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2023年3月29日 (水)

ロシア、ベラルーシを核の楯に

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 プーチンがまた危ないことをしてきました。
世界で唯一の同盟国であるベラルーシに核を配備するというのです。
この時期に危ないことをする男ですが、当人は米国もやってるじゃん、と居直っています。


「ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は25日、同盟関係にあるベラルーシに戦術核兵器を配備することで、ベラルーシ側と合意したことを明らかにした。
プーチン大統領はロシア国営テレビに対し、ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領がベラルーシ国内に戦術核兵器を配備するという問題を、以前から提起してきたと語った。
そして、アメリカが欧州に戦術核兵器を配備していることを引き合いに、今回の動きは核拡散防止条約には違反しないと述べた。
「(戦術核の配備は)ここでも何らめずらしいことではない」、「そもそも、何十年も前からそうしてきたのはアメリカだ。彼らは長い間、同盟国の領土に戦術核兵器を配備してきた」とプーチン氏は述べた。
ロシア政府が兵器の管理権をベラルーシ政府側に譲渡することはないとしている。
また、ロシアは7月1日までに、ベラルーシ国内で戦術核兵器の貯蔵施設の建設を完了させる方針だと付け加えた」
(BBC 3月26日)
プーチン氏、ベラルーシに戦術核兵器配備へ 核拡散防止条約違反ではないと - BBCニュース w o 

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BBC  核搭載可能な短距離弾道ミサイル「イスカンダル」

なにが「珍しいことではないだ」、大炎上しているウクライナの横でこんなマネをすれば、核のエスカレーションラダーをまた登ったと思われるに決まっているだろうって。
なるほど、プーチンが言うようにこのロシアの措置自体は、核拡散防止条約(NPT)に違反してはいません。
私たち日本人も知っている「核武装のもう一つの手段」であるニュークリアシェアリングと同じ仕組みですから合法です。
核の鍵はロシアが握り、配備する発射拠点だけがベラルーシになる「だけ」のことだからです。

一見、常識的に見えますが、とんでもない。
ベラルーシに移すことで、ロシアの核使用の垣根が低くなるのですよ。
単に両陣営の緊張が高まっている時期ということだけではなく、西側の報復は全部ベラルーシに向かいますから、ロシアは安全地帯。
ですから、「気軽に」核を撃てるようになります。

仮にプーチンが小型核を発射したとすれば、NATOと米国には選択肢はふたつしかありません。
ひとつは通常戦力で報復するか、さもなくば核には核で応えるかです。
それはロシアの核弾頭が落ちてくる場所によって異なります。
無人島だったり、森林地帯だった場合は前者、バルト諸国やスカンジナビア諸国、東欧諸国なら後者です。

ちなみに「報復をしない」という選択肢はありえません。
核攻撃に対して同盟国が核の業火に炙られている時に、なにもせずに座して傍観すれば、その瞬間、相互確証破壊の論理は崩壊します。
撃っても撃ち返さないのですから、ロシアが世界の盟主となってしまうわけです。
したがって報復しないということは、たんに自身の核の傘(拡大抑止)を自分で否定してしまうことにとどまらず、米国が覇権国家であることを止め、世界が混沌の淵に落ちることを意味します。

では、後者、すなわち西側が報復核攻撃を決意した場合、どこが目標となるでしょうか。
ロシアの戦術核は、リトアニアとポーランドとの間にある飛び地のカリーニングラード配備されています。

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藻谷浩介が歩く「ロシアの飛び地カリーニングラード」 | 藻谷浩介の世界「来た・見た・考えた」 | 藻谷浩介 | 

ロシアは長距離核はロシアの深部に配備し、小型核はあえて本土から切り離した飛び地のカリーニングラードに置くことで、報復攻撃が本土に及ばないようにしています。
つまりロシアは今回、これをベラルーシにも分散させてしまおうということになります。
これはいままでのロシアの動きには反しています。
1991年のソ連崩壊に伴い、それまでソ連という枠内にいて核を配備されていたロシア、ウクライナ、ベラルーシ、カザフスタンの核は、あの手この手で1996年にはロシア一国に回収されました。

ちなみにウクライナの核も、この時国外に持ち去られました。
独立頑固派は、核さえあればみすみすロシアに侵略されなかった、と悔しがっています。
気持ちは分かるのですが、当時のウクライナは内乱が絶えず、核の管理能力はなかったのですからいたしたかがありませんでした。

それはさておき、ロシアが核をベラルーシにも分散させたことで、ロシアは大きな恩恵を受けることになります。
米ハドソン研究所研究員の村野将氏は、このように述べています。

「もしロシアがウクライナ・西側に対して核の警告発射を試みたり、実際に限定的な核攻撃を加えることを考えた場合、それらをベラルーシから発射すれば、米国が反撃する矛先は策源地のベラルーシに向くことになるでしょう。すると、ロシアは本国やカリーニングラードへの核反撃を一旦回避できると考えているのかもしれません」
(村野将3月26日)
Yahoo!ニュース 公式コメンテーター村野将さんのコメント - Yahoo!ニュース

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プーチンの盟友・ルカシェンコ訪中の背後で何がうごめいているのか?(遠藤誉) - 個人 - Yahoo!ニュース

村野氏によれば、ベラルーシは米国政府には核戦略上、注目された国でした。
実は、ベラルーシは2016年にオバマ政権の現役政府高官が参加して行ったシミュレーションで、報復核攻撃の目標として選択されたことがあるのです。
このウォーゲームは、いまの国務長官であるブリンケンも参加している大規模なもので、ロシアが小型核を使用した場合を考えるものでした。
この場合は、ロシアが小型核をドイツに発射するという設定です。
この時に、米国が選んだ報復攻撃目標がベラルーシでした。

地図を見れば分かるように、ベラルーシは、ポーランドやリトアニアといったNATO加盟国とにらみ合う位置にあります。
ロシアから見れば前進配備拠点ですが、今回プーチンは核の運搬手段としてベラルーシ空軍機とイスカンダル短距離ミサイルを考えているとインタビューで答えています。
そしてすでに「われわれは既にベラルーシに(戦術核を搭載できる)イスカンデルを引き渡し、4月3日から訓練に入り、7月1日にベラルーシ領に戦術核専用の保管庫が完成する」と予告しました。

ロシアは、ルカチェンコみずから望んだと言っていますが、ほんとうだとすると愚かなことを。
これでベラルーシは、プーチンの狂気が進行した場合、ロシアの身代わりとなって、真っ先に攻撃を受ける国に志願したことになります。
だって、ベラルーシの核の発射ボタンはプーチンが持っているのですよ。
プーチンと側近しか撃てない。
協議もナニもない、モスクワで発射コード入れられたら、ベラルーシから核ミサイルが飛んでいくわけです。
そしてその報いは、ベラルーシに来るのですよ。
なんて言って騙されたのかはは知らないが、ルカチェンコ、あんた馬鹿だねぇ。
プーチンの核の楯にされたのを気がつかないなんて。

 

 

 

 

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[ウクライナ侵攻1年]ロ占領の全領土奪還誓う ゼレンスキー大統領 世界で追悼行事 |
ウクライナに平和と独立を

 

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コメント

気になるのはこの核配備が先日にロシアと中国による首脳共同声明で出された「他国に核兵器を配備すべきでない、撤退させるべきという文言」という文言と矛盾する内容になっているのですがいいんですかね。

ロシアはいいかもしれないが中国は苦々しく思っているはずです

うーん、ロシアとしてはベラルーシは属国以上の自国の一部扱いをしてるし、ルカシェンコ政権はより老舗ながら発言は時々ヨロヨロと揺れるけどプーチンの庇護下でしか存続出来ない独裁国家なので。。
なんだかヒトラーとムッソリーニの関係にそっくりじゃないですか!

で、現在は「核兵器」という冷戦時代のヤバイ均衡のラインが動くのか?という事態ですね。
チャレンジャーの劣化ウラン弾を「核兵器使用と見なす」とか無茶苦茶言っとりますがな。ロシア戦車には劣化ウラン弾芯が無いとでも?

マジでポーランド国境にブルーピーコックを埋設しようと変態紳士の国がアップしはじめるのではないかと。いや、鳥インフルのせいで保温装置が不足しているが···。

 >ロシアはいいかもしれないが中国は苦々しく思っているはずです

 所詮は目先の利害の一致「だけ」でつるんでいる「だけ」の両者なので、本心から互いを信用している訳ではありますまい。過去争ったりくっついたりの繰り返しの関係ですから。

 一応けりがついた「はず」の国境問題がこの件で蒸し返されたりして。

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