総務省みずから信憑性がないと言ってしまう
そろそろ全体像が見えてくるのかな、また総務省が「正確性に係わる精査」文書を出してきました。
総務省|「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について (soumu.go.jp)
小西氏は高市氏に対して、「捏造だというなら証拠を出せ」と言ってきたわけで、「大臣レク」があれば高市氏は即ギルティという論法です。
高市氏は正確にはこう言っています。
「小西委員が入手された文書の信憑性に、私は大いに疑問を持っています。もし私と安倍総理の電話の内容が文書に残っているとしたら、私の電話に盗聴器でもついてるのでしょうか?大臣室に盗聴器がついてたとしても、安倍総理がなにをおっしゃったのかは入らないはず。まったくの捏造文書だと考えております」
「それはもう捏造でしょう。(そもそも)安倍首相は首相在任中は、いくら電話やメールをしてもかかってこない。何日かたって『何度も電話をもらってたよね』と言われるぐらいだった」
「安倍首相は放送法にも強い関心はなかったので、私と放送法についてちゃんとすり合わせていれば、安倍首相と私の委員会での答弁が食い違うことはなかった」
「どういう作り方をしたらあんな変な文書ができるのか。私のしゃべり方とも全然違う」
(参院予算委員会3月4日)
高市氏「安倍氏は放送法に強い関心なかった」 総務省文書 - 産経ニュース (sankei.com)
安部氏は当時安保法制に集中したかったし、こういう放送法がらみでやっても意味がないと思っていたようです。
だから、仮に磯崎氏が放送法の手直しを進言しても相手にしなかったはずです。
まぁそれはそれとして、やっぱり私は高市氏が「信憑性に疑問がある」で止めておくべきだったと思いますね。
「議員辞職」を口にする必要はまったくありません。
小西側が言葉尻を取り上げて、文書がホンモノだったら辞めると高市は言った、無罪証明を出せ、という短絡論法に持ち込みたいのは明らかだからです。
モリカケで使い古された手ですよ、これは。
ですから、モリカケサクラで騒いだ野党やメディアの連中が、そっくりそのままの構図で騒ぎだしたのです。
小西ひろゆき氏
森友問題は故安部氏が「関係していたら辞める」と言った揚げ足取って、延々と追及して国会を空転させたのですが、こういう言い方をすれば、必ず野党とメディアは「疑われた側の安倍総理が無実の証拠を出す必要がある」という言い方で追い込もうとします。
あの人たちは、スキャンダルでしか政府を攻撃できない哀しい生き物なのです。
高市氏は、こういうところまで安部氏を模範にすることはありません。
総理を目指すのなら、もう少しぬらりくらりといった老獪さをおぼえられたほうがいいでしょう。
さて、漏洩された側の総務省は、こういう小西氏の追い込み方に恐怖心を覚えたのでしょう。
この文書が出たのは、旧自治省と旧郵政省との確執が遠因でした。
総務省大臣室に勤務していた高橋洋一氏はこう言っています。
「行政文書だろうと。あまり内容のよくないものだということはわかりました。正しいと思って私は読んでいたのですが、よく読んだところ、総務省のなかの、旧郵政省と旧自治省の争いが官邸までいったということです。磯崎補佐官は旧自治省の方です。
山田秘書官は旧郵政省の方ですから、そこでバトルしているだけの話です。
総務省内の話が官邸まで及んだ。特に高市さんは総務大臣でしたから、すぐにわかるのです。でも、「そんなところには関わらない」というスタンスだったと思います。ほとんど関心がない感じです。片寄せすると、一方の肩を持ってしまうことになるでしょう」
総務省『内部文書』の背景にある「旧郵政省と旧自治省の争い」 高橋洋一が指摘(ニッポン放送) - Yahoo!ニュース 。
つまりは総務省の旧郵政省閥が、旧自治省だった磯崎補佐官を貶めたかったので、彼を「ヤクザ」と悪しざまに書いた文書を流出させたようです。
高市氏はそんなことに関心がなかったし、介入する気もなかったのに、安部氏の後継者と見られたばかりに首を狙われてとばっちりを食ったのです。
問題はむしろ総務省側です。
高市氏が議員辞職に追い込まれでもしたら、国家公務員守秘義務違反、機密漏洩で問われるのは総務省の側だからです。
いまは黙っていますが、さすがの岸田さんも大臣が故なきことで首をとられれば、政府側は総務省の漏洩責任を問うでしょうから、総務省は大きな打撃を受けることになります。
そこで、総務省は自己保身の本能に従って組織防衛に走ったようです。
それがこの調査文書の公開です。
では、総務省調査をみていきます。
全文を書き起こしておきます。太字は引用者です。
●「政治的公平」に関する行政文書の正確性に係る精査について
総務省が 3 月 7 日に公表した、放送法に定める「政治的公平」に関する行政文書の正確性について、文書に示された関係者に対し、総
務省職員が聞き取りを行うなどし、文書の作成者、発言者の確認の有無、作成経緯等を精査した結果は以下のとおり。1 精査の対象とした文書
・総務省が 3 月 7 日に公表した全ての文書2 文書の作成者等
・文書を構成する全 48 ファイル中(別表参照)、22 ファイルは作成者が確認できたが、26 ファイルは作成者が確認できていない。
・また、発言者に対する内容の確認が行われたことが確認できたものはなかった。3 文書中の不自然・不一致等(例)
① H.27.3.6 「大臣レクの結果について
安藤局長からのデブリ模様」の資料作成者不明、形式が「聞き取り」
→文書整理 No.39 (P66)
山田秘書官(3/13(金))高市大臣から「総理」か「今井秘書官」に電話→文書整理 No.43 (P71 一つ目の・)、作成者不明
また、平川参事官の連絡 (3/9( 月 )) から山田秘書官の連絡(3/13(金))まで 4 日の期間
④ 文書の作成経緯が特に不明なもの→文書整理 No.42、43
⑤ やりとりが記録された文書の記載上、正確な時刻が不明のもの
(一部再掲)
→文書整理 No.12、36、39、42
⑥ 文書の作成者が不明のもの(一部再掲)
→文書整理 No.1、5、7、11、13~15、18、20、22、26、28、31、33、35、36、38~43、45~484 その他の精査の状況
① 礒崎補佐官関連
・礒崎補佐官から放送法の政治的公平に関する問合せ自体があったことは確認された。
・本件の過程で、強要などがあったとの認識は示されなかった。
・文書に記載されている打ち合わせの回数や個々の発言の内容が正確であるとの認識は示されなかった。
② 高市大臣関連
・引き続き精査を実施中。
③ 安倍総理関連
・引き続き精査を実施中。
※ 役職・肩書は全て当時のもの
000867909.pdf (soumu.go.jp)
うーん、なんといっても致命的なのは、この下図の全78ページの文書と48個のファイルのうち、作成者不明が3分の2に当たる50頁もあったことです。
文書の作成者が不明のもの(一部再掲)
→文書整理 No.1、5、7、11、13~15、18、20、22、26、28、31、33、35、36、38~43、45~48
これは痛い。
ファイルの対応表
率直に言えば、ここまで作成者がわからないものを唯一の根拠として、国会で大臣を追及しようとした小西氏の行動は、ハナから無理があったのです。
大臣ひとりの首を獲り、さらには任命責任で政権を打倒しようと思っているのでしょうから、詰めが甘い。
総務省は既に「行政文書ファイル管理簿 にはない」と答えているわけで、その理由はひとつしか思い浮かびません。
「小西文書」が、たんに管理簿(台帳)に載せるまでもない私的なメモだったことです。
もし、小西が豪語するように「第一級の行政文書」だったなら、それは議事録、復命書、稟議書のようにきちんとした文書様式があり、日時がない、作成者も欠落し、罵倒語もあるようなものを作るはずがありません。
したがって「小西文書」とは、官僚が心覚えに書いて、部局内で回したていどのメモだったとかんがえるのが自然です。
小西氏が主張するように、「行政文書の管理簿に存在しない「極秘文書」だからこそ、提供者はこの文書を私に託した」などとという超機密文書にはとてもじゃありませんが見えません。
あれが「極秘文書」ですか、ぶはは、ご冗談を。
おそらく漏洩したほうも、かつての同僚だった小西氏に、「こんなもんもあるけどね」程度で見せたら、勝手に国会に持ち出されて、国会が空転する騒ぎにまで発展した、といったところでしょう。
さもなくば、池田信夫氏が言うように「官僚のクーデター」です。
こちらだと根が深いし、総務省の「前川喜平」の可能性も捨てきれませんが、現時点ではなんともいえません。
調査の結果、総務省はかんじんの高市大臣関係では、「問い合わせはあったが、強要はなかった」としていますから、磯崎氏はもちろん、高市氏や安部氏などは蚊帳の外でした。
内容も前回文書にあった、高市氏の発言などの回数や個々の発言の内容が「正確であるとは認められない」としています。
なんだ高市氏の「信憑性がない」という見方そのままじゃないですか。
総務省も漏洩文書が信憑性に乏しいと認めているのです。
・礒崎補佐官から放送法の政治的公平に関する問合せ自体があったことは確認された。
・本件の過程で、強要などがあったとの認識は示されなかった。
・文書に記載されている打ち合わせの回数や個々の発言の内容が正確であるとの認識は示されなかった。
なんだ作成者が不明な上に、そこで言っていることの回数も内容も正確ではないということですか(脱力)。
しかもこの文書は行政文書ファイル管理簿には載っていないそうです。
はれほれ、ゼンゼンだめじゃん。
宮本岳志「この文書はどのような形で保存されていたのか」
総務省「総務省で電子的に保存されていた。確認した結果【”行政文書ファイル管理簿”への記載が行われておりませんでした】
小西さん、もう投了でしょう、これは。
かつての同僚に文書漏洩を頼んだことを白状して、楽になっちゃいなさい。
« 日曜写真館 たくましき光にめしひ鐵はこぶ | トップページ | 「隠し砦の三悪人」と小西議員 »
3/17総務省公表の「追加報告」はこちらですね。
https://www.soumu.go.jp/main_content/000869192.pdf
小西文書では礒崎氏の行動をヤクザ者の恫喝になぞらえるなど記されれてましたが、受け付けた当事者官僚たちには全くそうした認識はなかった。
もはや怪文書と呼ぶしかない事が証明されたましたが、礒崎氏の大分参議院補選に出馬する目はなくなったようで、彼らの目的の一つは達成されたのかも知れません。
大臣レクについては、「放送関係の大臣レクがあった可能性が高い」としつつ、「作成者および同席者のいずれも、この時期に、放送部局から高市大臣に対して、放送法の解釈を変更するという説明を行った
と認識を示す者はいなかった。」との事。すると、これは高市さんが言うように、関係ないNHK関連かなんかのレクだったという事。
これじゃ、小西氏は立っていられないでしょう。「第一級の行政文書」(小西氏談)が聞いて呆れます。
なんでも小西氏によれば、管理簿に載っていないくらい「超極秘」なのだそうですが。(笑)
総務省は「引き続き精査する」としていて、その経過によるのでしょうが、このような怪文書相当の内容だと「公益性」は全くなく、漏洩させた官僚を国家公務員法に問える事案に近づきつつあります。
どこまでやるつもりか全然分かりませんけど、松本大臣は当該公務員を刑事告発する義務を果たすべきだと思います。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年3月20日 (月) 06時09分
山路さんの意見に賛同します。
いかなる文書でもこれが外にポロポロ出回るようでは内外に対する政府の信頼は落ちます。
同盟国関係など極秘文書も漏洩する恐れもあるし、国民としてはマイナンバーの登録内容も大丈夫なのかと不安になる。
漏洩をさせない為には、しっかりと犯人探しを行い、今後はこのようなことが起きないようにしていただきたい。
しかし松本大臣、腰が重そうで動きそうにありませんね。官僚たちは当然知らんぷり。
時間の経過をもって有耶無耶にしたい総務省でしょうかね。
投稿: 多摩っこ | 2023年3月20日 (月) 09時45分
総務省内の争いやルサンチマンがもし無かったら、これはひょっとして誰かが小西ひろゆき議員を再起不能へ誘導して国益に貢献しようとしたのか?なんてイケナイ想像もできちゃうくらいでした笑
ともかくも官僚には、公益通報には全くあたらなくても、己の気に入らない、都合に合わない、あるいは恨みがある政治家が排除されることを狙って、事実ではない内容、誤認させる可能性がある内容を行政文書にし、ターゲットと対立する政治家にそれを漏洩して他人と事態を操る人がある。
ともかくも政治家には、己がどれだけ間違った道を突き進もうとも途中でその間違いに気づけず認めず、ひたすら己が思いこむテレビ新聞映えのセルフプロデュースに励む人がある。
そのうえ小西ひろゆき議員は、「SNSなどでの批判は全く気に介していません」(注・原文ママ)が、「法的措置は刑事、民事の双方を行います」と言う。
ともかくもマスコミには、「目的は手段を浄化する」とか威勢はよいが、怖くて総務省と官僚の問題も機密漏洩も叩くどころか指摘差し上げることすらできないのが現実なのに、謙虚さのカケラも無く被害者面の皮の激厚さで、愚かな人たちの愚かな行動を持ち上げて世の中を従わせる力を持ち続けようとする社や記者がある。
それらがよくわかって、いや怖いわー本当に怖いわー。
小西ひろゆき、杉尾ひでや両議員、ついでに今頃「放送法解釈変更を行なっていないという立証責任を果たさない高市大臣」とか言ってしまう蓮舫議員、ウンザリする国民をまた増やしてくれてありがとう。
でもそれで済んでいいのではなく。
議員さん方の平素の言動への評価、好悪、「ああいうところがあるから擁護しない/する」とかにまるで関係なく、文書漏洩に対する揺るぎない落とし前を法律の下でつけること、行政文書の確実性、信頼性というものが人や立場、場合によって変わることがあってしまうのだと認識すること、挙証責任を都合よく回避したり押し付けたりする超莫迦莫迦しい時間と経費の浪費を国会でさせないこと、そういう本質を外してはいけませんね。
投稿: 宜野湾より | 2023年3月20日 (月) 13時16分
こういう官僚ガラミの怪文書騒ぎには、とうの昔に愛想が尽きて(ジメジメと湿っぽい陰謀めいた嘘チクリなど聞く耳持たん)いて、「おい、いつまでやってるんだ?」と、もうムカついていますわ。モリカケサクラの続編など、もうしなくていい。小学校の放課後にやった反省会の方が、まだ有意義だった。
この小西のヤロウめは、モメているギインさん達がいる演台上へダイブした映像を見てからというもの、もう全然信用ならんのです。まだこんなヤロウの言う事を聞く人達がいるのかと、信じられないですわ。人は、その言よりも、その行動を見れば判断がつくというモンです。
ここに至っては、不本意ながらも上からの命令ということで、真面目に(嘘ツキ)事務作業をさせられた下っ端ノンキャリの人達が自分を責めたりしていないか心配ですわ。悪だくみをする無責任でいい加減な上級官僚の事なんて、洗いざらいブチまけてしまってスッキリして欲しい。黙っていては、またもやトカゲの尻尾にされてしまいますぜ。
それにしても、ここまで任命(イヤイヤかも知れんが)した大臣が立民にコケにされて、自民の総裁や幹事長がおとなしくしてるのはホントに頼りないですわ。いい加減に、この怪文書騒ぎをピシャリと幕引きして欲しい。
投稿: アホンダラ1号 | 2023年3月20日 (月) 22時55分
小西議員にはN元議員があの世からおいでおいでをしているんでしょうね。
投稿: KOBA | 2023年3月21日 (火) 01時32分