林さん、行く前からわかっていただろう
なにをしに行ったのやら。
林外相、言われっぱなしのようです。
これではまるで一般的日中外相会談ではありませんか。
林氏はあくまでも抗議にいったのであって、一般的意見交換しに行ったのではありません。
はき違えているのではないですか、この人。
「中国外務省によると、中国の秦剛(しんごう)国務委員兼外相は2日、林芳正外相との会談で、米国が主導する対中半導体規制を念頭に「封鎖は、中国の自立自強の決意をさらに呼び起こすだけだ」と述べ、日本に米国と連携しないよう求めた。
秦氏は「日本はG7(先進7カ国)のメンバーであり、加えてアジアの一員でもある。会議の基調と方向性を正しく導き、地域の平和と安定に有益なことをすべきだ」と呼び掛けた。G7議長国を務める日本にクギを刺した。
秦氏は「矛盾や不一致に対し、徒党を組んで圧力を加えることは問題解決の助けにはならず、お互いの隔たりを深めるだけだ」と発言。米中対立を背景に、G7メンバー国などが対中圧力を深めていることを暗に批判した」
(産経4月2日)
中国外相、半導体規制に反発 台湾問題「介入許さない」(産経新聞) - Yahoo!ニュース
【林外相】中国・秦剛外相と初の会談 拘束された邦人の早期解放など求めたか - YouTube
福島第1の処理水についても、ご意見を承って来たようです。
「日本政府が春以降の開始を見込む東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出については、秦氏は「人類の健康、安全にかかわる重大な問題で、日本は責任ある態度で処理すべきだ」と注文を付けた」
(産経前掲)
かんじんのアステラス製薬幹部の拘留についての秦剛氏のお答え。
「日本の製薬大手・アステラス製薬の現地法人幹部男性の拘束については、「中国は法に照らして処理する」と主張した。また、秦氏は日本側に「実務協力を推進し、人文交流を増進することを望む」などと発言した」
(産経前掲)
なにが「法に照らして」だ、法が恣意的、かつ人治的、政治的意図をもって使われ、邦人を不当に拘留しているから、このようなことが頻発するのでしょうが。
こういうタワゴトを中国に言わしてしまうこと自体、敗北です。
言われたなら、直ちに「逮捕理由の根拠を詳らかに開示せよ」と切り返さねばダメです。
なぁなぁニコニコしに行ったのではなく、同胞を奪還しに行ったんでしょうが。
福島第1の処理水についてなど、議題に載せることからして間違い。
半導体規制うぬんぬんも知らん。
こちらが言うべきはただ一点。直ちに釈放せよ、だけです。わかっているのかな、林さん。
中国が日本人駐在員を拘留しているのは、日本に外交的見返りを求めているからです。
人質を返してほしければみやげ物を置いていけ、と盗賊の親分は言っているわけです。
そのみやげ物とは、日米同盟強化をせず、台湾有事を放置し、尖閣はおとなしく譲り渡し、反撃能力獲得などとんでもない、そしてSC(セキュリティクリアランス)には手をつけず、半導体規制などの経済安保も行わないということです。
それが彼らの言う「日中友好」という土産です。
ふゆみさんSCについて甘い書き方をしてすいません。改めて記事にまとめますので、ご勘弁のほどを。
繰り返しますが、こんなことは行く前からわかっていました。
決定権がない外交部長の秦が交渉に出てくるようでは、なにを交渉しても無駄だくらい予測しえたはずです。
日本は大きな声で抗議しながら、米国と共に圧力をかけるしかないのです。
いちおう政治局員の王毅も顔くらいは見せて、やはりこんな釘を刺していきました。
「外交担当トップの王毅共産党政治局員も林氏と会談。台湾問題などを念頭に「日本の一部勢力が米国の誤った対中政策に追随し、米国と歩調を合わせ、中国の核心的利益に関する問題で中傷や挑発をしている」と非難した」
(産経4月2日)
中国・王毅氏「日本の一部勢力が誤った米政策に追随」 - 産経ニュース (sankei.com)
台湾有事は日本の有事だなどと言っているお前のボスの岸田をなんとかしろ、という意味でしょうね。
さて、気を取り直して駐在員拘留事件について続けます。
今回拘留された日本駐在員の人となりを、産経新聞台北支局長矢板記者が伝えているので、ご紹介します。
原文は中国語ですので、福島香織氏が和訳しています。
「北京で失踪後一か月後に、中国当局が「スパイ罪」で中国警察当局に逮捕されている、と確認した。日本の世論は騒然とした。このアステラス幹部は高収入の親中派人士で、彼がスパイなんで誰も信じていない。日本の林芳正外相はこの数日内に中国に赴き外交交渉を展開する。
日本メディアはこの幹部の名前を公開していない。それは(公開によって)家族が中国の怒りを引き起こすことを恐れているからだ。(名前を公開すれば)拘留中の人物にとって不利益になりそうだからだ。実際、私も数日前にこのニュースを聞いた。この幹部は私が北京で記者時代に知る古い友人だ。
2014年前後、私が月に一度、開いていた勉強会に講師として来てもらったことがある。これは毎月講師をまねき、日中政治、社会、文化などについて講義してもらうもので、彼を医療問題専門家として招いたことがある。この勉強会後、私たちはよい友人となって、よく一緒に酒をのみ食事をした。
まだよく覚えているのだが、彼はリハビリ問題について語った時に、中国と日本の文化の違いについて言及していた。日本人は生きるということに真面目で、もし、脳溢血などで下半身不随なったら、非常に医者の指導に協力的にリハビリ療養をする。痛みで脂汗をにじませ、叫び続けながらもそれをやる。だから日本で医薬品を使ってリハビリをする場合、多くの場合身体能力は70%前後まで回復するのだ、と。
しかし、中国は、患者であれ患者家族であり、こうした苦痛に耐えるリハビリをしたがらない。医者も真面目に指導しないし、おざなりになる。だから、同様のリハビリ機器や医薬品を使用しても、身体能力の回復は40%ぐらいなのだ、と。
このアステラス幹部は、愛情があり、中国の貧困地域にも多くの医薬品を寄付してきた。その生き方は豪快で、細かいことにはこだわらない。
私が北京を離れるときに、彼は送別会をしてくれた。日本食レストランを貸し切り、マグロを一匹買い上げて、その場で板前に捌いてもらい、新鮮な刺身を食べさせてくれた。
彼には中国の友人も多いが、ほとんど政治を語らない人だった。だから、一人暮らしの彼が中国で突然「失踪」したのは、本当に意外でしかない。
産業スパイの可能性をいう人もいる。これはさらに理解不能だ。中国人が日本に行って、日本の医薬品を買いあさるのだ。日本の製薬技術は中国よりも進んでいるように見える。中国の製薬企業が日本の技術を盗むとしても、日本の医薬企業が中国の技術を盗むなんて聞いたことがない。
日本企業が、彼を助けてくれますように。」
福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ)NO.762 2023年3月31日
福島氏によれば、今回のアステラス幹部拘留は、在中日本人社会で衝撃が広がっているようです。
その理由は、矢板記者の文章にも現れているように、この人物にはつけ込まれる隙がまったくなかったことです。
もちろん、スパイをしていたなどということを信じているものはひとりもいません。
中国企業が日本企業の技術を盗むことは日常茶飯事でも、その逆はありえないからです。
ワクチン製造やコロナ治療薬にしても、日本は中国よりもはるかに先行しています。
強いていえ承認や治験の結果を知るための接触は当然あったはずですが、それをスパイ行為とされたら中国ではなにもできなくなります。
「日本企業は中国への警戒を強めるが、アステラスなど製薬企業にとって中国は巨大市場。新薬の承認申請のため現地当局との接触が多く、臨床試験(治験)などで得られる重要情報を取り扱う。塩野義製薬は上海の合弁企業など中国に3カ所の拠点を設け、医薬品の製造・販売などを展開。新型コロナウイルスの飲み薬「ゾコーバ」の中国での承認申請を目指している。
製薬業界関係者は「現地で集めたデータを国外に持ち出すことについて、当局はかなり神経をとがらせている」と指摘。別の製薬会社の関係者は「中国での事業展開については、より慎重に考慮していく必要があると考えている」と語る」
(産経4月1日)
日本企業、中国での活動警戒強める アステラス社員拘束受け(産経新聞) - Yahoo!ニュース
中国に進出している製薬会社系は緊張しているようです。
「田辺三菱製薬は北京で医薬品開発を行うなど中国に2拠点を設けている。現地当局との関わり方について、「現地の法令、規制などを十分に理解し、順守した上で業務にあたるよう周知徹底している」と説明。今回の事件を受けて、「駐在員の安全を第一に考え、中国における事業活動では現地の法令順守を念頭に行動するよう、改めて周知した」としている」
(産経前掲)
ネックは、新薬の承認をとる際の治験を日本に持ち帰る時です。
とうしても日本のラボで分析せねばならないわけで、そこをつけこまれると抵抗できません。今回も、検体の持ち出しなどがスパイ容疑にふれた可能性もあります。
ただし日本企業でも製造業や機械メーカーはまだのんきで、特に警戒態勢をとってないようです。
「ある電子部品メーカーの担当者は「今回は拘束されているのが製薬会社の社員なので、われわれ製造業にはピンとこないのではないか」と分析する」
(産経前掲)
日本叩きをしたければ、理由と膏薬はどこにでもつくので、この危機感のなさがこわい。
ところで反面教師として、かつて6年間拘留されたある人は、中国の内部闘争に首をツッコミすぎたようです。
習近平VS共青団という因縁の闘争において、片方に与してしまい、その人は「中国要人とオレは懇意にしている」と日頃から自慢していたようです。
ですから共青団が全面敗北すると、それに連座してしまった形になってしまったようです。
日中友好団体系の人がチューゴク大好きなのによく拘留されたのは、こういう親中団体にはヒモがついていることが多いからです。
日本にいるときも、なんらかの形で中国の資金援助があったり、人的派遣をもらったりしていますし、いったん中国に渡れば中国内部の派閥の中で活動することになります。
その派閥がパージされた場合、在中日本人まで泥を被って拘留されてしまうことがあったようです。
ちなみに、この時期にデニー知事は訪中しようとしていますが、この時期に訪中するという「恩恵」に預かれたのは、デニー氏が台湾攻略のための要にいることだけではなく、彼が習近平派となんらかのつながりがあることをしめしています。
デニー知事は、一貫して中国公船による尖閣周辺の領海侵入に対し、抗議しない考えを崩さず、中国公船の侵入に対しては「パトロール」と表現して中国の施政権下にあるような態度をとっています。
たぶん、台湾進行ともなれば、沖縄から出撃する米軍に対して非協力的ならまだしも、サボタージュ活動すらしかねません。
そして一方では、習近平の一帯一路には「一帯一路に関する日本の出入り口としての沖縄の活用」することを要望しています。
このような深い関わりを中国と結ぶと、いったんひっくり返ればどのようなことになるか、考えてみるのですな。
それはさておき、このアステラス製薬の駐在員は、そのような中国要人との接点もなく、むしろ中国で見放されているリハビリ治療や、貧困地帯への医療支援などを真面目に取り組んできました。
また、よくあるのはハニートラップです。
日本でも首相経験者が見事に引っかかったケースがありますが、この共産国の常套手段にこの人も引っかかってしまったようで、これも日本人社会では知られていました。
ちなみに、この時期にデニー知事は訪中しようとしています。
この時期に訪中するという「意味」が分からないで行くのか(たぶんそうでしょうが)、ただの兼の首長レベルがコンタクトを持てるはずのない習派のお招きなのか、いずれにして呼ぶほうの下心は見え透いています。
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>なにをしに行ったのやら
デニー知事の場合、目的はもっと露骨でしょう。
投稿: KOBA | 2023年4月 3日 (月) 08時23分
ハニートラップ(女)にしろ、金にしろ地位にしろ、今自分のいる国や人々、土地や建築物や環境を他国に破壊させてまで、手に入れたいものなのでしょうかね?
そこが、さっぱり理解できない。
投稿: ねこねこ | 2023年4月 3日 (月) 10時14分
私の知るかぎりの危険を顧みず海外にとどまる人達。
社命だけではなく現場の人たちと水が合うというか、やりがい生きがいを感じる瞬間を在外活動で持てた方々なのではと思っています。今回の方などその筆頭の人格者なのですね。悲しいです。
だからこそそれを踏みにじる共産党を私は許せないです。
日本側の言い分については報道しない自由が発令されているようなので外務省公式を貼りますね。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/c_m1/cn/page1_001565.html
外相会談に於いて戦略的にメディアが国益や日本人保護の観点で報じるべきは、今彼らが書いているような「中国がこう言った」のみではなく、自分の国の公式が発している内容をもとに「林はこう言ったが中国側はこういう態度だ」の順で本当のところを深掘りスタートすることです。
マスコミなんてそんなもんで先んじて対策しない林が悪いと斬るのもありなんですがね。
ウチらは新聞でネットでSNSで、言われっぱなしの林象のシャワーを浴び続けている。その意図は誰の何なのかと、分断以外の何でもない。
その言い方が、顔が、選挙区が、態度が元々嫌い、顔を見るのも嫌で全然いいのですが、何も言わずに言われっぱなしではないはずですよ。
投稿: ふゆみ | 2023年4月 3日 (月) 12時09分
どだい無理な話かもしれませんが、邦人の逮捕を受けて訪中をドタキャンするくらいのパフォーマンスしても良いのに。と自分は思いますが、如何せんリンさんなんでやっぱり無理ですよね。
ホイホイ、ニコニコの訪中ですもん。あっちにもこっちにもいい顔外交は、今のご時世無理じゃないでしょうか?日本としては、アメリカと歩を一にすると態度表明すべきでは?ただ、アメリカも梯子外しがとくいなだけに、きっぱり言い切るのも難しいのでしょうかね?
投稿: 一宮崎人 | 2023年4月 3日 (月) 14時42分
「林をディスって何になる」との、どなたかのコメントを拝見しましたが、林大臣はTV番組で「「ただ待っているのではなく、米中両方と話ができるのが日本の強みだ」と言った。この認識の阿呆さ加減をちゃんと正しく理解しないと今般の林訪中の評価は出来ません。
成果などせいぜいが製薬会社役員の解放程度であって、そのために譲歩する部分がどれだけ盛大で致命的なものになるのか、そういう危惧を持つのが当然です。
「言うべき事を言った」とか、「意思疎通の窓口継続~云々」などという綺麗ごとの裏に必ずあり得る日本の譲歩、日本から米国への否の可能性を考えると、まことに憂鬱になります。
ついでに言えば、米中接近が如何に日本の立場を苦しめて来たか、逆に日本は米中派遣争いの中でこそYP体制、戦後レジームを打破する好機でもあります。林大臣はまるで逆の方向にひた走っています。
よりにもよって、福田康夫などからめた訪中にはますますウンザリ致します。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年4月 3日 (月) 15時02分
随分と昔から、もうすぐ中共は崩壊する、という予測とも希望ともとれるウワサがありましたが、ココへ来て、私はついに崩壊の始まりが見えてきたのだと思えてなりませんわ。
それを一番ワカっているのが当の中共インサイダーで、それでも中共のカチコチに硬直した階級制度の中では、いくら彼らが柔軟にコトに当たろうとも、相互監視して内輪で蹴落とし合いをしている組織の中では個人の力なぞ無いに等しいので、党内の空気に流される他ありませんわ。個人的にはこのままだとヤバイと思いつつも、我が身可愛さからイヤイヤ行動する。
そんな組織の中でこそ暗躍して来るのがサイコパスな野郎達で、大声出してエエカッコして上層部にゴマスリし、その反面、下の者には鬼のように振る舞う。こんな者は普通の自由な社会なら、すぐに人望を失くして失脚することになるのですが、中華人民共和国だからゴキブリのようにはびこってしまう。そして、ついに臨界点に達しようとしてる。
あのチンピラヤクザ顔の戦狼報道官を見なくなったと思ったら、ウワサでは彼の妻がコロナ対策のロックダウンに反対する意見をSNSに流したのが判明し、辺境に左遷されてペンキ塗る仕事してんだとか。本当だとしたら面白いし、あの中共なら本当に思えてしまう。それにしても妻の行動まで監視されて連帯責任を負わせるなんて、ウソだ!と思えないところが流石です。
そんな制度疲労を起こして弱っている中共には、本来の外交戦略なら、上段に建前論を振り上げてバサバサと切り下すのが上策ですわ。「私企業の個人を拘束して理由も明かさないとは、中共政府は誘拐犯なのか?」「これが解決するまで、他の事は交渉できない、誘拐犯とは話し合いを持てない」「日本人はハシと茶碗でメシ喰ってるんで、本来なら米国より中国に親近感があるハズだが、誘拐犯相手なんて問答無用だ」
そも、外務省は昔から内弁慶なので信用できない。国内向けにはキレイ事を言うが、交渉相手には譲歩しまくってラクな仕事にしてしまうのは、現在の日本の立ち位置からして判ってしまっていますわ。林外務大臣には、キッチリと仕事して欲しいですわ、まず無理だけど。
投稿: アホンダラ1号 | 2023年4月 3日 (月) 23時02分