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2022年12月

2022年12月31日 (土)

本年中はありがとうございました

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みなさま、本年中はご訪問いただきまして、ほんとうにありがとうございます。
今年は、ウクライナ侵攻で始まり、中国のコロナの再爆発で終わろうとしています。
そして安部氏が殺害されました。半年たってもこの衝撃は私から去りません。

ウクライナは善戦しました。この地に1日も早い平和が訪れることを、祈るばかりです。

私事ですが、私もなんと70になってしまい、おいオレってこんな歳かよと自分で驚いております。(笑) 
今年の秋に農場も最後の出荷をして、これを区切りとして閉鎖いたしました。
もはや「元農民」です。

来年も淡々と更新し続ける所存ですので、ひとつよろしくお願いいたします。
通常の新規更新は4日(水)からです。
皆さま、よいお年をお迎えください。

                                                                       ブログ主拝

 

 

2022年12月30日 (金)

ウクライナ ゼレンスキー大統領 米議会で演説全文

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今日は、ゼレンスキー訪米時の歴史的演説全文をご紹介いたします。
改めて言葉の力を感じます。

                                      ~~

議長、議員の皆様、紳士淑女の皆様、アメリカの人々、友よ。

ウクライナ、私たちの首都キーウから皆様にあいさつができることを誇りに思います。ロシア軍によるミサイル攻撃と空爆を受けている都市からです。毎日です。しかし、キーウは決して屈しません。1秒たりとも諦めるつもりはありませんでした。第2次世界大戦以来、恐ろしい戦争に巻き込まれたわれわれの数多くのほかの都市と同じように。

私は勇敢で自由を愛するウクライナの市民の代表としてあいさつができて光栄です。彼らは8年もの間、ロシアからの侵略に抵抗し続けています。彼らはロシアの全面的な侵略を阻止するために、最良の子どもたち、つまり息子たちや娘たちを送り出しているのです。

いま、私たちの国の運命が決定されようとしています。わが民族の運命が。ウクライナ人が自由になれるかどうか決められようとしているのです。国民が民主主義を守れるかどうか。

ロシアはわれわれの国の土地や都市を攻撃しただけでなく、われわれの価値観に対して残忍な攻撃を仕掛けてきました。人間の基本的な価値観に対して。われわれの自由に対して戦車と飛行機を投げつけてきました。私たちが自分の国で自由に生き、私たち自身の将来を選択する権利に対して。私たちの幸福を望む気持ちに対して。私たち国民の夢に対して。あなた方やアメリカの普通の人々と同じように。アメリカのすべての人々の夢と同じように。

私はアメリカのラシュモア山の国立記念碑を思い出しています。著名な大統領たちの顔、アメリカの礎を築いた人たち。きょうのアメリカがあるように。民主主義、独立、自由、思いやり。真面目に働くすべての人々。正しく生きている人々。法律を尊重している人々。

私たちウクライナ人も自分たちにも同じことを望んでいます。そのすべてが、あなた方にとって当たり前のことなのです。

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ゼレンスキー氏、世界の未来は「この戦いで決まる」 米議会で演説 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

皆様、アメリカの人々。

あなた方のすばらしい歴史の中に、ウクライナ人を理解するためのページがあります。
いまの私たちを理解するため。最も必要とされるときに。

パールハーバーを思い出してください。1941年12月7日の恐ろしい朝。あなたたちを攻撃してきた飛行機のせいで空が真っ黒になったとき。それをただ思い出してください。

9月11日を思い出してください。2001年の恐ろしい日、悪があなたの街を戦場に変えようとしたとき。罪のない人々が攻撃されたとき。空から攻撃されたのです。誰も予想できなかった形で。

あなた方が止めることができなかったように。私たちの領土は毎日これを経験しているのです。毎晩。すでに3週間も。さまざまなウクライナの都市で。オデーサとハルキウ、チェルニヒウとスーミ、ジトーミルとリビウ。マリウポリとドニプロ。ロシアはウクライナの空を死の源に変えてしまったのです。何千人もの人の。

ロシア軍はすでに1000発近くのミサイルをウクライナに向けて発射しました。数え切れない空爆の数。より正確に殺すためドローンを使用しています。これはヨーロッパがこの80年間見たことのなかったテロです。

私たちは答えを求めています。世界からの答え。テロに対する答え。これは過剰な要求でしょうか。

ウクライナ上空の飛行禁止区域の設定は人々を救うことになります。人道的な飛行禁止区域です。ロシアがこれ以上、毎日毎晩われわれを恐怖に陥れられなくするための条件です。もしこれが過剰な要求であれば、私たちは代案を示します。

私たちがどんな防衛システムを望んでいるのかご存じですよね。S-300やそれに類するシステムです。

戦場では航空機の使用ができるかどうかにどれだけ頼っているかご存じですよね。パワフルで強い航空機です。人々を守るため。国の自由。国の領土。そうした航空機がウクライナだけでなく、ヨーロッパも救うことができるのです。

こうした航空機が存在するのをご存じですよね。しかし、駐機したままになっています。ウクライナの空には飛んでいません。私たちを守ってくれてはいません。

「私には夢がある」。このことばを、あなた方はみな知っています。きょう私が言えるのは次のことです。私には必要がある、それは、私たちの空を守ってくれること。あなた方の決意、あなた方の支援です。それは全く同じことを意味しているのです。あなた方が感じていることと同じです。あなた方が「I have a dream」を聞くときのように。

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米議会を虜にした千両役者ゼレンスキー大統領だったが・・・ - ライブドアニュース (livedoor.com)

皆様。友よ。

ウクライナはアメリカの圧倒的な支援に感謝しています。あなた方の国があなた方の国民が私たちの自由のためにすでにしてくれたこと。武器と弾薬、訓練と資金、自由な世界でのリーダーシップ、それは侵略者に経済的な圧力をかけるのに役立っています。

バイデン大統領の個人的な関与と、ウクライナと世界の民主主義を守るための献身的な取り組みに感謝しています。

ウクライナ国民に対して戦争犯罪を犯したすべての人を犯罪者と認定する決議案に感謝いたします。

しかし、いまは私たちの国とヨーロッパ全体にとって一番苦しい時で、私はあなた方にもっと強い行動をとるよう求めています。ロシア軍が止まるまで、毎週のように新たな制裁が必要となっています。不当な体制を支えているすべての人に対して、制限が必要です。

私たちは、ウクライナへの侵略の責任者と関係を断ち切らずに政権の要職についているロシアのすべての政治家を制裁リストに加えることを、アメリカに提案しています。

州議会議員から国家テロとの関係を絶つモラルを欠いた最後の役人まで。すべてのアメリカの企業は、ロシア、ロシアの市場から去らなければなりません。私たちの血で染められた市場から。

皆様。議員の皆様。

リーダーシップを見せてください。アメリカの企業の中で、もしまだロシア軍に投資していたり、まだロシアでビジネスをしていたりする企業があれば、その企業に圧力をかけてください。ウクライナとヨーロッパの破壊に使っているお金をロシアが1ドルも受け取れないように。

ロシアの製品とロシアの船に対して、すべてのアメリカの港を閉鎖すべきです。利益よりも平和が大切です。そして、私たちはこの原則を全世界でともに守らなければなりません。

私たちはすでに反戦の共同体の一員になっています。数十か国が加盟する偉大な共同体です。私たちに対するロシアの侵略というプーチン大統領の決断に、原則に従って反応した国々です。

しかし、私たちは前に進むべきです。即座に反応し戦争を止めるため、私たちは新しいツールを作る必要があります。ロシアの全面的な軍事侵攻は2月24日に始まりました。(そのツールがあれば)1日で終えたでしょう。24時間以内に。そうすれば、悪はすぐに罰せられました。きょう、世界はそうしたツールがありません。

過去の戦争によって、先人たちは戦争から私たちを守るはずの制度を作ってきました。しかし、それらは機能していません。私たちは分かっています。あなた方も分かっています。だから、新しいものが必要です。新しい制度。新しい同盟。

そして、それを私たちは提案しています。

「U-24」という同盟を作ることを提案しています。平和のための同盟を。紛争を止めるための力と良心を持った責任ある国家の同盟です。迅速に。必要な支援を24時間以内に提供できるように。必要であれば武器。必要であれば制裁。人道支援。政治的な支援。財政的な援助。すぐに平和を守るために必要なすべてのもの。命を守るために。

さらにこの同盟は、自然災害や人災が起きている国の人々を支援することができます。人道危機や疫病の犠牲になった人々。

最も簡単なことである世界中の人々全員にワクチンを与えることが、世界にとってどれほど困難であったかを思い出してください。新型コロナウイルスに対するワクチン。人々の命を救うための。新たな変異株が発生しないように。世界は数か月、数年間かかりましたが、もっと早くできていれば、人々の犠牲はなかったのです。

皆様。アメリカの人々。

いますでに「U-24」という同盟が結成していたとしたら、数千人もの命を救うことができたと信じています。私たちの国はもとより、平和を求めている多くの国々。非人道的な破壊に見舞われた国々…。

いまからひとつの映像を見ていただきたいです。ロシア軍が私たちの土地でしたことの映像です。私たちはこれを止めなければなりません。これを防がなければなりません。他国の人々を征服しようとする全ての侵略者を事前に破壊するのです。【ウクライナの惨状を伝える短い映像を上映。その後、英語で演説】

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ヘルソン歓喜、遠い復興|【西日本新聞me】 (nishinippon.co.jp)

最後に総括させてください。

きょう、一国のリーダーになるだけでは十分ではありません。
世界のリーダーであることに意味があり、世界のリーダーであることは平和のリーダーを意味します。

一国の平和はもはや、あなたとあなたの国民だけによって決まるものではありません。それは隣国であって、力を持った国によって決まるのです。

強さというのは、大きな領土を持つということではありません。
勇敢で、自国民と世界の市民のために戦う意思があることを言うのです。
人権と自由のために戦うのです。普通に生活できて、来たるときに死ぬ権利、それは隣国や誰かによって決められるものではありません。

きょう、ウクライナ人はウクライナを守っているだけでなく、未来という名のもとに西欧の価値観と世界のために命をかけて戦っています。

アメリカがウクライナだけでなく、ヨーロッパと世界各国を支援しているのは、地球を持続させ、歴史に正義を刻み続けるためなのです。

私はもうすぐ45歳です。100人以上の子どもの心臓の鼓動が止まったとき、私の年齢も止まってしまいました。犠牲を止めることができず、生きた心地がしません。そして、これが偉大なウクライナ人たちのリーダーとしての最大の役割なのです。

わが国のリーダーとして、バイデン大統領に申し上げたい。

あなたは偉大な国のリーダーです。あなたが世界のリーダーとなることを望んでいます。
世界のリーダーとなるということは、平和のリーダーであるということです。

ありがとうございました。

ウクライナに栄光あれ。

【演説全文】ウクライナ ゼレンスキー大統領 米議会で演説 | NHK

 

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CNN
ウクライナに平和と独立を

 

2022年12月29日 (木)

デニー氏、「自治体外交」で訪中

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デニー氏が、中国にいくそうで、あ~聞いただけでげんなりします。

「玉城デニー沖縄県知事は20日、沖縄が武力攻撃に巻き込まれる恐れが強い台湾有事を回避する一助にしようと、県として自治体外交を展開する考えを示した。玉城知事は「沖縄から地域の緊張緩和への貢献を図っていく。今後も新型コロナの感染状況を注視しながら、私や副知事が中国や台湾、韓国などへ訪問し、カウンターパートとしての関係構築を継続したい」などと述べた。(略)
合わせて玉城知事は台湾海峡で有事が発生した場合、沖縄は必ず紛争に巻き込まれるとの軍事評論家の意見も紹介した。「有事とは日本国内が戦争状態になることだ。エネルギーなどさまざまな資源を外国に依存している日本が果たして独立して存立できるのか。政府は77年前の沖縄戦を再び引き起こすことは絶対にさせない、有事には絶対にさせないとしっかりと伝える必要がある」などと強調した」
(琉球新報21日)
デニー沖縄知事「自治体外交」展開へ アジアの緊張緩和へ「沖縄から貢献」 中国、台湾、韓国訪問を検討(琉球新報) - Yahoo!ニュース

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琉球新報

中国は去る8月4日に台湾の頭越しに、日本のEEZに5発の弾道ミサイルを打ち込んできました。
うち1発は、波照間島からわずか80キロという至近距離でした。
福建省から発射された「東風15号」のようです。
台湾海域を狙ったのだがはずれたのではなく、初めから波照間島を標的にしていたのです。

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中国軍の弾道ミサイル落下 岸防衛相「動向注視 対応に万全を」 | NHK | 中国・台湾

この中国の目的がなんであるかなどは、今は横に置きます。
どうせペロシ訪台への警告だのなんだかんだと言うに決まっていますし、そのような強盗の言い訳を聞いても無意味です。
問題は彼らの目的ではなく、これが沖縄県の施政地域の住民が居住する島のすぐそばに打ち込まれたという意味です。

この島々には多くの住民が居住するだけではなく、漁民にとっては豊穣な漁業水域です。
今回も、この中国の暴挙を受けて、与那国漁協は出漁を自粛しました。

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NNN

「4日に中国の弾道ミサイルが日本のEEZ(排他的経済水域)を含む沖縄県の近海に落下した問題で、落下地点に近い与那国島では漁師が出漁を見合わせる事態となっています。
日本最西端に位置し、台湾までわずか110キロほどの沖縄県・与那国島。4日、中国が軍事演習で発射した弾道ミサイルのうち、1発は島からおよそ80キロの海に落下しました。このため地元の漁協は5日朝、所属する漁師に今月8日まで沖合での漁の自粛を呼びかけました。
カジキ漁師「漁協の方からストップがあったものですから、ミサイルが来るので、もしもの場合を考えてストップ。台湾問題と尖閣問題は漁師にとっては心配ですよね」
(NNN8月5日)
中国ミサイルが沖縄近海に落下 漁師が出漁見合わせる事態(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

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【緊迫】日本漁船に急接近し威嚇も…尖閣沖の中国公船 - YouTube

2012年以降から、尖閣水域に出漁する与那国や八重山、宮古の漁民は、中国海警に追い回されて、文字どおり命がけの操業を続けてきました。
12年2月に海警に武器使用を認める中国の「海警法」施行して以降、いっそう露骨に日本漁船を拿捕しようとするようになっています。
自分の国の領海やEEZで外国官憲に拿捕されるなんて国は、日本以外にないでしょう。
幸い一隻も拿捕されていないのは、ひとえに海保が漁船の楯となって防いできたからです。

中国の目的はハッキリしています。
中国は尖閣水域で取り締まりをして見せることで、尖閣水域が彼らの支配下にあり、実効支配していると言いたいのです。
彼らによれば、いうまでもなく尖閣は台湾に付属する島であり、宮古、八重山はもちろん、沖縄本島まで含めて、中国の「神聖な領土」なのです。

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9月の環球時報社説は、「知事選で“沖縄民衆の正義の訴えは無視されてはならない」としたうえで、「2016年から人民日報は“琉球群島の地位は未定。もはや日本の沖縄と呼んではならない」と述べています。
今日の与那国、波照間は、明日の宮古、石垣であり、さらに沖縄本島なのです。

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産経

「海警局の船が日本漁船を執拗に追尾するようになるとともに、領海への侵入時間も長くなる傾向にある。今年6月23日に連続侵入が64時間に達し、平成24年の尖閣国有化以降で最長となった。7月7日にも64時間17分にわたって連続侵入し最長を更新したばかりだ。(略)
尖閣諸島が管内にある第11管区海上保安本部次長などを歴任した元海上保安監の伊藤裕康氏は「海警局の船は、組織改編や法改正を経て、自信をもって権限を行使する行動に出ているようだ」とみる。尖閣周辺での「常在化」も進む。昨年は332日にわたり接続水域内で海警局の船が確認された。今年も19日現在で220日確認され、過去最多のペースで推移している」
(産経2022年8月19日)
中国、尖閣で「実効支配」演出 日本漁船の執拗追尾相次ぐ - 産経ニュース (sankei.com)

このミサイル発射はたまたま台湾が緊張したから起きたのではなく、こういうことが10数年も常態化する中で、とうとう今度はミサイルを撃ち込む軍事的威嚇にまでにエスカレートした、ということになります。

むしろ問題は、日本側の対応です。
ここまで侮られてもまともな対応をしたのは岸防衛相だけで、首相は国家安全保障会議を開こうともせずに、林外相に電話で遺憾の意を伝えたとのことでした。
話にならない腰が引けた対応です。
林氏などといったゴリゴリの親中派に外相をさせていること自体で、中国に屈伏しているのですからどうしようもありません。

ところで、当該県知事のデニー氏の対応はこうです。

「沖縄県の玉城知事は、5日那覇市で記者団に対し、人的な被害は確認されていないとした上で「中国が、県民が生活をする島々の周辺で、ミサイルを落下させるという事態が起きたことは、非常に、甚だ遺憾であるということを申し上げなければならない。身の危険を感じて漁業ができないということは、絶対あってはならないことだ」と述べ、強く抗議しました」
(NHK 2022年8月5日)

ほー、「絶対にあってはならない」とまで言った以上、デニー氏が中国に訪問してやるべきことはひとつしかありません。
それは机を叩いて強く抗議することです。
なぜならこれは一般的な軍事訓練ではなく、中国の軍事威嚇行為だからです。

よくあれは軍事訓練だからと軽く言うものがいますが、とんでもありません。
通常の演習は、実際の戦闘と異なり一定程度の安全係数、とくに市民への被害を考慮して訓練地域を選定します。

特にそれが国境付近ならば、慎重に外交紛争とならない場所と時を選んで実施します。
それも事前通告を行った上で、細心の注意を払って行います。
軍事行為は脅威を与えて恫喝することまで含んでいます。

しかし、この8月の中国の軍事演習は、台湾市民も国民であると主張してきたにもかかわらず、台北などの人口密集地域の上空を越えて台湾の東側太平洋上に弾着させました。
そしてわざわざ9発中5発を日本のEEZに着弾させ、そのうち一発は住民が居住する島の至近距離でした。

これを米空母に対する「接近拒否」だという意見もあるようですが、それも当たっていません。
使われた弾種は「東風15号」という地上目標を狙う中距離弾道ミサイルであって、対艦ミサイルではないからです。

そしてその半分以上を日本に向けたということは、日本に対していつでもミサイル攻撃が可能だということを見せつける軍事敵威嚇を意味しています。
おそらく中国は、台湾有事において尖閣に侵攻することはもとより、与那国、波照間、宮古にまで侵攻することを計画しているはずです。

ところが、デニー氏ときたら、中国へ行く理由はこうだそうです。

「玉城知事は、米軍による過重な基地負担だけでも「異常な状況」の上、安全保障関連3文書の改定を受け、今後自衛隊の増強が見込まれることに懸念を示した。「沖縄だけに、米軍も置いて自衛隊も置いて安全保障の負担を強いる状況が当たり前というような議論は不合理だ。ロシアによるウクライナ侵攻を見ても軍事施設は攻撃の対象となる。軍事関係者からは(武力衝突に巻き込まれることは)避けられないとの意見が大勢を占めている」と話した」
(琉球新報前掲)

デニー氏は、翁長時代に始まる自治体外交という二重外交をしようとしています。
あたりまえですが、そもそも外交は国の専管事項です。
沖縄県は、地方政府ではなくただの自治体です。
よくドイツと混同する人がいますが、ドイツはその成り立ちからして連邦国家ですが、日本はドイツのような連邦制をとったことなどかつて一度もありません。
近代化のプロセスが、まったくドイツと日本は違います。
戦争に明け暮れていた小邦が、強国プロイセンによって統一されて近代的民族国家になったドイツとは違って、日本は中央政権が封じた領主による封建体制が進化して、近代国民国家になりました。 
そのために、たとえば日本の沖縄県と、ドイツのバイエルン州政府とは、権限や財源の幅がまったく異なっています。
そのドイツにおいてさえも、外交と国防という外国との交渉事を含む分野は、連邦政府に委譲されています。
したがって、日独共に外交と軍事は国の専権事項です。 

翁長氏は政府が沖縄県をハレモノのようにしていることをいいことに、「沖縄県駐米大使」すら派遣していました。

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琉球新報

これは「沖縄県駐米大使館」で、大使は平安山英雄氏で、この人物がとんだ食わせ者でした。
彼に年間2千万円の給与を与えながら(ちなみに、本職の日本国駐米大使より高給だそうですが)、平安山氏はその業務の93%を米国コンサルタント会社に丸投げしていたそうです。(笑)
翁長知事は平安山氏にロビイストのように、議会関係者や国務省に働きかけたりすることを期待していたのですが、彼はしょせん小者。
米大使館で雑用をしていたような現地雇用の元職員に、そんなロビイストのまねごとなど初めからむりだったのです。
こんなことに翁長氏は巨額の税金を浪費しました。

そしていままた、翁長氏の謎の「遺言テープ」で突如後継に指名されたデニー氏が「自治体外交」をするのだそうです。
この人の持論は「中国と仲良くすることが沖縄を救う」だそうです。

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おいおい、その福建省から波照間にミサイルが飛んできたのですが。
こういう「軍事威嚇」を受けた当該の自治体首長がするべきことは、ただひとつしかないはずです。
この暴挙を強く抗議すること以外ありえません。
北京でも姉妹都市の福建にでも行って、机を叩いて大声で「うちの県民の生命財産を侵すな」とタンカのひとつでも切ってくることです。
もちろんやらないでしょうね。
デニー氏訪中の目的は、「米軍基地撤去、自衛隊の配備反対」とやってニコヤカに握手して来ることですから。呆。

 

2022年12月28日 (水)

中国、感染拡大は来年初めには3億人に?

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中国におけるコロナ感染は行くところまで行くようです。
どうやら、感染者数が2億5000万人に達した可能性があります。
この情報ソースは、こともあろうに国家衛生健康委員会の議事録が流出し、その中で中国の人口の18%が感染したと書かれていたことによります。
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ブルームバーク

「中国で今週、新型コロナウイルスの新規感染が1日当たり3700万人近くになった可能性がある。国家衛生健康委員会の内部資料に掲載された推計が示している。
同委員会が21日に開いた内部会議の議事録によれば、最大で中国の人口の18%近くに相当する2億4800万人が12月1-20日に感染したもよう。会議に関与した関係者と確認した。
この数字が正確であれば、感染者数は2022年1月に記録したこれまでの一日当たりの最多、約400万人と比較できないほどの多さになる。
中国当局がコロナ対策の制限を急速に解除した結果、感染力の強いオミクロン変異株が、自然免疫のできていない国民の間に爆発的に広がった。衛生健康委の見積もりによると、南西部の四川省と首都北京では住民の半数以上が感染した」
(ブルームバーク12月23日)
中国、コロナ新規感染を1日当たり約3700万人と推計-内部資料 - Bloomberg

この国民の18%、2億5千万人の感染というのはあくまでも最大の可能性であって、日本のように全国の病院から上がって来たものを集計した全数把握とは違いますので、念のため。
というか、中央の中国CDCなどの公的機関はすでに感染者数を発表するのを止めており、いまでているのは「参考数値」だそうです。
それにしても中央が発表する数字は、たとえば感染が猛烈に拡大している浙江省での感染者数をが1日たった22人、全国でも2940人、というヒトを馬鹿にしたような数字で、ここまでズレると大本営発表とさえ言えません。

当の浙江省政府は、1日あたりの感染者が100万を超えたと発表しているのに、まぁなかなかできない鉄面皮ぶりです。

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中国で“感染急拡大”続く…下部組織“全体2940人”発表も 浙江省では“100万人超” (tv-asahi.co.jp)

「中国で新型コロナウイルスの感染が急拡大するなか、浙江省の政府は25日、一日当たりの新規感染者が100万人を超えていると発表しました。
これに対し政府機関が発表した新たな感染者は極端に少なく、実態を反映していない状況に陥っています。
中国政府が今月7日に新型コロナウイルスの感染対策を緩和したあと各地で感染が急拡大し、このうち東部 浙江省の政府は25日、一日当たりの新規感染者が100万人を超えていると発表しました。
浙江省は人口およそ6500万で多くの日系企業が拠点を置いていますが、省の保健当局によりますと、この年末年始に感染がピークとなり、一日当たりの新規感染者は最大で200万人に上る見通しだとしています。
これに対し、国の感染症対策を担う政府機関、中国疾病予防センターが発表した国内全体の24日の新たな感染者は2940人と極端に少なく、このうち浙江省はわずか22人と実態を反映していない状況に陥っています」
(NHK12月26日)
中国でコロナ感染者が急増 政府機関発表は実態を反映せず | NHK | 中国

これは浙江省だけにとどまらず、山東省青島市なども、中央の発表と天文学的に乖離した感染者数の数字を公表しています。
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「中国山東省青島市の衛生当局が一日の感染者数について「49万人から53万人の間」とのざっくりした推計を述べたことが23日の中国地元紙で引用されて報じられた。
中国衛生当局が24日に発表した全国の1日当たりの新規感染者数は4103人、山東省全体では31人。この青島市官僚のいう感染者数字とあまりにかけ離れている。
青島市人口はおよそ1000万人。青島市の官僚の鮑濤は、青島が目下ピークに近い急速感染期に入っているとして、今週末の感染率はさらに10%あがるだろう、との推測を語った。
この新聞記事は24日に、すでにネット上から削除されている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.689 2022年12月24日)

中央の発表が1日あたり4100人、青島市が49万から53万ですから2ケタ違います。
ここまで隔絶していると、いっそさわやかです。

さらに江西省政府は23日、SNS上で省人口の80%に当たる3600万人が来年3月までに感染するだろう、と発表しました。
さらに、過去二週間のうちに、1万8000人の新たな新型コロナ感染者があり、うち500人が重症患者であると発表した。
ただし死者の報告はありませんでした。

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中国、感染者数の発表取りやめ…浙江省では年末年始「毎日200万人が新規感染か」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

広東省東莞市当局も23日に、感染状況について毎日30万人の新規感染者がいると発表し、増加速度が加速していると発表しています。
東莞市の人口は1050万人で、多くの病院施設と医療関係者が未曾有の深刻な困難と巨大な圧力に直面している、と東莞市の医療当局は答えています。
さらに東莞市当局は、多くの病人が点滴しながら病院の外に並んでいる様子や、何日も深夜まで仕事をし続ける一人の医者が机の上で仮眠をとっている様子などを移した動画なども公開しました。

海南省では、ある衛生官僚が23日、海南省は急速に感染ピークに到達しそうだ、と説明した。人民日報は上海で、発熱して治療を受けた患者が4万人を超えていると報じました。
重慶市はコロナの発生地ですが、再び爆発的な感染で大きな打撃を受けています。
重慶は3200万としで、病院内にコロナ感染者があふれ、そのほとんどが老人だそうです。
また火葬場には数十の遺体が放置されている様子の写真も流れています。

チベットにも広がっており、抗議デモが起きているようです。

「26日の抗議デモは、少なくとも19人が死亡した2008年の騒乱以降、ラサで起きた最大のものとされる。この騒乱では、中国の治安部隊が抗議者を残忍に殴打し、殺傷力を行使したとして非難された。
その直後、チベットには外国人が入れなくなり、中国軍の兵士数万人が送り込まれた」
(ブルームバーク10月28日)
チベットで異例の大規模デモ、映像が浮上 中国政府のコロナ対策に抗議か - BBCニュース

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中国チベット自治区、20年以来のコロナ感染-海南省の封鎖拡大 - Bloomberg

コロナが猖獗をふるっているのがよく分かるのは、エライさんがこの間バタバタと死んでいることにも現れています。
どうやらチャイナ7(政治局常務委員)のひとりも倒れたようです。

「朱鎔基が健在かどうかについては、まだ裏が取れていない。
陳破空によれば、301軍病院内の消息筋からの情報として、朱鎔基が病院ですでに亡くなったという。数日前から301病院周辺が厳戒態勢になったのは、朱鎔基が入院していたからだという。
また陳破空によれば、23日、24日に開かれた中央農村工作会議で、例年必ず政治局常務委員7人がそろって出席するのに、今年は1人が欠席していた、という。その1人とは趙楽際。(略)
香港明報の報道によれば、85歳の元中国国家体育委員会副主任の劉吉が19日、北京病院で死去。89歳の元江西省政治協商会議主席の朱治宏が20日に江西南昌で死去、97歳の共和国勲章受章者の張富清が20日、武漢で死去、また中国工程院院士の趙伊君(92歳)、張国成(91歳)が21日に北京で死去。
文藝界では19日から21日の間に、中国電影資料館元館長の陳景亮が死去、元北京電影制片廠の著名撮影技師の羅徳安、著名俳優の傳祖成、北京服装学院美術学院公共芸術学副教授の周濤、監督の王景光、著名劇作家の楊林らが相次ぎ前後して北京で死去した。
また著名人の家族親族の訃報も相次いでいる。胡鞍鋼の岳父がコロナ感染により死去。元中国電力部副部長の斉明の妻が17日に死去、息子の話では15日に感染し17日に病院に救急搬送されたがそのままなくなったという。
北京長城戦略コンサルタント創始者の王徳禄(66歳)が13日が感染により発熱し14日に死亡した状態で発見された。財新ネットによれば、北京では楊良化、周志春らベテランメディア人も死去している。(略)
清華、北京大学ではこの一か月あまりの間に45人の教授、教職がなくなっている」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.690 2022年12月26日)

北京と清華の二つの最高学府でも死者が密集して発生しているようで、科学研究の分野でも感染が拡大しています。
それにしても45人死亡とは。

「清華、北京大学ではこの一か月あまりの間に45人の教授、教職がなくなっている。(略)
清華大学が11月10日から12月10日に出した訃報は18人。現職および退職教授、教職者だ。北京大学は10月31日から12月5日までの36日間に15人の退職教授が死去した。この15人はいずれも65歳以上で、その中には著名言語学者の符淮青(86歳)、著名整理学者で北京大学生命科学院の元院長の周曾銓も含まれていた」
(福島前掲)

また、政府機関内でもコロナが感染拡大し、あの憎々しい発言で有名な戦狼報道官の趙立賢も20日から姿を見せておらず、かれの妻である楊天如はSNSで解熱剤が入手できないとこぼしているようです。
ノーメンクラトゥーラ (共産党の特権階級)である政府高官の妻ですら解熱剤が入手できないのですから、ましてや庶民においておやです。

一説によれば、デルタ株とオミクロン株の合併だそうですが、、中国が情報をださないので詳細は不明です。
新型変異株が生まれる可能性が高いのですが、中国当局は、ウィルスのゲノム解析をすることを禁じてしまったのですから、もうメチャクチャです。

「新型コロナウイルスの感染爆発が起きている中国で、中国政府が11月下旬、中国内に拠点を置く民間の受託解析企業に対して新型コロナウイルスのゲノム配列の解析を当分の間、行わないよう通知していたことが関係者の証言で明らかになった。中国政府は変異株の動向に関わる情報を厳格に管理することで、中国内で新たな変異株が発生した場合などに、国内外の世論に与える影響を最小限に抑える狙いがあるとみられる」(毎日12月25日)
中国、新型コロナのゲノム解析禁止 感染爆発で変異株の情報統制か | 毎日新聞 (mainichi.jp) 

こんなことをすれば、ウィルスの変移の早期発見や、ワクチン・新薬の開発が遅れるのは分かりきっているはずですが、なによりも共産党のメンツが至上課題なようです。

常識的には、こんな時期に台湾侵攻などありえないはずですが、中国軍は中間線を超えて大規模な侵犯を行いました。

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「中国軍は、アメリカで台湾に対する巨額の軍事支援を盛り込んだ法律が成立したことに反発を示したとみられる軍事演習を、25日に台湾周辺で行ったと発表しました。台湾国防部は、26日朝までの24時間にこれまでで最も多い、延べ71機の中国軍機の活動を確認しました。
中国軍で東シナ海を管轄する東部戦区の報道官は25日、「アメリカと台湾が共謀して挑発行為をエスカレートさせていることへの断固とした反応だ」として、台湾周辺で軍事演習を行ったと発表しました」
(NHK12月27日)
中国軍 台湾周辺で軍事演習 米の台湾への巨額軍事支援に反発か | NHK | 中国・台湾

ため息が出ますが、内部矛盾を外の「敵」に向けるという古くさくもリアルな手法です。

とまれ、中国のこのアウトブレーク(感染の急激な拡大)の波は年を越して、来年1月中にピークを迎えることでしょう。
下図は12月21日、英国医療調査会社エアフィニティが発表した中国の感染者数モデルです。
このモデルによれば、「現在、われわれのモデルでは1日当たりの感染者が100万人、死者は5000人を超えている恐れがある」と発表しています。

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中国におけるゼロコロナ政策転換後の感染者予測(英国の医療系調査会社エアフィニティ)

年明けには死亡者が100万人規模ででるはずです。
そしてその時期には、最悪のタイミングで中国最大の民族大移動の春節が1月22日から始まります。

 

 

2022年12月27日 (火)

ドイツ版「専守防衛」の悲喜劇

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日本を半世紀以上支配してきた「専守防衛」思想と酷似したものが、ヨーロッパにもありました。
それが「メルケル軍縮」です。
世界の国防費推移を見てみましょう。

単純な額面比較だけでは、経済規模や人口が多い国が大きく出ますから、軍事費の対GDP比で計ることが一般的です。
要は経済力に対し軍事関連支出をどの程度行っているかを示した値で、ストックホルム国際平和研究所が発表したものが使われています。

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日本がいかに対GDP比て低位かお分かりになるでしょうが、ドイツはNATOの中でも群を抜いて低位です。
次にその推移を見ます。

↑ 軍事費の対GDP比(2020年時点の米ドル換算で軍事費上位6~10位の国) 

諸外国の軍事費・対GDP動向をさぐる(2021年公開版)(不破雷蔵) - 個人 - Yahoo!ニュース

赤線がドイツ、紫色が日本ですが、ものの見事にペタンコのゼロ成長だとお分かりになるでしょう。
ドイツなど、自国の防衛と密接に関わるはずの2014年のクリミア侵攻があっても、ビクリともしなかったのですから相当なものです。

メルケル政権は、ロシアとは共存共栄時代に入った、経済的にも統合化が進んでいる、その象徴がノルドストリームだと考えていたのです。
だからメルケルは、欧州で戦争は二度と起こらない、という願望と現実を混同した認識に基づいて、安全保障政策を進めてしまいました。
ですからメルケルは、ドイツ軍はNATO即応部隊や国際的なミッションに派遣される部隊だけてよい、国防は必要最低限でよいと考えていました。

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ドイツ海軍 ブレーメン級フリゲート

かくして、ドイツ軍はメルケルによって徹底的に防衛費を削りまくられた結果、NATO諸国最弱なまでに転落しました。

「ドイツ議会の防衛委員会議長、ハンス・ピーター・バーテルス氏はドイツ海軍について「かつて無いほど小さくなってしまった、海軍は15隻のフリゲート艦を保有しているはずだったのに、7隻を廃止し、新たに4隻しか導入予定がない」と語り、ドイツ海軍の艦艇不足に警告を発した。(略バーテルス氏はさらに、陸軍が運用している53機の攻撃ヘリ「PAH-2(ティーガー)」についても言及し、特定のボルトに欠陥があるため飛行を中断している同機について、徹底的なチェックを行いボルトの交換を行う必要性を指摘した。
さらにドイツ空軍参謀総長が空軍の現状について発言し、空軍機はスペアパーツの不足にため地上に留め置かれているか、メンテナンスのため工場に送られているとし、ドイツ空軍の状況が良くない事を認めた。

そのため昨年、ドイツ空軍875人のパイロット中、NATOが定めた年間最低訓練時間(180時間)をクリアしたのは512人だけで、363人がこの基準をクリア出来ず、この状況に不満を抱いた、少なくない数のパイロットが空軍を去っていった。
今年2月に提出された報告書によれば、昨年、ドイツ空軍のタイフーンは128機のうち39機、トーネードは93機のうち26機しか運用が出来ない状態で、残りの機体は地上から離れることが出来ず、これは主にスペアパーツの供給不足が原因らしい」

(フランクフルターアルゲマイネ 2019年

先日も、国際ミッョンに派遣された戦車や歩兵戦闘車9台全部が動かず、ウクライナに供与ウ約束した対空火器の弾薬がない、といったとんだ恥さらしの存在になってしまったのです。
いまやプーマ装甲歩兵戦闘車を装備する部隊では、まともな訓練さえできず、「一般的な乗用車を使え」という指令さえでています。
歩兵戦闘車に見立ててワーゲンのバンから乗り降りして、その気になっているようです。
自衛隊が、弾の備蓄がないために訓練の際に口でバンバンと言っている姿を思い出してしまいました。

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ドイツのランブレヒト国防相
独、新型戦闘車両に不具合=NATO演習、旧式で参加へ - 海外経済ニュース - 時事エクイティ (jiji.com)

それでも今回のウクライナ侵略までは、クスクスと笑われるだけですんだのですが、いまやNATO内部で問題視されるありさまです。
アンナレーナ・バーボック外相は、「ドイツはEU加盟国の中で最も経済力が大きく、世界有数の武器輸出国なのに何故ウクライナへの軍事支援はポーランドやノルウェーより少ないのか?」という質問に対してこう答えています。

「政治的な意図で支援を渋っているのではなく、私たちは二度と欧州で戦争は発生しないと信じていたため国防予算を削減し過ぎてしまい、支援に回せる余剰装備の在庫を持っていない。
戦車を再び戦争で使用するとは想像していなかったため、軍の在庫にある装備の多くが50年前のもので本来の在庫の姿からかけ離れている。つまり我々が保有する戦車は平和な欧州で運用することだけを想定していため想像を絶するほど最悪な状況だ」
と述べており、冷戦終結後の安全保障政策が有事を想定したものではなかった=表面的なものに過ぎなかったことを認めている
(航空万能論12月21日)

安全保障のバックボーンが壊れたドイツ、作戦準備が整ったPzH2000は36輌だけ (grandfleet.info)

皮肉にも、バーボックは反戦・反原発を掲げた緑の党出身ですから、メルケル軍縮に諸手を上げて賛成していたはずですが、忸怩たるものが多少はあるのでしょう。
社民党出身のシュルツ首相も、今年のウクライナ侵略があって初めて目を覚ましてこう言っています。

「【ベルリン】旧ソビエト連邦がこの町に築いた壁が崩壊して30年。ドイツはロシアのウクライナ侵攻への対応として、国防・エネルギー安全保障戦略の歴史的大転換を発表し、長年貫いてきた貿易と対話を軸にした外交政策を一変させた。
ドイツのオラフ・ショルツ首相は連邦議会で行った演説で、軍事費をほぼ倍増し、米国製戦闘機を数十年ぶりに購入するほか、エネルギー購入先をロシアから転換しつつ、戦略備蓄を行うと明らかにした。
ドイツの外交政策はこれまで軍備増強の必要性を重視せず、貿易と外交的対話によるものだった。今回のショルツ氏の大変革は、西欧最大の国である同国にとって重大な分岐点となる。また、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナを巡る戦争が欧州にいかに衝撃を与えているかを示している。
ショルツ氏は「プーチンはロシア帝国を築きたがっている」とし、「プーチンのような戦争をあおる者と一線を引くために、われわれが力を奮い立たせることができるかどうか」が現在直面している主要な問題だと、珍しく感情をあらわにして語った」
(ウォールストリートジャーナル2022 年 2 月 28 日)
幻想破れたドイツ、対ロシアで再軍備にかじ - WSJ

ただし、それでも遅すぎました。
侵攻が始まった2日後も、目の前でロシア群が国境を超えてウクライナに侵略しているのを目の当たりにしながら、ドイツがウクライナに与えた援助は5000個のヘルメットを送っただけでした。
ウクライナは怒りに震えて、「失望した」「ひどい裏切り」と非難し、キーウ市長は「枕でも送れ」と吐き捨てたほどです。
ゼレンスキー大統領は、ドイツ下院のリモート演説で、他のしょこくへの感謝とは違って、「あなた方はまたしても壁の向こう側にいる」という厳しい言葉を浴びせました。
泡を食ってキーウに駆けつけようとしたシュタインマイヤー大統領は、来なくてよいと断られる始末でした。

日本もドイツもやっと少し目を覚ましました。
方や「専守防衛」から、方やドイツは「メルケル軍縮」からでした。

両国とも、まずは防衛方針の大筋を変革し、更に細かい修正を加えねばならないでしょう。
次は財政措置ですが、これも国債を使わせないといった旧態依然たる財政思想では対応不可能です。
まだまだ時間がかかりそうです。

 

 

2022年12月26日 (月)

建設国債を最小限にしたい理屈とは

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岸田氏という人は、いい意味でも悪い意味でも、風見鶏のような人のようです。
防衛増税で私たちをカンカンにさせてと思うと、90点の防衛3文書を出してくるし、今度は今まで防衛予算増額分は国債をつかわないと言ってモーレツに反発を食らったら、今度は一部建設国債もありだと修正をかけました。

「岸田政権が進める防衛力の抜本強化で、政府は艦船など一部の防衛装備品の経費に、建設国債をあてる方針を固めた。老朽化した隊舎など、自衛隊施設に建設国債をあてる方針だったが、対象が広がる。23日に閣議決定する2023年度当初予算案に盛り込む。
政府が新たに建設国債の対象とする装備品は、運用期間が数十年間と比較的長い護衛艦や潜水艦といった防衛装備品。航空機は対象外とする。23年度の当初予算案では、防衛装備品と自衛隊施設に関する経費の財源として、建設国債数千億円をあてる方針だ」
(朝日12月22日)
自衛隊艦船など防衛装備品にも建設国債 来年度予算案で政府方針(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

う~ん、増税なんかしなくてもよかったということで、結果オーライだったといえないこともないんですがね。
しかしこの人またひっくり返しそうでコワイ。
そもそも建設国債使うといいながら、それを最小限にしようとするからおかしくなります。
だから、無理な理屈をこね始めます。

国債についての今までの理解は、下図にあるようなものです。
国が税収不足の時に足りない分を「借金」することだと教えています。
財務省は「借金」が1000兆もあるから大変だぁ、国が潰れるから緊縮財政と増税だと言っていますが、バカバカしいから今日はふれません。
また「借金」ですから、できるだけ限定して無駄遣いを抑えてしっかりと「将来の国民のため」でなければならない、たとえば橋や道路などのインフラがそうだとしています。

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国債って何? 国債の種類①:建設国債|国債とは|マンガで学ぶ!金融経済|金融経済ナビ (kinyu-navi.jp)

海自は認めるが空自は設備以外認めん、なぜなら艦艇は「運用期間が何十年とある」からで建設国債の「将来世代のため」という性格に合致するから、だそうです。
ご冗談もほどほどに。F-4ファントムなんぞ導入したのが1968年、直し直し使い倒して退役したのが2021年、実に53年間、半世紀以上です。老兵を通り越して、もはや骨董品で、世界のファントムファンが、飛んでいるのを見たければ百里に行けと聖地化してしてしまったくらいです。
百里に日米訓練で飛んできた米軍パイロットがファントムを見て、へぇー珍しい、オレのジィさんがベトナムで乗っていたぜ、と喜んだそうです。
百里に行けばわかりますが、ヤードには大量のファントムの用廃スクラップが山積みされていて、整備員はそこから部品取りをして維持していたのです。

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百里基地航空祭〜到着編〜: ものごいかっぱのあめふらし (cocolog-nifty.com)

いまでも立派に主力を張っているF-15も導入は1977年、すでに45年、たぶんこれも半世紀超えで使い倒すはずです。
海自の護衛艦の耐用年数は40年くらい、潜水艦で15年くらいだといいますが、空自の戦闘機も同じです。
部品不足で定数さえ揃わなくなった部隊も出始めています。
防衛予算がゼロ成長でしたから、世界にも稀な物持ちがいい「軍隊」になってしまったのです。

このように空自も海自も、防衛装備を40年、50年使い倒すのはあたりまえなのです。
建設国債が言う「将来世代の利益」そのものではありませんか。

国債から防衛予算を排除するという考え方は、福田パパが財務大臣(当時は大蔵大臣)時に生まれました。

「橋や道路のように、将来世代もそれを利用し利益を受ける歳出については、将来世代もその費用を負担するのが妥当である、との考えから、60年間で完全に償還される建設国債が充てられてきた。
防衛関連費の中には、将来世代も利益を受ける部分が全くないとは言い切れないが、それでも、防衛関連費を建設国債で賄うことを今まで政府は避けてきたのである。国債発行で戦費を調達し、戦争を継続・拡大させてきた、第2次世界大戦あるいはそれ以前の政府の政策を踏まえてのことだろう。
福田赳夫蔵相は1966年に国会で「防衛費は消耗的な性格を持つ。(公共事業のように)国債発行の対象とするのは適当ではない」と答弁した、と朝日新聞は伝えている」
(木内登英 野村総研1月22日)

2023年度当初予算案で防衛費に建設国債(NRI研究員の時事解説) - Yahoo!ニュース

まだ「戦後」という時代を背景にして福田パパは「防衛費は消耗的性格だから、国債は使えましぇん」と言ってしまったのです。
「消耗的」というのは、この人の頭では、防衛費は戦争に使ってパーっと消えるもの、もう戦争は起きないから最小限保有しておけば充分、持たせると戦争を始める、とでも考えていたのでしょう。
当時の日本は、防衛は「必要最小限」でよい、継続戦闘能力などあってはならない、米軍が助けに来てくれる1カ月持てば充分だ、という専守防衛思想に凝り固まっていましたから、こういう国債を使わせない、という妙な政府の決まりを作ってしまったのです。

この専守防衛からの脱却こそが、今回の防衛3文書のテーマなのですから、それを支える財政基盤についても変革が求められて当然なのです。
それを岸田氏のように、専守防衛からは脱却したいが、カネは別だから防衛増税だと言い出すからおかしくなるのです。

とまれ、岸田氏がウサギのように敏感な「聞く耳」をお持ちなことは確かなようで、しっかりした理念や国家観をもたないだけ、世論の声に神経質なことは確かなようです。
どうやら今回の防衛増税騒動でもわかってきましたが、岸田流とは一回アドバルーンを上げて世論の動きを探ってから朝令暮改といわれようと変えてしまう、ということのようです。
よく言えば柔軟にして機動的、悪くいえば・・・、まぁ止めておきましょう。
そのへんを見越して安部氏は憲法改正はリベラルの岸田氏で、と思ったのかもしれません。

 

2022年12月25日 (日)

日曜写真館 朝霧やただ乳色の虚空あり

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クリスマスリース港のヨットにも 燕雀

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朝霧や余呉に影なき舟の音  竹下道子

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旅のはじまり胸にべったりと朝霧 斎藤白砂

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朝霧の湖さざ波つ明けにけり 有賀たもつ

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野火を見し眼に湖の水を見る 上野さち子

 

●年末年始の更新のお知らせ
押し迫って参りましたが、今年の年末年始はいつもどおり
・12月31日(土)まで律儀に更新いたします。

・元旦のご挨拶以降は、3日(火)でお正月休みとさせていただいた後、4日(水)から通常更新となります。

 

 

2022年12月24日 (土)

中国コロナ死亡者急増、やはりそうでしたか

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ああ、やっぱりそうでしたか、中国でコロナの死亡者が激増しているようです。
中国当局は又裂き状態になっているようです。
一方ではコロナは制圧した、死者はいないと豪語しておきながら不思議なことには都市封鎖を続け、あげくは白紙抵抗運動が起きればあわてて規制解除に走り、今度は死亡者が増えればゼロだと言い張る、無理でんがな。
当然一般ピープルは、また例によって共産党政権がなにか隠蔽したな、と思って自主隔離と売薬で自衛しようとします。
その売薬も薬品不足で高騰しているそうです。

「中国政府がゼロコロナ政策を転換して後、医療システムが逼迫し、薬価が高騰するなどの騒動が発生している。製薬工場が民間の膨大な需要に対応できる能力がなく、新型コロナに感染した人々が適時に受診することができないため、民間では自主防衛的に、医薬品のシェアをせざるを得なくなっている。
医薬品の在庫が乏しく、ドラッグストアでは売り切れが続出し、ネット上では、製薬工場の門の前に直接、医薬品を求める長蛇の列の写真が流れている。
12月20日、中国ハイテク企業のテンセントは三日の準備を経て、新型コロナ予防医薬品公益互助プラットフォームをスタートした。このプラットフォームでは、民間同士が余った薬を融通しあう互助プラットフォームだ。さっそく100万をこえるユーザーが相互に支援しあう情報を五万以上発信した」

(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.687 2022年12月22日)

中国は噂社会です。
民は由らしむべし、知らしむべからず、つまり民に理由は教える必要がなどない、ただ従わせればよいのだ、21世紀とも思えない情報統制を敷いている国家では、情報のブラックマーケット化が起きます。
それが「噂」という庶民の伝統的情報伝達様式です。
隠せば現る、隠そうとするから、かえって知ろうとする、簡単なリクツです。
共産党は、こんな簡単なことがまだわからないようです。

だから庶民は火葬場の前の渋滞や病院の狂乱ぶりを見て、なにが起きているのかを知ろうとするわけです。

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ブルームバーク、渋滞状態の火葬場前

いままではコロナ陽性で死亡した場合、いかなる基礎疾患があったとしても公式のコロナ死亡者として分類されてきました。まぁ世界基準です。
中国国家衛生健康委員会は、つい先だってまでブルームバーグに対し、この定義は変わっていないと説明していたはずですが、いつのまにか呼吸器病だけをコロナの死因と認めると変えてしまいました。
「中国は新型コロナウイルス感染による死亡の定義を狭めたことを確認した。政府による突然の「ゼロコロナ」政策撤回後の死亡者数が際立って少ないため、政策が引き起こした混乱の実態が隠蔽(いんぺい)されているとの臆測が広がっていたが、この臆測の現実味が増した。
中国の感染症対策で最高責任者を務める医師の王貴強氏は20日、新型コロナ検査で陽性を示し呼吸器不全で死亡した患者のみ公式のコロナ感染死亡者として集計すると、北京で開いた記者会見で説明。コロナに感染していても、他の疾患や心臓発作などで死亡した患者はコロナによる死亡とは見なされないと語った」
(ブルームバーク2022年12月20日)
中国でコロナ患者の死亡急増か、葬儀場に長い列-当局は定義変更 | Start Magazine (taboolanews.com)


中国当局の対策責任者である王は、「コロナ感染を原因とする呼吸器不全で死亡した患者は少ない。最も一般的な死因は基礎疾患だ」と言い出し、基礎疾患で亡くなったコロナ患者は別枠だといいだしたわけです。
つまりコロナで基礎疾患が悪化して肺炎で死んでも、それは「悪性の風邪による死亡」で片づけられてしまう、というわけです。

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診察中に意識失う医師も…中国「ゼロコロナ崩壊」で病院ひっ迫 患者が“場所取り合戦”も|FNNプライムオンライン

もちろんこんなことは、世界の医療の非常識です。
とうぜん日本では、中国のような狭義の死亡原因だけをコロナ死亡者とするようなことはしていません。

「3月9日の厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボード(座長:脇田隆字・国立感染症研究所所長)で、複数の自治体が第6波での死亡者の3割以上は別の疾患や老衰が直接的な死因となっていると報告した。高齢者施設などでの感染が相次いでいることから、COVID-19による肺炎等は重症化しなくても、基礎疾患の増悪などで死に至るケースが増えている」
(医療維新 2022年3月10日)
「新型コロナ死亡者」3割以上の死因が他疾患、各県から報告 | m3.com

このようにコロナの死因の3割は、別の疾患が原因なのですから、それを無視して「コロナで死んだ者はいない」などといわれても通用しません。

このような死因の定義変更によって、月初から報告された公式のコロナ死亡者数は10人に満たない、というありがたいご託宣をいただいています。
従来の定義だと大変なことになるから、定義自体を変えてしまおうという中国の伝統芸の発動です。
かくして新死因基準は、陽性反応があって、かつ呼吸器不全で死んだ者だけを「コロナ死亡者」と呼んでもよろしいということになりました。しかしSNSでの投稿は、各地で感染者が急増していることを現しています。

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感染による死亡が数人にもかかわらず、葬儀場は超満員、病院も満杯、いったいどうしてなんだ、と誰でも思いますわな。 
北京のみならず、全国で同じ事例が報告されています。
「最近死亡した職員を追悼するためにある大学が伝えた死亡記事の数が増えていることを示すスクリーンショットも広く共有されている。微博に投稿した広東省に住む男性は、訪れた火葬施設では高齢者の相次ぐ死亡に対応するため、職員が残業していると指摘。湖南省の男性は葬儀場の廊下に遺体が並んでいたと投稿した。
重慶市のある女性は祖父が週末に亡くなったが、死亡診断書が届くまで長い間待たされたと投稿。同市は11月下旬からコロナによる新たな死者を報告していない」
(ブルームバーク前掲) 

特に人口が中国最大である広東省広州市の状態はいまや、広東市が12月19日に公表した数字でも、発熱外来を受診する人が一日平均5万人に上っていることが明らかにされています。

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広東市では、診療施設が圧倒的に不足しており、いままでPCR検査場として使われていたプレハブのボックスを臨時診察場に転用しているようです。

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中国は広東省でロックダウン、北京で行動制限…コロナ感染再拡大を受け、香港ハンセン指数は4日続落(幻冬舎ゴールドオンライン) - Yahoo!ニュース

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「中国広東省広州市で、新型コロナウイルス感染拡大が続いている。広東省衛生健康委員会の発表によると、広州市における11月15日の新規感染者数は6,296人に上った(無症状感染者6,138人を含む、国内症例のみ)。(略)
社区(コミュニティー)での感染拡大リスクが続いていることから、防疫管理がより難しくなっている」との見方を示した。また、張副主任は同会見の中で、感染者数急増に伴い臨時病院の建設を加速していることも明らかにした。14日までに、主に無症状感染者の隔離観察を行う施設として、仮設病院6カ所を稼働させ計2万床余りのベッドを提供しているという」
(JETRO2022年11月17日)
広州市で新型コロナの感染拡大続く、臨時病院の建設を加速(中国) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ (jetro.go.jp)


広州市白雲区では5日間のロックダウンが導入されましたが、ピークはまだ先(おそらく1月?)だと見られています。
北京でも防疫措置を再強化し、一部地区で店内飲食を禁止したほか、対面での授業も停止される措置が取られています。 

中国相手にそもそも論を言っても始まりませんが、本来なら3年におよぶゼロコロナ政策実施中に取るべきコロナ対策の柱は、聞かない自国製ワクチンを放棄し、外国製ワクチンの接種率を高め、同時にコロナ対応のICUの充実を図るべきでした。
しかし、習近平がやったことは、ひたすらPCR検査をして、強権的に都市封鎖をするだけ。

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中国広州、市民の移動制限 コロナ感染急拡大を警戒 - 産経ニュース (sankei.com)

ワクチン接種は義務づけられておらず、接種対象もなぜか当初から若者を優先しており、重症化リスクのある高齢者には接種が進んでいませんでした。
もちろん、これには中国製ワクチン自体の信頼性が低いので、ワクチン接種が国民の間で広まらなかったということはあるでしょうが、すべからく国のツルの一声で強制できる中国で、なぜワクチンを義務化しなかったのか不可解です。

ひとつにかんがえられるのは、PCRの利権化です。

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1人で1000回受けた人も! 中国「PCR検査」をめぐる「カネ儲け」の話|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

「新型コロナウイルスの感染が始まって2年。その影響で中国経済は停滞しているが、これまでGDPの成長に貢献してきた不動産に代わって「PCR経済」が勢いづいている。
「ゼロコロナ」政策にこだわる中国政府は、特にオミクロン株の急増後に大規模なPCR検査を国中で実施している。PCR検査は中国人の新たな日常だ。同時に、検査キットなど関連する医薬品を生産する会社にとって大変儲かる新ビジネスで、ある北京の医薬品企業の昨年の純利益は前年比1856.81%に達する。河南省のPCR検査関連会社の従業員がわざとウイルスをまいた、という真偽不明の情報も流れた」
(ニューズウィーク2022年4月13日)

わざわざウィルスをPCR会社が拡散したというのはいくらなんでもデマでしょうが、それにしてもあまりに偏ったPCR偏重でした。
ちなみに習近平系がこのPCR利権を握っているという噂もたちましたが、話半分にしてください。
それだけ極端なPCR偏重政策だったということです。
日本のPCR信者のみなさん、自分らが言ったことを覚えているでしょうか。
あなた方の言う通りにしていたら、中国のようになっていたのですよ。

最善の解決方法は、中国がウイルスに対して効果がないに等しい中国製ワクチンを放棄し、米国製mRNAワクチンに全面的に切り換えることです。
中国人は、オミクロン株に接触したことがなく、免疫力が不足しているとの指摘もありますから、武漢株を用いた中国製はただの偽薬にすぎません。
当座は、海外からコロナ治療薬を緊急輸入して食い止めつつ、mRNAワクチンを輸入することしかないでしょう。

ただそれを実行すると、共産党のコロナ対策の全否定にてってしまいますが。

さすがのWHOのデドロスも、もっと情報を教えろ、と言い出し始めました。

「世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は21日、「重症者の報告が増えている状況を非常に懸念している」と述べ、中国側に重症者や入院患者数など詳細な情報を求めた。
中国外務省の毛寧報道官は22日の記者会見で、「中国はオープンかつ透明性をもって感染状況に関する情報を発表してきた」と反発したが、WHOの専門家は中国の感染状況が世界に与える影響を注視している。感染拡大が続くとウイルスの変異を招く可能性が高く、それが世界に拡散する恐れもあるためだ」
(ZAKZAK12月23日)
習政権〝コロナ敗戦〟収束どころか失策連発 情報公開も不透明、変異ウイルスが日本上陸の恐れ 石平氏「ウイルスにも西側にも負けた」(1/3ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト

WHOとしては、また2年前に舞い戻ったような中国の感染状況次第では、渡航禁止措置をとらねばなりません。
日本も早急に国境対応をとったほうがよいでしょう。
中国はなにも情報を出しませんが、たぶんウィルス株も変異しているかもしれませんしね。



 

2022年12月23日 (金)

金融緩和がお終いだって?

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黒田日銀総裁が、金融緩和を止めたというので、メディアは拍手喝采しております。
これでアベノミクスの3本の矢のうちの金融緩和の矢が折れた、ヤッホー安部の遺産はこれでなくなった、さぁ利上げと金融引き締めが始まるぞ、グッドジョブ!黒田様、と思ったんでしょうかね。

朝日は「日銀が金融緩和を修正、事実上の利上げ 長期金利上限0.5%程度に」とタイトルをつけてこういう記事を書いています。

日本銀行は20日、金融政策決定会合を開き、緩和策の一つとして抑えてきた長期金利の上限を、これまでの「0・25%程度」から「0・5%程度」へ引き上げた。2013年春から続けている大規模な金融緩和の修正で、金融市場は事実上の利上げと受け止めている。長期金利は急上昇し、大幅な円高、株安となった。
日銀は今回、この上限を「0・5%程度」に引き上げた。理由について、国債買い入れで長期金利が著しく下がっていることなどで低下した「市場機能の改善」を図るためとしている」
(朝日12月20日)
日銀が金融緩和を修正、事実上の利上げ 長期金利上限0.5%程度に:朝日新聞デジタル (asahi.com)

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黒田サプライズ!日経平均急落でも銀行株急騰のわけ。三菱UFJFG「買い」継続 | トウシル 楽天証券の投資情報メディア (rakuten-sec.net)

「事実上」なんて逃げ道を作っていますが、朝日さん、こういう時に使うと「事実上の中国の宣伝機関」と言われてしまいますよ。
テレ朝はこんな解説をしています。

「経済部・日銀担当の進藤潤耶記者に聞きます。
(黒田総裁の主張と、市場の受け止めの矛盾をどう理解したらいいのでしょうか)
市場関係者のほとんどにとって、今回はサプライズでした。一言でいえば、そのような感想です。黒田総裁は「利上げではない」と言っていますが、市場の受け止めとしては「事実上の利上げ」とみています。日銀幹部も、これまで何度か「変動幅を引き上げることは、事実上、利上げになる」と発言しています。だから、市場も「ようやくアメリカとヨーロッパとの金利差が縮小した」と反応したことで、一気に円高が進んだということです」
(テレ朝12月20日)
【報ステ解説】物価高・住宅ローンへの影響は…日銀 大規模金融緩和を“修正” (tv-asahi.co.jp)

どんな「日銀幹部」か知りませんが、総裁と日銀審議委員が「金融緩和の出口ではない」といっているのに、「事実上」もう金融緩和が終わった、とばかりにシャンパンを抜いております。
しかし、ちょっと待ってね。
下のプレスリリースには「審議委員が全員一致」と日銀が書いていますから、リフレ派の審議委員若田部昌澄氏 、安達誠司氏が、金融緩和の終了に賛成するはずがないじゃありませんか。それを変だと感じませんでしたか。

まぁまぁ、メディアのみなさん、アベノミクスはオシマイだぁ、なんて先走らないで、喜ぶのは黒田総裁がなにを言ったか、日銀政策決定会合のプレスリリース原文に当たってみてからにしましょう。
https://www.boj.or.jp/announcements/release_2022/k221220a.pdf

官僚特有の分かりにくい書き方をしていますので、飛ばしてくださってもかまいません。

●当面の金融政策運営について
2022年12月20日
日本銀行

1.日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、緩和的な金融環境を維持しつつ、市場機能の改善を図り、より円滑にイールドカーブ全体の形成を促していくため、長短金利操作の運用を一部見直すことを決定した。
本年春先以降、海外の金融資本市場のボラティリティが高まっており、わが国の市場もその影響を強く受けている。債券市場では、各年限間の金利の相対関係や現物と先物の裁定などの面で、市場機能が低下している。国債金利は、社債や貸出等の金利の基準となるものであり、こうした状態が続けば、企業の起債など金融環境に悪影響を及ぼす惧れがある。日本銀行としては、今回の措置により、イールドカーブ・コントロールを起点とする金融緩和の効果が、企業金融などを通じて、より円滑に波及していくと考えており、この枠組みによる金融緩和の持続性を高めることで、「物価安定の目標」の実現を目指していく考えである。

2.金融市場調節方針、資産買入れ方針については以下のとおりとする。
(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(全員一致)
①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。
短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。
長期金利:10 年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。
②長短金利操作の運用
国債買入れ額を大幅に増額しつつ1、長期金利の変動幅を、従来の「±0.25%程度」から「±0.5%程度」に拡大する。
10 年物国債金利について 0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、各年限において、機動的に、買入れ額のさらなる増額や指値オペを実施する。
(2)資産買入れ方針(全員一致)
長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。
①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。
②CP等、社債等については、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境に十分配慮して進めることとする。

また、黒田氏が日銀政策決定会合後におこなって記者会見について、ロイターはこう述べています。

[東京 20日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は20日、長期金利の許容変動幅拡大を決定したことについて、市場機能を改善するためであり「利上げではない」と明言した。この措置により、イールドカーブコントロール(長短金利操作、YCC)を起点とする緩和効果がより円滑に波及していくとの考えを示した。
日銀は19─20日の金融政策決定会合で、YCCの枠組みを維持しつつ、長期金利の許容変動幅をプラスマイナス0.5%程度に拡大した。黒田総裁は決定会合後の会見で「金融緩和の持続性を高めることで、物価安定目標の実現を目指していく」とした。

このタイミングで運用を見直した理由については、このところイールドカーブのゆがみが厳しいものとなり、今後、企業金融を通じて経済にもマイナス影響を与える恐れがあるためと説明した。
<政府・日銀の共同声明、現時点で見直す必要ない>
政府・日銀が2013年に結んだ政策協定(アコード)に見直し論が浮上していることについて、黒田総裁は、この共同声明によって日本の経済・物価は着実に改善し、デフレではない状態を実現したと強調。「現時点で見直す必要があるとは考えていない」と述べた」
(ロイター12月20日)
長期金利の許容変動幅拡大は「利上げではない」=日銀総裁 | Reuters

要約します。

●要約
①今回の変動幅拡大は、金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すためのものである。
②イールドコントロールを使った金融緩和の効果がより円滑に進めることで、物価の安定を目指す。
③政府・日銀の政策協定(アコード)である金融緩和を見直す気はない。
④国債の買い入れは増やす。ETF、社債買い入れ額にも変化はない。
⑤金融緩和の出口戦略ではない。

①にでてくるイールドカーブコントロールを、記者会見の大部分の記者は理解できなかったようです。
まず、イールドカーブコントロールのイールド(yield)とは利回りのことで、イールドカーブとは債権の利回り曲線のことです。

債券利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフで、横軸に償還までの期間、縦軸に利回りを用いた曲線グラフのこと。
利回り曲線ともいい、金利の期間構造を表し、債券投資で重要視される指標のひとつです。右上がり(償還までの期間が長いほど利回りが高い)のときを順イールド、右下がり(償還までの期間が短いほど利回りが高い)のときを逆イールドといいいます 」
イールドカーブ | 金融・証券用語解説集 | 大和証券 (daiwa.jp)

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大和證券

日本の場合、日銀は「異次元の金融緩和」を政府と約束したわけですから、当然順イールドにならねばなりません。
これが順イールドになるために、中央銀行は長期金利と短期金利を操作して適切なイールドカーブに治まるように整えています。

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イールドカーブ・コントロールとは 長短金利を誘導: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「長短金利操作」とも呼ばれます。国債買い入れオペレーション(公開市場操作)などを通じて長期金利を誘導する一方、当座預金への付利を調整するなどして短期金利を誘導します。日銀が2016年9月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を決定した際、物価上昇率が安定的に目標水準を超えるまで金融緩和を続けるとした「オーバーシュート型コミットメント」とともに導入されました」
(大和銀行前掲)

日銀は、いろいろな手段を使って順イールドを守ろうとしましたが、一点だけ欠落が生まれていました。
それが10年もの国債です。
国債のイールド(利回り)を見てみましょう。

●国債の各年限の利回り(2022年6月15日現在)
・7年日本国債利回り0.30%
・10年日本国債利回り0.250%
・20年日本国債利回り0.89%
・30年日本国債利回り1.250%

ね、10年ものだけが低いですね。
グラフにするとこうなります。10年ものだけ落ち込んでいるのがよくわかります。

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日本銀行は、イールドカーブ・コントロールの上限金利を死守 | 幻冬舎ゴールドオンライン (gentosha-go.com)

全体にキレイな順イールド曲線になっているにもかかわらず、10年ものだけが異常に下に引っ張られてしまい、全体のバランスが崩しています。
そこで政策を一部手直してイールドカーブを整えようとしたのです。
これが今回のメディアが狂喜乱舞している「黒田が金融緩和を止めると言った。アベノミクスは完全終了だ」ということの真実です。
そりゃもちろん、広い意味では金融緩和を終わろうとしていることは確かですが、同時に黒田氏は、今の物価上昇は輸入念慮や食糧の値上がりによるコストプッシュであって、景気の好循環によるものではないとも言っています。

ですから、やがては金利を上昇させるかもしれないが、それは今ではないという日銀の考え方はまったく変わらないのです。
むしろ金融緩和を堅持するために、10年もの国債の金利を高くしたのです。

 

2022年12月22日 (木)

米国、台湾と準軍事同盟に

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米国は、いまや公然と台湾に防衛力強化の支援に乗り出しました。
福島香織氏は、もはや準軍事同盟だ、と評しています。

「12月15日の夜、米国上院は新年度の国防費法案を可決し、その後、大統領によって署名されたホワイトハウスに送る。 議員は、この法案はペンタゴンに重要な資源を提供し、米軍の力をさらに提供するだろう、と語った。 また、この法案は、5年間で100億ドルの軍事援助を含む、中国の脅威に対する台湾の防衛能力を強化する計画だ」
美国会参议院通过《国防授权法》 为台湾提供5年百亿军援 (voachinese.com)

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voachinese.com

この2023年度の国防承認法(NDAA)は、12月5日、賛成83票、反対11票の圧倒的多数で可決されました。
この法案の承認額は、バイデンが今年初めに提案した予算案から450億ドル引き上げられています。
すでに先週、下院で可決されており、この上院での可決を経て直ちにホワイトハウスに送られる運びになりました。
法案は台湾に対して、5年で100億ドルの軍事支援融資を行うことも含まれています。

総額8580億ドルの内訳は、ウクライナに8億ドル、60億ドルが欧州脅威イニシアチブへ提供されます。
この欧州脅威イニシアチブ は、2014年、ロシアがクリミア侵攻したときに成立し、欧州駐留の米軍の対応変化準備に使われるようです。

また、インド―太平洋方面の太平洋脅威イニシアチブのためには115億ドルが当てられ、インド太平洋における米軍能力の向上に当てられます。
つまり、米国は今火を吹いているウクライナ-欧州にはトータルで68億ドル当てる一方、アジア・太平洋方面には115億ドルという2倍弱をあてるということになります。
米国が真の脅威が中国である、という認識を持っていることを日本人はしっかりと認識しておくべきでしょう。

逆に言うならば、ウクライナ戦争は早く片づけてしまって、正面の脅威である中国との対峙に戻りたい、という米国の隠れた希望が見え隠れします。
米国はゼレンスキーの目指すクリミア、東部を含む全土奪還を必ずしも支持していない、今年2月24日のラインで和平しろ、ということでもあります。

このような時期に、日本の防衛3文書が全面的に改訂されて「専守防衛」から脱却し、それを直ちに米国が強く支持したのは偶然ではないはずで、そうとうの期間、米国とのすり合わせをした集大成だと思われます。

この法案には、上院外交委員会主席のボブ・メネンデス議員が提出した台湾レジリエンス(強靱化)強化法も含まれています。
この台湾強靱化法は、初めて台湾のために具体的な国防強大化計画を盛り込んだものです。
2023年から27年まで、米国務省の外国軍事融資計画で、台湾に毎年20億ドル、5年で100億ドルの融資を提供するというもので、その他、最大20億ドル以上を外国軍事融資直接ローンとして台湾に提供するという内容を含んでいます。
ただし無償供与ではなく借款、つまりはローンですから、返さねばなりません。

それだけにとどまらず、さらに大統領通商PDAを利用して、毎年国防省は最大10億ドル分の防衛設備・サービスを台湾に提供するようです。
このPDAは米国大統領に、 議会承認なしで国防省の設備在庫の中から、適時に外国や国際組織に防衛設備やサービスを提供できる権限を与える法案です。

このことについては、民主、共和両党に隔たりはなく、15日午前、下院共和党ボス格のミッチ・マクコーネルはこう述べています。

「中国共産党を制するためには、米国は我々と志を一致する盟友、パートナーたちの間の絆をさらに強固にする必要があり、さらに深い連係協調の努力をせねばならない」「これはすべての状況、軍事基地の進出から、合同演習、オペレーションに至るまでを意味し、我々の国防工業基礎を強化し、我々がパートナー国に必要な防御能力を販売することを通じて、安全と経済の方面でウィンウィンを継続して実現するということである」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.685 2022年12月19日

ここで、マコーネル発言で注目すべきは、「我々の国防工業基礎を強化せねばならない」という部分です。
これは両院超党派の書簡にも盛り込まれていることです。
米国はウクライナ侵攻に対して巨額の軍事支援を与えてきましたが、そのために米軍自身のハイマースのロケット弾が不足をきたしたり、あるいは155ミリ砲弾やスティンガー携帯対空ミサイルまでもが不足するという予想せざる異常事態に見舞われています。

ウクライナの最大の支援国は米国であり、これまで100億ドル(1兆4000億円)以上の軍事支援を提供し、8月末には更に追加で30億ドルを提供することを発表しています。
しかし多くの兵器と弾薬を提供している米国ですら、その代償として自軍の兵器の備蓄が急速に低下しています。
特に減っているのがM777 155mm榴弾砲に使用する砲弾です。

「現在、155mm榴弾を生産する工場はペンシルベニア州スクラントンにあるゼネラル ダイナミクスの工場の一つしかなく、その月産生産能力は1.4万発しかないからです。ウクライナ軍の1日の155mm榴弾の使用量は平均3000発。単純計算で月間9万発で、使用量が生産量をはるかに凌駕しています。砲弾を提供しているのはアメリカだけではありませんが、アメリカ以上の生産能力を持つ国は西側にはないでしょう。ウクライナへは今後も継続的な供給が必要であり、備蓄は更に減っていくでしょう」
(ミリレポ9月14日)

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ミリレポ

「【ワシントンAFP=時事】米国は、ロシア軍の侵攻と戦うウクライナにとって不可欠な弾薬を供与しているが、生産ペースが消費に追いついていないことから、近く一部の弾薬を提供できなくなる見通しだ。
 米国はウクライナに対する最大の武器供給国となっており、これまでに168億ドル(約2兆4500億円)以上の軍事支援を行ってきた。だが米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のマーク・キャンシアン氏は最近の分析で、一部軍需品の備蓄量が「戦争計画や訓練に必要な最低レベルに到達しつつある」と指摘。侵攻前の水準まで補充するには数年かかるとの見方を示した。
 匿名で取材に応じた米軍関係者は、大国が関わる戦争で必要な弾薬数について、米国がウクライナ紛争から「教訓を学んでいる」と説明。必要な弾薬数は予想より「はるかに多かった」と認めた」
(AFP10月12日)
米国の弾薬余剰、近く枯渇か ウクライナ支援長期化で |

また日本は、11月13日の日米首脳会談において3文書改訂について伝え、具体的にはトマホークを売却してくれるように要請しています。
バイデンも、「売却先として日本の優先順位は高いとの認識を示し、米国内の手続きを着実に進める考えを強調した」(読売11月30日)とされています。
ここまではいいのですが、かんじんのトマホークを日本がとりあえずは500発、最終的には1000発発注するとなると、今の米国軍需産業にはそれに答える生産余力がありません。

それは、米国では、1990年代、ソ連崩壊を受けた国防費の削減により、国内の軍需企業が大幅な減産を余儀なくされ、その数は数十社から数社にまで激減ししてしまったからです。
トマホークの輸出を認められたのは英国だけですから、米軍の需要を満たしてしまうとトマホークの製造ラインは閉鎖されてしまいました。
またスティンガーは、2020年以降、製造を止めてしまっています。

いったん製造ラインを閉鎖すると、その復旧に多大な費用が必要となります。
そのような時に起きたのが、ウクライナ侵攻であり、日本の防衛3文書改訂、そして台湾危機だったわけです。

今米政府は、国内軍需産業をたんに米軍のためだけに考えるのではなく、自由主義陣営全体の防衛基盤とせねばならなくなりました。

 

 

 

2022年12月21日 (水)

いっそうキナ臭い東アジア

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日本が新たな防衛構想である3文書の改訂をおこなったためかどうか、東シナ海が一斉に荒れ始めました。
荒らしているのは、例によって例のメンツです。
 まずは、北朝鮮。

「国家宇宙開発局のスポークスマンは、今回の重要実験が衛星撮影およびデータ伝送系統と地上管制システムの能力を評価することに基本目的を置いたと明らかにした。
実験は、20メートル分解能実験用パンクロマチック撮影機1台と多スペクトル撮影機2台、映像送信機と各バンドの送受信機、コントロール装置と蓄電池などを設置した衛星実験品をキャリアに搭載して高度500キロメートルまで高角発射させた
労働新聞(2022年12月19日)

今回面白いのは、北はこのミサイルを偵察衛星だと言っていることです。
いつもなら、ワレは核大国になったぞよ、と言うところなんですが、どうしたことでしょうか。

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北朝鮮 きのう発射のミサイルは偵察衛星か 労働新聞「偵察衛星開発の重要実験行った」|TBS NEWS DIG - YouTube

JSF氏によれば、これは長距離弾道ミサイルの「火星17」ではなく、中距離弾道ミサイルのノドンの改造型だそうです。
偵察衛星という以上、その証拠を見せねばなりませんが、このようなソウルと仁川付近の航空写真を、北は発表しています。

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JSF

もっともこの北が発表した映像は、グーグルアースの写真と酷似しているので眉唾だという説もありますが、よくわかりません。
我が国としては、防衛3文書を公表した時期に合わせたものかどうかが気になるところですが、これまたわかりません。

一方、もっとスッキリと意志を反映しているのは、なんといっても中国です。
中国はまるで3文書公表に合わせたように12月17日に、沖縄県大東島付近で遼寧空母打撃群の訓練を行いました。
この空母のような船は、年に2回ほど定期訓練をしていますが、今回はドンピシャで防衛3文書公表に合わせてきました。

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【お知らせ】中国海軍艦艇の動向について(クズネツォフ級他4隻) (mod.go.jp)

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防衛省

「防衛省統合幕僚監部は18日、沖縄南方の太平洋上で17日に中国海軍の空母「遼寧」から艦載の戦闘」機やヘリコプターが発着艦したのを確認したと発表した。
17日午前11時ごろから午後5時ごろまで約6時間続いたという。海上自衛隊の護衛艦きりさめが監視し、航空自衛隊の戦闘機が緊急発進(スクランブル)して対応した。何らかの訓練をしているとみられる。
防衛省によると、遼寧はほかの中国艦艇とともに16日に沖縄本島と宮古島の間を通過し、東シナ海から太平洋へ南下していた。17日は沖大東島の南西約260キロ付近で、ミサイル駆逐艦2隻、フリゲート艦1隻、高速戦闘支援艦1隻との計5隻で航行した。
遼寧は前回、太平洋へ入った今年5月も、戦闘機の発着艦を繰り返した」
(産経2022年12月18日)
中国空母から戦闘機発着 沖縄南方、空自緊急発進 - 産経ニュース (sankei.com)

この遼寧のコースは、わが物顔で通過する通り道のようになっている沖縄本島と宮古島の間の水域で、同時期ご丁寧にも長距離爆撃機まで飛ばしています。

「令和4年12月19日(月)午後、中国軍用機H-6爆撃機2機が東シナ海方面から飛来し、沖縄本島と宮古島との間を通過して太平洋に至り、沖大東島の南東の太平洋上で反転し、再び沖縄本島と宮古島との間を通過し、東シナ海に至ったことを確認した。
これらに対し、航空自衛隊の南西航空方面隊の戦闘機を緊急発進させ対応した」
(統合幕僚監部12月19日)

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AFP

ただし、この遼寧はバッチモンですから、戦力的にはサホドの脅威ではありませんが、何分いちおう空母の形をしていますので、外交的悪意はしっかりと伝わってきます。
中国「空母」遼寧、宮古海峡を通過し西太平洋に進出: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

一方、ロシアも、この中国に相乗りすようにして、12月になって海軍と長距離爆撃機を東アジアに派遣して中国との「合同訓練」なるものを実施しています。
空軍は、中国の「H6」2機と韓国のADIZへの出入りを繰り返した後、ロシア軍の戦闘機SU35が2機と「TU95」4機を飛ばしたそうです。
東アジアでイチビッているくらいなら、ウクライナで戦いなよ、とおもいますが、残念なことにはロシア極東艦隊は、援軍に行きたくても、黒海入り口近辺でNATOに阻まれて行けないのです。
ですから、極東のロシア地上兵力は真っ先にウクライナ戦線に投入されて早々に全滅してしまいましたが、(ちなみにそれは陸自が北海道に来襲すると予想していた部隊でしたが)極東ロシア艦隊はやることがなくなってしまって、中国に遊んでもらっているようです。
このように、中露の東アジアでの軍事同盟化は急激に早まっています。

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AFP

「ウクライナへの侵攻を開始して以降、西側諸国との関係が悪化しているロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、アジア諸国、特に中国との関係強化に努めている。
 ロシア国防省は「空域警備の歴史上初めて、ロシア機が中華人民共和国に着陸し、中国機がロシア連邦の領土に着陸した」と説明。演習は「国際法を厳格に順守」しており「第三国に向けられたものではない」と強調した。
一方、韓国軍合同参謀本部は同日、中ロ両国の軍用機が韓国の防空識別圏(ADIZ)に一時進入したため、戦闘機を緊急発進させたと発表した。
 同本部によると、中国の「H6」2機がADIZへの出入りを繰り返した後、ロシア軍の戦闘機「SU35」2機と「TU95」4機を伴い、再びADIZに進入。両軍機は最終的にADIZを出て、韓国領空への侵犯はなかったという。
 (AFP 2022年12月1日)
  動画:中ロ空軍、アジア太平洋で合同軍事演習 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

【12月19日 AFP】ロシア国防省は19日、中国の海軍と合同軍事演習を実施すると発表した。西側がロシアへの圧力を強める中、同国は中国との関係を深めつつある。 同省によると、演習は東シナ海(East China Sea)で21~27日に行われ、ロシアの軍艦の他、中国側からも駆逐艦2隻などが参加する予定」
(AFP12月19日) 

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中ロ海軍、東シナ海で合同軍事演習へ 写真6枚 国際ニュース:AFPBB News

こういう危険に満ちた国際状況を、バラバラに報道しているからわからなくなります。

ひとり無意味に元気な琉球新報は、石垣島の自衛隊駐屯地の司令部が地下構造だということを取り上げて、騒いでおります。

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琉球新報

「沖縄県石垣市に本年度開設予定の陸上自衛隊駐屯地で、通信機器室や事務室が地下に造られることが17日までに分かった。防衛省は災害などの対策事務室としているが、自衛隊関係者によると、有事には相手のミサイル攻撃などを回避するため、指揮官らによる作戦調整や現地での指揮機能を担う作戦室として使うことが想定される。(略)
「石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会」事務局の藤井幸子さんは、一部施設の地下化について「(駐屯地が)攻撃されるのを想定しているということだ。抑止力を理由に駐屯地建設が進められてきたのではなかったのか」と疑問を呈した。また「ロシアのウクライナ侵攻を例に抑止力の重要性が言われるが、ウクライナだって抑止力を持っていたはずだ。安保3文書も改定され、ますます怖くなっている」と語った」
(琉球新報12月18日)
【独自】石垣島陸自、地下に「作戦室」設置へ ミサイル回避「住民避難目的でない」 沖縄 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト (ryukyushimpo.jp)

琉新は、なにか特ダネみたいに書き立てていますが、司令部中枢が無防備に等しい状態でいる現状のほうが異常だったのです。
攻撃を想定してっていわれてもねぇ。しない軍隊なんかあるんですかね。
目と鼻の先を中国空母艦隊と長距離爆撃機の編隊が通過しているんですが、ま、いいか。

なおリン外相が3文書のご説明に北京にかけつけるそうです。

「林芳正外相は12月下旬にも中国を訪問する調整に入った。王毅(ワン・イー)国務委員兼外相と会談を予定する。日本の外相の訪中は2019年以来3年ぶり。岸田文雄首相と習近平(シー・ジンピン)国家主席が確認した「建設的かつ安定的な日中関係」の具体策を話し合う。(略)年末に日本が決める国家安全保障戦略などの防衛3文書に関しても説明するとみられる。防衛費の増額や反撃能力の保有といった内容に理解を求める」
(日経12月14日)
林外相、12月下旬にも中国訪問 王毅外相と会談調整: 日本経済新聞 (nikkei.com)

自分で自分らが作った3文書のパワーを打ち消して、どうするんでしょうか。

 

 

2022年12月20日 (火)

防衛力増強はまず足腰の強化に当てよ

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今回の防衛3文書は確かに大きな一歩であったことは事実です。
しかし、まだかつての防衛大綱の尻尾を残しています。

それは、3文書のうちの国家防衛戦略の肝である「反撃能力」についてです。
※国家防衛戦略

strategy.pdf (mod.go.jp)

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NHK

政府は「この「反撃能力」についてこう位置づけています。

まず、抜本的に強化された防衛力は、防衛目標である我が国自体への侵攻を我が国が主たる責任をもって阻止・排除し得る能力でなくてはならない。これは相手にとって軍事的手段では我が国侵攻の目標を達成できず、生じる損害というコストに見合わないと認識させ得るだけの能力を我が国が持つことを意味する。
さらに、我が国に対する侵攻を阻止・排除できる防衛力を我が国が保有できれば、同盟国たる米国の能力と相まって、我が国への侵攻のみならず、インド太平洋地域における力による一方的な現状変更やその試みを抑止でき、ひいてはそれを許容しない安全保障環境を創出することにつながる。

ここまでは結構です。従来の「専守防衛」という空論から醒めて、「生じうる損害に見合わない」と相手国に思わせるだけの能力が侵略を防げるのだ、といういたって常識的な抑止論にわが国がやっと到達したことを歓迎します。
ただし、ここにも「専守防衛」のお化けがまだ影を落としています。
この部分です。

 我が国の防衛力の抜本的強化区(略)この反撃能力とは、我が国に対する武力攻撃が発生し、その手段として弾道ミサイル等による攻撃が行われた場合、武力の行使の三要件に基づき、そのような攻撃を防ぐのにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、相手の領域において、我が国が有効な反撃を加えることを可能とする、スタンド・オフ防衛能力等を活用した自衛隊の能力をいう。

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「他国に脅威与えぬ」方針揺らぐ 敵基地攻撃は専守防衛の枠内か逸脱か:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

政府は「反撃能力」という従来と次元の異なる防衛構想を提起しながら、一方で「やむを得ない必要最小限度の自衛の措置」という言い訳じみた文言を書き加えているのです。
私は、自国防衛について「最大限に行う」ことが防衛の責務であって、わざわざ「必要最小限」という曖昧模糊とした文言であらかじめ制約をかける意味が分かりません。
そもそもそんなことはわざわざ書いて、うちの国の防衛は「必要最小限」ですからお許しを、などと言うべきことではないはずです。
こんなことを書いて、うちの国の防衛はには重大な欠陥がありますよ、と教える馬鹿は世界にも珍しいはずです。

では、なぜこんな世界の防衛の非常識をむざわざ書き込むのでしょうか。
ひとつにはメディア対策です。
メディアは案の定、こぞって専守防衛から逸脱し、他国に脅威をあたえると非難し始めています。

「他国の領域内を標的にする敵基地攻撃能力の保有は、日本の安全保障政策の大転換にも直結する。専守防衛の枠内なのか、逸脱かが大きな論点だ。国際社会に発信してきた「他国に脅威を与えない」という防衛の基本方針も揺らぎかねない。(略)
中国は「日本が歴史の教訓をくみ取り、専守防衛の約束を誠実に履行し、行動で平和発展の道を歩むよう促す」(外務省副報道局長)と早くも警戒している。

 米中対立などで東アジア情勢の緊張が高まる中、近隣諸国の理解を得ないまま、敵基地攻撃能力の保有へと進めば、地域の新たな懸念材料になる可能性もある」
(東京2022年8月27日)

これは野党とメディアのポジショントークみたいなもんで、彼らはいまだ中国の意向だけが「近隣諸国」の意志だと勘違いしていますから、歩調を合わせて必ずこう言うだろうな、と思っていたらやはり言い出しました。
しかしもっと深刻なのは、中国は脅威ではないと主張しつづけている日本最大の親中政党である公明党への政治的配慮です。
こちらのほうが政府見解そのものを定められないので、大きいでしょう。

「政府は会合で、ミサイル技術の進展で音速の5倍以上で飛ぶ「極超音速ミサイル」や変則軌道を描くミサイルなど、BMDで迎撃困難なミサイルを周辺国が実戦配備している現状を説明。多数のミサイルを一斉発射する「飽和攻撃」も迎撃が難しい状況にあるとの認識を示した。BMDを強化するとともに、相手領域内にあるミサイル拠点などへの打撃力を持つことで、対処力や抑止力の向上が必要とも強調した。
また、政府側は能力行使は武力行使要件に従い必要最小限とすることや、先制攻撃を禁じる国際法に従って攻撃対象は「軍事目標」に限られるとした。同盟国などが武力攻撃を受けて集団的自衛権行使が可能となる「存立危機事態」でも能力行使は除外しないことも示した」
(産経11月25日)
政府「必要最小限」説明 反撃能力保有初めて示す - 産経ニュース (sankei.com)

反撃の対象が、軍事目標のことはあたりまえです。
国際紛争法に沿った反撃でなければ、わが国はロシアと同等に扱われてしまいますからね。
ただしだからと言って、「武力行使要件を最小限にする」という意味がわかりません。
おそらく政府は気がついているはずですが、仮に数百発規模の飽和攻撃を受けた場合、その動きを察知した段階で最大限の反撃をせねばなりません。
発射されてからは遅いのであって、それが地上にある間に可能な限りすべてを破壊するのは当然すぎるほど当然のことです。
規模ばかりではなく、反撃範囲もミサイルだけではなく、司令部、通信、兵站にまで及ばねば、脅威を断ち切ることはできません。

この「必要最小限に止める」という、 いまや無意味であるばかりか有害でさえある規定は、三木武夫内閣時代の1976年、第一次防衛大綱で「基盤的防衛力構想」を打ち出した時に生まれました。

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防衛省・自衛隊|平成30年版防衛白書|1 基本的な考え方 (mod.go.jp)

この「基盤的防衛力」とは、聞いただけだと至極まともに聞こえますが、元来、冷戦下においてあまりに貧弱な防衛力では日本が力の真空を作り出してしまう為に「必要最小限の防衛力」を整備しようとする政策でした。

しかしこの「必要最小限の防衛力整備」計画は、現実に運用されてみれば、自衛隊を米軍が来援に来るまでの一時的「つなぎ」能力しか与えないようなものに変化していきます。
つまり冷戦下の自衛隊は、40万規模の極東ソ連軍が北海道に侵攻して来た場合、米陸軍・海兵隊本隊が米本土から輸送船で来援に来る数カ月間だけ持ちこたえるだけの「必要最小限」の防衛力だけ持たせておけばよいればよい、という考え方に変わってしまったのです。

具体的には、この米軍来援までの数カ月間の間に、北海道に配備された第2師団と第7師団、及び空自第2航空団はほぼ完全に戦力を消耗し尽くし、その頃合いで海自に護衛された第7艦隊と米地上兵力本隊が到着するというストーリーです。
ここからやっと反撃が開始されるということになります。
これがリベラル陣営がお好みの「専門守防衛」、言い換えれば、防衛力は攻め込まれて初めて発動できるという現代版の本土決戦思想です。
いかに国民と自衛隊員の生命を無視した考え方か、お分かりになるでしょう。


この「専守防衛」思想に従って自衛隊の能力は、長期間の継続的戦闘能力はいらないとされてきました。
なにせ自衛隊は、米軍が来るまでの「つなぎ」の軍隊にすぎませんから。
そもそもそんなものを持たせれば、必ず「日本軍」はまた侵略を開始するじゃないか、という当時の空気があったのでしょう。
結果どうなったのかといえば、自衛隊現場における深刻なさまざまなストック不足でした。

「稼働できる航空機が足りません。編隊を組む演習では規定の機体数が用意できないです」。航空自衛隊でこんな悲鳴が上がる。
陸海空の3自衛隊全てで同じ声がある。近年は航空機や戦車など装備品の稼働率が大幅に低下している。
防衛省は非公式に実態を調査した。全装備品のうち足元で稼働するのは5割あまりだった。稼働していない5割弱のうち半数は「整備中」だが、残りは修理に必要な部品や予算がない「整備待ち」に分類される」
(日経2022年9月5日)
防衛装備品、5割が稼働できず 弾薬など脆弱な継戦能力: 日本経済新聞 (nikkei.com)

また防衛当局としてはきわめて異例なことですが、防衛省は現劇ミサイルの必要数の6割しか保有できていない、と述べています。
「防衛省は21日、ミサイル防衛(MD)で使う迎撃ミサイルの保有数が必要と試算する数量の約6割しか確保できていないと公表。弾道ミサイルが日本に向けて発射された際には、海上のイージス艦と地上の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の2段階で迎撃することになっている。
 弾薬不足の背景には、迎撃ミサイル技術の高度化で、1発当たり数億円以上と価格上昇が続いているにもかかわらず、弾薬購入全体の予算額が増えていないことがある。毎年2000億~2500億円とほぼ横ばいで推移しており、製造業者の撤退が相次いでいることも影響している。同省幹部は「新しい装備品の購入を優先し、弾薬などの手当ては後手後手だった」と認める」
(時事2022年10月31日)
弾薬、部品不足が深刻化 防衛省、継戦能力に危機感:時事ドットコム (jiji.com)
この「専守防衛」思想によって、自衛隊は見た目は精強であり、その能力は世界屈指であっても、弾薬すら不足するていたくらでした。
兼原信克前国家安全保障局次長 はこう述べています。
基盤的防衛力構想は、その後も日本の防衛政策を縛ってきた。その結果、自衛隊の継戦能力は著しく低くなった。日本は「米軍が来るまで数カ月持てばよい」という軍隊を育ててきたのである。弾がない。弾薬庫もない。部品が足りないから戦闘機も飛ばない。高価な戦闘機は青空の下で甲羅干しだ。
自衛隊の神経中枢というべき指揮命令中枢も地上にむき出しだ。潰してくれと言わんばかりである。いざとなれば多くの傷病兵が出る。従軍する医師も足りない。これで日本が守れるのか」
(兼原信勝克 内閣官房副長官補(外政担当)、国家安全保障局次長)
防衛費はGDP比2%でも足りない 日本の「継戦無能力」を克服せよ 「三回裏」の自衛隊、米のリリーフ待ちで守りきれるか(2/2ページ) - zakzak:夕刊フジ公式サイト
よく、GDP2%と言うと、イエロージャーナリズムはすぐに、米国から高価を武器を買うんだろうとばかりにお買い物計画を書き立てていますが、まずはこの継戦能力を整備することから始めねばなりません。
「来年度の予算案、過去最大の114兆円程度となる見通しです。自衛隊の弾薬の経費だけで8200億円以上を計上する方向です。
政府は2023年度の当初予算案で、一般会計の歳出総額を114兆円程度とする方向で最終調整に入りました。
防衛費は今年度の当初予算に比べて25%増えて、過去最大のおよそ6兆8000億円に拡大。とくに長距離ミサイルを含む弾薬の経費は8283億円を計上する方向で、近年の3倍以上に達します。
有事に際しての“弾切れ”の懸念をなくし、自衛隊の戦闘継続能力を向上させる狙いです」
(TBS12月19日 )
 “弾薬だけ”で8200億円 来年度当初予算案、防衛費が25%増の過去最大 総額114兆円程度で最終調整(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース
TBSはご不満のようですが、結構なことです。まずは足腰の強化から始めましょう。

2022年12月19日 (月)

防衛三文書、グッドジョブ!

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メッシ、おめでとう!
ほんとうにすばらしい試合だった。

防衛三文書が公表されました。
率直に評価できる内容です。
国家安全保障戦略(概要) (cas.go.jp)

頭から読み始めて、Ⅱ基本理念にいきなりこんな文言が出てきた時には、ヤッパリ岸田節かとため息が出ましたが、落ちついて読めばよくできた内容でした。

「Ⅱ 国家安全保障の基本理念
戦後一貫して平和国家としての道を歩み、専守防衛に徹し、他国に脅威を与えるような軍事大国とはならず、非核三原則を守るとの基本方針を堅持してきた。
国連憲章を遵守しながら、国連を始めとする国際機関と連携し、それらの活動に積極的に寄与している。国際平和協力活動にも継続的に参加している。また唯一の戦争被爆国として、軍縮・不拡散に積極的に取り組み、「核兵器のない世界」を実現させるため、国際社会の取組を主導している」

「非核3原則を守る」なんて、ことは書き込む必要がありません。
この文書は冒頭の「Ⅰ策定の趣旨」で書かれているとおりは、「おおむね10年程度の期間を念頭に置いたもの」で、この間の情勢次第では核の持ち込みを可能にせねばならない状況が生まれる可能性が濃厚だからです。
いちおう「政策の実施過程を通じてNSCにおいて定期的に体系的な評価を行い、適時適切にこれを発展させていく」と逃げ口は作ってありますが、今のように中国と北朝鮮の核ミサイルに脅迫されている状況で、こんなことはか書ずもがなのことでした。

また先日も書いたように、核兵器禁止条約に色気があった岸田氏らしい表現です。
この「核のない世界」という薄手の理想主義的表現は、米国の核の傘の下にいられるから独自核武装をせずに済んでいるのだ,という認識を欠落させたいい気なものにすぎません。
米国の核の傘=日米安保そのものなのだというリアルな認識が欠落しています。
そんなに「核なき世界」を求めたいなら、禁止条約を批准して日米同盟を廃棄するか、さもなくば自らも核武装して核軍縮のテーブルに着くかのいずれかです。
核兵器は一気に消滅するものではなく、段階的に核軍縮するしかない以上、そのためには核軍縮のテーブルに座らねば話にならないのです。
そのためには核保有国になる必要があります。
核廃絶の現実化のためには核保有せねばならない、これがリアルな国際政治のパラドックスなのです。
この部分がなければ満点でした。

さて、文句ばかり言いましたが、これ以外は予想に反してといってはナンですが,よくできています。
「基本理念」に、改めてFOIP(Free and Open Indo-Pacific 自由で開かれたインド・太平洋)の基本理念であるこの一項を書き込んだことは意味あります。

「自由、民主主義、基本的人権の尊重、法の支配といった普遍的価値やルールに基づく国際秩序を維持・擁護すること」

これは後段のⅢと照応する基本的価値観です。
ここで重要なことは、改めて日本を海洋国家と、つまりシーパワーであると位置づけたことです。

(4)海洋安全保障の確保
 海洋国家として、力ではなく、法の支配、航行・飛行の自由や安全の確保、国際法にのっとった紛争の平和的解決を含む法の支配といった基本ルールに基づく秩序に支えられた「開かれ安定した海洋」の維持・発展に向け、主導的な役割を発揮する。

そうです、この国家の地政学的位置づけが重要なのです。
わが国は孤立した島国ではなく、海洋によって貿易、外交、防衛を保全できているという国のあり方を示しておかねばなりません。
いままで、攻め込まれたらどうする、米国に守ってもらうしかないか、という内向きの防衛思想でしたが、そこから一歩出て海洋こそがわが国の生きる道だと示したことは歴史的な第一歩でしょう。

そしてその行く手には、中国という脅威が存在している、と名指ししたのは時宜を得た指摘でした。
ここをあいまいにして外交-防衛はありえませんからね。

Ⅲ 我が国を取り巻く安全保障環境と国家安全保障上の課題
(1)パワーバランスの変化及び技術革新の急速な進展
 新興国(中国・インド等)の台頭により国家間のパワーバランスが変化している。特に中国は国際社会における存在感を高めている。世界最大の総合的な国力を有する米国は、安全保障政策及び経済政策上の重点をアジア太平洋地域にシフトさせる方針を明らかにしている」

そしておもむろに登場するのが、FOIPを中軸とする各国との戦略的パートナーシップの強化です。

Ⅳ 我が国がとるべき国家安全保障上の戦略的アプローチ
我が国と普遍的価値や戦略的利益を共有する、アジア太平洋地域の国々との協力関係を強化。

- オーストラリア:戦略認識の共有、安全保障協力を着実に進めていくとともに、戦略的パートナーシップを一層強化する。
- ASEAN諸国:40年以上にわたる伝統的なパートナーシップに基づき、あらゆる分野における協力を深化・発展させるとともに、一体性の維持・強化に向けたASEANの努力を一層支援する。
- インド:二国間で構築された戦略的グローバル・パートナーシップに基づいて、海洋安全保障を含む幅広い分野で関係を強化していく。

以下、各方面の反応を見てみましょう。
まずは米国。

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そしてオースチン国防長官のステートメントです。
米国国防総省>公表>新戦略文書(国家安全保障戦略、国防戦略、防衛強化計画)の公表に関するオースティン国防長官声明 (defense.gov)

日本の新戦略文書(国家安全保障戦略、国防戦略、防衛力増強計画)の公表に関するオースティン国防長官声明
2022年12月16日 
我々は、ルールに基づく国際秩序と自由で開かれたインド太平洋の堅持に対する日本の確固たるコミットメントを反映した日本の最新の戦略文書(国家安全保障戦略、国防戦略、防衛強化計画)の公表を歓迎する。
日本の新たに発表された国防戦略と米国の国防戦略で概説されているビジョンと優先事項との間には重要な整合性があり、どちらも同盟の近代化、統合抑止の強化、志を同じくする同盟国やパートナーとの協力を通じて進化する地域および世界の安全保障上の課題に対処するための継続的な二国間努力を支えている。
我々は、反撃能力を含む地域の抑止力を強化する新たな能力を獲得するとの日本の決定を支持する。
我々はまた、2027年に防衛費を大幅に増額し、GDPの2%を達成すること、並びに常設の共同作戦司令部の創設を通じて自衛隊の共同性及び相互運用性を向上させるという日本の決定を支持する。
日米同盟はインド太平洋の平和と繁栄の礎であり続けており、米国は両国の戦略に掲げられた目標を支援するために日本と協力することを約束している。

その他の米国の声明も諸手をあげて支持を表明しています。
Statement by National Security Advisor Jake Sullivan on Japan’s Historic National Security Strategy | The White House
日本の新国家安全保障戦略、国防戦略、防衛力増強計画を歓迎 - 米国国務省 (state.gov)

ここまで出揃うことは珍しく、いかにすばらしいインパクトを与えたのかをものがたっています。

そしてわれらが中国の反応。

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「16日に閣議決定された「国家安全保障戦略」など、いわゆる安保関連3文書をめぐり、中国政府は「中国の脅威を騒ぎ立て軍備拡大の口実にしている」と強く反発しました。
安保関連3文書で日本が中国の軍事行動について「これまでにない最大の戦略的な挑戦」などと位置づけたことを受けて、中国外務省は16日の会見で「日本は事実を顧みず絶えず中国を中傷している」と強く批判しました。
その上で「アジア近隣諸国の安全懸念を尊重し、軍事・安全分野での言動を慎むよう促す」と求めました。
さらに「中国の脅威を騒ぎ立て、自国の軍拡の口実にするたくらみは、成功しないだろう」と強くけん制しています。

(日テレ12月16日)
中国政府“防衛3文書”閣議決定に強く反発「中国の脅威を騒ぎ立て軍備拡大の口実にしている」(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

ああ、よかった中国に褒められたらどーしようかとおもってた(笑)。

そして朝日。

「他国の領土に届く「敵基地攻撃能力」の保有は、専守防衛の原則を空洞化させ、防衛費の「倍増」は歯止めなき軍拡に道を開きかねない。
国民的議論のないまま、戦後の抑制的な安保政策を大転換し、平和構築のための構想や努力を欠いた力への傾斜は、危ういと言うほかない。(略)
戦略的な挑戦」は、米国が国家安全保障戦略で採用した表現に歩調をあわせたものでもある。確かに、米国からみれば、中国は自らの覇権に挑戦してくる国であり、それに打ち勝つことが目標かもしれない。
 ただ、日本にとっては、中国は隣国であり、歴史的、経済的な結びつきも深い。ひとたび、東アジアで紛争が生じた場合、国民生活に与える打撃も、日本の方がはるかに大きい。
 日米の利害がすべて一致するわけではない。決して戦争は起こさせないという決意で、緊張緩和や信頼醸成に率先して取り組むのが日本の役割だろう。NSSには「第一に外交力」「第二に防衛力」とあるが、防衛力の強化が突出し、外交も中国に対峙(たいじ)する関係国の連携強化に力が割かれているのが実態だ」
(朝日社説2022年12月17日) 
(社説)安保政策の大転換 「平和構築」欠く力への傾斜:朝日新聞デジタル (asahi.com)

ほぼ中国と同じ内容なのが微笑ましいですね。
チュウゴクがなに言うかを見てから社説書くんでしょうね。

そして韓国。

「日本政府は16日、臨時閣議で「3代の安保文書」△国家安全保障戦略△防衛計画大綱△中期防衛力整備計画の改正を議決して「反撃能力保有」を含めた日本の防衛力の根本的に強化を宣言した。 (略)
専門家の一部では、在韓米軍が北朝鮮の攻撃を受ける状況でも日本は、同盟国が攻撃を受ける場合、対応するという「集団自衛権」の概念を適用して対北朝鮮攻撃に乗り出す可能性も提起されている。
しかし、これは「交戦権」を認めない日本の平和憲法の原則に反するという指摘も提起されている。 (略)
しかし、韓国軍と政府当局は韓半島に及ぼす含意を分析し、有事の際に日本が北朝鮮を攻撃しようとするなら必ず韓国政府の承認を経なければならないという立場で知られた。
特に韓国軍は「日本戦力の韓半島投影」が日本の意志だけで行われることはないと述べ、大韓民国の領土を「韓半島とその付属島嶼」に明示した憲法第3条によって、韓国の承認のない日本戦力の北朝鮮進入や攻撃はありえないという立場だ」
(ファイナンシャルニュース12月17日)
軍 "일본 전력, 한반도 투사시... 반드시 우리 정부 승인 거쳐야" (naver.com)

日本が「反撃」するなら韓国の承認を得ろとのことですが、あんたのとこの承認待ってたらいつになるやら。
無理いいなさんな。ま、10分前通告くらいはできるでしょうが。

2022年12月18日 (日)

日曜写真館 あきのたつ日より芒は水のうヘ

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ともかくも風にまかせてかれ尾花 千代尼

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ひら~と朝霧乾くすすきかな 鈴木道彦

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ふところの子を愛するや糸薄 芙雀

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泣たくば尾花がくれに空見べし 鈴木道彦

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茫々と取乱したるすすきかな 鬼貫

 

クロアチア3位、おめでとうございます。
さぁ、今晩は決勝だ!

 

2022年12月17日 (土)

もっとシンプルに考えなさい

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今回の防衛増税騒動をみると、シンプルに解決できることをより複雑に、より実現が困難なほうに持っていっている気がします。
よくあるんですよ、こういうこと言う人が。
たとえば、ヒダリの人らがいう、格差是正のために資本主義を解体しようとか、などがそうです。

格差が出るごとに自由主義経済という国民共有の土台を解体して、どないすると思いますがね。
たんに景気を底上げして、万人に富が行き渡る仕組みを作ればいいだけのことです。
ひとつのことを解決するために百の破壊をするなんてマッピラです。

それを効果が見えず、しかも被害が甚大な方法を唱える人たちは、もっと別の目的があるように見えます。
つまり建前とは違うナニカです。

今回の防衛費増額も同じことで、やれ所得税だ、タバコ税だ、果ては復興税(まだ取っているのか)と細々とわけのわからない増税メニューを出して、増税して得るのはたかだか不足分1兆円だというのですから失笑します。
たぶんこんなスラップスティックな脚本を書いたのは財務省であることは間違いないはずで、これを増税攻勢の突破口にしようと狙っているのでしょうね。

ことはシンプルなのです。
防衛論議も同じです。
日本のぐるりが、戦後わが国が経験したことのない軍事的緊張の度を深めています。

日本には隣国が5つあります。
中国、朝鮮半島の二カ国、そしてロシアと台湾です。
その5カ国で唯一友邦と呼べるのは台湾だけで、韓国は反日コウモリ、中国は台湾、尖閣を狙い、わが国のEEZに弾道ミサイルを撃ち込んで来ました。
北朝鮮は弾道ミサイル実験を繰り返し、年内にも核実験に踏み切るところまできています。
ロシアに至っては、ウクライナ戦争以降、世界最凶最悪の侵略国です。
全部が全部危ない国ばかりです。
こんな世界一危険な国々に囲まれて、のほほんと暮らせる神経のほうがおかしいのです。

したがって、問われているのは防衛力を強靱化すること、それだけのことです。
そのために防衛費を増額せねばならないのはわかりきったことで、それを増税と絡ませてしまうのですから、複雑怪奇になります。

おかげで、本来議論を深めるべき、どのような防衛力強化が必要なのか、なにを補強どういつまでにするのか、という肝心要のことの議論がされないままに、くだらない増税論議にすり替わってしまいました。
防衛3文書策定の時期にも当たっていて、ここにこそ徹底した議論が必要だったにもかかわらずです。
いまを逃すと、防衛3文書はあとまで防衛政策を拘束し続けますから、徹底した議論が要るのです。

それにしても岸田さんって人は・・・、と天を仰ぎたくなります。
安部氏暗殺の背景を探らず、これをメディアの旧統一協会潰しに乗って宗教という迷路に入り込んだのも岸田内閣でしたが、ほんとうに岸田さんって腰の座った議論ができない御仁です。

今回の防衛費増額も、岸田氏が複雑にする前にはシンプルなテーマだったはずで、本来は増税ウンヌンとはまったく別次元の話でした。
それを「恒久的財源」、つまり税率を上げることにこだわるから複雑になります。

1兆円足りないというならば、3とおりの方法があります。
もっともシンプルな解決方法は、税収を増やすことです。
パイを大きくすれば、仮に1%枠であったとしてもスライドして増額します。
次に使われていないコロナ対策予備費を利用すること。
そして国債を発行することです。

そういえば、国債を出す出さないで、猪口邦子元少子化担当大臣がこんな中学生みたいなことを言っています。

「自民党の猪口邦子元少子化担当相は14日、岸田文雄首相が防衛費増額の財源の一部を増税で賄う方針を示していることについて賛意を示した。「命をかけて国を守る人を税金で支えるというメッセージを出すのが政治の仕事だ。国民国家の基本は防衛を税金で賄うことではないか。自衛隊を税金で支えず、国債で(支える)とは失礼に過ぎると思う」と述べた。党本部で記者団に語った」
(産経12月14日)
自民・猪口氏 防衛増税に賛意「国債は失礼に過ぎる」 - 産経ニュース (sankei.com)

こんなていどの認識の人が自民党のエライさんなのですよ。(涙)
中学生に教えるつもりでいきましょう。
いいかい、財源はなんでもいいんだよ。お金には色がついていないから、出所は所得税でも国債でもなんでもいいのです。
よく消費税を社会福祉に使うから必要だという人がいますが、アレは目的税ではありませんから、国庫に入ればなににつかわれても文句はいえないのです。

ただひとつ心せねばならないことは、国民や企業の活動を阻害しないことが絶対条件です。
今回の防衛増税議論のように、デフレが脱却できない時期の企業所得税の増税なんて、企業が設備投資や労働者の賃金をあげる意欲まで削ぐからダメなのです。

しかも時期が最悪です。
西村経済再生担当大臣が言うように、今は春闘ベースアップ交渉の前哨戦の時期です。
こんな企業がベアをアップするかどうかでナーバスに揺れている時期に、企業所得税あげるからよろしくなんて言えば、一気に企業はベースアップを出し惜しみするはずです。
かくして勤労者の所得は上がらず、個人消費は冷え込んだままとなり、したがって税収も縮小します。

え、それじゃあ財務省も困るだろうって。
いえ、困らないのです。彼らにとって重要なのはトータルな税収ではなく、いくら民から絞ったかを示す「税率」だからです。
税収が増えても、省内ではそれはたんに景気がよかったからのことだ、お前の手柄じゃないと言われますが、税率を上げれば後の世代にも、見ろ、オレの時代にこれだけ省益を拡大したのだゾ、と胸を張ることができますからね。

彼らは1年もみたずに入れ代わる国会議員など屁とも思っていませんから、ご進講してことごとくザイム党に入れてしまっています。
一方、国会議員は自分の票田の業界に有利な政策や補助金を引っ張ってこないと用済みになるので、ザイム真理強には頭が上がりません。
逆らうと、税務調査に入られて政治収支報告書の記載漏れをつつき出されて、あえなく失職するハメになりかねません。

こうして情けないことに、自民党議員の半分以上はこのザイム党党員で、岸田氏などはさしずめ小頭格です。
この猪口氏などもザイム党の党員のひとりなんでしょうかね。
なんですって、「恒久財源にしないと自衛隊に失礼だ」とですか、論評したくもないですが、逆です。
防衛増税によって防衛費を上げてしまうと、防衛力強化は増税につながるという間違った認識が国民に生まれてしまうでしょう。

今、来年度防衛予算案が提示されてきていますが、いままでと違うのは、防衛費を増やすと国民負担が増えるのだ、という新しいネタか政府から投下されてしまったことです。

「政府は、来年度予算案の防衛費について過去最大のおよそ6兆8000億円とする方針を固めました。
政府関係者によりますと、来年度予算案の米軍再編経費を含む当初の防衛費はおよそ6兆8000億円で、今年度当初のおよそ5兆4000億円の1.2倍以上に膨らんで過去最大となる見込みです
(TBS 12月15日)
来年度防衛費 過去最大 約6.8兆円の方針 トマホーク購入に2100億円あまり計上(TBS NEWS DIG Powered by JNN) - Yahoo!ニュース

あのね、TBSさん、デフレだったから「GDP1%」枠が伸びなかったのです。
順調に経済が伸びていけば当然毎年「過去最大」になってあたりまえなのです。

防衛費推移を見たのが下図の赤線です。
恐ろしいまでにフラットで、まったく増えていないことがわかります。

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これを中国と比較したのが下図です。

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防衛省

「我が国周辺国は近年継続して国防費を増加させる傾向にあります。特に、中国の国防費は、引き続き速いペースで増加しており、過去10年間で約4倍、過去26年間で約40倍の規模となっています。
 また、最近10年間における周辺国の国防費の変化を見ると、2003年度を1とした場合、2013年度においてロシアは5.85倍、中国は3.89倍、韓国は1.97倍となっています」
(防衛省HP)

しかも今回防衛費増額といっても5年先の話で、しかも増税とワンセットにしてのことです。

「岸田総理大臣は8日、与党に税制措置を検討するよう要請することにしています。
防衛費の増額をめぐり、岸田総理大臣は5年後の2027年度に防衛費と関連する経費を合わせてGDP=国内総生産の2%に達する予算措置を講じるよう指示していて、今年度のGDPの見通しをもとに計算すると11兆円規模になる見通しです。
防衛費を増額するための財源について政府が検討した結果、5年後には追加の財源としておよそ4兆円が必要で、歳出削減のほか、年度内に使われなかった「剰余金」を活用しても1兆円程度が不足すると試算していることがわかりました」
(NHK12月8日)
防衛費GDP2% 歳出削減しても財源1兆円程度不足 政府試算 | NHK

ところで、この岸田氏の防衛増税の動きに対して、自民党内部で猛然と抗議の声が上がり、与党分裂のあり様です。
当初は反対派の高市氏に更迭をチラつかせましたが、世論がこれを許さないとなると、今度は「税調会長一任」で乗り切るようです。

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NHK

「防衛費増額の財源を賄う増税策をめぐり、自民党税制調査会は全体会合で、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる案を了承し、今後の対応を宮沢会長に一任することを決めました。
防衛費の増額で不足する1兆円あまりの財源を賄う増税策をめぐり、自民党税制調査会は午後に全体会合を開き、これまでで最も多いおよそ120人が出席しました」
議論の結果、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる案が了承され、今後の対応を宮沢会長に一任することを決めました」
(NHK 2022年12月15日)
【詳細は?】防衛増税案 自民税調 3税目を組み合わせる案を了承 | NHK | 税制改正

「一任」となっていますが、これは当座の正面衝突を避けただけの便法です。
最後まで抵抗を貫く増税反対派に配慮して、来年1月召集の通常国会で増税のための法改正を見送り、今後も税調で議論するという妥協案です。
ただどうなることやら、私は楽観していません。

 

2022年12月16日 (金)

中国、コロナ再爆発

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習近平が中東外遊をやっているまに、コロナが北京で再爆発してしまいました。
さっさと帰って来なさい。
ヒマラヤではまたインド軍と衝突していますよ。

ところで、出かける前に習はゼロコロナ政策を修正しました。
白紙運動のとりあえずの成果です。
ただし、習近平は表向き抵抗運動のためだとは口が裂けても言わないはずで、まるで元々この時期には緩和する予定だったようなふりをしています。

「その背後で秘密里に実に多くの若者たちが、逮捕され、尋問され、脅され、二度とこうした運動に加担しないように圧力をかけられています。
それでも、ゼロコロナ政策が緩和されたのちでも、実は大学でいくつも白紙運動は起きているのです。ただ、ゼロコロナ政策緩和の朗報の中で、彼らが継続している運動も、また運動に参加した人たちが一人ひとり、秘密逮捕されていることも忘れ去られようとしている。
どうか、今起きている、学生運動弾圧のことを忘れないで。関心を持ち続けて。
この運動が、中国のよりよい未来につながるよう、見守ってほしいと思いました」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.679 2022年12月10日

この白紙抵抗運動はコロナ対策をきっかけとして立ち上がりましたが、当初から共産党独裁を批判するのが真の目的でした。
若者たちが批判しているのは、ただのコロナ対策ではなく、このようななんの情報も与えず強権的に都市封鎖を継続し続けるという情報統制社会でした。

ですから、表向きはゼロコロナ政策は転換されたように見えますが、その代償のように各都市では感染が一気に拡大しているようです。

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ロイター

再拡大の原因について、WHO緊急対応統括のマイケル・ライアンはこのような意見を述べています。

「[ジュネーブ 14日 ロイター] - 世界保健機関(WHO)の緊急事態対応を統括するマイケル・ライアン氏は14日、中国でこのところ新型コロナウイルスへの感染が爆発的に増えているのは、政府が「ゼロコロナ政策」を緩和したためではないとの認識を示した。同時に、中国のワクチン接種率が低いことに警鐘を鳴らした。
同氏はメディアとのブリーフィングで、規制解除のかなり前からコロナウイルスは中国国内で「集中的に」広がっており、規制措置は感染拡大を止めることはできなかったと述べた。また、中国が状況を制御するには十分な数の国民にワクチン接種を受けさせることが課題だとした」
(ロイター12月14日)
中国のコロナ感染急増、規制解除が原因ではない=WHO幹部 | Start Magazine (taboolanews.com)

中国の下請け機関となったWHOさえ、感染の再拡大を警告し、この原因がゼロコロナの転換による規制緩和とは別次元だと指摘しています。
そしてその原因は、ワクチンが効いていないか、さもなくば中国政府が状況を制御するにはまったく不十分な数のワクチン接種しか受けさせていないからだとしています。

そもそも中国製ワクチン(シノバック社ワクチン、シノファーム社ワクチン)は、日本などの各国で多く使われているmRNAワクチン(ファイザー社ワクチン、モデルナ社ワクチン)に比べて、有効性が低いとされています。
供与したセーシェルは接種率が6割、チリが7割接種してまったく感染拡大が止まらないのですから、とうとうチャイナワクチンについたあだ名が「水ワクチン」、気休めにしかならないというのが海外の治験評価でした。
チャイナワクチン、ついたあだ名が「水ワクチン」: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

中国では、mRNAワクチンなど、より効果の高いワクチンの開発を懸命に行っているとされていますが実用化にはこぎつけていません。
かといってファイザーやモデルナなどの米国ワクチンを輸入するのは、中国産ワクチンをさんざん海外への提供して恩を着せて売り込んできた手前消極的です。

また死亡者が多いのは、中国では60歳以上の高齢者の接種が遅れているからです。
中国の統計数字を信じるとしても(この国の統計ほど、政治的に歪められたものはありませんが)、年齢別接種率はこのような接種状況です。

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なぜ中国はゼロコロナ政策を止めないのか |2022年 | データの見方・使い方 | 野村総合研究所(NRI)

「中国ワクチン接種率は全人口ベースで、1回接種91%、2回接種90%、3回接種56%(2022年7月7日時点)となっている。一方、日本では1回接種82%、2回接種81%、3回接種62%(2022年7月11日時点)であり、少なくとも2回接種まででは日本を上回る高い接種率となっている。
ところが、中国では高齢者の接種が進んでいない。60歳以上で見ると何れの接種回数でも日本の接種率を下回っている。
特に問題なのは、新型コロナに感染した場合に重症化の危険性が高い80歳以上の年代でより低い接種率となっている事である。2022年3月17日時点での80歳以上の接種率は1回接種でも6割前後であり、中国では年齢が上がるにしたがって接種率が下がっている。
日本では、年齢が上がるにしたがって接種率が上昇しているが、中国では逆の傾向となっている事が分かる。この事は、一旦感染が拡大した場合、高齢者を中心に重症者が多く出かねない事を意味している。Nature Medicineの論文では想定される死亡者の74.7%が60歳以上の未接種者としている」
(野村総研2022年7月26日)

一方、日本はご存じのように、重点的に高齢者を優先的に接種しました。
すでに郡部でも5回目接種は珍しくありません。
ワクチンのタイプも、5回目からはすでにオミクロンBA.2株対応のものに切り替わっています。

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日本国内のワクチン接種状況 オミクロン株対応ワクチンの接種率|NHK

このように中国では元々効果が期待できないチャイナ・ワクチンだったうえに、もっとも死亡リスクが高い高齢者になるほど接種率が下がるということをした結果、感染が再爆発してしまいました。

そもそも感染抑制の受け皿である医療体制自体が脆弱です。
とくにコロナで多く出る軽症・無症状患者をケアする看護師数は、人口あたり日本の3割程度に過ぎません。
重症・死亡者対応の人口当たりICU病床数も、同じように日本の3割程度であり、これではとうていコロナの爆発には対応不可能です。

このICU病床数の少なさが、感染拡大時にICU病床が長期にわたって飽和する事態を引き起こしました。

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野村総研

米中共同チームによる研究論文『中国におけるオミクロン株の伝播モデル化』(Nature Medicine2022年5月10日 )によれば、中国が「ゼロコロナ」政策を解除した場合、感染者数、入院者数、死亡者数は壊滅的被害を与えるだろうと予測しています。

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野村総研


「その結果は以下の様に驚くべきものであった。
1)「ゼロコロナ」政策を解除した場合、6か月で有症状者数1億1220万人、入院者数(中等症)510万人、ICU入院者数(重症)270万人、死亡者数160万人となる。
2)人口当たり死亡者数は、人口1000人当たり1.10人となり、米国のオミクロン株感染拡大期(2021年11月~4月。人口1000人当たり0.74人)を超える」
(野村総研前掲)

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本来、中国が真剣に国民を守る意志があるなら、自国製水ワクチンを放棄して米国製のmRNAワクチンに緊急輸入する以外なかったはずですが、共産党の防疫方針の否定となることを恐れてしませんでした。
ですから、習がとった強権的な統制一本槍の方法も、ある意味でそれしかとりようがなかったからなのです。
もちろんPCRの全国民義務化と都市封鎖だけで、これだけ拡大した感染コントロールすることは誰が見ても不可能です。

しかもいったん一昨年3月に制圧宣言を出してしまったので、以降は「感染はない」ことになっていますから、当局の公式発表の一日当たりの感染者数は激減する統計を出しています。
事実は北京を再封鎖せねばならないほど激増していますが、ゼロコロナ政策を転換した以上、コロナ患者が増えてはならない、という政治的な統計発表です。

結局、市民は当局の発表を信じている人はいず、外出を自主的に控える自主ロックダウンに後戻り、という状況すら発生しました。
ロックダウンかロックダウン解除か、と言う問題ではなく、情報の透明性、正しい判断をするための議論、その議論を支える表現、言論の自由、そのようなものが一切否定された社会では、なるべくしてこうなったのです。
白紙運動が、この言論統制に対して、言論の自由を求める運動だったのはそのためです。

市民の多くが当局の情報隠蔽を感じて自宅に引きこもる自衛策を取るために、個人消費の落ち込みは回復せず、経済への打撃は大きなものになるでしょう。
自衛策に走るのは、中国には満足なコロナ対策の国民支援がないからです。

日本のようなコロナ対策協力金制度がないので、街の中小零細の事業者は日銭が止まればそのまま倒産です。
日本はコロナ対策費として予備費を実に10兆円積み上げ、各種協力金制度、持続化給付金、特別融資、雇用調整助成金で、事業者と労働者を守りました。

このようなことが日本で可能だったのは、背景に日本型の終身雇用制度があり、それをベースとする社会保障制度が存在するからです。
考えてみれば、このような社会保障システムを持つのは、世界でも日本ぐらいであり、特に雇用調整助成金のような制度を持つ国は皆無です。
社会主義が人民の公平と平等を目指すものだと言うならば、日本のほうがはるかに中国より「社会主義」です。

ちなみに転職があたりまえの欧米では、コロナ対策として個人給付と失業手当で応じましたが、バイデンは過剰に個人給付を出しすぎてインフレにさせてしまいました。
このいずれもがない中国では、コロナに対して国民が自活して生きるしか方法がなかったわけです。

かてて加えて、中国には医療保険制度がないに等しく、いったんコロナに罹れば高いカネを出して病院に通うか、売薬で凌ぐしかありません。
このような状態に置かれている中国国民にとって、いかに習近平のゼロコロナ政策が残酷なものだったのか、想像に難くありません。

 

 

 

2022年12月15日 (木)

増税より先にやることはいくらでもあるだろう

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2022年12月14日 (水)

岸田氏はスイスの爪の垢でも煎じなさい

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岸田氏は、国際賢人会議で「核兵器のない世界へと歩まねばならない」と発言したようです。
なんでもそれがこの人の理想だとか。

「核廃絶に向けて内外の有識者が議論する国際賢人会議の第1回会合が10日、広島市内で始まった。米中ロなど核兵器保有国と非保有国の双方から参加。開催を主導した岸田文雄首相はメッセージで「困難でも『核兵器のない世界』へ歩まねばならない。理想に近づくため、具体的な方策を示してほしい」と呼び掛けた」
(時事2022年12月10日)
国際賢人会議、広島で開幕 岸田首相「核なき世界へ歩む」:時事ドットコム (jiji.com

彼の花道と予定されているサミットにも、米国がいい顔をしないことを百も承知であえて広島を選びましたが、米国からすればオバマの時に禊ぎは済んでいるぜ、と言いたいでしょう。

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オバマ米大統領、広島で献花 被爆者の手を握り、抱き寄せ - BBCニュース

このオバマの広島訪問は、安部首相の真珠湾訪問とペアになっていました。
米国との関係においては、日米にとって互いに同盟の喉に突き刺さったままになっていた、先の大戦による<棘>を抜くという大変に困難な作業でした。
日本にとってそれは、いうまでもなく原爆による大量虐殺に対する憤怒の念であり、米国においては真珠湾作戦によって米国本土を攻撃されたという怒りの念です。

※広島に対する核攻撃についての関連記事
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-d206.html
http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-f4cc.html

私たち日本人からみれば、戦時国際法違反である非戦闘員大量虐殺と、真珠湾という軍事目標に対する攻撃が等価なはずはありませんが、それはこの時点では飲み込まねばなりません。
外交交渉において10割自らの要求を通すことは不可能、というよりやってはならないことだからです。
米国人の多くがいまだそう思っている、という現実から出発せねばこの<棘>は永久に抜けないからです。

米国にとって残された最後の壁は<真珠湾>であり、日本にとってそれは<広島>だったのです。
日米は、相互にこの最後の<棘>を抜き合う必要がありました。 映像は雄弁です。
オバマ広島訪問の意味は、この被爆者に対する抱擁がすべてを語っています。
この瞬間、多くの日本人は米国を許しました。
首相の真珠湾訪問について: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

では翻って、岸田氏が広島をサミット会場にした意味はなんなのでしょうか。
おそらく岸田氏の「理想」です。
自分の選挙区という俗臭もないわけではありませんが、そこまで言わずとも岸田氏の見果てぬ「理想」なのでしょう。

安部政権の外相時代、普段はあまり発言しなかった岸田氏が突如、安部氏に核兵器禁止条約締結会議に出席したいといって驚かせたという話も伝わってきています。
何しに行くのかと問われて、「交渉をしに」と言ったそうですが、一体ナニを「交渉」と言うのでしょうか。

「交渉」するとしたら、たぶんこんなところでしょうか。

「一方、オーストリアで21日から開かれる核兵器禁止条約の第1回締約国会議への参加は見送る方針だ。松野博一官房長官は3日の記者会見で「核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口ともいえる重要な条約だ」としつつ、「現実を変えるためには核兵器国の協力が必要だが、同条約には核兵器国は一国も参加をしていない」とし、参加には否定的な考えを示した」
(朝日2022年6月3日 )
核兵器国際会議に政府代表団派遣へ 岸田首相が表明 [核といのちを考える]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

この官房長官の言いぐさから推測すると、たぶんただの言い訳です。
安部氏とオバマの相互訪問に込められた、ドレスデン和解による日米同盟強化という戦略的深みなどかけらもありません。
ドレスデン和解とは: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

締結会議は、核の完全廃絶を目指す会議ですから、交渉の余地など皆無です。
強いていえばオランダのように会議には参加して、その条約の不備を批判することくらいですが、そんなことは岸田氏の柄ではないはずです。

行くなら行くで、わが国の日米同盟による米国の核の傘に入っているという立場を明確にして、この条約の空論性を言ってくるか、さもなくば加盟するしか選択肢はないはずですが、どちらも無理。
いかにも薄ら甘いリベラリストのこの人らしいといえば、この人らしい。

核兵器禁止条約は、核兵器が使用された場合の人道的影響に関する2010年代の議論に基づいて、核兵器の使用・威嚇・製造・貯蔵・取得・保有・配備・移転・実験を禁止し、禁止された活動に対する支援も禁止しています。
つまり、核兵器は一切製造もできず、保有もできない以上、スッキリと完全廃絶しかなくなります。
核兵器禁止条約 - Wikipedia

条約文言は一般論で書かれていますが、中国、ロシアが核兵器禁止条約などに入るはずもないのは、誰にでもわかりきっているはずです。
したがって、具体的にはこの核兵器禁止条約は、米国の核保有を禁止させる目的で作られたものです。
もちろん米国もまた核保有を手放すはずがありませんから、米国の核の傘(拡大抑止)に入ってる国々を一国でも引き剥がすことが目的でした。
有体にいえば、自由主義陣営の弱体化が隠された目的だったはずです。

この条約は、2017年7月、122か国の賛成によって採択されましたが、どのような国々だったでしょうか。
ASEAN諸国や南米とアフリカの国々が賛成にまわりました。
青色が加盟国、赤が反対国、灰色が不参加国です。

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Wikipedia

核保有国とその同盟国は、この禁止条約の隠された悪意を知っていたので、オランダ(反対)を除いて交渉と決議自体には参加すらしませんでした。
そたゃそうでしょう。ヨーロッパのNATO諸国は、ロシアの核の脅威を米国の核の傘で凌いでいるのですから、加盟してどうするのです。
日本も同じで、日米同盟の本質は米国の核の傘に入っているということです。

ところで2018年8月、スイス議会は核兵器禁止条約に書名しないことを決定しました。
スイスは米国の核の傘に入ってはいませんが、理由がふるっています。

「スイスの内閣(連邦参事会)は8月15日、当面の間、核兵器禁止条約に署名しないと決定した。また、スイス外務省を中心とする作業部会が6月30日に作成した、現時点で同条約に加入すると、核廃絶のための取り組みとスイスの安全保障のうえで、得るものより失うものが多いとする報告書を公開した」
(静岡県立大学グローバル地域センター特任助教・西恭之『NEWSを疑え!』第707号2018年8月30日号)

言い方が面白いですね。「当面入らない」と前置きしたうえで「得るものより失うもののほうが多い」というしたたかな表現を使っています。
つまり情緒的にではなく、物事の軽重を秤にかけてみたが、不参加が重いので参加しない、という言い方です。
どこぞの国の首相のように、「これこそ核廃絶の道だ。しかしウチの国は入れん」という分裂したことを平気で言えるナイーブな御仁とは違います。

スイス政府の報告書は、核兵器禁止条約に「加入すべき4つの理由と、加入すべきでない5つの理由」を公表しています。

●核兵器禁止条約にスイスが加入すべき理由
①国際人道法に合致している。核兵器を使用すると、国際人道法の下記の原則に違反することは避けられそうにないので、包括的に禁止すべきである。
●戦闘員と非戦闘員を区別し、非戦闘員は攻撃目標にしないこと。
●非戦闘員の巻き添え被害は、目標の軍事的価値に比べて、不釣り合いに大きくしないこと。
●攻撃側も防衛側も、非戦闘員の巻き添え被害を予防する措置をとること。
●不要な苦痛を与えないこと。
●長期的な環境破壊を避けること。
②人道と平和という目的は、スイス外交の伝統に沿っている。
③核兵器の役割と使用の可能性が声高に語られている国際情勢と対照をなす。
(西前掲)

スイスは非戦闘員である市民を大量に巻き添えにする核兵器に対して、「人道と平和の伝統を守る国」としては反対するが、「核兵器の使用の可能性」が高まっている現状では、不参加にならざるをえないとしているわけです。
これが書かれたのは、まだウクライナ侵略の4年前のことですから、さらに核兵器をロシアが使用する可能性が高まった今、ここで唯一の対抗抑止力である米国の核の傘を取り払ってしまうなど、中立国にとっても自殺行為だということを、スイスは冷徹に理解しています。

スイスはさらに反対理由をこう具体的に述べています。

●スイスが核兵器禁止条約に加入すべきでない理由
①核廃絶をもたらす直接の効果はない。核保有国もその同盟国も加入しそうにないからだ。
②核保有国と核廃絶を急ぐ国々との間の橋渡しをするという、スイスの方針と矛盾する。主要国を排除して汚名を着せるやり方は、スイスらしくないし、対立を強め、核廃絶を遠ざけるおそれがある。
③安全保障政策上のリスクが高い。仮にこの条約が核廃絶をもたらすとすれば、その効果は自由民主主義国でしか現れず、西側諸国の軍事力を弱めるだろう。また、スイスは万一の緊急事態にも、核抑止に基づく同盟には加入できないことになる。さらに、隣国ドイツ・フランス・イタリアおよびNATOとの平時の協力も制限される。
④二次的効果が不明。核兵器禁止条約と矛盾のある核拡散防止条約(NPT)が弱体化されるおそれがある。また、禁止された活動に対する支援として、どのような活動が禁止されるのか定義されていない。さらに、核兵器禁止条約は、陳腐化した検証基準を容認し、より適切な、国際原子力機関(IAEA)の追加議定書に言及していない。
(西前掲)

この核兵器禁止条約の隠れた意図を、スイスは明瞭に指摘しています。
それは「この条約が核廃絶をもたらすとすれば、その効果は自由民主主義国でしか現れない」、つまり、米国とその同盟国たる自由主義陣営の打撃にしかならないということです。
そしてさらに現在の国際社会における唯一の核拡散に対する歯止めとしてのNPT (核拡散防止条約) の存在とバッティングし、これを無意味にしかねないマイナスの効果が発生しさえする、としています。
そもそも核兵器禁止条約は抜け穴だらけで、スイスが批判するようにIAEA(国際原子力機関)の追加議定書にあるような査察が名器されていないのです。
査察なき核兵器禁止条約など、空文にすぎません。

つまり核兵器禁止条約は、核武装することに邁進している北朝鮮やイランに対してなんの効力もないばかりか、米国の核の傘を孤立化させ、中国、ロシアなどを喜ばせる結果しか生まない、ということをスイスは言っているのです。

米国の核の傘を全否定する核兵器禁止条約を「核兵器のない世界への出口ともいえる重要な条約だ」なんて言ってしまうと、日米同盟を否定することになるのですが、どうしてこんな簡単なことがわからないのでしょうか。
薄っぺらい理想主義者は国を危うくします。

 

2022年12月13日 (火)

公明アウト、国民・維新イン!

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各党のエネルギー政策をみてみましょう。
各党の公約 政策別 エネルギー・環境 参議院選挙2022 - NHK

党名をいれませんから、どこがどの党だとわかるかな。

①2030年度までにCO2を50~60%削減する(2010年度比)ことを目標とし、省エネルギーと再生可能エネルギーを組み合わせて実行する。エネルギー消費を4割減らし、再生可能エネルギーで電力の50%をまかなえば60%の削減は可能。即時原発ゼロ、石炭火力からの計画的撤退をすすめ、2030年度に原発と石炭火力の発電量はゼロとする。

②2030年の石炭火力発電ゼロ、2050年のカーボンニュートラル達成のための大胆な「自然エネルギー」の地域分散型の普及を目指す。自然エネルギー100%達成までのつなぎのエネルギー源の主力はガス火力とする。原発は即時禁止し、国有化する。立地地域への補助金は継続、新産業への移行には国が責任が持つ。

③経済安全保障の観点から一次エネルギー供給の国産化を強力に推進し、年間20兆円に及ぶ化石燃料の輸入の最小化を目指す。徹底した省エネや再エネの主力電源化に向けた取り組み等を通じて、原発の依存度を着実に低減しつつ、将来的に原子力発電に依存しない社会を目指す。

④2030年に温室効果ガス排出を2013年比で55%以上削減し、2050年までの早い時期にカーボンニュートラルを実現する。2030年までに省エネ・再エネに200兆円を投入する。2050年に2013年比で60%省エネする一方、再エネ電気を100%にし、化石燃料、原子力発電に依存しない社会を実現する。原子力発電所の新増設は認めない。

わかりませんよね。どれも語句の違いはあっても、まったく言っていることは同じだからです。
この4ツの政党ブロックが主張しているのは、強弱の違いがあれこの3点です。

①化石燃料の大幅削減
②原子力の廃絶
③再エネの主力電源化

これを「脱原発・脱炭素ブロック」とでも呼びましょうか。

さて、どれがどの党だか見分けがつきませんが、答えは
①共産党、②れいわ新撰組、③公明党、④立憲民主党

な~んだ、党名を入れないと、公明党のエネルギー政策とは共産党や立憲と五十歩百歩じゃないですか。(笑)
公明は実は下の写真のグループにいるほうが親和性があるのです。

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共産党大会に野党党首ら集結!民進・安住代表代行、「隔たりあるが政策を寄せ合うことは可能」と候補者一本化を宣言!IWJの直撃に野党共闘は党の公式な考えであるとも主張! | IWJ Independent Web Journal

では、残りの政党どうでしょうか。これも党名を伏せます。
似た主張をしているのがこの二つです。

⑤電気料金の値上げと電力需給のひっ迫を回避し、富の海外流出を防ぐため、法令に基づく安全基準を満たした原子力発電所は再稼働するとともに、次世代炉等への建て替えを行う。 再生可能エネルギー技術への投資を加速し、分散型エネルギー社会の構築を目指し、洋上風力、地熱の活用に注力する。

⑥東電福島第一原発事故の教訓を踏まえ、原発の再稼働にかかる国の責任と高レベル放射性廃棄物の最終処分などに係る必要な手続きを明確化するため、「原発改革推進法案」を制定する。原発再稼働にあたっては、各立地地域に地域情報委員会を設置し、住民との対話と合意形成の場をつくる。水素などの活用や研究開発に積極的に取り組む。

答えは、⑤が国民民主党、⑥が日本維新の会です。
この両党は原発の再稼働を提唱し、次世代原発への建て替えの必要性を訴えていますから、「原発容認ブロック」と呼んでおきます。
維新と国民民主の違いは、維新がかつて橋下時代に関西電力の再稼働に抵抗していたために、地元自治体との協議の場を強調していることですが、決定的ではありません。

おっと、自民党はどこに消えたのでしょう。おーい、岸田さんやーい、どこにいるンだ ーい。
実は、この二つのブロックの折衷案のように頭を伏せているのが、自民党なのです。

⑦エネルギー・物資の安定供給のため、内外の資源開発や再生可能エネルギーの最大限の導入、安全が確認された原子力の最大限の活用を図る。カーボンニュートラル実現のカギとなる水素・アンモニアの商用化につながる技術開発と実装に向けた支援措置を新設する。脱炭素を成長分野として位置づけ、今後10年で150兆円超の官民投資の実現に向け措置を行う。

どうでもいいことを羅列しているだけで、メンドーなことは言わない、聞かない、見ないと、砂丘に頭を突っ込んだダチョウのようです。
さすが原発ゼロなんていう言葉の遊びこそしませんでしたが(あたりまえだ)、維新のような具体的に地元自治体とどのように合意形成をしていく場を持つのかとか、国民民主のように老朽化した原発の次世代炉へのリプレイス(置き換え)についてどうするのか、という間近に迫っていることについて政権与党の大黒柱ともあろうものがなにも答えていません
カーボンニュートラルの新技術の推進なんぞ、儲かると思ったなら民間企業が率先して我先にとやります、って。
脱炭素が成長戦略ですって?頭大丈夫ですか。
その企業活動を阻害しているのが脱炭素の暴走なのですよ。

再エネにしても、いつまで電力料金に再エネ賦課金乗っけて、高い電気料金を国民や企業に支払わせるつもりなんでしょうか。
石油卸に補助金出すよりも、国民民主がいうようにさっさとガソリンの二重課税(揮発油税+消費税)を止めればよいだけです。
いやそもそも今の審査が終了した原発を全部動かせば、問題なく冬場の電力不足なんてありえなかったはずです。
つまり岸田氏の性格よろしくステイタスクォ、現状維持、臭いものに蓋、抵抗を受けそうなことはやらないのです。

では、岸田氏はどこからどんな抵抗を受けることを心配しているのか。
決まっています。いうまでもなく、公明党からノーといわれるのが恐ろしいのです。

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公明党 山口那津男代表を直撃 自公の関係は 旧統一教会は | NHK政治マガジン

もう限界じゃないでしょうか。
ここまで政策が根本的に違ってしまい、それが基幹政策である安全保障やエネルギー政策となると、簡単なすり合わせではもう無理です。

今回の旧統一教会がらみの救済法にしても、公明は我が身大事で足を引っ張り続け、別記事にしますが中国非難決議や防衛3文書についても抵抗勢力でした。

しかも在野ではないから始末に悪い。
ここまで政策が違ってしまったら、一緒にやることはお互いにとって得ではない時期がとうに来ているのです。
それでも安倍氏がいる時は、自民は簡単にブレなかったので、公明は渋々着いてきましたが、岸田氏のような信念とよべるようなものが「核なき世界」ていどしかない人物では足元を見透かされてしまってやりたい放題です。
公明党は野党に戻ってもらいましょう。それがいちばんいい。

こういうことを書くと、いや、今の自民は公明党の支持で当選させてもらっている議員が大勢いるから無駄さ、という諦観の声が聞こえてきますが、そうなのでしょうか。
産経新聞政治部次長の酒井充氏は、このような試算をしています。

「こうした話になると、よく出る通説として「衆院選で公明の支援がなければ自民はぼろ負けする」との見方がある。だから自民は公明に遠慮しているのではないかということだが、先の衆院選結果を基に試算するとどうなるか。
公明は比例代表で計約711万票を獲得した。選挙区数の289で割ると、各選挙区あたり平均で約2万5千票となる。自民公認候補で次点に2万5千票差以内で勝利したのは66人で、うち1人をのぞく65人が公明の推薦を得ていた。
単純計算では公明の推薦がなければ自民は選挙区当選187人(追加公認をのぞく)のうち65人が敗れて122人となり、比例の72人を足しても計194議席で、過半数(233)を大きく割っていたことになる」
(産経 2021年12月3日)

たしかに現況では公明の支援をもらえないと65人の自民議員が当落の境から転げ落ち、自民は過半数割れを起こす危険があります。
ただし、同じことが公明党にもいえるのです。

「あたかも公明がカードを握り優位にあるように見えるが、逆もまたしかりだ。公明は候補を擁立した9選挙区で全員当選した。しかし、自民が公明候補を推薦しなければ、最低でも当選に5万票以上が必要な選挙区で全敗だった可能性が極めて高い」(産経前掲)

自民の支持を失った公明党は、小選挙区で全敗の可能性も出ます。
それでなくても、公明は集票能力を落とし続けています。

公明党は今回の参議院選挙の比例代表で、618万票の獲得にとどまり、衆参の国政選挙の比例代表で過去最低の結果に終わった。
山口氏自身こう前回参院選をこう述べています。

「参議院選挙の結果というのもある。特に比例代表で800万票という目標を掲げて戦ったわけだが、結果的には610万票余りにとどまった。掲げた目標と結果に大きなギャップが生じ、非常に落胆もあった」(山口)
実際、公明党は今回の参議院選挙の比例代表で、618万票の獲得にとどまり、衆参の国政選挙の比例代表で過去最低の結果に終わった」

(NHK2022年10月6日)
公明党 山口那津男代表を直撃 自公の関係は 旧統一教会は | NHK政治マガジン

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NHK

このような状況だからこそ、公明はいっそう自民にすがりつき、それを見透かされまいと妙な強気でを張っているのでしょう。
しかしだからといって、自民党と敵対して再び野党に戻ることは考えられません。

公明党は自公明連立で最も甘い汁を吸ってきた党です。
公明党がついて来るならよし、さもなくば連立の対象を国民民主に入れ換えるくらいの気概を持って岸田氏は臨むことです。

さもないと、先日あった茨城県議選挙のように自民は惨敗しますよ。

「茨城県議会議員選挙(定数62)は11日、投開票され、最大会派の自民党は公認候補35人(現有44議席)が当選した。日本維新の会と、地域政党のつくば・市民ネットワークが初めて議席を獲得。
同県議選は、各党が来春の統一地方選に向けた試金石と位置づけており、結果が注目されていた。投票率は38・54%で、過去最低だった前回の41・86%を下回った」
(朝日2022年12月12日)
自民が保守王国・茨城の県議選で苦戦 県連幹事長ら現職10人が落選 [自民] [立憲]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

この警告を岸田氏はしっかりと聞くべきです。

 

 

 

 

 

 

2022年12月12日 (月)

立憲のシロップ漬けエネルギー論

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立憲民主党のエネルギー政策は、脱炭素と自然エネルギー立国、EV化だそうです。
もう聞く前から内容がわかって哀しい。
立憲民主の政策集によれば、このようなことを述べています。
policies2022.pdf (cdp-japan.jp)

気候危機対策
● 気候変動は人類存亡につながる人類共通かつ最大の脅威であり、その影響はこれまでにない厳しい気象現象や生態系へのダメージなどの形で顕在化し気候危機といわれる時代を迎えています。将来世代への責任を果たすため、あらゆる施策を総動員し、気候危機からの脱却を実現します。
● 気候危機対策を強力に推進し、2030年の再生可能エネルギーによる発電割合50%および2050年100%をめざし、2050年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラル(温室効果ガス排出実質ゼロ)達成を目指します。
● パリ協定の目標を達成するため、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギー50%の導入等により、2030年に2013年比55%以上の温室効果ガス削減を目指します(60%削減も実現可能と検証済)
・石炭火力発電からの転換を図り脱炭素化の設備投資を支援するとともに、EV・HVや燃料電池車などの普及で運輸部門の脱炭素化に向けた取り組みを支援します
原子力発電
● 地域ごとの特性を生かした再生可能エネルギーを基本とする分散型エネルギー社会を構築し、あらゆる政策資源を投入して、原子力エネルギーに依存しない原発ゼロ社会を一日も早く実現します。
● 原子力発電所の新設・増設は行わず、全ての原子力発電所の速やかな停止と廃炉決定を目指します。

具体的には、化石燃料の30年までに半減させ、50年にはゼロにするそうです。
原発は全部廃炉とし、再エネは100%にするんだそうです。

「立憲民主党の枝野幸男代表は23日、日本外国特派員協会で記者会見し、自身が唱える「自然エネルギー立国」の実現により脱原発を達成したいと意欲を示した。「原子力を発電に使わないという方向を、できるだけ早く実現する。自然エネルギー分野を成長させて、国内(需要)の100%に近づける」と述べた。
 自然エネルギーはコストや安定供給といった課題を抱えるが「供給量や価格は、時間の問題で解決できる」と断言。技術を発展させ、世界に売り込む考えも示した。使用済み核燃料の処分や廃炉、立地地域の雇用など脱原発の課題を挙げ「正面から向き合い、解決へ努力したい」と強調した」
(秋田魁 

ちなみに同じ民主党から枝分かれした玉木氏率いる国民民主は、きわめてリアルなエネルギー論を展開していて、まさに天と地の差です。
それにしてもここまで違って、彼らはどんな顔して同居していたんだろうか。

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政策2022 | 新・国民民主党 - つくろう、新しい答え。 (new-kokumin.jp)

国民民主については別記事でとりあげますが、非常に論理的かつ現実的です。
あまりにマトモなので、ぜひ公明などを与党からさっさと叩き出して、政権に加わっていただきたいものであります。

それにしても立憲のお菓子の食い過ぎはいっかな治癒していないようで、いつまで同じこと言ってんだか。
ここまでぶっとんだエネルギー論を平然といわれると、正直、別のところに動機があるような気さえしてきます。
たとえば、国家の基幹であるエネルギー政策を混乱させることで社会の動揺を促し、政治体制の変革が目的じゃないか、とかね。
実は環境問題すらも後からのリクツづけで、目的はそっちのほうなのか、とかね。
とまれ、こんな中学生が書いたようなエネルギー政策を国が採用できるはずがないのですから、検証不可能です。
初めから土俵の外にいて、お菓子を食い散らしている坊やにナニを言っても仕方がありませんが、「野党第1党」なのが自慢なんだそうなので、しょうがないか。

論点はいくつかあります。
枝野氏は再生可能エネルギー(再エネ)という表現が一般化する前の「自然エネルギー」に表現を替えましたが、言っていることは一緒です。
というかゼンゼン進化しないね、このヒトたち。
いやいっそう定向進化しちゃって、ゴジラ化しています。
なんですって再エネを「国内(電力需要の)100%にする」ですって(笑)。
ぶ、はは。100%無理。200%国民を不幸にします。
いまでも風力、太陽光、地熱など合わせても8%に満たないのに、どこをどうしたら100%になるんだっつうの。
北海沿岸の風力発電から長距離送電網を作って、森林伐採しまくってまで「自然エネルギー」を増やしたメルケルのドイツですら、せいぜい2割台です。

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2018年(暦年)の国内の自然エネルギー電力の割合(速報) | ISEP 環境 ...isep.or.jp

脱原発に熱心で、民主党政権時代にはグリーンニューディールなんて言っていた米国も、早々と壁にぶち当たって、いまや原子力を増やそうとしています。

「クリントン政権の発足当初は、核不拡散を最優先課題とし、エネルギーについては原子力を重視せず「再生エネルギーを重視」するものであり、前ブッシュ政権時代と比べて原子力開発予算は劇的に削減され、重要プロジェクトは次々と中止に追い込まれた。
逆に、政権の2期目では、原子力に対する政権の取り組みが徐々に変わり、地球温暖化防止、輸入石油への依存などの現実から、「原子力をエネルギー源選択のオプションとして残す」方向へと政策は変わってきた。
また既存の原子力発電所定期検査のサイクルの長期化、出力増加等により発電量を増大させるとともに「原子力2010」計画により新規原子力発電所建設を目指し、補助金、規制改革など民間の取組を支援している。
国内の石油、ガス価格高騰、大規模停電等の問題解析のため、2001年5月「国家エネルギー政策」を発表し、これを受けて上下両院で包括エネルギー法案の審議が開始された。審議は難航したが、2005円4月下院を通過した。同6月上院を通過し、上下両院協議会に入り、合意を得た後、8月8日に大統領が署名し成立した」
主要国のエネルギー政策目標 (01-09-01-01) - ATOMICA -

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今どき世界ひろしといえど、原発ゼロにして再エネを100%に近づける、なんてイっちゃったことを言っているのは枝野さんのところくらいです。
そもそも「自然エネルギー」で唯一モノになるのは水力くらいでしたが、脱ダムやっちゃったのは民主党政権でしたっけね。

「自然エネルギー立国」なんて、イメージだけでしゃべっているからこうなるのです。

なぜそうなるのでしょうか。理由は単純です。
化石燃料資源が豊富にあり、したがって安価かつ安定したエネルギー源だからです。
これは経済産業省の試算結果にでています。
資源エネルギー庁「発電コストワーキンググループ資料」(H27.5)

まず2014年における、各種エネルギー源の価格比較です。

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資源エネルギー庁 発電コストワーキングチーム

なぜ企業は化石燃料を使い続けるのか、その理由はなんといっても安いからというのは上のコスト比較のグラフを見れば一目瞭然です。
安ければ使う、というただそれだけです。
しかし野放図に使えば環境汚染を引き起して、環境コストが増えてしまいます。
また原油価格が上昇すれば原油の消費は抑えられ、消費が抑制されるために原油輸出国は増産して価格を下げるしかなくなります。
こういった市場メカニズムで動くのが、化石燃料の特徴です。
なんといっても人類は産業革命以降、化石燃料とはもうかれこれ200年以上つきあってきていますから、自律的市場経済のシステムにしっかりと組み込まれているのです。

ですから、自由な選択が許される民主的経済システム(お好みでしたら資本主義経済と言ってもいいですが)においては、同じ目的を達成するための最小コストを目指しますから、化石燃料しか選択の余地はありませんでした。

なにが哀しくて、化石燃料の4倍もするような再エネを使わにゃならんのですか。(泣く)
え、環境にやさしいプリウスがあるだろうって。
あれはトヨタが血の滲むようで研究開発をして、ハイブリッドエンジンという合理的選択の道を独力で切り開いて大ベストセラー商品にしたから安価になったのです。

一方EVは、10万㎞でバッテリー廃棄し、その交換費用が200万から300万といった未熟者ですから、国家支援がなくなれば自動的に売れなくなります。
買うのは、意識高い系のような人ばかりでしょうね。

したがって、化石燃料以外を企業が使わねばならぬとしたら、それは経済外的強要、つまりは政府が強制的に化石燃料から再エネに転換するような政策をとった場合です。
化石燃料には、炭素税をかけて高くしてしまい、一方で再エネはFIT(全量買い取り制度)をで高く買い上げ、それを家庭や企業に再エネ賦課金で支払わせてるようなアコギなことをして、やっと再エネが導入できるのです。
ひとつの政治目標を達成するために、無理やりに経済合理性に反する計画経済を押しつけているわけですから、うまくいくわけがありません。

こういう経済は政治によって支配できる、イヤなら税金高くして使えなくさせてやろう、オレの好みのものには補助金で竹馬はかせて、それを家庭と企業に払わせてやろう、というような発想を社会主義的思考といいます。
こういうことを考える人たちの脳味噌は芯までカチカチですから、地球温暖化阻止→火力発電削減→原発ゼロ→再エネなんて図式が並んでいるのでしょうね。

実はこれらの事柄は、なにも考えないとスッと矛盾なく繋がるようですが、実は矛盾した要件です。
というのは、地球温暖化の主な原因が二酸化炭素かどうかはとりあえず置くとして、現実にCO2削減をしようと思うと、もっとも手っとり早いのが、原子力を増やすことだからです。

原子力はなんせ二酸化炭酸ガスや硫黄酸化物をまったく排出しない「クリーン」なエネルギーだからで、ただCO2削減が目的ならば、化石燃料発電(火力)をさっさと止めるには、原子力に一本化するのが近道です。
ただし、3.11の福島事故のように事故が起きた場合、その規模と影響の時間尺の長さは巨大で、他のエネルギー源のそれとは比較になりません。
廃炉コストも馬鹿になりません。

つまり原発もまた未完成な技術体系なことは確かですから、せいぜいが3分の1くらいにとどめておくのが無難なのです。
いま新世代原発の登場によって福島事故のような全電源停止状況でも炉心冷却可能なタイプが生まれてきてはいますが、むしろハード以外の耐用年数制限の問題、高濃度廃棄物の最終処分のあり方、核廃棄物と原発稼働数との関係(総枠規制)、あるいは核リサイクル施設の存続といった未解決な問題が山積しています。
これらの諸問題は、いくら新世代原発がステーションブラックアウトであっても炉心冷却出来るようになったといえどもつきまとう以上、原発は「今なくては困るが、そこそこに」というのが私の考えです。
私はその意味で、少なくともGE型のような旧世代原発から段階的に削減して、新型の原子炉にリプレイス(置き換え)していくしかないと考えています。

問題のあり方を切り分けられず、トータルに代替エネルギーを見られない人たちだけが、いまだに「自然エネルギー立国」なんて脳みそがシロップ漬けされたようなことを言っているにすぎません。
枝野さん、いつまでも「グリーン立国」なんてお菓子ばかり食べていないで、真正面からエネルギー問題を見たらいかがでしょうか。
脳が虫歯になっていますよ。

 

 

 

 

2022年12月11日 (日)

日曜写真館 山坂のにはかにゆるむ蕎麦の花

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蕎麦白き花野をゆけば花野哉 凡兆

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道草の 先陣は蝶 蕎麦の花 伊丹三樹彦

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暮れても蕎麦の花があり月があり 荻原井泉水

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淋しさも不時の帰省や蕎麦の花 河東碧梧桐

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蕎麦咲くや鼻をまづさす風白し 石川桂郎

 

 

 

2022年12月10日 (土)

カーボンオフセットというダーティトリック

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グレタさんが、去年、COPに噛みつきました。
北部スコットランド・グラスゴー]一刻の猶予も許されない世界の地球温暖化対策の強化と実行を求めるスウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥンベリさん(18)が英グラスゴーで開催中の国連気候変枠組み条約第26回締約国会議(COP26)を「失敗」「PRイベント」「グリーンウォッシュ(ごまかし)の祭典」と徹底的にこき下ろした」
(ニューズウィーク2021年11月8日)
https://news.yahoo.co.jp/articles/9c14836f531dc6d6fc964c7a393812378e45265a
グレタさんのあいかわらず「子ども」が大人の社会の不正を告発するというスタイルはいただけませんが、(だって彼女、もう18歳の大人ですからね)、いいところに目をつけました。
 初めてあなたと意見が合いました。
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グレタへの強烈な賛否が映す世代闘争に潜む罠 | 政策 | 東洋経済 

↑怖いよ、グレタさん。

「これはもはや気候会議ではない。北半球の先進国によるグリーンウォッシュの祭典だ。指導者は何もしていない。彼らは自分の利益のために抜け穴を作っている。拘束力のない約束はこれ以上必要ない。COP26が失敗であることは秘密ではない」

いやまったく、よくぞ言った。皮肉ではなく、まったくその通りです。
グレタさんのような過激な環境原理主義者たちが、やっと環境をカネ儲けの手段としか考えていない世界の仕組みに気がついたのはアッパレです。

「グレタさんが攻撃の矛先を向けるのはCOP26最大の争点であるパリ協定6条(排出削減量の国際取引を行う市場メカニズム)のカーボン・オフセット。どうしても避けられない温室効果ガスの排出について、森林保護、クリーンエネルギー事業などの削減活動によって相殺する仕組みである。グレタさんはしかし「公害をまき散らす利益主義者はオフセットを気候変動ゲームにおける『無料で刑務所から出られるカード』と考えている」と糾弾している」(NW前掲)

環境原理主義者の皆さんが、遅まきながらカーボンオフセットというダーティトリックに気がついたのは大進歩でした。
ただしこの政府や企業を敵として告発し始めたことで、グレタさんたちは「純粋な子供世代の告発者」からただの左翼に転落してしまって影響力を喪失するんですが、ま、いいか。

とまれ80年代以降、IPCCの科学者とそのロビイストたちは、地球温暖化によるハルマゲドンのシナリオを持って米国議会を飛び回りました。
いわく「14mの水面上昇が来て南太平洋の島々は沈んでしまう」「北極の氷が溶けてシロクマは絶滅寸前」「巨大ハリケーンが毎年来て海岸沿いには住めなくなるだろう」「毎年気候変動による飢饉が来る」、エトセトラ、エトセトラ・・・。   

そもそも地球が温暖化しているとしても、それとCO2との因果関係は立証されていません。
あくまでも複数存在する原因のひとつであって、CO2削減だけでは地球温暖化は止まらないのです。
ところがCO2削減は、化石燃料撲滅という異常なエネルギー政策に突っ走っていってしまいました。
COPで人類にとって最重要な化石エネルギー源をなくす、という約束を主要国政府がするのですから、もはや異常事態です。
そんな馬鹿な方向に突っ走ったら、その直後にロシアのウクライナ侵略に遭遇して大変な目に合いました。

今後、仮に寒冷化が始まったらいったいどうするつもりだったのでしょう。
火力発電所は放棄してしまってスクラップにしてしまったので動かない、原発は危険だから動かせない、太陽光と風力だけで人類に生き延びろとでもいう積もりだったのでしょうか。
無責任極まる選択でした。

この典型は米国でした。
オバマ政権は、この地球温暖化の火付け役がクリントン民主党政権の副大統領のアル・ゴアだったために、入れ込み方はハンパではありませんでした。
第1期の目玉政策をグリーンニューディールに置き、包括的エネルギー・温暖化法(2008年11月)まで作りました。
おっ、出てきましたね、グリーンニューディールという名の政策が。
そうなんです、今、バイデン(当時オバマの副大統領)がやろうとして、なにもしないうちから挫折しかかっているグリーンニューディールはオバマの二番煎じなのです。
元祖グリーンニューディールは、09年1月に始まりました。
政府施設から先行して省エネを実施し、風力や太陽光、バイエタなどの再生可能エネルギー(再エネ)を倍増させて、約50万人の雇用を増大すると表明しました。 
また7870億ドル(約72兆円)にのぼる米国史上最大の景気対策のうちから、年間150億ドル(約1兆4000億)円を投資すると宣言しました。
オバマの目論見では、経済と環境の同時解決という画期的な政策になったはずでした。

ただしこのオバマのグリーンニューディールが始まった2009年は福島事故の2年前で、原発はCO2削減の切り札とオバマ自身は考えていたようです。
ここが第1次グリーンニューディールと、今のものとの大きな違いです。

では、CO2は削減されたのでしょうか?
いえ、世界のCO2は増加に歯止めがかかりません。

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www.longlife-lab.jp

唯一落ち込んでみえるのは、リーマンショックで経済活動が低迷した時期だけです。
去年のコロナの時期も減りました。
理由は簡単。経済が半身不随だったからで、人類の大きな不幸が来ると、CO2は削減されるのです。
中国の空がキレイだったのはコロナの時だけだったでしょう。
中国が削減されなければ、世界のCO2排出量は変わりません。

では国別のCO2排出の増減を見てみましょう。

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見にくくて恐縮ですが、米国は下から3番目位にある赤い線で、たしかにマイナス5%ほど減ってはいます。
日本も健気にマイナス8%削減しています。
ただし新興国はあいかわらず出しまくっていて、中国と並んで世界のCO2排出量を押し上げる大きな原因となっています。

「世界全体の二酸化炭素放出量は、2000年〜2005年の期間の年平均で72億トンと推計されており、1980年代の54億トン、1990年代の64億トンに比べて、明確に増加してきている。国別には米国の排出量が最も多く、中国、ロシア、日本がこれに続いているが、近年の動向をみると欧州地域の排出増加が抑制されているのに対して、アジアを中心とした発展途上諸国の排出量の増加が著しい。ただし、発展途上諸国の一人当たり排出量は先進諸国に比べてまだかなり小さく、所得格差と同様に大きな南北ギャップがある」
(資源エネルギー庁2020年8月14日)
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/co2_sokutei.html

この国別のCO2排出量は、「生産ベースCO2排出」と呼ばれる推計を用いて測られています。
私たち一般ピープルは上のようなグラフを見せられると、直接に計測装置を使って大気中のCO2を測定していると思いがちですが、そうではありません。
経済統計上のガソリン・電気・ガスなどの使用量といった活動量に、排出係数をかけ算して求められています。

これにはトリックが隠されています。
この消費国ベースでCO2排出を推計すると、実情よりも過剰に先進国は減少傾向・新興国は増加傾向と出てしまうのです。
なぜなら、先進国は経済活動が盛んですからエネルギー消費も盛んなのに対して、実際に先進国に多くの輸出品を出しているのは新興国だからです。
これら発展途上国は、多くの老朽化した石炭火力発電を使い、運搬手段も排気ガス規制などない国がほとんどのために、CO2排出は著しい増加傾向にあります。

ですから地球温暖化を少なく見せるには、CO2排出量の「付け替え」をすればよいのです。
CO2が多く出そうなモノは発展途上国で作り、先進国は輸入するだけにすれば、先進国は排出量が減ったようにカウントされます。
これがガラガラポンでCO2が減るというカーボン・オフセットとか炭素会計などの手品です。
あるいは、実際に減らさなくても他国からCO2排出枠を買うという排出権枠売買すら認められています。
その規模たるや毎年4兆ドル。
こんなにおいしい物件にソロスなどの投資家が食いつかないはずはありません。
いまやCOPとは、なんのことはない温室効果ガスをみんなでごまかす技術の品評会と化してしまいました。

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米国オバマ大統領の「グリーン・ニューディール」とは何か

話をオバマのグリーンニューディールに戻しましょう。
結局、このオバマのグリーンニューディールで判ったことは、いくら政府が再エネの太鼓を叩いても景気の回復にも雇用の増大にもつながらなかったという事実です。
それはそうです、太陽光ハネルはほぼ100%メイドインチャイナですからね。
そして外資がメガソーラーや風力発電施設を買収して、遠慮なくカネ儲けに走りました。
単に国富が外国に流出しただけだったのです。

もちろん雇用は生まれず、むしろ失業率が上昇しました。
下図は米国の失業率推移を見たものですが、オバマがグリーンニューディールを始めた2008年(グラフ右端から5番目)から失業率はむしろ急増しています。

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失業率が戦後最悪の水準に(アメリカ:2020年5月)|労働政策研究

そもそも、太陽光発電や風力発電施設など、一度作ってしまったらなんの雇用も生まず、むしろ環境公害を生む地域のやっかい者と化しています。
儲かるのは投資家だけです。
それが分かってオバマは2期目はシェーガス革命の成功を大宣伝した影で、ひっそりとグリーンニューディーを止めてしまいます。

しかし、いったん行政化されたものは簡単にはなくなりません。
フェードしないものがありました。そのひとつがバイエタ(バイオエタノール)です。
このバイエタを制度化したのはオバマではなくブュシュ(息子)でした。
2007年に始まったバイエタ政策により、バイエタ生産を当時の50億ガロンから一挙に7倍の350億ガロンに生産拡大しました。
下図のバイエタ生産量推移グラフで、米国(紫色)は2007年から一気に急上昇しているのがわかります。

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この目標に掲げた350億ガロンのバイエタを製造するためには実に122億ブッシェルものトウモロコシが必要となり、今の米国で生産されるトウモロコシ全量をバイエタに回してもまだ足りない馬鹿げた数字でした。
にもかかわらず、このバイエタ政策が単なる努力目標値や期待値ではなく、法的に再生可能燃料基準(RFS)として義務づけられたためにバイエタには多額の投資資金が流入し、今やトウモロコシを作ることは食糧生産ではなくバイエタ生産であるかのような倒錯した構図が生れてしまいました。
バイエタは、作れば作っただけ再生可能燃料基準法で使用されるのが確実なために消滅するどころか、かえって増大していきました。

ゴアが種を蒔き、ブシュが地ならしし、オバマが育てたのがバイエタだったのです。バイエタは狂ったように穀物を食い散らしたのです。
全米で生産されるトウモロコシの相当部分は、資料や人の食用に回るのではなく、皆燃やされて車のガスに消えていったのですから、罰が当たります。
しかも、これで二酸化炭素が現実になくなるわけではなく、単に穀物の生育期の二酸化炭素消費とゼロサムになるだけ、つまりは単なる数字操作だというのですらから呆れたものです。 

バイエタが盛んなブラジルでは熱帯雨林を伐採して、「地球に優しい」バイエタ農産物を作っています。 
ヨーロッパでは菜種が燃やされています。
かくして、本来は人間や家畜の口に入るべき穀物は燃料として燃やされてしまった結果、多くの人々が飢え、数千万人が貧困に逆戻りしました。 

これがグリーンウォシュ、というかグリーンロンダリングです。
グレタさんがこの炭素会計の嘘に気がついたのはよかったのですが、ここで悪どい儲けをしている連中こそがあなたのスポンサーだということをお忘れなく。

 

2022年12月 9日 (金)

百年先どころか、既にハズれている気候変動予測

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私は、人為的炭酸ガス温暖化説は「根も葉も少しはある間違い」 だと考えています。
いわば嘘は言っていないが、本当のことも言っていない 。
それが人為的二酸化炭素による 地球温暖化説ってヤツです

たしかに人為的温暖化は存在します。
それはホントです。

これだけ人類の経済的社会的営為が広範、かつ深刻になると、その影響は無視できません。
しかし二酸化炭素ガスだけで、地球の気候変動をすべて説明しようとするにはあまりにも無理がありませんか、そんなシンプルなもんですか、というのが私のかねてからの疑問です。
地球の気候は周期的に変動し続けていますが、その理由を右肩上がりに増大する人為的二酸化炭酸ガスひとつで説明しようとするのはいくらなんでも無理。

たとえば、今週お話してきたように、なぜ太陽の活動や海洋の周期を視野に入れようとしないのでしょうか。
おそらく私は人為的温暖化と、周期的寒冷化が綱引きをしている状態が現代ではないかと思っています。
しかしIPCCは、温暖化の原因を過度に人為的炭酸ガスのみに求めた結果、その対策もまた炭酸ガス排出規制に一面化され、ともかくなんであろうと炭酸ガスさえでなきゃいいんだろう、というようになりました。

その上に排出権という利権までもが設定されるに至って、グリーン利権すら出来ました。
たとえばグレタ・トゥンベリさんの背後には、グリーン利権に群がる投資家や金融機関、政治家がわんさか群がっていることがわかっています。
でもなきゃ、16歳の子供がヨットで大西洋を横断してひとり国連総会に乗り込むなんできるわきゃありませんもんね。
おっと待てよ、あの子、港の中で酔って、すぐに降りてどこかの海軍の船に乗り移って、戻ってから飛行機で行ったじゃなかったっけか、キセルじゃん。ま、どっちでもいいや。

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ヨットで米NY目指す高校生環境活動家のチーム、一部は空路移動 ネット上で批判 写真8枚 国際ニュース:AFPBB News

あるいは、環境相だった小泉進次郎氏がCOPにでかけて、「セクシー」なんてアホ発言をした相手の女性が誰だかご存じでしょうか?
クリスティーナ・フィグレスという環境運動家です。
国連の肩書担いでいますからダマされますが、環境商売人のひとです。

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このフィグレスは有名な環境運動家で、別名環境マフィア。
たとえば環境ビジネスのこんな記事に登場します。

「パリ協定をまとめた国連気候変動枠条約(UNFCCC)前事務局長のクリスティーナ・フィゲレス氏は、国連支援の責任投資原則(PRI)の署名機関に対して、保有資産の1%を2020年までに再生可能エネルギーやクリーンエネルギー投資に振り向けることを公約するよう要請した。現在のPRI署名機関の総資産額は70兆㌦なので、要請額は7000億㌦(約79兆円)になる。署名機関が署名に見合う行動をとれるかどうか。
 フィゲレス氏は、昨年7月にUNFCCCを退任後、パリ協定の達成を推進するための非営利団体、Mission 2020 initiativeの議長を務めている。このほどPRIがベルリンで開いた年次総会で演説、PRIの署名機関に呼び掛けた」
(2017年9月28日 環境金融研究機構)
http://rief-jp.org/ct6/73122

このようにフィゲレスは、国連気候変動枠組み条約前事務局長という立場で、国連支援ビジネスに対して1%を再エネやグリーン投資に回すように勧告しています。
この金額だけで実に79兆円。
いかにおいしいビジネスかわかるでしょう。

しかもフィゲレスは、自分自身「ミッション2020イニシャチブ」という民間団体もやっていて、その排出権ビジネスにも関わっています。
実はその団体がやっていることのひとつは炭素排出権売買です。
このように、とうに地球温暖化問題は、ピュアな環境運動家の手を離れ、巨大なグリーン利権を作っています。

ところでいまや世界を巻きこむ脱炭素騒動の始まりは、1982年から実に30年間NASAゴダード研究所(GISS)の所長として君臨してきたジェームス・ハンセンでした。
彼はいわば「地球温暖化説の父」とでも称すべき人物です。
彼の88年米国上院での「二酸化炭素が温暖化を起こすのは99%確実だ」という証言によって、一躍温暖化説は時代の寵児になりました。

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ジェームズ・ハンセン
特別リポート:世界で最も影響力のある環境科学者1000人 | nippon.com

彼は二酸化炭素を憎むあまり、学者なのに火力発電所建設反対で3回も逮捕されているという運動家的科学者です。
商売っ気なしで体を張っちゃうってタイプは、 人としては私、けっこう好きなタイプです。
こういう無私のタイプの、しかも天下のゴダード研究所長という重責の学者の証言だから、米国政府を動かすことになったのです。

そのハンセンの手法は、気象をモデル計算して予測する方法でした。
下図の一番上の線が、ゴダード研究所の「二酸化炭素を削減しないままの場合」の予測ラインです。

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これによれば2012年は温度上昇が1度とされています。
実はこの図を下にIPCCは、第4次報告書のキモとでもいうべきグラフを作成しています。
これが通称ホッケースティック曲線と呼ばれている超有名なグラフですから、ご覧になった方も多いはずです。
昨今はIPCCは度々修正をかけていますが、グラフのとおり地球気象は二酸化炭素の増加とパラレルに温暖化していく、というのが彼らの主張です。

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このグラフを使ってIPCCはこう述べています。

①世界の平均気温は1906年~2005年の100年間に0.74度上がった。
②20世紀後半から気温の上昇が0.6度あり、その原因は90%の確率で人為的二酸化炭素である。

残念ながら、既にこのIPCCの予測はハズれたことが証明されています。
地表で計測したものは、観測地点が適切でない場合、現実とかけ離れた数値を出してしまうことは知られています。
たとえば米国の定点観測地点で、空調機の真ん前のコンクリートの駐車場に設置されていたりしていたケースが多くありました。
ですから、一番確かなのが衛星の実測データです。
実はこの衛星は他でもないハンセンのいるNASAが運用しており、11段階の高度に分けて大気の層を観測し続けています。

このうちもっとも地表に近いのが対流圏底層を飛ぶ観測ロケットで、これがもっとも地表温度を都市化と無関係に測定していると思われています。
その観測衛星やロケットの実測数値が下図です

0.4度で、ハンセンの予測値より0.6度も低いことが分かります。
前回で問題が沢山あった地上観測点での計測ですら、もう既にこれだけズレています。

次にその下三番目の線が衛星の実測です。実はこの衛星は他でもないハンセンのいるNASAが運用しており、11段階の高度に分けて大気の層を観測し続けています。
このうちもっとも地表に近いのが対流圏底層を飛ぶ観測ロケットで、これがもっとも地表温度を都市化と無関係に測定していると思われています。
その観測衛星やロケットの実測数値が下図です。

 

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東京大学渡辺正教授による

もう一枚南極の衛星による実測グラフを見てみましょう。Photo_8
南極は横ばいからむしろ寒冷化していることがわかります。
以上2枚の観測衛星での観測結果は、100年先どころか10数年でもうハンセン・IPCC予測はハズれ始めているのです。

いや、そもそも本当に温暖化しているのか、という声すらも米国では上がっています。
というのは、米国では、田舎はちっとも暑くはねぇぞ、むしろ,年々再々寒くなってきたくらいだ、そりゃ都市部の話だろう、という声が高くなってきたのです。

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だいたい気象観測地点というのは、大都市の気象台にあるもので、まともにヒートアイランド現象を受けてしまいます。
一方、田園地帯は樹木が豊富なために、植物が余分な水分を葉から蒸散させて、気化熱を奪っているために涼しいことは知られています。

都市部は自動車が一台50Wのヒーターとして換算できるといわれるほど、自動車もビルも人もひしめき合っています。ビルが放射しているエアコンの放熱現象は、局地気象を変えてしまうとすら言われているそうです。

このテキサスとアーカンソー州の気温変化をみるかぎり、米国でも田園地帯はやはり気温が横ばいか、むしろ低下しているのがわかります。
このような国民大衆の素朴な疑問に火を注いだのが、米国の気象観測ポイントについての調査でした。
アメリカ海洋大気圏局(NOAA)は全米各地に気温観測ステーションを設置していますが、アンソニー・ワッツ氏の調査によると、本来はヒートアイランド現象を避けるために田園地帯や平原に設置されていなければならないはずの気象観測ステーションが、なんとこともあろうにアスファルトの路上や、あるいはびっくりすることにはエアコンの排熱ダクトの下にあったりした例が続出したそうです。

そしてワッツ氏によれば、このような不適切な設置箇所は、全米の観測ステーションの実に89%にも及んだそうですから、大部分の測定値の信憑性すら疑われることとなりました。ワッツ調査は下記のサイトからPDFでご覧になれます。
「Is the U.S. Temperature Record Reliable?」By AnthonyWatts, SurfaceStations.org,・ Chicago, IL: The Heartland Institute, 2009. 

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 NASAのゴダード宇宙研究所(GISS)は、都市化はその周辺の地域のデータも勘案しているので考慮済みだと主張しますが、上の写真を見る限り、はなはだ眉唾モノでしょう。
そもそもそんな「勘案」なんかするくらいなら、都市部での観測データを初めから排除すればいいだけの話ではないですか。

この観測ステーションに対する疑惑は、米国のみならずわが国にもあります。東京の気温は大手町にある気象庁で採りますが、この気象庁の観測ポイントは林立するビル群の中にあります。

「日本の真ん中「東京」の平均気温が、12月から低くなる。気象庁は12月2日から、「東京」として発表している気温や降水量の観測地点を、現在の気象庁本庁(東京都千代田区大手町)から同区北の丸公園に移転する。同じ区内で約900メートル移るだけだが、周辺環境の違いから、最低気温の平年値が1・4度下がり、熱帯夜の日数は半分以下になる見込みだ」
(産経2014年10月30日 下写真も同じ)

https://www.sankei.com/premium/news/141024/prm1410240012-n1.html

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大手町の気象庁観測ボックス

たった観測ポイントを900メートル移動しただけで、東京の年間平均気温が1.4度下がるというのですから、おいおいです。
下図の大手町と三宅島の気温を比べたデータからも、それがうかがえます。

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しかし仮に寒冷化となった場合でも、現在進められている低炭素化社会化、つまり化石燃料の節約、資源の有効活用と循環再利用システムの社会的実現は、そのまま有効な処方箋となりえます。

つまり皮肉なことには、誤った原因説であったが、その社会的対策としては誤りではなかったということになります。
そして寒冷化のほうが温暖化よりはるかに恐ろしいのです。
日本に限って言っても、歴史的な大飢饉は必ず寒冷化によってもたらされています。
農業技術がすすんだ今でも、寒冷化によって茨城以北の米作は壊滅的な打撃を受けることでしょう。
食物の端をかじっただけで捨てている飽食の時代は終わり、もうひとつの別な時代が始まろうとしているように私には思えてなりません。

 

 

 

2022年12月 8日 (木)

太陽黒点増減と地球の温度

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考えてみればあたりまえの話ですが、地球は太陽のエネルギーを吸収していますから、その多寡が地球の温度の収支に影響するのは当然です。
太陽の活動が増加すれば地球は温まり、不活発になれば地球は冷えていく、ある意味、たいへんに単純な話です。

さて、太陽の表面には周囲よりも温度が低いため黒く見える黒点があります。

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「京」の中で太陽黒点の11年周期が見えてきた | 計算科学の世界 (riken.jp)

この太陽黒点の増減は、太陽活動と大きな関係を持っています。
1600年から2000年までの太陽黒点400年の動きを見るとこうなります。

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1600年から2090年までの太陽黒点推移
太陽黒点 - Wikipedia

1790年から1820年はダルトン極小期、1645年から1715年はマウンダー極小期と呼ばれています。
ダルトン極小期やマウンダー極小期は、地球気温が平均より低かった時期に当たっています。

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400年間の太陽黒点数と地球気温
ダルトン極小期 - Wikipedia

1645~1715年の70年間にわたって黒点がほとんど観測されないマウンダー極小期は、全地球的な寒冷期(小氷期)をもたらしました。
この時期、ロンドンのテムズ川が凍りつくなどの気候の寒冷化を示唆する記録が残されています。
下の絵は1677年に描かれたロンドンで、氷の張ったテムズ川の情景です。
イギリスではテムズ川が凍結し、アメリカではニューヨーク湾が凍結しました。

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“17世紀の危機”の原因は小氷期 | ナショナル ジオグラフィック日本版サイト (nikkeibp.co.jp)

また1810年前後に活動の低下があり、「ダルトン極小期」と呼ばれています。
この時期、日本では天明の飢饉が起きており、1816年は夏のない年とされています。
アイスランドは海氷に取り囲まれ、食糧不足で人口が半減し、日本でもこの時代には飢饉が頻発し、百姓一揆が起き、社会不安が生まれています。

このマウンダー小氷期の襲来で農業生産が縮小した結果、社会が大きく変動しました。
デービッド・チャン(香港大学)はこう述べています。

「産業革命以前、ヨーロッパ諸国の主幹産業は農業だった。気候は農産物の生育状態を決定するため、経済も気候に左右された。(略)
分析の結果、小氷期が最も過酷だった1560~1660年に、食料不足や健康状態の悪化などの“結果”が端的に表れたと判明した。この時代、農産物の生育期は短くなり、耕地も縮小している。
 また、ヨーロッパ人自身の体格も小さくなったという。平均身長は気温を追うように下がり続け、栄養失調の拡大とともに1500年代末にはおよそ2センチも低くなった。再び身長が伸び始めたのは、気温が上昇傾向に転じた1650年以降である」
(ナショナルジォグラフィック 2011年10月3日)

「マウンダー極小期は中世における小氷期中頃の寒冷期の遠因と目され、この時期のヨーロッパ北米大陸、その他の温帯地域において冬は著しい酷寒に震え、暦の上では夏至であっても夏らしさが訪れない年が続いた。北半球平均気温は極小期の前後と比べて0.1 - 0.2度低下したのではないかとされている」
マウンダー極小期 - Wikipedia

大枠では太陽黒点の増減と寒冷化は因果関係があるようにに見えますが、千葉大学掘田秀之氏によれば、黒点が多い極大期と少ない極小期で、光の放射量は0.1%しか変動しないことが確かめられおり、マウンダー極小期と寒冷化の因果関係は完全に解明されたわけではありません。

また地球寒冷化には太陽黒点だけではなく、他の要因も重なっています。
たとえば地球気象に大きな影響を与えるのが、火山の大爆発です。
1815年に起きたインドネシアのタンボラ山が大爆発を起こしており、これが寒冷化に大きな影響を与えました。
噴き上げられた大量の火山灰は、上空11キロより上の「成層圏」に達した後、全世界へ拡散していき、全地球的気象変動を引き起こしました。

「この噴火は世界的な気候変動を起こした歴史上の事件としても知られている。というのは、噴火の翌年から北米と欧州では夏が来なかったからである。
北米東岸の平均気温は例年より4度も低く、6月に襲来した寒波によって雪が降ったほか、池には氷も張った。また8月には霜が降りたため主要作物のトウモロコシが全滅した。こうした異常低温は翌年の1817年まで続き、米国北東部の農民の多くが西部へ移住していった。すなわち、インドネシアの巨大噴火によって発生した異常気象が、米国西部の開拓を促したとも考えられているれ

鎌田浩毅の役に立つ地学:世界に夏が来なくなった19世紀のインドネシア・タンボラ火山大噴火=鎌田浩毅 | 週刊エコノミスト Online (mainichi.jp)

スペクティは火山の活動についての配信を行っていますが、2021年5月ころから急増しているのが気になります。

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2021年、気になる火山噴火の増加 | スペクティ(株式会社Spectee)

「配信数が多かったトップ10の火山を世界地図上にプロットしました。「~倍」の数字は、「2021年3月& 4月の月平均配信数」が「2020年5月~2021年2月までの月平均配信数」から何倍に増えたかを表しています。アイスランドのファグラダルスフィヤル火山は4月に入るまで噴火がなかったため、「-倍」としていますが、どの火山も軒並み活動を活発化させていることがわかります」
(スペクティ2021年5月12日)

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スペクティ

これもお断りすれば、成層圏にまで火山灰が到達するような大爆発でないと地球気象に影響を与えませんので、念のため。
とまれこのように地球気温の変動は、太陽黒点の増減、火山の活動、海流の変化などいくつもの要因によって決定されるのです。

ところで太陽黒点観測は、1755年から始まる活動の山をサイクル1として、2011年からはサイクル24に入った時期にあたります。
太陽活動はほぼ11年の周期で変動していて、「サイクル24」とは、1755年から数えて24番目のサイクル(周期)だという意味です。
サイクル24は、太陽の活動が「穏やか」になり始めているのではないかと見られています。

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上図で水色の折れ線グラフは黒点相対数を表しており、黒点相対数が多いときは太陽活動が盛んです。
そしてこの増減には一定のサイクルがあり、黒点相対数は約11年周期で増減しています。
一方、相対数のピークには長周期変動があることもわかります。
それを見るために区間を11年(132ヶ月)にして移動平均をとってみたのが赤い折れ線グラフです。

皮肉にも地球温暖化を協議する2013年のCOP19に合わせたように、太陽表面は「穏やかな状態」が続いており、黒点数が20世紀のどの時期よりも少なくなっています。 
2022年の太陽黒点活動は、このようなものとなっています。

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現況・トレンド | 太陽黒点 | 宇宙天気予報 (nict.go.jp)

サイクル24(第24太陽活動周期)は、過去250年間で観測された最弱なものです。
下図をみていただくとNOAA(米国海洋気象庁)の観測データでも、11年から再度活発化トレンドに向かうかと思われた黒点数が、また13年を境にして下降に戻ったことが分かります。

Photo NOAA・ アメリカ海洋気象庁の太陽活動の予測と実際の太陽活動の相違

情報通信研究機構)http://www.nict.go.jp/glossary/4otfsk000000k85f.html太陽黒点相対数のグラフ           

上のグラフを見れば2002年から低下の一途をたどり、09年には最低の時期を迎えているのが分かります。
むしろ2011年以降緩やかに回復基調ですが、やっと回復している微弱な動きが太陽表面で見られています。
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情報通信研究機構(NICT )

「国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT )「宇宙天気予報センター」が公表した太陽黒点相対数の推定値によると、低調だった「太陽黒点相対数(SSN=サンスポットナンバー)」が2か月弱ぶりに「100超え」を記録。5日前の12月9日(木)から11日(土)の3日間は「0」を記録していたため、この5日間で急上昇したことになる。久しぶりに太陽活動の活発化の兆しが見えてきた。コンディション上昇に期待が膨らむ」
<太陽活動、活発化の兆しか?> 太陽黒点相対数(SSN=サンスポットナンバー)が急上昇、5日前まで「0」が12月16日に「100超え」 | hamlife.jp

そして現在、この太陽黒点周期は2008年1月から減少期間となったと考えられています。 
サイクル24の活動は、世界の温暖化対策を嘲笑うかのように長期に渡って黒点が観測できない状況が続いていました。

上のグラフを見れば2002年から低下の一途をたどり、09年には最低の時期を迎えているのが分かります。むしろ、11年以降緩やかに回復基調ですらあります。
今後太陽黒点がどのような動きを見せるのかは、今後の観測によらねばなりませんが、二酸化炭素だけが主原因で、それが右肩上がりで増え続け地球が温暖化し続けるというのが、いかに短絡した説がおわかりいただければ幸いです。

 

 

2022年12月 7日 (水)

地球気候を大きく左右するもの

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地球の気象変動は3種類に分けられます。

①数十年から100年前後の挙動を論ずる短期的なもの(太陽黒点の変化、大西洋数十年規模振動など)
②1000年規模の動きを見る中期的なもの(太陽活動の増減、火山活動など)
③数万年サイクルの長期的なもの (地球の自転軸の傾斜角、太陽からの離心率=ミランコビッチ・サイクル)

俗に言う地球温暖化はというのは、この①に属します。 ①、②は自然的要因と呼びます。
産業革命以降200年ほどは、地上大気平均温度で+0.6度、二酸化炭素濃度で+200ppm変上昇したとIPCCは主張しています。
これは原因として人為的炭酸ガスが上げられていますが、100年サイクルにも寒冷期と温暖期が30年から40年サイクルで変化する海流の「振動」 (周期)か存在します。

現時点では、周期的には温暖化期が終わりつつあり、寒冷期に向っています。
一方②③のもっと大きな時間の幅で見ると、地球と太陽の相対位置のズレ、地軸の傾斜角の変化、太陽の黒点変動(太陽放出エネルギー量)の変化、宇宙線の照射量が地球の温度を長期的に決定しています。

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この太陽の黒点の活動が弱まっているのが現在観測されています。
黒点については別途に詳しくみてみます。

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現況・トレンド | 太陽黒点 | 宇宙天気予報 (nict.go.jp)

この黒点活動についてはあと数年の観測が必要ですが、もし黒点活動が弱まっているなら長期的に寒冷期に突入する可能性があります。
というわけでマクロ的に地球の気温を見るなら、現在の地球は冷える方向に進んでいます。

ただし、それを攪乱するというか、中和しているのが①の人為的温暖化です。
地球温暖化説に立つ気候学者は、対流大気圏の組成の変化による海面温度上昇や大気湿度の上昇があると主張しています。
そしてその結果、海水面上昇や、北極圏の氷が溶ける現象を上げています。
これについては検証しました。 これについては私はかなり懐疑的です。

ただし私は、大気温度の上昇は一部当たっていると思っていますし、大気湿度の上昇は確かにこの間の世界の気象が超大型台風やハリケーンなどに再三見舞われることからありえることで、原因のひとつだろうと考えています。
ただし、被害に合われた方には申し訳ない言い方ですが、「このていどで済んでいる」のは、人為的な炭酸ガスによる気象変動による温暖化が、自然サイクルの寒冷化と打ち消しあっているからです。

人為的二酸化炭素説だけで気象変動を説明するには無理がありすぎます。
そこにIPCCは固執するあまり、すべてを人為的二酸化炭素の増加だけで説明する無理が生まれています。
人為的二酸化炭素説は案外新しくて、30年ほと前の80年代から唱えられたものです。
それまでの科学者たちの意見は、地球の気候変動はいくつもある複数の自然の要因や周期が複雑にからまりあって、影響を与え合って変動しているのだと思っていました。
むしろこのほうが、地球の気象変動に対する正統派の考え方だったのです。

それを一気にひっくり返して「人為説革命政権」を作ったのがIPCCだったわけですが、とりあえずこの二酸化炭素人為説はあまりにも「常識」なので、ちょっと脇に置いて、考えてみましょう。
おおざっぱに言って、地球の気象変動は3種類に分けられます。
大きな自然の周期から並べると

①長期的な周期・・・数万年サイクルの地球の自転軸の傾斜角、地球と太陽の相対位置のズレ(太陽からの離心率)・ミランコビッチ・サイクル
②中期的周期・・・数百年から1000年規模の太陽活動(太陽放出エネルギー)の減少による極小期、宇宙線の照射量、火山活動など
③短期的周期・・・100年以内の数十年規模の大西洋数十年規模振動など

③の短期的周期は人為的二酸化炭素説とバッティングするので、これを探っていきます。
二酸化炭素温暖化説でも、重要視されたのは海水温の上昇でした。
なぜなら、海水温は、その上に拡がる大気の温度にまで大きな影響を与えるからです。
二酸化炭素温暖化説では、対流大気圏の組成の変化による海面温度上昇や大気湿度の上昇があると主張しています。
そしてその結果、海水面上昇や、北極圏の氷が溶ける現象が出たと説いています。つまり、大気温が上昇して、それによって海水温が上がったという仕組みです。

ここから、アル・ゴア氏などが主張した地球温暖化による大規模災害の発生が言われるようになったわけです。
しかし、この説には疑問符がつきます。仮に大気温による気温が上昇していたとしても、海水が外気温で温まるまではかなりの時間を要します。
実際その海を流れる風の強さや温度、海流の寒暖は、大気温より早く水温に現れるのです。
考えてみればそうでしょう、普通お湯を沸かそうとすれば、鍋に水を張って下からコンロに火をかけます。
外からドライヤーでブンブンやる人はまずいません。
ドライヤーでお湯を沸かそうというのが、二酸化炭酸による海水温上昇説です。そうとうにムリを感じませんか。

多くの海洋研究者は実測の結果、大気の温度変化と海水温度は比例せずに、ズレて発生すると言っています。あくまで海水温上昇が先行するのです。
このようなことから、海洋気象学者たちは、海流の温度変化に着目しています。それが去年の前回のグリーンランド周辺海域の海水温調査なのです。
※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-b917.html

グリーンランドに着目するのは、ここが全地球規模の海流の「心臓」だからで、世界の海流はここを通って北極海に入り、冷やされて南下していきます。

大西洋を起源とする全球規模の熱塩循環流

図 独立行政法人海洋研究開発機構 ・JAMSTEC 中村元隆「北半球の気候変動要因の解明 グリーンランド海の急激な変化がもたらした北半球の気候変化」より)

この海域の温度は30年から40年サイクルで周期し、温暖化と寒冷化を繰り返すことが分かっています。前回の変化は80年代初めの温暖化でした。
そして今また、それから40年たって寒冷化の周期に入ろうとしていると専門家は見ています。
海洋研究開発機構 (JAMSTEC)中村元隆氏は、「間違いなく寒冷化に転換している」徴候と判断しています。

一方、最近の太陽表面は、驚くほど「穏やかな状態」が続いており、黒点の数が20世紀のどの時期よりも少なくなっています。 
2008年から始まった観測単位であるサイクル24(第24太陽活動周期)は、過去250年間で観測された最弱なものだからです。
NOAA(米国海洋気象庁)の観測データでも、11年から再度活発化トレンドに向かうかと思われた黒点数が、また13年を境にして下降に戻ったことが分かります。
前回の小氷河期であるダルトン極小期は、1800年から20年間続いて小氷河期を招きました。
この極小期は200年サイクルといわれていますから、ちょうど現代がその時期に当たります。

つまり太陽活動からみても寒冷化のサイクルに入っており、「いつ極小期が来てもおかしくない」状況です」。(東京大学宇宙線研究所・宮原ひろ子特任助教)
このように短期的な気象変動を司る海流や、中期的周期を決定する太陽エネルギーの放射量は、ひとつの予想に辿り着きます。

それは、現代の常識ともなった地球温暖化ではなく、真逆の地球は不機嫌に冷え始めているのではないでしょうか。
思えば、地球温暖化人為説をハンセンが発表した80年代は、自然的要因も寒冷期から温暖期に転換する変わり目でした。
だから、大きな説得力をもって支持されたのです。
まだ寒冷期が続いていたそのわずか10年前の70年代には、人々は氷河期が来るのではないかと脅えていたものでした。
今後、寒冷化、温暖化、いずれの気候に転換するのか、予断を捨てて注視する必要があると私は思います。
とまれ、右肩上がりに地球の音頭が上昇し続け、世界が破滅するというのは、逆に非常に偏った見方ではないでしょうか。
ビョルン・ロンボルグではありませんが、「地球と一緒に頭も冷やせ!」です。

 

2022年12月 6日 (火)

ツバルは国土が増えているんですが

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クソ!負けは負け。爪の先ひとつだった。

ホッキョクグマに並んで有名な地球温暖化説の「アイドル」は、南太平洋の島嶼国家ツバルです。
地球温暖化説の司令塔であるIPCCは、北極やヒマラヤの氷河が溶けている、ホッキョクグマが絶滅だ、だけではパンチに欠けると思ったのか、とうとうひとつの国全体が沈んでいるゾ、と言い出しました。
海水面上昇で南太平洋の島々が沈下して住めなくなって難民が沢山でるぞと叫び出し、やがてオランダも水没,東京も半分水没、バングラディシュも哀れ水没という具合に、話はどんどんと尾ひれ腹ひれがついて膨らんでいきます。

こうしていつの間にかツバルは、地球温暖化の悲劇のシンボルになっていたわけです。
今でも環境省のHPには大きくツバル掲載されていますから、もう疑う余地なき真実のようです。
Environmental impacts on Climate Change in Tuvalu

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水没の危機にある南国ツバル|ツバルの森 (tuvalu-forest.jp)

COPでも、温暖化の被害者として登場して定番で登場するのが、この南太平洋のツバルでした。

「石炭や石油などの化石燃料からの脱却が主要議題となる中、産油国のサウジやロシア、石炭産出国オーストラリアなども「針のむしろ」状態だった。国際環境NGO「CAN」は温暖化対策に後ろ向きな国に贈る「化石賞」をCOP26期間中に6回も受賞した豪州を「化石大賞」に選出した。
 水没の危機にある太平洋の島国ツバルのパエニウ財務相は、「ツバルは文字通り沈んでいる。行動が今すぐに必要だ」と涙ながらに各国代表団に訴えた。しかし、温暖化の影響を直接受ける国々の切実な呼び掛けも、こうした主要排出国の行動を大きく変化させるには至らなかった」
(時事2021年11月14日)

COP26の時など、ツバルの外相はひざまで海に漬かって演説をしました。うーん、やるな。

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ハフィントンプレス

「南太平洋の島国ツバルの外務大臣が、膝まで海に浸かりながらスピーチし、気候変動の緊急性を訴えた。
このスピーチは、イギリス・グラスゴーで開催中の国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP26)のために、首都フナフティのフォンガファレ島で撮影された。
海抜が低いツバルは、地球温暖化の影響を最も大きく受けている国の一つで、海面上昇による水没の危機にさらされている。
この状況を伝えるために、スーツとネクタイ姿のサイモン・コフェ外相は、ズボンの裾を膝丈までまくり上げた状態で海の中の演台に立ち、各国のリーダーたちに語りかけた」
(ハフィントンポスト 2021年11月9日)

海面上昇の結果ツバルが沈んだ、これは先進国の二酸化炭素の排出が問題だからだ、というのがツバルの主張で、実際に提訴して賠償を求めようとしましたが、認められそうにないので取り下げました。

では、ほんとうに温暖化による海水面上昇によって、ツバルは沈んでいるのでしょうか?
沈む原因として、真っ先に考えられそうなのは北極圏の氷の融解ですがチャイまんねん、実際当初IPCCはそう主張していましたが、近年はそれを静かに取り下げて、海水の膨張説に差し替えています。
ホッケースティック曲線も、ヒマラヤの雪が解けているというのも、オランダが水没するということも、静かに訂正してフェードさせております。
主張するときは大声で、取り下げるときは静かに、これが賢い流儀。

現行のリクツでは、水は温度が上がると体積が増える性質があり、気温とともに水温も上がるから水の量が増えたのと同じ効果となり、海面を押し上げるということのようです。

ツバルのような国土のほとんどが海抜1~2メートルしかない珊瑚礁の島々であり、海面上昇によって国全体が水没の危機にあるとされています。
今の通説はこうです。

「ツバルの首都があるフナフチ島では、内陸から水が沸き上がり、浸水されています。その影響で、ツバルでは、タロピットという主食の芋畑に海水が入り込み、作物が育たなくなる等の被害が出始めています。ツバルの人々は、自給自足の生活をしており、島が沈むより前に食べ物が無くなり、住むことができなくなる可能性があります」
(ツバルの森)

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ツバルの気候変動と海面上昇 | ツバル〜沈みゆく旅行記〜 (sinktuvalu.tv)

ところが、この海面上昇に関しては「そうだと思われるような現象がある」と言われているだけで、実際の観測結果では証明されていません。
下図はオーストラリア政府のSPSLCMP(南太平洋海面・気候モニタリングプロジェクト)のデーターですが、ツバルでは1mどころかわずか75㎜の海水面上昇しか計測されていません。
この記録は、ツバル近海のフナフチ環礁で1993年5月から2006年5月までの13年間の記録の累積の総計です。
つまり表の右から2番目のトレンド(傾向)の毎年の観測数値を13年間分足してみると75㎜となったというわけです。
75㎜といえばさざ波じゃありませんか。さざ波で島が沈むんでしょうか。

しかも1年間に75㎜だとすると、確かに危険な数字ですが、あくまでも13年間の総計です。1年にすると1㎝にも満たないわけです。
ですから、このデーターの見出しの書き方は、やや誤った印象を私たちに与えてしまいますが、13年間のトータルの数字です。

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South Pacific Sea Level and Climate Monitoring Project

もうひとつグラフを出しましょう。下図はオーストラリア気象庁の公表データかあります。これは1993年からツバルの首都フナフチを測ってきた16年間のデータです。

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どう見ても横ばいです。これを見てどうしてツバル周辺海域で海水面上昇が発生したといえるのでしょうか。 

3枚目にハワイ大学の観測記録です。
1977年から99年までの23年間の計測データですが、上昇は0.9㎜で1㎝にも満たない数値です。 
科学の世界では、複数の公的機関が10年以上の長期で継続して計測したデータが、一致して同じ結論を出した場合にはそれを有意として扱います。

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英文でTuvaluと検索するといくつかの英文の論文にヒットしますが、その中でサリー・バリューナス博士の「ツバルは沈んでいるのか?」という論文をご紹介します。 
この論文はふたつに分けられ、前半でツバルの海水面のデーターを見ています。そして後半はその原因を考えています。
博士は、ポセイドン観測衛星の記録から海水面は約10㎝落ちていると報告しています。 

また1978年以来の潮位記録から、1997年~98年のエルニーニョ(4年に一回発生します)には約30㎝も潮位が落ちているそうです。 
このようにエルニーニョは、太平洋を取りまく島々の海流や気圧に大きな影響を与えている最大のものです。  
博士は、オーストラリアの潮位観測の責任者であるウオルフガンシェーファーさんの意見も取り上げています。
この中でシェファーさんは「海水面の上昇があるという観測データーはどこにもない」と断言しています。
どう考えても、13年間で最大58㎜、最小で0.9㎜ていどの海面上昇でひとつの島の沈下が引き起こされると 考えるほう無茶ではないでしょうか。 

南太平洋海面・気候モニタリングプロジェクトのプロジェクト・マネージャーのフィリップ・ハル氏は、このような海水面上昇は10年ではまだ短く、20年以上といった長期の観測が必要であると語っています。
ハル氏は原因として、エルニーニョなどの異常気象を挙げています。

お聞したいのですか、この1㎝にも満たない海面上昇で、いかに海抜1mのツバルといえど果たして海に沈むでしょうか?
ありえません。
上がったのは海面ではなく、逆にツバルのほうが珊瑚礁の圧壊によって沈んだのです。
ツバル沈降の主要な原因は隆起珊瑚礁の浸食なのです。
沖縄の八重山に行くと、同じ隆起珊瑚礁ですから、少しずつ削られていくのが目でみえる地点がいくつかあります。
これは別に隆起珊瑚礁のみならず、海岸淵の岩場に行ってみれば同じような浸食が見られます。
世界で年間70㎜ていどの浸食を受ける島などザラですから、このていどの島の沈下で沈むツバルのほうが特殊なのです。

ツバル沈降の原因について、大阪学院大学教授で、太平洋諸島地域研究所理事の小林泉先生は以下のように指摘しています。
このミクロネシアを知悉した小林先氏の意見は、私にもしごく妥当に思われます。

①日本より稠密な人口密度が、狭いツバルの、しかももろい隆起珊瑚礁を圧壊している。
②アメリカ型の生活スタイルの定着によりペットボトルなどのゴミの散乱など島の環境破壊が進んでいる。
③滑走路の水没は、かつての米軍のいいかげんな工事のためである。

小林氏が指摘するとおり、ツバルの浸食された海岸の多くは、第2次世界大戦時に米軍が埋め立てた土地でした。
戦争中の手抜き工事によって、ろくな環境アセスメントもせずに各地の島から飛行場を建設するために砂利を採取したため、島の地下はスポンジ状の多孔質の地盤となってしまいました。
ここから染みだすように海水が吹き出すようになったのです。

ツバルは人口が急増しました。
たとえばツバルの首都の人口は、1973年の独立前にはわずか871人でしたが、5年後の79年には3倍の2620人に急増しています。
国全体では1973年には5300人でしたが、5年後には7300人、2020年現在では1万1792人です。

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グラフで見る! ツバルのGDPと人口の推移 人口と一人当たりGDP(ドル名目) 年ベース 【出所】国連 National Accounts DB (gdfreak.com)

これだけ増えた人口急増が引き起こすのは、お定まりの住宅問題、飲料水や下水などの生活インフラの確保です。
宅地は、独立前には人が住まなかった湿地や低地に拡大し、そこに多くの住居や行政施設が立てられました。
冒頭2枚目の首都の写真で見る水没風景の原因は、真水の過剰利用によって井戸からの地下水汲み上げが増加して地盤が下がったからです。
そのうえ下水の垂れ流しによって、海が汚染されサンゴが痛めつけられました。
つまり地球温暖化とは無関係のローカル原因なのです。

ところでご心配は無用です。
実際は、なんとツバルの国土は水没して消滅するどころか増加しています。

「2018年2月の英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表された研究論文によると、この40年ぐらいの間に、ツバルの国土面積は拡大していたのである。
これは、ニュージーランドのオークランド大学の研究チームが航空写真や衛星写真を使用し、ツバルの9つの環礁と101の岩礁について、長期間の地形の変化を分析した結果である。
1971年から2014年までの分析によると、少なくとも8つの環礁と、約4分の3の岩礁で面積が広くなっており、同国の総面積は73.5ヘクタールも拡大していたという。
ツバルの面積は約26平方キロメートルしかないから、国土の2.9%が増加したことになる。さらに首都のあるフナフティ環礁(33の島がある)では、115年前から32ヘクタールも拡大していたことがわかった」
「115年前から32ヘクタールも拡大」温暖化で沈むはずのツバル諸島の面積が増えているという不都合な事実 - ライブドアニュース (livedoor.com)

その原因は、波によって運ばれた砂が堆積して、浜が広がったためだそうです。
2002年のオーストラリア政府の発表によると、1978年~2001年の期間に、ハワイ大学とAustralian National Tidal Facility (NTF)の共同研究では、データーの欠損を認めつつ、ツバルの首都フナフチ環礁での海面上昇は約1㎜程度であり、危惧する必要はないという意見を出しています。

沈下浸水が増えるツバルの皆さんには大変に言いづらいことですが、公平に見て、島民の苦難とは別に、その原因は地球温暖化にはないと思わざるを得ません。
こんなばかなことが起きたのでしょうか。それについて海水面研究の世界的権威であるストックホルム大学メルネル教授はこう言っています。

「第3次、第4次IPCC報告書には海水面上昇の専門家がひとりもいなかった。報告書を書いたのは、現地の観測者ではなく、ただのコンピュータ計算屋があらかじめ決まった南太平洋諸島水没モデルにあわせてモデルを作っただけだ」

なんのことはない、IPCCがもったいぶって出した報告書で、ツバル現地で計測していた人間はおろか、海水面の研究者すらいなかったのです。
まったくひどい話です。このような現場で長年観測をしてきた科学者の知見を無視して、コンピュータのモデル計算だけで済ますという悪しき体質がIPCCの気象屋にはあるようです。
そのために、局地観測者や海洋観測者の中はIPCCに強い不信感を持っている人が多いようです。

たとえば、オーロラ観測の第一人者であるアラスカ大学赤祖父俊一教授、海水面研究の第一人者ストックホルム大学メルネル教授は共に、地球温暖化説の強い批判者です。
IPCCはほんとうにツバルで観測したのではなく、世界の海水面上昇平均0.17mをツバルの標高から引いて騒いできたようです。

IPCCの初めに結論ありきのプロパガンダに使われたのが、ツバル水没なのです。

 

2022年12月 5日 (月)

どっこい、ホッキョクグマは絶滅していない

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地球温暖化の「アイドル」となっている野生動物はホッキョクグマ、通称シロクマです。
畏敬の念すら覚える北極圏生態系の王者です。
ホッキョクグマは、私が子供の頃から象やシャチと並んで一番好きな野生動物でした。

彼らが滅びかかっているというのですから、心穏やかではありません。

滅亡の通説はこうです。

「北極は地球の他の地域より2倍速いペースで温暖化が進行しており、氷の融解によってホッキョクグマが主食の若いアザラシを捕獲するためにより長い距離の移動を余儀なくされている。
「北極全体の海氷の存在量が10年ごとに14%の割合で減少しており、これがホッキョクグマの餌捕獲の機会を少なくしている可能性が高い」と論文は述べている。
 海氷の減少は、ホッキョクグマの夏季のエネルギー消費量が増加することを意味する。ホッキョクグマは夏の間、秋に再び氷が張るまでやはり絶食状態で過ごすからだ。
 USGS(カリフォルニア大学サンタクルーズ校)によると、ホッキョクグマの残存生息数は過去10年間減少傾向にあり、個体数がこの10年で約40%減少したという」
(AFP2018年2月3日)
高代謝のホッキョクグマ、温暖化加速による北極海の海氷減少で飢餓状態に。 米カリフォルニア大学の研究者が論文で指摘(AFP) | 一般社団法人環境金融研究機構 (rief-jp.org)

 

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大変だ!シロクマくんが困ってる<br>~地球温暖化ってなんだろう?~ | なにわエコスタイル (naniwa-ecostyle.net)

こんなイメージでしょうか。

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ホッキョクグマが2100年までに絶滅の危機 | オピニオンの「ビューポイント」 (vpoint.jp)

これはアラスカで撮られたものです。
このホッキョクグマの生存は厳しいだろうな、と哀しい気持にさせられます。
後述しますが、たぶん大丈夫です。

そしてこれがCO2の増大による地球温暖化説の証拠として、人の心を大きく揺さぶりました。
アル・ゴア『不都合な真実』にも同じような写真が載っていて、以下の説明が加えられています。

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アル・ゴア『不都合な真実』

「1970年代、北極の氷冠はかなりのスピードで縮小をし始めました。これは、ホッキョクグマにとっては悪い知らせです。ホッキョクグマはアザラシを追って氷盤から氷盤へと移っていきます。多くの氷が溶けてしまったために、クマたちはこれまでよりもずっと長い距離を泳がなくてはならなくなりました。次の氷盤にたどりつく前に、おぼれ死んでしまうホッキョクグマもでてきたのです。こんなことはこれまでなかったことです」
(「不都合な真実」P86:87)

また、NHKスペシャル「気候大異変」では、「もう遅すぎるのか!」と叫びながら溺れたホキョクグマの映像を流していました。
ま、遅すぎたのなら、手もつけられんじゃないかと思うんですが。

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私は「ダーウィンがきた」と「ワイルドライフ」のファンなので、このテの報道には極端に弱いのです。
湾岸戦争の折りのイラク軍による原油の海への放出によって、原油まみれになって眼ばかり光らせている水鳥の写真には怒りがこみ上げてきました。
許せん、イラク!おいフセイン、ここに来て座りなさい、という気分に「操作」されたのです。

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「嘘つきは、戦争の始まり。」の嘘 | 静岡経済新聞 (shizuokakeizaishimbun.com)

今「操作」と言いましたが、この原油まみれの水鳥の写真は、湾岸戦争とはまったく関係のないやらせ映像であったことが後に分かってしまいます。
なんのことはない米国の広告代理店が、反イラク感情を煽るため、米政府の要請で「湾岸戦争の自然界の被害者」として捏造したものだったのです。
ひでぇ話ですな。米国のみならずよくあることらしいですが、心情にダイレクトに訴えかける映像には注意しなきゃあと思い至ったわけであります。気をつけよう、甘い言葉と悲しい画像。

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朝日

ほんとうはホッキョクグマは泳ぐのが得意なのです。
冒頭の写真の原因は分かっています。嵐で乗っていた海氷が沖に流された不運な事故でしたが、たぶんこの後にはホッキョクグマは泳ぎ始めたはずです。

たって、687キロ泳いだという記録もあるんですよ。

「ホッキョクグマが150キロの「超遠泳」をしていることが、米地質調査所の調査でわかった。東京~大阪間より長い計687キロを10日間かけて泳いだケースもあった。(略)アラスカ北部にすむホッキョクグマのメス52頭に全地球測位システム(GPS)の発信器がついた首輪をつけて追跡調査。オスは首が太すぎて首輪をはめられなかった。2004~09年に距離50キロ以上の遠泳が20頭で合計50回観測され、1回の平均は3.4日間で、距離154キロだった。小さな氷の上で休息したとみられるケースもあったが、ほとんどは連続した移動だった」
朝日新聞デジタル:ホッキョクグマ、超遠泳150キロ 氷が解けて仕方なく - おすすめ記事〈グリーンランド取材記 中山由美記者特集〉 (asahi.com)

これをメディアは、夏の解氷期にだけ来て「溺れ死んで絶滅か」とはやすわけです。
局地で長期間観測をしている北極圏研究者が、いくら諭しても自分に都合の悪いことは一切報道しません。
自分にとって「都合のいい真実」ばかり流すのですからしょーもない連中です。

話を北極に戻しましょう。北極圏の海淵の氷が溶けていっているのは事実です。
そして、これに追い打ちをかけるようにして、2040年の夏に北極海の海氷が消滅するというもっともらしい情報が大々的に流されて大騒ぎになりました。

2040年に北極海氷消滅するという説は、ホッキョクグマの絶滅とも絡んで大きな問題になりました。
なんせシロクマはヒグマから分岐した種ですが、ヒグマは怖いけど、シロクマはパンダから隈どりを取ったみたいでとても可愛いですからね。

かわいいシロクマが皆溺れ死ぬとなるとは尋常ではない。世界野生動物基金(WWF」も「ホッキョクグマは歴史上の動物になる」といい、英国「インデペンデント」紙も「ホッキョクグマは動物園でしかみられなくなる」と叫びました。

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WWF

「温暖化で減り続ける生息地。
現在のペースで温暖化が進むと、ホッキョクグマの生存に適した夏の海氷面積は、21世紀中頃までに急激に消失し減少する可能性が。またその頃までには、ホッキョクグマの個体数は1/3減少する、と予測する科学者もいます」
ホッキョクグマ残りおよそ26,000頭|WWFジャパン

で、セーブ、ホッキョクグマ、すぐにWWFへ募金してください、となるわけです。

では実際にホッキョクグマは絶滅の危機にあるのでしょうか?
結論からいいましょう、ご安心くだされ、絶滅していません。
まずはこの表をご覧下さい。

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ビョルン・ロンボルグ『地球と一緒に頭も冷やせ!』

表の左側の横軸の最初の起点には1980とあります。これは1980年を表します。
縦軸が頭数です。お分かりのとおり、1980年にはわずか500頭に過ぎず、乱獲により絶滅寸前であったということが見て取れます。ちなみに当時は海氷の融解は観測されていません。
あくまで過去の人為的な乱獲が原因です。

これが保護政策の結果が出て、5年後にはハドソン湾だけで一気に1500頭まで回復していきます。
以後1990年代からはほぼ横ばいという安定した状態が続いています。
減少トレンドの線が引かれていますが、1980年代の絶滅の危機からは大幅に増加していると言っていいでしょう。
むしろホッキョクグマは、滅亡どころか真逆に野生動物保護の成果で増加した事例です。

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スーザン・クロックフォード博士(動物学)は 35 年の経験を持つブリティッシュコロンビアにあるヴィクトリア大学の教授ですが、彼女の調査によればホッキョクグマの個体数は安定しています。
TWENTY GOOD REASONS Not to worry about polar bears: an update
邦訳シロクマはじつは増えている – NPO法人 国際環境経済研究所|International Environment and Economy Institute (ieei.or.jp)

1. ホッキョクグマは、いまも動物保護の⼀⼤成功事例です。40 年前よりホッキョクグマは増えています。
2. 2010 年と⽐べて、減少している個体群は減りました(いまは公式には 1 群だけ)。データ不⼗分なのは 6 群だけです(かつては 9 群)
3. 急激な夏の氷減少でも、予想されたようなホッキョクグマの個体数への影響はありませんでした。海氷は 2007 年に 20 世紀半ばの⽔準まで減りましたが、⾔われていたようなホッキョクグマ壊滅は起こりませんでした。
4. 2007 年以来、氷のない季節は伸びてきているのに、チュクチ海の個体群は⼤繁栄しています。
5. チュクチ海で夏に海氷が少ないおかげで、ホッキョクグマたちの獲物の数が⼗分に増えました。フイリアザラシは、主に氷のない季節にエサを探すからです。
6. ホッキョクグマは、いくつかの地域で氷の状態が変わっても適応できています。
7. 南ビューフォートの個体数は前回の調査から回復しました。
8. バレント海の個体数は、海氷⾯積がはるかに減っているのに、2005 年から増えたようで、まちがいなく減少はしていません。
9. 2012 年夏の記録的な低海氷で、南ビューフォートのホッキョクグマ個体数に被害を与えたという証拠はありません。
10. むしろホッキョクグマの個体数が増えたことで、他の⽣物種、特に巣を作る海⿃やアヒルに悪影響が出ています。
11. ⻄ハドソン湾個体数は、科学者たちがメディアに告げている話とは裏腹に、2004 年以来安定しています。
12. ハドソン湾の海氷は 1999 年あたりから変わっていません。氷が割れる⽇や凍結する⽇は変動がきわめて激しいのですが、氷のない期間は 2004 年と⽐べて2015 年でも伸びていません。しかし 2016 年秋の凍結は、ここ数⼗年で最も早いものになりそうです。
13. チャーチルの「問題のあるホッキョクグマたち」は、痩せてもいないし飢えてもいません。
14. マニトバ州チャーチルは、1983 年と 2016 年に「問題のあるホッキョクグマ」が最も多かったところです。この⼆つの年は凍結が遅かった年ですが、2016年の出来事の多くは、2013 年にホッキョクグマが⼈間を襲ったことで警備職員たちが監視を強化したおかげのようです。
15. ホッキョクグマが海氷を最も必要とするのは春の⾷餌時期ですが、この時期の海氷減少はごくわずかです

これは冒頭のAFPが伝えた、カリフォルニア大学調査隊の26000頭と符号しています。
世界動物保護連合(IUCN)の調査では、ホッキョクグマ個体群20個のうちバフィン湾の1から2の群で個体数が減少しているだけで、半分以上の個体群は安定、ビューフォート海付近の2個体群では増大しているという報告をしています。
この調査結果を見て、どうして絶滅寸前などといえるのか首を傾げたくなります。

ところでこの2万6千頭をどのように評価するかですが、これが絶滅一歩手前のサインなのか、それとも1980年代にわずか500頭までに激減していたホッキョクグマが50倍にまで増えたといういい兆しなのでしょうか。

少なくとも絶滅しそうだという兆候にはみえません。
メディアと環境保護団体は、40年前の真に絶滅が危惧された時代を目隠して煽っているだけです。
1980年代には地球温暖化説もなければ、北極圏の海氷の融解減少もありませんでしたから、この時期と比較してしまうのは「不都合な真実」なのです。

そして今後ですが、おそらくこの2万5千頭前後で安定するはずです。
このあたりの個体数が自然界の上限であると思われるからです。
食物連鎖の体系の中で、ホッキョクグマはこの生態系の中で最上位に位置します。ホッキョクグマを捕食できるのはこの北極の自然界ではいません。もしあるとすればそれば、私たち人間というかならずしも自然生態系の内にはいない存在だけです。
ホッキョクグマが絶滅に瀕して絶滅危惧種になった場合、クマの食料であるアザラシが増えすぎます。その結果アザラシの捕食する下位生物である小型魚類が激減していくことになります。
これは深刻な影響を北極の生態系に与えていきます。北極に生きる多くの生物にとって共通の食料の小型魚類が減少することだからです。小型魚類の減少はそれを食べるシャチやクジラなどの海棲哺乳類に深刻な打撃を与えるはずです。

逆にホッキョクグマが増加しすぎれば、アザラシが減少しすぎるでしょう。食料であるアザラシが減りすぎれば、ホッキョクグマは生存できません。生態系は冷厳な食物連鎖の中で安定しています。これを敵対的共生とよびます。自然界はこの敵対的共生によってしっかりと守られているのです。
ひとつの環境(生態系)の中でホッキョクグマを一定の範囲で淘汰できるのは私たち人類、ヒトしかいないのです。
ですから、イヌイットの400頭の狩猟は理にかなったことです。イヌイットは乱獲をすれば獲物がなくなるというギリギリの線の上で狩猟をしているのです。

ホッキョクグマは1980年の500頭の絶滅寸前状態から、保護政策により増大している。現在はほぼ安定した個体数の状態を保っている、これが本当のような気がします。
これは少なくとも地球温暖化とはなんの関わりもありません。

 

2022年12月 4日 (日)

日曜写真館 人しらぬ蓼や紅葉にひとゝをり

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もえてくれ紅葉の枝に小折なし 秋之坊

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亡かげをいたはる冬の紅葉哉 百里

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我形も常にはあらじ紅葉の火 舎羅 

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山も川も谷もあらしの紅葉哉 松岡青蘿

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吹おろすもみぢやまいるいのこ餅 土芳 

 

 

2022年12月 3日 (土)

習近平、さらに強硬策へ

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もちろん修辞疑問ですが、どうして習近平はこんな対応しかとれないのでしょうか。
それはこの男が二度と見たくないものが第2次天安門事件、中国でいう「六四天安門」だからです。
六四天安門事件 - Wikipedia

1989年当時、アジアでもっとも遅れて民主化の波が到来した中国でも青年が10万人規模で立ち上がりました。
恐ろしい起爆力です。
きっかけは、共産党改革派の胡耀邦元総書記の死がきっかけでした。
胡耀邦の葬儀までに、政治改革を求める学生を中心に約10万人の人々が天安門広場に集まり、胡の後を引き継いだ趙紫陽が総書記となります。
彼は学生たちに初めてあった時に「遅くなってすまなかった」と言ったそうです。

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天安門事件の鎮圧は「正しい」と中国国防相 30周年を前に異例の言及 - BBCニュース

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Asahi Shimbun via Getty

1989年6月4日に天安門広場とそこに通じる街路でなにがあったのかを見れば、この共産党国家の本質とはなんなのかよく理解できるはずです。
六四天安門事件 - Wikipedia

そして2022年の悲劇は、国民の抗議の声に耳を貸す人物が政権内部にひとりとしていないことです。
自由化を求める学生たちには江沢民を期待する向きもあるようですが、既に彼の力は習近平によってとうに消失していました。
しかし第2の胡耀邦を恐れる習は、江の死を秘匿しました。

「習近平時代になって、習近平が権力集中に辣腕を振るい続け、江沢民は影響力を失っていった。
しかし、インターネット世界では、江沢民は新たな文化的現象を生み出す。「ガマ文化」だ。(略)
30歳の「魔法使い」を名乗るある若者は、江沢民政権時代は小さかったので指導者としての印象はあまりない、と言う。しかし、江沢民に対して興味を持つのは、江沢民が好きなのではなく、中国の現状に対する反逆だと説明する。「中国の後継指導者は比較的真面目で、面白みがない。さらに後継指導者たちは文化的にも保守的で、以前のように文化的に開放な時代はもう来ない」
江沢民が死去した今後は、この種のネット文化も失われるだろう、いう。「中国は非常に長い時代、ネットで受ける指導者は出ていない。江沢民はトランプと同じで、ネットのスターだった。だが、もうそんな政治的人物は中国には出てこないだろう」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.671 2022年12月1日)

江沢民に怯えるほど、いまの共産党指導部には「耳」がついていません。
他家の反逆分子を盗み聞きする耳はありますが、人々がなにを苦しみ、何を怒っているのか聞く耳はついていないのです。

「中国では、反ゼロコロナ運動「白紙革命」が野火のように広がり、27日に江沢民が陳文清・政法委員会主席を含めた幹部に対し、特殊ターゲットに対する治安維持強化を支持しました。特殊針対性(特殊ターゲット)とは、白紙革命のことです。
28日に陳清文が政法委員会全体会議を招集し、国家安全と社会の安定維持を強調し「敵対勢力浸透による破壊活動を法に基づき打撃することを堅く決心し、社会秩序を擾乱する違法行為犯罪を法に基づき打撃することを堅く決心する」という党中央の政策決定を伝えています。
これは、近く白紙革命の大鎮圧が開始されるという風に理解する人が多いです」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.671 2022年12月1日)

さぁ出てきました、中国共産党政府が民主化運動に対してかならず浴びせる「敵対勢力浸透による破壊活動を法に基づき打撃することを堅く決心」という対応です。
ここで言う「敵対勢力」というのは「外国勢力との結託」を意味します。
香港民主派とは実は「外国勢力」、すなわち欧米の手先である、だからスパイであって破壊工作員だ、というのが国安法です。

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https://article.auone.jp/detail/1/4/8/6_8_r_202007

この冒頭の第1条に中国がやりたいことのすべてが詰まっています。

●国安法
第1章総則
第1条
「一国二制度」、「港人治港」、「香港人が高度の自治を行使する」という原則を揺るぎなく完全かつ正確に実行し、国家利益を守るために、 香港特別行政区に関する国家分裂、国家政権転覆、組織的テロ、外国・域外勢力との結託による国家安全危害などの犯罪を予防し制止し、懲罰し、香港特別行政区の繁栄と安定、住民の合法的権益を中華人民共和国憲法と香港基本法、全人代の香港版国安法制に関する決定に基づいて保護するため、本法を制定する。

国家転覆をさせない、外国勢力と接近させない、そのためにあらゆることを可能とする、これが国安法の意図です。
このような脅迫じみた行間から、中国政府がいかに香港民主化デモに怯えきっていたのか、これが内陸のウィグルやチベットに、あるいは続発する農民暴動に飛び火することを恐怖したことが透けて見えます。
そしていまや、習近平の足元に飛び火してしまいました。

そして、このような香港民主化デモは「外国や外部の勢力の干渉」だと言い切っています。
これは中国が散々やってきた浸透工作を白状するようなもので、内部の騒乱は「外部勢力の工作」にしか見えないのです。
香港市民が100万人立ち上がろうと、共産党の目には「外部勢力」に操られて、カネをもらってやっているんだろうということです。
やれやれ、蟹は甲羅に合わせて穴を掘るとはよくいったもんで、それは米国や日本に対して今自分がやっていることです。

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国安法の要点は4つです。

①国家の分裂
②中央政府の転覆
③テロ活動
④外国勢力などとの結託

これらは解釈ひとつで、中国政府に対する批判すべてを「国家転覆罪」で逮捕監禁できることを意味します。
次に第20条をみましょう。

●国安法
第20条
国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施に参与したいかなる者も、武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である。
一) 香港または中華人民共和国のその他の部分を中国人民共和国から分離させようとすること。
二) 香港または中華人民共和国のその他の部分の法的地位を不当に変更すること。
三)  香港または中華人民共和国の一部を外国統治下に移すこと。
 前項の罪を犯した者は、その主犯、あるいは重大な罪の場合、無期懲役又は十年以上の懲役、積極的に参与した者は三年以上十年以下の懲役に、それ以外は三年以下の懲役、拘留又は行動制限におかれる。

「国家分裂、国家統一破壊の組織、計画、実施に参与したいかなる者も、武力を使用、あるいは武力を使用すると脅したか否かにかかわらず、すなわち犯罪である」凄まじい条文です。
「国家統一の破壊」とは、共産党政府に異議を唱えることを指します。
これを「計画し実施に参与した者」すべては「武力を用いるか否かに関わらず、すなわち犯罪」なのです。
つまり、政府に異を唱えることを考えてもダメ、計画しただけでもダメ、ましてや参加したならそれは「犯罪」だというわけです。
覚えておきましょう。これが全体主義です。
政府に反対すればすべて犯罪である、全体主義はこのように権力者に無限の権力を与える体制のことです。

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https://newsphere.jp/politics/20191003-2/2/

ですから、共産党には柔軟な対応はありません。
強硬策一本で、民主化運動を潰して殺すだけです。

普通はたった2日間でこれだけゼロコロナ反対運動が全国各地に拡がるですから、多少反省のひとつもするところです。
うちの国の首相なら、汗をダクダクかいて平身低頭するところです。


抵抗する国民は、密告させ摘発し、拘禁して隔離し、棒で叩きのめすだけのことです。
弾圧を強めるとガス圧がさらに高まり、もっと大きな爆発になるという負のスパイラルになるのはわかりそうなもんですが。

独裁政権はみずからの全能の証を、これでもかと人民に見せつけねばならないのです。

「中国本土や世界各地で発生した習近平政権の「ゼロコロナ」政策への抗議活動について、習指導部は「敵対勢力を摘発する」としてデモ参加者の連行や検閲の強化を始めた。(略)
29日の国営通信新華社によると、習指導部は治安維持に関する会議を開き「敵対勢力の浸透、破壊活動や社会秩序を乱す違法な犯罪行為を法に基づき断固取り締まる」との方針を確認した。
中国当局は大量の警官を街に展開した。複数の人権派弁護士によると、デモの主体となった学生らから「友人が夜中に警察に連れ去られた」「大学から圧力を受けた」といった相談が相次いでいる。デモの動画の検閲も行われているという。
1989年の天安門事件以降、中国指導部はデモや政府批判を国内外の「敵対勢力」が扇動したとして、取り締まる口実としてきた」
(ZAKZAK11月30日)
日系企業〝資産没収〟や邦人をスパイ拘束、習氏退陣デモ拡大で危機 「自由優先なら死を覚悟」中国国連大使 「デモに近づくな」「経済合理性を無視」識者

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白紙運動に「関心と重視」表明 台湾、中国に「人々の要求への迅速な回答」呼び掛け(中央社フォーカス台湾


今回白紙運動のきっかけとなった清華大学などでは、学生を帰郷させる措置が始まりました。

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テレ朝

「中国各地でゼロコロナ政策への抗議デモが起きるなか、一部の大学では学生に対し帰省を促すなど異例の対応を始めました。
 27日に抗議活動が行われた清華大学では、29日から学生が帰省するためのバスが用意され、空港や駅まで送り届けています。
 大学側は外出制限の緩和という学生の求めに応じる一方、多数の学生がキャンパスにとどまり、再び抗議活動が発生することを懸念している可能性もあります。
寮などで暮らす学生は一般の市民以上に厳しい移動制限を強いられていて、各地の大学で抗議活動が相次いでいます」
(テレ朝11月29日)
中国 大学生に帰省呼びかけ 学内で抗議活動懸念か (tv-asahi.co.jp)

政府は、大学を白紙運動の拠点だと見ていますから、学生をキャンパスから追い出してしまい、事実上のロックアウトをしたいようです。
なかでも拠点である学生寮にはまだ多数の学生が残っており、強い移動制限をかけています。
香港の民主化運動において大学は最後まで拠点として戦い続けましたから、それが本土に飛び火することを恐れているのでしょう。
といっても、このSNSの時代には、いくら封じ込めようとしても、情報はネット上でアメーバーのように拡散していくんですが。

「近く白紙革命の大鎮圧が開始されるという風に理解する人が多いです。
在中国米国大使館は28日の段階で、中国に暮らす米国民に対し、ゼロコロナ封鎖に備えて、14日間の医薬品、水、食糧の備蓄を呼び掛けていますが、しばらく中国では何がおこるか分からない緊張状態になると予測されます。
また、12月3日、4日に予定されていた国家公務員試験も、コロナを理由に無期限延長されることが28日に発表されました」
(福島前掲)

今後想定できるのは、白紙運動に対しての大量拘禁でしょう。
すでにそれは始まっているようです。

 

2022年12月 2日 (金)

デジタル共産主義の極点としての中国ゼロコロナ

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ウソだろう、信じられない。な、なんと日本がスペインに勝ってしまったァァァァ。(絶叫)
すいません、まだ論評の余裕ないです。しかしほんとうなのか、オレ夢見ているのか。夢なら醒めないでくれ。

 

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さてゼロコロナ政策とは、コロナ鎮静化のために経済と社会活動の一切を止めてしまうことです。
自由主義国家ではそんなことはできないので、特別に緊急事態法を作って一時的に国に権限を委譲する方法をとるしかありませんでした。
日本はそれすらできないで、あいまいな「お願い」で終始したのですが、それてもなんとかなってしまったのはウチの国だけでしょう。

しかしウルトラ国家主義の共産主義国家にとっては、日常的なデジタル共産主義体制にブーストをかけたていどのものにすぎませんでした。
いわば毎日やっていることを徹底的にやるだけのことです。

中国は社会スコア制度といって、国民に持ち点を与え、交通違反をしたら何点、デモに言ったら何点、逮捕されれば何点と、どんどんと減点をしていく制度となっていきます。
点がなくなれば公民である資格を剥奪されます。
また携帯やSNSは当局から24時間監視を受け、政府に批判的なことを発信すれば翌日、公安が迎えに来ます。
ジョージ・オーエルの『1984年』が現実化した、世界でもっとも完成されたディストピアです。

今回の白紙運動弾圧で、最初に手をつけたのは、民主化運動の「武器」となっている携帯の検閲強化でした。
香港の民主化運動は、デモの呼びかけや情報の伝達がすべて携帯を通じて行われました。
デモ会場に行くにも、カードで切符を買うと治安当局に追跡されるために全部支払いは現金だけで行う徹底ぶりでした。

「中国の白紙革命は広がり続けているが、中国共産党は抗議者に対して調査を開始し、外国メディア「ロイター」は、警察から電話があり、警察にメモを取るよう求められたと報じ、また、学生が抗議の現場に行ったかどうか尋ね、書面で陳述をするよう学校から懸念された。
抗議者は、誰もが必死にチャット記録を削除している。
上海では、警察が地下鉄の車両で乗客の携帯電話をチェックし、抗議の現場に行ったことがあるか、規制に反したソフトウェアを使用したかを確認された」
(台視新聞網11月30日)
路透社:中國開始調查白紙運動參加者 (ttv.com.tw) 

習近平のゼロコロナ政策が、このデジタル共産主義の中で行われたことに改めて注目してください。
ゼロコロナとは、コロナを一切容認しない政策です。
ありえませんね。コロナウィルスは弱毒化しながら、人間社会のどこかに潜んでいるだけであって、消滅しないのです。
だからヒトがワクチンを打って、抗体を体内に作っていくしか方法はないわけです。
このように社会が一定のコロナの発生を容認し、社会活動を復活させていこうというのが、コロナ対策の自由主義国バージョンであるウィズコロナ政策でした。
日本もこれに移行しつつありますし、主要国はかなり前からすべてこれに切り替わっています。

その中で、唯一強硬なゼロコロナ戦略をとっていたのが中国です。
いわばコロナ対策の独裁国家型バージョンです。
中国は、当初ロックダウン(都市封鎖)一本でコロナを乗り切ったと豪語した国です。
感染確認された地域を物流も含め完全に封鎖し、その上で絨毯爆撃のように市民の老いも若きも全員にPCR検査を行い、感染者の洗い出しをします。
国民全員にPCR検査を義務づけ、あぶり出された感染者を完全に隔離し、接触を断ち、移動できなくして感染者がいないことが確認された時点で封鎖解除する、というものです。
似たようなことを国に要求していたのが、菅政権下のメディアと野党でしたが、今は忘れたふりをしているようです。

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大きな誤解があるようですが、都市封鎖をやったからといって、コロナウィルスがこの世から消滅するかといえば、んなことはありません。
都市封鎖をしたところで一時的には感染を抑えこんだように見えても、ウィルスは必ず社会のどこかに潜伏し、時間を置いて条件さえ整えば復活します。
仮に国内がゼロコロナになったとしても(ありえませんが)、世界全体を見れば各地に感染が燃え盛っている現状ですから、鎖国でもしない限り、必ず流入します。
そのとき国民に抗体がなければ、再び感染が燃え盛ることになるわけです。
だから抗体を作り出すワクチン接種が最優先なのです。

ところが中国の作ったワクランはただの水のようなものでした。
中国は世界にチャイナの御威光を示すためにシノバックなどを大量に配布したのですが(有料ですが)、基礎的データーがないうえに情けないくらい効かないことが分かってしまいました。

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中国製の新型コロナウイルスワクチン:低有効性とデータの欠落に加えて

「チリだけではない。モンゴルでも全人口の58.7%が1回以上、さらに52.1%が接種を全て終えたが、人口335万人の国で1日2000人以上の感染者が出ている。人口100万人当たりの感染者数を計算すると世界第2位となる数だ。モンゴルでも中国製ワクチンを使用している。
米国のニューヨーク・タイムズ紙は「中国製ワクチンに依存してきたモンゴル、チリ、セイシェル、バーレーンなど90以上の国ではワクチン接種率が最高で70%に達しているが、今もコロナ感染者数は急増している」と報じた。接種率が高い英国でも感染者は多いが、接種を受けていない若い人が中心という点でこれらの国々とは事情が異なる。
つい先日にはインドネシアでシノバックのワクチン接種を受けた医療関係者350人以上が一気に感染したことも確認された」
(朝鮮日報2021年6月26日)

また、この都市封鎖によってゼロコロナを一時的に達成できますが、感染力が高い変異株へ変異することは止められません。
この一時的に達成したかに見えたのが、2020年野3月の習近平が武漢訪問をした時期です。
このとき、習はコロナ勝利宣言を発し、共産党はいかに強力にコロナを押さえ込んだかと、世界に喧伝しました。
さぞかし習は得意の絶頂を味わったことでしょう。

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BBC


「習氏は訪問中、湖北省での感染について、「基本的に抑え込んだ」と宣言。「初期の取り組みの成功によって状況は安定し、湖北省と武漢市おける潮目は変わった」と述べた。
国営メディアは、今回の訪問が「中国は大流行の暗い時期から出していると、国全体と世界に向けて強いシグナル」を送ったとする、アナリストの話を伝えた」
(BBC2020年3月11日)

中国・習主席、新型ウイルス「抑え込み」を宣言 武漢を初視察 - BBCニュース

あくまでも都市封鎖が有効に見えるのは、ワクチンがなく、治療薬がない、という初期の絶望的状況においてだけなのです。
ところが、今はワクチンが多い人で5回接種を受け、すでに国産の有効な治療薬ができるところまでたどり着いています。
ですから、中国のように再び都市封鎖などにすがる必要はまったくありません。
こんなことをしたら、経済のダメージと国民への打撃は計り知れないものとなるからです。

ところが、中国は制圧したどころか、再度の感染爆発が始まってしまいました。 
習近平の制圧一番乗り宣言はただのフカシだったことがバレてしまいました。
メンツ丸つぶれです。

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2022年 上海市の感染者数(感染者+無症状感染者)の推移
上海では操業再開の動きも3区分の動態管理が足かせに(中国) | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロ (jetro.go.jp)

「米国などの国々と比べれば新規感染者数は極めて少ない。ただ「感染者ゼロ」を目指す中国の戦略の下では厳しい対策が求められており、住宅街のロックダウンや公共イベントの中止などにも踏み切っている。エコノミストらは、感染拡大を早期に抑え込めなければ、こうした対策が中国の経済成長に深刻な影響を及ぼす可能性が大きいとみている。
北京市当局は先週、毎年恒例の北京国際映画祭を延期すると発表したほか、各種展示会を含む大型イベントの中止を決めた。8日には、コロナ流行地域から航空機や列車の市内乗り入れを一時停止した。
7月下旬にデルタ株が最初に見つかった南京市では、市民920万人が数週間の間に感染検査を受けた」
(ウォールストリートジャーナル2021年8月4日)
中国の厳しいコロナ対策、経済回復阻害のリスク - WSJ

「厳しい国境封鎖を敷く中国だが今月に入り30を超える第1級行政区(省・直轄市・自治区)の半数余りで感染力の強いデルタ変異株が確認され、対象を絞ったロックダウン(都市封鎖)や移動制限、集団検査など新たな一連の対策実施を余儀なくされた」
(ブルーミングバーグ2021年8月10日)

このようなコロナ対策の失敗が、習近平を焦らせ、狂気じみたコロナ撲滅に走ってしまったのです。
自身の3期めを狙う習近平にとって、よりにもよってその共産党大会が開かれる半年前に、そして場所もあろうに経済の心臓部の上海で感染爆発することなど到底ゆるしがたかったのでしょう。
ただしその代償は大きく、いまや反コロナ抵抗運動は、政府に対する民主化要求に姿を変えようとしています。

このような中で亡くなった江沢民は、国民から自由化のシンボルに思われているとか。
分からないものです。

 

 

 

 

2022年12月 1日 (木)

台湾民進党が敗北

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残念ですが、台湾統一地方選挙で民進党が敗北し、蔡英文総統は党の代表を辞任しました。
ただし国の総統職は、次の党代表が決定するまでは留任となりますし、これで民進党政権が交代するわけではありません。
中国はさぞかし嬉しかっただろうとお察ししますが、まったく同じ日の11月26日に南京で白紙運動が始まっているので、喜んでいる暇はなかったかもしれません。
まったく世の中はよくできています。

今回の台湾地方選は当初から民進党が不利だとされていましたが、予想以上の惨敗でした。
民進党は地方選に弱いらしく、2018年も国民党系高雄市長だった韓国瑜(ハン・グオユー・かんこくゆ )ブームにやられて世紀の惨敗でしたが、それよりもっと惨敗でした。
【台湾地方選】「韓流ブーム」起こした国民党、高雄市長に当選、韓国瑜氏(61) - 産経ニュース (sankei.com)

韓は人気取りがうまいポピュリスト政治家でしたが、習近平が台湾に一国二制度を強要し、さらに香港で激化した反逃亡犯条例改正デモによって、台湾人の中国政府への警戒感が強まると、その人気は雲散霧消し、蔡英文が総統選で勝利しました。
その意味で、前回総統選で蔡英文を勝たせたのは、皮肉にも習近平とも言えるのです。

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香港で大々的な抗議デモ、80万人と主催者 - BBCニュース

さて、11月26日に選挙があった21県市中、与党民進党がとったのは5県市にすぎず、国民党は13県市、民衆党・無所属は3県市でした。

これは民進党建党36年以来で最低の結果です。

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台湾与党が統一地方選大敗、「中国に抵抗」の訴え浸透せず…蔡英文総統は党主席辞任へ : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

●2022年台湾統一地方選挙結果
・民進党獲得県市・・・台南市、高雄市、嘉義県、屏東県、澎湖県
・国民党獲得県市・・・台北市、新北市、桃園市、台中市、基隆市、新竹県、彰化県、南投県、雲林県、宜蘭県、花蓮県、台東県、連江県
・無所属         ・・・苗栗県、金門県、新竹市(民衆党)

国民党は、8年ぶりに念願の首都台北市長の座を奪還しました。
台北市は長年国民党の牙城で、象徴的な意味もあったのですが、人もあろうに新市長の蒋万安は蒋介石の曾孫だそうです。

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蒋万安参选台北市长选举:“蒋家后代”政治包袱或资产成为焦点 - BBC News 中文

ちなみにこの蒋介石の孫はサラブレッドのうえにイケメン、おまけに米国留学組で元弁護士ときていますから、かつての馬英九の再来のようだと言われているそうで、この国民党のプリンスは次回の総統選に担がれるかもしれません。


「1978年生まれの元チャン・ワンアンは、元クオミンタン副議長と元台湾外務大臣で大統領府のユアン・シャオヤン事務総長である。 2005年に姓を改名したユアン・シャオヤン家は、台湾の権威主義時代の指導者、チェン・カイシェックのひ孫である「第4世代」として、多くの支持者が「第4世代」と名付けた。 したがって、ユアン・ワンアンの政治以来の各ステップは、「海峡の両側の3つの場所」から大きな注目を集めています。
しかし、ユアン・ワンアンのバオ・ユアンや資産は、台湾で議論の的となっている。 2015年、ユアン・ワンアンはBBC中国語に、家族は彼にとって重荷でもオーラでもないが、血統であり、それ以外に特別な意味はないと語った」
(BBC中国版2022年6月1日)
蒋万安参选台北市长选举:“蒋家后代”政治包袱或资产成为焦点 - BBC News 中文


顔と血筋がモノを言うのは台湾も同じことで、蒋介石の孫とは、なんか時代を大きく巻き戻しているようです。
巻き戻すといえば、桃園市長に国民党の張善政が当選しましたが、彼は馬英九政権時代の行政院長(首相)で、総統選のときの副総統候補になったことがある人物です。
国民党はお祭りだそうです。だろうね。

では民進党の統一地方選の敗因についてですが、福島香織氏はこう分析しています。
今回は福島氏の見るところでは、いつもの共産党の選挙介入はなかったようです。
アチラも党大会で習近平が党内クーデターを仕掛けて共青団一掃を狙っていた時期でもあり、かつ全国各地で国民のゼロコロナに対する抵抗運動が激しさを増していたからです。

敗因は4つです。
まず、選挙運動自体の失敗が上げられます。

「9民進党の選挙戦の責任者である林錫耀秘書長は選挙戦のために組織したネット宣伝チーム「側翼網軍」に問題があったことを認めて謝罪しています。彼らは、他候補を皮肉ったりあざけったりして、非常に下品な民進党らしくない攻撃的な言動を行い、これが陳時中の評判を悪くしたといわれてます。
そもそも、「側翼網軍」は民進党員でないことが問題とも。彼らのやり方を注意して修正できなかった林錫耀秘書長と副秘書長の林鶴明が、今回の惨敗の戦犯としてやり玉に挙げられています」
(福島福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.668 2022年11月26日)

民進党は、SNSの使い方に失敗しました。
側翼網軍(サイドネットアーミー)とは、民進党系のサイバーネット集団のことですが、党員以外のボランティアが運営していたようです。
数が多いため「軍」と呼ばれていましたが、よくいえば闊達、悪く言えば下品で攻撃的だったようです。

第2に、民進党内の軋轢がひどかったことです。

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蔡英文氏の与党、主要6市で相次ぎ敗北 台湾地方選: 日本経済新聞 (nikkei.com)

「蔡英文派の強引さが軋轢生んだ、党内が団結して選挙運動に邁進できなかったという見方もあります。蔡英文派の洪耀福、洪耀南兄弟が、かなり強引に候補選びのルールを主導しました。今回の県市首長選挙の候補は、屏東県を除くすべての候補が、蔡英文が予備選もせずに、自ら選んだ蔡英文欽定候補と揶揄されるような選び方で内心不満を抱えていた党員もいたようです」
(福島前掲)

元来、民進党は候補選びを大変に慎重にする党でした。
本選前に予備選を繰り返し、候補者同士の白熱のディベートを勝ち抜いて始めて民進党の候補となれたのです。
ですから、強い候補しか残らず、これが民進党の強靱さの原動力となっていました。
今回は蔡英文が、自らのお気に入り候補を押し込むというルール違反をしてしまったようです。
やはり共産党に抗して民主主義を守ってきた蔡英文にして、なおこの6年の総統の地位はこういう弊害ももたらしたのです。

今回、蔡英文が党主席を引責辞任を発表したのは、その責任をとったわけです。
今後、党内部で蔡英文派は厳しい状況に置かれ、反蔡派のリーダーである頼清徳副総理が、次の24年の総統選の最有力候補に躍り出ることになるでしょう。

この頼清徳は次代の台湾を担う資格を持った政治家ですが、蔡英文との関係がよくないのは公然の秘密だそうです。

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台湾の新行政院長に頼清徳氏 人気が高く親日家(17/09/06) - YouTube

頼は訪日した際に、こうインタビューに答えています。

「頼氏は自身の対中政策について、「国家の安全を守る態勢を増強したい」と述べ、対中国の「反浸透法」や「反併呑(へいどん)法」の立法を推進していく考えを明らかにした。
頼氏は行政院長に在任中、立法院(国会)で「私は台湾独立を主張する政治家だ」と答弁したことがあり、その主張が中国の武力行使を招くと警戒する声もある。これに対し、頼氏は「私が言う台湾独立とは、中国による浸透と併呑を阻止することだ」とし、総統選で当選しても「台湾の独立を(新たに)宣言することはない」と説明した」
中国との「平和協定」は災難 台湾・頼清徳前行政院長インタビュー(1/2ページ) - 産経ニュース (sankei.com)

この頼清徳の対中姿勢はしっかりとしており、蔡英文に代わったとしても安心して見ていられそうです。
ちなみにうそ偽りのない親日派で、東日本大震災の後に、観光客が激減していることを知ると、「うわさを打ち消すには、行動で示すのが一番いい」と応じ、震災発生からわずか3ヶ月後に「行こう日光」と大書きされたTシャツを着て、300人を超える市民旅行団と共に日光を訪問したことがあります。
また日本統治時代、台湾の水利事業に大きな足跡を残した八田與一の慰霊式典を毎年行っているとのことです。

頼清徳 - Wikipedia

第3に、蔡英文の内政軽視への有権者の不満があったようです。

「蔡英文のプラス評価の部分は、実は蔡英文の実力と言うより、時代の空気、特に国際社会の空気の影響が大きい。蔡英文は2016年に総統になった直後、一時期支持率が低迷します。それは、民進党支持者の期待に応えるような政策がすすめられなかったからです。それで2018年の統一地方選挙に惨敗し、党首も辞任するのですが、それが急に浮上するのは、2019年に習近平の香港弾圧があったからです。ここで蔡英文は「抗中」(中国への抵抗)の姿勢を強く打ち出すことで、民進党の本来の支持を取り戻します。
蔡英文はこれまで民進党の総統としては中国とうまくやろうと気を使いすぎるところがあり、それが民進党の本来の支持層の不信感をまねいていた。ですが、習近平という一種の狂人が登場して、蔡英文の抗中が定まり、支持率を取り戻した」
(福島前掲)

つまり、習近平という一種の「狂人」が海峡の向こうから虎視眈々と台湾を狙っていることがあまりにもハッキリしているからこそ、蔡英文人気が安定していたわけです。
この対中姿勢は、今回のコロナ対策でも踏襲され、中国人の台湾入国をいち早く禁止し、世界でもっとも厳しいコロナ対策をとりました。
こういうコロナ政策は、国民党政権では逆立ちしても無理で、おそらく親中派の彼らならズルズルな国境管理をしてコロナを蔓延させたことでしょう。

「台湾政府は、2019年末に中国の武漢市で原因不明の肺炎が発生したとの情報を受け、中国へ情報提供依頼をかけるとともに12月31日には武漢からの入境者に対する検疫を開始しました。翌2020年1月には台湾から専門家を武漢に派遣し調査を行うとともに、1月22日には武漢の所在する中国湖北省への団体旅行と湖北省からの台湾への入境を禁止し、2月6日には全中国からの台湾への入境を禁止しています。その後、3月19日には居留証所持者以外のすべての外国人の入境が禁止されました。これらはおそらく世界で一番早い対応であったと思われます」
台湾におけるCOVID-19対策の勝因と半導体がけん引する経済成長 | PwC Japanグループ 

さらに言えば、米国の半導体の対中制裁も重なり、世界で半導体不足がおき半導体価格が爆上がりし、世界シェア6割以上を占める台湾の半導体の利益がウナギ登りで、コロナにもかかわらず台湾のGDP成長率は3.11%にむしろ伸びています。
2020年当初は、コロナの影響が懸念され、先行きを不安視する声も多く聞かれました。

しかし最終的には、台湾の2020年名目GDPは6,693億米ドルで、実質経済成長率も3.11%が見込まれ、中国の年間経済成長率を約30年ぶりに上回ることが確実となりました。
また、台湾政府は2021年の実質経済成長率の予測も2020年を超える4.64%と高水準と予想しています。

これは徹底したコロナ対策によって、日常生活への影響が最低限に抑えられ、工場生産への打撃も限定的だったためです。
加えて、米中貿易摩擦で中国からの生産シフトが進みつつあった中で、台湾は世界の工場の中でも2020年を通してほぼ平常どおりの操業が可能で、世界のサプライチェーンとしての信頼を勝ち得たことが大きかったようです。

と、ここまではいいのですが、その反面でインフレ対策や若年層の失業率問題、コロナ禍で倒産している中小零細小売、飲食店への救済が不十分だったことを不評だったようです。
国民からすれば、強いコロナ政策があっても景気がいいのは半導体分野と大企業だけ、おれらは辛いぜ、ということのようで、この辺はうちの国にも共通します。
ただわが国は予備費を10兆円積み上げて配りまくりましたが、台湾ではそうでもなかったようです。
かくして有権者は、外交・防衛はすばらしいが、そのよさを帳消しにしたのが内政の軽視だったということのようです。

とまれ、地方選と国政選挙は別物で、2018年の選挙で民進党は惨敗したけれど、2020年に蔡英文は総統選で圧勝しました。
今回の敗北をうまく総括して、24年の総統選挙に頼清徳で党内をまとめきって、捲土重来を図ってほしいものです。

江沢民が亡くなりました。享年96歳でした。
江は、市場経済化を進める一方で、国家や党の求心力を「愛国主義教育」という名の反日教育に求めました。
抗日戦争に関する施設を多数建設し、中国世論の対日感情を悪化させのはこの人物です。
もって瞑すべし。合掌。

 

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