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2023年4月13日 (木)

中国の台湾侵攻を正当化する「ひとつの中国」論

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中国軍が台湾をぐるりと包囲する形で、大規模軍事演習を行いました。

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国防省が発表した過去3日間の軍事衝突 (左:人民解放軍の行動、右:台湾の対応)Taepodong(@stoa1984)さん / Twitter


「中国軍は8日、台湾周辺で3日間にわたり軍事演習を実施すると発表した。「台湾独立勢力と外部勢力の挑発に対する厳重な警告で、国家主権と領土を守るための必要な行動」だと説明している。
中国軍の演習は、台湾の蔡英文総統がアメリカから帰国して間もなく始まった。

台湾国防部(国防省)によると、8日には延べ71機の中国軍機と軍艦9隻が台湾海峡周辺で活動。一部が台湾海峡の中間線を越えたり、台湾が西南域に設ける防空識別圏(ADIZ)に入ったりした。
台湾方面を管轄する中国人民解放軍東部戦区によると、演習は10日まで続く予定。
中国の国営メディアは8日の演習目的について、「台湾島周辺でパトロールと進軍を同時進行で実施し、完全包囲と抑止の態勢を確立すること」としている」
(BBC4月9日)
中国軍、軍事演習で台湾包囲の訓練 - BBCニュース

いうまでもなく、蔡英文総統の米国下院議長との面談というクリーンヒットに対しての嫌がらせのつもりでしょうが、最高の民進党への応援となりました。
習近平さん、今度は選挙前にドーンとやってくださいな。

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BBC

この軍事演習と目と鼻の先で、米海軍と海自が共同訓練をしていたことはあまり報じられていません。

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NW

「米海軍は4月10日、南シナ海で「航行の自由作戦」を実施した。台湾周辺で同日まで3日間にわたって軍事演習を行っていた中国軍をけん制する目的があったものとみられている。 (略)
台湾の東岸から約590キロ地点には、米海軍第11空母打撃群と旗艦の米原子力空母「ニミッツ」が派遣され、日米双方の発表によれば、週末までに東シナ海から太平洋西部にかけて日本の海上自衛隊の艦船と共に海上訓練を行った」
(ニューウィーク4月11日)
中国軍の台湾「封鎖」演習を監視していた米海軍第11空母打撃群|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

この中国軍事演習は、馬英九の訪中に対しての信号でもあります。

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台湾の馬英九前総統が27日から訪中、中台分断74年、総統経験者として初―台湾メディア(2023年3月20日)|BIGLOBEニュース

馬は重慶で抗日戦争勝利を偲び、南京で大虐殺記念館で反日を叫びましたが、その時に持ち出したレットリックは、馬が中国と結んだ「92年コンセンサス」の「一中各表」です。
「一中各表 」とは、「一個中國、各自表述」(ひとつの中国をそれぞれの立場で表明する)という意味の略で、台湾国民党は中国共産党と「一つの中国」原則で一致しているという意味となります。

さらっと聞いてしまうとわかりにくいかもしれませんが、これって大変にアブナイ罠が仕掛けてあるのです。
「ひとつの中国」と台湾と中国の認識が一致してしまえば、中国の台湾侵攻はただの国内紛争になります。
国連憲章その他の国際法の違反である「主権国家の領土への侵攻」と言えません。
「ひとつの国」であると台湾が言っている以上、国境の実力による変更ではないからです。

米国にとって、法的には北京政府への政府承認切り替え時に取り交わされた「両岸関係の平和的解決」の約束に違反すると非難できる程度で、この違反だけを理由に米軍で台湾を防衛するのは困難です。
台湾関係法も、米国の国内法であると一蹴することも中国にとって可能です。

この台湾の地位が確定していないこと、一個の独立国として支援国からさえ承認されていない悲劇が、台湾問題を複雑にしています。
台湾が真に独立を達成可能なのは、侵攻を阻んだ時以外ないからです。

ここまで侵攻が目前となっているにもかかわらず、米国も同意しています。
去年訪台した共和党のリンゼイ・グラハム議員はこう言っています。

「2022年4月に台北を訪問した共和党のリンゼー・グラハム上院議員は、「FOXニュース・サンデー」の司会者シャノン・ブリームに対して、中国政府は「台湾封鎖に向けた土台づくりを行っている可能性がある」と話し、台湾軍の訓練を強化し、アジア駐留米軍の増派を促した。
「私は『一つの中国』政策を信じているが、台湾のために闘う用意はある。台湾は民主主義だからだ。私たちは何十年も、彼らを支持してきた」と彼は述べ、こう続けた。(「台湾有事の際に軍事介入するかしないかを明言しない)アメリカの戦略的曖昧さは、機能していない」」
(ニューズウィーク4月11日)
中国軍の台湾「封鎖」演習を監視していた米海軍第11空母打撃群|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)

台湾は正当な選挙によって選ばれた政権によって統治されている実態が存在する「実質的国家」です。
一度たりとも大陸に支配されたことがなく、国家としての実体支配を貫いてきました。
この実体支配を自ら否定するのが「ひとつの中国」概念なのです。
これを認めてしまえば、台湾は、中国の一部の台湾省にすぎず、そこに巣くう叛徒という大陸の主張を認めることになります。
お分かりでしょうか。このワンチャイナという概念がきわめて危険な虚構の罠であることを。

グラハムは続けてこう言っています。

「アメリカが台湾を防衛することを支持するか、という質問に対して、グラハムはこう答えた。「議会にとっての問題は、我々は台湾と防衛協定を結ぶべきか否かということだ。いずれにしろ私は、台湾防衛のために米軍を使うという考えにまったく抵抗はない。そうすることが、アメリカの国家安全保障上の利益になるからだ」」
(ニューウィーク前掲)

いままでの米国のあいまい戦略はもはや機能していない、今後、米国は安全保障上の国益で判断する、ということです。
そしてグラハムがいうように台湾との防衛協定を結ぶことも必要でしょう。
そしてその理由は、中国が国交成立時に交わした「両岸の平和」を維持しておらず、あきらかな侵攻を目論んでいることであり、侵攻はアジアのみならず世界の秩序を破壊することだからです。
ひとことでいえば、台湾防衛とは民主主義の防衛なのです。

マクロンは、先日訪中してこんなことを言っていました。

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フランスはなぜ中国に接近? 対立より協力選んだマクロン大統領(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

「欧州人としての関心事は(欧州の)統一だ」とし、中国に欧州の団結を示すためにフォンデアライエン氏と訪中したと説明。「中国も自分たちの統一を重視しており、彼らの見地からすると台湾もその一部だ。中国の考え方を理解することは重要だ」と述べた 」
マクロン氏、台湾問題「米国に追従すべきでない」 戦略的自立を主張(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

マクロンは「台湾は中国の一部であることを理解する」と言ってしまっています。
もっとも台湾侵攻が近づくこの時期に、頼まれもしないのに欧州の代表のような顔で、こんなことを言う政治感覚が信じられません。
これでは早く侵攻してくれ、欧州は傍観するから、と言っているようなものではありませんか。

同時期、馬は湖南大学でこう言っています。

「また2日の湖南大学での講演で両岸政治について語るときに、「憲法」に言及し、中華民国憲法には台湾地区も大陸地区も「ともにわれわれ中華民国に属する」と語り、憲法解説を用いて、学生たちに中華民国の存在の現実を説明した、という」
(中時新聞網4月3日)

「台湾地区も大陸地区もわれわれ中華民国に属する」、つまり台湾は大陸とは区別された統治実態をもつ国ではなく、「ひとつの中国」だ、というのです。
なんという鈍さ。この人物は蒋介石-毛沢東時代の「ひとつの中国」という幻想に浸って暮らしているようです。

この考えは、北京政府の「中国国家は一つであり、それを代表する政府も一つしかありえず、それが北京政府であり、台湾は中国の一部である」という主張のメダルの表裏です。
ですから、中国軍がいかに台湾を包囲した大規模軍事演習をしようと、はたまた現実に侵攻を開始しようと、それは「一中各表」原則に従えば当然の中国の権利なのです。
台湾侵攻は、国際法上の「戦争」ではなく、あくまでも国内の反徒を政府の軍が鎮圧した「内戦」だということになってしまいます。

したがって、この中国と国民党の「一中各表」に従えば、米軍の介入は法的には正当化ができず、日本の米軍支援も違法行為への支援といわれかねません。
これが中国の法律戦です。

習近平は、この大規模演習を馬の帰国に合わせて行うことで、北京政府から見た「一中各表」の意味を教え込んだのですが、馬にはわからなかったようです。

この法律戦を真正面から打ち破るためには、台湾は正当な選挙によって選ばれた政権が統治する国家であるという実体をくどいほど国際社会にアピールせねばなりません。
そのために蔡英文は、米国の下院議長と面会するというパーフォーマンスをしたのです。

逆にそれを否定したい中国は、「ひとつの中国」信者の馬英九を呼び出して「中国はひとつ」と言わせたかったのでしょう。
もっとも習近平は、馬が「台湾地区も中国地区も国府のものだ」とまでオーバーランするとは思ってはいなかったでしょうが。

来年1月の総統選挙には馬が国民党候補で出馬するといわれていますが、彼が総統に返り咲くようなことにでもなれば、中国の台湾侵攻は「内戦」にすぎないこととなり、米国は支援できなくなります。
そのような法律戦の衣をひっぺがすために、また景気よく軍事演習をしてください。
台湾の選挙民が脅威を理解するいちばんいい方法ですから。

 

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コメント

 馬英九は北京市長時代から「究極統一」だのと言っていて、またぞろ蔡英文総統が否定する「一中各表」を持ちだす狙いは明らかです。
「一中各表」は92年共識がそもそもの発端で、これを中国側は「双方とも『一つの中国』を堅持する」(いわゆる一中原則)で合意に達したと解釈する危険な表現です。

そもそも「台湾」という国は、台湾人が統治する台湾人の国です。
台湾は現在の中華人民共和国に統治された事はなく、当然にそれぞれ別々の政府や統治システムが機能した「独立国」であるのが現状です。
ですから逆に、ことさら「台湾独立」を叫ぶ事は必要もありません。

その現状を変えようと試みているのが、中国の「一つの中国原則」です。馬英九の言う「一中各表」もまた「中国は一つ」という理解ゆえに、台湾人の施政権を引き渡す可能性や、台湾への武力侵攻を誘発しかねない危険なものです。

まあなんというか蒋介石の中国国民軍が逃げ延びてくる前から、台湾は台湾ですからね。清朝時代に変わって長いこと日本統治で近代化した島です。

国際法的な話になると今では複雑なことになるんですけど···今では国連核クラブの安全保障理事会の中共ではなく国民島政権が、ちょっとタイミングが違ってたら台湾島(笑)の政府が常任理事国になっていたわけですから。
1964年の東京オリンピックの最中に初の核爆発実験に精工して数十年後の「世界の悪例」を示したのが毛沢東さんです。「ケザワ·アズマ」ではなく、モウタクトクさんてす。

なんで、そんなに戦争したいのか!?と半世紀後の習近平ですけど、「誰も成し遂げられなかった偉業」というのは甘い蜜なんでしょうね!自己顕示欲の塊でありながら失敗したら中国歴史4000年最大のバカとなりますから。
軍事やハイテクに物量まで揃ったら、なにがなんてもやるでしょうね!!

https://www.taiwannews.com.tw/en/news/4860729


台湾では、今回のマクロン訪中をこのようにまずは報じたそうです。国内向けだけでなく国外へ向けても、外信のセンセーショナルな見出しとマクロンの発言インパクトを上書きして、専門家の冷ややかな批判コメントを添える形。
これは決して仏の裏切りを国民に隠して大本営みたいな書き方をしているのではなく、意識して上書きにかかっています。フランスさん、違うよねえ、言ってることとやってる事違う得意技を出すよねえ、と誘っています。

過度な期待や悲観の時期はもう過ぎて、生き残りを賭けてマスメディアも対応しているのを感じます。

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