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2023年3月25日 (土)

日宇共同声明とショボかった中露共同声明

2-004

うーん、申し訳けありません。日本ウクライナ共同声明をじっくり吟味しないで、評価してしまいました。
岸田さん、偶然とはいえ、プーチンと習の向こうを張って西側代表でキーウに乗り込むという快挙をしながら、国内報道ではWBC一色でほとんどスルー状態でした。
ついているような、ついていないような、どこまでもほどほど感がある人です。
これが安部氏がやっていたら、オールドメディアはなんと言ったことやら、岸田さんだから誰も反応しない(苦笑)。

しかしよく読むと、なかなかスゴイことが書き込まれています。
外務省が全文をアップしているので、ぜひご一読ください。
100478708.pdf (mofa.go.jp)

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20230324-040649

【詳細】日本とウクライナ 首脳会談受け共同声明 | NHK | ウクライナ情勢

要約をしておきます。

●日本とウクライナとの間の特別なグローバル・パートナーシップに関する共同声明
①二国間関係を「特別なグローバル・パートナーシップ」に格上げする。
②ロシアのウクライナに対する侵略が、法の支配に基づく国際秩序の根幹を損い、国連憲章の主権及び領土一体性の原則する重大な違反行為である。
③ロシアの侵略は欧州・大西洋地域のみならずインド太平洋地域及びそれ以外の地域における安全、平和及び安定に対する直接的な脅威となっている。
④力による領土の取得や国境の力による変更は認めない。
⑤ロシアは、直ちに敵対行為を停止し、ウクライナ全土から全ての軍及び装備を即時かつ無条件に撤退させなければならない。
⑥ゼレンスキー大統領の平和フォーミュラの実施に向けた努力を支持する。
⑦ロシアによるウクライナの民間人及び重要インフラ、特にエネルギー施設に対する無差別攻撃を強く非難する。
⑧ロシアに対する制裁を維持・強化。
⑨戦争犯罪及びその他の残虐行為への処罰。
⑩ロシアの核兵器使用の威嚇は、国際社会の平和及び安全に対する深刻で容認できない脅威である。
⑪ロシアによるザポリッジャ原子力発電所占拠に対し、最も重大な懸念。
⑫ウクライナの穀物輸出の国際取り組みを支持する。
⑬ロシアによる情報操作と偽情報キャンペーンの継続的な活用を非難する。
⑬日本の財政・経済支援 71億米ドルへの増加。
⑭G7サミットへのテレビ会議招請。
⑮二国間交流の拡大。
⑯欧州・大西洋とインド太平洋の安全保障は不可分であり、自由、民主主義、法の支配といった基本的な価値や原則を共有する。
⑰ウクライナは防衛力の抜本的強化や外交活動の強化などの日本の国家安全保障戦略の策定を称賛した。
⑱国連海洋法条約(UNCLOS)の尊重、並びに航行及び上空飛行の自由を維持する重要性を確認した。
⑲東シナ海及び南シナ海情勢への深刻な懸念を表明し、力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対した。
⑳台湾海峡の平和と安定の重要性と両岸問題の平和的解決を促す。
㉑核兵器不拡散条約(NPT)体制を維持・強化し、核軍縮・不拡散及び軍備管理を推進する。
㉒国連安保理決議に違反する大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射を含む北朝鮮による核兵器及び弾道ミサイルの開発を強く非難。
㉓北朝鮮の全ての大量破壊兵器(WMD)及び全ての弾道ミサイルの完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を実現することに引き続きコミットする。
㉔拉致問題の即時解決。

※ひとつの項目を分割したのものもあるので、要約と文書番号は符号しません。

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ウクライナ外務省

実によくできています。
特に評価すべきは、ロシアのウクライナ侵略を単独で捉えずに、欧州と大西洋地域、インド太平洋地域の安全、平和と安定に対する脅威として位置づけたことです。
う~ん、うまい。ここなのです。
ウクライナ侵略と中国の軍事膨張をひとつのものとして認識し、それに対して国際社会が共同で対処していく、これが今の西側の基本戦略です。
ここをはずすと、アッチはアッチ、コッチはコッチとなってしまう。
今日のウクライナ侵略は、明日の台湾侵略なのです。
G7サミット議長国として、この正しい認識をきちんと示した意味は実に大きい、と思います。

ここさえ押さえておけば、あとは北の核武装に対しても「完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を実現する」と言えるし、さらには拉致問題も国際社会の責務だという文脈がでてきます。
ちなみにこれは、かつてのトランプ時代に用いられたもので、complete,verifiable,irreversible,dismantlement (完全で検証可能かつ不可逆的な非核化)のことです。
具体的には、核関連施設を全て明らかにした上で、濃縮ウランやプルトニウムなどの核物質や施設を廃棄させる。その上で、国際原子力機関(IAEA)など国際機関が実効的な査察を行い、後戻りができないことを確認することなどが必要になります。

次に、共同認識という総論だけではなく、「敵対行為を停止し、ウクライナ全土から全ての軍及び装備を即時かつ無条件に撤退させなければない」という西側の意志を明確にしました。
安易な和平提案には乗らない、ロシアの全面撤退まで支援する、ということです。

これはロシアいま習がモスクワに行ってゴソゴソやっていることに対する、強いアンチテーゼになっています。
習は「平和の使者」を気取って、国際舞台に登場したかったはずですが、そのメンツにパイをぶつけた形になりました。
それでなくても、訪露直前に国際刑事裁判所がプーチンを「ウクライナから子供を拉致している」として国際指名手配にしました。

「オランダ・ハーグにあるICC=国際刑事裁判所は、ウクライナ情勢をめぐり、ロシアが占領したウクライナの地域から子どもたちを移送したことが国際法上の戦争犯罪にあたるとして、ロシアのプーチン大統領などに逮捕状を出したと明らかにしました」
(NHK3月18日)
国際刑事裁判所 プーチン大統領に逮捕状 ウクライナ情勢めぐり | NHK | ロシア

これでプーチンは、親露国以外には海外に出ることさえかなわなくなったわけです。
また、プーチンは「国際指名手配戦争犯罪人」であるために、面会すること自体反社会的な行為となります。
かくして、反社行為一番乗りが習になってしまいました。

中語は、習近平の3期目の国際戦略として「中露新時代の包括的戦略パートナーシップ」を提唱しました。
これは新たな「世界の多極化を目指す」世界戦略の一環でした。

「習氏は、ロシアとともに「本当の多国間主義を堅持し、世界の多極化と国際関係の民主化を推進」すると強調。その上で「グローバル・ガバナンス(多国間統治)を、さらに公正、合理的な方向に発展させることを促進する」と訴えた」
(産経3月20日)
習氏「ロシアと世界の多極化を推進」 訪露で談話 - 産経ニュース (sankei.com)

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中露共同声明 ウクライナ戦争の「和平交渉を求める中露陣営」と「戦争継続に寄与する日米欧陣営」浮き彫り(遠藤誉) - 個人 - Yahoo!ニュース

プーチンと習は2時間に渡って通訳だけを入れた密室会談をしていますが、その時にはウクライナ戦争をめぐる話題だけではなく、ロシアのイランの核武装支援と中国の一帯一路との協同などを話し合ったと考えられます。
世界レベルで習がいう「多極化」戦略を進める、その恒久的パートナーシップをロシアと結ぼうということです。もちろん中国の主導で。

孤立を緩和したいプーチンにとっても、中国から財政援助や武器援助を取り付けつつ、「和平提案」で時間稼ぎをしたかったはずですが、その目論見がはずれました。
ロシアはこの思惑を壊された腹いせにこう言っています。

「ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官は23日の記者会見で、岸田首相が21日にウクライナを訪問したことについて、「ロシアと中国の首脳会談から注目をそらす目的だった可能性がある」と主張した」
(読売3月24日)
ロシア外務省、岸田首相のウクライナ訪問に「中露首脳会談から注目そらす目的の可能性」 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

本来、中露の思惑としては、具体的に中国はロシア支持を明確にしたかったはずですが、トーンダウンしてなんの具体案もないものになってしまいました。

新華社の中露共同宣言の要約を載せておきます。
「いかなる制裁にも反対する」以外、具体的にはなにも言っていません。
深夜の記者会見で、すさまじい勢いでしゃべるプーチンに対して、習が寝落ちしそうな顔をしていたのがよく分かります。

中国とロシアの国家元首は、和平交渉を通じてウクライナ危機の解決を強調する共同声明に署名しました-新華網 (news.cn)

●ウクライナ問題について双方は、国連憲章の目的と原則は遵守されなければならず、国際法も尊重されなければならないとした。
●ロシア側は、ウクライナ問題に対する中国の客観的かつ公正な立場を積極的に評価する。
●双方は、いかなる国家または国家グループが、軍事、政治およびその他の利益を追求するために、他国の正当な安全保障上の利益を損なうことに反対する。
●ロシア側は、和平交渉をできるだけ早く再開することを重ねて言明し、中国はこれを高く評価した。ロシア側は、中国が政治・外交的手段を通してウクライナ危機の解決に積極的な役割を果たそうとしていることを歓迎し、「ウクライナ危機の政治的解決に関する中国の立場」という文書に示された建設的な提案を歓迎する。
●双方は、ウクライナ危機を解決するために、すべての国の正当な安全保障上の懸念を尊重しなければならず、陣営間の対立形成や火に油を注ぐようなことを防止しなければならないと指摘した。双方は、責任ある対話こそが、問題を着実に解決する最善の方法であると強調した。
●この目的のために、国際社会は建設的な努力を支援すべきだ。双方は、局面の緊張を助長したり、戦争を長引かせる一切の行動を停止するよう求め、危機がさらに悪化したり、最悪の場合は制御不能になる事態になることを防ぐよう求める。
●双方は、国連安全保障理事会によって承認されていない、いかなる一方的な制裁にも反対する

ね、ざっとよんでもなにも書いてないでしょう。
日宇共同声明が、インド太平洋から、台湾、拉致まで網羅され、それがトータルに認識できるのに対して、中露共同宣言ときたらなにが「国際憲章を守れ」だつうの。
具体性がないとはいえ、米国や西側の「侵略」(笑)に対して、いっそうロシアは中国の一帯一路に協力し、大中華経済圏に統合されていくのでしょう。
ウクライナ取込みは、プーチンにとって大スラブ統合計画の一環だったはずですが、残念無念、一帯一路に呑み込まれてジ・エンドです。

またかつてのは中ソ対立の頃から、ロシアは中国を下目に見ていましたが、いまや完全に逆転。
「ロシア大統領府と中国共産党中央委員会の対話強化」、共同訓練といっても、どちらが主人となるのかは明々白々です。
元々ほんとうは仲がよくない両国なので、どこまでもつのやら。

 

 

 

20230324-042036

 JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)
ウクライナに平和と独立を

 

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コメント

共同声明詳報ありがとうございます。
今朝見た読売のゼレンスキー大統領インタビューでも、共同声明同様きちんと下準備をした訪宇で実のある成果があったと知れました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/7fe446fdcc23a0abdee8b2a15c58addc8e3a7156

芽吹のようなネタでは、
21日にキーウで岸田首相と会談した際、より長期的な復興を念頭に、医療や、環境に配慮したエネルギー分野などでの協力拡大が必要だとし、自動車産業やリチウムなどの鉱物生産の分野での日本企業の進出も促したという。

こういう話も実現性はともかくポジティブな発信。西側は武器だけ送って代理戦争という論を上書きしながら実質支援とパートナーシップを築く、野党言うところの「外交成果」を上げたと思います。
ウクライナ一国とだけでなくNATO、EUとも擦り合わせながらの成果です。
そしてこれを黙々と準備していたのは所謂鉄板保守層がカタカナ呼びして忌み嫌う、G20外相会議を飛ばした大臣とその部下達です。
因みに帰国した総理が答弁で高市大臣を守る発言をした時、後ろでふんぞり返る姿がけしからんそうですが、動画を見ると、うんうんとうなづいてるんですよね。

キッシーが就任時に地味に掲げた全員野球。実はマジでコツコツ重ねてだんだん党内省庁で得点パターンが出来つつあるのではないかと床屋談義的に想像しています。
増税する気満々、というのも如何にも足を引っ張る釣りの粉で、新聞や雑誌でなく元を辿れば左メディアや右雑誌のやりたい方向がよくわかります。
自戒をこめて、けしからん!がっかり!と思う情報ほど眉に唾。

鳩側の人が劇的に鷹になることがあると常々私は思うのですが、ここでも。
ともかくも、ここまで旗幟を鮮明にしましたから、国内の様々な人々、メディア、政治家の反応や文句によっても、その旗幟がまたわかりやすくなりますね。
我が国としてはなかなか刺激的な内容でありながら国会で必勝しゃもじの話しかできないところは、頭脳と身体を最大限に使って結果を出すアスリートに対して「お気持ち」の質問だけを繰り返すしかない(こちらは準備や戦略や瞬間の戦術の話も聞きたいのに)マスコミと同類道連れなので仕方ないとして、能無しは置いて、しゃもじの話をちゃんと、ウクライナや我が国や台湾が望む勝利や平和とは何であるのか、地に足をつけて掬われることない議論に繋げてもらいたいと考えます。

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