なにが「一級の行政文書」だ
ああ、うるさい、まるで高市大臣の首をとったかのような煩さです。
なんでも行政文書に書いてあったからホントだ、捏造だからホントだったら議員辞める、と言ったんだから高市は辞職しろということのようです。
日刊ゲンダイは大喜びで、高市はひとりボッチだ、もうすぐ議員辞職に追い込めるゾ、とこう書いています。
「放送法の政治的公平性をめぐり、解釈変更に至ったプロセスが記された総務省の内部文書が表沙汰になって1週間あまり。事態は動いているのに、高市早苗経済安保担当相は強情を張り続け、居場所を失いつつある。
問題のペーパーを行政文書と認めた総務省は10日、調査状況を発表。発言記録があった総務省関係者など十数人に聞き取りをしたところ、当時の礒崎陽輔首相補佐官から政治的公平性に関する問い合わせがあったと説明したが、高市大臣や安倍元首相に関連する資料は内容の精査を続けるとした。
一方の高市大臣は、資料の一部の正確性が確認できないことについて、当時の総務相として「責任を感じている。大変申し訳ない」と閣議後の会見で謝罪。しかし、参院本会議では自身の名前が記された4文書について「正しい情報ではない」「大臣も議員も辞職すべきとは考えていない」と強気な姿勢を崩さなかった」
(日刊ゲンダイ3月12日)
高市早苗氏に「更迭」浮上! 謝罪はしても辞職拒否、火ダルマ必至の岸田首相が決断も|ニフティニュース (nifty.com) 源太イ。
まさに、「森友に便宜を与えていたら辞職する」と言った故安部氏と同じですね。
高市さん、安部氏の時もそうでしたが、こんなことは安易に言わないこと。
売り言葉に買い言葉で議員の首をかけると不用意に言ってしまったから、小西氏やメディアが有頂天になったのですよ。
では、その行政文書ってナンなの?
「行政機関の保有する情報の公開に関する法律」というものが、定義しています。
まずはそこから当たったらいいのに、最初のボタンをキチンとかけないから服が歪んでいきます。
2 この法律において「行政文書」とは、行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有しているものをいう。ただし、次に掲げるものを除く。
行政機関の保有する情報の公開に関する法律 | e-Gov法令検索
要は、「当該行政機関の職員が組織的に用いるものとして、当該行政機関が保有している文書」にすぎません。
お役人が仕事の時に書いたメモ、報告書、取得した文書、図画などの総称です。
いうまでもないことですが、あくまでも「お役人が書いた」というだけのことで、正確さが担保されているわけでもなんでもありません。
ましてや今回の「小西文書」とやらは、仮にこれが正式な報告書なら必ず備えてなければならない、発出の日時、担当部局名、担当者、宛て先等の必須項目がすべて欠落していますから、「行政文書」といっても一番格が低い「行政メモ」の類です。
これが例の「西山文書」みたいな秘密議定書の類や決済文書、正式の議事録ならもう少しカッコウがついたんですがね。
こんな程度の「爆発物」で大臣の首狩りをするというのですから、小西氏に哀れすら感じます。
これが民間企業なら問題にすらならなかったでしょう。
というか、まともな民間会社だったらありえません。
親会社に説明に行った者が、そこの幹部の悪口を書いただけのメモを外部に漏らすんですからね。
ところがそれを仰々しく「行政文書であるゾ」と銘打って出してくれば、へへぇ、お上の言うことかと国民が思うと考えているようです。
小西氏は、日本人の官高民低意識につけ込んだのです。ああ、イヤダ。
「小西文書」には、平成27年(8年も前ですぜ)に磯崎補佐官に総務省流通行政局長と放送政策課長がレクチャー(大臣レク) したことがメモされています。
この中で、高市氏が登場するのはわずか4カ所です。
〇がついているのが高市氏の発言のようですが、「放送事業者の番組全体で見る」とはどういうことか、「政治的公平性の確保について、これを判断するのは誰?」という質問をしているようです。
たぶん正式な議事録では前後の文脈があり、質問ももっと長かったはずですが、たったこれだけです。
直接放送法についての高市氏の意見は記載されていません。
しかも正確さとはほど遠く、誰それが「こう言った」ということを仲間うちに伝える目的で政策したメモすぎません。
私は農水省との会議に出たことがありますが、官庁は事前に細かな資料を揃え、会議の発言も詳細に議事録で取っています。
これは所属セクションに持ち帰って、報告するための資料にするためです。
そしてこの1次報告書は一般公開はされません。
次回の会議の時に、セクションの責任者がチェックして、さらに参加者に回覧し確認してから正式な議事録となります。
今回の「小西文書」なるものは、単に誰それがこういうのを聞いたていどのことを書き記したペーパーていどで「行政メモ」です。
それも書いた者の主観が濃厚に入ったものです。
たとえばこの部分。
「礒崎補佐官は官邸内で影響力はない(長谷川補佐官は影響力あるとの言)。... 今回の話は変なヤクザに絡まれたって話ではないか」
おいおい、いくら直属ではないとはいえ、首相補佐官を「官邸内では影響力がない」という噂を書き、さらには磯崎氏を「ヤクザ」呼ばわりしたうえで、「絡まれた」とまで書いています。
ここまで品性に欠けることを正式な行政文書で書けるはずがなく(まちがいなく所属長が削除します)、行政メモであっても書いた者の「お仲間」に配ったような私的メモの類です。
仮にこのような特定の人物をヤクザ呼ばわりした文書を、そのまま官邸も読む文書にして配ったら、この書いた人物は左遷ていどでは済まないはずです。
こんなジャンク文書を使って、「小西文書」=「行政文書」=真実という短絡の三段論法で、高市氏の首を獲ろうとしています。
図々しくはありませんか。
もちろん文書には、開示義務があります。
正式な開示請求があれば同法第5条「行政文書の開示義務」に則って開示されることもあります。
今回、小西氏がどこの誰から手に入れたのか知りませんが(特定されています)、開示請求によらない文書の入手ですから、小西氏とそれを漏洩した官僚は違法性を問われねばなりません。
メモとはいえ、自分らで「行政文書は真実だ」と言っているのですから、相応の罰を受けてもらいましょう。
● 懲戒処分の指針について
(13) 公文書の不適正な取扱い
ア 公文書を偽造し、若しくは変造し、若しくは虚偽の公文書を作成し、又は公文書を毀棄した職員は、免職又は停職とする。
懲戒処分の指針について (jinji.go.jp)
立憲はこの漏洩を「公益通報」だとしており、小西氏は漏洩した官僚は「真の英雄だ」とまで言っています。
立憲・小西氏の資料、与党が配布認めず 質疑取りやめ午後に再協議へ [放送法めぐる内部文書問題]:朝日新聞デジタル (asahi.com)
このようなハンパなメモを「公益通報」とするかどうかは、後の判断にお任せしますが、普通の民間企業なら即刻アウトです。
なぜなら、前述したようにこの磯崎補佐官の会議に出席した参加者全員が閲覧して、内容に対して確認がとれて初めて共有化された行政文書である議事録となるからです。
このような主観的な私的メモに、特定の人物を貶めるようなことが記されており、それを決済を仰がずに野党に手渡して倒閣スキャンダルとして漏洩した場合、書いた者は企業から訴追されるかもしれません。
日本の官僚の中には、文科省次官まで行った前川喜平や経産省の反原発運動家の古賀茂明のようなものか大勢います。
彼らが自分のメモ書きを行政文書だ、これは公益通報だといって、野党に手渡したらどうでしょうか。
役人は自分の書いた私的メモ一本で、大臣の首を獲れて政権に打撃を与えられることになりはしませんか。
たまったもんじゃありません。
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私が最もおそろしく問題だと感じたのは、安倍政権時代=高市総務相時代に「放送法の解釈変更があった」と、ほとんどのテレビも新聞もこぞって間違った発信をあえてしている事です。
この件について問題となった当時の国会で高市総務相はちゃんと答弁し、従来からの政府見解を踏襲しただけであると答弁しています。
遅くとも昭和39年の宮川岸雄電波監理局長答弁で明らかであった「一番組でも極端に偏向が甚だしい場合」について、これが変更された政府見解こそが存在しておらない以上、高市とすれば従来の解釈を繰り返しただけに過ぎません。
こうした事実をマスコミが隠す事で、小西や総務省の暴露に公益性をもたせ、情報漏洩についての責任を取らなくて済むように按配している構図がうかがえます。
また、こうした状況下において、多くの保守派の方々(岸田政権すらもか?)が、高市が「ねつ造でなかったら、職を辞する」と言った事について批判的に捉えられていますが、私はそうは思えません。
おそらく高市氏の中では永田メール事件のさい、(すでに調べがついていたゆえ)小泉首相がとった「事実であれば職を辞する」とした答弁が念頭にあったものでしょう。
けれど、この問題の根幹はとてつもなく大きく、「このような騒ぎを起こした高市の大人げない答弁」などと言った図式は当たりません。
事は省庁=政府=マスコミの関係性の問題で、省庁分裂がもたらすマスコミ勢力の意図的な誤謬を放っておくほうが危険です。一政治家が進退をかけて臨むに必要な事件です。
やがて問題は「大臣レクそのものがあったか?」に現在は収斂していて、早晩ことはハッキリするでしょう。
仮にレクがあったとしても内容がアレですから、小西一派の窮地は変わりません。なかったとしたら、小西の進退こそ問われてしかるべきだし、関わった官僚の仕置きが必須な状況を作り出すには、「さわぎ」が大きくなればなるほど効果も上々です。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年3月13日 (月) 09時38分
騒ぐだけ騒いでただ時間だけが無為に過ぎていくんでしょうね
もう国内政治にはうんざりです
あくまで個人的な感情でまとめた管理人さんを揶揄するつもりはまったくないですが、この手のトピックに触れること自体が時間の無駄と感じてしまいます
そりゃあこんな話でも事態を正しく収拾しようとすれば実りある結果も得られるでしょうけど、そんな期待はもう全く持てない
投稿: しゃちく | 2023年3月13日 (月) 11時47分
まったく時間の無駄
アメリカ政治をよくみてみると
すぐ不祥事があれば特別検察官が任命されて
究明しますよね
(そもそも今回の総務省の騒動がなんの違法性があるのか
全く理解出ませんが)
日本もああいう制度ほしくないですか?
予算委員会では予算の話だけ議論してほしいです。
投稿: ずるずる | 2023年3月13日 (月) 14時36分
この問題が無駄だと思うのは小西文書が全くのデタラメであっても当の本人は絶対にその責任を負う事はしないし、立民のコア支持者が彼を今後とも当選させ続けるであろうというのがわかり切っている事です。
すでに同氏やその周辺は責任をもみ消す目的と思われる被害者しぐさを臭わせる情報発信を開始しており、最終的に彼らのコミュニティの中では「巨悪政府に切り込んだ勇者」として祭り上げる事でしょう。
放送法4条は電波利用料や軽減税率などの既得権も絡んでいるのでマスコミはこれを撤廃しようという流れになる事を全力で阻止してくるでしょうからこの問題が公平に扱われる可能性はほぼ無いと言うジレンマを抱えています。
おそらくこの騒動で4条撤廃の可能性は更に小さくなってしまったのではないかとすら思えます。
投稿: しゅりんちゅ | 2023年3月13日 (月) 17時08分
習近平が台湾統一だと言って全人代を終えて、緊張が高まる中、我が国はこんなことで揉めてる。
いつも大袈裟にふかす小西議員、落選しないんだよなー、千葉の人って立憲推しが多いんですかね。
投稿: 多摩っこ | 2023年3月13日 (月) 17時48分