは誰もいなかった」(英タイムス)と述べています。
ですから、あれよあれよという間に③から②を経て①に接近していっていきますが、誰も止められません。

この二つの可能性を踏まえて、山崎氏はこのような仮説を立てています。

「そもそも「非合理な目的」と「合理的な目的」の両方がプーチンの中にあって、それは一緒に達成できると考えていた。でも、どこかの時点で、彼の中では非合理な目的の方が、合理的な目的を凌駕してしまったという可能性です。
非合理な、感情的な目的というのは、「ウクライナを服属させてロシア帝国を作る」という願望です。
一方、合理的な目的というのは、「ロシアの安全保障を担保する」という目標です。たとえば、NATO拡大を阻止するといった目標は、途中までは両方の目的に沿っていました」
(山崎前掲)

今回のウクライナ侵略で、正しいか間違っているかは別にして、侵攻前に盛んに言っていたNATOの「東進」はロシアの安全保障を損ねるという言い分には一定の合理性が感じられます。彼らの立場からすればそう見えなくはないからです。
このようなことなら、東欧に弾道ミサイル迎撃システムを配置するのを中止したり、米軍を北欧に展開するのをやめるという外交交渉が成立します。
ところがこれで終わらなかったから問題なのです。

先日の一幕の喜劇に終わった併合集会で、プーチンは西側を「大悪魔」だと言い始めました。

「プーチンによれば、これら全ては、アメリカ合州国と、そのヨーロッパ同盟諸国のせいで、彼は、ロシアを弱体化させる長年のプロジェクト、ウクライナが、世界秩序のこのシニカルなビジョンでは、駒にすぎないプロジェクトを遂行しようとしていると非難している」
(ロイター10月3日)
Putin recasts his Ukraine war as Russia’s struggle against the West (yahoo.com)

精神状態が均衡を失ったある種の者に見られる極端な被害者意識です。
病名を「妄想性パーソナリティ障害」(PPD)と呼ばれています。

「妄想性パーソナリティ障害患者は他者を信用せず,何の根拠もない,または不十分な根拠しかない場合でも,他者が自分に害をなそうとしている,または自分を欺こうとしていると考える。(略)
他者が自分を利用する,裏切る,または害する計画を立てていると疑う。患者は,いかなるときでも,理由もなく自分が攻撃されるかもしれないと感じている。証拠がほとんどないか全くない場合でも,自分の疑念および考えを主張し続ける。

しばしば,このような患者は他者が自分を大きく,取り返しのつかないほど傷つけたと考えている。患者は潜在的な侮辱,軽蔑,脅し,および不忠がないか非常に警戒しており,発言および行動に隠れた意味がないか探る。自分の疑念を裏付ける証拠を探して他者を詳細に吟味する」
妄想性パーソナリティ障害(PPD) - 08. 精神障害 - MSDマニュアル プロフェッショナル版 (msdmanuals.com)

「不十分な根拠しかない場合でも他者が自分に害をなそうとしている」・・・、まさに今のプーチンの心理そのものです。  
「ゼレンスキーはネオナチだ」「ドンバスでネオナチがジェノサイドを働いている」あたりから完全に妄想で自分が「害をなされている」と思い込み、「西側が核攻撃を準備している」という風にエスカレーションすると、もはや幻聴幻視のたぐいで外交交渉もへったれもありません。

よく共産党や立憲はなにかといえば、外交交渉しろ、といいますが、マッドマン相手に交渉は成立しないことを忘れています。
そしてあいにく我が国が対峙しているのは、こんな国ばかりなのです。

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ロシア、戦費で傾く財政 5月初旬枯渇か:中日新聞Web (chunichi.co.jp)

おそらくプーチンがこの戦争を当初の思惑どおり4日間で終わりにできたはずの「特別軍事作戦」だったのなら、狂気のエスカレーションラダーを登ることはなかったでしょう。
しかし、戦略目標であったキーウ占領に失敗し、後から後から失敗と誤算の連続となってしまい、プーチンの理性は崩壊し、幻影と現実との境が怪しくなります。
いまや②と③の間を浮遊している状態です。

ではどうしたら、真マッドかもしれないプーチンを止めることができるのでしょうか。
簡単な答えはありません。
ウクライナ軍がこのまま前進を続けて、領土からロシアを駆逐すれば局面が大きく変わる代わりに、プーチンは逃げ場を失うことになります。

そのときせめて戦争前の③のなんちゃってマッドくらいなら、おとなしく引退なり亡命なりしてくれるでしょうが、②から①ならば出してくるのが核発射ボタンです。
もちろん独裁国家のロシアだとて、ひとりで核ミサイルは発射できませんから、国防相など数人の合意が必要です。

民主国家には歯止めがいくつもありますから、そもそも大統領が①になる前に引きずり下ろされます。
議会の力が弱く、しかもプーチンのオール与党のロシアにおいて、プーチンの狂気を止められる可能性があるのは、国民の反対運動くらいしか見当たりません。
残るはマッドマンとなった独裁者を実力で引きずり下ろすことができるのは、唯一軍です。
反対運動が高揚し、治安機関では手におえず、軍隊を出動させざるをえなくなったあたりが分水嶺でしょう。
士気が崩壊しているロシア軍にどのような影響が出るのか・・・。

20万もの国外逃亡者を出すような馬鹿げたウクライナ戦争を終わりにしたいという気持ちは、国民も兵隊も一緒なはずです。
そのときロシア兵が銃を逆に向けたらというのが一縷の救いですが、なんともいえません。

つまり、プーチンが核兵器に手を伸ばせば、その反応としてNATOの直接介入を招き、さらに副反応としてロシア国内の反プーチン勢力を合流させて、第2ロシア革命へと進展しかねない火種を抱え込むことになります。

ちなみに、プーチンが妄想性パーソナリティ障害であった場合、治療方法はあるでしょうか。
残念ながら、「妄想性パーソナリティ障害に有効であることが証明された治療法はない」( MSD前出)ようです。
なぜなら、「患者の疑念および不信の程度が全体的に高いことから信頼関係の確立が困難」だからです。
今のプーチンと「信頼関係」を築けるものは皆無です。

 

 

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ウクライナに平和と独立を

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コメント

プーチンが発狂しても、幾許かの冷静さを残しても、「ウクライナが止まったら、ウクライナがなくなる(篠田英朗氏)」ので、ともかくも、プーチン本人に躊躇わせ続けること、チャンスが無いと思わせることをやめてはいけないですね。
ロイターによれば、EUはウクライナ支援金を2023年予算に組み入れたとのこと、これは良かったです。
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-eu-financing-idJPKBN2QZ1I3

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