米国機密文書漏洩事件
マクロン、帰国したら内外からフルボッコになってしまったようで、FOIP(自由で開かれたインド太平洋)も支持するなんておっしゃっております。
あらあら、米国追随は止めましょう、中国様と仲良くしましょうね、だからFOIPなんか解散しましょう、っていうのがマクロンの持論じゃなかったのかな。
それはさておき、米国防総省から機密文書が大量に流出したようです。
まぁどれがホンモノで、どれがフェークかわかりません。
面白半分でメディアが、つまみ食いするでしょうからご注意ください。
やれやれ、セキュリティクリアランスがもっとも厳しいと言われた米国でこのザマです。
そんなものがないわが国など、一部の役人が「良心の通報者」として機密文書を持ち出し、小西氏やメディアが拡散するなんて実際あった話ですからね。
いや、元総務省課長補佐だった小西氏など、むしろ「オレは大量の総務省文書を持っている」とえばってましたけどね。
それはさておき、米国はウクライナに対して釈明に追われています。
ロイター
「ブリンケン米国務長官は11日の記者会見で、米軍などの機密資料とみられる文書がネット交流サービス(SNS)に流出した疑惑を巡り、ウクライナのクレバ外相と電話協議したと明らかにした。文書にはロシア軍の侵攻に対抗するウクライナの部隊配置や防空能力に関する内容もあり、ブリンケン氏は「永続的な支援」を伝えて信頼回復に努めた。同盟国などの情報も流出しており、バイデン政権は全容解明とともに事態の収拾を急いでいる。
会見に同席したオースティン米国防長官もウクライナのレズニコフ国防相と電話協議したとし、流出疑惑について「非常に深刻に受けとめている」と述べた。文書の真偽については言及しなかったが、2月28日付と3月1日付の文書があるとし、「なぜこの問題が起きたのか徹底的に調査する」と説明した」
(毎日4月12日)
アメリカ、ウクライナに機密文書流出を釈明 同盟国の情報も流出(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
4月からの反攻を予定していたウクライナは出鼻を挫かれていますが、努めて平静な対応をしています。
といっても、ウクライナからすれば、ここでウォー、ギャーとやれば、流出文書に書かれていることが全部ほんとうだと自分から言っているようなものですからね。
[キーウ 12日 ロイター] - ウクライナのレズニコフ国防相は12日、米軍の機密文書流出を巡り、ウクライナ軍に関し事実と一致しない情報が多く混在しているとし、マイナスの影響をさほど重要視しない考えを示した。
レズニコフ国防相は、米国の軍事・情報機関の「機密」「最高機密」文書がソーシャルメディア(SNS)に掲載されたことについて、「虚実が入り混じっている」と指摘。「とりわけ米国などのウクライナの同盟国間の信頼感を低下させることが目的であることは明白」とし、「この企ての恩恵を受けるのは無論ロシアとその同盟国だ」と述べた。
また流出した文書に示されていた、北大西洋条約機構(NATO)の特殊部隊がウクライナ国内で活動しているという情報は「事実ではない」と強調した」
(ロイター4月12日)
このような対応をウクライナがするのは、この流出文書の真偽を、最大の受益者であるはずのロシア自身が疑っているフシがあるからです。
「ロシアのリャブコフ外務次官は12日、流出した一連の文書は偽物で、ロシア政府を惑わすための意図的な試みの可能性があるという見方を示した」
(ロイター前掲)
ロシアは世界最大の偽旗作戦王国なので、自分がやられることを警戒しているようです。
ところでやや意地の悪い笑いが浮かぶことには、この文書はヒューミント(スパイによる諜報)ではなく、どうやら国防総省勤務の役人の子供が自宅のテーブルにあった機密文書をなんらかの方法で写して、ゲーマーに人気の通信アプリDiscordへ流出 させたことから始まったと言われています。
そしてたちまち陰謀論関連のサイトやツイッター、テレグラムなどのメジャーなSNSに拡散していったようです。
国防総省の機密文書の漏洩 (gizmodo.com)
『情報BOX:米機密文書流出事件、現時点での情報整理』としてロイターが参考になる記事をアップしてくれています。
情報BOX:米機密文書流出事件、現時点での情報整理 | ロイター (reuters.com)
この流出文書は、セキュリティクリアランスが高いはずの「機密」もしくは「最高機密」に指定されています。
またこの流出文書中には、2月と3月のウクライナにおける戦況を説明するスライドも含まれています。
これらが電磁的にリークしたのではなく、写真で写されたことは、流出文書に折り目が写っていることからもわかります。
これらは、米国防総省が同省高官に毎日提出している報告書類に似ているとはされますが、一部に改竄の跡があるようです。
現時点ではこの文書を所持していた高官名は公表されていませんが、おそらくとうに特定されて厳しい査問に付されているはずです。
ただし、米軍基地に働いていたミリタリーマニアだったという記事をワシントンポストが流していますので、詳細は不明です。
Discordメンバーは、クローズドチャットグループからドキュメントがどのように漏洩したかを詳しく説明しています-ワシントンポスト (washingtonpost.com)
「「NONFORN」と分類された文書があり、これは外国の情報機関には提供されない。例外的に「FVEY」と分類された文書は、英語圏5カ国の機密共有枠組み「ファイブ・アイズ」に米国とともに加盟している英国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドの情報機関は入手可能で、セキュリティー上問題ないと認められた数千人が閲覧する形になる。
ただ流出した全ての文書が「FVEY」でないことから、流出させたのは米国人の可能性がある、と米政府当局者はみている」
(ロイター前掲)
「複数の米政府当局者の見立てでは、ほとんどの文書は本物だ。ただ一部は改変され、昨年2月以降のウクライナ側の犠牲者に関する米政府による見積もりが過大に、逆にロシア軍兵力の見積もりは過小になっているとみられる。
具体的にどの文書に偽情報がちりばめられたか、また、それがロシアによる情報工作の一部なのか、ロシア側がウクライナの戦争計画を読み違えることを狙った米国の作戦なのかは分からない」
(ロイター前掲)
「今年2月下旬から3月上旬にかけて、弾薬の供給状況の分析が行われた。その結果、ウクライナは米国とその同盟国から供給された軍事資源を使い果たしたことが明らかになった。流出した文書では、ウクライナでは西側諸国から供給された兵器、特に弾薬と対空防御設備に関して、驚くほど不足していることが示されている(略)
米国防総省は、防空システムに加えて、大砲の備蓄の減少についても懸念しており、予測に基づくと、数日以内に枯渇する可能性があるという」
(スプートニク4月10日)
ウクライナの中距離防空システム、5月下旬までに枯渇 流出した米当局の文書から明らかに - 2023年4月10日, Sputnik 日本 (sputniknews.jp) 。
流出した文書内容は多岐に渡っており、ウクライナ以外も含まれています。
●流出文書の内容
各国・地域ごとの概要は次の通り。
─ウクライナ:ウクライナ軍の航空攻撃や防空面の脆弱性、軍の一部戦闘単位の規模に関する詳細。
─ワグネル:ロシア民間軍事会社ワグネルの諸外国への浸透状況。例えばトルコとの「接触」やハイチ政府高官とのつながり、マリにおけるプレゼンスの増大など。
─中東:イランの核開発活動や、アラブ首長国連邦(UAE)のロシアとの一部兵器保守管理を巡る協議についての最新情報。
─中国:ウクライナがロシア領を攻撃した場合に予想される中国の反応、英国のインド太平洋地域での諸計画の詳細。
─北朝鮮:ミサイル発射実験の詳細と、2月の軍事パレードについて大陸間弾道ミサイルの脅威を米国側に過大に見せつけた可能性があるとの評価。
─南米:ブラジル政府高官が4月にウクライナ和平仲介を議論するため予定しているモスクワ訪問に関する情報。
─アフリカ:フランスがアフリカ西部と中部で治安確保に苦戦するだろうとした分析結果。
また、それがロシアによる偽旗作戦なのか、米国の偽情報による攪乱をねらったカウンターインテリジェンスなのかはまだわかっていません。
容疑者が逮捕されたようです。
【ワシントン共同】米機密文書がSNSに流出した問題で、CNNテレビは13日、捜査当局が近く東部マサチューセッツ州の空軍州兵の男を逮捕する方針だと伝えた。ニューヨーク・タイムズ紙によると、男は情報部門所属のジャック・テシェイラ隊員(21)で、捜査当局は13日に同州にある隊員の母親の自宅を捜索した。
機密情報はゲーム愛好家に人気のSNS「ディスコード」のチャットグループで「OG」と呼ばれるリーダーが投稿していた。グループのメンバーらは同紙に対し、OGの身元特定を避けたが、同紙がオンライン記録や州兵の登録情報を調べた結果、テシェイラ隊員だと判明したという。
(共同4月14日)
機密流出、州兵の男を近く逮捕へ 情報部門に所属の21歳と報道 | 共同通信 (nordot.app)
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誰が見ても21歳の州兵レベルが手に出来るレベルの情報ではありませんし、棍本部分の漏えい者や実は呆れるようなセキュリティの穴があったとかまでは公開されないかもしれませんね。
投稿: しゅりんちゅ | 2023年4月14日 (金) 16時32分