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2023年5月24日 (水)

核を落とした国、落とされた国、そして核を手放して侵略された国

S-057

G7サミットでは原爆資料館において共同記帳がなされました。
その内容は外務省が公開しています。
G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)|外務省 (mofa.go.jp)

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外務省

■G7首脳による平和記念資料館訪問(記帳内容)
・岸田総理大臣
歴史に残るG7サミットの機会に議長として各国首脳と共に「核兵器のない世界」をめざすためにここに集う。
マクロン仏大統領
感情と共感の念をもって広島で犠牲となった方々を追悼する責務に貢献し、平和のために行動することだけが、私たちに課せられた使命です。 
バイデン米大統領
この資料館で語られる物語が、平和な未来を築くことへの私たち全員の義務を思い出させてくれますように。世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう!
トルドー加首相
多数の犠牲になった命、被爆者の声にならない悲嘆、広島と長崎の人々の計り知れない苦悩に、カナダは厳粛なる弔慰と敬意を表します。貴方の体験は我々の心に永遠に刻まれることでしょう。
ショルツ独首相
この場所は、想像を絶する苦しみを思い起こさせる。私たちは今日ここでパートナーたちとともに、この上なく強い決意で平和と自由を守っていくとの約束を新たにする。核の戦争は決して再び繰り返されてはならない。
メローニ伊首相
本日、少し立ち止まり、祈りを捧げましょう。本日、闇が凌駕するものは何もないということを覚えておきましょう。本日、過去を思い起こして、希望に満ちた未来を共に描きましょう。
スナク英首相
シェイクスピアは、「悲しみを言葉に出せ」と説いている。しかし、原爆の閃光に照らされ、言葉は通じない。広島と長崎の人々の恐怖と苦しみは、どんな言葉を用いても言い表すことができない。しかし、私たちが、心と魂を込めて言えることは、繰り返さないということだ。
ミシェル欧州理事会議長
80年近く前、この地は大いなる悲劇に見舞われました。このことは、われわれG7が実際何を守ろうとしているのか、なぜそれを守りたいか、改めて思い起こさせます。それは、平和と自由。なぜならば、それらは人類が最も渇望するものだからです。
フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長
広島で起きたことは、今なお人類を苦しめています。これは戦争がもたらす重い代償と、平和を守り堅持するというわれわれの終わりなき義務をはっきりと思い起こさせるものです。

こういう時に広い意味での教養が現れるものですが、うちの国の首相とシュルツさんとトルドーさんは、どこかの大会の挨拶のよう。
悪いとはいいませんが、もう少し自分の声で。
私がいいと思ったのはメローニさんとスナクさん、
メーロニさん。自分の声で悲嘆の詩を歌ったことはすばらしい。
「闇が凌駕するものは何もない」、心に染みました。
スナクさんは、かなり前から練っていたのでしょう、荘重にシェークスピアを引用するのは心憎い。

意外だったのはマクロンさん。修辞の国の人間にしては物足りない。
仏軍機に乗せたゼレンスキー氏の到着まで、万が一を考えて落ち着かなかったのでしょうか。
そしてバイデンさん。「世界から核兵器を最終的に、そして、永久になくせる日に向けて、共に進んでいきましょう。信念を貫きましょう」というのは「なくせる日」まで核は手放さないという意味ですね。
まぁ、それならそれでも、間違いではないのですが、そう書くしかなかったのでしょう。
共通するのは、「繰り返さない」というひとことです。

『ウィーン発コンフィデンシャル』の長谷川良氏が、こう書いています。

「バイデン大統領は世界で最初に原爆を投下した国の代表として、岸田首相は世界で唯一の被爆国・日本の代表として、「核兵器のない世界」の実現を願って記帳したわけだ。原爆投下国と被害国の違いはあるが、「核兵器のない世界」という世界万民の願いを改めて掲げたわけで、歴史的な瞬間だったといえるだろう」
(5月21日)
「核兵器なき世界」の本気度は : ウィーン発 『コンフィデンシャル』 (livedoor.blog) 

たしかに原爆投下国と投下された国が、投下されたまさにその投下された地点で非核を誓うというのは、後世の歴史書に載るであろうようなすばらしいことでした。
そこでこの場におらず、遅れて電撃訪問したゼレンスキー氏の記帳内容も見ておきましょう。

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ゼレンスキー氏「世界に核による脅しの居場所はない」と記帳 | NHK | G7サミット

 ゼレンスキー・ウクライナ大統領
(平和記念)資料館の訪問に深く感銘を受けた。世界中のどの国も、このような苦痛と破壊を経験することがあってはいけない。現代の世界に核による脅しの居場所はない。

ゼレンスキーは広島をバフムトに例えてこう言っています。

「同大統領は会見直前に平和記念資料館(原爆資料館)を訪問。印象に残ったことを記者から問われ「破壊された広島の写真と、破壊されたバフムトの姿が似ている」と答えた。どちらも建物や道路が消え、人影もないとした上で、今の広島は「生きている街、平和な街、人の命を尊重する街」だと指摘。「バフムトも広島のように再建できる」と述べた」
(ロイター5月21日)
ゼレンスキー氏「広島のように再建」、バフムトと重ね合わせる | ロイター (reuters.com) 

バフムトは美しい街でした。侵略前と現在の映像です。

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Ukrainian #Bakhmut before and after Russian attack. https://t.co/k6Bvxx55pj」 / Twitter

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ワグネル創設者、東部バフムートを6月までにロシア軍に引き渡すと表明 - BBCニュース

このゼレンスキーの言葉とバフムトの画像を知った時、私は泣きました。
故無き業火に焼かれている人の絞り出すような言葉として聞きました。
そして皮肉にも、ウクライナは「核を手放してしまった」国なのです。
ウォールストリート・ジャーナルは社説でこう述べています。
やや長いですが、ブタペスト覚書にまつわる米国の裏切りを抄録するのが困難なのでお許しを。

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WSJ

「ウクライナ国民がロシアの攻撃に対抗する決意を固めている今、思い起こすべき出来事がある。ウクライナに核兵器放棄を受け入れさせた米国の行動だ。1994年のブダペスト覚書は、ソ連崩壊時に独立を勝ち取ったウクライナに対し、米国、英国、ロシアが安全保障を約束するものだった。
 それは、歴史が一区切りを迎えたと思われていた冷戦後の平穏な時代の出来事だった。ウクライナ国内には当時、短距離戦術兵器や空中発射巡航ミサイルを含む約1800の核兵器が存在していた。米国は核保有国数と、核兵器の数を減らしたいと考えており、当時は米国に対する信頼感がピークに達していた。
 この覚書は、ウクライナが「特定の期間内に領土から全ての核兵器を排除する」と約束したことを米国と英国、ロシアが認識する内容で始まる。それに続き、3カ国はウクライナに対して、6項目の約束の実行を「確約」している。
 最も重要なのは、「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」という点だった。3カ国はまた、ウクライナに「経済的圧力をかけることを慎み」、同国への「侵略行為」があった場合には、「同国に支援を提供するため、即座に国連安全保障理事会に行動を求める」ことを約束した。ウクライナは1996年までに全ての核兵器をロシアに返却した」
(ウォールストリートジャーナル社説2022年2月24日)
【社説】ブダペスト覚書に裏切られたウクライナ - WSJ

この米露の「確約」は守られませんでした。
ウクライナは米露によってはめられたのです。

米露はブタペスト覚書において、「ウクライナの領土保全ないし政治的独立に対して脅威を及ぼす、あるいは武力を行使することの自重義務を再確認する」と確約し、核を取り上げました。
いや、当時内政の混乱の極にあったウクライナには、大量の核兵器を維持する力はなかったという意見もありますが、ここまであっさりと手放す必要はありませんでした。
それはいまウクライナ侵略を聞いたクリントンが、ブタペスト合意を悔いていると言っていることでも明らかです。

「クリントン氏は、「私が彼ら(編集注:ウクライナ)に核兵器を放棄することに同意させたのであり、私は個人的関与を感じている。そして、もしウクライナがその武器をまだ保有していた場合にも、ロシアがあの芸当(編集注:ウクライナ侵略)をしてみせただろうとは、彼らの誰も思っていないのだ」と発言した。
またクリントン氏は、エリツィン元ロシア大統領の署名した合意をプーチン氏が守ることはないだろうことは理解していたと発言し、「プーチン大統領にとって都合が良くなった時に、彼はそれを侵害し、最初にクリミアを奪った。そして、私は、そのことを恐ろしく感じている。なぜなら、ウクライナは非常に重要な国だからだ」と指摘した」
(ウクライナフォーラム 2023年5月23)
クリントン元米大統領、ウクライナへの核兵器放棄の説得を後悔 (ukrinform.jp)

米国とロシアは、双方ともにはウクライナを裏切りました。
約束したはずの領土保全はまったく守られず、ロシアに至ってはは2014年にはクリミアを奪い、2022年には全土に侵攻し、さらには核兵器の使用を宣言しました。

「必要となれば大量破壊兵器(核爆弾)の投入も排除できない。これはブラフではない」

つまり、この広島サミットは核を最初に人類に投下した国と、それによって14万もの民を殺戮された世界最初の国と、そして核を手放した結果核によっ脅迫されている国が合った出会った「歴史的会合」だったのです。

 

 

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ウクライナに平和と独立を

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