米エネルギー省、新型コロナは武漢ラボから流出の可能性が高い
時々、思うのですが、あの新型コロナが人工的に中国が作ったもので、故意であるか不作為であるかを問わず、それを世界に拡散させてしまったとしたら世界はどう反応するでしょうか。
感染死亡者は、去年9月末で世界全体で100万人を超えました。
とてつもない災厄です。
新型コロナ 世界全体の死者数 100万人超える | 新型コロナウイルス | NHKニュース
米国では騒がれなくなったものの、いまだ高い死亡者数を出しています。
とうとう累計死亡者数が今年2月に110万に達しました。
「米国では新型コロナウイルスの流行の勢いは衰え続け、今年の冬は感染者数が急増する事態にはならなかった。しかし、死亡者数は累計で増え続けている。
米国では最近、新型コロナウイルスによる死者数が流行開始からの累計で110万人を超えた。死亡証明書のデータによると、現在も1日に数百人単位で亡くなっている。死亡者の多くは高齢者であることは以前と変わらず、心臓や肺などに基礎疾患があるケースが多い」
(ウォールストリートジャーナル2023年2月21日)
米国のコロナ死者数 なぜ止まらないのか - WSJ
100万人殺されたら、ホワイトハウスはどう対応したらよいのか戸惑うほどです。
トランプ政権はストレートに中国に証拠を突きつけて糺弾してやると息巻きましたが、米国の情報機関のコンセンサスが割れたために追い詰めるに至りませんでした。
彼に2期目があれば、あるいはとは思いますし、決定的証拠を握っているとはポンペオが言っていましたが、どうやら状況証拠だったようです。とまれ、情報機関がトランプに背中を向けてしまったために、あれ以上は厳しかったかもしれません。
当時、米国メディアも、トランプ憎しが凝り固まっていたために、彼の政権が出した様々な疑惑をオルト・ライト(新右翼)の陰謀論のひとことで片づけてしまいました。
ところがトランプが政権を去ると、おそらく彼らは愕然としたはずです。
なぜなら、曇りのない眼で調べてみると、トランプが言っていたことのほうが正しかったからです。
「新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的な大流行)は中国・武漢の研究所から手違いでウイルスが流出して引き起こされた──これはつい最近までオルト・ライト(新右翼)的な陰謀論としておおむね無視されてきた主張だ。
ワシントン・ポストは2020年初め、「専門家が何度もその誤りを証明した陰謀論を、執拗に蒸し返している」として、トム・コットン上院議員を批判。CNNは「陰謀論や誤情報を信じている友人や家族を説得する方法」を伝え、ニューヨーク・タイムズも「非主流の説」扱いをし、公共放送のNPRも「研究所の事故で流出したという説は虚偽だと証明されている」と述べるなど、アメリカの他の主要メディアもおおむねこの説を否定していた。
そうした中で、本誌は例外的に2020年4月、武漢ウイルス研究所(WIV)はウイルスの病原性や感染性を強める「機能獲得型」研究を行なっており、ここから流出した可能性も否定できないと報道した。同様の報道を行なったのは、左派系雑誌のマザー・ジョーンズに加え、ビジネス・インサイダー、ニューヨーク・ポスト、FOXニュースと、ごく少数のメディアだけだ」
(ニューズウィーク2021年6月16日)
かくして今や、米国メディアはCNNのようなリベラルから保守系FOXニュースまで、いまや一致して武漢ウィルスラボを発生源とするのがもはや米国メディアのコンセンサスとなっています。
あいかわらず関心すら示さないのが、うちの国のメディアですが、まぁどうでもよろしい。
さて、米国エネルギー省が、新型コロナウィルスの発生源を武漢ウィルスラボと結論づけたと、ウォルーストリートジャーナルが報じました。
新型コロナの起源を求めていた私とすれば、ああ、やっぱりそうだっのか、というところでした。
「【ワシントン】米エネルギー省は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)の起源について、研究所からウイルスが流出した可能性が最も高いと結論付けた。ホワイトハウスや米議会の主要議員に最近提出された報告書から明らかになった。
同省はウイルスが広まった経緯についてこれまで判断を下していなかったが、アブリル・ヘインズ国家情報長官(DNI)のオフィスがまとめた2021年の資料を改訂する中で今回の考えを示した」
(WSJ 2023 年 2 月 27 日)
新型コロナの起源、研究所から流出の可能性高い=米エネルギー省 - WSJ
しかし残念ながら、このエネルギー省のレポートは現時点では非開示なので、見つけたと推測される「あらたな証拠」がなにかはわかりません。
ただ、エネルギー省は参加に多くの研究機関を持ち、病理学的新証拠を発見したようにも見えます。
というのは、それを強く示唆するフレーズをWSJは社説で書いているからです。
「26日の報告において重要な点は、エネルギー省が「新たな」情報に基づいて、その結論に至ったということだ。最終的にどんな情報が判断の変更に影響したのかが明らかになれば幸いだ。エネルギー省は国立研究所の責任を負う部署であり、研究所の一部は生物学的な研究を行っているため、同省の判断は、なおさら注目に値する。中央情報局(CIA)や国家安全保障局(NSA)の専門分野は同省と異なり主に人の介在や電波信号の傍受による諜報活動を扱う」
(WSJ 2023 年 2 月 28 日)
【社説】コロナ流出「コンセンサスなし」は逃げ - WSJ
FBIも流出説に傾いているようです。
「Covidウイルスは、中国の武漢にある研究所から漏れた可能性が最も高いと、FBI長官のクリストファー・レイ氏は述べています。「FBIはかなり長い間、パンデミックの起源は武漢での潜在的な実験室での事件である可能性が高いと評価してきました」とクリストファー・レイはフォックスニュースのインタビューで語った。 ところで,私は武漢ウィルスラボがしていた機能獲得実験によって、人間の喉や肺のACE2受容体に感染し易いようウイルスを操作していたと考えている」
(ヒンドスタンタイムス2023年3月1日)
中国が管理する研究所からコビッドが「最も可能性が高い」リーク:FBI長官の主張|世界のニュース-ヒンドゥスタンタイムズ (hindustantimes.com)
武漢ウィルスラボの主任研究員だった石正麗とそのグループは、RaTG13という新型コロナウィルスの始祖ウィルスを雲南省墨江ハニ族自治権にある鉱山の坑道で発見しました。
コウモリの糞にRaTG13が含まれていたのです。
そして武漢ウィルスラボに1万匹を優に超えるコウモリを収集し、そこで変異実験を開始しました。
ピーター・ダザック
WHO国際調査団、メンバー1人が武漢研究所に近い関係
石正麗の米国側協力者にピーター・ダザックというウィルス学者がいます。
彼は武漢ウィルスラボに入り浸っていたにもかかわらず、コウモリなど見たこともないというウソ八百を平然と言っていました。
このダザック証言が虚偽であることは、後に所内でコウモリが逃げ出す動画が流出したことでバレてしまいました。
ちなみに彼はどのような政治的裏技を使ったのかはわかりませんが、なんとWHO現地調査団に潜り込んでしまいました。
中国の支配下にあるWHOでなくては、できない仕業です。
こんな男が入ったWHO調査報告は、言うのもヤボですよね
このダザックはパンデミック初期に、自らの影響下にある26人もの科学者と連名で、2020年2月19日、医学誌ランセットに「新型コロナウィルス感染が自然な発生源を持たないことを示唆する陰謀論を、私達は断固として非難する」と宣言し、これが「世界の科学者の総意」のように報じられたために、支配的な認識となっていました。
「米政府関係者は、エネルギー省が見解を変えるに至った新たな情報と分析について、詳細を明らかにしなかった。また、エネルギー省とFBIはそれぞれ、実験室からの意図せぬ漏洩が起きた可能性が最も高いとしながらも、その結論に至った根拠はそれぞれ異なると付け加えた。
更新された文書は、新型コロナウイルスがどのように出現したかについて、情報当局がいまだ断片をまとめる過程にあることを浮き彫りにしている。3年以上前に始まった新型コロナの大流行では100万人以上の米国人が死亡した。
米連邦捜査局(FBI)はエネルギー省と同様、何らかの事故でウイルスが中国の研究所から流出した可能性があるとしている。一方で四つの連邦政府機関や国家情報関連の諮問機関などは、ウイルスが自然界から広がったものとしている他、二つの政府機関は起源について判断を示していない」
(WSJ前掲)
FBIは、武漢ウィルスラボからの流出によりパンデミックが引き起こされたとする「中程度の確信」を、2021年にすでに公表しており、現在もこの流出説を維持しています。
なお、この「中程度の確信」という言い方は、情報が錯綜したり、対立する場合、その結論の信用の度合いを示すものです。
「FBIは微生物学者・免疫学者などを含む研究者を雇用しており、炭疽菌やその他の生物学的脅威の可能性を分析するために2004年にメリーランド州フォートデトリックに設立された米バイオディフェンス分析対策センター(NBACC)の支援を受けている。(略)
長期の戦略分析を行う米国家情報会議(NIC)と政府関係者が特定を避けた4機関は、このウイルスが感染した動物からの自然感染によって生じた「確度は低い」と評価している、と最新報告書は述べている。
機密扱いの同報告書を読んだ前出の関係者らによると、米中央情報局(CIA)および政府関係者が名前を明かさない別の機関は、実験室からの漏洩説と自然伝播説の間で決めかねている。
各機関の分析は異なっているものの、今回の報告書は新型コロナが中国の生物兵器プログラムの結果ではないという既存のコンセンサスを再確認したものだという」
(WSJ前掲)
つまり、米国の情報機関の意見は割れているのです。
そして別れていることをいいことに、バイデンは動かないのです。
「ジェイク・サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は26日にCNNの番組に出演したが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道を肯定も否定もしなかった。サリバン氏は、ジョー・バイデン大統領が一連の情報機関に対し、新型コロナ感染症の起源について可能な限り見極めるため資金を投じるよう繰り返し指示してきたと述べた。
「バイデン大統領は特に、エネルギー省の一部である複数の国立研究所をこの評価に参加させるよう要請した。何が起きたかを理解するためにあらゆる手段を動員したいと望んだからだ」とサリバン氏は説明。「情報機関のコミュニティーにはさまざまな見解がある」とし、「その多くは十分な情報を持っていないと述べている」と語った[
(WSJ前掲)
ちなみに、ウォールストリートジャーナルは、政府が「情報機関に明確なコンセンサスがない」という一点を言い訳にして、のらりくらりと逃げを打っていることに対して、このような論評を加えています。
「だから何だと言うのか。各情報機関の間にコンセンサスが存在したことなど、かつてあったのか。カービー氏にそうした質問をした記者はいなかったが、われわれは質問をするのをいとわない。
機密情報はその本質からして曖昧で、さまざまな解釈が可能なことが多い。これこそが、政府機関がその判断に「低信頼度」とか「中信頼度」などといった言葉を付記する理由だ。政府機関の間で見方が異なることは、有益である可能性がある。それは、集団的意思決定が政策の選択に影響を及ぼす可能性が低くなることを意味するからだ。
米政権が新型コロナの起源をめぐる話題を機密情報のブラックボックスに押し戻したいと思い、この問題を誰もが忘れてくれるよう期待しているのではないか、との懸念は当然のものだ。
それによって、ジョー・バイデン大統領は中国への対応がもっと容易になるかもしれない。しかし、それは新型コロナ感染で深刻な打撃を受け、新型コロナの起源に関する「証拠の優越性(民事訴訟で要求される立証の度合い)」がどの程度のものかを知る資格がある米国、あるいは世界全体にとって役立つものではない」
(WSJ社説前掲 太字引用者)
バイデン政権は、「情報機関にコンセンサスがない」というのを言い訳にしていますが、そもそもそのようなものは「ない」のです。
情報機関が共通認識に辿りつけないのは、彼らの情報があくまでもシギント(電子情報収集)やヒューミント(人による情報収集)にすぎず、ウィルスの解析による証拠とは比べるべくもないからです。
「アメリカ合衆国の民事訴訟で物事を立証する際に要求される立証の程度(→standard of proof)の一つであり、ある事実が“ないというよりはある”と言えるかどうかで判断することである。
証拠の優越(preponderance of evidence)の原則は、”more-likely-than-not”原則、或いは50%超原則ともよばれ、その証明度は、例外的に適用される別の証明度より低いものです 」
preponderance of evidenceについての用語を詳しく説明します。:パテントに関する専門用語詳細ページ(今岡憲特許事務所)
つまり5割を超える確率で「そうである」とする証拠が、「そうでない」を上回っていた場合、このウィルス流出疑惑は正当性を主張できるのです。
WSJが言うように、バイデン政権が「新型コロナの起源をめぐる話題を機密情報のブラックボックスに押し戻したいと思い、この問題を誰もが忘れてくれるよう期待しているのではないか」と思っているのは大いにありえる推測です。
バイデンは、先日の気球事件においても、アラスカに接近していることを知りながら、撃墜をためらい、米本土に侵入を許したままアラスカでの撃墜すらできませんでした。
ここで落としておけばよかったのです。
アラスカ州で落としていたら、無人の森林地帯だったのですから。
バイデンが恐れたのは、気球問題を中国との真正面からの対決事案にしたくなかったからです。
結局、中西部に侵入した気球は、多くの国民に目撃されてライフルで撃たれてしました。
こうなってやっと撃墜の命令を出したのです。
このあたりどこぞの国の首相にも似ていますが、リベラル特有の判断の遅さと及び腰です。
ウクライナ支援でも初めから一括して戦車や航空機を供与していれば、違ったはずでした。
それをまるで熱い湯にソロソロと足を入れるように、逐次供与してかえって戦争を長引かせてしまいました。
このようにジョー・バイデンという人は、このエネルギー省レポートに対しても、中国へのカードが一枚増えたとは思わず、いざこざがまた増えた、頭が痛いと思うタイプの人のようです。
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コメント
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バイデンが真相などどうでもいいとするのもわかる気がします
決定的証拠を仮に示しても
中国側が「いやあすみません。賠償します。」となる可能性はゼロです。
責任を問うたところで不毛の争い。
そういうゴタゴタを嫌う気持ちは痛いほどわかります。
でもそれでいいのかという気持ちももちろんあります。
投稿: ずるずる | 2023年3月 2日 (木) 11時04分
ドナルド·トランプとは私は性格的には大嫌いでしたけど、商売人独特の突破力は凄かったですね!実際に大統領就任から2年たらずに公約をほとんど実現した大統領なんて、歴代でもいないでしょう。
結局任期末になって「アメリカ社会の分断」ばかりがクローズアップされていた時に、差別的ながら「チャイナウイルス!」と叫んでいた彼が正しかったというね。アメリカのメディアミックスの総攻撃で中国どころかロシアか増長して現在のウクライナ情勢に繋がっています。
議会乱入事件で彼は晩節を汚したけど。。
「トランプ憎し」だけで固まったメディアや政治家が愚かすぎました。トランプの狂信的支持者は論外ですけど、あれが無かったらバイデン爺さんの当選も無かったかと思います。リベラルの年長者で調整力だけの人てすから。
投稿: 山形 | 2023年3月 2日 (木) 12時53分
バイデンは大統領選挙中にトランプの批判に対して、「武漢への拠出金は正当で、科学の進歩のため」などとしていました。
結果的にせよ米中合作だった疑いもアリなので、民主党にはなかなか踏み込めないのかも知れません。
なお、肝心の石正麗はフランスに亡命申請したという情報がありましたが、北京市内で当局の監視下にあるというのが事実に近いようです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年3月 2日 (木) 17時18分