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« 核の対抗抑止について定見を持たないバイデン | トップページ | 海保と海自は本質的に別物 »

2022年11月 9日 (水)

増税大好き、岸田首相

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岸田氏が「防衛費の抜本的増額」を口にしたのは結構でしたが、いろいろなことが吹き出しました。
いきなり財務省推しのような人たちが有識者会議に集められて、いかにして「抜本的強化」のための予算を水増しするかで首をひねっています。

こんなことを言っているようです。

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NHK

「政府は31日、首相官邸で20日に開いた防衛力強化に関する有識者会議(座長・佐々江賢一郎元外務次官)の第2回会合の議事要旨を公開した。防衛費増額の財源について、「幅広い税目による国民負担が必要なことを明確にして国民の理解を得るべきだ」など、国債発行に頼らず、増税など国民負担を求める有識者の意見が多く紹介されている。
議事要旨に発言者名は記されていない。出席者の1人は「他の歳出の削減による財源の捻出」を求めた上で、防衛力強化は国民全体の利益になるため「費用も国民全体で広く薄く負担するというのが基本的な考え方だ」と述べた。
別の出席者は、所得税など直接税を増税して歳入増を図ってきた歴史を強調し、「大戦時の軍事費調達のため多額の国債が発行され、終戦直後にインフレを招いた歴史を忘れてはならない」と主張。「むやみに国債発行をしてはならない」との意見もあった」
(産経10月31日)
防衛費財源「国民全体で負担を」 有識者会議で増税論相次ぐ - 産経ニュース (sankei.com)

誰ですか、この「国債を発行するとインフレになる」といった馬鹿は。まだこんなカビの生えたようなことを言ってるんですか。
アベノミクスで国債をガンガンだして金融緩和をしまくりましたが、終戦直後のインフレ」になるどころか,これでもまだデフレから抜け出せませんした。

国債発行高とインフレ率の相関を見てみましょう。
まずは国債発行高から。
新型コロナ対策として3度にわたる補正予算を編成した2020年度の新規国債発行は108兆円で未曾有の額に積み上がり、歳入に占める国債依存度は73.5%となっています。

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国債発行残高、初の1000兆円突破へ : 国民1人当たり借金800万円 | nippon.com

では、これによって「終戦直後のようなインフレ」が到来したでしょうか。
下図で、食糧・エネルギーを除くコアコアCPIは青線で表示されていますが、コロナ対策費で国債を108兆円積み上げた2020年度ですらマイナスをさまよっています。
なにがハンパーインフレですか。
つまり国債発行と低金利政策は、デフレ経済化においてはインフレを引き起こさないのです。

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図録▽消費者物価指数の動き (sakura.ne.jp)

次に、今の日本と世界のインフレ率を比べてみましょう。

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第一生命経済研究所

上図一番下で低位安定しているのが日本です。
わずかに2%を超えたくらいで、むしろいい感じで経済が温まってきているくらいです。
よくメディ
アは、円安で物価高騰と叫びますが、2%ていどのインフレは世界的に見てむしろ低いくらいで、日本人の感覚が低体温症のようなデフレがあまりにも長期に続いたために価値観がおかしくなっているだけのことです。
今のような温和なインフレが続くと、景気を温めて悲願のデフレ脱却がやっと現実化します。

海外の物価動向と比較すると日本の物価上昇率は長らく低く、日本経済のデフレ体質からの脱却は容易ではなかったことが分かります。
にもかかわらず、いまこの時期に増税したらどうなるのか火をみるより明らかですが、すでに与党関係者は増税メニューを配りまくっているようです。
自民党の増税派は9月半には経済界に対して法人税、金融所得課税、たばこ税の引き上げを検討する意向を伝えているそうです。
増税は景気の加熱を抑えるためにするもの。
いまの米国や英国ならば、インフレ加熱を抑える効果が期待できるでしょう。
一方、世界主要国でもっともインフレ率が低く、2%台をやっと抜けたようなわが国で増税をすればどうなるか、少し考えればわかりそうなものです。
確実に経済を冷やし、デフレ脱却の芽を摘んでしまうのです。

「日本のインフレ率は消費増税時を除けば約30年振りに前年比2%に到達したが、9%前後の欧米諸国と比べると物価上昇は限定的。企業の価格支配力の違い、経済回復ペースの違い、人手不足の度合いの違いを反映。今後のエネルギー価格や為替相場の動向次第で3%乗せを視野に入れることがあったとしても、欧米のような2桁台を睨むインフレ加速に直面することは見通せない」
(第一生命経済研究所2022年7月22日)
日米欧の物価上昇率の比較 ~日本は2%超えも9%前後の欧米との違いは?~ | 田中 理 | 第一生命経済研究所 (dlri.co.jp)

法人税を上げれば確実に企業収益を圧迫し、金融所得課税をやれば株式投資が冷え込み、株価を冷え込ませます。
識者とやらのいうように防衛増税をすれば、「広く薄く負担が増え」、消費増税と同じ効果を個人消費にもたらします。
消費増税があった2014年を例にとります。
消費増税が激しく個人消費を直撃しているのがわかります。
しかもこれは「広く薄く」同率で課税するために、貧困層に厳しいものとなり貧富の格差を助長します。

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独眼経眼:増税前の景気冷え込みで日本株出遅れ=藤代宏一 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

次に岸田氏が狙っているのが、金融所得課税ですが、こんなものを増税メニューに乗せる神経がわかりません。
たしか岸田氏のお題目である「新しい資本主義」について、こんなこと言っていましたね。
政権発足当初に岸田氏が掲げていた「新しい資本主義」構想とは、企業の短期的な利益拡大を抑えて、株主の利益を優先を修正し、所得格差をなくしていく政策だと見られていました。
まるで旧民主党政権が言い出しそうな社会主義的経済政策ですが、この考え方から個人所得課税の税率と比べて低い金融所得課税制度を問題視し、金融所得課税を強化しようという税制構想が生まれたのです。

「岸田首相は5月上旬に、英国金融街シティの講演で、突然「資産所得倍増計画」を打ち上げた。政権発足時に岸田首相は「令和版所得倍増計画」を掲げていたが、これに個人の資産を倍増させる目標を加えたものか、つまり「資産・所得倍増計画」かとも思われたが、実際には個人の「資産所得」を倍増させることを目指す計画なのだろう」
(木内登英2022年5月31日)
岸田政権の「資産所得倍増計画」と「貯蓄から投資へ」 | 2022年 | 木内登英のGlobal Economy & Policy Insight | 野村総合研究所(NRI) 

ところがこの5月にロンドンでコロリと、「貯蓄から投資へ」と言い方を変えたのですが、またぞろ増税モードが疼き始めたようです。
今度も懲りずに金融所得課税が、増税メニューに入っているようです。
こうなると岸田氏は増税大好き、とお見受けしてよいようです。

では、なんのために増税するのでしょうか。
いうまでもありませんが、税収を上げるためですよね。
ところがなんと皮肉なことには、22年度の税収が発表されたのですが、これが過去最大だったのです、お立ち会い(笑)。

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国の20年度税収、コロナ禍でも過去最高 60.8兆円に: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「[東京 4日 ロイター] - 2022年度の一般会計税収が68兆3500億円余りと、過去最高だった21年度実績を上回る見通しであることが4日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。政府が近く閣議決定する22年度2次補正予算案で、昨年末の見積りを増額修正する。
主要税目のうち所得、法人税収などが堅調に推移していることを反映する。当初は22年度税収を65兆2350億円と想定していた。新たに3.1兆円上振れすると見込み、政府が先月28日に決定した総合経済対策の財源に充てる」
(ロイター11月4日)
22年度税収が過去最高68兆円超に、2次補正で3.1兆円増額=政府筋 | Reuters

税収が過去最大になった原因は大幅円安です。
円安が輸出産業を押し上げたのです。
これを神風ととらえないで、円安地獄と評するのがメディアと増税派です。

そして次なる増税カードが、なんと呆れたことには防衛費増額です。

「防衛費増額については、自民党内に北大西洋条約機構(NATO)基準を念頭に、5年以内に国内総生産(GDP)比2%以上に当たる11兆円規模を求める声が強い。現行の防衛予算は5兆円台で、政府が検討している海上保安庁予算などの経費を幅広く含めるNATO基準での算定でも6兆円台と、大幅な増額とその財源が必要だ」

時事2022年09月22日
防衛費増額「財源の壁」 国防強化、動きだす増税論:時事ドットコム (jiji.com)

米国には防衛費の増額を公約してしまった手前、ともかく防衛周辺のモノを防衛費鍋の中にぶっ込んでしまえ、そうすりゃ楽勝で2%になるわい、という粗雑な案でした。

「複数の政府関係者が明らかにした。NATOが掲げるGDP比2%を目標とするには、同様の基準を参考にするのが妥当と判断した。NATOは、加盟国の国防努力を比較するため、GDP比の対象となる「国防関係支出」に含める項目を定めている。日本の防衛費には含まれない主な項目には、海保に相当する沿岸警備隊や国連平和維持活動(PKO)関連費、退役軍人らの年金などがある。
 この基準を2022年度当初予算に適用すると、防衛費(約5・4兆円)に、海保予算(約2200億円)や旧軍人遺族などへの恩給費(約1100億円)などが加わり、防衛関係費は約6・1兆円となる。GDP比は1・08%だ。補正予算を含む21年度予算でみると、海保予算(約2600億円)などを加えた防衛関係費は約6・9兆円で、GDP比1・24%となる」
(読売2022年9月10日)
防衛費、海保予算も含めた算定方法の導入検討へ…「NATO基準」参考にGDP2%に : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

後は、年4兆円を超える科学技術関係予算のうち、文部科学、経済産業両省が6割強を占め、防衛省は4%だけなのを見直し、宇宙分野や先端技術開発など防衛利用が見込める予算を防衛関係費として込み込みにしてしまうという案もあるようです。
特にひどいのが海保予算の防衛費繰り込みです。

しかもこれを安倍氏が言い出したことだと言い訳しましたが、当時を知悉している島田和久前防衛事務次官(現内閣官房参与)から噛みつかれました。

「しかも政府関係者が、海保の上乗せは、安倍晋三政権の時に決めた方針だと説明しているらしいと聞く。ちょっと待ってほしい。安倍政権において、そのような方針を決めた事実はない。「海保の予算は防衛に直接関係する経費ではない。しかし、いわば安全保障に関連する経費ではある」、という当たり前の整理をしたことがあるだけだ。
政府方針は「国家安全保障の最終的な担保となる防衛力の抜本的強化」であり、「その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」ことだ。岸田首相は明確にそう述べている。議論をすり替えてはならない」
(産経2022年10月21日)
【寄稿】島田前次官 海保防衛費上乗せ「安倍政権で決定」ない - 産経ニュース (sankei.com)

岸田氏自身が考えたとは思いたくないのですが、海保予算を防衛予算に入れるというのは、下策を通り越してもはや暴論です。
この案は、海保と自衛隊は本質的にまったく違う存在だということを理解しておらず、中国に対して誤った外交シグナルを送る可能性すらあります。
それは海保は自衛隊の下請け組織だということですが、これについては長くなりそうなので明日に続けます。

 

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コメント

ひょんなことからようやくインフレターゲットの2%に届いたというのに、賃金アップも待たずにこんなこと言い出すのは財務省の意図でしょう。バカかと。
情報発信の下手くそさも太平洋の向こうの大統領そっくりですね。明確な意図が何なのかが国民に伝わらない。そりゃ人気落ちますって。

自動車走行距離税なんて話も出てきましたけど、大都市以外では大ブーイング!要はHVや電気自動車が増えてガソリン税収入が減ってるからどうにかして絞り取ろうというだけだろ!と、ついさっき電動化に熱心な日産のディーラーで若い営業マンと話してきたばかり。

防衛関連予算としてJAXAや海保予算も一緒くたで···それぞれ文部&経産省と国交省で別予算でやる話を纏めて防衛費って、岸田さん本当にダメだな。
特に海保はあくまでも海上の警察権です。
一緒にしちゃったら、国際的には中国が先にやった中国海警の人民解放軍傘下入りと同じ解釈をされてしまいますね。

 金融緩和の出口論者にして財務省の代理人木原誠二、財政均衡至上主義者の鈴木俊一財務相と、こういうメンツが人事や政策の舵を切っているのだからどうしようもない無能政権に陥るのは当然でしょう。
岸田さんと言えど自民党だし、その分断は中国を利する結果になるだけと考えてきましたが、ここまであからさまに自民党を財務省党に回帰させようとする岸田政権はもう支持できません。

国民最大にして最優先の福祉は安全保障です。
旅行業界やら、統一教会被害者救済などと言った優先度の低いものにはバンバンと金を出し、重大にして喫緊に必要な防衛費は増税で対処しようとする岸田政権は絶望的です。

少なくとも順番が違います。
まず国債発行して必要十分な防衛費を賄い、その上で財務省がため込んでいる外為特会などの隠れ資金をあて、それでも継続的な防衛費増を維持する困難がある場合にこそ「増税」があるべきで、このような増税ありきのやり方はまったく納得出来ません。
まるで「増税のための防衛費増」としか見えないのは自分だけではないでしょう。岸田さんは無能ではあるが、多少は安倍総理の意思をつぐだろうと考えていましたが、つくづく失望しました。

岸田政権の次なる目的は黒田日銀総裁の次を金融引き締め派の手に渡すことで、これで日本経済は終わります。
「新しい資本主義」とかなんとか、日本が老いも若きも株式投資や副業に手を染めるアメリカのような国家になるハズがありません。
本当に馬鹿者だと言わざるを得ません。


 >この案は、海保と自衛隊は本質的にまったく違う存在だということを理解しておらず、中国に対して誤った外交シグナルを送る可能性すらあります

 財務省もシナチスの手先なのは明白。

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