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2023年5月

2023年5月31日 (水)

北朝鮮、弾道ミサイルの「眼」を打ち上げ

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速報
政府は、Jアラート=全国瞬時警報システムで、午前6時半沖縄県を対象に情報を発信し、「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難して下さい」と伝えました。北朝鮮は31日から来月11日までの間に「人工衛星」を打ち上げると日本に通報しています。防衛省は事実上の弾道ミサイルが発射された可能性があるとみて、引き続き情報の収集を進めています。
(NHK5月31日)
  【速報中】北朝鮮からミサイル発射か Jアラート発出沖縄県対象 | NHK | 北朝鮮情勢

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1段目の分離後、2段目のエンジンの始動で異常が起こり推進力を失って黄海に墜落した」と明らかにしました。一方、国家宇宙開発局は今回の失敗を受け、「今回の欠陥を具体的に調査・解明し、これを克服する対策を早急に講じ、できるだけ早く第2次打ち上げを断行する」と表明したということです
【速報】北朝鮮「衛星ロケット発射も墜落。できるだけ早く第2次打ち上げを行う」 朝鮮中央通信(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース    

                                         ~~~~~~~

 

北朝鮮がわが国に軍事偵察衛星の打ち上げを通告してきました。

「【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機を6月にすぐ発射することになる」と表明したと伝えた。李氏は、他にも多様な偵察手段を実験予定だとし、「米国とその追従戦力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視し、軍事的準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した」
(産経5月30日)
北軍首脳が偵察衛星を6月発射と表明 「米の軍事行動を即時監視」 - 産経ニュース (sankei.com)

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【北朝鮮】サングラス姿の金総書記が… “ミサイル発射実験”の映像公開 - YouTube 

今回は普通の手続きを踏んで事前通告し、推定落下地点情報を国際海事機関にも通達しています。

「【ロンドン聯合ニュース】北朝鮮が30日、偵察衛星の打ち上げ計画を国際海事機関(IMO)に通告したことが分かった。
 IMOの関係者らによると、北朝鮮は同日午前、英ロンドンのIMO本部に対し「衛星の打ち上げに関して、日本の海上保安庁にこのような内容で伝えた」とする電子メールを送った。
打ち上げの日程は日本時間で5月31日午前0時から6月11日午前0時までの間とし、残骸などの落下予想地点として3か所の座標を示した」
(聯合5月30日)
北朝鮮 IMOにも衛星打ち上げ通告=31日から6月11日(聯合ニュース) - Yahoo!ニュース

ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮問題研究グループ 38ノースも、北西部・平安北道(ピョンアンプクド)東倉里(トンチャンリ)の西海(ソへ)衛星発射場 発射基地で追加の施設が増大していることを報じています。

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「アメリカの研究機関が、北朝鮮が新たな発射台の整備を急速に進め、人工衛星の打ち上げに向け準備をしている可能性が高いとの分析を発表した。
北朝鮮を分析するサイト「38ノース」は24日、衛星画像の分析を発表し、北朝鮮が西海(ソヘ)衛星発射場で、海岸沿いに新たな発射台を急速に整備していると指摘した。
また、画像などをもとに「人工衛星の打ち上げに向けて整備を加速していることを示唆している」と分析した一方で、液体燃料式ロケットを使用する場合には、「追加の設備が必要になる可能性が高い」との見方も示している」
(FNN5月26日)
北朝鮮 人工衛星打ち上げ準備加速か 米・38ノース「新たな発射台整備」(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース

発射基地の近辺には正恩様用VIP用の展望台も作られたようです。
いうまでもありませんが、弾道ミサイル実験は安保理決議違反で、本来ならさらなる制裁の対象となるはずですが、中国とロシアが公然と反対するためにウヤムヤになるはずです。
だから、撃ち放題、やりたい放題、し放題。
これでは国連安保理は、本来の目的とは正反対に、ならず者国家が国際社会を脅迫することを認めるためにあるようなものです。
あー、バカバカしい。この2国を排除しない国連安保理など無意味です。

ところで、今度は大陸間弾道ミサイルではなく、軍事偵察衛星だそうです。
これは本当でしょう。

「金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は昨年12月20日発表の談話で、次のように言っている。
「われわれは、大陸間弾道ミサイルを開発するなら、大陸間弾道ミサイルを打ち上げるのであって、(中略)衛星に偽装して長距離ロケット実験を行わない」
(高英起5月30日)
金正恩の偵察衛星発射、背景に「24人死亡」の残酷史(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース

与正女史が言うとおり、いままでさんざん長距離弾道ミサイルの実験を見せつけてきたのですから、ここにきていまさら日本政府が言うように「衛星と称する弾道ミサイル発射」(日本政府)などという回りくどい言い方をするのはナンセンスです。
「衛星」という言葉の響きに平和的なものを感じてしまうからこのような言い方をするのでしょうが、軍事偵察衛星は軍事目的に使用する純然たる核戦力の一部ですから、これは「武力による威嚇」である、と言っておけばよいのです。

かつては「宇宙開発」と称して弾道ミサイル実験をしていました。

国民を飢餓線上に置いておきながら宇宙開発もないもんですが、もうそんな偽装は必要ありません。

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北朝鮮の「人工衛星」 軍事偵察能力誇示、日米韓3カ国を威嚇か | 毎日新聞 (mainichi.jp)

先代の正日時代の「光明星」シリーズまでは、長距離弾道ミサイル技術が不安定だったために、盛んにアレは宇宙開発だ、なんて言っていましたが、もちろんウソでした。
しかし、いまや、コケの一念で弾道ミサイル技術はほぼ完成の域に入り、多弾頭化と小型化を追求する段階に入っています。
したがって、次に必要なのはミサイルを撃つための「眼」です。
つまり、北朝鮮の弾道ミサイルは政治的コケ脅かしである段階から、実戦を視野に入れたものに大きく変化したのです。

ただし、北がこの軍事偵察衛星にどのていどのレベルの光学機器、あるいは合成開口レーダーを搭載できたかについてまったく情報がありません。
また撮影したデジタル映像を暗号変換して地上に送る装置が、どのようなものかもわかっていません。
ちなみに技術的にはるかに進んでいる日本ですら、20年間かけてようやく今の体制を作りましたので、そうそう簡単なものではないとはいえます。
偵察衛星 - Wikipedia

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何のための情報収集衛星なのか?(その1) 情報収集衛星とはこんなもの | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

また大規模な受信施設も作らねばなりません。
日本には国内に4カ所あります。

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内閣衛星情報センター | 内閣官房ホームページ (cas.go.jp)

軍事情報を常時収集するつもりだ、と軍事委員会は述べています。

「北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機を6月にすぐ発射することになる」と表明したと伝えた。李氏は、他にも多様な偵察手段を実験予定だとし、「米国とその追従戦力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視し、軍事的準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した」
(産経5月30日)
北軍首脳が偵察衛星を6月発射と表明 「米の軍事行動を即時監視」 - 産経ニュース (sankei.com)

北朝鮮が得たい軍事情報は朝鮮半島における米韓軍の動きと近海における米空母の動向でしょうが、1基偵察衛星が上がっただけではほとんど無意味です。
というのは地球周回軌道にうまく乗せたとしても、衛星はすぐに必要とされる地上目標の上空を通過してしまうからです。

偵察衛星は地上を監視する性格上、人工衛星としてはギリギリまで低い1000キロで飛行せねばなりません。

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宇宙戦争、もう映画だけではない時代 日本が演習初参加:朝日新聞デジタル (asahi.com)

低く飛べば解像度が高い画像が得られる代わりに監視できる範囲は必然的に狭まります。
ですから、偵察衛星は同一の軌道を周回するのではなく、少しずつ軌道を変えて飛行して広域をカバーするか、多数の衛星がペアになって監視するようにしています。
よく安易に「米空母の位置を知ろうとしている」などという人がいますが、バカ言っちゃいけない。
米海軍の空母の位置は最高ランクの秘密ですから、大洋に撒いたゴマ粒のような艦船を発見するには、どれだけの衛星が必要なのかわかって言ってほしいものです。

一般的に、衛星は4日で同じ位置に回帰するため、地球上の任意地点を毎日最低1回は観測可能となるように、数基がペアで飛行します。
日本の場合、二組計4機の体制を構築することから始まり、2003年以来、高性能化のための18機(うち2基は技術実証衛星)の衛星が打ち上げられ、2023年1月現在は8機が稼働しています。
その他に、2020年には衛星が観測したデータを中継して地上に伝えるデータ中継衛星も静止軌道上で運用中です。

このように偵察衛星はシステムであり、比較的遅れて始まった日本の偵察衛星ですら累計19機。うち8機で運用されています。

ですから、一朝一夕に先進国並の軍事偵察衛星を保有することは、本体のICBMの開発と増産を圧迫してしまう可能性もあります。
とはいえ、北朝鮮による偵察衛星の打ち上げは、その技術が弾道ミサイルと基本的に同じだからという単純な理由だけではなく、北朝鮮がそれを発射する「眼」を求め始めたという意味で、まがうことない軍事的脅威なのです。

 

2023年5月30日 (火)

まさに馬鹿息子

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先日、けっこう恥ずかしいネタが官邸から出てしまいました。
去年暮れに、アノ岸田翔太郎クンがまたやらかしてくれたようです。

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「異次元の親ばか」の声も…ひな壇で“組閣ごっこ”?岸田総理・長男が公邸で忘年会【Nスタ解説】 | TBS NEWS DIG (1ページ)

まぁメディアの喜ぶまいことか。

「見覚えのある赤じゅうたんで写真を撮る若者たち。
ここは岸田首相が住む首相公邸の中にある階段で、組閣の際、大臣らが記念撮影を行った場所だ。
そのセンターで微笑むのは、翔太郎氏本人。
週刊文春の報道によると、2022年12月30日、翔太郎秘書官は親族らと首相公邸で忘年会を開催。その際、首相らが居住する私的なスペースの他に、重要な来客との会談などが行われる公的なスペースにも立ち入り、記念撮影を行ったという。
この場所ではさらに、岸田首相の甥とされる男性が、食べ物を手に寝そべるような写真も撮られている」
(FNN5月26日)
「息子に甘すぎ」首相公邸の階段で寝そべり…岸田翔太郎秘書官の“忘年会写真”を野党が追及 「更迭すべき」の声に首相は…|FNNプライムオンライン

言われても仕方ないね、典型的馬鹿息子です。
岸田さん、せっかくG7でいい仕事をしたのに台無しにしかねない三重のバカです。
まず、このポンクラ息子をなんの取り柄もないのに首相秘書官という側近に据えた岸田氏のセンス。

ダメですって、親族を側近にしたら。どこかの専制国家じゃあるまいに、なにもしなくても縁故を重視したといわれます。
こういう縁故贔屓は韓国の宿痾でしたが、日本でもここまでおおっぴらにやるとはね。

この翔太郎クン、KO出て三井商事に勤めていたという経歴しかない未熟者で、会社にいたらまだペーペーだったはずです。
なにか特別な才能や見識があっての登用とも思えません。

首相秘書官といっても、せいぜいがところ仕事は、オヤジの看板、地盤、かばん(金庫)を引き継ぐ修行をしているカバン持ちていどのことで、そんな岸田家の都合で公職に就けないでいただきたいものです。

故安倍氏が、実弟の岸信夫氏を弟が故に内閣にいれなかった厳しさと正反対のユルさです。
こういう公私を混同しないから、安倍氏は森友学園問題で毅然として突っぱねられたのですが、岸田氏が息子や親族がからむ事件が起きた場合、同じことができるか、です。

次に、岸田さんは性的マイノリティに関する不適切発言を理由に、荒井元首相秘書官を「言語道断」と言ってクビにしましたが、なぜ同じように官邸でわるふざけをしていた翔太郎クンを言語道断と切れないのか、切れない岸田氏のほうが問題です。
おまけに、この岸田一族大忘年会に、岸田氏も顔をだしているようでアキサミヨー,チャーナランサーです。
なぜ、一発、このときにジュニアに雷を落として、さっさと解散して居酒屋でヤレ、といえなかったのか、なんつう異次元の親馬鹿。

そして三つ目に、こんな写真が流出するようなセキュリティの甘さです。
たぶんこの親族ご一同の中に漏らしたものがいたのでしょうが、その人物が某国の息のかかった者だったらどうします。
盗聴器着け放題、爆弾着け放題、秘密文書だだ漏れ、首相を暗殺し放題。
いまや、岸田氏はかつての地味キャラではなく、G7以降、国際政治の世界のプレイヤーのひとりになっていますから、こんなユルユルのセキュリティで大丈夫なんでしょうかね。
ああ、イヤダ。

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岸田翔太郎首相秘書官
産経

結局、このボンクラ息子は解任だそうです。

「政府は29日、首相公邸内で親族と記念写真を撮るなど不適切な行動が批判された岸田文雄首相の長男の翔太郎首相秘書官(政務担当)が6月1日付で辞職し、後任に山本高義元首相秘書官を充てる人事を発表した。事実上の首相による更迭となる。6月21日の今国会会期末が迫り、重要法案の審議が残っている中、政権運営へのダメージ回避を図ったとみられる」
(産経5月29日)
岸田首相の長男、翔太郎秘書官を更迭 公邸内の不適切行動に批判 - 産経ニュース (sankei.com)

サミット大成功による政権浮揚効果を打ち消し、狙っていた解散も封じ込めてしまったのですから、遅すぎました。
本来は翔太郎クンが自分から、文春記事が出た翌日に辞表を出すくらいでよかったのに、首相が更迭を打ち消してしまったのですから、どこまで親馬鹿なのかと言われるはめになってしまいました。
こういう処理を見ていると、岸田さんの危機管理能力まで心配になります。

 まぁ勘当するか、頭をまるめて比叡山にでも送るのですな。

 

 

 

2023年5月29日 (月)

いまだにトンデモ放射能測定をしている、韓国メディア

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韓国政府が、やっと福島第1の処理水の海洋放出にIAEAの判断を待つ、と言い出しました。
や~っとですか。常識に帰るというのは、かほどに難事業のようです。
いままでのムン政権は、原子力事故についてもぶっ飛んでいて、言うことなすこと日本の反原発原理主義者とまったく一緒でしたからね。
東京五輪は、ムン政権の反日総仕上げの態をなしていたほどで、韓国選手団の宿舎からはこんな横断幕が出る始末です。

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韓国が選手村で(2021年7月16日) - YouTube 

選手村食堂は福島県産が使われているとしてボイコットさせ、韓国から取り寄せたこんな粗末な弁当を食わしていました。
オリンピックに出ようというアスリートに、こんな粗末なコンビニ弁当以下のものを食わしてどないすると思いますが、ま、いいか。

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名付けて放射能フリー弁当だそうです。(笑)
ちなみに韓国選手団は、「危険な福島食材」の放射能測定をすると言って、ガイガーカウンターを直に当てています。

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こんな測り方では正しい値は出ません。
日本においては、2011年当時からゲルマニウム半導体検出器での測定が常識でした。

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放射能検査の方法|生協の食材宅配 生活クラブ生協 (seikatsuclub.coop)

食材を刻んでチョッパーにかけてから計測器にかけて測ります。
まちがってもガイガーカウンターの直当で計るコトなどしません。
そもそもガイガーカウンターは、放射線量を計るサーベイメーターの中でもっとも安物で、GM管(ガイガーミュラー管)の円筒の中に不活性ガスを封入しただけのものです。
放射線がこの容器内を通ったときに発生するパルスを数える原理ですが、弱い放射線だと測定不能になり、逆に一定の水準を超えた強い放射線はすべてをパルスに変換しきれず、その放射線量を正確に検出できません。
また、やってみればわかりますが、製品によって検出値のブレが激しいために幾台ものガイガーカウンターで何回か計って平均値を求めます。本気で計測したいのなら、シンチレーションサーベイメーターを使うべきでしょう。

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シンチレーションサーベイメーター

私は2011年夏に、大学の研究者と一緒に私の村を測定して回りましたが、個人のガイガーカウンター3台と、茨城大学所有のシンチレーションサーベイメーターを使用しました。
とまれガイガーカウンターは安物ですから、おおざっぱに空間線量を計るために用いるもので精度は期待できず、ましてや食材や土壌線量などを計っては失笑ものです。
今どきこんなことをしていること自体、驚きでした。

こういうデマの流布には、北朝鮮の工作が入っていたことは昨今の韓国政府の捜査でわかってきています。
ユン大統領は、国内にはびこっている北朝鮮のスパイ工作網の摘発に乗り出しており、「市民団体」や労組、政党に延びた北の工作が明らかになってきています。

「韓国の情報機関である国家情報院が、北朝鮮スパイ網の大がかりな摘発に乗り出した。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の意向を背景に、韓国内に根を張る地下組織に切り込もうと、野党の支援組織である労働組合にも踏み込んだ」
(日経2023年2月13日)
「北朝鮮スパイ」大規模摘発へ - 日本経済新聞 (nikkei.com)

愚劣の極みにまで振れてしまった反日の振り子を元に戻しているのがユン政権ですが、この放射能問題にも決着をつけたいようです。

「東京電力福島第一原子力発電所にたまる処理水を海に放出する計画をめぐり、韓国大統領府の高官は、IAEA=国際原子力機関が、6月までに公表するとしている評価結果に沿って、韓国としての立場を判断する考えを強調しました。
福島第一原子力発電所にたまる処理水を基準を下回る濃度に薄めて海に放出する計画をめぐっては、IAEA=国際原子力機関が、来月までに、放出開始前の包括的な評価結果を公表するとしています」
(NHK5月25日)
韓国 “IAEA 評価に沿って判断” 福島第一原発 処理水放出計画 | NHK | 福島第一原発 処理水

ただし、日本に派遣している専門家による視察結果も踏まえて判断するもの、と言っているのが気になります。

また、「原発事故から10年以上たったが、韓国の海岸や水産物などは、どこを見ても問題がないと述べる一方で、福島県産などの水産物の輸入禁止の解除についてはそれは別の問題だ」(NHK前掲)とも言っていますから、この調査団次第でわかったもんじゃありませんのでね。
野党は早くも「IAEAに対する日本の拠出金は多いので信用できない」なんて言っていますしね。

韓国調査団に随行する韓国メディアがこんなトンデモ報道をしています。

「私は福島第一原発から海道沿いに5キロほど離れたところに来ています。正確に言いますと福島県双葉町です。 (中略)
放射能の数値も直接測ってみました。原発から2キロ離れた町の入り口で測ったときは、1時間あたり2.5マイクロシーベルトが出ました。
人体に及ぼす放射能数値を数字で示すものです。東京は普通0.1くらい出ますが、それに比べると25倍高い数値です。
もっと高い地域もありましたが、あるところは5マイクロシーベルトを超えました」
(韓国YTN2023年5月23日)

福島からの記者...道路脇の放射線レベルを確認しました (naver.com)

この韓国メディアは、「福島でこんな数値が出ている!」って大騒ぎしていますが、その時の測定風景の映像です。
す、すいません、私、おもわず笑っちゃいました。
これが11年前くらいならまだしょうがないねぇ、程度でしたが、いまでもこんな測り方をしているのはよほどの無知なのか、為にするモノです。

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YTN

これを見ただけで、この韓国メディアはなにひとつ放射能について勉強しないし、する気もなかったのがわかります。
その結果が、2.5マイクロシーベルト/時、5マイクロシーベルト/時であると韓国メディアの映像で言っていますが、仮にこの2.5マイクロシーベルトという数値が正しいとしても、「マイクロ」というのは「ミリ」のさらに1000分の1です。
1マイクロシーベルトは1シーベルトの100万分の1です。
200万マイクロシーベルトで5%致死線量なので、5%致死線量の1000分の1にすぎませんから、5マイクロシーベルトは0.0005ミリシーベルトに相当しますので、下の表には乗りもしない値です。

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「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト」とはどんな単位なのか、どのくらいから危険なのか?放射線量計測単位のまとめ - GIGAZINE

そもそも空間線量を計ると言って、なぜ側溝に手を突っ込んで測定しているのでしょうか(笑)。不思議な人たちです。
いいですか、空間線量を正しく計るには、地表から1メートル離して、計測器のセンサー部分はビニールで覆います。
計測も何回も計測して、平均値を求めます。これが常識です。

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エステーエアカウンター│放射線の基礎知識│放射線の測り方 - 空間線量の正しい測り方/測定された値について (st-c.co.jp)

そして韓国記者は雨でも平気で計っていますが、測定のイロハも知らないようです。
降雨時に計ると線量は必ず高く表示されますから、やってはいけません。

環境省_QA2-29 雨の日に一時的に空間線量率が高くなるのは、なぜですか。 (env.go.jp)
①大気中に存在する天然の放射性物質(ラドンの娘核種)の影響です。
②空気中のラドンの娘核種が雨で地表面に落ち、地表近くの空間線量率を上げます。
③この現象は自然放射線によるものですので、今回の原子力発電所の事故以前にも観測されています。


また韓国メディアは線量計のセンサーをビニールで覆っていませんが、土壌の天然放射性物質のしぶきがかかってこれも実際より高く表示されます。 
そして空間線量を計ると言って側溝で計っていますが、これを見た時ああやっぱりねと思っちゃいました。
このやり方は、日本の反原発原理主義者たちの常套的手口です。
調査団は、福島で某過激派のフロント組織である「福島共同診療所」を訪れています。
よりによってこんな反原発サティアンみたいなトコに行くのですか。
「共に民主党「福島原発汚染水対策団」は6日、汚染水放出問題に関連して日本を訪問する。
​対策団所属の魏聖坤(ウィ・ソンゴン)、ヤンイ・ウォニョン、尹永德(ユン・ヨンドク)、ユン・ジェガブ議員は同日から2泊3日の日程で日本を訪れる。
​議員らは同日、東京で市民社会や原発安全専門家グループと面談した後、東京電力本社を訪れ、原発汚染関連資料など議員団の要請書を伝える計画だ。
​7日には福島原発一帯など汚染現場を調べ、福島地方議員・原発労働者・避難民と面談する。福島共同診療所も訪れる予定だ
​原発汚染水関連の客観的な資料を要求し、日本現地の世論を探るということだ。これに先立ち、対策団は前日、駐韓日本大使館を訪れて原発汚染水の放流に対する懸念を伝えた」
(聯合4月5日)
韓国最大野党議員ら 汚染水問題で6日に日本訪問=福島視察へ | 聯合ニュース (yna.co.kr)
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聯合

そういえば、この側溝にガイガーカウンターを入れて計るという方法は、反原発原理主義者が盛んに用いた方法でした。
下の画像は、『美味しんぼ』2014年5月のスピリッツに掲載された『美味しんぼ・福島の真実』です。 
当時私はこの掲載と同時に強く反論し、ミニ炎上までした記憶があります。 
ここで登場するのは、福島大学の現役教員である荒木田岳氏ですが、きわめて断定的に「福島は住めない論」を、雁屋哲氏に吹き込んだ人物のひとりです。 
荒木田氏の言動を見ていると、典型的な放射能デマッターのそれです。 

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 (週刊スピリッツ2014年5月「美味しんぼ・福島の真実」より 以下同じ)

彼らは大げさに騒ぎ立てるだけで、地道な実地計測をしていません。
するとしても、せいぜいが、市販の安物のガイガーカウンターで街の通学路の側溝か、近所の河川敷を計るていどです。 
特にことのほか側溝、つまりはドブがお好きなようで、なにかというとこのドブの泥土に鼻をくっつけんばかりにして計測しています。 
側溝は、街路や家屋の放射性物質が流れ込むためにホットスポットになるに決まっている場所です。
たとえば当時から、週刊現代、上杉隆、グリーンピース、反原発団体などが、福島に来ると必ずドブで計って、「フクシマはこんなに危険だぁ」と絶叫していましたっけね。 
ですから側溝の計測記録を出して来る人がいたら、まず眉に唾をつけて下さい。

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スピリッツ

降下した放射性物質は、屋根や道路面にいったん溜まり、その後に雨で雨樋から側溝、下水施設、あるいは用水路から川へと流れ、最終的には海に流れ出して希釈されていきます。
途中の各所では、堆積物として徐々に溜まっていくわけですが、そこでは堆積が重なるために濃度が必然的に高くカウントされることになります。
したがって、荒木田氏が持ち出した下水道は非常に特殊なスポットで、イコール街全体の汚染そのものではありません。
別に「住めない福島」だけの問題ではなく、当時の東京都の下水処理施設ですら同じでした。

東京都下水道局

上図のように、東葛下水処理場などは、事故から1年たった2012年3月でも未だ1万ベクレル/㎏を超えています。
放射性降下が微小だった神奈川県の下水処理施設も同じでした。溜まるのです。
では、あなたは下水処理場の汚泥槽で暮らすのでしょうか。

汚泥槽すから高い線量が出たから「東京も神奈川も住めない」と言うべきなんでしょうか。

わけはありません。

しかし、こういうトンデモ測定に踊らされて、実際に神奈川からも多くの自主避難者を出しました。
そして現実には、下水道や処理施設の汚泥の粘土分子は、強力なセシウム・トラップとして機能しています。
トラップとは特定の物質を捕獲して封じ込めることを指します。

もし韓国調査団が、福島に調査に行くのなら、過激派診療所などに行かず、事故当時から相馬現地で医療活動をしていた坪倉医師の元を訪れるべきでした。
彼は、体内被曝の数値を独自に測定してこのように述べています。

「南相馬で測定した約9500人のうち、数人を除いた全員の体内におけるセシウム137の量が100ベクレル/kgを大きく下回るという結果が出ました。これは測定した医療関係者からも驚きをもって受け入れられたそうです」 http://blog.safecast.org/ja/2012/09/dr_tsubokura_interview/

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また、子供の被曝についてもこう坪倉氏は述べています。


坪倉先生のチームでは、これまでに、いわき市、相馬市、南相馬、平田地区で子供6000人にホールボディカウンターによる内部被ばくの測定をしました。親御さんの心配もあり、この地域に住む子供の内部被ばく測定の多くをカバーしています。(一番多い南相馬市で50%強です。)
6人から基準値以上の値が出ています。6000人に対して6人というのは全体の0.1%で、この6人のうち3人は兄弟です。基本的には食事が原因に挙げられるでしょうが、それ以外にもあるかもしれないそうです。
子供の線量について、坪倉先生はこう分析します。 「子供は大人に比べて新陳代謝が活発で、放射性物質の体内半減期が大人の約半分ということがわかっています。ですから、子供の場合は例え放射性物質が体内に入ったとしても、排出されるのも早いです」

福島県は県民健康調査で、2011年から3年間の新生児の先天性奇形やダウン症、早産、低体重を調査しましたが、全国の発生率と変わりがありませんでした。
国連科学委員会(UNSCEAR)は福島事故最終報告書でこう述べていました。

※関連記事http://arinkurin.cocolog-nifty.com/blog/2014/04/unscear-0b78.html


「福島原発事故の結果として生じた放射線被ばくにより、今後がんや遺伝性疾患の発生率に識別できるような変化はなく、出生時異常の増加もないと予測している。
その一方、最も高い被ばく線量を受けた小児の集団においては、甲状腺がんのリスクが増加する可能性が理論的にあり得ると指摘し、今後、状況を綿密に追跡し、更に評価を行っていく必要があると結論付けている。甲状腺がんは低年齢の小児には稀な疾病であり、通常そのリスクは非常に低い」

このような韓国調査団がどんな結果を出すかはもうわかってしまうのですが、11年たってもまだ一歩も進化しない人たちに哀れみすら感じます。

 

 

2023年5月28日 (日)

日曜写真館 これきりと思ふ日もあらん角力取

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天にゐて角力太鼓を叩きをり 上野泰 佐介

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角力取朴の花より大きな臍 金子兜太

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四つに組んで贔負の多き角力哉 正岡子規 

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にくまれてその顔くろし相撲とり 凉菟

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負相撲砂まみれなる背を知らず 阿波野青畝

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投げられて負けてもまけぬ相撲哉 尾崎放哉

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角力取の猪首はつらしふじの山 正岡子規

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四つに組んで贔負の多き角力哉 正岡子規

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春場所の呼び出し聞こゆ湯屋を出る 緒方 敬

 

2023年5月27日 (土)

宮古陸自ヘリ事故、ボイスレコーダー情報が出る

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久しぶりに揺れました。震度5です。
ただし、東日本大震災とそののちの余震群を経験しているので、まぁこのていどはね、というかんじ。
今回は下からゴーっという音と共に突きあげられるような振動ではなかったので、慌てませんでした。
地震なんぞに馴れたくないもんですな。

さて宮古島自衛隊ヘリ墜落事故で、機体の引き揚げが進んでいましたが、フライトレコーダーが発見され、その一部が公表されました。

「沖縄県・宮古島沖で4月に起きた陸上自衛隊の多用途ヘリコプター「UH60JA」の事故で、墜落の直前にエンジンの出力が急激に低下していたことが関係者への取材でわかった。海底から回収されたフライトレコーダーに録音されていた機長らの音声記録から判明した。事故は機体の不具合が発端で起きた可能性が高まった 関係者によると、フライトレコーダーには、同機のエンジンが異常な音を立て、機体のトラブルを知らせる警報音も鳴る状況が記録されていた。エンジンの出力が下がる中で、操縦席に並んで座る機長と副操縦士が高度を保とうと声を出し合う様子も残されていた
 エンジンに不具合が起き、操縦席から対応すると伝えられた機内の隊員の1人が「はい」と答えた声も記録されていた。機体はその直後に海面に墜落したとみられ、「あっ」という声を最後に音声は途絶えたという。
 同機は4月6日午後3時46分頃、宮古島の地形などを確認する目的で空自宮古島分屯基地を離陸した。同54分、近くの下地島空港の管制塔と交信したが、その2分後、同基地のレーダーから機影が消えた」
(読売5月24日)
陸自ヘリ墜落直前、エンジン出力が急低下…フライトレコーダーに機長ら対応の音声記録 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

メディアは陸自が海上事故を想定していなかったためにフライトレコーダーを搭載していなかったという報道を流しましたが、誤報です。
もちろん陸自ヘリにもフライトレコーダーは積まれており、水深6千メートルの水圧に耐えて、30日間位置情報を発信し続けました。

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自衛隊ヘリのフライトレコーダー

「フライトレコーダーにはアンダーロケータービーコン(ULB)がという装置が取り付けられます。
ULB は水中ロケータービーコンとも呼ばれ、水中に沈むと水銀電池により自動的に超音波信号を発信する仕組み。フライトレコーダーは、水深 6,000m の水圧に耐えて、30日間持続して電気パルス・ビーコンを送信します。
1 秒間に1回 10ms の低周波パルスが 37.5 kHzで送信されて、水没地点から 2~4km の範囲で受信できるとされます。海底に沈んでも、電気パルス・ビーコンが送信されてフライトレコーダーの位置が特定ができます」
陸自ヘリの事故 フライトレコーダーの“回収”を深掘り調査 (wporep.com) 

このフライトレコーダーが回収されて分析にかけられたことは、事故原因調査にとって大きな前進です。
フライトレコーダーはふたつのレコーダーに分けられており、ひとつはフライトデータレコーダ (FDR)、コックピットボイスレコーダ(CVR)です。
データレコーダーは、航空機の飛行についての色々な情報を記録することを目的としており、ボイスレコーダーはコクピットのあらゆる音声を録音し続けています。

まだ限定的な公表ですので、公式の発表を待たねばなりませんが、ボイスレコーダーに残された音声にはなんらかのエンジントラブルが発生していた可能性が記録されています。

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多用途ヘリコプターUH-60JA|陸上自衛隊装備品|陸自調査団 (rikuzi-chousadan.com)

引き揚げられたフライトレコーダーには、「エンジンが異常な音を立て、機体のトラブルを知らせる警報音も鳴る状況が記録」されており急激にエンジン出力が下がる中で、パイロット2名が高度を保とうと声をかけあって努力している痛ましい音声も含まれていました。

エンジンの出力低下は、空港管制との最後の交信があった3時54分以降に発生しました。
位置的には池間島上空から離れた地点で、この時点では機体に異常が起きた場合に無線で宣言するエマージェンシー(緊急状態)は宣言しておらず、機長らは機体の制御が可能だと考えていたようです。

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読売

当時の高度は推定で300メートルであり、写真にも撮られています。

「映像を撮影したのは、観光で宮古島を訪れていた元アメリカ海軍兵のスティーブ・クリスティーさん(63)で、以前、軍に所属していて、1980年代に沖縄に駐在し第3海兵師団の第3偵察大隊に所属し、ヘリに搭乗する機会も多くヘリコプターなどの航空機が好きだというクリスティーさんは、「AGL(地面からの高度)約1000フィート(300m)を飛んでいたと思います。真っすぐに飛び、音も通常通りでした。エンジンにトラブルがあるような変な音はしませんでした」と語った」
(時事4月8日)
消失2分前、陸自ヘリ撮影 観光客男性「正常に見えた」―沖縄・宮古:時事ドットコム (jiji.com)

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時事

この墜落直前の写真を見ると、機体は水平を保っていますが、たぶんなんらかのエンジンドラブルが起きていたと推測できます。
また空中には少量の雲が多くみられて、パイロットの視界を遮っていたと思われます。
そして機体はさらに急激に降下し続け150メートルで飛行し、その直後の56分に海面に激突したとみられています。

殉職された10名の隊員が、一日も早く家族の元にもどれることを祈念いたします。

 

2023年5月26日 (金)

自由ロシア軍など越境攻撃

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どうもよくわからないことが起きています。
「自由ロシア軍」ともうひとつの部隊が、ロシア領内に侵攻していたようです。
侵攻部隊の規模は、帰還した兵士によると150名ほどのようです。

まずはそれを報じるCNNから。

「(CNN) ロシア南西部ベルゴロド州への攻撃を実行したと主張している反プーチン政権派のロシア人組織「自由ロシア軍団」は23日、「ロシアの完全な解放」が目的だったと強調した。
自由ロシア軍団はSNS「テレグラム」への投稿で、同州への攻撃は「平和維持作戦」だったと主張。
作戦の目的は、ロシアとウクライナの間に非武装地帯を設けること、プーチン政権の治安部隊を打倒すること、抵抗の拠点を作り出すのは可能だとロシア国民に示すことだったと述べた。
そのうえで、目的達成に成功したと宣言した」
(CNN5月24日)
ロシア反政権組織、ベルゴロド州への攻撃は「ロシア解放のため」 - CNN.co.jp

初めは私はロシアのフェークだと思っていたのですが、ロシアは写真付きで公表しているので真実のようです。
渡辺悦和元陸将も追認したようです。

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渡部悦和 
「ロシア自由軍団」と「ロシア義勇軍」による露領ベルゴロドへの攻撃は露軍により制圧された模様。
露軍が捕捉・破壊した車両は以下の通り。
-米製HMMWV 3両
-米製MaxxPro MRAP 2両
-宇製KRAZ COBRA 1両
- ポーランド AMZ Dzik-2 1両

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ロイター

越境部隊はベルゴロド基地を攻撃したようで、ロシア側の映像にも基地内での爆発が確認されています。

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ロイター前掲

このベルゴロド基地は、ウクライナ東部ルガンスク地方国境近く、ヴォロネジ州のボグチャルと並んでウクライナ侵攻のための大きな後方支援基地です。

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Google Earth

ボグチャル基地のほうが新しく、ロイターによれば核兵器や生物・化学兵器に対応する訓練を受けた部隊も駐屯しているようです。
ただし、このロシア軍部隊が戦術核を持ち込んでいるかどうかについては情報がありません。

ところで、ウクライナ領に帰還した自由ロシア軍は会見を行っており、この越境攻撃には2つの部隊が参加していると述べています。
Telegram: Contact @legionoffreedom
そのひとつは「自由ロシア軍」で、これはどうやらウクライナ軍が育成したようです。

「「自由ロシア軍」は昨年春に結成され、同じくロシア人で構成されているという。映像の中で組織のメンバーだという人物は、子供たちが、汚職や検閲、自由の制限、抑圧のないロシアで育ってほしいと語っている。
この組織はウクライナの指揮下で活動しているとしているが、ウクライナ軍の情報機関は、ベルゴロド州で襲撃した部隊がウクライナの部隊であったか肯定も否定もしなかった」
(ロイター5月24日)
ロシア西部ベルゴロド州を襲撃したグループとは何者なのか(ロイター) - Yahoo!ニュース

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自由ロシア軍
ロイター

「「自由ロシア軍」は交戦に先立つ22日朝、「自由を守るために武器を取った。クレムリンの独裁政治を終わらせるときが来た」と通信アプリに投稿していた」
(産経5月23日)
祖国と戦うロシア人義勇兵 プーチン氏打倒へ4千人 西部の攻撃に関与か - 産経ニュース (sankei.com)

もうひとつは、かなり前からロシア領内で破壊活動をしていたとされる「ロシア義勇軍」(RVC)です。
規模的には、このRVCが一番大きいでしょう。
政治傾向は、ロイターからファーライトと呼ばれていました。
ほかにも「国民共和国軍」というのがあるそうです。
「自由ロシア軍」はウクライナや西側のバックがついていそうです。
なんやかやで合わせて4千人はいると自称していますが、根拠は不明です。
彼らは、去年8月にキーウで共闘の署名をしたそうです。

かつてのフランスレジスタンスも、共産党系からドゴール系までいくつもの派閥があり常にイニシャチブを争っていました。
このロシアの場合も、政治的には呉越同舟のようですが、こうして公然とメディアの前に登場したのは初めてです。
この反乱が共和国レベルに飛び火すると、プーチンはおちおち寝てはいられなくなるはずです。
またバフムト後方の策源地地域への攻撃ですから、ロシア軍はこの守備に大量の部隊を拘置されることになるのは痛手でしょう。

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ロシア義勇軍(RVC)
ロイター

「義勇兵らの取りまとめ役とされるロシアの元下院議員、イリヤ・ポノマリョフ氏(47)=キーウ在住=は産経新聞の取材に対し、ロシア人義勇兵は約4千人おり、前線で祖国ロシアと相まみえていると明らかにした。
ポノマリョフ氏によると、ロシア人義勇兵の部隊には約1千人を擁する「自由ロシア軍」のほか、「ロシア義勇軍」や「国民共和国軍」がある。これら3団体は昨年8月末、キーウ近郊のイルピンで、ウクライナ軍と共闘するとの宣言に署名した。宣言では「ウクライナは勝たなければならない。プーチン政権を崩壊させる」とうたわれた」
(産経前掲)

私はこのような中途半端な越境攻撃は悪手だと思います。
自由ロシア軍が言う「クレムリンの独裁を終わらせるべきだ」という主張はまったくそのとおりですが、時期と方法がよくありません。
時期は、G7サミットで、いままでにない西側陣営が一致してのウクライナ支援が決まったばかりの時期で、副産物としてF16の供与も決まっていました。
日本ですら高機動車を出そうという時期に、さっそく米軍供与の戦闘車両を使って越境してしまえば、西側の支援熱が一気に冷めかねません。
特にF16はオランダが供与を現実の日程に乗せたところでしたから、その鼻先でこんな越境攻撃などをしたら、こんな優秀な戦闘機を渡したら何に使われるか分からないという危惧を生み出しかねません。

越境攻撃は戦時国際法上は合法であっても、渡辺元陸将も言うようにこのような小規模な部隊での攻撃は中途半端に終わることは目に見えていました。
今後ロシアは、このハルキウとベルゴロドの国境警備を厳重にするでしょうから、次回の作戦はより一層困難になるでしょう。

なおこの越境攻撃は、ウクライナ軍がからんだものなら侵略行為に対する限定的な越境反撃ですから戦時国際法上問題ありませんし、ロシア人義勇軍なら内乱ですから戦時国際法の範疇ではありません。

NATO各国の反応です。

「英国のウォレス国防相は昨年7月「ウクライナでの戦いに利用されるロシア領内の軍事拠点やインフラへの越境攻撃は完全に合法だ」と、米国務省の報道官も今年1月「ロシア領への攻撃を好ましくないと考えているが、作戦の主権はウクライナにあり何を攻撃するはウクライナの自由で、根本的にウクライナは侵略された側だ」と、ドイツのピストリウス国防相も今年4月「補給路の遮断目的なのでウクライナが敵地に進出するのは常識的な軍事作戦の範疇だ」と述べている」
(航空万能論5月24日)
ロシア義勇軍はベルゴロド州から撤退? ロシア軍が検問所を奪還した可能性 (grandfleet.info)

このように各国の反応が分かれるのは、モスクワにストームシャドウを撃ち込むならまだしも、東部戦線付近でのロシア軍兵站反破壊のための越境は西側としても否定しようがないからです。
とはいえ、多くの西側提供車両の残骸を残すような中途半端な攻撃は止めてほしいというのが、本音でしょう。

 

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負傷したウクライナ第24機械化旅団 の兵士が腕に入れ墨したレーシャ・ウクラインカの詩
いいえ、私は生きている!
私は永遠に生きる!
私は死ぬことのないものを心に持っている!

2023年5月25日 (木)

資料 自民党「改憲4項目」条文素案全文

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だいぶ前にわかっていたのですが、広島サミットでアップする機会がなくて、遅れました。
自民党の憲法改正素案がわかりましたので、全文無編集で掲載いたします。

【自民党大会】「改憲4項目」条文素案全文(1/3ページ) - 産経ニュース (sankei.com)

 

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4つの「変えたい」こと自民党の提案 (jimin.jp)

■自民党「改憲4項目」条文素案全文

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自民党前掲

9条改正

 第9条の2

 (第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。

 (第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

 (※第9条全体を維持した上で、その次に追加)

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自民党前掲

 【緊急事態条項

 第73条の2

 (第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。

(第2項)内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。

 (※内閣の事務を定める第73条の次に追加)

 第64条の2

 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。

 (※国会の章の末尾に特例規定として追加)

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自民党前掲

参院選「合区」解消

 第47条

 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。

 前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第92条

地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

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自民党前掲

教育の充実

 第26条

 (第1、2項は現行のまま)

 (第3項)国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。

 第89条

 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。

2023年5月24日 (水)

核を落とした国、落とされた国、そして核を手放して侵略された国

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G7サミットでは原爆資料館において共同記帳がなされました。
その内容は外務省が公開しています。
G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)|外務省 (mofa.go.jp)

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外務省

■G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)
・岸田総理大臣
歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う。
マクロン仏大統領
感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。 
バイデン米大統領
この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!
トルドー加首相
多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。
ショルツ独首相
この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。
メローニ伊首相
本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。
スナク英首相
シェイクスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。
ミシェル欧州理事会議長
80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。
フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長
広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。

こういう時に広い意味での教養が現れるものですが、うちの国の首相とシュルツさんとトルドーさんは、どこかの大会の挨拶のよう。
悪いとはいいませんが、もう少し自分の声で。
私がいいと思ったのはメローニさんとスナクさん、
メーロニさん。自分の声で悲嘆の詩を歌ったことはすばらしい。
「闇が凌駕するものは何もない」、心に染みました。
スナクさんは、かなり前から練っていたのでしょう、荘重にシェークスピアを引用するのは心憎い。

意外だったのはマクロンさん。修辞の国の人間にしては物足りない。
仏軍機に乗せたゼレンスキー氏の到着まで、万が一を考えて落ち着かなかったのでしょうか。
そしてバイデンさん。「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう」というのは「なくせる日」まで核は手放さないという意味ですね。
まぁ、それならそれでも、間違いではないのですが、そう書くしかなかったのでしょう。
共通するのは、「繰り返さない」というひとことです。

『ウィーン発コンフィデンシャル』の長谷川良氏が、こう書いています。

「バイデン大統領は世界で最初に原爆を投下した国の代表として、岸田首相は世界で唯一の被爆国・日本の代表として、「核兵器のない世界」の実現を願って記帳したわけだ。原爆投下国と被害国の違いはあるが、「核兵器のない世界」という世界万民の願いを改めて掲げたわけで、歴史的な瞬間だったといえるだろう」
(5月21日)
「核兵器なき世界」の本気度は : ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog) 

たしかに原爆投下国と投下された国が、投下されたまさにその投下された地点で非核を誓うというのは、後世の歴史書に載るであろうようなすばらしいことでした。
そこでこの場におらず、遅れて電撃訪問したゼレンスキー氏の記帳内容も見ておきましょう。

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ゼレンスキー氏「世界に核による脅しの居場所はない」と記帳 | NHK | G7サミット

 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
(平和記念)資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない。

ゼレンスキーは広島をバフムトに例えてこう言っています。

「同大統領は会見直前に平和記念資料館(原爆資料館)を訪問。印象に残ったことを記者から問われ「破壊された広島の写真と、破壊されたバフムトの姿が似ている」と答えた。どちらも建物や道路が消え、人影もないとした上で、今の広島は「生きている街、平和な街、人の命を尊重する街」だと指摘。「バフムトも広島のように再建できる」と述べた」
(ロイター5月21日)
ゼレンスキー氏「広島のように再建」、バフムトと重ね合わせる | ロイター (reuters.com) 

バフムトは美しい街でした。侵略前と現在の映像です。

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Ukrainian #Bakhmut before and after Russian attack. https://t.co/k6Bvxx55pj」 / Twitter

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ワグネル創設者、東部バフムートを6月までにロシア軍に引き渡すと表明 - BBCニュース

このゼレンスキーの言葉とバフムトの画像を知った時、私は泣きました。
故無き業火に焼かれている人の絞り出すような言葉として聞きました。
そして皮肉にも、ウクライナは「核を手放してしまった」国なのです。
ウォールストリート・ジャーナルは社説でこう述べています。
やや長いですが、ブタペスト覚書にまつわる米国の裏切りを抄録するのが困難なのでお許しを。

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WSJ

「ウクライナ国民がロシアの攻撃に対抗する決意を固めている今、思い起こすべき出来事がある。ウクライナに核兵器放棄を受け入れさせた米国の行動だ。1994年のブダペスト覚書は、ソ連崩壊時に独立を勝ち取ったウクライナに対し、米国、英国、ロシアが安全保障を約束するものだった。
 それは、歴史が一区切りを迎えたと思われていた冷戦後の平穏な時代の出来事だった。ウクライナ国内には当時、短距離戦術兵器や空中発射巡航ミサイルを含む約1800の核兵器が存在していた。米国は核保有国数と、核兵器の数を減らしたいと考えており、当時は米国に対する信頼感がピークに達していた。
 この覚書は、ウクライナが「特定の期間内に領土から全ての核兵器を排除する」と約束したことを米国と英国、ロシアが認識する内容で始まる。それに続き、3カ国はウクライナに対して、6項目の約束の実行を「確約」している。
 最も重要なのは、「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」という点だった。3カ国はまた、ウクライナに「経済的圧力をかけることを慎み」、同国への「侵略行為」があった場合には、「同国に支援を提供するため、即座に国連安全保障理事会に行動を求める」ことを約束した。ウクライナは1996年までに全ての核兵器をロシアに返却した」
(ウォールストリートジャーナル社説2022年2月24日)
【社説】ブダペスト覚書に裏切られたウクライナ - WSJ

この米露の「確約」は守られませんでした。
ウクライナは米露によってはめられたのです。

米露はブタペスト覚書において、「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」と確約し、核を取り上げました。
いや、当時内政の混乱の極にあったウクライナには、大量の核兵器を維持する力はなかったという意見もありますが、ここまであっさりと手放す必要はありませんでした。
それはいまウクライナ侵略を聞いたクリントンが、ブタペスト合意を悔いていると言っていることでも明らかです。

「クリントン氏は、「私が彼ら(編集注:ウクライナ)に核兵器を放棄することに同意させたのであり、私は個人的関与を感じている。そして、もしウクライナがその武器をまだ保有していた場合にも、ロシアがあの芸当(編集注:ウクライナ侵略)をしてみせただろうとは、彼らの誰も思っていないのだ」と発言した。
またクリントン氏は、エリツィン元ロシア大統領の署名した合意をプーチン氏が守ることはないだろうことは理解していたと発言し、「プーチン大統領にとって都合が良くなった時に、彼はそれを侵害し、最初にクリミアを奪った。そして、私は、そのことを恐ろしく感じている。なぜなら、ウクライナは非常に重要な国だからだ」と指摘した」
(ウクライナフォーラム 2023年5月23)
クリントン元米大統領、ウクライナへの核兵器放棄の説得を後悔 (ukrinform.jp)

米国とロシアは、双方ともにはウクライナを裏切りました。
約束したはずの領土保全はまったく守られず、ロシアに至ってはは2014年にはクリミアを奪い、2022年には全土に侵攻し、さらには核兵器の使用を宣言しました。

「必要となれば大量破壊兵器(核爆弾)の投入も排除できない。これはブラフではない」

つまり、この広島サミットは核を最初に人類に投下した国と、それによって14万もの民を殺戮された世界最初の国と、そして核を手放した結果核によっ脅迫されている国が合った出会った「歴史的会合」だったのです。

 

 

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ウクライナに平和と独立を

2023年5月23日 (火)

F16供与容認からわかること

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イソコさんがポカやりました。
バイデンのF16供与容認報道に対して、こうツイートしちゃったのです。

「まさか、日本が保有するF16戦闘機を米国は出させるつもりではないだろうか 殺傷能力を持つ武器の貸与・供与を憲法九条を持つ日本は絶対にやるべきではない」
5月19日Twitter

ここで、イソコ女史が自衛隊にはないF16とF2をゴッチャにしたのは、ちょっとめには似てますから、素人なら間違えます。
だったら武器輸出や安保問題で発言すんなよ、と思いますが、すぐに訂正かけたからまぁいいとしましょう。
すぐに政府批判に結びつけるのはこの人たちの病気のようなものですが、せっかく「F16」という切り口からいろいろわかってくるというのにもったいないことです。

イソコ女史に警戒感を抱かせた報道とはこれです。

「バイデン米大統領は19日、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で各国首脳に、ウクライナ軍のパイロットに米国製F16戦闘機の訓練を行うことを承認したと伝達した。米メディアが報じた。ロシアの侵攻を受けるウクライナはF16の供与を強く求めている。バイデン政権は否定的な考えを示してきたが、供与容認に方針を転換した」
(産経5月20日)
バイデン氏、F16訓練を容認 ウクライナ軍に - 産経ニュース (sankei.com)

私がイソコ・ツイートで問題にしたいのは、彼女、なぜF16をがここで焦点になっているのか、どうやらまったくわかっていないことです。
ゼレンスキーが訪日を決意したのは、後の報道では4月下旬だったそうですが、その理由は世界から集まる首脳陣に対して直接に支援を呼びかけること、そして具体的にはこのF16供与を米国に認めさせることでした。
バイデンからしても、ズっと引き延ばしてきた決断を英国に外堀を埋められ、そして約8千キロ道のりをロシアのテロの脅威にさらされながらやってきた勇敢な戦時指導者に直接訴えられたらもう逃げられませんやね。
米国においては、祖国の自由を守って戦う戦時指導者は絶対的英雄なのです。
冷遇したら共和党になんと言われることやら。
広島サミットがなければ、まだバイデンはグズラグズラしていたかもしれません。

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F16戦闘機 アメリカ 欧州同盟国がウクライナに供与決めた場合 容認へ | NHK | ウクライナ情勢

バイデンはここで、デンマーク、オランダ、英国などから出ていたF16の供与及びパイロットの訓練とロシアの核使用のリスクを天秤にかけたのでしょうね。
そして供与を認めたということは、ロシアの核使用の可能性はないとはいえないが、すでにその意志を喪失している、と判断したと思われます。
つまり、よくテレビのコメンテーターが言っている、「ウクライナに武器支援するとロシアがエスカレートして、核を使う」ということはありえないと米国は判断したのです。

次に、ウクライナ側がなぜF16にこだわるのかです。
軍事技術的意味の前に、F16を供与されることによって、ウクライナ国民が鼓舞されるからです。
産経はこのように伝えています。

「筆者(渡辺)が先月、ウクライナで「西側に望む支援」をたずねると軍人もボランティアもF16を真っ先に挙げた。その対空、対地攻撃の性能以上に、ウクライナ国民の多くがF16の供与を西側との紐帯の象徴ととらえていた。
供与が始まれば、パイロットの訓練から始まり、搭載兵器の補給、改修など西側の息の長い関与が必要となるからだ」
(産経ワシントン支局長渡辺浩生5月22日)

つまり、F16はただの戦闘機という枠を超えて、「西側との長い連帯の絆の象徴」なのです。
言い換えれば、ウクライナはすでに長期戦になると読んでおり、その間西側との絆が切れないための担保としてF16を考えているということです。

一方、西側からしてもF16を供与することは、砲弾を供与するのとはわけが違います。
現代の最新鋭戦闘機はテクノロジーの粋を集めて作られていますから、飛ばせるようになっただけではパイロット訓練は終わりません。
すでに米国に先遣隊として派遣されているウクライナ空軍パイロットは優秀な成績を納めて4カ月くらいで飛ばせるようになるというお墨付きを米空軍からもらっているそうです。
ただし、だからといってこの4カ月間で取得できるのは、飛ばして初歩的な空戦をするところまでです。

「この4ヶ月間で習得できる戦闘スキルは初歩的な空対空戦闘のみだ。
専用シラバスを用いた4ヶ月間=16週間の訓練内容は大まかに移行訓練、低レベルの低空飛行訓練、空対空戦闘訓練の3つに分かれており、唯一の戦闘スキル=空対空戦闘は「単機もしくは2機編成による迎撃とAIM-120とAIM-9による基本的なWVR(視界内射程)運用に重点を置く」と言及しており、基本戦闘機機動、空中戦闘機動、空中給油、近接航空支援、水上攻撃といった訓練要素は含まれていない」
独占:米国は16か月でF-4を飛ばすようにウクライナのパイロットを訓練することができます (yahoo.com)

これは空自でいうTR(training )は終了したが、OR(Operation Ready作戦可能態勢)の前という段階です。
まだまだ本命の対地攻撃訓練などはやらしてもらえません。
これでは、ウクライナ空軍がF16を取得することで望むような、クリミア大橋に緊密に張りめぐらされたロシア軍の対空レーダー網を沈黙させ、かつピンポイントでクリミア大橋を落とすことは不可能です。

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AGM-88HARMを搭載したF16
ウクライナ軍は露戦闘機を55機撃墜、AGM-88投入で局地的な制空権も確保 (grandfleet.info)

「ウクライナが期待しているような効果をもたらすとは言い難く、AIM-120の射程を生かした視界外戦闘、無誘導爆弾やJDAMを使用した近接航空支援、AGM-88HARMを使用した敵防空網制圧に対応したスキル獲得を全て身につけるには「年単位の訓練期間」が必要で、各国の空軍が何年もかけて育てるパイトットを「短期間で」というのが無理な話なのだろう」
(航空万能論5月20日)
ウクライナ人パイロットは4ヶ月の訓練でF-16を操縦できるようになる? (grandfleet.info)

たぶんF16をウクライナのパイロットたちがものにするには、1年間ていどかかる可能性があります。
たぶんそれでは間尺に合わないので、すでに使い勝手のいいミグ29にHARMを統合したりしているのは知られています。
機体自体は、NATOのいくつかの国でF35の機種転換が行われているので、余剰となっていますから、すぐにでも供与可能です。
そもそも米国がその気にさえなれば、数百機のF16などたちどころに湧いてでるのですが。

問題はそれを操るパイロットと整備の人たちの訓練の成熟具合です。
この夏から始まるといわれていますから、早くてこの冬くらいから空戦ていどはこなせるパイロットが生まれてくると思われます。

とまぁこのように、「F16供与容認」からだけでも、わかってくることがたくさんあるのですよ、イソコ女史。

 

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Coming this fall!
The greatest air force blockbuster of all time!
F-16s in Ukraine's skies!
We shall defend our skies!

ウクライナ国防省

ウクライナの空に平和が来ますように。

 

2023年5月22日 (月)

広島サミットがかいま見せた「シン国連」

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G7広島サミットが終了しました。巨大な会議でした。これを実現した首相以下の関係者に感謝いたします。
素晴らしい成果の数々で、これを総括するまでしばらく時間がかかるでしょう。
このサミットは、広島を舞台した外交のデパートであり、21世紀の国際政治を再定義した会議でした。
ともかくメンツがスゴイ。

・G7として、日本、イタリア、カナダ、フランス、米国、英国、ドイツの7カ国
・招待国として、豪州、ブラジル、アフリカ連合(AU)議長国のコモロ、太平洋諸島フォーラム(PIF)議長国のクック諸島、G20議長国のインド、ASEAN議長国のインドネシア、韓国、ベトナムの8カ国
・国際機関として、の国連、国際エネルギー機関(IEA)、国際通貨基金(IMF)、経済協力開発機構(OECD)、世界銀行、世界保健機関(WHO)、世界貿易機関(WTO)

これだけ枢要な国々の首脳が、一同に会することだけでも惑星直列のようなものでした。

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G7広島サミット最終日 ゼレンスキー大統領参加で首脳会談 午後には平和公園で献花し記者会見 | TBS NEWS DIG

そしてゼレンスキーを合流させ、この一同に会した世界首脳に合わせて一致した方向性を策定するとは、心憎い演出でした。
野党諸君、これがほんとうの外交です。

ところでひょうきん者のムネオという人がゼレンスキーを連れて来るならプーチンも呼べぇ、なんて喚いてましたが、彼、国際刑事裁判所で逮捕状でてますから。
もし日本に来たら、うちの国はローマ規程の締約国として、謹んで空港で身柄を拘束し、国際刑事裁判所に突き出す義務があります。
だからどうぞプーチンも来て頂きたいものです、ムネオさん。

それはさておき、この広島サミットで現れたのは、崩壊学級の国連とはまったく違うまだ見ぬ「シン国連」の原型でした。
前大戦後の戦勝国中露の全体主義を容認した国連の無力さが露わになって、とうとう正真正銘の侵略戦争を起こしてしまいました。
しかし国連は、常任理事国の悪人たちに牛耳られているために動けない。
だから世界は今、国連の外に新たな秩序再編を欲しているのです。

「シン国連」がありえるとすれば、それは「法の支配」が基軸概念となることでしょう。
単に大戦の勝者であることによってのみ「国際社会で名誉ある地位」を受ける現体制ではなく、侵略戦争を禁じた国連憲章の理念を引き受け、「法の支配」を誓える国々が集まって集団安全保障体制を構築の屋根を国際社会にかけようというのです。

広島宣言にはそのことが謳われています。

「G7首脳はいかなる時もさらに一致団結し、目下のグローバルな挑戦を迎える決心をし、さらによりよい未来の道を切りひらく。我々の任務は国連憲章と国際パートナーシップ関係の尊重に根差すものだ」
「われわれは共同の努力で、自由で開かれたインド太平洋を支持し、いかなる一方的な武力や恫喝による現状変更のたくらみにも反対する」
「以下の方式で国際原則と共同の価値観を防衛する。法治を基礎とした自由で開放的な国際秩序を維持、強化し、国連憲章を尊重し、大小国家を幸福にする。世界のいかなる地域においても、武力や恫喝により一方的な方法で、平和に確立されている領土の地位を変えようとするいかなるたくらみに強く反対する。同時に武力による領土奪取の禁止を繰り返し述べる」
(2023年5月20日 共同コミュニケ)


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中国に深刻な「懸念」、ロシアも非難 G7首脳声明 - 産経ニュース (sankei.com)

核の共同文書について、共産党が文句をつけているようです。
ま、共産党とか中国に褒められるようなら失敗なんですがね。

「共産党の志位和夫委員長は20日、東京都内で講演し、先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で発表された核軍縮に関する共同文書「広島ビジョン」について、「真っ向から裏切る内容になった。許しがたいことは、核抑止論が公然と宣言されたことだ」と批判した。  
 志位氏は「首脳らは原爆資料館で一体何を見たのか。被爆地から核兵器に固執する宣言を出したことは許しがたい」と述べ、日本政府に対し核兵器禁止条約への参加を求めた。  位氏は「首脳らは原爆資料館で一体何を見たのか。被爆地から核兵器に固執する宣言を出したことは許しがたい」と述べ、日本政府に対し核兵器禁止条約への参加を求めた」

(時事5月20日)
共産・志位氏、広島ビジョンを批判(時事通信) - Yahoo!ニュース

いつものポジショントークで、なにが「許しがたい」ですか。
要は、核兵器禁止条約に入れとキシダが言えということでしょう。

では、共同文書でなんと言っているのか当たってみます。かなりの長文ですのではしょります。

まず冒頭部分はこう始まっています。
ここが非常に大事で、ここを読みとばすと、ただの「核なき世界」、全員スタンディグオベーション、はいそれだけでオシマイという一般論になってしまいます。

「我々は、77年間に及ぶ核兵器の不使用の記録の重要性を強調する。ロシアの無責任な核のレトリック、軍備管理体制の毀損及びベラルーシに核兵器を配備するという表明された意図は、危険であり、かつ受け入れられない」
■核軍縮に関するG7首脳広島ビジョン
G7初の独立首脳文書【全文仮訳記載】TBS NEWS DIG 

この部分は明確にロシアの核による脅迫、ベラルーシへの核配備についての強い非難です。
ウクライナ戦争が、いままでのそれと一線を画したのは、核大国が核兵器の使用を口にし、かつ同盟国のベラルーシにそれを置くと言ったことです。
核を現実の戦争において使用をほのめかしたという戦後唯一の戦争となりました。
たぶんこのプーチンの核の脅迫がなければ、ヨーロッパ諸国はここまで団結してウクライナ支援に踏み切ることはなかったでしょう。

だから、G7各国首脳は被爆地広島でのサミットで、資料館見学と共同の献花をしてみせることで、はっきりと「核兵器の使用禁止」を謳いあげる必要があったのです。

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G7首脳、原爆慰霊碑に献花 - 産経ニュース (sankei.com)

いいですか、「核兵器使用の禁止」であって、「核兵器禁止」ではありませんよ。
そこを混同すると共産党になってしまいます。
では、なぜ「核兵器禁止」ではいけないのでしょうか。

サーロー節子氏という被爆者が「広島サミットは失敗だった」と言っています。
この人はただの被爆者市民ではなく、ICANという核兵器禁止条約を推進している反核団体の運動家です。

Top

「暗闇に絶望しない」コロナ禍の被爆者 サーロー節子さん|広島・原爆の戦跡 薄れる戦争の記憶 NHK

「サーローさんは昨日、G7サミットがまとめた核軍縮に関する「広島ビジョン」を巡り「自国の核兵器は肯定し、対立する国の核兵器を非難するばかりの発信を被爆地からするのは許されない」と批判。核兵器禁止条約の締約国との協働など期待していたが、「広島ビジョンでは全く無視されている」としていた」
(中国新聞5月21日)
被爆者サーロー節子さん、広島サミットは「失敗」(中国新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

サーロ氏の「自国の核は肯定し、対立する国の核は非難する」とい認識そのものが間違いです。
これではまるでG7が、自国の核だけが肯定されるべきだと言っているように聞こえます。ちがいます。
ちゃんと読んでいるのですか。広島ビジョンが非難しているのは、核を他国や国際社会を脅迫の具として使うこと、そして核軍縮からの離脱、あるいはそもそも参加していないような国々、そして核を拡散させることを非難しているのです。

その理由も共同文書は書いています。

「我々の 安全保障政策は、核兵器は、それが存在する限りにおいて、防衛目的のために役割を果たし、 侵略を抑止し、並びに戦争及び威圧を防止すべきとの理解に基づいている」
(広島ビジョン前掲)

G7諸国は現状では、核兵器が存在すること、核が存在することによって核を使用を抑止し、戦争の防止に寄与しているからです。
「核なき世界」というお題目にとらわれず、少し考えてみればわかるはずです。
いいでしょうか、G7各国が核を放棄するか、核の傘から離脱したらどうなるのか。
はい、答えは簡単ですね。いまでも核兵器を使うゾと脅迫し、新戦略兵器削減条約(新START)からの脱退の構えをみせるロシアや、初めから一切の核軍縮のテーブルにつこうとしない中国、そして核保有国への道を邁進する北朝鮮、イランのみが世界の支配者となってしまいます。
彼らは絶対に自ら核を手放すことはしないでしょう。

つまりロシア、中国、北朝鮮、イランのみが核を独占して保有し、それによって世界を脅し上げ、すべての要求を通すことができるというジュラシックワールドとなるのです。
ブルブル、志位氏はこのような世界がお望みのようです。あたしゃ絶対にイヤダ。

アイキャンのようないわゆる反核団体は核の使用を口にするロシア、核軍縮に加わらない中国、国際社会の批判にもかかわらず核保有を進める北朝鮮やイランといったならず者たちをまったく批判しません。
その代わりに、口をきわめて罵るのはわが国です。
わが国がまるで「核なき社会」の妨害者であるかのように主張してさえいます。
これではほんとうに「核なき社会」への道がひらけるはずがないじゃないですか。

「我々は、新戦略兵器削減条約(新START)を損なわせるロシアの決定を深く遺憾に思うとともに、ロシアに対して、同条約の完全な履行に戻ることを可能とするよう求める。同時に、中国による透明性や有意義な対話を欠いた、加速している核戦力の増強は、世界及び地域の安定にとっての懸念となっている」
(広島ビジョン前掲) 

だから「広島ビジョン」は、ロシアや中国、北朝鮮の核兵器に対して「防衛目的の役割を果たす」ことにおいてのみ、核保有は維持せねばならないとしています。
これが志位氏が大嫌いな「核抑止論」であって、これが理解できないと話になりません。
核兵器禁止条約は、一方的にロシア、中国、イラン、北朝鮮を利して、ならず者国家だけが核保有国となるので、わが国は無視し続けているのです。

次に大事なのは、これ以上核保有国を増やさないようにしようというのが「核の不拡散」です。
「核兵器の不使用」と「核不拡散」によってこのならず者4カ国を包囲し、「核軍縮」のテーブルにつかせるというのが「核なき世界」への道筋です。
現在、核兵器は好むと好まざるとにかかわらず存在します、そしてそれはならず者国家が核を独占して世界を脅迫することを抑えています、以上を認めたうえでで、これ以上核保有国は核兵器を増やさないように核軍縮に参加してください、そして核実験もしてはいけません、さらに今核兵器を持とうとしている国には核を持たせないようにしましょう、それが継続されて核で世界を脅迫する国がひとつもなくなれば、将来的には「核なき世界」になるでしょう、ということです。
実に迂遠ですが、これしか方法がありません。

 

 

2023年5月21日 (日)

日曜写真館 ポピー揺れはじめ田園幻想曲

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ポピー咲き海の際まで生花村 菖蒲あや

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あした待つ蕾の反りや虞美人草 馬部和子

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虞美人草寂しさ極む真昼あり 橋本美代子

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野に咲けば雛罌粟(ひなげし)は野に似合ふ花 稲畑汀子

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ひなげしの或は崩れ或は散り 高野素十 

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雛罌粟の咲かまく首をかしげたる 岸風三楼

 

 

 

 

 

2023年5月20日 (土)

日英同盟成立とトラス訪台

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さすがにこれは驚きました。
あのゼレンスキーが、飛び入りでG7に来日参加です。大歓迎です。
これで裏番組のようにやっていた習近平の中央アジア5カ国との首脳会談なんぞ、どこかに霞んでしまいました。
ぐめぬ、憎っき、ゼレンスキーとキシダめ、一度とならず二度までもぉぉ。(歯ぎしりの音)。


さて、G7サミットが開かれました。
表の憎まれ役はいうまでもなくロシアですが、影の主役は中国です。

当人たちもよーくわかっていて、中露駐日大使が嫌われ者同士肩寄せ合って会合を開いたようです。惨めじゃー。


オレらには「グローバルサウス」がついてんだぞ、アフリカにはカネと武器ばらまいて袖の下には手抜かりはないぞ、ざまぁみろ、G7め、ということのようです。
自分から嫌われ者になるような奴は、放っておきましょう。

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G7首脳、原爆慰霊碑に献花 - 産経ニュース (sankei.com) G7首脳、原爆慰霊碑に献花 - 産経ニュース (sankei.com)

まぁ、中国とロシア様がお怒りなのは当然で、今回のG7の主要議題は、自由主義陣営としての価値観外交です。
ウクライナ支援を筆頭議題とし、会場を広島に設定したのは、首相の出身地だということもさることながら、ロシアに核を使用するなよ、という強いメッセージです。
G7の核保有国の中には、資料館に足を踏み入れることさえ難色を示す国もいたそうです。
当然でしょう。英米仏はこの核の恐怖の上に世界戦略を構築してきたのですから、それが情緒的に否定されかねない岸田氏の「非核の思い」については総論賛成、各論反対だっただったのです。

この核保有国のためらいを押し退けたのは、ウクライナにおけるロシアの核の脅迫でした。

「政府関係者はこう明かす。
「核軍縮をめぐる立場は各国、温度差は現実としてある。しかし、対ロシアでは一致できるはずだと踏んで、粘り強く働きかけた」
侵攻が長期化する中、ロシアは核兵器使用の威嚇を行っていた。
現実にまた核兵器が使われてしまうかもしれない。
そうした脅威が世界中を覆い、G7各国もロシアの行為を一斉に非難していた。
政府関係者の1人は「核廃絶に向けた第一歩は核による威嚇をしないことだ。そのメッセージを発する場にしたいと強調した」と語る」
(NHK5月19日)
G7首脳 バイデン大統領ら広島原爆資料館へ 難航した水面下交渉 | NHK政治マガジン

私は、岸田氏の「非核の思い」については上滑りした空論だと考えていますが、今回のような現実の核の脅迫と結びつけて説得した岸田氏には敬意を表します。
戦後の枠組みであり続けた戦勝国と敗戦国の垣根を超えて、共に被爆者慰霊碑に献花するとは!長生きするもんだ。

接待についてもよい意味で堅くなりすぎず、広島を味わっていただけた岸田氏の演出は拍手でした。
宮島の日の入りを背景にして並ぶ各国首脳とはできすぎた演出でした。

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G7首脳、宮島を訪問 - 産経ニュース (sankei.com)

一方、自由で開かれたインド太平洋、QUAD、CPTPP、航行の自由、これらの共通点は、すべて中国への対処という一点で収束します。
つまり、中国とロシアという専制主義国家+ならず者の子分たちと、自由主義陣営とそれを支持する国々の二つに世界はふたつに割れつつあるぞ、ということを宣言するための第1回サミットだということです。
その意味で歴史に残るサミットでした。

ところでサミット前段で日英首脳会談がもたれて、日英同盟が正式に成立しました。
ネーミングは「日英アコード」で、まるで車の名前のようですが、外交用語としては「合意」「協定」といった意味です。

「広島アコードでは、ロシアによるウクライナ侵略を踏まえ、「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を強化する」と明記。北朝鮮の「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」(CVID)の実現や日本人拉致問題の即時解決に向けて緊密な連携で一致した。台湾海峡の平和と安定の重要性も再確認した。
安保分野では、岸田首相が1月に訪英した際、スナク氏との会談で自衛隊と英軍が共同訓練などで相互訪問する際の手続きを簡素化する「円滑化協定」(RAA)が締結されたことを踏まえ、将来的に英空母打撃群をインド太平洋地域に派遣することや、日英合同演習の規模拡充に向けた取り組みも推進する」
(産経5月18日)
日英首脳会談 安保協力強化へ「広島アコード」で合意 - 産経ニュース (sankei.com)

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産経

この第2次日英同盟成立と同時期に、台湾に英国トラス前首相が訪問しました。
トラスは首相を辞めたとはいえ、いまだに与党の重鎮であり、当然スナクの了承も得た上での訪台だろうと考えられます。

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BBC


「トラス氏は(台湾における)演説で、スーナク氏の約束は「正しかった」として、「こうした政策を喫緊に実行に移す必要がある」と述べた。一方、外交・国防政策の評価については「中国を脅威と明確に記す」よう修正されるべきだと話した。
経済面では、台湾の「環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTTP)」加盟を支援することで、中国の加盟を阻止するべきだと訴えた。
さらに、「自由と、本当に自由な事業を支援する」、「経済的な北大西洋条約機構(NATO)」の創設を呼びかけた。これには主要7カ国(G7)と欧州連合(EU)加盟国に加え、韓国とオーストラリアも含めるべきだとしている。
「我々は、プーチンのロシアが最近(4月)議長を務めた国連安全保障理事会を信頼できない」と、トラス氏は述べた。
「我々は世界貿易機関にも、公正な貿易ルールの確実な適用を期待できない。だからこそ、やるべきことをやるための別の選択肢が必要だ」(BBC5月17日)
トラス英前首相が訪台、中国を「脅威」と位置付けるよう政権にはたらきかけると - BBCニュース

トラスは英国政府を非公式に代表する存在であり、さらにはこのG7の時期を選んだことで自由主義陣営の総意だという形を作っています。
この文脈で歯切れよく「外交・国防で中国を脅威と明確に記す」と言い切ったことは大きな前進です。
これは単に中国に向けてだけのものではなく、総統選挙前に国民党メディアや識者がしきりと流す、いざという時には米国は助けに来ない、軍事力を強化すれば中国を刺激する、といった疑米論をまっこうから否定するものです。

このようにウクライナと台湾は絡み合ったふたつにしてひとつのもので、今日のウクライナは明日の台湾なのです。
ですからこれを防ぐには、欧州と日米が共同で双方を結びつけて行かねばなりません。
この欧州とアジア、核保有国と非核国、ウクライナ支援に積極的な国とそうではない国、この互いに矛盾する課題をウクライナの一点で結びつけた今回のサミットの成果は巨大です。
そして締めは千両役者のゼレンスキーの登場で幕を降ろしそうです。素晴らしい。
岸田氏に塩辛いことばかり言ってきた私ですが、今回は率直にその外交手腕に敬服しました。

 

 

 

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ゼレンスキー大統領、ヘルソン訪問 「戦争犯罪400件」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)
ゼレンスキー大統領を日本は歓迎します!

 

 

2023年5月19日 (金)

クリミア半島に注目して下さい

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キーウ、オデーサ、ハルキウなどは、連日連夜ロシアからのミサイル攻撃を受け続けています。
下図赤印が爆撃があった全土11都市にのぼります。

「木曜日、ロシアのミサイルがウクライナ全土の都市の標的を攻撃し、少なくとも9人が死亡した。
キエフ、オデッサ、ハリコフで建物とインフラが打撃を受け、いくつかの地域で停電が発生しました。
ウクライナは、ロシアが81発のミサイルを発射したと述べ、これは数週間の単一波で最大数である」
(BBC5月19日)
地図で見るウクライナ:ロシアとの戦争を追跡する-BBCニュース  地図で見るウクライナ:ロシアとの戦争を追跡する-BBCニュース

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BBC

首都キーウでは午前2時半から空襲警報が鳴り始め、2時間続きました。
深夜の攻撃は、眠りを妨げ市民たちを神経質にして厭戦気分を高めるためのものでしょう。
使われたのは弾道ミサイルとドローンの両方による攻撃のようで、「異例なほど密度の濃いもの」(ウクライナ国防省)で、動画を見ると防空システムがひっきりなしに首都上空に殺到するロシア軍ミサイルを迎撃した様子が映っています。
ウクライナ空軍は、18日、「ロシア軍がTu-160とTu-95から22発のKh-101/Kh-555を、黒海の艦艇から6発のKalibrを、地上配備型システムから2発のイスカンデルKを発射し、防空部隊は30発中29発を撃ち落とした」と発表しました。

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キーウ防空網は極超音速および巡航ミサイル攻撃を阻止する (funker530.com)

このウクライナを襲ったミサイルの中には、少し前までは迎撃不能と信じられていた最新鋭の超音速ミサイル・キンザールも含まれていたようです。
たぶんパトリオットが迎撃したのでしょう。ロシアは潰したと言っていますが、どっこい健在です。

「ウクライナ空軍のスポークスマン、ユーリイ・イフナットによると、ウクライナ全土の場所を標的にした砲撃には、6つのロシアのキンザール空中弾道極超音速ミサイルが含まれ、これまでの戦争での単一の攻撃で最も多く発射された。(略)
ウクライナ空軍スポークスマンのイナト氏によると、ロシアはMiG-31K戦闘機からキンザールを発射し、黒海の船から400発の巡航ミサイルと地上から発射された27発のS-37巡航ミサイルを発射した」
ウクライナは、キーウへの「例外的な」空襲中にロシアの極超音速ミサイルを撃墜したと述べています|事業内容 |postregister.com

このミサイル攻撃は地上からではなく、空中のミグ35Kや黒海にいるロシア艦隊から発射されたものだということに注目して下さい。
このことはロシアのミサイル攻撃を止めさせるためには、この策源地となっている黒海にいるロシア海軍を一掃する必要があることを教えています。
言い換えれば、この非道な民間人を狙ったミサイル攻撃を阻止するには、黒海艦隊の母港セバストポリを含むクリミア半島全域を解放せねばならないということになります。

さて、クリミア半島は、黒海を支配する要衝として何世紀にもわたって戦争が絶えなかった場所でした。
18世紀にオスマン帝国からロシア帝国に併合され、1850年代にロシアと英仏との間でクリミア戦争の戦場となっています。
例のナイチンゲールが、赤十字を作ることを思い立ったことで有名な戦争です。

そして1991年にソビエトが崩壊しウクライナが独立すると、ロシアとウクライナの間で帰属をめぐる対立が始まりました。
ウクライナはセバストポリの使用を認めていたのですが、2014年にウクライナで親露派が政権から駆逐されるや、プーチンはクリミア内部の親露派を傀儡にして、ロシア軍を侵攻させて住民投票を強行しました。

後はお定まりに、クリミアの親露傀儡政権にロシアに併合を要請させ、今年3月18日にプーチンはクリミアを併合すると一方的に宣言しました。といっても、2023年10月12日には、国連総会の緊急特別会合において、ロシアによるウクライナ4州併合は無効だとする国際連合総会決議ES-11/4が143か国の賛成により採択されており、まったく無効ですが。

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ウクライナが戦闘準備態勢、ロシア軍はクリミア半島を掌握 | Reuters

この2014年のクリミア侵攻は、今にして思えば去年から始まったクリミア戦争の序曲だったのですが、当時プーチンに幻想を持っていた西側の反応は鈍く、形ばかりの制裁を課しただけで容認同然としてしまいました。
西側陣営痛恨の失敗です。

ヒトラーのズデーテン地方併合と同じで、「国境の力による変更」は、起きた時点で国際社会全体が素早く秩序と法による支配の回復をせねば、必ず次には拡大した本格侵略が待ち構えているのです。
ナチス・ドイツによるチェコスロバキア解体 - Wikipedia

2018年5月にロシア本土とクリミアを直接結ぶクリミア大橋が完成した時は、大喜びで大型トラックを無免許で運転して渡り染めをしてみせるという馬鹿をやらかしています。
ここがプーチンの権力の絶頂でした。

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プーチン大統領、シートベルトせずにトラック運転。大統領府報道官「私は見ていなかった」 | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

このようにプーチンにとって、クリミアは自らがなし得た歴代のロシア皇帝に並ぶ「偉業」であり、力を誇示する象徴的な場所でもあるのです。
プーチンは「力」の信奉者です。
力こそ正義で、「力」こそ支配の源泉だと信じています。
ですから、この「力」を失った独裁者は殺されるしかありません。

クリミアがプーチンの「力の指輪」だとすれば、ここをを失うことはプーチンがなによりも大事にしている「力」を失うこととイコールなのです。

ところで、いま、ザポリージャ州やへルソン州でのウクライナ軍の動きに関しては、完全な情報統制がなされていて動向はまったく出てきません。
おそらくウクライナ軍はこの情報統制ぶりから見れば、クリミア半島奪還とアゾフ海へ進出し、広く薄く延びたロシアの戦線をど真ん中のメリトポリ、ないしは戦争前半の最大激戦地のひとつマリウポリで断ち切って、ロシアのアゾフ「回廊」を分断し、クリミアを切り離す考えだと推測できます。

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クリミア併合から9年 ウクライナ、奪還へ反攻準備 南部攻防激化も - 産経ニュース (sankei.com)

この「回廊」の分断作戦と同時に、供与されたストームシャドウを使ってクリミア大橋を破壊するであろうことは間違いありません。

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プーチン氏が渡り初めした「クリミア大橋」爆発、ウクライナ側「違法なものはすべて破壊」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

「反転攻勢をめぐり、ウクライナの国防省の当局者が、ドイツメディアへのインタビューで明らかにしたのは、「クリミア半島と、ロシアが占領するほかの地域とを切り離すことを目指す」というものです。この文脈で言えば、南部ザポリージャ州のメリトポリの奪還ができるかがポイントになると見られます。メリトポリからクリミアにつながる補給路を断つことにつながるからです」
(NHK2月27日)
ウクライナ 次の反転攻勢は南部「クリミア半島」が焦点か - キャッチ!世界のトップニュース - NHK

クリミア大橋という動脈を断ち切られた場合、黒海艦隊は母港を失ってさすらい、クリミア半島のロシア守備隊は孤立して、一切の補給がなくなることを意味します。
ウクライナ戦争において両軍とも鉄道を標的にしてきました。
それはロシア、ウクライナ双方共に、国内の道路インフラが貧弱なために、軍の兵站は鉄道輸送に依存しているからです。
とくにロシアは交通インフラが貧弱なために、鉄道幹線による物資輸送に偏重してきました。

「ロシア軍の兵站は鉄道輸送に依存しており、クリミア大橋を経由することでロシア本土から直接クリミアのジャンコイ、ザポリージャ州のメリトポリ、ヘルソン州のノーバ・カホフカ方面に装備や物資を輸送することでき、車輌輸送にかかる負担を大幅に軽減してくれていた」
(航空万能論10月8日)

ロシアは鉄道とパイプラインに過度に依存し、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴は、近年になっても修正されず、むしろさらに強まっています。
軍事物資の輸送も、大部分は鉄道輸送に頼っています。

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乗り物ニュース

このロシアからの鉄道兵站の出所はクリミア大橋経由と東部ドンバスからの二カ所です。
東部からのものは「回廊」を通ってマリウポリ、サポロジェに行きますから、ここで断ち切ります。

ではクリミア半島にウクライナ軍が進撃した場合はどうなるのでしょうか。
下のクリミア半島の地図を見てください。
図の上に見える太い黒線がドニエプル川のロシア軍防御陣地です。
今、このドニエプル川東岸、つまりウクライナが解放した地域からウクライナ軍は渡河を完了してロシア軍と対峙しているようです。


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ウクライナ軍の大反攻、口火切るのはクリミア大橋の破壊か(JBpress)|dメニューニュース(NTTドコモ) (docomo.ne.jp)

「戦争研究所は22日、複数の露軍事ブロガーの報告を基に、ウクライナ軍がドニエプル川の渡河に成功したもようだと指摘。東岸地域の小都市アリョシュキの北方に陣地を構築したが、規模や意図は不明だとした」
(産経4月24日)
ウクライナ軍、ヘルソン州で渡河成功か 陣地確保の情報 露側は「虚偽」と否定 - 産経ニュース (sankei.com)

陸自情報分析官だった西村金一元一佐の分析を参考にして、シミュレーションしてみましょう。
このロシア軍防御陣地は強力に見えますが、ペラペラの薄いラインにすぎず、その背後はがら空きだということが、衛星写真でわかっています。
おそらくウクライナ軍は反抗作戦において、ここに西側によって増強された機械化旅団を集中して、一気に抜いてクリミア半島を南下するでしょう。
その時、ロシア軍は、ウクライナ軍がクリミア半島の付け根(②の防御ライン)に達する前に、メリトポリ・マリウポリの方向に退却しようとするでしょうが、ウクライナの進軍が早い場合は逃げ損なって半島末端まで追い詰められます。(③)まさに崖っぷちです。

③に追い詰められたロシア軍は補給も途絶し、援軍も来ない完全に孤立状態となります。
補給方法は、唯一セバストポリ軍港からの船舶補給ですが、船舶輸送では戦車や大砲などの重量物の輸送には限界があります。
そもそも、そうなった場合ロシア海軍は後ろも見ずに逃げ出していますし、ネプチューン対艦ミサイルの射程内には近寄りもしないはずです。

このようにクリミア大橋からの補給線こそが、クリミア半島を占領し続けているロシアの軍事的意味である以上、ウクライナ空軍の最優先の攻撃目標はこのクリミア大橋であることはいうまでもありません。

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西村前掲

F-16が供与されていなかった場合、MiG-29統合型の2機で直接攻撃することになります。
一機につきストームシャドウを2~4発携行します。
この空域には、緊密な対空ミサイル網が張りめぐらされているはずですから、この攻撃編隊とは別の2機で、HARM(対レーダーミサイル)攻撃をかけて、ロシア軍の眼を潰しておかねばなりません。
米軍ならこれほど大きな目標を攻撃するには、攻撃機、護衛戦闘機、対レーダー攻撃機、給油機、空中管制指令機によって成るストライク・パッケージで臨むはずですが、ウクライナ空軍にはそこまでの力はありませんから、最低限のユニットとなるでしょう。

この攻撃が成功した場合、クリミア半島守備隊はクリミア大橋の手前で包囲されます。
このようにしてロシアからのふたつの補給線は完全に断たれ、クリミア半島、南部、東部は三つのブロックに分断されます。
相互に兵員の移動もできず、支援も補給もできない孤軍と化し、個別に包囲されて粉砕されることになります。
しかも今15万といわれるロシア兵たちは、プーチンが新規に動員した訓練も経験も足りない新兵揃いです。

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「ウクライナ軍の反転攻勢には勝算がある。ウクライナ軍部隊は南方方面に進撃して黒海に到達すれば、それ以西に展開する露軍の補給路を断つことができる。結果、多数の露軍兵士を捕虜にすることも期待できるだろう。
対する露軍は国境を接するロストフ州から部隊を投入してウクライナ軍の進撃を阻もうとすると同時に、東部で第2の都市ハリコフの占領を図り、ウクライナ軍に戦力の分散を強いるはずだ。
ウクライナの機動戦が成功を収めれば、停戦を視野に入れた新たな展開への機運も生まれよう。ロシアも侵攻の緒戦で首都キーウ(キエフ)の制圧に失敗した時点で、想定した勝利の可能性は消えている」
(エドワード・ルトワック2023年5月17日)
【世界を解く-E・ルトワック】ウクライナ「機動戦」で展望開け - 産経ニュース (sankei.com)

ルトワックが言うように、この「回廊」の分断とクリミア半島の解放に成功すれば、初めて停戦協議の機運が生まれるでしょう。
そこまでは、ウクライナが日本のうすら甘いサヨク文化人たちが望むような停戦協議に乗ることは絶対にありません。
いずれにしても、そう遠くない時期にどこで反撃の火蓋が切られるかに、ご注目ください。

 

 

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宥和は平和に導かない
2014年のクリミア侵攻と違法併合に続いて、ロシアはウクライナへの暴力的な侵略を開始し、罪のない人々を殺害し、クリミアの人々の人権を侵害しました。プーチンをなだめることは平和をもたらさないでしょう。
在日ウクライナ大使館(@UKRinJPN)

ウクライナに平和と独立を

 

2023年5月18日 (木)

エマニュエル大使によるLGBT法という文革の輸出

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とうとうLGBT法が自民党案となってしまったようです。

「LGBTの人たちへの理解を増進するための議員立法をめぐり、超党派の議員連盟の役員会で、自民党が、差別に関する文言の修正案に理解を求めたのに対し、立憲民主党などは「内容が後退している」と反発し改めて議員連盟として議論すべきだと主張しました。
LGBTの人たちへの理解を増進するため、超党派の議員連盟がおととし、まとめた法案は、自民党内の一部の根強い反対で国会へ提出されていません。
自民党執行部は、党内での議論を踏まえ「性自認を理由とする差別は許されない」という文言を、「性同一性を理由とする不当な差別はあってはならない」と変更する修正案を16日にもまとめたいとしています」
(NHK5月16日)
LGBT法案 自民の修正案に立民など反発 “内容が後退” | NHK | LG

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NHK

なんだかなぁ、という感じです。
私はこのLGBT法については、なにも言う元気がありませんでした。
だって、LGBTの人たちにただいま現在「不当な差別があった」という不利益が発生したのなら話は別です。
直ちに救済をするのはあたりまえですし、新たに法律を作って担保せねばならないかもしれません。
しかしそうではありません。
わが国では性的少数者の差別などなかったし、差別的扱いを許容する空気も社会には存在しませんでした。
わが国でいったい何人の性少数者芸人がいると思っているんでしょうか。


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マツコ・デラックスvsおすぎとピーコの毒舌ガチンコ対決実現! 結末は…? | cinemacafe.net

不快に思った?とんでもない、彼らは普通に社会に許容されています。
それどころかオカマ独特の微量の毒が人気なくらいです。
わが国はキリスト教文化圏と違って、性的少数者を背教者とは感じていないのです。
うちの国には、歌舞伎の女形という異性装の芸能があった国で、それがソドミーとして禁じられた欧米とは大きく風土がことなっています。
つい最近まで、ソドミー法があったような国と一緒にしていただきたくないものです。
ソドミー法 - Wikipedia

つまり、LGBT法は火のない所に煙を立てて大火事にしたい運動家たちと、 米国 民主党系運動家のエマニュエル米国大使が作ったのです。

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エマニュエル大使は、 シカゴ市長時代からLGBT運動には前のめりで、デモにも参加していました。

「米国のラーム・エマニュエル駐日大使が、LGBTQなど性的少数者の人権保障をテーマに、本紙の単独取材に応じた。先進7カ国(G7)で唯一、差別禁止を定めた法律がなく、同性婚を認めていない日本に対して「早期に法律を制定すべきだ」と強調。法整備に向けた一歩として、与野党が国会提出を目指している理解増進法案の成立に期待感を示した」
( 東京5月1日)
エマニュエル駐日米大使 同性婚「早期に法制化を」本紙に強調「排除する社会は未来を築けない」:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

そして具体的に、地方自治体で同性婚の試みが始まっていることを取り上げて、国もこれにならうべきだとまでお節介を焼いています。
自分がシカゴ市長だった時の経験でモノ言っているようですが、あなた今の職分は大使でしょうが。
日米外交案件で発言するのはありえても、赴任国の国内法の制定についてとやかく言うのは越権もいいところです。
逆に、たとえば駐米日本大使が米国の銃規制についてとやかく発言したら、内政干渉だと猛反発されるでしょう。
こんなアホウな米国大使見たことない、といわれないようにね。

「名古屋や札幌などで(同性カップルだと公的に証明する)パートナーシップ制度が進んでいるのは評価すべきことだ。米国では(自身が市長を務めた)シカゴや、ロサンゼルスなどで制度が普及し、国を動かした。全ての自治体の政策決定が、草の根のうねりをつくる。地方行政が国政を変える」
(東京前掲)

ところが皮肉にも、かくいうエマニュエル大使の母国米国でLGBT法を可決していない州は14も残っています。
エマニュエルさん、どうぞテキサスに行って日本で言っていたことを伝道して来て下さい。

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それどころか共和党の強い州では異性装すら許さない「アンチ・ドラァグ法」すら成立しているようです。

「今年に入ってから、テネシー州、カンザス州、テキサス州など15の保守州の議会で、「アンチ・ドラァグ法」と総称される法案が提出されている。細かい違いはあれど、異性装のパフォーマンスを禁止する内容だ。
共和党議員が過半数を占めるテネシー州議会では、未成年の前、または公共の場における「アダルト・キャバレーのパフォーマンス」を禁止し、罰則者を2500ドル(約3万3800円、1ドル=135円換算)の罰金または禁錮1年の処罰の対象にする法案が通過した。(略)
一連の「アンチ・ドラァグ法」は、トランスジェンダーの人々に認められてきた医療へのアクセスを削減する法案同様、過去に認められてきたLGBTQの権利拡大の動きを差し戻そうとする、共和党と宗教右派による運動の一環である」
(佐久間裕美子023年5月7日)

米15州で迫るアンチLGBT法。「子どもたちを守る」という大義に表現手段を奪われるドラァグクイーンたち | Business Insider Japan

まぁ、私はここまでする必要はないと思いますし、トランスジェンダーがどんな格好をしようと勝手だろうとは思いますが、ことほど左様に、米国においてもエマニュエル大使のような意見は一部にすぎないのです。
だったらなおさらのこと、民主党左派が自分の国でやって分断と対立を拡げたBLMのような手法を日本に押しつけるべきではありませんでした。

米国在住の中国人ジャーナリストの何清漣はこう語っています。

「私は最近、自分の原稿の中に、この運動(BLM運動)と中国文革にはよく似たDNAがあると書いた。なにかって?みなさんご存じのように中国の文革の核心はマルクス主義であり、マルクス主義の核心理論は暴力革命。
既存の国家メカニズムを破壊し、新たな国家メカニズムを打ち立てること。これはなぜ民主党が首長の各州で警察機構がマヒしているかの理由でもあろう。
文革期の公安、検察、裁判所で同様の打ちこわしがあったことと同じだ。このようにして初めて、法執行機関の介入なしに、すべての“四旧”を好きなようにできるのだ」
(福島香織の中国趣聞(チャイナゴシップ) NO.103  2020年6月28日)

エマニュエル大使がやっていることは「文革の輸出」です。
自分の国でも実現していないことを、他人様の国にやるんじゃないよ、と思いますがね。

ところで、この法案はむしろ迷惑だと、性的少数者で作る4団体が記者会見でハッキリと言いきっています。

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産経

「当事者の会の所属で、女性に性転換した美山みどり氏は「生活者の立場で、医療機関や金融機関、行政で差別を受けたことはなかった」と述べ、法案の必要性を否定した」
(産経5月1日)
性的少数者団体が会見 「LGBT法は不要」 - 産経ニュース (sankei.com)

そしてむしろこの法案ができることによる不利益について、こう述べています。

「記者会見で、性的少数者でつくる「白百合の会」の千石杏香氏は、法案について「女性だと言い張る男性を女性として認め、女子トイレが使えるように解釈される可能性が高い。このような法律は不要だ」と強調した 」
(産経前掲)

実際にすでにジェンダーレストイレは新宿歌舞伎町に登場しています。

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フラッシュ

「問題となっているのは、2階にあるジェンダーレストイレ。要は、性別に関係なく誰でも利用できるのだが、男性の小便用トイレを除き、すべて共用なのだ。いわゆる「大」のほうは男女が隣同士で入ることもあるため、性犯罪などのリスクが指摘されている」
(フラッシュ5月6日)
男と女が隣で用を足す「歌舞伎町タワー」共用トイレに批判殺到…化粧直しの女性と目があった男性記者は恐縮しきり(SmartFLASH) - Yahoo!ニュース

こんなゲテモノを使う女性は皆無で、むしろなにを期待しているのかたむろする男たちが集まっているようです。
あたりまえだろう、つうの。
どこに男と並んで用をたしたい女性がいますか。
トイレは化粧室とも言うようにかんたんな化粧直しをするところなのに、 横でオッサンが手を洗っていたら冗談ではありません。
つまり、このトイレのような安易なジェンダーレス施設は、女性に対する差別につながりかねないのです。

ここで問題となっているのは「性自認」の概念です。

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NHK

身体的には100%男性であっても、女性として性自認しているならば、女性の施設を使えるとなると、前述した性的少数者の会が危惧する「女性だと言い張る男性を女性として認め、女子トイレが使えるように解釈される可能性」がでてきます。
トイレのみならず、女性が保護されている更衣室や風呂などにおいても、「オレは女だ」という「性自認」があれば男性でも入れるわけです。
あるいは欧米では既に女性と「性自認する」肉体的には男性である人物が女性の運動大会に出場し、優勝をかっさらっていくケースも出ました。

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水泳大会「男」「女」「トランス」3カテゴリへ…スポーツ界が直面する「答えが出せない問題」 | Smart FLASH/スマフラ[光文社週刊誌] (smart-flash.jp)

「トランスジェンダー選手の水泳競技出場をめぐる議論はかねてよりありましたが、“決定打” となったのは、アメリカのリア・トーマス選手でしょう。同選手は、2017年は男子チームの一員でしたが、トランスジェンダー選手として2020年に女子チームに加わりました。
今年3月の全米大学体育協会(NCAA)選手権の女子500ヤード(約457メートル)自由形で優勝。性自認は女性であるものの、体格や泳力の面で “公平性が保たれていない” と物議を醸したのです」
(フラッシュ2022年6月21日)

これって女性差別ではありませんか。
性自認はあくまでもその人の内面であって、外的にそれを計る術はありません。
ですから「オレは女だ」と言い張れば、女性トイレに入ろうと、女子更衣室を使おうと、女性のスポーツ大会に出場しようと自由なのです。
これがいかなる社会的混乱をひきおこすのか、考えないないでもわかりそうなものです。
トイレや更衣室を男女別に設置しているのは女性保護なのですから、フェミニストの皆さんのご意見をお伺いしたいものです。

しかも性的少数者の運動団体は、いまでも女子更衣室を使うのはイヤですね、と慎重に発言した女優の橋本愛氏に対して差別者のバッシングを行いました。

「橋本さんは「入浴施設や公共のトイレなど、そういった場所では体の性に合わせて区分する方がベターかなと思っています」と綴り、「女性として、相手がどんな心の性であっても、会話してコミュニケーションを取れるわけでもない公共の施設で、身体が男性の方に入って来られたら、とても警戒してしまうし、それだけで恐怖心を抱いてしまうと思います」と心の内を打ち明けた。(略)
橋本さんは激しいバッシングに耐えきれず、以下のように詫びた。
「本当に、心から、ごめんなさい。本当にごめんなさい。学びの機会をくださり、本当にありがとうございます」
橋本愛がLGBT活動家から批判を浴びて謝罪「トランス女性は女風呂や女子トイレを使わない」という活動家の嘘 - ブッチNEWS(ブッチニュース) (bucchinews.com)

ああ、イヤダ、ゾっとします。
橋本氏の言ったことのどこが「差別」なのでしょうか。そんなわけがありません。
ごく普通の女性が、ごく普通な感想を述べたまでのことです。

こういう一部運動家が大上段で掲げる過激な「正義」に法的根拠を与えてしまうのが、この自民党LGBT法案なのです。
多くの国民は、この声の大きな運動団体の声こそが性的少数者の声そのものだと勘違いするでしょう。
そして彼らに対する誤った観念を増幅させ、憎悪を沈殿させるかもしれないのです。
そちらのほうがよほど恐ろしいことです。

ところで自民は法案を提出するが、成立するとも思っていないようです。

「自民党は16日の総務会で、性的少数者(LGBT)への理解増進法案の修正案を了承した。自民、公明両党は与党政策責任者会議でも了承し、週内に国会に共同提出することで合意した。自民内では保守系議員の反発が根強いが、19日開幕の先進7か国首脳会議(G7サミット)を見据え、議長国の日本が「差別解消の取り組みに消極的だ」との批判を避ける狙いがある」
(読売5月17日)
LGBT法案、週内提出を自民了承…G7控え批判回避狙う「提出できれば成立必要ない」の声も : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

19日開幕の先進7か国首脳会議(G7サミット)を見据え、議長国の日本が「差別解消の取り組みに消極的だ」との批判を避ける狙いがあるとのことです。
なんせ米国大使やEU各国が内政干渉してきますしね。
こんな批判をかわすためにだけ法案を提出する、というわけで、LGBT法案を提出すれば、なるほど日本も差別解消の取り組みに積極的に取り組んでおるな、先進国認めてやろうと、G7各国からみていただけるというわけのようです。
だから結局、この法案はできたときから廃案になる運命にあるようです。

「自民内からは「国会に提出さえできれば、国際社会に姿勢は示せる。成立する必要はない」(保守系議員)との声も漏れている」
(読売前提)

まさに茶番。
この重要な時期に丸々数カ月かけて審議するようなことか、と思いますね。

 

※改題しちゃいました。すいません。

 

 

2023年5月17日 (水)

テロに甘い土壌から生まれたテロリスト志願者

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ああ、やっぱりまた出ましたか、暗殺テロの模倣犯。

「米総領事館付近で鉄パイプ見せ「火薬入り」 公妨容疑で女性逮捕
15日午前9時半ごろ、沖縄県浦添市当山の在沖縄米総領事館付近で、警備中の警察官に、鉄パイプのような物を見せ「これに火薬をつめてある」などと警察官に話しかけるなどしたとして、沖縄県警は公務執行妨害容疑で東村のチョウ類研究者の40代女性を逮捕した。
 鉄パイプのようなものは警察が押収し詳しく調べている。現在までに、けが人やそのほかの被害などは確認されていない」
(琉球新報5月16日)
米総領事館付近で鉄パイプ見せ「火薬入り」 公妨容疑で女性逮捕 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト (ryukyushimpo.jp)

この人物は去年にも佐喜真候補に薬莢を投げつけて逮捕されています。
去年の事件はこのように起きました。

「26日午後6時半ごろ、那覇市の県庁前の広場で、沖縄県知事選に立候補している佐喜真淳氏の演説中、聴衆の女性が古い薬きょうのような物を複数投げ付けた。陣営スタッフが女性を取り押さえ、県警に引き渡した。候補者本人を含め、けが人はいない。那覇署が女性を任意同行して事情を聴いている」
(沖縄タイムス2022年8月27日)
佐喜真候補に薬きょうを投げ付ける 沖縄知事選の演説中に 女性を任意同行 (沖縄タイムス) - Yahoo!ニュース

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まず初めにおことわりしますが、私はこのような行為に対して「選挙妨害をした」という表現をとりません。
今回の事件においても「公務執行妨害」などとは呼びません。
テロリストと呼ぶだけでよいのです。

安倍氏暗殺事件を「銃撃事件」という表現と一緒で、本質をズラして、たいしたことがないようにみせる「配慮」の匂いがプンプンするからです。
一般的に表現を柔らかくすることで逃げる日本人の悪い習慣は、都合の悪い現実を直視しない性癖を生み出します。
そして必ずテロの模倣犯を生み出します。

なぜなら、それは彼らテロリストにとって「おいしい」からです。
自分の主義主張、あるいは偏った価値観を社会に強要するには、テロが最短の手段です。
常ならば、政治行為は気が遠くなるような長い時間と努力を重ねてなされるものです。
この自称「蝶研究家」と称する女性が、その主張であるらしい反米反基地の主張を実現しようと思ったなら、民主主義社会においてはきちんと道は用意されています。
選挙に出ることです。市議会議員選挙でも県会議員選挙にでも、はたまた国政選挙にでも出て、選挙という国民の選択を仰ぐことです。
あるいは投票することで、政治に反映させればよいだけです。

この公民権の集積が「政治」を作っています。

あたりまえに見えますが、これは世界的に見れば決してあたりまえではありません。
隣の中国大陸では普通選挙をやったことがないので、選挙で習近平を選んだわけではありません。
あらかじめ共産党が選んでおいた候補者を、共産党員が選ぶのです。
全人代をメディアは「国会に当たる」と間違って伝えていますが、アレは共産党員だけが出席を許されていて野党がいない、上層部からの伝達機関にすぎません。
あの国では「共産党が悪い」とは言ってはいけません。
言うと逮捕されます。デモをしても捕まります。団体を作っても捕まります。パンフレットを作って撒いても捕まります。

百歩譲って、このようなすべてが封殺された独裁国においては、非常の手段として暴力的に見える手段もありえるかもしれません。
香港のようなケースです。
私はそれを勧めませんが、それしかないという社会構造の国もあることを忘れないようにしましょう。

では、わが国はどうでしょうか。
わが国で基本的人権が破壊されていますか?
選挙が行われないということがありましたか?
言論出版の自由が犯されたことがありましたか?
ないはずです。

十重二十重に政治に参加するすべての権利は保証されています。
和歌山テロ事件の犯人は被選挙権の年齢うんぬんとトンチキなことを言っていましたが、それを変えたいなら被選挙権に達するまで待って立候補すればよいだけのことです。
供託金がかかるとも言っていましたが、あれは政治家になる覚悟も準備もない人物が乱立しないように制限をかけているだけのことです。

また選挙に立てない人のために、政治に外側から圧力をかける示威行為も許されています。
デモも、集会も、結社もすべて許されていて、沖縄のメディアはこれこそが民主主義の発露だ、くらい褒めそやしてくれます。
これらの諸権利の積み重ねが10年先、20年先の日本を作っていくのです。

これらを委細無視して、短絡的に自分の政治目標を達成しようとするのがテロリズムです。
有力政治家を殺す、意見が違う政治家を脅迫する、選挙妨害をする、といったことはすでに実際に行われました。
そして今度は、とうとう外国の外交施設を爆破するという脅迫をしでかしたわけです。

琉新は同情的に名を伏していますが、この人物は反基地業界では有名な人です。
当人の脳内では「アキノ隊員」として、地球防衛軍の一員をやっているつもりのようです。
しかし、オカシナ人がオカシナことをしたでは済ませられません。
彼女がしたのは、去年は正当な選挙活動をしている候補者に対しての暴力的選挙運動妨害でしたし、今回は米国総領事館への爆弾テロの予告でした。

今回は、岸田暗殺未遂事件で用いられた鉄バイプを模したものを警備の警官に見せつけた上で、「これに火薬が詰めてある」とまで言ったのですから、これが米国なら即刻その場で射殺されても文句がいえない行為でした。
こういう甘ったれたことができるのは、日本の警察がこのような反社会的人物に腰が引けているからです。
こんなテスリスト志願者に対しても、ひたすら刺激しないようにとばかりに気がいき、再発防止のためにどれだけの力を注いでいるのでしょうか。
このような警察の対応は、安倍氏暗殺を礼賛せんばかりだったメディアが作り出しました。
それがたちまち新しい和歌山の模倣犯を生み、さらには今回の事件も連鎖させました。
まるで今の日本には、「保守政治家なら殺してもいい」、「米国や政府施設なら爆弾攻撃をしてもかまわない」という歪んだ常識ができてしまったようです。
テロに大甘なわが国の風土はメディアが作ったものです。
そしてそこから第2、第3のテロリスト志願者が生まれてきたのです。

 

 

2023年5月16日 (火)

英国、ウクライナに「長い拳」を供与

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とうとう英国は、いままでためらってきた長距離巡航ミサイルストームシャドウの供与に踏み切り、間髪をいれずウクライナは使用を開始しているようです。
小泉悠氏によれば、実は数カ月前から供与されていたのですが、ミグ29のシステムに統合するのに手間取っていたようです。

やっと使用開始にこぎつけたようで、ルハンスク後方の目標に命中したことが確認されています。
いままでハイマースなどでは届かなかった後方の目標が攻撃範囲に入ったことで、ただでさえ怯えているロシア軍にとっての心理的圧迫感は相当なはずです。

「ウクライナ軍は2023年5月12日と13日にウクライナ東部ルハンスク州Luhansk Oblastのロシア後方地域のルハンスク(露語:ルガンスク)市を英国の長距離巡航ミサイル「ストームシャドー(Storm Shadow)」で攻撃したとのことで、ウクライナがロシアの物流を狙う可能性についてロシアの不安を高めているようだ」
(ウクライナプラウダ5月4日)
戦争研究所は、ウクライナ軍がバクムット戦線で何キロを奪還したかを報告しています|ウクライナ・プラウダ (pravda.com.ua)

ルハンスク親ロシア軍は、当初はウクライナ製の「グロム2」短距離弾道ミサイルと主張していましたが、後に回収された部品に「STORM SHADOW」と書かれてある物が発見されて修正しました。

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ストームシャドウの回収された部品
JSF(@rockfish31)さん / Twitter

ストームシャドウは、英仏共同開発の最新鋭長距離巡航ミサイルです。

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航空機搭載ストームシャドウ巡航ミサイル
航空万能論

「ストームシャドウは長距離のスタンドオフ空中発射ミサイルであり、間違いなく世界で最も先進的な兵器です。ミサイルは、英国が開発した強力な通常弾頭を備えており、埋設および保護されたコマンドセンターなどの重要な強化されたターゲットとインフラストラクチャを攻撃するように設計されています。
ミッションとターゲットのデータは、航空機がミッションを離れる前に武器のメインコンピューターにロードされます。解放後、翼が展開し、武器は地形プロファイルマッチングと統合された全地球測位システム(GPS)を使用して低高度でターゲットに向かってナビゲートします」
イギリス空軍 - ストームシャドウ (archive.org)

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Anton Gerashchenko

ストームシャドウの射程は250キロで、米国がウクライナに供与しているハイマースの射程が80キロですから、実にその3倍に達します。
この公表されている250キロは輸出型であって、英国が供与するのは自国用でさらに射程が長いと言われています。

もちろん英国はウクライナに領外目標に使用しないことを約束させており、ウクライナは承認しています。
供与される数はわかりませんが、英国はこれを約600基ほど保有していますが、数発ということはないでしょうが、そう多くはなさそうです。
ゼレンスキーは再三に渡って射程約300キロの地対地陸軍戦術ミサイル(ATACMS) を要請してきましたが、ホワイトハウスはロシアを刺激したくないために、これを却下し続けてきました。
米宇交渉が不透明なために、英国が先に供与を開始してしまったというわけです。

英国のストームシャドウは航空機発射型で、トルネード攻撃機に4発つるして飛行している写真が公表されています。
ウォーレス国防相は、「ストームシャドウ」はウクライナが所有するソビエト連邦時代の航空機でも使用できると述べ、それを可能にした技師や科学者を称賛した」(ガーディアン5月19日)と述べているところをみると、すでにウクライナ空軍機の運用は可能となっているようです。

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英国も当初は米国同様に供与に慎重姿勢でしたが、決断に踏み切った理由を、ロシアの無差別な民間施設を狙ったミサイル攻撃によって2万3千人もの民間人が犠牲になったことに対する「比例対応」だと、ウォーレス国防相は述べています。

「大臣は、この決定はロシアの侵略、特にモスクワによるウクライナの民間人の繰り返しの標的に対する「比例した対応」であると述べた。少なくとも23,000人の民間人が死亡または負傷したとウォレスは述べた。ロシアは「医療施設、病院、診療所、医療センターに対して788回の攻撃」を行い、多くの場合、ミサイル攻撃で民間人を殺害したと彼は付け加えた。
「ストームシャドウの使用は、ウクライナがウクライナの主権領土内に拠点を置くロシア軍を押し戻すことを可能にするだろう」とウォレスは議員に語り、「ロシアは彼らの行動だけがそのようなシステムの提供につながったことを認識しなければならない」と付け加えた」
(ガーディアン前掲)
英国がウクライナに長距離ストームシャドウミサイルを送ると国防相は発言 |防衛政策 |ガーディアン (theguardian.com) 


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ロシアが「最大規模の」ドローン攻撃 ウクライナ首都と各地で - BBCニュース

ウォレスは、ロシア軍が大規模な民間施設爆撃し続けたことを民間人を標的にした無差別エスカレーションととらえており、ストームシャドウ供与はその「エスカレーションに応じて調整された比例対応だ」と述べています。
そもそもウォーレスが言うように、「ロシアが侵攻しなければ、こうした動きは何一つ必要なかった」のです。
ロシアよ、恨むならみずからの民間人虐殺を恨むがいい、というわけです。

またこのストームシャドウは、ウクライナの自衛に「最大の好機」をもたらす「ゲームチェンジャー」となるとも述べています。
ゲームチェンジャーとは、戦局のルールを変えてしまうような決定的な兵器のことですが、供与数も限られており、ストームシャドウだけでは大きく戦況を左右することはないはずです。
しかし、その効果的な使い方いかんでは大きな追い風となることでしょう。

もっともありえる推測としては、クリミア大橋の破壊です。
クリミア大橋が破壊された場合、クリミア半島はロシア本土から遮断され孤立します。
おそらく同時に東部とクリミアを結ぶ南部サポリージャが遮断されるでしょうから、広く薄く延びたロシア軍は相互に支援が不可能となり、一気に苦境に立たされることになります。

いずれにせよ、今後、ストームシャドウという長い拳を得たウクライナ軍に、ロシアは怯え続けることになるはずです。

※改題しました。

 

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2023年5月15日 (月)

ウクライナ軍、反攻準備作戦開始か

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現在、ウクライナは大規模反撃をかけると宣言していますが、それがいつ、いかなる形で行われるのか明らかにしていません。
先日、バフムトでウクライナ軍が大きくロシア軍を押し返したという情報が入りましたが、これが反撃開始の号砲なのかどうか、バフムト戦線とどのように関係するのかわかっていませんでした。

確かに、ロシア軍はあれだけ多大な損害をかけてでも占領せんとしたバフムトにおいて、大混乱に陥り退却を余儀なくされているようです。
ブリゴジンがどう言ったの言わないのとは関係なく、視覚的に確認された戦況はこうです。

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航空万能論

「ロシア国防省は、ロシア軍がバクムットの北部郊外から「ベルヒフカ貯水池のそばのより有利な位置」に撤退したと発表した。
ロシア国防省は遠回しに「バフムート周辺のクロモヴェ突破が失敗に終わり、ベルヒフカ貯水池周辺の有利な位置まで後退した」と発表したが、ウクライナ軍の砲撃を受けながら徒歩で後退する兵士や車輌を付近で、の陣地をウクライナ軍に攻撃する様子が確認され、ベルヒフカ貯水池の南部分をロシアが放棄したのは確実だ」
(航空万能論5月13日)
バフムートを巡る戦い、ウクライナ軍の反撃とロシア軍の後退が鮮明に (grandfleet.info)

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バフムト  BBC

親ロシアのジャーナリストはこう報じています。

「親ロシア派のロシア人戦場記者サーシャ・コッツ氏は、広く予想されてきたウクライナの反攻が始まったと伝えた。
同氏は「信頼できる」情報源の話として、ウクライナ軍の戦車がハルキウの環状道路をロシアとの国境に向けて進んでいるとした。この報告は独立した検証ができていない。
コッツ氏はまた、「車列の中には西側の(戦車)モデルなどを積んだ低荷台運搬車がある」と説明。(略)
別のロシア人戦場記者、アレクサンデル・シモノフ氏は、ウクライナ軍がバフムート近郊のボーダニフカ村の近くを突破し、「数平方キロメートル」の土地を確保したとテレグラムに書いた」
(BBC5月12日)
ロシア、ウクライナ軍の前進を否定 東部の前線 - BBCニュース

ブリゴジンはあいかわらずオーバーなしぐさでこう言っていますが、ワグネルが後退したことは確かなようです。

「中でも目を引くのは、ロシアにとって屈辱的と思われる戦場での後退を暴露したことだ。プリゴジン氏は今週の投稿で、東部バフムート周辺からロシアの旅団が「逃走」したため、ワグネルの部隊がウクライナ軍に包囲される恐れが出ていると怒りをあらわにした。
「西部側面の状況は予想される最悪のシナリオで進んでいる」。11日に公開された音声メッセージでプリゴジン氏はこう不満をぶちまけ、「戦友の血と命を代償に解放した領土は今日、我々の側面を支えるはずの者によって、ほぼ無抵抗のまま放棄された」と述べている」
(CNN5月13日)
ワグネルのトップ、怒りのボルテージ上げる これは何を意味するのか? - CNN.co.jp


ワグネルは弾薬補給がないところで包囲されるのを恐れて撤退してしまい、前線のロシア軍は背後にいたはずのワグネルがいないことに気がつきパニックに陥ったようです。
そこにウクライナ軍がすかさず厳しい砲撃をかけた上で部隊を入れたために、玉突き的戦線崩壊が起きたようです。

では、これが約束していたウクライナ軍の総反撃なのでしょうか。
たしかにその一環ですが、違うと思われます。
これは「形成作戦」と呼ばれる準備攻撃のようです。

「(CNN) ウクライナ軍が予想されるロシア軍への反転攻勢を前に、準備段階に当たる「形成」作戦を開始したことが分かった。米軍や欧米当局の高官がCNNに明らかにした。
形成作戦の内容には、部隊の進軍に備えて戦場の状況を準備するため、武器集積所や指揮所、装甲車、火砲を攻撃することが含まれる。大規模な連合作戦の前に行われる標準的な戦術となっている。
ウクライナが昨年夏に南部と北東部で反攻を仕掛けた際にも、事前に航空攻撃で戦場を形成する作戦が行われた。米軍高官によると、こうした形成作戦は、予定されるウクライナの攻勢の主要部分の前に何日も続く可能性があるという。
ゼレンスキー大統領は11日公開のインタビューで、欧米から約束された軍事支援のさらなる到着を待つ必要があるため、反攻開始には「もう少し」時間が必要だとの認識を示していた」
(CNN5月12日)
ウクライナ軍、反攻に向けた「形成」作戦を開始 米軍高官 - CNN.co.jp

渡辺悦和元陸将このようにツイートしています。

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ところで、4月初め、米国からNATO(北大西洋条約機構)の機密文書を流出させたことが話題になりました。
これを分析した深川孝行氏はこう述べています。

「軍団は「機械化旅団」12個で、うち9個は欧米など国外で鍛え上げられ、4月までに完了の予定(機密文書は3月現在)。「機械化」とは戦車や装甲車を多数配備し、攻撃力(火力)とスピード(機動力)に優れているという意味だ。
規模は約5000名、世界で最も実戦経験豊富な米陸軍のフォーメーションが手本になっていることは想像に難くない。(略)
「諸兵科連合部隊」とも呼ばれ、ある程度の規模の作戦を単独(自己完結)で続けられる。最低限必要な部隊を“全部乗せ”した戦闘集団で、MBTが約90台と比較的多いのが特徴だ。「師団」(兵力は1万~1万5000名程度)の規模をほぼ3分の1に圧縮した、小回りの利く“ミニ師団”と考えていい」
(深川孝行5月12日)
ウクライナの一大反転攻勢作戦で第2次大戦以来の「欧州戦車戦」が勃発か ルートは?進軍方法は? 専門軍団の兵力から見るロシア軍壊滅のシナリオ(1/7) | JBpress (ジェイビープレス) (ismedia.jp)

この西側によってパワーアップされた砲兵、歩兵、機甲部隊などを「全部乗せ」した諸兵科連合部隊が、現状で9個、西側装備ではないものが他に3個あるようです。
実は既にこれだけで、NATO軍のどこの国よりも強力です。
もちろんわが国の自衛隊よりはるかに強力で、いまや米国を別にしてウクライナ軍は自由主義陣営最強の陸軍に育ちつつあるのです。

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BBC

「実はNATOの欧州主要国、英仏独の陸軍と同等かそれ以上の戦力だ。中でも「第33旅団」と呼ばれる部隊が最強らしく、話題のMBT、レオ2を50台弱も揃える」
(深川前掲)

つまりNATOのどの国より強力な装備を有し、士気が高く実戦経験豊富なウクライナ兵が用い、英米直伝の指揮で戦って仮に破れたとしたら、もはやロシア軍を止めるものはこの世界にはいないということになります。
あと欠落するピースは空軍力と長距離ミサイルですが、後者は既に英国が供与していることを認めました。

鶴岡路人氏は、今のウクライナ情勢をこのように整理しています。

ウクライナの反転攻勢で言えること:
①露はウの反転攻勢を警戒
②反転攻勢は必ず行われる+一部開始
③ウは装備も訓練も完璧ではないが改善
④露の装備、訓練は悪化傾向
⑤ウは成果が必要(米欧の支援継続に直結)
⑥ウは過剰期待を警戒
⑦露の防御は昨年より強固に
⑧露の防衛線の中には弱い地点も

その上で、今回の反転攻勢がウにとって死活的な理由は主に2つ。
(1)軍事面:NATO諸国からの再度の同規模の武器供与は短期間では無理ーー少なくとも今年は1回限りの機会しかない
(2)政治面:成果が上がらないと、武器供与継続への米欧の支持が低下+停戦協議への圧力が高まる懸念が存在する
Michito Tsuruoka / 鶴岡路人(@MichitoTsuruoka)さん / Twitter

反撃は近づいています。
そしてそれは鶴岡氏が言うように、ただ一回かぎりでやり直しが効かないものなのです。
が故に、ウクライナはバフムトに目を向けさせてロシア軍主力を拘束し、準備攻撃によって損害を強いているのです。

 

 

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Defense of Ukraine
ウクライナに平和と独立を

 

2023年5月14日 (日)

日曜写真館 おのが名を偽らず咲き鉄線花

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つつましき夏のはじめや鉄線花 森澄雄

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まことその名のごときひと鉄線花 鷹羽狩行

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濃紫黒よりくろし鉄線花 阿波野青畝

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花びらにアテネをのせて鉄線花 平井照敏 

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鉄線の溢れ咲きつぎ濃紫 星野立子

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鉄線花のむらさき自由自在かな 後藤比奈夫

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狂ひ咲く鉄線高さ失はず 上田五千石

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鉄線花に紫衣の紫憑きにけり 後藤比奈夫 

 

鉄線花 (クレマチス)のつるは、鉄の線でできているかのように強いことで知られます。
そして鉄のような茎から美しい花を咲かせることから、「甘い束縛」「縛りつける」、あるいは「高潔」という花言葉がつけられました。

2023年5月13日 (土)

韓国が福島原発の「汚染水」調査に来るそうです

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韓国が福島の処理水について現地調査をしに来るそうです。どうぞどうぞ、お気に召すまま。
来るというだけ、ユン政権が前進したと思いましょう。
現地に来もしないで、はるか遠くからやれ福島には子供を行かせないとか、「フクシマ」の魚は食わないなどと言っている日本の反原発原理主義者よりよほどましです。

これについて、もっとも穏健な韓国・朝鮮日報の社説です。
保守系のユン政権に近いここですら「体感リスクは実際のリスクとは異なる」そうです。
つまりは、いくら実証的数値が出ても、それは韓国民の風評解消にはならないということを,来る前から言っています。
やれやれ、じゃあうちの国はどうしたらいいつうの。
タンクが破裂するまでため込んでんだから、今後なんらかのことが起きたら「近隣諸国」がメンドーみてくれんの。
また、得たりとばかりに批判するだけでしょうが。

「韓日首脳は福島原発の汚染処理水放出問題に関連し、国際原子力機関(IAEA)による検証とは別に、韓国の専門家グループの現場視察に合意した。IAEAは既に2021年7月、韓国を含む11カ国の専門家でモニタリングタスクフォースを設置し、汚染水処理過程を検証している。
また、昨年3回にわたり、IAEAによる立ち会いの下で採取した汚染処理水と魚、海藻類、海底堆積物などのサンプルを韓国、米国、フランス、スイスで分析してきた。それにもかかわらず、日本政府が韓国の専門家グループが別途現場で検証を行うことに同意したのは、3月の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による訪日以降、韓日関係が改善したことで、日本側が誠意を示したためとみられる。(略)
それでも韓国政府は福島の汚染処理水放出問題だけは極めて慎重な姿勢で扱わなければならない。放射能はどこの国民でも恐怖の対象だ。国民の体感リスクは、実際のリスクとは全く異なることがある。特に政府当局者のささいな一言、数文字の発言が国民の感情を刺激することがある。日本と関連した問題であればなおさらだ。

(朝鮮日報5月8日社説)
5月8日付社説】福島処理水、科学優先だが国民感情にも配慮を-Chosun online 朝鮮日報

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朝鮮日報

ハンギョレはいつもの調子で、この調子です。

「日本政府が13日、福島第一原発の敷地に保管している汚染水を海に放出することを決めた。2年後から始めて約30年間にわたり海洋放出を続けるという。福島第一原発の汚染水は現在125万トンに達しており、今後も増え続ける予定であるため、海に流れる量は計り知れない。「人の命と環境全般に脅威になり得る」という警告にもかかわらず、日本は「国際基準に合致する」として周辺国の懸念を感情的対応と見なしており、特に韓国の反発は「反日感情」だと見ている」
(ハンギョレ4月23日)
[コラム]福島原発汚染水の海洋放出、科学という名の横暴 : 日本•国際 : hankyoreh japan (hani.co.kr)

ここでハンギョレが「「人の命と環境全般に脅威になり得るという警告」と書いているのは、ムンジェイン政権のことで、ここであたりまえに使っている「汚染水」とネーミングしたのもムンです。
正しくは、汚染水をALPSで放射性物質を除去し、残った三重水素(トリチウム)は限りなく「水」なので除去できませんから、希釈して海洋放出する予定だというだけのことです。
いうまでもなく汚染水は処理前の段階で、放出するのは処理後の水です。
日本のメディアも長きに渡ってこの故意の混同してみせて、風評被害を煽りました。
最近はさすがに減り、騒ぎたいだけの輩だけがこのように表現します。

朝鮮日報は「国民感情を配慮して」、折衷的に「汚染処理水」だそうですが、苦しいなぁ。
けれどこの折衷的表現はユン政権が使っているものでもあるようです。

ちなみに、ハンギョレはWTOに提訴したことを書いています。

「これに対し韓国側は原発事故後、放射性物質が流出するなど日本の特別な環境を他国とは異なる「潜在的危険」と捉え、「政府は国民の生命と健康のために危険要素を最大限下げる義務がある」という論理でWTOを説得し、貴重な勝利を手にした。環境と健康より貿易関係を重要視していたWTOでさえも、時代の変化を反映し始めたのだ」
(ハンギョレ前掲)

WTOは貿易紛争を裁定するところで、放射能問題は管轄外、管轄はIAEAなんですがね。
そのIAEAは早々に日本の対応を正しいとしていますが、IAEAの提言どおり日本がやっているので当然です。
しかし韓国はWTOで「勝った」として大はしゃぎでした。
IAEAで勝ったならともかく、そんな裁量権限がないWTOでどーしようと、なにが「時代の変化」だ。馬鹿ですね。
こういう「国民感情」を前面に押し立ててワーのワーの騒いで日本攻撃をしてきたのが、ムンジェイン政権でした。

ところで、いままで何度も書いてきたので今さらですが、海洋放出は国際基準を守ることを条件にまったく合法的処理方法です。
経済産業大臣の西山やすとし氏は、こうツイートしています。

「福島第一原発のALPS処理水について、トリチウム以外の放射性物質を規制基準以下に浄化、トリチウムは濃度を規制基準の1/40、WHOの飲料水基準の約1/7の1500Bq/ℓ未満に希釈し放出します。放出予定量は22兆Bq/年を下回り、中国の秦山原発約143兆Bq/年や韓国の月城原発約71兆Bq/年より非常に低い値です」  

中韓が騒ぐように、放射性物質を含んだ処理前の排水を、そのまま海洋放出するわけじゃありません。
原発は止めていようと廃炉工程に入っていようと、冷却し続けねばなりませんから、とうぜん排水として汚染水は出ます。
それを本来はさっさとALPSを通して国際基準にまで浄化し、取りきれない三重水素(トリチウム)だけを海水放出して希釈すれば済んだことです。
これがいわゆる「ALPS処理水」、あるいはたんに「処理水」と呼ばれます。

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ALPS処理装置 東電

これを日本のメディアも「放射性汚染水」なんて悪意をこめて呼んだからおかしくなったのです。
日本のメディアに科学記者はいないようです。
トリチウムのことを「放射性物質」なんてオドロオドロした呼び方をするから恐怖を煽るので、トリチウムは自然界に多く含まれているごく微弱な「三重水素」です。
トリチウムは中性子を2つ持つ水素の同位体で、人体の中では水素(H3) の化学形である「水」の形をとっています。
それが福島第1の処理現場では排水に含まれていて、言ってみれば「水の中に水がある」状態です。
だから除去できないのです。

もう少し細かく言えば、トリチウムは毎日宇宙から地球にふりそそぐ放射線が空気中にある窒素や酸素とぶつかり、日々新たに作られるもので、空気中や海水中に普遍的に含まれています。
あなたが海水に触っても、大地に触れても、そこには微量のトリチウムが存在しています。
自然由来の放射性物質も人工的放射性物質も、人体に対してはまったく同じ働きをします。

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トリチウムはベーター線を出しますが、非常に小さな力しかなく、人体に与える影響はミニマムで、ヨーロッパの硬水系ミネラルウォーターにはほとんどトリチウムが含まれていますし、フランスにはトリチウムの食品基準すらあるほどです。
※関連記事トリチウム水が「汚染水」だって?: 農と島のありんくりん (cocolog-nifty.com)

これが先日も書いたように政治的決断ができなかったために、なんと10年丸々時間を無駄に してしまいました。
そしてとうとう膨大なタンク群は満タン。風評被害を恐れて、触らず触らず、見えません見えませんをやってしまったツケです。

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汚染水タンク、あと3年で満杯 福島第一原発の敷地飽和:朝日新聞デジタル (asahi.com)

溜まりに溜まって、4年前に既に100万tを超えました。
敷地にはもうタンクを増設する余地がありません。
事故後10年の節目に当たった菅さんが、この貧乏籤を引く羽目になったわけです。

では、どうするのかといえば、海洋放出しか選択の余地はありませんでした。
これは日本政府が勝手に考えているのではなく、IAEAからの提言に沿ったものでした。
国際的な基準にまでトリチウムの濃度を下げて、その基準値以下になるように希釈してから海洋放出するわけです。
しかもそのトリチウムの希釈基準も充分にマージンをとって、国内規制基準の40分の1以下するとしています。
このナニが問題なのでしょうか、私にはまったく理解できません。

世界すべての国内原発は、とっくにあたりまえの顔をして海洋放出をしています。
騒いで外交貿易問題にまでした中韓も一緒です。

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NHK

2018年2月2日に開催された『多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第7回)』という会合で配布された『資料5-2 トリチウムの性質等について(案)』には詳細な排出量のグラフがあります。

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多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会(第7回)

メディアは「世界各国で海洋放出について意見が別れた」なんて書いていますが、ゴネているのはお約束の中韓だけです。
じゃああんたらはどうしているんだといえば、ハイしっかり日本など比較ならぬくらい大量に放出しておられます。
中国は福島で予定されている6倍海洋放出していますから、どのツラ下げて言っているんだと言いたくもなります。(だんだん言葉づかいが荒くなるゾ)

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「経済産業省がまとめたデータによると、韓国の主要原発である月城原発は2016年に液体約17兆ベクレル、気体約119兆ベクレルの計約136兆ベクレル(ベクレルは放射能の強さや量を表す単位)を放出。同様にフランスのラ・アーグ再処理施設は15年に計約1京3778兆ベクレルを海洋と大気にそれぞれ出している。 このほか、英国のセラフィールド再処理施設は15年に約1624兆ベクレル、カナダのダーリントン原発は同年に約495兆ベクレルをそれぞれ放出した」(産経4月12日)

●韓国・中国のトリチウム放出量(2016年現在)
・韓国月城原発・・・液体放出量17兆ベクレル
                   ・・・気体放出量119兆ベクレル
・古里原発         ・・・液体36兆
                    ・・・気体16兆
・中国大亜湾原発・・・42兆(2002年)

もう今さら中韓のダブスタには驚きませんが、この国には自分の国の原発の放出状況くらい教えてくれる官僚がいないのですかね。
輸出管理規制強化のときにも思いましたが、官僚くらいリアルにやってくれなきゃ、この国ほんとうに沈没しますぜ。

一方米国とIAEAの反応は、当然のことながらすっきり日本支持。
そりゃそうだ、IAEAのいうとおりやっているんですし、去年事務局長が来て放出を支持していました。

・米国務省のネッド・プライス報道官 「透明性を保ち、世界的な原子力安全基準に沿った手法を採用した」
・国際原子力機関(IAEA) 「国際基準に従っている」

ちなみに、韓国が東京オリンピックでディスるポスターはこんなものでした。
話にもならない非科学的、かつ侮辱的なものです。

O202001171

これが韓国のいう「国民感情」とやらだそうですが、知らん、そんなもん。
いつまでもやりたきゃやってろ、てなもんです。
ユン氏がここから実証的精神を取り戻すというのなら、大変に結構です。

 

 

2023年5月12日 (金)

いっそやらねばよかった「戦勝記念日」

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プーチンがよせばいいのに「戦勝パレード」をやりました。さんざんだったようです。
第一、この「戦勝パレード」なるものは、戦意高揚、国威発揚のためにやるもので、シケていてはやらないほうがマシというもんです。
この日の軍事パレードに登場した戦車は、わずか1台。
1台ですぜ、それも博物館から引っ張りだしたような戦時中のT-34ですから爆笑ものです。
モスクワではありませんが、ハバロフスクでのパレードでT34に座乗していたのはなんとあのブチャの大虐殺の責任者と目されているオムルベコフ大佐です。
骨董品にまたがるブチャの虐殺者ですか、絵になりすぎてコワイ。

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t.me/chtddd/63454

意地の悪いウォッチャーによれば、モスクワの軍事パレードに登場した戦闘車両はこんな構成であったとのこと。
数えた人がいたんだね。

20230511-052140

OSINTtechnical

まぁ、T-34は今主力で使っているから登場させたんじゃなくて、ナチスにコイツで勝ったンだというプロパガンダだったのでしょうが、それにしても現用戦車のT-72、T-80、T-90などが1台もいなけりゃ、そりゃ言われるわね。

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参加した戦車はT-341両のみ ロシア戦勝記念軍事パレード(AP通信) - Yahoo!ニュース 参加した戦車はT-341両のみ ロシア戦勝記念軍事パレード(AP通信) - Yahoo!ニュース

ちなみに上の写真でこの博物館展示品の後ろにズラっと出てくるのはテーグルIMV-10といって装輪装甲車ですが、これが一番多い車種のようで、おーいロシアさん、戦車王国だったんじゃなかったのか~い。
いまじゃ北朝鮮の軍事パレードのほうがリッパだよ。

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北朝鮮2020年10月10日軍事パレード新兵器10種類の解説(JSF) - 個人 - Yahoo!ニュース

思えば2018年の戦勝記念日には、多数の戦車が軍団をなして登場したものです。
ああ、たった5年前なのになんか大昔のような気がします。

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ロシアで戦勝記念日、行事が相次いで中止に ウクライナ攻撃に警戒感 [ウクライナ情勢]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

この時、元気一杯にブイブイ言わせていた自慢の戦車軍団は、いまやウクライナの地でくず鉄の山となっています。

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AP

上の写真は去年春のキーウ攻防戦の時のものですが、今年になってからも2月にはウクライナ南東部のウグレダルで最大の戦車戦が起きており、ここでもロシア軍は戦車・装甲車など戦闘車両を一挙に130台以上も破壊されるという大敗を喫しています。
この悲惨な負けっぷりが続けば、ロシア軍の戦車が消滅するという珍事が起きる可能性さえ出てきました。

いや、ウラル山中に何万台と旧式戦車が隠してあるからという噂をロシアは流していますが、保管が悪いのでまったく使いものにならないようです。
また、ウラル戦車工場では、制裁によって電子部品が枯渇して新たな生産は不可能になっています。

しかたなく、まだ実験段階にあるようなアルマータさえウクライナに投入しているようですが、実はこんなものも投入せねばならないほど戦車は在庫払底なのです。

いっそベラルーシや北朝鮮から借りればよさそうにと思いますが、プーチンの自尊心が許さないのと、それを会場に運ぶ手段がありません。
戦車は市内を走行することは苦手で、路面を痛めますし、戦車の無限軌道も痛みますから、極力トレーラーや鉄道で移動せねばならないものなのです。
ウクライナに運ぶには鉄道に頼っていますが、これが寸断されているために、トレーラー輸送に移行しています。これが足りない。
もちろん常識的に考えて、1台も使える戦車がなくなったということはありえないので、今回は会場に戦車を運ぶトランスポーター・トレーラーが払底しているのかもしれません。
まぁ、今のロシア陸軍にはプーチンの見栄につきあう余裕はないといったところでしょう。
空軍も一機も飛ばしませんでしたが、似たような理由かもしれません。

というわけで、出てくるのは戦略ミサイルだけ。
まさに張り子の虎。ウクライナ戦争とはなんの関係もないシロモノです。

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参加した戦車はT-341両のみ ロシア戦勝記念軍事パレード(AP通信) - Yahoo!ニュース

こんな戦略ミサイルなんてどう使うのよ、ってなもんです。
米国を脅迫することにしか使えないし、もう撃つならとっくに撃っていると見切られています。

ウクライナ国防省の、当日のモスクワでの動員についての報告。
あくまでも相手方の情報ですから、そのつもりで。

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●ウクライナ国防省5月9日
赤の広場の戦勝記念パレードは、宇侵略15ヶ月目の露軍の物量及び宣伝での苦境を提示
・8千人以上の参加者の多くは補助部隊や準軍事組織、教育機関の学生で、現役は鉄道部隊と憲兵のみ
・唯一の戦車は骨董品のT-34。装甲車両はもっと参列できたはずだが、批判を恐れる当局が控えたか

これを読むと、行進する兵隊は予備部隊、「お客さん」たちは学生さんたちのようです。
戦車は骨董品、兵隊は予備、空軍は登場せず、プーチン帝国はカラッポの弾道ミサイル帝国と化したようです。

そんなことをやっている間に、プーチンが「スターリングラード」だとかってに決めたバフムトでは、ロシア軍の主力部隊の撤退が始まったという未確認情報も上がってきました。

[キーウ 10日 ロイター] - ウクライナ軍部隊は10日、東部ドネツク州の要衝バフムトの前線地帯からロシア歩兵旅団を撃退したと発表した。ロシアの民間軍事会社ワグネルを率いるエフゲニー・プリゴジン氏はロシア側は撤退していると表明しており、ウクライナ側はこれを裏付けるものとしている。
ウクライナのシルスキー陸軍司令官も、ウクライナ軍の反撃の結果、バフムトの一部でロシア軍が最大2キロメートル後退したと明らかにした。ただ、詳細は明らかにしなかった。
バフムトに多くの戦闘員を投入しているワグネルを率いるプリゴジン氏は9日、ロシア軍がバフムトから退いていると表明。「第72旅団が3平方キロメートルを失った。ワグネルは約500人の戦闘員を失った」と述べていた」
(ロイター5月11日)
ウクライナ軍、ロシアがバフムト前線から後退と表明(ロイター) - Yahoo!ニュース

そして超虎の子の超音速ミサイルのキンジャールも、米国供与のPAC3であえなく撃墜されてしまいました。
ロシアンラバーたちが、早すぎて落とせなーい、軌道を変えて来る~、迎撃不能、攻めてきたら早く白旗揚げよう、と言っていたアレが自衛隊も持っている迎撃ミサイルで落とされることがわかってしまいました。

いずれにしても、こんな惨めな「戦勝記念日」なら、やらねばよかったですね、プーチンさん。
あ、そうそうキミの友人のブリコジンが、まだ約束の10%しか武器弾薬が来ていねぇぞ、もう壊滅だぁとバフムトで喚いていますよ。

「[11日 ロイター] - ロシア民間軍事会社ワグネル創設者エフゲニー・プリゴジン氏は11日、ウクライナ東部ドネツク州の要衝バフムト周辺でワグネル部隊が追い詰められており、ワグネル部隊が多大な犠牲を払って占拠した拠点が失われていると述べた」
(ロイター5月12日)
ワグネル部隊、バフムト周辺で追い詰められる=プリコジン氏(ロイター) - Yahoo!ニュース

でも、離脱したら処刑するってワグネルには伝えてあるから大丈夫なんでしたっけ。

 

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ウクライナ防衛さんはTwitterを使っています 
ウクライナに平和と独立を


2023年5月11日 (木)

韓国さん、信頼されるにはアジア太平洋に目を向けることです

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岸田訪韓について塩辛いことばかりを言っていたので、私が日韓関係の緊密化に反対しているのだと思われると困ります。
利害が一致することについて、協力を密にせねばならないことは大事に決まってますがな。
今のネット界をみると、まるでゼノフォビア(外国人嫌い)のような空気が支配しているようで、もう少し頭を冷やして遠くから俯瞰して日韓関係を見たらどうなんでしょう。

ま、確かにノムヒョンから数えれば3代18年の韓国政府の反日は、あまりにも長すぎました。
ほとんど永久にこの国は、うちの国をねちねちと恨み、嫉み、反省を強要するといった陰湿な感情を持ち続けるのかと思ったほどです。
これが隣人ですから、たまらんなぁ。

特に最後の6年間だったムン・ジェイン政権はホントひどかった。
私は嫌韓ではなく、この国を意識の外に追いやってしまったほどです。
まるで反日に特化するために生まれたような異常な政権でしたから、我々日本人の韓国に対する信頼感が簡単に回復するわけはありません。

しかしこの「友好関係の回復」が束の間に終わらないように、慎重に日韓関係を再生していかねばなりません。

最初のその良き兆候は、エスカレーションを続ける北の弾道ミサイル情報が日米韓3カ国でリアルタイムで共有されるシステムとなったことです。

「日韓両政府が、北朝鮮が発射したミサイルをそれぞれ探知・追尾したレーダー情報を米国経由で即時共有できる仕組みを検討していることが9日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。ミサイル関連情報を日米韓3カ国で共有し、迎撃能力の強化を図る。6月上旬にもシンガポールでの開催を目指す日米韓防衛相会談での合意に向けて調整している。
北朝鮮のミサイル情報は現在、自衛隊と在日米軍、韓国軍と在韓米軍、それぞれの間では即時共有されているが、日韓間には同様の仕組みがない。日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)による情報共有は、性能分析などのための事後的なものに限られる。
また、日韓両国は警戒レーダーを含めた「指揮統制システム」をそれぞれ運用しているが、早期に連結するのは技術的に難しい。そのため、双方が情報共有する米国の拠点である米インド太平洋軍司令部(米ハワイ州)を介する仕組みを検討している」
(産経5月9日)
日韓、北ミサイル情報を米経由で共有 6月合意へ調整 - 産経ニュース (sankei.com)

今まで発射後の情報のやりとりしかなかったGSOMIAと比べると、格段の進歩にはちがいありません。
たぶんこの形も、日韓関係がより正常に進むのならば、中間的形態だろうと思います。
最終的には、日米韓が協力してMD(ミサイル防衛)全体を構築していけるようになりたいものです。
といっても、P -1に対するレーダー照射をいまだないものとしているようでは、まったく見通せませんが。

さて、何度も書いてきているように、私は日韓の二国間関係で状況を見ようとは思っていません。
米国は常に裏方に徹していますが、真の舞台監督は米国です。
米国が見ているのは、韓国のねじ曲がった怨念でもなければ、それに辟易している日本側の感情でもありません。
米国にとっての国益は、中国の軍事膨張を食い止め、かつより高度化して実戦化の段階に入った北の弾道ミサイルをに対処することです。

こんな危険な時代によく日韓で犬猿の仲になれるな、というのが彼らの偽らざる感想でしょう。
米国は複数の国による統合抑止を東アジアで作ろうとしていました。
これは民主党の東アジア政策で、オバマ時代から一貫しています。
米国にとって、この二国の陰湿な確執は、統合抑止の障害以外なにものでもなかったはずです。
だから強力な圧力を日韓にかけました。
それを担当したのが、他ならぬ今の国務長官のブリンケンでした。

それをわかっていたからこそ、安倍氏は不本意ながら慰安不合意で謝罪と賠償という理念に反することをし、パククネも矛を収めたのです。
そしてできたのが、ある意味画期的だった、2015年12月の慰安婦合意です。
しかし、韓国はムンがパククネを失脚させるやいなやすべてを白紙化しました。
二国間合意は条約に準じると定めたのが国際法ですから、韓国は反日において国際法すら眼中になかったということになります。まったくたいしたもんです。
それで終わるどころか、新たに自称「徴用工」訴訟をデッチ上げ、海自哨戒機に戦闘行為とされるレーダー照射まで行ったのですから、これで日韓関係が無事に済む道理がありません。

ですからこの氷河期の日韓関係の修復を掲げて当選したユン・ソクニョルは、こう言って見せる必要があったのです。

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中央日報

「韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓日関係改善について「100年前のことについて『無条件でダメだ』『無条件でひざまずけ』ということは受け入れられない」と明らかにした。尹大統領は24日に掲載された米国ワシントン・ポスト(WP)とのインタビューで「いま欧州では残酷な戦争を体験しても未来のために戦争当事国が協力している」と述べた。北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応して「韓国型核の傘の文書化」「韓日米情報共有の拡大」などの課題を抱えて米国へ向かいながら、韓日協力の不可避性を改めて強調したものだ」
(中央日報4月25日)
尹大統領「100年前のことで日本に無条件にひざまずけとは言えない」(1) | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)

「100年前のことでひざまずけとは言わない」ですか。
あたりまえと言えばあたりまえですが、いままで一貫して日本に対してひざまずけ、謝れ、カネを出せと言い続けてきた国の大統領に、こういう常識的なことをいう人が初めて生まれたのか、と驚きましたね。
政治家ではなくて、検事総長出身だから言えたのでしょう。
恨の国の大統領がこういうことを言うと、国内世論が沸騰するのですが、果たして沸騰したみたいです。

パククネなど千年たっても恨みは忘れぬ、とまで言ってのけた風土ですから、大統領のひとことくらいで世論は変わりゃしません。

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米韓首脳会談で「ワシントン宣言」発表 核拡大抑止を強化、冷戦以来の戦略原潜派遣も:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

一方、このユンの発言に対して、米国は国賓として米国に招くという最上級の歓迎を示しました。
バイデンは、「日本との勇気ある、原則ある外交」に謝意を示した上で、「それが日米韓3カ国のパートナーシップを強化する」と述べ、会談後の共同会見でユンの「政治的勇気」に再度感謝してみせました。
バイデンからすればこれで一山超えた、後は日本の対応だけだという安堵感があったのでしょう。
二国間会談を前にしたバイデン大統領とユン・ソクヨル(ユン・ソクヨル)韓国大統領の発言 |ホワイトハウス (whitehouse.gov)

まぁトランプなら、ムン政権のタガがはずれたような反日狂騒には目もくれず、ならば米韓同盟は危ういぞと言ってのけたことでしょうが、よくも悪しくも同盟重視であるバイデンがいかにユンの対応を評価したかよくわかります。
このような米韓二国の動きを前にして、わが国がこの流れを止めることなど岸田氏には論外でした。

おそらく次の段階で、米韓首脳会談で決められた「北朝鮮の高度化する核・ミサイル脅威をより効果的に抑止し、対処するための対潜水艦作戦および海上ミサイル防御訓練が定例化」が実現することでしょう。
当然、日米韓3カ国海軍による共同訓練は頻繁に実施されます。
すでに日米韓3カ国は、ユン政権となってか。ら2022年10月、2023年に入っては2月と4月に弾道ミサイル対処訓練、4月に対潜水艦作戦訓練をそれぞれ実施済みです。

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読売

「防衛省は10月6日、日米韓のイージス艦3隻が日本海で共同訓練を実施したと発表した。同日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した後に、3隻が日本海で陣形を組んで航行するなどした。挑発を強める北朝鮮を念頭に、3か国の協力態勢を示す狙いがある。
同省統合幕僚監部によると、訓練は海上自衛隊の護衛艦「ちょうかい」と米軍の巡洋艦「チャンセラーズビル」、韓国軍の駆逐艦「セジョン・デワン」が参加して行われた」
(読売2022年10月6日)
日米韓のイージス艦が日本海で共同訓練…北朝鮮の弾道ミサイル発射後、陣形組み航行 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

さらっと読むとあたりまえに読めてしまいますが、韓国は海自の自衛艦旗が戦犯旗だ、韓国に寄港禁止だァといってのけたような国ですからね。
伊藤元海将は、ムン時代も日韓海軍同士のパイプは健在でしたよと言っていたので、もう少し見させて頂きます。

いずれにせよ、ほんとうに韓国が信頼に足るパートナーであるかどうかを計るには、今後韓国が統合抑止を理解して、より視野をインド太平洋にまで拡げていくことができるかにかかっています。
ユンが選挙前に言っていた、FOIP(クアッド)会議へのオブザーバー参加あたりはあんがい早く実現するかもしれません。
いずれにしてもこれからです。


 

 

 

2023年5月10日 (水)

ああ、言っちまった、岸田さん

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岸田首相が訪韓し、とりあえずこれで二国間関係は完全に正常化したことになります。
岸田氏はたいそう前のめりで、こんなツイートを出しています。

 

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岸田さんは、シャトル外交をするとまで言っていますから、今後定期的に両国首脳と2プラス2(外交・国防)や経済官僚が行き来することになるようです。
まぁ、いったん正常化工程が始まった以上、そうなるのでしょう。
泣いても笑っても、外交の相互主義とはそういうものです。
だから日本国首相が国立顕忠院(無名戦士の墓)に行ったのですから、韓国大統領は次回の訪日の際に外交の相互主義に基づいて靖国神社、ないしは千鳥ヶ淵を詣でねばなりません。
そのていどの覚悟がなければ、ユン氏はここに日本国首相を招くべきではないのですからね。

外交とはただ仲をよくする、話あいをしたではなく、国益の最大化にあります。
日本にとっての対韓外交における国益の最大化とは、韓国の自称「米中バランス外交」、つまりはコウモリ外交を止めさせ、自由主義陣営の一角としてきちんと復帰することです。
その流れに沿えば、自ずとパク・クネ、ムン・ジェイン政権と二代12年に渡ってやってきた極度の反日妄動を清算され、まともな二国間関係となるでしょう。
したがって、この日韓国交正常化の裏のコーディネーターであったはずの米国務省が、しっかりとここを押さえているかどうか、対北日米韓の連携に固執するあまり、なおざりにしてはいないかどうかを、見定める訪韓でもあったということです。

さて、今回の訪韓で私が心配していたのは、実はなにをするかではなく、なにを言わないかでした。
岸田氏が訪韓を外交的成果としたいという「野望」を持っていたことは明白です。

かつての上司であった安倍氏が「壊した」日韓関係を、オレが修復し発展させるというのが彼の望みです。
そうでなければわざわざ安倍・麻生の反対を押しのけて、中韓に親和的な林氏を抜擢するはずがありません。
外交の大枠は、日米の国際関係があるから今さらどうにもなりませんが、脇枝の対韓政策くらいでは脱安部を演じてみたい、それもわかりにくいていどで。

ですから、岸田訪韓はきわめてデリケートに用意されたはずです。
訪韓した実りはあげたい、されどここで正常化の波に押し流されてしまって原則まで見失うと、今までの対韓外交のただの清算になってしまうからです。
一番の焦点だった、新たな謝罪はとりあえず回避したようです。
日韓共同記者会見で、首相はこう言っています。

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令和5年5月7日 韓国訪問-1日目- | 総理の一日 | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)

私は3月に、尹錫悦大統領の訪日時に、1988年10月に発表された日韓共同宣言を含め、歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいると明確に申し上げた。この政府の立場は今後も揺るがない。
令和5年5月7日 日韓共同記者会見 | 総理の演説・記者会見など | 首相官邸ホームページ (kantei.go.jp)

この「歴史認識は歴代の内閣を継承する」は、これでいいでしょう。
安倍氏も使った表現で、今の日本国首相は韓国に対してこういう表現以外しようがありません。

なにを「継承している」のかといえば、当然これは安部氏が慰安婦合意をした際の謝罪の文言です。

韓国に対する謝罪は、2015年12月の慰安婦合意で「最終的かつ不可逆的な解決」に終了しているはずです。
そこでこれをとりまとめた当時の外相であった岸田氏は、なんと述べたのでしょうか。

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慰安婦合意、警戒した安倍氏 前夜も念押し「大丈夫か」:朝日新聞デジタル (asahi.com)

岸田外務大臣
 日韓間の慰安婦問題については、これまで、両国局長協議等において、集中的に協議を行ってきた。その結果に基づき、日本政府として、以下を申し述べる。
(1)慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であり、かかる観点から、日本政府は責任を痛感している。
 安倍内閣総理大臣は、日本国の内閣総理大臣として改めて、慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われた全ての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを表明する。
日本国岸田文雄外相と韓国の尹炳世長官による共同記者発表(於ソウル、2015年12月28日)

謝罪を日本国がすることは、これで「最終」だと言ったのは、他ならぬ岸田氏です。
そして日本は約束どおり慰安婦財団を設立し、10億円を拠出しました。
そして直ちに元慰安婦には1人あたり約1億ウォン(約1千万円)、遺族には同約2千万ウォンの現金支給をする個人補償までしました。
にもかかわらず、ムン・ジェインが政権を握るや、慰安婦合意は「国民の大多数が心情的に合意を受け入れられないのが現実」と言い出し、二国間で決められていた慰安婦象の撤去はおろか、この慰安婦財団まで解散に追い込み、事実上の白紙化をしてしまいました。
二国間条約に準じる合意を一方的に廃棄するとは、近代国家とは思えない暴挙です。

ですから、この流れを見れば、岸田氏は「歴史認識は継承する」、このひとこと以外なにも言ってはなりませんでした。
甘い「善意の言葉」を言えば、必ず禍根を残す、そして無限ループのように謝罪と補償を請求される、これが日韓交渉の歴史でした。
しかしやっぱりやりましたね。
余計なことを言っているのは、自称「徴用工」らに対するこういうリップサービスです。

尹錫悦大統領の決断により、3月6日に発表された措置に関する韓国政府による取組が進む中で、多くの方々が過去のつらい記憶を忘れずとも、未来のために心を開いてくださったことに胸を打たれた。私自身、当時、厳しい環境のもとで多数の方々が大変苦しい、そして悲しい思いをされたことに心が痛む思いである。
(共同記者会見前掲)

ああ、やっちまったってかんじです。これでは事実上の謝罪です。
どうせ韓国はナニを言ってもくさすのですから、自称「徴用工」原告に対して、「多くの方々が過去のつらい記憶を忘れずとも、未来のために心を開いてくださったことに胸を打たれた」なんて言う必要はまったくありません。
それにしても、なんつう偽善臭漂う甘ったるい表現だこと。
さすがは宏池会、と合いの手を入れたくなります。

こういうことを再び始めたら、内田樹氏のようなことを言わねばならなくなります。

「だから理屈は簡単なんです。先方が「謝られた」と実感してくれさえすればいい。「謝罪しろ」と言われる前に「すいませんでした」と言って頭を下げる。「なんだよ、何度もがたがたうるせえな、一度頭下げたんだから、もう十分だろう」と言うのを「謝る」とは言いません。謝らないから謝罪要求がエンドレスになる。ドイツの大統領なんて見て下さいよ。ヨーロッパ中どこに行っても謝罪し続けですよ」
日本は謝り続けないといけないのでしょうか?──内田樹の「ぽかぽか相談室」 | GQ JAPAN

このようなコトを言っている人になにを言っても始まりませんが、相手が満足するまでエンドレスで謝罪しつづけたかったら内田氏おひとりでどうぞ。
そもそも個人的謝罪と国家対国家の謝罪は別です。
まぁ、実際やった大馬鹿野郎もいますけどね(笑)。
内田氏がやるならまだしも、元首相の肩書でやるんですから、パスポートを返納させて下さい。

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「ひざまずいて謝罪した日本の元総理」…韓国メディアに消費される“良心的日本人”とは?|FNNプライムオンライン

これで今後も、風物詩のように個人請求権が蒸し返され、謝罪とカネを要求されることでしょう。
日本政府は、そのつど韓国の「市民団体」と日本の左翼メディアに悪玉のように罵られるのでしょうね。

 

 

2023年5月 9日 (火)

ワグネル撤退を止める

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まことにバカバカしい騒ぎでしたが、ワグネルか撤退を止めるそうです(爆笑)。

「ロシアの民間軍事会社ワグネルの創始者エフゲニー・プリゴジン氏は7日、弾薬不足を理由に10日での部隊撤退をほのめかしていたウクライナ東部の要衝バフムトで戦闘を継続する意向を示した。ロシアから「必要なすべてのものが配備されることになる」と述べた。
ロイター通信によると、プリゴジン氏はロシアが攻撃に必要な数カ月分の弾薬と武器の供給を「一晩で約束した」と明らかにした。
プリゴジン氏はウクライナでの軍事作戦で副司令官を務めるスロビキン航空宇宙軍総司令官が今後、「ワグネルの軍事作戦に関するすべての決定権を持つようになる」とも述べ、指揮命令系統に変更があったと明かした」
(日経5月6日)
ワグネル、バフムトで戦闘継続 「ロシアが弾薬供給」 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

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日経

ブリゴジンは、つい先週まで口をきわめてモスクワを罵っていました。
陸軍高官を「スカム」(汚物)とまで言っちゃったんですから、スゴイね。
放送禁止用語全開で、死体の山を前にしてこんな調子でわめき散らしていました。

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Wagner boss Prigozhin slams Russian officials from a field of corpses - YouTube


「プリゴジン氏は、ワグネル兵の遺体が多数横たわる中を歩く自らの動画をソーシャルメディアに投稿し、ロシア国防省を激しく非難。「数万人」がバフムートで死傷したとして、「ショイグ! ゲラシモフ! 弾薬はどこだ! この連中は志願兵として来てお前たちのために死んでいった。お前らが豪華なマホガニーのオフィスでぶくぶく太っていけるように」など、激しい表現を交えながらセルゲイ・ショイグ国防相とヴァレリー・ゲラシモフ総司令官を罵倒した。
さらに声明でプリゴジン氏は、弾薬が不足しているため、ワグネル兵の犠牲は「連日、幾何級数的に増え続けている」と述べた」
(BBC5 月6日)
「ワグネル」代表、バフムート離脱表明 弾薬不足とロシア国防当局を非難 - BBCニュース

ワグネルはロシアの刑務所から何千人もの犯罪者を募集し、当時の陸軍長官セルゲイ・スロビキンから武器、弾薬、装備を十分に供給されたため、一躍成長しました。
このハルマゲドン司令官スロビキンは、シリアでの悪行を通じてブリゴジンと懇意で、彼の政治力で押し込んだのでした。
しかしスロビキシは、ブリゴジンと対立する政敵の陸軍主流の陸軍参謀長ヴァレリー・ゲラシモフとショイグ国防相によってこの1月に解任されてしまいました。

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プリゴジンは、ワーグナーがバクムットから撤退すると主張し、ロシア国防相を「スカム」とラベル付け (nybreaking.com)

以後、ワグネルは冷や飯を食わされ続け、満足な補給も兵員の補充もできないとブリゴジンは叫んでいます。
ワグネルはいままでの最大の兵員補給源だっ囚人や精神病患者の徴兵は禁じられており、裸同然の突撃を命じられて死ぬだけだというのが、ブリゴジンの言い分です。

と言われましてもね、あんた、そもそもそんな者たちを、釈放をエサに徴発するほうが異常なのです。
実態はこのようなものでした。

「ロシア・シベリア出身の受刑者の男性(47)によると、服役していたロシア中部の刑務所では、「ワグネルが刑務所で受刑者を勧誘し、ウクライナで戦えば自由になれる」とのうわさが流れていたという。
 「私はワグネルを待っていた」と話した男性。昨年10月に560人の受刑者が刑務所内の運動場に集められた。ワグネルの創設者であるエフゲニー・プリゴジン氏が現れ、6カ月の契約後は自由になり、犯罪歴も消えるなどと勧誘してきたという。男性は生き残れば「家に帰れる」と即座に同意した。
 取材に応じた5人の受刑者は、犯罪歴があるとロシアでは仕事に就けないということをこぼし、戦闘員に転じた動機を説明。だが、短期間のお粗末な訓練の後に送り込まれたウクライナの激戦地では、ワグネルが受刑者の戦闘員を捨て駒のように扱う悲惨な状況を目の当たりにして、二度と前線には戻りたくないとの心情もあらわにした」
(朝日5月8日)
「戦えば自由」と入隊、戦場で捨て駒に ワグネル「囚人戦闘員」証言(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

こういう囚人部隊は、ろくな訓練も受けないでウクライナ戦争に連れてこられて、その数約5万人に登ります。
そしてほぼ全滅の憂き目にあったようです。

「ウクライナに派遣されたワグネルの戦闘員は4万~5万人とみられ、そのうち受刑者が多くを占めるとみられる。米政府は3万人以上が死傷していると推計している」
(朝日前掲)

囚人部隊は旧ソ連からの伝統とはいえ、このアコギな兵隊のリクルート方法を禁じられ、なおかつ武器弾薬の補給がストップしたのでブリゴジンは怒り狂っているわけです。
ここで、このブリゴジンの「スカム宣言」がでるのですが、これはユーチューブであろうことか世界に発信されてしまいました。

常識的に戦争の真っ最中に現地司令官(のようなもの)が、上層部を公開の場でここまで罵って、勝手に撤退するとまで発言すれば、まちがいなく抗命罪と上官侮辱罪に問われて逮捕されて軍事裁判送り、陸軍刑務所行きは間違いありません。
しかし、ブリゴジンには軍籍がなく、国軍の正規の指揮系統にも属していない、「ただの傭兵」にすぎませんから、好き放題言えるわけです。

プリゴジンがしたことは、ただの補給要請でなく、ショイグと彼の右腕ゲラシモフに対する「戦争宣言」です。
本来、プーチンは、彼の軍隊を引き裂く恐れのあるこのブリゴジンのたったひとりの反乱を穏便に解決するか、ショイグに命じて逮捕させるべきでした。
しかしプーチンは癇性のこの男らしくもなく、ひたすら沈黙してしまいました。
9日の「戦勝記念日」まで当たらず触らずが賢明と決め込んだのでしょうか。

ひとつには、ワグネルほど使い勝手のいい軍隊はなかったからです。
ワグネルの残虐さは知れ渡っており、正規軍にやらせることのできない汚い戦争をしてきました。
そのためにアフリカのマリやスーダン、シリア内戦に派遣され、鬼畜のような所業に白紙委任状をもらうことができたのです。
今回のウクライナ戦争でも、とても正規軍にはやらせられないような裸突撃をやらされています。

結局、モスクワは折れたようで、補給は来るようです。

「ロシアの準軍事組織ワグナー・グループのリーダーであるエフゲニー・プリゴジンは、最前線の軍隊をバフムトから撤退させると脅した後、ロシア軍からより多くの弾薬の「約束」を受け取ったと言います」
(アルジャジーラ5月7日)

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カディロフツィ私兵集団
https://twitter.com/i/status/1654887342144888834

また、チェチェンのならず者集団である カディロフツィ「アフマト特殊部隊」がバフムトに投入されたという情報もあります。
このカディロフツイも、うさん臭いことではワグネルに並ぶようなゴロツキ部隊です。

「プーチン政権は、80以上ある連邦構成体の中でチェチェンにだけ地元の単一民族で構成する地方軍事組織の存在を許してきた。カディロフツィは首都モスクワにもアジトを構え、誘拐、殺人、脅迫など裏の仕事を担ってきたとされる。その代表的な事例が、15年2月に起きた著名野党指導者ボリス・ネムツォフ暗殺事件だ。紆余曲折の末にカディロフツィの幹部級軍人らが逮捕されたが、黒幕は明らかになっていない。
なお、カディロフツィは「カディロフの私兵軍団」と表現されることもあり、実態としてはその通りだ。ただし、彼らは連邦内務省や国家親衛隊に所属し、連邦予算を活動資金としている」
(真野森作2023年2月20日)
「ワグネル」と「カディロフツィ」――誇張されたロシア異形の戦闘部隊:真野森作 | 記事 | 新潮社 Foresight(フォーサイト) | 会員制国際情報サイト (fsight.jp)

やれやれ、いまやバフムトはプーチン帝国のゴロツキ部隊の展示場と化したようです。

 

 

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Telegram kuptg/Reuters

ウクライナに平和と独立を



 

2023年5月 8日 (月)

改憲は、理念の段階から実現工程に入りました

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改憲問題を考える時に、忘れられがちなのが「いつ」というタイミングの問題です。 
理想的な(といっても諸外国並のですが)憲法ができました。しかしそれが数十年後でした。その時は尖閣はおろか沖縄まで某国自治区になっていました、ではなんの意味もありません。 

こういうことを言うと両方から殴られそうですが、私は護憲派と改憲頑固派はメダルの裏表だと思っています。
護憲派の錯誤の源泉は、「9条が日本を守ってきた」という認識に今なおしがみついていることです。 
もっと正確にいえば、「9条で日本を侵略させなかった」ということに憲法の存在理由を見いだしています。
護憲派の井上達夫氏『憲法の涙』 に、それを批評してもらいましょう。

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「世界は大きく多極化していく」井上達夫教授 退職記念インタビュー【後編】 - 東大新聞オンライン (todaishimbun.org)


「ここではっきり言っておきましょう。9条が日本の平和を守ったというのは嘘です。
ふたつの問題を区別したほうがいい。ひとつは9条は海外の戦争・戦闘に日本が関わるのを防いだか?
もうひとつは、日本が侵略されなかったのは、9条のおかげか?」
(井上達夫『憲法の涙』)

井上氏も認めるように、護憲派のいう「戦後70年間、一発の弾も撃たずに済んだのは9条があったからエというのは嘘です。
日本が自衛隊という最低限の防衛力を持ち、かつ米国と安保条約を結んでいたからにすぎません。
国際政治から見れば今さら言う必要もないくらいの常識ですが、護憲派はすでに日本が他国を侵略する可能性がゼロになった反面、ウクライナ戦争で顕在化したように他国から侵略を受ける可能性が日に日に増大していても、この古い認識にしがみついていました。
日本は軍事的根拠地である在日米軍基地を提供することで、米国の国際戦略を支えてきたわけで、その反面、米国の軍事根拠地を攻撃できないが故に日本は守られてきたのです。 
単純な真実です。

護憲派はウクライナ戦争後、いくらでも考え方や運動方法を変えるチャンスはあったはずです。
故無き侵略はありえるのだ、敵意を持っていようとなかろうと一方的に侵略されることはありえる現実なのだということが分からないようでは仕方ありません。
口先だけで平和や話し合いを唱えているだけでは、自国の領土、国民の生命と財産が守れないことはわかったはずです。
ウクラナイナはなにひとつ外交的紛争を抱えていないのに侵略されたのですから。

護憲派は、このような新たな国際状況の中でに憲法が置かれていることに気がつきませんでした。
ですから半世紀言い続けてきた「憲法を守れ」だけで、自国民の安全を守る最低限度の現実的な安全保障へのアプローチを見ようとはしませんでした。
ならず者国家の侵略が起きた際に、自国民の安全をどう確保するのか、どうその有事に備えるのか、有事に政府はどうあるべきなのか、といったことをまったく明示できないままただたただ護憲反安保を言っていれば済むと思っているようでは話になりません。

井上氏もこう嘆いています。

「戦後日本が外から侵略されることなく平和でいられたのは9条のおかげではなく、自衛隊と日米安保のおかげです。憲法の命じるとおり『非武装中立』でいたら、戦後日本が平和でいられたか、保証の限りではない」
(前掲書)

正直、笑ってしまうほど幼稚な認識です。これが高等教育を受けた人の言論とは思えませんが、氏は東大法学部の教授なのです。
この程度の初歩の初歩の概念ですすら、護憲派にとっては死ぬ気でないと言えないようなことのようで、井上氏は護憲派から裏切り者扱いされたようです。
というわけで、いまや護憲派内部からも井上氏のような9条懐疑論が飛び出すように、9条護持派はいまやカルトの域に入りつつあります。 
ですから、いつまでたっても建設的な議論になりようがないために、憲法審査会は果てしも無く空転しつづけることとなります。

いや、審査会を空転させて議論させないことが、一種の牛歩戦術のようになっているのだから始末におえません。
憲法学者にして課長補佐だった小西某が、審査会を進めることがサルだと言ったのは、彼が正直すぎたからです。

井上氏は政府と護憲派が、実は表裏一体の存在ではないかと考えているようです。

「『9条があるのでちょっと』とか、こちらの手札としては9条は使おうと思えば使えた、ということですね。だからそういう動きを遅延させたかもしれないが、防衛費は増えていき、結果的には海外派兵しているわけですから、決め手にはなっていない。遅延させたが、抑止はできなかった。
『保守の智恵』のひとつだったかもしれないが、そういう9条頼みは、結局、大人の交渉力の陶冶を妨げた」
(前掲書)

さて、ここで改憲論においてコペルニクス的転換をした政治家が現れました。
理念を持ったリアリストである安部氏です。
安倍氏は、9条2項の削除にこだわるあまり、ニッチもサッチもいかなくなった改憲論議を、「自衛隊を国軍とする」という一行を挿入することで、手品のように変えてみせました。
いままで憲法学者が葬ってきた「芦田修正」を蘇らせたのです。

日本は日本国家の大元である(国体)天皇の地位を守るために、すべてを捨ててしまいました。
現行憲法を作ったGHQが、天皇の護持と9条をワンセットで出してきたからです。

戦争の放棄、交戦権否認、戦力不所持などは、在日米軍と米国の国際戦略が前提になければありえないものでした。
つまり、日本は人類の高貴な理想たる「戦争の放棄」というロマン主義に酔うためには、日本国中に在日米軍を受け入れねばならなかったわけです。
なんのこたぁない、表向きは戦争放棄だなんだといいながら、世界最大最強の軍隊を受け入れ、その世界戦略の一部になることで戦力の不所持ができたのです。

これってそうとうに嘘っぽくありませんか。日本人の困った時の得意技、本音と建前の二重底です。
表面では「戦争を知らない日本人」を演じながら、実は米国に多くの基地を貸し出して、それを国の守りの根幹の中にビルトインしているんですから、したたかというかズルイというか。

やや乱暴な言い方をすれば、この二重底構造をスッキリ本音と建前を一つにして作り直せというのが改憲派で、スッキリ自衛隊はなくせ、米軍は出て行けというのが護憲派です。
もっぱらこの9条を舞台にして、半世紀以上喧々ガクガクの戦いが繰り広げられてきました。
別名神学論争。憲法の最大を仕切るのが、憲法学者という名の司祭たちです。

私自身は前者に近いものの、実際には無理だとかんがえていました。

しかし、ちょっと待てよ、憲法9条だけを見ないで、憲法全体をよく観察するとスゴイ構造になっているぞということに気がついたのが、篠田英朗外語大教授でした。

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読売・吉野作造賞:篠田英朗氏「集団的自衛権の思想史」に | 毎日新聞 (mainichi.jp)

篠田氏は、平和構築学と言ってPKOなどの国際平和活動を研究されていた方ですが、彼の新釈憲法学は実に面白いものでした。
まず篠田氏は戦争放棄という概念が、戦後憲法の専売特許くらいに吹聴してきた護憲派に対して、こう冷やかに切って捨てます。

「戦争放棄は日本国憲法が初めて宣言したものではなく、日本はすでに1928年不戦条約に加入したときから、自衛権行使以外の戦争の放棄を宣言していた。日本が新奇な戦争放棄の理念を導入したわけではない」
(篠田英朗 『ほんとうの憲法』)

逆に日本は戦前、「国境の実力による変更」をしてしまったために、自らこの条約を破ってしまったわけです。
先の大戦は自衛権では説明しきれないもので、植民地解放理念を接ぎ木しました。
保守派は後者を崇高な理念として、それで大東亜戦争すべてが説明できるとしますが、私はそうは思いません。
今の目で見れば、当時の日本がやったことは「国境線の実力による変更」と「国際法への挑戦」だからです。

したがって篠田氏は冷厳に戦後憲法は、国際法遵守への復帰だとします。

「日本が国際法を破って侵略行為を繰り返したために、日本に国際法を遵守させるために導入したのが日本国憲法だ」(篠田同上)

ここで大東亜戦争が侵略か否かには拘泥しないで下さい。
大事なことは、いかなる理由によろうとも、当時の日本が戦前の国際社会と国際法の枠組みに挑戦したということであって、植民地が解放されたのはその結果でしかありません。

さて国際社会は、戦前のような国際秩序の崩壊がおきないようなスタビライザーを仕込みました。
それが国連憲章にある集団的自衛権です。

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国際連合憲章 | 国連広報センター

「第2次世界大戦後、国際法体系は、国産検証の成立によって、戦争違法化の流れをさらに強化した。その動きと表裏一体の関係にあるのが、集団安全保障である。集団安全保障の補てん策として設定されたのが、個別的・集団的自衛権である」(篠田同上)

日本国憲法は、この国連憲章に対応しています。
意外に思われるかもしれませんが、9条1項の戦争放棄は国連憲章2条4項の武力行使の一般的禁止と照応しています。

●国連憲章2条4項
すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。
https://www1.doshisha.ac.jp/~karai/intlaw/docs/unch.htm

国連憲は冒頭の第1条1項に、領土保全と政治的独立」に対する「武力による威嚇」を禁じると言っているわけで、日本国憲法が「世界で唯一の平和憲法」だなんて、ただのナルシズムです。

憲法前文が、この国連憲章第2条4項と同じ「平和思想」で書かれていることに注目下さい。

●憲法前文(抜粋)
日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。

ここで憲法前文が言っているのは、護憲派好みの寝ぼけた平和主義ではなく、「国境線の実力による変更」、すなわち侵略行為に対して「平和を維持」し、独裁政権による民族絶滅政策などの「専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去することを努め」ることで、「国際社会の名誉ある地位を占めたい」と宣言しているのです。

憲法前文が、憲法全体の理念を語るものだとするなら、これを指針にして9条も読み解かれねばならないのです。
ですから、日本が放棄したのはあくまでも侵略としての軍事力であって、自衛権としての防衛力はむろんのこと、さらには「専制と隷従、圧迫と偏狭」に対して戦う国際社会と協調して共に戦う軍事力はまったく否定されるどころか、むしろ「名誉ある地位を占めたいと思う」とまで言い切っているのです。

これは国連憲章の第1条1項の「目的」に対応します。

●国連憲章第1条1項
国際の平和及び安全を維持すること。そのために、平和に対する脅威の防止及び除去と侵略行為その他の平和の破壊の鎮圧とのため有効な集団的措置をとること並びに平和を破壊するに至る虞のある国際的の紛争又は事態の調整又は解決を平和的手段によって且つ正義及び国際法の原則に従って実現すること。

3月28日、虐殺を続けるミャンマー国軍に対して山崎統合幕僚長が各国の軍トッ プと共同声明をだしています。
その内容の一部にはこうあります。

およそプロフェッショナルな軍隊は、行動の国際基準に従うべきであり、自らの国民を害するのではなく保護する責任を有する。

これは画期的な自衛隊自らの宣言です。
いままで自衛隊は国際法上の「プロフェショナルな軍隊」として、各国軍隊のトップと連名で共同声明を出すことによって「専制と隷従、圧迫と偏狭」に対して戦う国際社会と協調して共に戦う「名誉ある地位を占めたい」という立場を鮮明にしました。

このように見てくると、私は実に日本国憲法は「よくできている」と思うわけです。
極論すれば、このままでも改憲せずに充分にやっていけるとさえ思っているくらいですが(異論はあるでしょうが)、いかんせん一般的にはわかりにくい上に、護憲派の神話的解釈がはびこっているために、若干の手直しは必要かなとは思います。
ですから、改憲といってもそのまま9条を残してもなんらかまいませんし、それに自衛隊を書き加え、さらに緊急事態条項を添えればよい、という安倍加憲案は考え抜かれたものだと思います。

このような最低限の改正で可能なところまで安倍氏は煮詰めて、現実的政治日程に乗せるところまで醸造してくれていたのです。
政治日程としては与党の改憲案を定め、発議に足る勢力を構築するという現実化の工程に突入しました。

 

 

 

2023年5月 7日 (日)

日曜写真館 花ひとつ折れて流るゝ菖蒲かな

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色を配られし 菖蒲の花の顔 伊丹三樹彦

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みづもやをまとひて菖蒲咲きにけり 上村占魚

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打ちまじり咲きけり菖蒲燕子花 政岡子規

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出る時の傘に落ちたる菖蒲かな 政岡子規

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ひるがへりては鋭しや軒菖蒲 山口青邨

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紫の花集りし菖蒲かな 高野素十

 

 

2023年5月 6日 (土)

クレムリンドローン攻撃は自作自演の可能性が高い

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先日の「クレムリン・ドローン攻撃事件」について、IWS(国際戦争研究所)がこんな分析を出しています。
結論から言えば、プーチンの自作自演だろう、というものです。
その理由は、モスクワ、なかんずくクレムリン周辺中枢部には濃密な対空ミサイル網が張りめぐらされており、それをドローンがかいくぐるのは現実的ではないとしています。

「ロシア当局は最近、モスクワ国内を含むロシア国内の防空能力を高めるための措置を講じており、したがってドローンが複数の防空網を貫通し、クレムリンの中心部のすぐ上で撃墜されたりする可能性は非常に低いと考えられる」
(戦争研究所5月4日)
ロシアの攻撃キャンペーン評価|戦争研究所 (understandingwar.org)

ロシアはモスクワ周辺にパンツィリ防空システムという優れた防空網を形成しています。

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パーンツィリ-S1 - Wikipedia

また、かねてからクレムリン周辺に行くとGPSの位置情報が狂うと言われており、これはGPS誘導のドローンやミサイル対策ではないかと言われてきました。

「露大統領府のあるクレムリン一帯はこれまでも位置情報の異常が指摘されていたが、位置情報を使って飛行するタイプの無人機対策として、妨害電波を流す範囲を拡大している可能性がある」
(読売5月5日)
モスクワでGPS障害、カーナビ誤作動…無人機対策で妨害電波の範囲拡大か : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)

戦争研究所は、これらを突破されたとしたら、ロシア軍当局は重大な恥だと思うだろうと書いています。

「そのような防空資産による検出と破壊を回避し、クレムリン上院宮殿のような注目を集める標的を攻撃することに成功したストライキは、ロシアにとって重大な恥ずかしさとなるだろう」
(戦争研究所前掲)

このクレムリンへの複数のドローン攻撃は2発だとされており、一発は撃墜され、一発は大統領府の丸屋根に命中し軽い火災を引き起こしています。
まずは一発目ですが、「石川雅一シュタインバッハ大学」様のユーチューブによれば、この方向から飛来しています。

石川雅一のシュタインバッハ大学: 元特派員と学ぶ国際ニュース】 - YouTube

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石川雅一シュタインバッハ大学による

クレムリンからウクライナ国境まで450キロですが、この黄色線の飛来方向はウクライナ・黒海方向ではなくカスピ海方向です。
Google Earthで延長してみましょう。

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石川前掲

また、もし仮にウクライナ軍がこのドローンを使ったのなら、使用できるのは自爆ドローンのALTIUS-600M、あるいはUJ-22です。

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ALTIUS-600M

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UJ-22

UJ-22は20キロのは爆弾を搭載し、800㎞を自律的に飛行可能です。
ただし20㎞爆弾の破壊力では、小型の目標物を破壊するていどでクレムリンの大統領府を攻撃するためにはまったく役不足です。

そして2発目はまったく別方向から飛来しています。
発射場所が2カ所あったのでしょうか。

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石川前掲

この2発目は大統領府の丸屋根の先端に当たって、小規模な火災を引き起こしています。

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石川前掲

また着弾時に、この丸屋根には3名の身元不明の人間が乗っていました。

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石川前掲

この3人がなにをしていたのか、真夜中に警備要員の配置とも思えず、あるいは目標を指示するイルミネーター(誘導用電波照射装置)を照射していたのかもしれませんが、わかっていません。
なお、当時プーチンはこの大統領府にはいなかったとされています。

もし大統領府を攻撃するなら、目的はただひとつ、プーチンの無力化以外考えられません。
したがって、彼の動向を完全に押さえておかねばなりませんが、いなかったとなると、いったいなんのためにこんなことをしたのかわからなくなります。
これでプーチンの警備はいっそう強固になり、以後このようなことは不可能に等しくなるからです。

これがウクライナ側の攻撃とするなら、目的は堂々と防空網を突破してロシア中枢を攻撃可能だと示威することでしょう。
まったくないとは思えませんが、ロシア領土を攻撃することは、米国との約束違反となります。
米国はウクライナがロシア領に手を出せば、さらにエスカレーションラダーを登ってしまうとして嫌っています。
ウクライナがそれを公然と破って攻撃することは考えられません。

去年10月のクリミア大橋の爆破にしても、これがウクライナの攻撃だとプロパガンダできたはずですが、ウクライナ当局は終始沈黙を守りました。
クリミアがウクライナ領土ではありつつも微妙な立ち位置にあるからで、ロシアとの直接対決をなんとしてでも避けたいバイデン政権に配慮したのでしょう。

なお、ゼレンスキーはこのクレムリン攻撃について、直ちに否認しました。

「ウクライナ・ゼレンスキー大統領:「我が国は、プーチンやモスクワを攻撃しない。我々は自国の領土で戦い、村や都市を守っている。兵器に余裕はない。プーチンを攻撃していない。彼は法廷で裁いてもらう」
ウクライナ大統領府・ポドリャク顧問:「占領された領土のロシア軍事施設をすべて破壊するのは重要。それ以外の行為はロシアにテロ行為として解釈され、民間人や民間設備への大規模攻撃の正当化に使われる」

(テレ朝5月4日)
「2度の爆発」人影も…誰がなぜ?考えられる3つの可能性“ドローン攻撃”徹底検証(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース

残る可能性は、ロシアの自作自演の可能性です。
その理由を戦争研究所はこう述べています。

「ロシアは、戦争をロシアの国内の聴衆に持ち帰り、より広い社会的動員の条件を設定するために、この攻撃を上演した可能性があります。 いくつかの指標は、攻撃が内部で行われ、意図的に実行されたことを示唆している。(略)
クレムリンはすぐにウクライナがテロ攻撃を行ったと非難し、ロシア当局の反応はこの非難を中心に急速に肥大した。
攻撃に関するロシアの公式の発表は、迅速かつ首尾一貫しており、ロシアが戦争を国内の聴衆にとって実在するものとして組み立てるために、5月9日の戦勝記念日の休日のすぐ近くでこの事件を上演したことを示唆している。(略)
ISWは以前、ロシアがウクライナでの戦争をロシアの国国民に対して実際に目でみえるものとして組み立て、より広範な社会的動員に備えるために一連の措置を採用していると評価していた」
(戦争研究所前掲)

プーチンは西側がクレムリンさえ狙うテロを起こしたとして国家総動員令をかけるかもしれません。
とうぜん戒厳令も付随し、言論やデモは極度に制限されます。
同時にウクライナに対しては、「報復攻撃」と称して民間住宅、病院、学校を狙って女性や子供をミサイル攻撃するでしょう。
こんな反応は誰もが予想がつくことで、だからプーチン自身以外こんな馬鹿げたことは思いつかないのです。

なお、米政府は関与説を一蹴しました。当然です。
F16を送るのさえためらい続けたバイデンが、プーチンを直接狙う攻撃などできるはずがありません。
そんなことができるくらいなら、半年も前にこの戦争は終わっていました。
米国はISWと同じ自作自演説をとっています。

 

 

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【フォトギャラリー】ウクライナ・最前線の塹壕 - 産経ニュース (sankei.com)

ウクライナに平和と独立を

 

2023年5月 5日 (金)

岸田さん、「建設的かつ真摯な議論」ができない公明党とは手を切りましょう

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岸田首相が産経のインタビューで改憲の意志をハッキりと言っています。
こんな調子です。

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「首相 施行から76年たつ現行憲法は時代の流れの中でそぐわない部分、不足する部分が生じています。憲法は国の基本であり、絶えず社会の変化の中で見直していく姿勢が重要です。先送りできない課題だと認識しています。
3年の自民党総裁選で、任期中に改憲を実現したいと訴え、総裁に選出されました。就任して3年の衆院選、4年の参院選と2回の国政選挙で改憲を公約の大きな柱の一つとして掲げて戦い、勝利しました。改憲に向けた強い思いはいささかも変わりありません。
首相の立場で今後のスケジュールなどを具体的に述べることは控えなければならないと思いますが、自民党が掲げる改憲4項目はいずれも現代的な喫緊の課題です」
(産経5月3日)
岸田文雄首相・憲法記念日インタビュー詳報 改憲先送りできぬ課題 自衛隊役割大きく - 産経ニュース (sankei.com)

これを言ったのが安倍さんならなぁ、などとチャチャを入れずに聞きましょう。
ここで岸田氏が言う「改憲4項目」とはこのような内容です。

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産経

これは安倍氏時代に作られた加憲論とまったく同一で、安倍がつき、菅がこねて改憲餅、座りしままに食うは岸田という観もなくはありませんが、しかし改憲に滑り込めば上等じゃないですか。
保守系の論客には、岸田は信用できん、ぜったい先送りすると言う方も多々おられますが、ここは信じるしかないでしょう。
たぶん岸田氏は次の衆院選に勝利し、その勢いで来年秋の総裁選も乗り切り、安倍氏並となるかどうかはわかりませんが、いずれにしてもそうとうの長期政権になることでしょう。
だから、彼の任期中に改憲を仕上げねばならないのです。
おそらくその覚悟があっての「改憲は先送りできない」ということだと解釈しました。
たぶん岸田氏は安倍氏から直接に、改憲は君が仕上げてくれと言われているはずで、その約束は守るはずです。
安部氏がやるより岸田氏が改憲をするほうが、通りがいいのは確かですからね。

ところで、本気で任期中に改憲を現実的に考えるなら、発議にたる議席数を確保するために連立のあり方を抜本的に考え直したたほうがいいでしょう。
公明は早々と憲法審査会で「反対」を表明しています。

発言したのがチンピラ議員ではなく、公明の副代表で入閣歴もある北側氏ですからシャレになりません。

「公明党の北側一雄副代表は20日の衆院憲法審査会で、自民党の4項目の憲法改正条文案(たたき台)のうち、自衛隊を明記する9条改正案に「賛成できない」と述べた。公明が自民の条文案に明確に反対したのは初めて。今後の憲法審での議論に影響を与えそうだ」
(毎日4月20日)
公明、自民の9条改憲案に反対表明 衆院憲法審査会で(毎日新聞) - Yahoo!ニュース 

今回、公明は地方選で敗北しました。

「公明党は、公認候補1213人が挑んだ統一地方選後半戦で10人が落選し、前半戦に続いて目標としていた全員当選は果たせなかった。前半戦を含め計12人の落選は、平成11年以降の統一選で最多だ。なかでも公明が衆院選挙区の「10増10減」に伴い候補者擁立を狙う地域である東京都練馬区で、4人の区議選候補が落選し、党内には衝撃が走っている」
(産経4月7日)
最多の12人落選 公明に「練馬ショック」走る - 産経ニュース (sankei.com) 

政党支持率はNHKの4月10日のものでこうなっています。
維新と1ポイントも差をつけられ、立憲の背中も見えてきました。
なによりも「勢い」がまったく違いますから、次の総選挙で野党第1党になることでしょう。

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各党の支持率は NHK世論調査 | NHK | 選挙

つまり、もう公明党は自民が期待する集票マシーンとしては機能しなくなってきているのです。
だから公明党、というか創価学会の岩盤層を支える女性部がしがみついている頑固派護憲路線に頼るしかなくなっているのでしょう。
ちょうど立憲が党勢が傾けば傾くほど、かつての社会党のような左翼支持者だけの党に回帰していったようなものです。

もう限界じゃないでしょうか。
ここまで政策が根本的に違ってしまい、それが基幹政策である改憲、安全保障・外交政策やエネルギー政策となると、簡単なすり合わせではもう無理です。

今回の旧統一教会がらみの救済法にしても、公明は我が身大事で足を引っ張り続け、ウィグルについての中国非難決議や防衛3文書についても抵抗勢力そのものでした。
そのうえ改憲反対ではもうどうしようもありません。
しかも在野ではないから始末に悪い。
ここまで政策が違ってしまったら、一緒にやることはお互いにとって得ではない時期がとうに来ています。

公明党は野党に戻ってもらいましょう。それがいちばんいい。
こういうことを書くと、いや、今の自民は公明党の支持で当選させてもらっている議員が大勢いるから無駄さ、という諦観の声が聞こえてきますが、そうなのでしょうか。
たしかに現況では公明の支援をもらえないと65人の自民議員が当落の境から転げ落ち、自民は過半数割れを起こす危険があります。

ただし、同じことが公明党にもいえるのです。
産経新聞政治部次長の酒井充氏はこう冷やかに言っています。

「あたかも公明がカードを握り優位にあるように見えるが、逆もまたしかりだ。公明は候補を擁立した9選挙区で全員当選した。しかし、自民が公明候補を推薦しなければ、最低でも当選に5万票以上が必要な選挙区で全敗だった可能性が極めて高い」
(産経2021年12月3日 )

自民の支持を失った公明党は、小選挙区で全敗の可能性も出ます。
地方選でも敗北、選挙区でも敗北となると公明党は立ち行きません。
政策内容は立憲と変わらない以上、選挙に強いというだけがあの党のアイデンティティですからね。
ですから自民が毅然として維新、国民との連立もあると言い渡せば、改憲反対などという妄言は吐けないはずです。

それを念頭に入れてか、岸田氏はこう言っています。

「首相 (維新や国民などは)建設的かつ真摯(しんし)な議論をされている。改憲の発議に向け、野党と合意を得るべく、国会の場で議論を積極的に行っていく必要があります。(野党案など)どれをベースにするとか、具体的な内容を私がいうことは控えなければなりません。自民党も4項目を提案しており、それを基に国会で議論を行い、できるだけ多くの方に賛同してもらう。そういう塊を作っていくことが大事だと思います」
(産経前掲)

改憲は、理念の段階から実現工程に入りました。
先日の護憲集会の風景です。

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小池めぐみさん

見渡すかぎり老人ばかりです。
改憲に対して「建設的かつ真摯な議論」をしようとしない公明党にはさっさと内閣から退場を迫るべき時期が到来したのです。

 

2023年5月 4日 (木)

ついにウクライナ反攻は始まるのか?

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お休みをありがとうございました。平常更新に戻ります。

さて、ワグネルのブリゴジンが「予言」したウクライナ反攻の日が迫っています。
それは5月15日、再来週の月曜日ですが、あるのでしょうか。

「ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるプリゴジン氏はロシア軍が協力しなければ、ワグネルは前線を離脱すると述べました。また、ウクライナの反撃はロシアに壊滅的な結果をもたらすと警告しました。(略) 
プリゴジン氏はウクライナ軍の大規模な反撃は遅くとも5月15日までに開始されるとして、ロシアに壊滅的な結果をもたらすだろうと警告しています」
(テレ朝4月30日)
ワグネル創設者プリゴジン氏「弾薬不足が解決されなければ前線から撤退」 (tv-asahi.co.jp) 

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テレ朝

この男は、プーチンの国防相であるショイグと取引しようとしています。

「独立系メディア「重要な話」によりますと、プリゴジン氏は29日に公開されたインタビューで、ロシア軍からワグネルへの弾薬供給が滞っている問題を巡り、プリゴジン氏はショイグ国防相に最後通牒を添えた手紙を書いたと明らかにしました。
4月28日までに問題が解決されない場合、ワグネルはウクライナ東部ドネツク州の要衝・バフムトを去るとしています。
また「ワグネルは間もなく存在しなくなる」とも述べました」
(テレ朝前掲)

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テレ朝

正直に言えば、私はブリグジンのこの「5月15日反攻開始」という「予言」を信じてはいませんでした。
なにせ言っているのが、反抗期を迎えたプーチンの茶坊主ですからね。
この男が情報攪乱をたびたびすることは知られたことでしたし、要はプーチンとショイグに支援物資を送らんと撤退するからな、わかっているのかオリャーというブラフだと考えていました。
ブリゴジンはこうも言っています。

「プリゴジン氏は「1日8万発の弾薬をワグネルは必要としており、露国防省に1日4000発の弾薬を供給するよう求めているが、800発しか渡されていない」とも指摘。弾薬不足が解消されない場合、ワグネルはバフムトから撤退するとショイグ露国防相に通告したと明らかにした。ワグネルと露国防省の間では、足並みの乱れがこれまでもたびたび指摘されてきた」
(産経5月1日)
ゼレンスキー氏「重要な戦い近い」 近く反攻着手を示唆か - 産経ニュース (sankei.com)

まぁ、気分としてはわからんでもありません。
ワグネルは満足な武器弾薬を与えられず、支援砲撃もまばらな中で突撃を敢行して壊滅的打撃を受けているからです。
いままでアフリカ、中東でプーチンの手先として、さんざん悪事を重ねてきたこの男ですから自業自得です。
しかし、今バフムト戦線から手を引かれたら、ロシア軍が困るのを見越してこう言っているのです。
しかも5月9日が、プーチンがなんとしてでも華々しく打ち上げたい「戦勝記念日」ですから、効き目があるかもしれません。

ところがブリゴジンに合わせたわけではないでしょうが、ゼレンスキーがこう言ったとなると話は違ってきます。

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テレ朝

「ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、同国が国境警備隊の日と定める4月30日、国境警備隊員の職務をたたえる国家行事に出席し、「重要な戦いが間近に迫っている。われわれはロシアから領土と国民を解放せねばならない」と演説した。ウクライナ軍が近く大規模な反攻作戦を開始することを示唆した可能性がある」
(産経5月1日)
ゼレンスキー氏「重要な戦い近い」 近く反攻着手を示唆か - 産経ニュース (sankei.com)

「ゼレンスキー大統領は北欧メディアとのインタビューでも「同盟国が約束したF16戦闘機の到着を待たずに、遅滞なくロシア軍への反攻を開始する」と述べています」
(テレ朝前掲)

ここで登場するF16の供与について、米国は明確に述べていませんが、ウクライナ空軍のパイロットが多数米国に訓練で訪れているのは確かなようです。
なにをしに行っているのかといえば、下のニューズウィークの記事では下調べの先遣隊ですが、今は本隊が入っているかもしれません。
目的はひとつ。旧ソ連製戦闘機しか搭乗したことのないウクライナ人パイロットがF16を使いこなせるようにするための機種転換訓練をしているのです。

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ニューズウィーク

「複数のメディアによれば、ウクライナ軍のパイロットがアメリカ国内で、F16戦闘機の訓練に入った。正確には、どの程度の訓練が必要かの評価を受けている。
NBCニュースは4日、選抜された2人のウクライナ軍兵士はアリゾナ州で、F16戦闘機を含む航空機の訓練を完了するためにどのくらいの時間がかかるか調べるための「評価を受けている」と伝えた。(略)
またNBCは関係者の話として、参加するウクライナのパイロットの数は今後さらに増える可能性があると伝えている」
(ニューズウィーク3月6日)
F16供与への布石?ウクライナ軍パイロットがアメリカで戦闘機の訓練開始|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp) 

自衛隊では機種転換訓練に6カ月かけています。
有事なら期間を圧縮するでしょうが、それでも東側のミグ29やスホーイ27からF16への転換ですから、そうとうにめんくらうはずです。
なんせ旧ソ連製の機体はセンチ、米国製はインチで、計器の配置も兵装もまるで違います。
またその整備兵も大量に教育する必要がでてきます。
しかもロシア空軍は対空ミサイルが怖くて亀の子でいた分だけ無傷に等しい状態で、高性能の機体が多数温存されていますから、少数のF16で立ち向かうことは自殺行為です。

戦争にはあるていどまとまった物量が必要で、最低でも数個飛行隊(1個飛行隊約18機×2個で36機)ていどを一気に投入せねばなりません。
パイロットは1機につき2名として72人、整備員は1機につき3名で108人、う~んハンパない。
しかも、これに現実には稼働率を掛けます。
本家の米空軍でさえ、F16の稼働率は71.53%ですので、仮に2個飛行隊36機としても(少なすぎますが)実際には25機ていどが実働数なのです。
そのくらい「F16を供与する」ということは大変なことなのです。

おそらく米国はひそかに今年2月には第一陣を迎え入れているはずですから、仕上がるのはこの夏です。
バイデンの決断がいつもながら遅い。五月雨支援をするからこうなります。
F16の供与は、去年に決めておくべきでした。
ゼレンスキーがF16を待たない、というか待てないといった意味がわかってきます。

ところで、キーウ・インディペンデント紙はバフムトで反攻が始まったと伝えています。

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The Kyiv Independent

「ウクライナ、バフムートで反撃開始。ロシア軍は「一部の陣地を放棄」
ウクライナ地上軍シルスキー司令官は5月1日、ドネツク州のバフムトの一部でウクライナ軍が反撃を開始し、ロシア軍に一部の陣地を放棄させたと報告した」
(キーウインデペンデント)

ロイターもこう伝えています。

「ウクライナのシルスキー陸軍司令官は2日、ロシア軍に対する反転攻勢を準備する中、ウクライナ軍は激しい戦闘が続く東部ドネツク州バフムトの防衛を継続すると表明した。 (略)
シルスキー司令官はバフムトで戦闘中の部隊を訪問し「効果的な防衛を確保しながら、敵に最大の損失をもたらすための多くの必要な決定を下した」と表明。「ワグネル戦闘員のほか、ロシア軍の戦闘能力の高い部隊を打ち負かし、バフムトを防衛し続ける」と述べた」
(ロイター5月3日) 
ウクライナ、バフムト防衛継続 反転攻勢控え=陸軍司令官(ロイター) - Yahoo!ニュース

このように見てくると、おそらくウクライナは5月9日のプーチンの「戦勝記念日」前段でバフムトに大量の勢力を動員して攻勢をかけてくる可能性がある、と読むのが妥当かもしれません。
大攻勢の前には、双方が偽情報を出しまくるものですので、慎重に見ていきましょう。
ただその日は近づいていることだけは確かです。

 

※追記
クレムリンがドローンらしきものに攻撃を受けたと、タスが伝えているようです。

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「タス通信などによると、ロシア大統領府は3日、ウクライナがロシア大統領府「クレムリン」への攻撃を試みたが、プーチン大統領は怪我をせず無事だったと発表した。攻撃はドローン2機によるもので、防空システムによって防御されたとしている。
一方、ロイター通信によると、ウクライナ大統領府の高官がロシア大統領府へのドローン攻撃について関与を否定したという。ウクライナ政府関係者は、この攻撃がロシアが数日中にウクライナに対して大規模なテロ攻撃を準備している可能性を示唆していると述べたということだ」
(アベマ5月3日)
ロシア大統領府への“無人機攻撃”に専門家「不自然なことが多い」「効果が高いものではない」 ウクライナ高官は関与否定(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース

クリミアの石油施設破壊はまちがいなくウクライナの軍事攻撃でしょうが、今回は自作自演の偽旗作戦だと思います。
こんな小型ドローンンがブーンと飛んで行って自爆したとしても、十重二十重に守られたプーチンを殺害できるはずがありません。
クレムリンを狙う以上、目標はひとつ、プーチンです。
そこに確実にプーチンがいる時間を狙い、確実に仕留められるようなハイマース級の攻撃が必要です。
こんなチャッチな攻撃をしたら、逆にプーチンの防御を固めさせ、近づいている「戦勝記念日」に向け反対派の予防拘禁する理由にされるだけです。

また、現在も執拗に続けられている民間住宅へのミサイル攻撃も強化する気でしょう。

ロシア大統領府は3日、モスクワ中心部にある大統領府に無人機2機を使った「ウクライナによる計画的なテロ攻撃があった」と発表した。3日未明にプーチン氏の官邸を標的とした暗殺目的だったと主張し、「報復する権利がある」と強調した。ウクライナ大統領報道官は「自国領土の解放に全力を尽くしている」として、関与を否定した」
(読売5月3日)
ロシア「プーチン大統領の暗殺狙ったテロ」「クレムリンに無人機攻撃」とウクライナ非難|ニフティニュース (nifty.com) 

なにが「報復する権利」だ。

 

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要衝バフムートは塹壕戦 ロシアは夜襲、「捨て石」の囚人兵…ウクライナ兵が証言:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)

ウクライナに平和と独立を

2023年5月 1日 (月)

GW休みを頂いております

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お越し頂いてありがとうございます。
今年はGW休みを本日から水曜日まで頂いております。
再開は木曜日からになります。
ブログ主

 

 

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