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2023年4月10日 (月)

宮古島陸自ヘリ墜落は中国とは無関係です

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陸自のヘリが墜落し、いまも10名の隊員が行方不明になっています。
一刻も早い発見をお祈りしています。

「沖縄県・宮古島付近で陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターが行方不明になった事故で、自衛隊や海上保安庁はレーダーから機影が消えた宮古島北西の海域周辺の捜索を9日も続行した。陸自第8師団の坂本雄一師団長(55)ら搭乗していた10人は依然不明のままで、発見を急いでいる。
8日夜には、宮古島西方の伊良部島の海上で「人のようなものが浮いている」との連絡が陸自にあり、陸自や海保が確認を進めた。
事故は6日午後に発生。師団長らは地形の視察をする目的で搭乗していた。ヘリは宮古島を離陸して北上した後、西寄りに飛行し、消息を絶った。不明になる約2分前の管制との交信では、異常を示す内容はなかったという」
(産経4月9日)
陸自不明ヘリ、捜索続行 宮古島、10人不明のまま - 産経ニュース (sankei.com)

墜落原因に関しては、運輸安全委員会の今後の長い検証を待たねばなりません。
おそらく年単位になる可能性があります。
というのは、可能な限り散乱した状態の部品を、ネジ1本まで拾い集めることから始めねばなりません。
機体の損壊が激しく、しかもそれが海中にある場合、困難を極めるでしょう。
海中にある機体の捜索のために海自の潜水艦救難艦「ちはや」が現場に到着して活動しています。

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陸上自衛隊ヘリ不明 潜水艦救難艦「ちはや」が現場到着 | RBC NEWS|RBC 琉球放送 (tbs.co.jp)

機体の捜索、引き揚げだけで優に数カ月、そこから倉庫のような大きな室内に集められて、ひとつひとつ徹底的に検査にかけられます。
特に今回のように原因が不明で、機体の不具合が憶測される場合、シリンダーひとつに至るまで徹底的に調べられるはずです。

ですから、安易な憶測の流布、ましてやあきらかなデマの拡散は絶対に止めるべきです。
現時点でわかっていることは、わずか時系列と写真、そして発見された部品のみです。
時系列と地理的条件は以下です。

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「捜索部隊を200人以上に増派」陸自ヘリ事故 レーダーロスト2分前には管制と会話も | TBS NEWS DIG

分かる範囲で整理しておきます。

①墜落したのは、宮古島分屯地から離陸後10分で、離陸後2分で通常交信して異常は認められず、わずか8分後に緊急信号もなく墜落しています。したがって、燃料切れの可能性はありません。
②天候は晴天の昼間、風力は6メートル、見通し10キロあり、海上も穏やかでした。したがって、バーチゴ(空間識失調)の可能性はありません。
③パイロットは正副2名が搭乗しており、操縦ミスの可能性も低いと考えられます。
④機体は先月に定期整備を終えたばかりでした。
⑤落下したと思われる海面で黒煙が目撃されています。

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陸自ヘリが消息を絶った方角 黒煙50メートル、水しぶきも 伊良部島でサーファーが目撃(沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース

⑥直ちに海保と海自が捜索にあたりましたが、現時点(4/9)では見つかった残骸は以下だけです。

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住民の不安払拭へ原因究明 南西防衛、異例事態に衝撃/陸自ヘリ事故 – デーリー東北デジタル (daily-tohoku.news)

搭乗していたのは、第8師団の坂本雄一師団長と幕僚たちだったようですが、坂本師団長以外の搭乗者の氏名などは公表されていません。

「沖縄県宮古島付近で行方不明となった陸上自衛隊のUH60JAヘリコプターに搭乗していた第8師団の坂本雄一師団長(55)は、防衛省統合幕僚監部や陸上自衛隊で、防衛政策の立案に携わる中枢を担うポストを歴任してきた。
坂本師団長の自衛官としての階級は、最も高い陸将。第8師団は熊本県内に拠点を置き、九州の防衛や警備を担当する部隊で、今年3月に師団トップに就任したばかりだった」
(産経4月6日)
搭乗の坂本第8師団長、政策立案の中枢ポスト歴任 3月に就任 - 産経ニュース (sankei.com)

第8師団は、有事即応師団です。
熊本市北区の北熊本駐屯地に司令部を置いていますが、熊本、宮崎と鹿児島(奄美群島を含む)の南九州3県の防衛警備、災害派遣の任務だけではなく、有事の場合沖縄離島にも展開します。

「朝鮮半島情勢への対応や、台湾、沖縄県・尖閣諸島を巡る情勢の緊迫化を受け、2018年3月に全国に先駆けて「機動師団」へと改編。有事の際には担当区域を越えて緊急展開する部隊に生まれ変わり、沖縄を含めた島しょ部にも展開する。 ている。現在の所属は約5000人」
(読売4月7日)

陸自ヘリ不明、第8師団は南九州防衛が任務…熊本地震支援も : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

今回の坂本師団長のヘリ視察は、師団長就任に際しての初度視察でした。
第8師団に課せられた、離島有事を念頭にいかに対処するのかを実地で視察していたものだと思われます。

なお、まったく同時期に中国軍が、空母「山東」を台湾沖に通過させ、大規模演習をしているために、これとの関係を取り沙汰する人がいますが、その可能性はありません。
右も左もおなじようなことを拡散していますが、困ったものです。
陸自ヘリ墜落への“不可解な疑念”…「第8師団長が搭乗」「事故と判明」防衛省の異例の発表で「深まる謎」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース

「山東」の位置は波照間島の南300キロです。

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Google Earth

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防衛省統合幕僚監部(@jointstaffpa)さん / Twitter

「墜落したのは領海内防衛省によりますと、5日午後6時ごろ、中国海軍の空母「山東」とフリゲート艦など合わせて3隻の艦艇が、沖縄・波照間島の南、およそ300キロの海域を東に向け航行しているのを確認したということです」
(日テレ4月6日)
中国海軍の空母「山東」沖縄県の南の太平洋を航行、初確認~防衛省(日テレNEWS) - Yahoo!ニュース

そして波照間嶋から宮古島まで約165キロです。
仮に「山東」艦隊が戦闘機を上げるか、あるいは随伴艦艇が対空ミサイルを陸自ヘリに発射した場合、HQ-7ミサイルなら500キロ以上の射程がありますから、理論上は不可能ではありません。
しかし当時、「山東」艦隊のすぐ後ろには、海自の「さわぎり」が追尾していたはずですので、発射を感知しえないはずがありませんが、その報告はありません。
また戦闘機やミサイルを発射したなら、宮古島に駐屯する第53警戒隊のレーダーサイトに直ちに捕捉されてしまいます。

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宮古島分屯基地|防衛省 [JASDF] 航空自衛隊 (mod.go.jp)

これらの報告がない以上、「山東」艦隊とは無関係です。

むしろ本気で中国が坂本師団長を狙ったのなら、陸上から携帯型対空ミサイルを使用するでしょうが、この目撃もありません。
そもそも対空ミサイルが着弾した場合、大きな爆発音と火球が生じるはずですが、その目撃例もなく、機体は炎上せずに落下しています。
操縦不能にさせる電波だという説もありましたが、それだけ強力な電波ならば、地上のレーダーサイトでノイズとして検出されているはずですが、そのような報告はありません。

考えられる墜落原因は以下です。

①荒天→晴天だった。
②空間識失調→パイロットは2名。しかも昼間で晴天。

③操縦ミス→ 2 名が同時に操縦ミスをする可能性は低い。

④燃料切れ→離陸後10分ではありえない。
⑤機体の不備→定期点検から1カ月後だった。
⑥整備ミス→調査結果待ち。
⑦バードストライツク→低空であるし可能性としてはありえる。
⑧撃墜説→ミサイル、妨害電波などは地上レーダー施設で検知されていない。

このように見てくると、墜落原因は不可解としかいいようがない状況です。
SNSでは、自衛隊の高位の軍人が乗ったヘリが落ちた、「山東」艦隊が至近距離にいた、突然の原因不明の墜落ということを重ね合わせて「偶然が重なりすぎている」という意見もありましたが、ひとつひとつ丁寧に見ていくと、これらは無関係な事象の集合なのです。
事故において偶然が重なり合うことなど、珍しくもないことです。
事故を主観で結びつけてはいけません。先入観に支配されないこと。
事実を構築していくことでしか、原因究明につながらないのです。

あらためて行方不明の隊員の一日でも早い発見を心からお祈りします。

 

 

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コメント

今朝のテレ朝の番組で捜索が進まない理由として地元漁師の話を出してました。

「ニンガチ・カジマーイ」とは、沖縄で昔から言い伝えられている春先にかけて、穏やかな南風から強い北風に急変する現象のこと。漁業関係者には、台風の次に海が荒れる日として恐れられています

また、ヘリが消息を絶った当日も夜からこの風が吹いていたそうです。
島民の話では低空飛行をしていた、いつもより音が大きく聞こえたと。
もしかすると地形を見るために低空飛行を行い、突如この風に遭遇し操縦不能になったのかもしれません。

中国の仕業ではと発言してる人達は、何かの意図をもって流布しているのか、単に面白おかしく無責任な発信をしている。
いずれにせよ、よろしく無いです。

何処かで生きている事を願いながら続報をただ待つのみ。
だのに民放もNHKも、搭載機器の動作とその性能・目的などについて、正しくない情報を含むニュースを流していて少しイラつく。
撃墜説を説明して否定してくれている朝日新聞の記事が有料になっている不親切にもイラつく。

 記事に記された事実からすれば、中国や人民解放軍の関与は認められません。
ただ、何というか、「ヒューミント」ですか、そういうものの可能性まで100%ないとも思わないです。
例えば、墜落してから一時間以上たってからの「黒煙を伴う爆発」を証言したサーファーがいたりして、墜落そのものよりその後の爆発によって捜索を困難にしている可能性もありそうに思っています。

初動の遅れもあったと思います。
捜索のヘリ部隊や伊良部大橋に向かう自衛隊車両が多くなったのは、事件の翌朝からの事。
宮古警察署なんか事件の晩は、署長はじめ人事異動の歓迎会を開いて街中の某店で宴会してました。
もともとのんびりした宮古気風に毒されてしまって、ゆるゆるの体制になってしまった面があるのかも知れません。

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