総務省にも「前川喜平」がいたようだ
総務省「小西文書」を読むと、高市氏の部分はきわめて少なく、文書に内容がないことがわかりました。
なんせたった4カ所で、発言内容も「電話をした」ていどのことですからね。
本来は高市=言論弾圧でやりたかったのでしょうが、毎日の願いも虚しく「小西文書」には高市氏は4カ所しか登場せずにスカ。
しかたがないので、高市氏の言葉尻だけを捉えて、小西氏は「レクがあったかないか」という方向に、追及を逸らしていってしまいました。
こういう「追及」も、連日なされると、高市氏がなにか隠している悪人に見えてきます。
おいおい、です。
大臣レクがあろうとなかろうと、どっちだっていいじゃん、そんなこと。
ゴールポストを動かすンじゃないよ。
小西氏らは第1次攻撃目標である言論弾圧に置くことに失敗したので、あわてて「大臣レク」をもらったか否かにすり替えたのですが、いかんともせんショボイ。
本来の「放送法第4条を改悪する悪人」路線にしてほしかったですね。
それなら、もう少しかみ合った議論になったはずです。
これこれ、これが本筋。
というのは、高市氏や文書中に出てくる磯崎補佐官の放送法に関する考えは、総務省の公式見解とやや違うからです。
踏襲しつつも、さらに一歩踏み出そうとしています。
※高市氏は昨日、磯崎氏の影響は受けていない証拠を出すと言っています。
まず、放送法4条をおさえておきます。
●放送法
(国内放送等の放送番組の編集等)
第四条 放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
一 公安及び善良な風俗を害しないこと。
二 政治的に公平であること。
三 報道は事実をまげないですること。
四 意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。
放送法 | e-Gov法令検索
誰の眼にも、第4条なんてあってなきが如しというのはわかりますね。
左翼偏向番組なんか真っ昼間から夜中までじゃんじゃんありますし、逆に左巻きじゃないワイドショーの司会者なんていたのかしら。
放送局も放送法なんか信じちゃいないし、視聴者もこんな条文があったなんて知らない。
こうしてモリカケサクラの時なんぞ、ワイドショー情報が情報弱者に流れ込んでいたものです。
だから高市氏が総務大臣だった時「電波を止められます」と放送法に定められたことを発言すると、暗黒時代がやってきたというメディアの煽りに乗ってしまうことになります。
その原因は、所轄官庁の総務省が第4条2項の「政治的公平性」を死文化したからです。
総務省の見解はこうです。
総務省見解を要約します。
●総務省の放送法第4条についての見解
①放送法3条の「放送の自由」を最優先する。
②ひとつの番組で見ずに、放送番組全体で見る。
③4条2項の「政治的公平性」の判断は、BPOなどのような事業者の自主的取組に任せる。
総務省は、放送法で放送事業者の自由は保障されているから、文句があるなら放送業界が作ったBPOに言え、つまりは監視対象自らに監視をさせるということです。
どこに業界の管理とその取り締まりを、業界団体に丸投げする官庁がありますか。
こういうのを所轄官庁との馴れ合いとか癒着とか呼びます。
当然のこととしてBPOは、政治的公平性が怪しい人物らによって委員ポストが独占されることになりました。
このようにハナから「政治的公平性」を骨抜きにしていたのが、ほかでもない所轄官庁のはずの総務省だったのです。
一方、「小西文書」に添付してる高市氏の答弁はこうです。
●平成27年5月12日 参議院総務委員会 高市総務大臣答弁
放送法第4条第1項第2号の政治的に公平であることに関する政府のこれまでの解釈の補充的な説明として申し上げましたら、1つの番組のみでも選挙期間中またはそれに近接する期間において、殊更に特定の候補者や候補予定者のみを相当の時間に渡り取り上げる特別番組を放送した場合のように選挙の公平性に明らかに支障を及ぼすと認められる場合といった極端な場合におきましては一般論として、政治的に公平性であることを確保しているとは認められないと考えられます」
高市氏が言っているのは、総務省見解を踏まえつつ、極端な場合は政治的公平性を確保していない、ということです。
ここで例示されているのは、国論を二分する政治問題や選挙期間中に特定の候補者に対して誹謗したり、逆に礼賛するようなことは逸脱だとしています。
活字媒体と違って政府から特権的電波帯を割り当てられている放送事業者が、一定の法的規範に従うのは当然のことで、そのために放送法が存在したはずです。
総務省は、地上波の特権的割り当てによって発生した電波利権に大あぐらを書いている官庁です。
2013年のテレビ局の事業収入は、NHKが6517億円、フジテレビが3468億円、日本テレビが2277億円です。
企業でいう「仕入れ」の電波利用料は1993年から導入されましたが、NHKがわずか18億7800万円、フジテレビ系が3億9920万円、日本テレビ系が4億3260万円で、事業収入に占める電波利用料はNHK0.28%、フジテレビ系0.11%、日本テレビ系0.18%にすぎません。
「2006年度の歳入の内訳をみると,携帯電話関連で8割を占めているとみられる。ここで議論がある。携帯電話関連で637億円くらい負担しているのに,テレビやラジオは約6.7億円と2ケタ少ない。売り上げは携帯電話事業のほうがテレビよりも大きいが,電波帯域はテレビのほうが広い。一方で,アマチュア無線などが2.6億円負担している。当然,テレビの負担は少なすぎるという声が上がっている」
(日経テック2008年4月22日)
電波の特定財源「電波利用料」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
あきらかにテレビ局は、この安価な電波利用料によって労せずして大儲けできる業界なのです。
総務省はこの放送事業者を監督すべき立場なはずですが、東北新社の総務省高額接待実験でも分かったように、むしろこの利権の擁護者と化しています。
ですから、一方でいつでも電波を止められると脅しながら、片方では甘い利権のアメを与え続け、「政治的公平性」のようなトゲは見て見ぬふりをしてきました。
有体にいえば総務省は、放送法は、放送業事業者への武器としては持っておいて損はないが、常日頃は4条の「政治的公平性」などどうでもよく、むしろ骨抜きにして癒着してきたのです。
そのような総務省官僚たちにとって、元総務省官僚でありながら、かねがね問題意識を持っていた礒崎陽輔補佐官は目の上のたんこぶだったはずです。
「小西メモ」にも、安藤情報流通行政局長の磯崎氏に対する「官邸に影響力ないからヤクザに絡まれたようなもの」というような侮辱的言辞が記録されているほどです。
磯崎氏はなまじ省内にいただけに実情を知り尽くしており、しかも魔王安倍の懐刀になってしまい、4条を的確に使えと言うのですから、抹殺したい対象と考えていたことでしょう。
その磯崎氏は「小西文書」の中で、このように質問しています。
「聞きたいことは2つある。まず1つ目だが、1つの番組では見ない、全体で見るというが、全体で見るときの基準が不明確ではないかということ。「全体でみる」「総合的に見る」というのが総務省の答弁となっているが、これは逃げるための理屈になっているのではないか。そこは逃げてはいけないのではないか。
(確かに様々な事例、事案があるので、「基準」を作れとは言わないが)総務省としての考え方を整理して教えて欲しい」
磯崎氏は、もっと原則的に放送法を運用しろ、と言っているだけのことで、高市氏も似たような考え方をしていたと思います。
3条の報道編成の自由は守られるべきだが、行き過ぎは4条でチェックして対応してもいいのではないかという意見です。
あたりまえではないですか。行き過ぎもチェックできないような放送法4条など無意味です。
むしろあることで、免罪符を与えているだけのことです。
そもそもこんな放送法4条は、超安価に電波帯を分けてやる言い訳に作ったような条項にすぎません。
これだけ公平に作られているのだからパブリックインフラです、だから安くせにゃならんのです、ということを法的に担保しているだけで、前述のように総務省みずからの手で空文化していました。
なんせ管轄機関が、当該事業者に監視してもらえと、業界丸投げを堂々と言っているのですから、話にならない。
私は今回の「取り扱い厳重注意」文書が易々と野党議員の手に渡ったのは、なんらかの総務省官僚の意志、ないしは黙認があったのだと思っています。
総務省は目障りだった高市氏を叩き、政治生命を抹殺しようと考えていたのかもしれません。
そう考える、総務省の「前川喜平」がいたとしてもおかしくないのです。
ちなみにホンモノの前川氏は、事務次官就任前後でありながら、なんと国会前でシュプレッヒコールをあげていたそうです(笑)。
ハンパないね。
この男の動機は、獣医学部新設を阻むという文科省の省益と、自分の左翼思想が二重になっています。
今回の総務省の「前川」官僚にも、同類の臭みを感じます。
漏洩したのはNTTに出向している人物と特定されていますが、彼はただのトカゲのシッポ切りでしょう。
将来の総理を期待されている現役大臣の首を獲ろうという仕掛けですから、もっと大物が控えているはずです。
それもひとりではなく複数。
朝鮮学校の無償化不適用「不条理」と語り、「SEALDs」集会に参加 前川喜平氏に慄然とした | 草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN (fc2.com)
毎日などはまるで安部政権が言論弾圧するつもりだった、と大げさに書き立てています。
毎日新聞は1面トップには、「安倍政権、放送法の「政治的公平」解釈変更議論か 立憲が内部文書」と大きな活字が踊っています。
「立憲民主党の小西洋之参院議員は2日、国会内で記者会見し、2014~15年に安倍内閣が一部の民放番組を問題視し、放送法が規定する「政治的公平」の「解釈変更」(小西氏)を試みていたことを示す総務省作成の内部文書を入手したとして公表した。当時の高市早苗総務相は、政治的公平性を欠く放送を繰り返した局に電波停止を命じる可能性に言及しており、政府内での議論の結果だった可能性がある」
(毎日3月2日)
安倍政権、放送法の「政治的公平」解釈変更議論か 立憲が内部文書 | 毎日新聞 (mainichi.jp)
まぁ、政府が法律の解釈変更をするなんてことは違法でもなんでもありませんから、「公益通報」には該当しないでしょう。
ですから、今回仮に「総務省の前川喜平」がいたとすれば、守秘義務違反を問われることになります。
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高市氏が総務大臣時代に電波停止に言及した際、左翼界隈やマスコミが蜂の巣を突いた騒動になりましたが、確かその後、民主党政権時代の総務副大臣かなにかが同様の答弁をしていたことがバレて見事なブーメラン芸を披露したようにも記憶しています。それにしても立憲民主党って性懲りないですねえ。
モリカケサクラだけでは飽き足らないのかまたまたこの体たらくぶり。立憲の皆さんに申し上げたいのは一度自分たちの過去をふり返って総括されてみては、ということです。この期間、あなた方のやってきたことにどれほど国民が支持しているのか再確認するべきです。党勢は正にじり貧ともいうべき有様で、一部のコアな支持者以外殆ど見向きもされない状況だと思います。このままでは社民党と同じ道を歩むようにしか私には思えません。
投稿: 右翼も左翼も大嫌い | 2023年3月15日 (水) 10時04分
昭和39年見解を覆すような解釈は、以降のどの政権からも存在していません。にもかかわらず「一番組で甚だしい場合」は、安倍=高市路線の産物という事に仕立て上げられている。
多くもテレビ局もそのように解釈してはばからないのは、多くの場合「既得権益守護しぐさ」でもあるけれど、一部の前川風官僚が政治的判断をして従来見解を無きものとして局側に説明した部分が大きいと言えます。
これは大問題です。高市は「ねつ造でないなら辞職する」といった事について、「目立ちたがり屋のバカ」だとか、「余計な事を」というようは批判は的外れです。あのように言う事でしか、現在の総務省には覚醒するチャンスすらなかったでしょう。
松本剛明大臣は民主党出身ではあるけれど、頭の良さといい、筋を通す態度と言い、私が大好きな政治家のひとり。
これは公務員による、「虚偽公文書作成罪」という重罪に当たるかもしれない非常に大きな問題。松本さんがどれほど喰い込めるかわからないし、時間もかかるでしょう。
しかし、官僚が公務員の則をこえて勝手に政治的判断をするようになった場合、それは国家の統治機構が崩壊しているという事。
展開に目が離せません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年3月15日 (水) 11時04分