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« 米CSISの厳しい台湾有事シミュレーション | トップページ | 中国気球余話 »

2023年2月 7日 (火)

CSISレポートに対する韓国の反応

S-115

昨日からの続きです。

米CSIS(戦略国際問題研究所)は、去る1月9日に中国による台湾侵攻シミュレーションを公表しました。
The First Battle of the Next War
大雑把には昨日記事にしたとおり、中国は台湾だけを標的にするのではなく、米軍の策源地であるグアム、在日米軍基地、在韓米軍基地までも先制攻撃するという衝撃的内容でした。
日本の軍事専門家は無意識に台湾海峡に焦点を当ててしまいがちですが、CSISは戦域を大きくとって第1列島線内側とグアムにまで拡大して観察しています。

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日経

結果は昨日みたとおり、米国の辛勝といったところで、台湾は防衛され、中国軍は大損害を受けて撃退されますが、日米共に大きな損害を蒙ります。
ちなみにCSISは日本は先制攻撃によって戦力をほとんど消滅させられ、台湾防衛戦には加わらないとしています。
実にシビアですが、今のように空自の基地はシェルターもなく丸裸、ミサイルディフェンスは混迷、継戦能力もなく、サイバー攻撃の対応すらできていない現況では、そう言われても致し方方ありますまい。
悔しかったら、リアルな戦争を戦える自衛隊にするしかありません。
ただしCSISのシミュレーションにおいて最悪シナリオは日米両空軍が地上で撃滅されてしまい、自衛隊が戦闘に参加しないことですが、逆に最良シナリオは日本が米国とともに戦争に全面的に介入すれば、戦況は劇的に好転します。

さて、このCSISの台湾シミュレーションを見て驚いたのが韓国です。
このシミュレーションでは早々に米韓側の優勢を担保してきた空軍力が、地上で壊滅してしまうとされているからです。
在韓米空軍と韓国空軍は、共に戦争冒頭のミサイルによる先制攻撃によって地上で9割の戦闘機を失います。
日本はまだしも、早期警戒監視システムを持ち、イージス艦や空自のPACで一定数を迎撃できますが、韓国はいずれも米軍頼みでした。
しかも、CSISはこの中国の台湾侵攻と北朝鮮が連動して動くことを想定しています。

北は中国の韓国へのミサイル攻撃を分担して受け持ち、韓国の空軍基地に対する大量のミサイル攻撃とロケット砲攻撃を仕掛けます。
これにより、韓国が北に対して持っていた最大のアドバンテージである空軍力が完全に消滅します。

CSISのレポートを読んで、これに気がついたのが、朝鮮日報の楊相勲(ヤン・サンフン)主筆でした。
[楊相勲コラム]我が国の戦闘機の50%が消滅した後に戦争が始まるだろう
(朝鮮日報1月19日)

実は韓国はムン政権6年にも及んだ対北融和政策によって、北朝鮮は友愛の兄弟だ、真の敵は日本だ、というスットコドッコイのぬるま湯に首まで浸っていました。
韓国軍も骨の髄まで弛緩しきってしまい、米軍がいるからいいや、なんとかしてくれるべぇ、という他力本願の空気が支配していたようです。
鈴置高史氏によれば、台湾有事ですら、「韓国の半導体の競争相手の台湾が沈めばヤッタね」と思っていたそうで、台湾防衛など念頭をよぎりもしなかったようです。
鈴置高史(2023年2月1日)
台湾有事が引き起こす第2次朝鮮戦争 米日の助けなしで韓国軍は国を守れるのか | デイリー新潮 (dailyshincho.jp)

ヤン主筆も中国が台湾に侵攻した場合、韓国は中立を守る、との前提で記事を書いていますし、CSISも同様に韓国を同盟国として考えてはいません。
その代わり、北から攻撃を受けても米国は知らん、自力でなんとかしろ、というスタンスです。
平時ならまだしも、台湾有事のような鉄火場では韓国など二の次三の次扱いされます。
もはや韓国にかつてのような守るべき価値はないのですが、気がついていないのは当の韓国だけのようです。
日本も同様に、安倍氏が提唱した「台湾有事は日本の有事」という認識はかなり浸透してきましたが、韓国有事は日本有事ではないのです。
ましてや自国が攻撃されている状況では、韓国などまったく誰も気にしてくれないでしょうね。
さて、この米軍頼みはかつての第1次朝鮮戦争において、米海軍の空母艦載機の近接支援と、日本から飛来する戦略爆撃機によって北の侵攻をくい止めたという成功イメージがあるからです。
米国の空軍力がなければ、当時の韓国政府は釜山から玄界灘に追い落とされていたはずです。
ところが、ミサイルの発達によってこの米軍の空軍力を頼みとする戦略の根幹が揺らぎました。
CSISのウォーゲームでは、第7艦隊の2隻の空母は戦争初期に撃沈されるとしているとしています。
私はこの判定には大いに異議があるのですが、最悪シナリオとして考えておかねばなりません。
米軍はこの東アジア地域の空軍力壊滅に対して、他の地域全体から来援を呼ぶことでしょう。
このシナリオは既に米軍には存在するはずで、太平洋軍のみならず招集をかけます。
この場合の来援機が到着する前進配備基地が、嘉手納であり、普天間です。
1996年7月、在日米軍作戦部は嘉手納統合案の研究に絡めて、普天間の固定翼機を含めた基地機能の移設を目標に据えた技術評価を実施しています。  
その結果、このような規模の収容能力が必要だという結論が出て、日本側に通知されています。  


・普天間・・・平時71機    有事最大230機
・嘉手納・・・平時113機    有事最大390機
・嘉手納+普天間の有事の機数    計      ・620機
※機数はあくまで目安で、増減はありえます。 

その他、横田で嘉手納と同数、岩国と厚木着で普天間と各々同数を受け入れるかもしれません。
ちなみに、返野古は狭すぎてものの役に立ちません。
有事における来援機のスペースが考慮されていないのです。

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INF条約の陰で進んだ中国ミサイル開発の全容:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

米露INF条約(中距離核戦力制限条約)によって米国は中距離弾道ミサイルを放棄してしまいました。
漁夫の利を得たのは中国で、その間に大量の中距離弾道ミサイルを作り上げます。

「特にアジアにおいては中国の経済発展と軍事力増強、1990年代以降のミサイル開発の加速、さらには北朝鮮の核開発とミサイル開発に伴い、軍事的バランスが大きく変化している。
中国は現在、70基の大陸間弾道ミサイル(ICBM)のほか、INF条約で廃棄対象となった中距離弾道ミサイル(IRBM、射程3000-5500km)16基、核弾頭搭載可能な準中距離弾道ミサイル(MRBM、射程1000-3000㎞)80基、GLCM(射程1500㎞以上)54基に加え約280個の核弾頭を保有していると見積もられている。
このうちMRBMは日本全域を射程に収めており、IRBMはグアムのほか東南アジア全域とロシア東部全域を攻撃できる。中国のINFはアジアにおけるアメリカの同盟国を射程に収めているだけでなく、沖縄やグアムの主要な米軍施設を攻撃できる能力を備えているのである。北朝鮮もまたICBM6基、IRBM12基、MRBM10基と見積もられている」
(北村順2019年2月28日)
INF条約の陰で進んだ中国ミサイル開発の全容:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

 
このおそろしいまでのミサイルギャップに気がついたトランプは、2019に離脱します。

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Michito Tsuruoka / 鶴岡路人

米国は当初新たな中距離弾道ミサイルLRHWを第1列島線に配備しようとしましたが、見送りとなったままです。
理由はうちの国のトマホーク調達があるからといいますが、うちの国のトマホークなんて、ただぶちあげただけで、いつになるか見当もつかないのですがね。

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読売

「米軍は中国に対抗する中距離ミサイルの開発を急いでおり、米陸軍が極超音速兵器「LRHW」(射程2700キロ・メートル超)を早ければ2023年中に実戦配備する計画だ。米インド太平洋軍には第1列島線上への配備計画があり、日本も有力候補と目されてきた。
在日米軍への配備を見送るのは、日本政府が昨年12月に閣議決定した「国家安全保障戦略」で反撃能力の保有が盛り込まれ、日本が長射程の巡航ミサイルなどを導入するためだ。反撃能力について議論した今月13日の日米首脳会談や11日の日米安全保障協議委員会(2プラス2)でも中距離ミサイルは議題に上らなかった。見送りの意向は日本政府に非公式で伝えている」
(読売2023年1月23日)
日本への中距離ミサイル配備、米が見送りへ…「反撃能力」導入で不要と判断 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

う~ん、この中距離弾道ミサイルギャップは深刻です。
早急に手を打たないと、中国への抑止は成り立たないと思うんですが、日本への配備は見送りだそうで、いいんでしょうか。
またキナ臭くなると、在韓米軍は日本か、あるいは別地域へと戦闘機を移動させるでしょう。
韓国基地で地上で撃破されるより、日本への移動を選ぶということです。
「楊相勲主筆も台湾有事の際に、在韓米軍が手薄になることを懸念しています。このウォー・ゲームの以下のくだりを「米軍は韓国内の戦闘機の半数を他の地域に動かして運用するのが最善としている」と要約して引用しました。
いかなる形であれ、半島に緊張が走った瞬間、在韓米空軍は戦闘機などほぼすべての航空機をいったん日本に移すと見られています。
2017年に米朝間で戦争の危機が高まった際にも、在韓米軍に所属する多数の戦闘機が日本に飛来したことが確認されています。当時、米軍は韓国に住む米国籍の非戦闘員の日本への避難訓練を実施しましたが、退避が必要なのは市民だけではありません」
(鈴置前掲)
これを見て、韓国軍もまた日本へ退避したい、と日本に要請するかもしれません。
結果は分かりきっていますが、日本には在韓米軍機を収容するだけでイッパイイッパイですし、そこまでしてやる義理がないので、とうぜん拒否します。
日米には地位協定によって米軍機を引き受ける義務がありますが、韓国にはなにひとつ相互の軍の地位を定めた法律がない以上、いかなる形であれ、受け入れ義務は存在しません。
日韓で唯一あった軍事上の協定はGSOMIAでしたが、確かおたくは廃棄したいんでしたっけね。
もう少し燐国と友好的であれば、物品役務相互提供協定(ACSA)くらいできたものを。

鈴置氏も、すでに日本は韓国を捨て、台湾をパートナーとして選んでいるのだ、と突き放しています。

受け入れません。まず、それを可能にする法的な取り決めがありません。それに、台湾救援で手一杯な時に「第2次朝鮮戦争」への巻き込まれは迷惑至極です。
そもそも国民感情が許さないでしょう。日本の足を引っ張り続けてきた韓国から、都合のいい時だけ助けてくれと言われるのです。普通の人なら怒りだすはずです。韓国空軍機を受け入れれば、日本が北朝鮮の攻撃の的になるのです。
すでに、日本は中国に立ち向かうためのパートナーとして、韓国ではなく台湾を選びました。台湾の半導体メーカー、TSMCは熊本県に工場を建設中です。日本政府が積極的に誘致した結果で、この工場を中核に高性能のロジックの生態系を作るのが目的です。誘致のため、5000億円近い補助金も出します。
韓国のサムスン電子のロジック部門も、TSMCに次ぐ世界2位の技術水準を誇ります。でも、サムスン電子を誘致しようとの声はまったく起きなかった。韓国という国が中国側に付く可能性が台湾と比べ、はるかに高いからです。
実際、ここに至っても米国が画策する対中半導体封鎖網にも韓国は参加を渋っています」
(鈴置前掲)

自称「徴用工」問題においてもそうですが、球は日本側に渡っているから譲歩しろという者がいますが、逆です。
有事を考えた場合、我が国が頭を下げねばならない点はなにもありませんが、逆に今回のCSISのシミュレーションでも改めて明らかになったように、朝鮮半島有事ですがってくるのは韓国の側なのです。 

 

 

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コメント

今回のCSISのレポートを見て台湾が一気に陥落する可能性は低いとわかって安心しましだが一番気になるのはレポートを見て習近平や人民解放軍幹部がどう思うかです。

中国海軍が壊滅することに恐れをなしてくれたら良いのですが、むしろ彼らが「アメリカも空母が沈没するほどの大打撃を受けるなら積極的に台湾に関与しないだろう」などと考え始めたら最悪ですね。

私は左翼のように過去の戦争と現代を安直に結びつけて"反戦平和"の材料にするわけではありませんが、真珠湾攻撃の時の日本もシミュレーションで負けることが分かっていながら「太平洋艦隊を壊滅させれば早期講和に乗り出す」とか「どうせ戦争するなら戦力差が小さい今こそするべき」と考えたようなことを習近平や軍幹部が思っていなければ良いのですが。

衝撃的なレポートでした。
台湾有事の際は横田基地周辺も焼け野原になるなー、駐屯地もあるし、その時は諦めます。
ここまでの想定がされていると思いもよりませんでした。
日本中の米軍や自衛隊が対象では日本は火だるまです。

鈴置さんの日本は韓国を切り台湾をパートナーに選んだ、確かにそうなんですよね。
一連の反日運動でも嫌気がさしてますし、慰安婦問題からも何も信用できない国です。

貿易額をみても、2021年には台湾への輸出額が増え韓国を抜いています。
台湾への投資も増加中ですし、今後も増える見込みです。

韓国が攻撃された場合、在韓日本人の避難は諦めてもらうしかないですね、日韓関係が改善されても今までの悪行を見る限り、自衛隊機や船の受け入れを拒む可能性も高い。
そのくせ政治家共は日本へ避難させてくれと泣きつく姿が想像できます。
同盟を結んでいなくて良かった。

自民党議員の中にも韓国に譲歩すべしみたいなことをいう人がいますが、どれほど韓国が好きなんだよ。
譲歩してきた結果が今の関係、譲歩して損するのは日本ですが総理の考えは‥ヤバそう。

 中国の狙いは単に台湾奪取だけではなくて、その先にあるアジア全体の地域覇権を米国から奪い取る事。
それは細かく言えば、地域公海上の航行の自由は米国によって保たれてて、それを打ち破り奪取したい中国の野望によって「台湾回帰」がまずある、って事です。
だから「台湾有事は日本の有事」なのであって、これまでの韓国のような「中国の主権問題に立ち入らない」などと言うスタンスでは成り立たないし、特に在寅の「対北融和政策」なんぞ愚の骨頂です。

しかし、尹政権においても、そのような重大なアジア全体の推定損失を韓国が未だ理解しているとは思えません。ただその事によって、対北朝鮮状況の悪化と脅威の拡大を一国主義的に憂慮している事にとどまっているように思います。
玉ねぎ男が有罪になり、文在明も逃げ道をふさがれ、民主労組の公然たる闇が暴かれつつ「反日」の構造がどのようなものであったかは明らかになるでしょう。
けれど、国の命運を賭して一緒に戦える相手とはならないし、同盟国である米国も同じで、この状態で「韓国第一」なんえ考えはないでしょう。
韓国が「反日」であるのは別に考慮しても、やはり信用に足る相手ではない事に変わりないですね。

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