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« ポーランドへのミサイル着弾 | トップページ | 北、目下「核大国」へ邁進中 »

2022年11月18日 (金)

ウクライナは結論を出す前に一緒に調べようと言っているだけです。

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メディアは、ウクライナとNATOとの間に亀裂をいれたくて仕方がないようです。
NHKはこんな書き方をしています。

「ロシアによるウクライナ侵攻が続く中、NATO=北大西洋条約機構の加盟国・ポーランドに、ミサイルが落下したことについて、NATOの事務総長は、ウクライナ軍の迎撃ミサイルだった可能性があると指摘しました。
これに対してウクライナのゼレンスキー大統領は「われわれのミサイルではない」と否定し、見解に隔たりが生じています」
(NHK11月17日)
ポーランドに落下のミサイル NATOとウクライナで見解に隔たり | NHK | ウクライナ情勢 

おいおいNHK、ゼレンスキーの発言をこういう前後を切り取った要約をしてしまうと、まるで両者が対立しているみたいに見えてしまだろうが。
このゼレンスキー発言の前段でこう言っているのです。

「ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、「ロシアのミサイルテロによるポーランド市民の死に対する哀悼の意」を送った。爆発は、火曜日にロシアのミサイルの波がポーランドとの国境近くのリヴィウを含むウクライナ中の都市を攻撃した後に起こった。
ゼレンスキーは、ロシアの攻撃によって約1,000万人の電力が遮断されたが、後に800万人に復旧し、2つの原子力発電所の自動停止も引き起こしたと述べた。彼は、ロシアが全国のエネルギー施設に85発のミサイルを発射したと述べ、この攻撃はG20の「顔への冷笑的な平手打ち」だと非難した」
(AFP 2022年11月16日 )

大前提として、この事件はロシアによる2月24日侵攻以来最大規模のミサイル攻撃があったことです。
まずこのミサイル攻撃があった場所に注目してください。攻撃が集中したのは、リビウでした。
リビウはウクライナ西端のポーランド国境にある街で、西側からの支援物資の集積所と西側の軍事訓練を受けるヤボリウ訓練場などがある地域です。

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ミサイル攻撃受けた軍施設には米供与の兵器…ロシア軍、支援続ける米欧を威嚇か : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

この訓練場はポーランド国境からわずか16㎞ほどしか離れていない場所にあたり、ここを狙えば必ず精度に難があるロシア製ミサイルでは数秒でポーランドへ越境してしまう危険がありました。

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TBS

こういう場所を標的にすること自体が、ボーランドを筆頭にする西側への脅迫だったわけです。
そして起こるべくしてこの事件が起きのです。

では次になぜ、この日にロシアが仕掛けたのか考えてみましょう。
メディアはヘルソンが奪還され、ゼレンスキーが訪れたことに対する報復だということばかり強調しますが近視眼的です。
ほんとうのロシアの目的は、G20において彼らの懸命な裏工作にもかかわらず非難声明が出てしまったことに対する「冷笑的平手打ち」です。

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G20 首脳宣言の草案 “ロシアを強く非難” 一方で一定の配慮も | NHK | G20

「「ウクライナでの戦争についてほとんどの国が強く非難した」とする一方、ロシアに対する経済制裁やウクライナ情勢をめぐっては「異なる見解や評価があった」とも記し、経済制裁に加わっていない一部の国やロシアの立場に一定の配慮を示す内容となっています。
また「核兵器の使用、もしくは使用の脅しは容認しない」として、ロシアのプーチン政権が核戦力の使用も辞さない姿勢を示していることに明確に反対しています」
(NHK11月15日)
G20 首脳宣言の草案 “ロシアを強く非難” 一方で一定の配慮も | NHK | G20 

このロシアの政治的意図が分かっているからこそ、NATO事務総長はボーランドの事件の直後、すぐに「これはウクライナのせいではない」という擁護発言をしたのです。

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TBS

以上を押さえたうえで、このゼレンスキーの発言を聞いてみましょう。

「ウクライナのゼレンスキー大統領は16日、前日のウクライナとの国境近くのポーランド領で爆発したミサイルについて、それがウクライナのミサイルにでなかったことを疑っていないとし、ウクライナは同国代表者の事件現場へのアクセスを求めていると発言した」
(ウクライナフォーラム 11月17日)
ゼレンシキー宇大統領、ポーランドへのミサイル着弾につき「それが私たちのミサイルでなかったことを疑っていない」 (ukrinform.jp)

自分は空軍司令部から、その夜に報告をもらっている。
ゼレンスキーーとしてはまず共に戦っている自軍から聞き取り、そのうえでウクライナ側のデーターと突き合わせて調査をしたいので、現地調査をさせて欲しいということです。
自軍からの報告をまず信じる、ロシアのと厳しい戦いをしているウクライナの戦争指導部としてはまったく当然の判断です。
わが国のように、国際社会からお前のせいだとでも言われようものなら、すぐに 自衛隊に責任を丸投げして謝罪してしまうどこぞの国とは大違いです。

「ゼレンスキーは、「私が空軍司令部からザルジュニー総司令官への個人的な夜の報告を疑うことはない。
私は、それが私たちのミサイル、あるいは私たちのミサイル攻撃ではなかったということを疑っていない。私には、彼らを信頼しないということには、意味がないのだ。私は彼らと戦争を乗り越えてきた。私には、『ウクライナを現場に通してもらえないか?』というシンプルな立場がある。それが公正だ。
私は、私たちにはその権利があると思っている。捜査が終わっていない間は、最終的な結論を口にしないでも良いだろうか? 私は、それが公正だと思っている」と発言した」
(ウクライナフォーラム前掲)

ゼレンスキーは結論を出す前に、ウクライナにも現場を見せてほしいと言っているだけのことです。
このどこがNHKが言う「見解の隔たり」なのでしょうか。

そうではない、と筑波大学・東野篤子教授はゼレンスキー発言の全体を読むようにと、こう述べています。

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日テレ

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日テレ

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日テレ

「ゼレンスキーが言ったのは、『空軍司令部から総司令官に対して報告がありました。私としては、その報告を信じる立場にあります』。やはり戦争中ですので、大統領とその軍部の間に強い信頼関係は必要。外国からの情報で、一方的に自国の軍隊が上げてきた情報を全部否定しますということはできない。現場も見たいし、証拠も見たい。最終的な判断がついてから発言したいということを言っていると思う」
(日テレ11月17日)
ゼレンスキー氏「現地を訪問させてほしい」 着弾はウクライナの防空ミサイルか?(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

まったく東野氏の言うとおりです。

ただし、この問題は長引かせるべきではありません。
絶対に非を認めないロシアと同一視されるからです。
早めに現地合同調査に加わり、ポーランドに謝罪と賠償を行えば、いっそうの支援につながるはずですから。

 

追記
ウクライナの調査団が現地に着いたようです。

「(CNN) ウクライナ大統領府の情報筋はCNNに対し、15日にミサイルが着弾したポーランドの現場にウクライナの調査官が到着したことを明らかにした。
同国のゼレンスキー大統領は16日、ポーランドと米国の専門家が主導する調査へのウクライナの調査団の参加を求めていた。
ゼレンスキー氏は「16日に我々も国際共同調査委員会に参加できるよう主張し、夜遅くには参加を認める確認が取れた。明朝ウクライナの専門家が現場に行き、調査に加わることになる」とブルームバーグ新経済フォーラムに出席した際に述べた」
(CNN2022年11月18日)
ウクライナの調査官、ポーランドのミサイル着弾現場に到着 - CNN.co.jp

 

 

 

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大統領、さらなる領土解放へ決意 ウクライナのヘルソン奪還で:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

ウクライナに平和と独立を

 

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コメント

現地調査にウクライナも加わることになったようです。
そこで白黒付いてからゼレンスキーは謝罪なり再否定なりすれば良いだけ。

やたら分断を煽るメディアは何なんだか。
「アメリカの保守派もゼレンスキーが第三次世界大戦を起こそうとしていると批難」したんだとか。
筑波大学の東野先生は終始落ち着いてバランスを取った丁寧な解説をしていますね。

調査結果を待つよりも面白おかしく報道しちゃう日本。
NATOをこの戦争に引き入れたいのではないかとも思ってしまいますね。

 軍の最高司令官たるゼレンスキーにしてみれば、軍から上がって来る情報を否定する証拠が明らかでない限り、軍の情報による他ありません。そのうえで、その証拠を共有したいと言っているのであって、「ロシアと五十歩百歩のプロパガンダ体質だ」とか、NHKのように西側の認識の懸隔を印象付けるのは失当です。

しかしまぁ、この事件で西側とウクライナ側に溝が出来るとは思えませんが、弱小くされロシア軍は早速プロパガンダに逆利用しています。
露国防相は11/15ウクライナ全土に対するミサイル攻撃に関して、「キエフ市内には一発も打ち込んでいず、ウクライナが主張する団地の破壊や民間インフラへの攻撃はウクライナ軍の自作自演だ」と述べています。だからロシアなど信用されるはずもないのですが、これを信じる馬鹿が日本にも一定数いるのも事実です。

もっと深刻なのは、トランプ陣営かも知れません。
トランプジュニアは16日のツイッターで、「ウクライナによる(NATOの同盟国である)ポーランド攻撃」と表現し、「彼らを武装させるために数十億ドルを費やす事をやめるべき」と言っている。
かつてトランプは「ウクライナに侵攻すれば、モスクワは火の海になる」と述べた事もありましたが、モスクワのプロパガンダに侵されている頭の軽い連中や親露派陰謀論者のほとんどがトランプ支持。
トランプ御大は共和党を乗っ取る前に陰謀論者に乗っ取られてしまうかも知れず、いまや日本の立場とも相いれない存在になってしまったように感じられます。

やらかした時にいかに冷静に判断し明らかになった事実に対して真摯に対応できるかでその人物の本質が見えてくると個人的には思っています。
ゼレンスキーは正念場ですがここをミス無く対処する事が出来れば最近緩みかけているNATO諸国の引き締めにも繋がる事と思います。

しかしまぁその反面、ロシアはミサイルが落ちた瞬間の「これマジでやべぇよ…」という思いが透けて見えた発信をしていたのもつかの間、大戦勃発の引き金にならないと判断した途端にいつものノリに戻るのも怒りを通り越して呆れる気持ちしかありません。
今回の件で両国が撃ち合う弾道がいかに正確に監視されていたことが明るみになっているのにまだ「自作自演」を貫ける面の皮の厚さはなんなのでしょうね。
それにコロッと乗っかってしまう親露派の方々も同様ですが。

死人が出ているのできちんとした調査をして結果を踏まえて正式な謝罪等なりになるしそれはウクライナとポーランドの問題であり他国がとやかく言うべきではない。(なおポーランドは兵力を対ロシア側へ増員したw)

さて親露系サイトを巡回してると「ウクライナによる偽旗作戦の決定的な証拠だ」的な事が出回ってきましたね。
まあそのあとに続くのはブチャは~~的な引用記事ばかり、
肝心のヘルソン撤退には触れていないのは何故だろうか。(9月からの反抗作戦にも引用記事しかないからね)
ではでは来年の今頃には平和になっていることを願います、本当に戦争は嫌だ。

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