クリミア大橋大炎上
おめでとう、プーチン70歳!
世界からキミに特大のプレゼントが届いています。
プーチンは10月7日に70歳の誕生日を迎えましたが、ロシアでは5や10周年記念は盛大に祝ってもらえるという風習があるそうです。
ですから今回の誕生日は、特別の「7回目の誕生日10周年」にあたります。
祝賀電報は北朝鮮の正恩くらいとショボイもんで、盟友で参戦を要請しているベラルーシからは農業トラクター一台。
しかし、世界からは大盤振る舞いのプレゼント攻勢でした。
ひとつめは、ウクライナ、ロシア、ベラルーシの人権を調査しているグループへのノーベル平和賞。
これでキミの戦争犯罪が明るみにでますね。
ことしのノーベル平和賞 ロシアとウクライナの人権団体などに | NHK | ノーベル賞2022
ちなみに10月7日、国連人権理事会は、ロシアでの人権状況を監視する特別報告者の設置を求める決議案を賛成多数で採択しましたから、いよいよロシア国内の人権にもメスが入りますよ。
なんといっても、キミを失脚させることができるのは、ロシア国民だけですからね。
これらについては別記事に譲るとして、もっと大きいプレゼントは、なんと言ってもクリミア大橋(ケルチ橋)の大炎上です。
思い出すでしょう、2014年にクリミアをだまし取った後に、18年に本土と結んだあの忌まわしい橋です。
キミの権勢の絶頂期のことです。
キミが得意気にあの赤いトラックを駆って渡り初めした時には、こんな末路が待っているなんて思いもしなかったはずでした。
プーチン大統領、シートベルトせずにトラック運転。大統領府報道官「私は見ていなかった」 | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)
この橋はプーチン、キミの権力政治のシンボルでした。
ウクライナは、一番下の欄外にあるように炎上パネルまで用意して市民憩いの場にしていたほどです。
ところが今回、当のウクライナはやったとはひとことも言いません。
むしろロシア内部の反プーチン組織を匂わせているくらいです。
情報戦といえば言えますが、今回の爆破物を詰んだと見られる車両はロシア側から来ていますしね。
だからプーチンは直ちにテロ組織の仕業と断定して捜索させています。
追記
いま、プーチンが「ウライナの特殊部隊がやった」と言ったようです。
「ロシアのプーチン大統領は9日、ロシアが支配するウクライナ南部クリミア半島とロシア本土を結ぶ「クリミア橋」の爆発について、「ロシアの重要インフラの破壊を狙ったテロで疑いはない」としたうえで、「発案者、実行者、依頼者はウクライナの特殊部隊だ」と断定した。
同日のロシア連邦捜査委員会のバストリキン委員長との会談で発言した。バストリキン氏はロシア人や外国人の協力者がいると主張した」(朝日10月10日)
クリミア橋爆発は「ウクライナ特殊部隊のテロ」 プーチン氏が断定 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
なお、プーチンはこれを「テロ」だと言っているようですが、なにをおっしゃるウサギさん。馬鹿ですか。
戦争関係の相手側軍用関連施設に対しての攻撃はテロではなく、正当な軍事行動です。
クリミア大橋は、極めて重要な軍事兵站線を担っていたことは隠れもない事実です。
国際人道法によるテロとは、昨日あったようなサポリージャに対する民間住居に対するミサイル攻撃のような行為を指します。
ザポリージャ市街地にミサイル攻撃 12人死亡 | khb東日本放送 (khb-tv.co.jp)
さて、このプーチンがクリミア半島の生命線と呼んだクリミア大橋が、車道部分は崩落し通航不能となり、鉄道部分で7両の燃料タンク車が大爆発し、橋梁は高温で炙られてしまいましたが、高温で炙られた鉄骨構造が脆弱になることは知られています。
下写真が爆発直後の「ケルチ橋」の写真です。
崩落した橋の一部や炎の立ち上る鉄道車両が見えます。
損傷したクリミア橋の衛星画像が|公開ウクライナプラウダ (pravda.com.ua)
さらにもう一枚横方向からの引いた写真を見てみましょう。
橋の車道部分は、たしかに2カ所で崩落して海中に突っ込んでいるようです。
SNS
ただし、10月9日のSNSからの判断では、貨物列車の炎上は止み、道路の往復路全4車線の内、片側2車線は通行は可能のようです。
鉄道も片側が残っていますから、こちらも当座は相互交通でもするんでしょう。
通行が可能となっても、CNNによれば「ケルチ橋は1日4万台の自動車に対応でき、年間では1400万人の利用者と1300万トンの貨物が移動可能だ」なうち、どこまで元に戻せるのかは不明です。
SNS
詳細が伝えられていないために、どの程度で鉄道が復旧するのかはまったく不明です。
使用不能期間はその損害の度合いによりますが、ロシアは8日午後8時(日本時間9日午前2時 )に再開すると言っています。
メンツにかけても通すことでしょう。
原因について、ロシアはろくに調査もしないうちから車両によるテロ攻撃といっていますが、それですと自爆テロになります。
おそらく自動車の下に仕掛ける程度のものではなく、トラックに積むほどの大量の爆薬が必要でしょう。
通過車両は検問をされているはずですから、いったいどのようにしたのかは現時点ではまったく謎です。
ハイマースという説もありますが、今のところ飛翔してくるミサイルは確認されていません。
ウクライナは事実だけを伝えて、方法については沈黙しています。
まぁ、戦後になればわかるでしょう。
「戦後」がぐっと近づきましたが。
ところでクリミア半島の補給線は、このクリミア大橋とヘルソンからの2本しかありません。
またロシアと最前線へルソンへの補給路は現在M14高速道路のみとのことですから、いよいよクリミア、ヘルソン間の補給路がなくなってきました。
プーチン氏が渡り初めした「クリミア大橋」爆発、ウクライナ側「違法なものはすべて破壊」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)
するとヘルソンのロシア軍は崩壊寸前ですので、クリミア大橋が使用不能になるとクリミア半島は完全に陸の孤島と化します。
まさにこの戦争の大転換点が一気に到来したというわけです。
この大事件について、CNNの報道を読んでみます。
やや長いですが、きわめて重要な事件ですので、全文を引用します。メンドーな方は飛ばして下さい。
「(CNN) ロシアに併合されたウクライナ南部クリミア半島とロシア本土をつなぐ欧州最長の橋「ケルチ橋」で8日早朝、燃料タンクが爆発し、複数のロシア当局者によると、橋の一部が崩落した。
ロシア国営タス通信によると、プーチン大統領はケルチ橋の「緊急事態」を調査する政府委員会の設立を直ちに命じた。
タス通信によると、ロシア緊急事態当局と交通当局のトップが現場入りしているという。
ロシアが任命したクリミアのセルゲイ・アクショーノフ首長は、爆発後に橋の一部が崩落したことを確認した。
SNSに投稿された橋の画像には、車道や鉄道橋の一部が海中に崩落した様子が写っている。上方の鉄道車両から立ち上る炎も見える。
ケルチ橋は全長19キロで、ロシア本土クラスノダール地方とクリミア半島をつないでいることから戦略的重要性が高い。
橋は黒海とアゾフ海をつなぐケルチ海峡に架かっている。アゾフ海沿岸にはマリウポリを含むウクライナの主要港湾が位置する。橋の車道で大規模な爆発が起きる瞬間を捉えた監視カメラの画像/Telegram
「占領下のクリミア半島を管轄するロシア行政府の顧問はテレグラムで、消火作業が進められていると説明。船が通行するためのアーチは無傷だとも述べた。
クリミア共和国国家議会のコンスタンチノフ議長はテレグラムで、爆発の原因はウクライナの「破壊者」にあると非難し、「ウクライナの破壊者は血でぬれた足をクリミアに伸ばすことに成功した」などと述べた。
CNNはコンスタンチノフ氏の主張について独自に検証できていない。ウクライナ軍のマルチェンコ少将は8月のインタビューで、ケルチ橋は正当な攻撃目標になると述べ、「これはロシアの領域から予備部隊や増援部隊を派遣する機会を奪うために必要な措置だ」との認識を示していた。
RIAノーボスチ通信が2018年の開通時に報じたところによると、ケルチ橋は1日4万台の自動車に対応でき、年間では1400万人の利用者と1300万トンの貨物が移動可能だという。ロシア当局の説明によると、橋の開通はクリミアとロシア本土の物理的な「再統一」を示すものとなった。
米国は橋の開通後、建設は違法だと非難していた]
(CNN10月8日)
クリミア半島の橋で大規模爆発、一部崩落 ロシア当局(1/2) - CNN.co.jp
ウクライナ戦争において両軍とも鉄道を標的にしてきました。
それはロシア、ウクライナ双方共に軍の兵站は鉄道輸送に依存しているからです。
とくにロシアは交通インフラが貧弱なために、鉄道幹線による物資輸送に偏重してきました。
「ロシア軍の兵站は鉄道輸送に依存しており、クリミア大橋を経由することでロシア本土から直接クリミアのジャンコイ、ザポリージャ州のメリトポリ、ヘルソン州のノーバ・カホフカ方面に装備や物資を輸送することでき、車輌輸送にかかる負担を大幅に軽減してくれていた」
(航空万能論10月8日)
下の輸送分野別輸送量グラフを見るとロシアとウクライナの輸送量が、英米仏やポーランドが道路輸送を主力とするのとまったく異なっているのがわかります。
図録▽ロシア・ウクライナの輸送モード別貨物輸送量の推移 (sakura.ne.jp)
ロシアは鉄道とパイプラインに過度に依存し、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴は、近年になっても修正されず、むしろさらに強まっています。
軍事物資の輸送も、大部分は鉄道輸送に頼っています。
乗りものニュース
「ロシアなど旧ソ連圏では鉄道への依存度が非常に高いが、それと同じように、物資を運ぶロシア軍の兵站線は、現在でも鉄道頼りである。鉄道による移動を前提としているため、装備しているトラックの台数なども限定的であり、大量に費消される弾薬の補給の多くをトラックで行うようには設計されていない。
こうした兵站線の特徴からロシア軍は、旧ソ連圏内での防衛作戦は得意だが、領域の外での持続的な作戦行動を行う能力は限定的だという。ナポレオンやナチス・ドイツを撃退した祖国防衛戦争の成功体験がそうさせているとも考えられる」
(月刊PANZER編集部)
その差は鉄道の線路幅にあり? ウクライナとポーランド ロシアの脅威度が段違いなワケ | 乗りものニュース- (3) (trafficnews.jp)
ウクライナ軍が東部リマンの制圧を急いだのは、ここに鉄道の要衝があり、東部2州とさらには南部占領地への補給ルートだったからです。
その逆に、ウクライナ戦争初期にロシアがポーランドとキーウを結ぶ鉄道施設をミサイル攻撃したのも同じ理由からでした。
ここを断ち切れば、西側からのウクライナ支援が断たれるからです。
ロシアはこれに失敗し、西側の軍事支援は継続されています。
eritokyo.jp
「ロシアの高精度兵器が、キーウ西部の戦略的に重要なウクライナの鉄道網を数カ所攻撃した。
ポーランドから順次届いていたNATOの致死的援助の流れは、停止しないまでも、深刻な混乱に陥っている。ドンバスのウクライナ軍集団の武器弾薬も鉄道で輸送されている事実は以前から知られていた」
ロシア、ウクライナの鉄道への軍事作戦を開始、戦略上重要な鉄道への電力供給が停止 (eritokyo.jp)
プーチンはかねてからこの橋をクリミアの生命線と称してきましたから、メンツにかけても再開を急ぐでしょう。
日本でこのような事故が起きた場合、数カ月かけて徹底的な構造検査が実施されてからの判断となりますが、だぶんそんなまだるっこいことはせずに押し渡ってみせると思われます。
しかし実際は、焼けただれた車両をどかせば済むものではなく、このような高温に教時間あぶられた鉄橋はきわめて脆弱になっており、重量物を乗せることが不可能になるケースがよくあるからです。
ましてや、T72戦車は1台46t。これを仮に20両乗せた場合、貨物だけで1000トンにも達します。
大丈夫かな?
たぶん今日明日には鉄道を通して誇示するはずですが 、さてさてボロボロになったクリミア大橋がどこまで持ちこたえるかお慰みです。
いずれにしても、これでこのロシア侵略のシンボルのクリミア大橋が攻撃可能なことが明らかになったので、また攻撃があることでしょう。
ウクライナ、SNS映え用のクリミア橋爆破パネルを既に準備していた模様 - Togetter
ウクライナに平和と独立を
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チョークポイント!
2001年の9・11事件並に綿密に練られた見事な自爆テロだと思います。
が、少なくともウクライナ正規軍の攻撃ではありませんね。
プーチンはウクライナ特殊部隊の攻撃だと言明したそうですけど、特殊部隊ならあんな自爆攻撃はしませんって。
橋ってのはかなり頑丈な物で、落とすには大量の爆薬が必要てすし、HiMARS攻撃ならあんな一点だけの爆破にはならずに乱れ撃ちしてたでしょう。
該当のトラックはロシア国内登録。どうやって検問を突破したのかは分かりませんけど、緩かったんだろうと。
誰がやったのかなんて分かりませんよ。それこそ今やトップがプーチンに核を使えなんて言ってるチェチェンの傀儡に反対する連中とか、いくらでも恨み買ってるだろうに。。
投稿: 山形 | 2022年10月10日 (月) 09時41分
ウクライナとの国境から220キロ離れたロシアの空軍基地が攻撃され基地のバックファイヤー2機が破壊されたニュースが流れました。
その後、この橋の速報が出て驚きました。
映像を見ても素人なのでよく分かりませんが、爆発の後に空中から白い炎が降り注ぐような映像もありまして、焼夷材?でしょうか。
爆発も2回のようで、橋も2ヶ所落ちてますね。
かろうじて残った橋は2車線をそのまま使えず、一部1車線に減らしてます。
加重は3.5トンまでとのことですから大型トラックは通行できません。
隣りの鉄道橋もまともには使えないかもしれません。
こうなるとクリミアも他の地域と一緒で兵糧攻めです。
ウクライナの投降ホットラインがロシアからの問い合わせでパンク状態。
ロシア陣地には正しい投降のやり方と書いたビラが空から撒かれてる。
BMPでしょうか、砲身に白いズボンを差して車輌ごと投降するロシア兵の報も前線の切実さを物語るものです。
方や核を使われてもロシア軍を国境の外へ出すまで戦い続けるという士気の高いウクライナ軍。
右派に核使用を迫られるプーチンは愚かな決断するのか。
投稿: 多摩っこ | 2022年10月10日 (月) 09時47分
多摩っ子さんの「加重3.5トンまで~云々」の部分は、ロシア官製メディアでも報じられていた事もあり、ほぼ事実と見て良いと思います。そうするとトラックや貨物用途はほぼ不可能。
もっとも、厳しくなる検閲で使用しずらくなる一方ですが。
ウクライナ特殊部隊がやったにしてはやや不十分で、プーチンに核使用を促すためにした勢力がやった説も出ています。
ウクライナ側が「橋の構造図を入手した」と言ったとき、メドベージェフは「(クリミア大橋への)攻撃は、核使用のためのレッドライン」と言いました。その後、沈黙しています。
爆発寸前に橋脚のところにボートが見えてたりもして、誰の攻撃かまだハッキリしないですね。
しかし、だれがやったにしろプーチンには大打撃です。
普通なら速攻でこの件に対する報復を見せるべきですが、それも出来なさそう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2022年10月10日 (月) 12時51分
我が家のご近所の70代の先輩方は、趣味もお孫ちゃんの世話も楽しみながら、自分が使うお金くらいは自分で稼ぎたいと仕事もして、テレビで見た鶴岡路人氏の話がいちばん納得がいったきっかけで東野篤子氏、廣瀬陽子氏、高橋杉雄氏などを知り、テレビで各氏の話を聞いてウクライナ情勢とロシアの極悪を大筋で掴めている、時間を目一杯活用して八面六臂の活躍だというのに、まったくプーチンときたら。
自分の攻撃はよくて他人の攻撃はいけないとか、まるで日本左翼と一緒だけれど、「これは宣戦布告だ」とか言っているプーチンは、私ですら読んで理解した国際人道法・武力紛争法が致命的にわからないご様子。
投稿: 宜野湾より | 2022年10月10日 (月) 18時14分
自分は不勉強にもこの橋の存在を知りませんでした。
ヘルソン州のパルチザンが頑張っているのに何で州都が落ちないんだろうと不思議に思っていました。
クリミア経由で補給がある(あった)ということで納得です。
クリミア大橋の爆破の効果は凄いですね。
ロシアはすぐに再開通と言っていますが、燃料の輸送量は大幅に減りますね。
また、脆弱になっているのは間違いなく、今度は自爆テロでもHIMARSでも容易にに断絶できそうですね。
今朝はロシアから報復と思われるキーウへのミサイル攻撃がありました。
飽和攻撃に対する防御は本当に難しいですね。
今回の策源地の一つであるベラルーシを締め上げるのが有効かもしれませんね。
投稿: プー | 2022年10月10日 (月) 23時20分