ヘルソン市が奪還され、市民は歓喜に沸き立っています。
死の街は生き返りました。自由が帰ってきたのです。
あたりまえにじぶんの国の旗を掲げることができ、自分の国の国語で会話し、自分の意見を誰はばかることなく言える、言っても拷問に合わない、あるいは隣の人を密告せずに済む社会。
これが「自由」と、私たちが呼ぶものではないでしょうか。
ヘルソン市で真っ先にロシア軍がしたことは、他の占領地域でしたことと同じでした。
すなわち、ウライナ国歌やウクライナ語の禁止、ロシア語による学校教育の強制、ルーブル支払いの強要、親ロシアニュース番組の放送、ロシア語新聞の発行などの情報統制でした。
そして住民の再登録と称する選別も並行して進められたようです。
一方撤退したロシア軍が残した爪痕はあまりにひどく、市内には公共施設、民間居住区、学校、病院あらゆるものに仕掛け爆弾(ブービートラップ)が仕掛けられており、市民が平常の市民生活に戻るためには、それをひとつひとつ探し出し、撤去せねばなりません。
「露軍はヘルソン市内に多数の地雷を埋め、ドアを開くと爆発するトラップ(わな)も仕掛けているとされ、除去には相当の時間がかかる見通しだ。露軍は、ヘルソンのインフラ設備を破壊して退却する「焦土作戦」も展開。ウクライナ軍の前進を遅らせる狙いなどがあるとみられるが、現地では電気やガス、水道の供給が止まり、携帯電話の電波もつながっていないという」
(産経11月12日)
ヘルソンの支配権回復にハードル 砲撃や多数の地雷の恐れ - 産経ニュース (sankei.com)
また、ロシア軍は「住民保護」の名目で、ヘルソン市を含むドニエプル川西岸地域の住民の実に約半数の10万人超を、自らの支配地域に拉致したままになっています。
BBC
このヘルソンからの「避難民」の行く先は想像できます。
まず間違いなく、最初に彼らが送りこまれたのは選別キャンプ(フィルターキャンプ) のはずです。
マウリポリでは「人道回廊」の先に待っていたのが、4万人以上が強制的に収容された選別キャンプでした。
フィルターキャンプで、ロシアは住民を「いい住民」すなわちロシアに忠誠を誓う者と、「悪い住民」すなわちロシアに抵抗す者に仕分けします。
その方法は拷問、殴打、そして女性に対しては強姦です。
反吐が出そうですが、これが民族浄化です。
HRW報告書
これを経験した住民の証言があります。
HRW報告書
このような収容所は、人権団体「ボストークSOS」によれば、「数を正確に把握するのは難しいが、東部ドネツク州を中心に数十は存在し、学校の校舎やテント村、拘置所や刑務所などがキャンプとして使われている」(産経9月6日)そうです。
私たちが眼前にしている占領地での多数の虐殺された民間人の遺体は、手は縛られ後ろから射殺された者が多くいますが、それはこの「尋問」の間に発生したと想像できます。
そして「悪い住民」を次に待っているのが「流刑」です。
いままで多くはサハリンなどに「流刑」されてしまい消息不明となっています。
下の写真は、3月にロシア政府が公表した文書から見つかったロシア政府の移送計画です。
ここには、ウクライナの市民10万人をロシア連邦内の85の地域に移送させる計画が記されています
この移送先は、ウクライナに近隣のロシア西部地域にとどまらず、シベリアがもっとも多いようで7千人を送ると記されています。
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NHK
NHK
このような民族強制移動は、ソ連時代頻繁にとられた支配方法でした。
その源流は、ロシア帝国にあります。
住民を住み慣れた土地と家、畑、友人親類から引き剥がし、まったく縁もゆかりもない辺境に流刑するのは、その人たちの精神を確実に破壊しました。
ロシア人ほどその効用をよく知る民族はいないのです。
だから政治犯は、あえて殺して英雄にするよりもシベリア流刑に処したのです。
そして市民が無事に帰還したとしても、困難は山積しています。
たとえばキーウ郊外のイルピンという住宅地域では、家に戻った住民はあまりの惨状にわが眼を疑いました。
家財道具がなにも残っていないのです。
ダイヤローグフォーピープル
まさに強盗軍団。
現代の軍隊がこのような略奪を恒常的にしていたとはにわかに信じがたいくらいですが、膨大な数の証言が集まっています。
洗濯機を背負って逃げる軍隊など、現代にどこにいるのでしょうか。
地雷はそこかしこに敷設されており、仕掛け爆弾は道路、瓦礫、住宅、学校、病院にまで仕掛けられていました。
下の写真は解放されたイルピンで見つかったものですが、手榴弾の安全ピンに白い仕掛け用器具が見えます。
この器具の先にワイヤーを取り付けて、それに引っかかると爆発する仕組みです。
これをロシア軍は、殺害した市民の遺体にすら仕掛けたために、ブチャなどはウクライナ軍が調査して撤去するまで、埋葬すらできませんでた。
ですから、ヘルソンに入ったウクライナ軍先遣部隊がせねばならないのは「安定化作業」とよばれる地雷と仕掛け場弾、不発弾の撤去、そしてロシア敗残兵の探査です。
ダイヤローグフォーピープル
そして今後に影響が出る重大な被害は、ロシア軍が市内の生活インフラをことごとく破壊していったことです。
テレビ放送施設、通信施設、ボイラーに続き火力発電施設や給水施設、そしてダムすら破壊の対象となりました。
ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダムの一部が破壊されたことは、衛星写真で確認できています。
このヘルソンのダム破壊を当初、ロシアはウクライナの仕業だといっていましたが、誰ひとり信じるものがいない偽旗作戦にすぎません。
ウクライナが、ヘルソン州の電源を担っている重要インフラを壊してどうするのですか。
いうまでなく国際法違反です。
「ダム、堤防及び原子力発電所」の「危険な力を内蔵する工作物及び施設」についても、たとえそれが「軍事目標である場合であっても、これらを攻撃することが危険な力の放出を引き起こし、その結果文民に重大な損失をもたらすときは、攻撃の対象としてはならない」(ジュネーヴ条約第1追加議定書 )
(『国際法から見たロシアによるウクライナ侵攻⑥』 海上自衛隊幹部学校戦略研究会コラム2022年4月23日)
これはヘルソン市民の生活を逼迫させることにとどまらず、ドニエプル川の東に位置するザポリージャ原発を電力不足に陥らせるために起こしたことでした。
ザポリージャ原発は、ヘルソンのダムから送られた電力で冷却を行っていますから、ここがダウンすると直ちに大きな影響が出ます。
ザポリージャ原発については明日に続けます。
呪われよ、プーチン、くたばれ、悪鬼の軍隊ども!
ヘルソン解放 「まだ戦争が終わったわけではない」とウクライナ政府 - BBCニュース
ウクライナに平和と独立を
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もはや軍隊ではない、山賊同然の露助軍の蛮行ですが、これはもう遺伝子レベルで刷り込まれた所業としか言えませんね。
この惨状が明らかになってもまだ維新は露助を擁護するんでしょうか。
投稿: KOBA | 2022年11月15日 (火) 11時10分
まともな訓練を受けてない動員兵をいくら配置しても役立たず、舞台で端役すらこなせない。
これからもジワジワと或いは電光石火の如くウクライナに占領地を奪い返されるんでしょう。
ウクライナ軍は既に複数のゴムボートでドニエプル川を渡河しロシア軍と交戦しているという未確認情報も出てますね。
負けるなら何でもかんでも盗み、街を破壊して逃げる、こんな連中には因果応報よろしく天罰がくだりますように。
以前、戦車などを破壊する爆薬などか無いのではとコメントしましたが、これ程までにトラップを仕掛けているなら充分にありますね。
以前のコメントを奪回いたします。
外交官ナンバーの車が交通違反をしても外交官特権とやらで反則金を踏み倒してる、ロシアは全体の47%、1800件を超える。
お国柄なんですかね、泥棒国家ですやん。
投稿: 多摩っこ | 2022年11月15日 (火) 12時35分