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2023年4月 7日 (金)

ほんとうに窮地に立っているのか、トランプ

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トランプがニューヨークの大陪審に起訴され、ニューヨークに到着しました。
トランプの天敵CNNはこう報じています。

「(CNN) ついに起きた。数多くの捜査が5年以上にわたって行われた後で、米国のドナルド・トランプ前大統領がニューヨーク州マンハッタン地区の大陪審によって起訴された。事情に詳しい情報筋が明らかにした。トランプ氏も反撃し、起訴は「政治的迫害」であり、「このような魔女狩り」は裏目に出ると警鐘を鳴らした。
起訴内容の詳細についてはまだ分からないが、マンハッタン地区検察のアルビン・ブラッグ検事がかねてトランプ氏を捜査していたことは周知の事実だ。捜査はトランプ氏が2016年の大統領選時、ポルノ女優ストーミー・ダニエルズさんに口止め料を支払う計画や隠蔽(いんぺい)に関与したとの疑惑とつながる。
今回の事態は単にトランプ氏が初めて刑事責任を問われただけでなく、大統領経験者が起訴される初のケースだ。従って、我々は未知の領域に足を踏み入れていることになる」
(CNN4月1日) 
起訴されたトランプ氏に裁判所はどう対処するか - CNN.co.jp

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CNN

こりゃてっきり、エプリルフールの悪い冗談かと思いました。
なんせロシアが国連安保理の議長国になる世の中ですからね。出来すぎです。
まずトランプを起訴したのがたかだか地区検事、しかも経済系の検事です。
前大統領を連邦検事ではなく、ただのニューヨーク州のそのまた下のマッハッタン地区の検事が起訴し、しかもその人物たるやバリバリの民主党系の人物ときています。

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トランプを起訴したマンハッタン地区検察官、アルビン・ブラッグ検事

「米国では連邦検察官は大統領に任命され、司法省の指揮下で仕事をする。これに対し、各州の法律を執行するのが地区検察官だ。中でも、企業が集中するマンハッタンを担当する地区検察官は経済系の犯罪を多く立件することで知られる。
地区検察官の多くは選挙を通じて選ばれ、官僚組織に所属する日本の検察官とは制度が異なる。ブラッグ氏も、ニューヨーク州や連邦の検察当局で仕事をした後、2021年11月の選挙に民主党公認候補として立候補し、当選。22年1月に就任した」
(朝日3月31日)
トランプ氏起訴の検察官、民主優勢のマンハッタンで当選した民主党員:朝日新聞デジタル (asahi.com)

日本の検事制度が、国家の司法機関として運用されているのに対して、米国では連邦の司法省の傘下にある連邦検察官と、州政府の傘下にある地区検事に分かれ、しかもそれが立候補制だというから頭がクルクルします。
いわば国の検事とは別に、世田谷区にも選挙で選ばれた区の検事がいて、彼が前大統領を起訴したということにでもなるのでしょうか。(間違っていそう)

しかも出来すぎなことには、このブラッグ検事も民主党から出馬した人物ですから、党派色はイヤになるくらい鮮明です。
勘ぐるもナニも、民主党系検事が来年に迫った共和党の最有力候補を、記録改竄程度の微罪でパクれば、そういわれてもいたしかたありません。

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トランプ氏出頭へ「私に罪はない」 NYは厳戒態勢…今後どうなる? | khb東日本放送 (khb-tv.co.jp)

いままで何人かの候補が争っていた共和党は、がぜんトランプを守れでピタっと団結してしまいました。

「共和党議員からも呼応する発言が相次いだ。トム・コットン上院議員は「検事を解任し、交代させるべきだ」と批判。マッカーシー下院議長は検事が「民主的プロセスを妨害しようとしている」とし、議会で追及する姿勢を示した。
本来は軽犯罪の業務記録改竄(かいざん)を大統領選に絡めて重罪とする起訴事実には懐疑的な見方もある。米CNNテレビが3日に公表した世論調査では、共和党支持者の93%が起訴判断には「政治」が関係していると回答。79%が起訴に反対した」
(産経4月5日)
「迫害」訴えるトランプ氏、狙いは党内や支持者の「結束」 - 産経ニュース (sankei.com)

共和党候補最有力といえど、トランプが共和党候補で勝つにはかなりのハードルがありました。
老齢を隠せないトランプと、若くてハンサム、しかもバリバリの保守であるデサンティス・フロリダ州知事とは拮抗していました。

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トランプとデサンティス
ロイター

「デサンティス氏によるウクライナ関連発言の迷走、トランプ氏に対する司法当局による複数の捜査は、今年の予備選挙が「膨大な不確実性に満ちている」ことを意味する――これが、かつてデサンティス氏のもとで世論対策を担い、現在は共和党のストラテジストを務めるウィット・エアーズ氏の見立てだ。「指名の行方はまだまったく読めない」
(ロイター3月29日)
アングル:米共和党予備選、トランプ氏・対抗馬ともに不安要素 | ロイター (reuters.com)

2020年の大統領選に対しての遺恨で、いまだ選挙結果を否定する党員が多いため、候補者が定まらなかった州も多かったようです。
ところが、今回の逮捕劇でこの形勢が逆転しました。

「今回の調査では、共和党支持者の約48%が予備選でトランプ氏に投票すると回答。3月14─20日に行われた前回調査の44%から上昇した。
一方、トランプ氏の有力対抗馬と目されているロン・デサンティス・フロリダ州知事の支持率は約19%で、前月の30%から低下。他候補の支持率はいずれも1桁台。
直近の2つの世論調査では共和党のトランプ氏支持は57~56%と、2位のデサンティス氏に33ポイントの差をつけた。トランプ氏陣営は起訴を逆手にとって支持固めを図っており、起訴を巡り献金も呼び掛けて、すでに700万ドル(約9億2000万円)を集めた」
(ロイター4月4日)
トランプ氏リード拡大、24年大統領選共和指名争い=世論調査 | ロイター (reuters.com)

また、ロイターによれば、重要州の西部ネバダ州で党員35人に取材したところ、トランプ氏支持からデサンティス氏に乗り換えようと考えていた20人のうち14人が起訴後、トランプ氏に戻ったそうです。

ポルノ女優との関係うんぬんも、宗教保守を支持層とするペンスにはダメージでしょうし、クリーンイメージのディサンティスにとってもマイナスでしょうが、ヒール風味のあるトランプだとかえってうらやましいぞとばかりに人気が上がりそう(失礼)。
ホワイトハウスの執務室でインターンに淫行を働いていたセクハラ男のクリントンより、いっそ「さわやか」です。

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トランプ氏リード拡大、24年大統領選共和指名争い=世論調査 | ロイター (reuters.com)

共和党議員も団結してしまいました。

「共和党議員からも呼応する発言が相次いだ。トム・コットン上院議員は「検事を解任し、交代させるべきだ」と批判。マッカーシー下院議長は検事が「民主的プロセスを妨害しようとしている」とし、議会で追及する姿勢を示した」
(産経前掲)

トランプと喧嘩別れしたペンスも立候補を表明していましたが、この件に関しては抗議の意志を表明しています。
つまり、民主党系検事のこの一撃は、共和党をトランプで団結させてしまったようです。

ところで起訴内容は、CNNによれば主にこのようなものです。 

「起訴書面によれば、トランプ氏はコーエン氏に対する口止め料分の払い戻しの支払いを隠し、「法務サービス料」の名目で毎月小切手を切っていたとされる。この取り引きはホワイトハウスの大統領執務室で両人が考案したという。
検察によれば、トランプ氏本人がコーエン氏に払い戻す小切手にサインした。そこにはダニエルズ氏に秘密保持契約への署名と引き換えに支払った口止め料13万ドルも含まれる。
コーエン氏への払い戻しの総額は42万ドルに及び、所得税の偶発債務関連の金額やボーナスも含まれているという。トランプ氏はコーエン氏に対し、1年にわたり毎月3万5000ドル支払うことに同意したとされる」
(CNN4月5日)
トランプ前大統領に対する起訴内容、ポイントを解説 - CNN.co.jp

この起きた年は2016年は、トランプが共和党使命争いのレースをしていた時代に当たります。
もちろん大統領職には就いていない、一民間人の時代です。

この時期にトランプはポルノ女優との関係を知ったタブロイド紙の経営者に個人弁護士のコーエンを通じて口止め料を支払い、コーエンがこれを建て替えたということが罪に問われたようです。
しかしだからどうしたという類のことで、もっと巨額の裏金を動かしていた元大統領が民主党にはいるのにもかかわらず、そこかい、と言いたくもなります。

時事は「執念の捜査」などと言っていますが、連邦捜査当局が逮捕しなかったのには理由があります。
連邦検事は元大統領を訴追できないのです。

「だが、FBIなど連邦捜査当局はトランプ氏の刑事責任を問わなかった。18年当時、トランプ氏は大統領在任中。捜査当局を管轄する司法省には、現職大統領を訴追しないとの内規があった」
(時事4月2日)

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時事

34の訴状といっても、多くは献金がどーした、口止め料がどーした、記載されていないからどうなんだ、全部有罪なら禁固何百年だなんて言っていたメディアもありましたが、いずれにしても微罪の集積のようですが、まだトランプ側の反論が出揃っていないのでなんともいえません。
トランプは優秀な弁護団を作るでしょうから、有罪に持ち込むのはそうとうに困難であって、政治的な意味しかもたないでしょう。
これを政治的意図ではない、あるいはCNNが「何人も法を超えない」と力説してもどんなもんかね、と思われるでしょうね。

「ここではっきりさせるべきなのは何人も法を超えた存在ではないということであり、トランプ氏も自らの行いに対する責任を、他のどの市民もそうするように負う必要があるということだ。今回の起訴はそうした説明責任に向けた第一歩に他ならないが、道のりは長く、険しいものになるだろう」
(CNN前掲)

CNNが言うと、なにかポリコレの匂いが漂います。
ブラッグ検事ていどの小者(失礼)が、「何人も不正を犯せば逮捕」とリキんでも、この時期に、この人物を、このていどの罪状で起訴したら、民主党支持者からはヤンヤの喝采、そしてなにより共和党支持者はガチっとトランプ守れで一致団結してしまうに決まっています。

その意味で、逆説的にも政治的なのです。

いずれにしても、この自分の団体の事業記録の記載漏れ(改竄)ていどは微罪、ないしはスキャンダルにすぎません。
「大統領の犯罪」というには、あまりにも卑小です。

こんなていどのことでトランプ御大を起訴しても、全部罪状否認しましたし、長引けば長引くほど、その間トランプはテレビに出っぱなしで、バイデンの権力の濫用を攻撃し続けることでしょう。
そういう絵をつくってしまったのは民主党側です。

そう考えると、いったい誰が得するのやら。
ま、いちばん得するのはまちがいなく、常にニュースの一面を大統領選まで張れるトランプ御大でしょう。
そしてもっとも損をするのは、「合衆国大統領」という自由主義陣営の指導者のディグニティを毀損された米国かもしれません。
ウォールストリートジャーナルはこう見通しを予測しています。

「数カ月のうちに裁判の日程が決定される。だが公判前に行われる手続きの進捗(しんちょく)によっては、先延ばしされる可能性もある。弁護士や法律の専門家は、1年以上先送りされ、次期大統領選と重なる可能性もあると述べている」
(WSJ4月5日)
トランプ氏は無罪主張 今後の展開は? - WSJ

やれやれそれにしても大統領選の争点がこれですか。

 

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コメント

個人的にはこの見方の逆というか、共和党支持者を一枚岩にさせないためにトランプにはもう少し党内をかき回して欲しい思惑が民主党にあるんじゃないかと見てます。
よほど状況が変わる事案でも起きない限り議会突入を煽った件に加えて年齢的な不安もあるトランプ氏が共和党の代表候補となればバイデンの再出馬でも無い限り勝ち目は無いと見ています。
この騒動が起きるまでトランプ氏の存在感はどんどん希薄になってたいただけに、一番迷惑を感じているのは共和党側かもしれません。

 共和党の大統領選候補者をトランプに決定づけるべく、側面支援する目的としか思えない愚策ですね。うがち過ぎた考え方でしょうが、他の共和党候補との一騎打ちの場合、民主党には勝ち目がないと踏んでいれば合理的なかも知れません。

それにしても報道はひどいものです。
ストーミー・ダニエルはトランプに名誉棄損で訴えられ、すでに50万ドルの支払いを命じられています。その後の裁判費用負担に関する訴訟の方も、つい先日トランプ側の完勝で終えています。
なので、この訴訟はトランプ氏にまつわる「不倫裁判」ではなく、経理処理が適切であったかどうか?の、つまらないものですね。

すでに連邦検察官はトランプ氏に対する類似の訴訟は諦めていて、けれどNY州では経理処理の動機によっては重犯となり得るという事のようですが、その動機も示されていない変な具合となっています。
なお「32件の重犯」は、トランプ氏がコーエンに32分割で支払った一つ一つを指していて、本来の訴訟法では一本であるべきハズのものです。

コーエンへの支払いは既に大統領に就任した後の事なので、NY州の裁判所では管轄権の問題もあります。
また、初公判が12月になるなど、大統領選を見据えた政治的動機ミエミエの事件です。けれど、担当判事もブラッグ検事に負けず劣らずの民主党支持者だし、70%が民主党支持者のNY州では陪審員によって「トランプ有罪」が見込まれるかも知れません。

ただ、トランプ氏自身、これまで3200件の裁判をこなし、ハードな訴訟の中で財を成して来た百戦錬磨のつわものです。
「法の下の平等」も、「法的安定性」も欠いた非民主主義的なトランプ逮捕・起訴劇場ですが、既存のリベラルに不満を募らせているアクティブな層によるアメリカ社会への反旗であるように見えて仕方ありません。

 みなさん、お願いがあります。どうぞ、伊藤貫氏の言論をお聴きください。 非常に参考になります。

 「伊藤貫の真剣な雑談」で検索してください。
 

 

ueyonabaruせっかくのご紹介ですが、伊藤貫氏のウクライナ言説にはまったく賛成できません。

伊藤さんって、典型的な親プーチンの極端なロシアンラバーじゃないですか(笑)

なんでそんなのを拡散希望なのか気が知れませんけど、鈴木宗男並というか。
西欧諸国の極右グループは大概プーチンが大好きみたいですけど、我が国でも何か関係あるんですかね?

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