有事に自衛隊の緊急展開を妨害する沖縄県
これではっきりしました。
離島有事の際に、沖縄県は自衛隊の展開を妨害してきます。
自衛隊は北朝鮮のミサイル発射に備えてPAC-3の緊急配備をしていますが、沖縄県と地元の管理組合の反対で配備に遅れが出ました。
沖縄テレビ
「24日、那覇港管理組合などには防衛省から海上自衛隊の輸送艦「しもきた」を接岸させるため那覇港新港ふ頭を使用したいと打診があり中城湾港にも大型の船を接岸したいと問い合わせがありましたがいずれも民間の貨物船で岸壁が埋まっていて受け入れできない状況だということです。
一方、宮古島市の平良港では25日、自衛隊車両の陸揚げが予定されていましたが、市によりますときのう自衛隊から中止の連絡があったということです。
防衛省関係者は自衛隊の輸送機や民間の貨物船を利用するなど輸送計画を変更して対応するとしています」
(沖縄テレビ4月25日)
自衛隊輸送艦 沖縄本島の港に入港できず PAC3配備に影響 (沖縄テレビOTV) - Yahoo!ニュース
やむなく自衛隊は代替手段で石垣島に搬入しました。
「関係者によると、24日に中城湾港や那覇港に入ろうとした海上自衛隊の輸送艦「しもきた」は計画を断念。代わりに「はくおう」が九州からPAC3関連の車両を積んで石垣、宮古に直接入る計画を立てている」
(琉球新報4月26日)
自衛隊PAC3展開、無届けで港湾使用 沖縄・与那国の祖納港 空港では時間外も(琉球新報) - Yahoo!ニュース
船舶だけではなく、航空機にも難クセをつけて、到着を遅らせました。
「航空輸送でも混乱が続いた。複数の関係者によると、自衛隊側は24日、25日午前1時ごろに新石垣空港を使用したいと打診したが、管理する県側は同空港の運用時間(午前8時~午後9時)外であることを理由に断った。
県関係者は「航空機の管制のほか、空港管理にも人を要する」と話した。与那国空港には、運用時間外の25日午後8時ごろ、C2輸送機が飛来した」
(琉球新報前掲)
結局、ヘリなどで運べる機材に分けて搬入したようです。
一括で搬入できる船舶とはまったく展開の速度が違うのはいうまでもありません。
「石垣島には、24日夜に発射機、25日に射撃管制装置やレーダー装置、電源車がそれぞれ輸送された。27日には民間船で関連車両を輸送する予定」
(八重山日報4月25日)
PAC3の搬入続く 石垣、与那国空港にヘリ 自衛隊(八重山日報) - Yahoo!ニュース
北朝鮮がいつミサイルを沖縄上空に飛ばしてくるのか分からない中、民間貨物船の予約が一杯だといって本島に寄港させないというのですから開いた口がふさがりません。
それにしてもすごいね、デニー知事、ここまでやるか。
海も空も有事に際してはまず一致協力するのが常識なはず。
海路、空路でそこにまで来ている自衛隊の艦艇や航空機にさっさと帰れというのですから、なんともかとも。
今、北朝鮮や中国は離島をミサイルの標的にしようとしています。
2016年2月には、離島上空に弾道ミサイルを飛ばしてきました。
あえて離島上空を通過させたのは、本島上空にすると米国の報復を食うおそれがあったからです。
「北朝鮮は7日午前9時31分ごろ、「人工衛星」と主張する事実上の長距離弾道ミサイルを北西部の東倉里(トンチャンリ)から発射した。(略)日韓の情報などを総合すると、北朝鮮は東倉里の射場から発射。同41分ごろに沖縄県上空を通過。部品が同45分までに東シナ海や太平洋上に落下した」
(日経2016年2月7日)
北朝鮮、長距離弾道ミサイル発射 沖縄上空を通過 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
そして中国は2022年8月に、波照間の近海のEEZにミサイルを撃ち込んできました。
「中国は4日午後3時ごろから午後4時過ぎにかけ、9発の弾道ミサイルを発射し、うち5発について中国が公表していた沖縄県波照間島の南西に設定された訓練海域の中のEEZ内に落下。他の4発はいずれもEEZ外で、1発は沖縄・与那国島の北北西、2発は台湾南西、1発は台湾北部に設定された各訓練海域に落下したと推定される」
(産経2022年8月4日)
中国ミサイル、波照間島南西に 岸防衛相「強く非難」 - 産経ニュース (sankei.com)
このように宮古・八重山は、北朝鮮や中国にとって勝手気ままに弾道ミサイルを撃ち込めることのできる空域だと思われています。
そして離島周辺海域では、中国公船が常駐して日本漁船の「違法操業」を取り締まることで、実質上中国領海と化そうとしています。
中国公船が漁船を追尾 仲間氏「尖閣取りに」と危機感 2隻の領海侵入も | (yaeyama-nippo.co.jp)
また宮古島のすぐそばを中国海軍は通り道にし、日常的に空母艦隊や爆撃機を頻繁に通過させています。
つい先日の4月22日には、中国は戦略爆撃機を宮古海峡を通過させて示威飛行をしました。
NHK
「防衛省は21日午後、中国軍の爆撃機2機が沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋に出て、再び戻ったと発表しました。
発表によりますとH6爆撃機2機が21日午後、東シナ海方面から飛来し、沖縄本島と宮古島の間を通過して太平洋上を南東に進んだ後、太平洋上を北西に進み、再び沖縄本島と宮古島の間を通過して、東シナ海に戻ったという事です」
(NHK4月22日)
中国軍の爆撃機2機が沖縄本島と宮古島宮間を往復通過|NHK 沖縄県のニュース 。
中国空母など8隻が宮古海峡通過 西太平洋で訓練 - 産経ニュース (sankei.com)
どうしてこんな無法が許されてきたのでしょうか。
いうまでもなく、長年に渡ってこの離島地域が防衛ゼロ地域で、島を守るのは駐在のピストル一丁だけだったからです。
このようなことを許さないために、自衛隊は宮古石垣、与那国に駐屯を開始したのです。
そして緊急時にはミサイル防衛の展開も可能とする備えも準備しています。
それが今回のPAC3の緊急展開だったわけです。
それを反対するとは、デニー知事は離島の県民の生命を沖縄県は守る意志がないということです。
デニー知事の言いぐさはこうです。
「北朝鮮が計画する衛星発射を巡り、防衛省が発表した地対空誘導弾パトリオット(PAC3)の県内配備について、沖縄県の玉城デニー知事=写真=は22日、「まずは情報をしっかりと精査し、政府へしかるべく説明を求める」と述べた。那覇市内で記者団の質問に答えた。
玉城城知事は、北朝鮮がミサイルの発射を繰り返している状況で、防衛省が今回に限ってPAC3を県内配備する対応を疑問視。これまでとの対応の違いについて「背景をしっかり精査するよう(担当部局に)指示した」と述べた」
(沖縄タイムス4月23日)
玉城デニー知事「唐突だ。住民の理解を得られるのか」 迎撃ミサイル配備で情報の精査を指示(沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース
なにが「背景をしっかり精査しろ。県民の理解が得られない」ですか。
精査もなにも「背景」は北が離島上空に弾道ミサイルを通過させようとしていることくらい、この人は知らないのでしょうか。
そして言うにことかいて「県民の理解」ですと。
当事者である糸数与那国町長と中山石垣市長は、緊急配備どころか常駐のPAC3の受け入れを求めているのです。
彼ら当該首長は「県民」ではないようです。
琉球新報
与那国町長は配備に諸手を上げて賛成し、このまま恒常的配備にしてほしいと述べています。
「北朝鮮の軍事偵察衛星発射に備え、防衛省・自衛隊が地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を与那国島へ初めて展開していることを受け、与那国町の糸数健一町長は25日、町役場で報道各社の取材に応じ、PAC3を「撤収しないでほしい」と述べ、常駐を望む考えを示した。県に対しては港湾や空港の「使用許可を速やかに出してほしい」と注文を付けた。
糸数町長はPAC3配備に関して、石垣市の中山義隆市長が「受け入れる」と明言し配備に前向きな姿勢を示したことに「当然だ」とし、自身も肯定的な立場であることを示した。
防衛省と自衛隊が配備に向けて「かなり迅速な対応」で「ほっとしたと同時にうれしかった」とも述べた。その上で「できればそのまま撤収しないでこの島に置いてほしい。いつでもすぐ、即時に対応できるように、あってほしいというのが本音だ」と強調した」
(琉球新報4月26日)
PAC3「撤収しないでほしい」 報道各社の取材に常駐配備を要望した与那国町長 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト (ryukyushimpo.jp)
中山義隆石垣市長も、明瞭に市民の生命保護のために受け入れると述べています。
「防衛省が航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊の先島諸島への展開準備を指示したことを受け、石垣市の中山義隆市長は22日、石垣市役所で報道陣の取材に応じ、防衛省から正式な要請があれば「受け入れていきたい」と述べ、配備受け入れを表明した」
(琉球新報2023年4月23日)
石垣市長「受け入れる」 「市民の安全最優先」 PAC3展開 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト (ryukyushimpo.jp)
これが北朝鮮のミサイルや中国の脅威にさらされて続けている当該首長の意見です。
デニー知事は、その任期内に起きる可能性が高い台湾有事に際して急に協力的になるはずがありません。
今回の対応と似た行政による順法闘争的サボタージュ行為と、反基地派を煽ってのすわり込みなどをするはずです。
たとえば離島に展開する自衛隊に対して港湾に寄港させるのを妨害したり、下地空港の使用を断ったり、基地からの道に座り込んだりとあらゆる陰湿な手段を使って妨害をするかもしれません。
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デニー知事の態度は琉球王朝の周辺諸島に対する傲慢な態度を彷彿とさせますな。
投稿: KOBA | 2023年4月28日 (金) 12時12分
玉城知事は外交外交とよく仰いますが、自国の国防政策実行の中で打診されて即断る嫌がらせすると、どんな対外メッセージと受け取られ得るか、どのように利用され得るかについてのセンスは、持ち合わせておられないようです。(お約束の段取りのひとつとか、捕食したいけどわかりやす過ぎて何かの罠かもとか思われる可能性もあるけれど)
私は陰謀論には与しないしウルトラライトでもないので、玉城知事が中共や琉球独立派の手羽先だとかは思わないですが、こう拙くなれるには、深刻に思考力が足りていないか、マスコミや活動家に何か本人が致命的に思っているネタでも握られているくらいのことはないといくらなんでも…とは考えちゃいます。
地元が望んでいるのに「住民の理解が得られない」とはなんぞ?というわけで、知事の仰る「住民」が主として日本国沖縄県民を指すとして、民意はより範囲の大きい民意に上書きされるのならば、国民の選択した政権による決定に従うのが当然となりますが、民意の範囲によって服従させる/させられるような使い分けよりも、市町村と県、県と国、互いに譲歩できるところできないところを調整する交渉による政策実現があってよいはずですがねぇ。
与那国や石垣の民意など知らぬというならば、「誰も取り残さない」とは何であるのか。
「取り残さない」や「話し合う」と「相手の言う通りにする」は同じではないから、調整があるのではないのか。
玉城知事がリスクを取って(自覚できてるかどうかは知らんけど)中華人民共和国へ行くのは好きにやったらよろしい。
評価するかどうかのポイントは、中共船が我が国領海内に留まり領有を主張する日常を止めさせ、我が国主権に口出し手出ししないことを約束させ、確実に履行させ、且つそれらを沖縄からの不釣り合いに大きいお土産無しで実現できるかどうか。
まぁ何回行ってもいい、ただ、もし仲良くしたいことを伝えるだけ、戻って中共の言い分を我々に伝えるだけになるなら、それは「外交」ではないし、中共による主権侵害に言うべき苦言も言えないのは、対等な関係でもないです。
中共に対してニコニコしていてもガードは決して下げず、常にこちらが少しだけ有利になる形や肝の部分は守りきる形で事を運ぶ矜持と実力が伴わないと、小児の火器使いと変わらない危うさがあります。
火遊びにならない実力とか伸びしろを、玉城知事が隠し持っているといいのだけれどなぁ。
投稿: 宜野湾より | 2023年4月28日 (金) 14時16分
有事であれば自衛隊が公共施設を優先利用できます。
しかし、今回のような場合は県側の協力が必要な事案。
防衛庁が言うように、「(今回の事案で)インフラ利用で見直す課題が浮き彫りになった」し、そのための法整備が急務だと明瞭になりました。
でなければ、イデオロギーにまみれた県側の不作為に殺されてしまう危険さえ感じます。
与那国町長は関連機材が遅れた事態に、「こうしている間にミサイルが飛来したらどうするのか?」と疑義を呈しています。
この与那国町長は自ら県に対して空港の時間外使用を要請していて、「一分一秒を争う国防は綺麗事だけでは済まされない」としています。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年4月28日 (金) 17時00分