北朝鮮、弾道ミサイルの「眼」を打ち上げ
速報
政府は、Jアラート=全国瞬時警報システムで、午前6時半沖縄県を対象に情報を発信し、「北朝鮮からミサイルが発射されたものとみられます。建物の中や地下に避難して下さい」と伝えました。北朝鮮は31日から来月11日までの間に「人工衛星」を打ち上げると日本に通報しています。防衛省は事実上の弾道ミサイルが発射された可能性があるとみて、引き続き情報の収集を進めています。
(NHK5月31日)
【速報中】北朝鮮からミサイル発射か Jアラート発出沖縄県対象 | NHK | 北朝鮮情勢1段目の分離後、2段目のエンジンの始動で異常が起こり推進力を失って黄海に墜落した」と明らかにしました。一方、国家宇宙開発局は今回の失敗を受け、「今回の欠陥を具体的に調査・解明し、これを克服する対策を早急に講じ、できるだけ早く第2次打ち上げを断行する」と表明したということです
【速報】北朝鮮「衛星ロケット発射も墜落。できるだけ早く第2次打ち上げを行う」 朝鮮中央通信(テレビ朝日系(ANN)) - Yahoo!ニュース
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北朝鮮がわが国に軍事偵察衛星の打ち上げを通告してきました。
「【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機を6月にすぐ発射することになる」と表明したと伝えた。李氏は、他にも多様な偵察手段を実験予定だとし、「米国とその追従戦力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視し、軍事的準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した」
(産経5月30日)
北軍首脳が偵察衛星を6月発射と表明 「米の軍事行動を即時監視」 - 産経ニュース (sankei.com)
【北朝鮮】サングラス姿の金総書記が… “ミサイル発射実験”の映像公開 - YouTube
今回は普通の手続きを踏んで事前通告し、推定落下地点情報を国際海事機関にも通達しています。
「【ロンドン聯合ニュース】北朝鮮が30日、偵察衛星の打ち上げ計画を国際海事機関(IMO)に通告したことが分かった。
IMOの関係者らによると、北朝鮮は同日午前、英ロンドンのIMO本部に対し「衛星の打ち上げに関して、日本の海上保安庁にこのような内容で伝えた」とする電子メールを送った。
打ち上げの日程は日本時間で5月31日午前0時から6月11日午前0時までの間とし、残骸などの落下予想地点として3か所の座標を示した」
(聯合5月30日)
北朝鮮 IMOにも衛星打ち上げ通告=31日から6月11日(聯合ニュース) - Yahoo!ニュース
ジョンズ・ホプキンス大の北朝鮮問題研究グループ 38ノースも、北西部・平安北道(ピョンアンプクド)東倉里(トンチャンリ)の西海(ソへ)衛星発射場 発射基地で追加の施設が増大していることを報じています。
「アメリカの研究機関が、北朝鮮が新たな発射台の整備を急速に進め、人工衛星の打ち上げに向け準備をしている可能性が高いとの分析を発表した。
北朝鮮を分析するサイト「38ノース」は24日、衛星画像の分析を発表し、北朝鮮が西海(ソヘ)衛星発射場で、海岸沿いに新たな発射台を急速に整備していると指摘した。
また、画像などをもとに「人工衛星の打ち上げに向けて整備を加速していることを示唆している」と分析した一方で、液体燃料式ロケットを使用する場合には、「追加の設備が必要になる可能性が高い」との見方も示している」
(FNN5月26日)
北朝鮮 人工衛星打ち上げ準備加速か 米・38ノース「新たな発射台整備」(FNNプライムオンライン(フジテレビ系)) - Yahoo!ニュース
発射基地の近辺には正恩様用VIP用の展望台も作られたようです。
いうまでもありませんが、弾道ミサイル実験は安保理決議違反で、本来ならさらなる制裁の対象となるはずですが、中国とロシアが公然と反対するためにウヤムヤになるはずです。
だから、撃ち放題、やりたい放題、し放題。
これでは国連安保理は、本来の目的とは正反対に、ならず者国家が国際社会を脅迫することを認めるためにあるようなものです。
あー、バカバカしい。この2国を排除しない国連安保理など無意味です。
ところで、今度は大陸間弾道ミサイルではなく、軍事偵察衛星だそうです。
これは本当でしょう。
「金正恩総書記の妹・金与正(キム・ヨジョン)朝鮮労働党副部長は昨年12月20日発表の談話で、次のように言っている。
「われわれは、大陸間弾道ミサイルを開発するなら、大陸間弾道ミサイルを打ち上げるのであって、(中略)衛星に偽装して長距離ロケット実験を行わない」
(高英起5月30日)
金正恩の偵察衛星発射、背景に「24人死亡」の残酷史(高英起) - 個人 - Yahoo!ニュース
与正女史が言うとおり、いままでさんざん長距離弾道ミサイルの実験を見せつけてきたのですから、ここにきていまさら日本政府が言うように「衛星と称する弾道ミサイル発射」(日本政府)などという回りくどい言い方をするのはナンセンスです。
「衛星」という言葉の響きに平和的なものを感じてしまうからこのような言い方をするのでしょうが、軍事偵察衛星は軍事目的に使用する純然たる核戦力の一部ですから、これは「武力による威嚇」である、と言っておけばよいのです。
かつては「宇宙開発」と称して弾道ミサイル実験をしていました。
国民を飢餓線上に置いておきながら宇宙開発もないもんですが、もうそんな偽装は必要ありません。
北朝鮮の「人工衛星」 軍事偵察能力誇示、日米韓3カ国を威嚇か | 毎日新聞 (mainichi.jp)
先代の正日時代の「光明星」シリーズまでは、長距離弾道ミサイル技術が不安定だったために、盛んにアレは宇宙開発だ、なんて言っていましたが、もちろんウソでした。
しかし、いまや、コケの一念で弾道ミサイル技術はほぼ完成の域に入り、多弾頭化と小型化を追求する段階に入っています。
したがって、次に必要なのはミサイルを撃つための「眼」です。
つまり、北朝鮮の弾道ミサイルは政治的コケ脅かしである段階から、実戦を視野に入れたものに大きく変化したのです。
ただし、北がこの軍事偵察衛星にどのていどのレベルの光学機器、あるいは合成開口レーダーを搭載できたかについてまったく情報がありません。
また撮影したデジタル映像を暗号変換して地上に送る装置が、どのようなものかもわかっていません。
ちなみに技術的にはるかに進んでいる日本ですら、20年間かけてようやく今の体制を作りましたので、そうそう簡単なものではないとはいえます。
偵察衛星 - Wikipedia
何のための情報収集衛星なのか?(その1) 情報収集衛星とはこんなもの | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)
また大規模な受信施設も作らねばなりません。
日本には国内に4カ所あります。
内閣衛星情報センター | 内閣官房ホームページ (cas.go.jp)
軍事情報を常時収集するつもりだ、と軍事委員会は述べています。
「北朝鮮の朝鮮中央通信は30日、朝鮮人民軍を統括する李炳哲(リ・ビョンチョル)朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が29日、「軍事偵察衛星1号機を6月にすぐ発射することになる」と表明したと伝えた。李氏は、他にも多様な偵察手段を実験予定だとし、「米国とその追従戦力の危険な軍事行動をリアルタイムで追跡、監視し、軍事的準備態勢を強化するのに不可欠だ」と主張した」
(産経5月30日)
北軍首脳が偵察衛星を6月発射と表明 「米の軍事行動を即時監視」 - 産経ニュース (sankei.com)
北朝鮮が得たい軍事情報は朝鮮半島における米韓軍の動きと近海における米空母の動向でしょうが、1基偵察衛星が上がっただけではほとんど無意味です。
というのは地球周回軌道にうまく乗せたとしても、衛星はすぐに必要とされる地上目標の上空を通過してしまうからです。
偵察衛星は地上を監視する性格上、人工衛星としてはギリギリまで低い1000キロで飛行せねばなりません。
宇宙戦争、もう映画だけではない時代 日本が演習初参加:朝日新聞デジタル (asahi.com)
低く飛べば解像度が高い画像が得られる代わりに監視できる範囲は必然的に狭まります。
ですから、偵察衛星は同一の軌道を周回するのではなく、少しずつ軌道を変えて飛行して広域をカバーするか、多数の衛星がペアになって監視するようにしています。
よく安易に「米空母の位置を知ろうとしている」などという人がいますが、バカ言っちゃいけない。
米海軍の空母の位置は最高ランクの秘密ですから、大洋に撒いたゴマ粒のような艦船を発見するには、どれだけの衛星が必要なのかわかって言ってほしいものです。
一般的に、衛星は4日で同じ位置に回帰するため、地球上の任意地点を毎日最低1回は観測可能となるように、数基がペアで飛行します。
日本の場合、二組計4機の体制を構築することから始まり、2003年以来、高性能化のための18機(うち2基は技術実証衛星)の衛星が打ち上げられ、2023年1月現在は8機が稼働しています。
その他に、2020年には衛星が観測したデータを中継して地上に伝えるデータ中継衛星も静止軌道上で運用中です。
このように偵察衛星はシステムであり、比較的遅れて始まった日本の偵察衛星ですら累計19機。うち8機で運用されています。
ですから、一朝一夕に先進国並の軍事偵察衛星を保有することは、本体のICBMの開発と増産を圧迫してしまう可能性もあります。
とはいえ、北朝鮮による偵察衛星の打ち上げは、その技術が弾道ミサイルと基本的に同じだからという単純な理由だけではなく、北朝鮮がそれを発射する「眼」を求め始めたという意味で、まがうことない軍事的脅威なのです。
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