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2022年10月 3日 (月)

東部要衝リマン陥落、ウクライナの進撃ドミノは止まらない

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プーチンが併合を宣言した直後、ロシアはドネツクの最重要拠点であるリマンをウクライナ軍に奪還されました。
ルガンスク州のガイダイ知事は1日、東部ドネツク州リマンに陣取るロシア軍5千人以上をウクライナ軍が包囲し、補給・退却路をほぼ遮断したと表明しました。
さらにガイダイ知事は、これがルガンスク州の奪還にも繋がると言っています。

「ウクライナ軍にとっては、先月東部ハルキウ州の奪還に成功してから最大の戦果と位置付けられる。
ウクライナ軍の報道官は1日朝の記者会見で、リマンに隣接する村へ部隊が入ったと発表。リマン周辺の集落を解放し、同市のロシア軍部隊を包囲したと宣言した。
リマンの解放はドンバス地方全体の解放に向けた重要な一歩になるとも述べていた。多数の死傷者が出たとも語ったが、詳細には言及しなかった。
隣接するルハンスク州の軍政トップ、ハイダイ氏は同日、リマンのロシア軍部隊が撤退を申し出たがウクライナ側に拒否されたと明かし、ロシア軍には「突撃を試みるか、降伏するか、全員が死ぬかの選択肢しかない」と語っていた。
同氏はまた、ロシア側の部隊は約5000人に上り、これまでに包囲されたなかで最大の規模だと指摘。弾薬補給や撤退のルートは完全に断たれたと強調していた」
(CNN10月2日)
ロシア軍、ウクライナ東部の要衝から撤退 「併合」宣言の翌日 - CNN.co.jp

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Telegram

リマンを叩き出されたロシア軍は、逃げ道のない一本道を装備を捨てて民間車両を盗んで逃げまどったようです。
しかし気の毒にも、完全にウクライナ砲兵の射程の範囲内ですから、ウクライナのドローンにたちまち発見され、容赦ないピンポイント砲撃を食っているようですから、どれだけの数が逃げきることができたのか。
仮に逃げられても、このような敗北を喫した兵は二度と使い物になりません。

ウクライナはこう発表しています。

「ウクライナのポドリャク大統領府長官顧問は、リマンに残るロシア軍は撤収のためウクライナ側の承認を求めなければならないとの優位な情勢にあることも明かした。「ロシア指導者たちがこれら兵士の安否を気づかうのであればだが」ともつけ加えた」
(CNN10月1日)
ウクライナ軍、東部要衝でロシア軍の包囲進める 補給路断ち - CNN.co.jp

ロシア国防省も、「包囲をのがれるための配置転換」という言い方でこれを追認しました。
両軍の公表が一致したので、これで自称「住民投票」で併合したはずのドネツク州の要衝は完全に陥落したことになります。

まずは、戦争研究所の10月1日のレポートから。

「ウクライナ軍はロシアに再び重大な作戦上の敗北を負わせ、10月1日にドネツク州リマンを解放した。 ロシア国防省(MoD)は、占領地における「包囲の脅威」を避けるために、リマンからロシア軍を「より有利な立場」に撤退させると発表した。
ソーシャルメディアの映像とウクライナ軍当局者は、ウクライナ軍がリマンに侵攻し、10月1日の時点で占領地を奪還している可能性が高いことを確認した」
(IWS10月1日)
ロシアの攻撃キャンペーン評価、|10月1日戦争研究所 (understandingwar.org)

地図で照らし合わせてみましょう。

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ウクライナ軍がドロビュッシェブを奪還、ロシア軍はリマンから撤退中 (grandfleet.info)

上の地図で白丸で囲んであるのが、リマン周辺です。
青い矢印がウクライナ軍ですが、リマンを東北南からガッチリと包囲し、西側だけを開けているのがわかります。
ロシア軍は比較的精鋭といわれる部隊をリマンに置いていたはずですが、3方向からの攻撃に合い相当数を失い、一部がかろうじて白い×印のクレミンナ方面に脱出したようです。
ただし、ロシア軍の撤退ルートは見通しのよい一本道であり、ウクライナ軍の絶好の標的となったことは想像に難くありません。

「ウクライナ軍によるドロビュッシェブ奪還が視覚的に確認され、ロシア軍はシャンドリホラブやスタヴキーを放棄してリマンに後退、ザリチネ経由でクレミンナ方面に撤退しているのが確認されているが、このルートの大部分はウクライナ軍砲兵戦力の射程圏で撤退は困難を極めているらしい」
(航空万能論10月1日)

さて、政治的にはまさにこの時をおいてはない、というほど絶好のタイミングでした。
プーチンは、モスクワで動員バスに乗せられてきた「支持者」を前に、併合勝利宣言をしたばかりだったのです。

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BBC

「ウクライナ4州の併合を宣言した式典の後、モスクワ中心部の赤の広場では、併合を祝うテレビ中継のコンサートが行われた。
集まった群衆を前にプーチン氏は4州併合を祝い、「我々は勝利する」と述べた。
コンサート会場には数千人が集まり、多くの人がロシア国旗を手にしていた。ただし、モスクワで取材するBBCのウィル・ヴァーノン記者によると、参加者の多くは団体としてバスで送り込まれてきたと話したという」
(BBC9月30日)
ロシア、ウクライナ4州の「編入」を一方的に宣言 ウクライナはNATO加盟申請を発表 - BBCニュース

併合したぞ、クリミアに並ぶ大戦果だ、とプーチンが呼号したそばから、前述のようにロシア軍はリマンで包囲されて全滅し、わずかの兵だけがほうほうの態で逃散したようです。
純粋に軍事的な視点からみれば、リマンで包囲されて投降するより、勢力温存するために放棄するのはそれ自体は間違った判断ではありませんが、時が時ですから政治的には大敗北です。
ロシアからすれば、国民がわらわらと国外逃亡している時期に新しい領土だと宣言したばかりの土地を守れずに逃げたのですからプーチンにとって政治的な大打撃を与える「最高のタイミング」でした。

ちなみに国外逃亡者は20万人の出国先は以下です。

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火災報知機鳴らし、出てきた男性に「招集令状」も…ロシアの強制動員巡り混乱拡大 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

下の車列はフィンランドに殺到した逃亡者のものです。

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招集するとした30万人に近づきつつある若者が逃げ出したのですから、さぞかしプーチン大帝は、火事場の金時と化して怒り狂ったことでしょう。

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ロシア軍は、実は東部2州ドネツク・ルハンスクなどいまやどうでもよいのです。
プーチンの栄光のシンボルであるクリミアとその前衛の土地であるヘルソンを守りきれればよい、と考えているのかもしれません。
だから、反撃が予想された東部からかなりの数のロシア軍を引っこ抜いてしまいました。
戦争研究所はこれについてこのように書いています。

「リマン周辺の敗北は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領(地上でロシア軍司令官を細かく管理していると伝えられている)が、ウクライナ南部に占領地を保持することに賛成して、ルハンスク州防衛の優先順位を下げていることを示している。
 ウクライナとロシアの情報源は一貫して、ロシア軍がヘルソン州とザポリージャ州でのロシアの陣地を強化し続けたことを示しているが、ハリコフ・イズユム戦線の最近の崩壊にもかかわらず、そしてリマン周辺のロシア陣地が崩壊したにもかかわらず。 脆弱なクピャンスクやリマンの最前線を強化しないという決定は、ほぼ確実にプーチンのものであり、軍司令部のそれではなく、プーチンがルハンスク州よりもヘルソン州とザポリージャ州の戦略的地形を保持することにはるかに関心があることを示唆している」
(戦争研究所前掲)

しかしその見通しは見事に空振りに終わり、ウクライナ軍はイジューム解放後、直ちに矛を納めることなくリマン解放へ突き進みました。
東部戦線のロシア軍兵士は、ウクライナ軍の進撃を予想していたにもかかわらず、プーチンの直接の指示で南部に軍を集中させ、しかもリマンが包囲されかかっているにもかかわらず、5000人の精鋭だけにリマンの守備を任せてしまい、補充はなし。
ロシア軍司令官は撤退を要請し、プーチンに拒否されたという情報もあるほどです。

リマンから北部のズヴァトに拠点を移動していますが、ウクライナ側はそれを寸断するために東進をつづけています。
このドミノ倒し的な進撃は行くところまで行き着きます。
ウクライナ軍は降雪が始まる10月半ばまでに、リシチャンスク、セベロドネツクを奪還することでしょう。

これによって、東部の自称「ハンスク人民共和国」と「ドンバス人民共和国」は分断されつつあります。
もはや、このふたつの自称 「人民共和国」の命運は尽きたと言うべきでしょう。
この傀儡国家はいまや風前の灯火となった運命を前に、責任のなすり合いを演じているようです。

「(CNN) ウクライナ東部ドネツク州の一部を実効支配する自称「ドネツク人民共和国(DPR)」の親ロ派、イゴール・ガーキン氏はSNSのテレグラムで、ロシア軍司令部の「プロ意識の低さ」を痛烈に批判した。
ガーキン氏はウクライナ軍が同州東部リマンのロシア軍を実質的に包囲したことに触れ、「我が軍の士気に大きな打撃となる一方、ウクライナ軍にとっては大きな士気向上につながる」可能性があると指摘した。ガーキン氏は2014年の紛争時にDPRの「国防相」だった人物で、現在は親ロ派の宣伝要員や軍事アナリストを務める。(略)
さらに「なぜ『回廊』の維持や撤退支援に必要な部隊を投入して、前もってリマンからの撤退を確保しなかったのか、私には答えが見当たらない」と指摘。もしロシア軍がリマンから撤退できなければ、「比較的小さな戦術的敗北」にとどまらず、ウクライナ軍の「大きな士気向上」につながりかねないと述べた」
(CNN10月1日) 
ウクライナ軍、東部リマンを包囲 親ロ派がロシア軍司令部を批判 - CNN.co.jp

傀儡国家側はロシア軍の「プロ意識のなさ」を罵倒し、ロシア軍は撤退をプーチンに拒否されて大量に捕虜になるという具合です。
いずれにせよ、滅ぶときは両者一緒なのですから、もう少し仲良くしなさい。

 

 

 

 

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ウクライナに平和と独立を

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コメント

ネットに上げられたウクライナ兵とロシア兵の様子を探しては見ていました。
語弊も有りを承知で言えば、柔和さや笑顔すらあるウクライナ兵と、それらが見られないロシア兵。
こういった違いが何処から、何から来て、どう分かれて、どういうことになっていくのかを考えます。

ロシアがだいぶ押し込まれている現実を決して信じない人たちやロシアの手羽先たちがより一層、「核兵器を使わせないためにこれ以上ロシアを刺激するな」論を展開するでしょう。
けれども村野将氏の言葉を引用すれば、
「核を使えば、西側にこれ以上の軍事支援を躊躇させることができ、結果的にウクライナの進軍を止めることができる」と思われれば、ロシアが核を使うインセンティブは高まってしまい、思う壺。これを抑止するには、「たとえ核を使ってもこの戦争に勝ち目はない」と思わせなければならない
これが肝になる局面に来ていますね。

記事地図上のリマン北側のスタフキー(白い所)にスペツナズが防衛のために急遽着いたのですが、ウクライナ軍の激しい砲撃と機械化部隊によって壊滅したそうです。ロシアの精鋭部隊が一つ消えました。

ロシア軍はザリチネにリマンからの撤退を援護する部隊を送りましたが、このザリチネが南北からウクライナ軍の挟み撃ちに遭い戦わずに東隣りのトルスクへ撤退。
追撃を恐れザリチネとトルスクの間にある貴重な橋を爆破、これがリマンの部隊の退路を断つ結果となる。
友軍撤退の援護どころか逆に窮地へ追い込むというお粗末な話です。
強制的な徴兵や動員令で集めた部隊とはこんな感じなのでしょう。
結局追撃を受けてクレミンナの郊外で戦闘が行われてますし、リシチャンシクなども長距離砲弾を浴びてます。
スバトボは空のようで、ロシア、ウクライナ両軍がスバトボを先に占拠すべく進軍中だとか。
ロシア軍はろくに防衛ラインを作れずにそのまま敗走を続けるのではないかと思います。

ロシア兵がバタバタと倒れてる間、1人2千円ほどで動員された群衆と勝手な併合を祝い、歌ってるプーチンが哀れに見えます。

 リマン戦から撤退出来たロシア軍兵士はごく少数のようで、事実上「玉砕」したのだと思います。この責任は「併合宣言」までは「撤退」を聞き入れなかったプーチンのせいであって、戦後は軍法会議ものでしょう。
しかも、併合宣言はゼレンスキーのNATO加盟申請のカウンターで政治的意味が失われ、トルコすら拒否するという公定力ゼロの結果にとどまっています。
併合によって「核の脅し」を仕掛けはしたが、それも大失敗です。
当のゼレンスキーは一切ひるむ事はなく、米国からはクギをさされまくってしまう、という顛末です。


無慈悲な包囲・追撃戦ですね。
言うまでもなく死兵より敗残兵の方が掃討が楽ですから。
ロシアも、いっそのこと元の国境まで地雷やトラップを仕掛けて撤退すれば、それ以上は攻めてこないのだから一番良いシナリオと思うのですが。

徴兵された人達も気の毒ですが、国家としても、それぞれ何らかの生産性を担っていた人達が召集された途端に生活保護みたいなものです。
それが戦死、戦傷、PTSD、徴兵逃れ自傷など、この世代の男性は使い物にならないでしょう。

そこで救世主面して進出するのが中国です。
資本、生産設備、男手などを補完し、自国の諸問題も解決出来ます。
一帯一路が破綻した中国も、これでウハウハです。

そんな中国の侵略を抑止する戦争の結末であってほしいです。

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