韓国さん、信頼されるにはアジア太平洋に目を向けることです
岸田訪韓について塩辛いことばかりを言っていたので、私が日韓関係の緊密化に反対しているのだと思われると困ります。
利害が一致することについて、協力を密にせねばならないことは大事に決まってますがな。
今のネット界をみると、まるでゼノフォビア(外国人嫌い)のような空気が支配しているようで、もう少し頭を冷やして遠くから俯瞰して日韓関係を見たらどうなんでしょう。
ま、確かにノムヒョンから数えれば3代18年の韓国政府の反日は、あまりにも長すぎました。
ほとんど永久にこの国は、うちの国をねちねちと恨み、嫉み、反省を強要するといった陰湿な感情を持ち続けるのかと思ったほどです。
これが隣人ですから、たまらんなぁ。
特に最後の6年間だったムン・ジェイン政権はホントひどかった。
私は嫌韓ではなく、この国を意識の外に追いやってしまったほどです。
まるで反日に特化するために生まれたような異常な政権でしたから、我々日本人の韓国に対する信頼感が簡単に回復するわけはありません。
しかしこの「友好関係の回復」が束の間に終わらないように、慎重に日韓関係を再生していかねばなりません。
最初のその良き兆候は、エスカレーションを続ける北の弾道ミサイル情報が日米韓3カ国でリアルタイムで共有されるシステムとなったことです。
「日韓両政府が、北朝鮮が発射したミサイルをそれぞれ探知・追尾したレーダー情報を米国経由で即時共有できる仕組みを検討していることが9日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。ミサイル関連情報を日米韓3カ国で共有し、迎撃能力の強化を図る。6月上旬にもシンガポールでの開催を目指す日米韓防衛相会談での合意に向けて調整している。
北朝鮮のミサイル情報は現在、自衛隊と在日米軍、韓国軍と在韓米軍、それぞれの間では即時共有されているが、日韓間には同様の仕組みがない。日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)による情報共有は、性能分析などのための事後的なものに限られる。
また、日韓両国は警戒レーダーを含めた「指揮統制システム」をそれぞれ運用しているが、早期に連結するのは技術的に難しい。そのため、双方が情報共有する米国の拠点である米インド太平洋軍司令部(米ハワイ州)を介する仕組みを検討している」
(産経5月9日)
日韓、北ミサイル情報を米経由で共有 6月合意へ調整 - 産経ニュース (sankei.com)
今まで発射後の情報のやりとりしかなかったGSOMIAと比べると、格段の進歩にはちがいありません。
たぶんこの形も、日韓関係がより正常に進むのならば、中間的形態だろうと思います。
最終的には、日米韓が協力してMD(ミサイル防衛)全体を構築していけるようになりたいものです。
といっても、P -1に対するレーダー照射をいまだないものとしているようでは、まったく見通せませんが。
さて、何度も書いてきているように、私は日韓の二国間関係で状況を見ようとは思っていません。
米国は常に裏方に徹していますが、真の舞台監督は米国です。
米国が見ているのは、韓国のねじ曲がった怨念でもなければ、それに辟易している日本側の感情でもありません。
米国にとっての国益は、中国の軍事膨張を食い止め、かつより高度化して実戦化の段階に入った北の弾道ミサイルをに対処することです。
こんな危険な時代によく日韓で犬猿の仲になれるな、というのが彼らの偽らざる感想でしょう。
米国は複数の国による統合抑止を東アジアで作ろうとしていました。
これは民主党の東アジア政策で、オバマ時代から一貫しています。
米国にとって、この二国の陰湿な確執は、統合抑止の障害以外なにものでもなかったはずです。
だから強力な圧力を日韓にかけました。
それを担当したのが、他ならぬ今の国務長官のブリンケンでした。
それをわかっていたからこそ、安倍氏は不本意ながら慰安不合意で謝罪と賠償という理念に反することをし、パククネも矛を収めたのです。
そしてできたのが、ある意味画期的だった、2015年12月の慰安婦合意です。
しかし、韓国はムンがパククネを失脚させるやいなやすべてを白紙化しました。
二国間合意は条約に準じると定めたのが国際法ですから、韓国は反日において国際法すら眼中になかったということになります。まったくたいしたもんです。
それで終わるどころか、新たに自称「徴用工」訴訟をデッチ上げ、海自哨戒機に戦闘行為とされるレーダー照射まで行ったのですから、これで日韓関係が無事に済む道理がありません。
ですからこの氷河期の日韓関係の修復を掲げて当選したユン・ソクニョルは、こう言って見せる必要があったのです。
中央日報
「韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が韓日関係改善について「100年前のことについて『無条件でダメだ』『無条件でひざまずけ』ということは受け入れられない」と明らかにした。尹大統領は24日に掲載された米国ワシントン・ポスト(WP)とのインタビューで「いま欧州では残酷な戦争を体験しても未来のために戦争当事国が協力している」と述べた。北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応して「韓国型核の傘の文書化」「韓日米情報共有の拡大」などの課題を抱えて米国へ向かいながら、韓日協力の不可避性を改めて強調したものだ」
(中央日報4月25日)
尹大統領「100年前のことで日本に無条件にひざまずけとは言えない」(1) | Joongang Ilbo | 中央日報 (joins.com)
「100年前のことでひざまずけとは言わない」ですか。
あたりまえと言えばあたりまえですが、いままで一貫して日本に対してひざまずけ、謝れ、カネを出せと言い続けてきた国の大統領に、こういう常識的なことをいう人が初めて生まれたのか、と驚きましたね。
政治家ではなくて、検事総長出身だから言えたのでしょう。
恨の国の大統領がこういうことを言うと、国内世論が沸騰するのですが、果たして沸騰したみたいです。
パククネなど千年たっても恨みは忘れぬ、とまで言ってのけた風土ですから、大統領のひとことくらいで世論は変わりゃしません。
米韓首脳会談で「ワシントン宣言」発表 核拡大抑止を強化、冷戦以来の戦略原潜派遣も:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)
一方、このユンの発言に対して、米国は国賓として米国に招くという最上級の歓迎を示しました。
バイデンは、「日本との勇気ある、原則ある外交」に謝意を示した上で、「それが日米韓3カ国のパートナーシップを強化する」と述べ、会談後の共同会見でユンの「政治的勇気」に再度感謝してみせました。
バイデンからすればこれで一山超えた、後は日本の対応だけだという安堵感があったのでしょう。
二国間会談を前にしたバイデン大統領とユン・ソクヨル(ユン・ソクヨル)韓国大統領の発言 |ホワイトハウス (whitehouse.gov)
まぁトランプなら、ムン政権のタガがはずれたような反日狂騒には目もくれず、ならば米韓同盟は危ういぞと言ってのけたことでしょうが、よくも悪しくも同盟重視であるバイデンがいかにユンの対応を評価したかよくわかります。
このような米韓二国の動きを前にして、わが国がこの流れを止めることなど岸田氏には論外でした。
おそらく次の段階で、米韓首脳会談で決められた「北朝鮮の高度化する核・ミサイル脅威をより効果的に抑止し、対処するための対潜水艦作戦および海上ミサイル防御訓練が定例化」が実現することでしょう。
当然、日米韓3カ国海軍による共同訓練は頻繁に実施されます。
すでに日米韓3カ国は、ユン政権となってか。ら2022年10月、2023年に入っては2月と4月に弾道ミサイル対処訓練、4月に対潜水艦作戦訓練をそれぞれ実施済みです。
読売
「防衛省は10月6日、日米韓のイージス艦3隻が日本海で共同訓練を実施したと発表した。同日、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した後に、3隻が日本海で陣形を組んで航行するなどした。挑発を強める北朝鮮を念頭に、3か国の協力態勢を示す狙いがある。
同省統合幕僚監部によると、訓練は海上自衛隊の護衛艦「ちょうかい」と米軍の巡洋艦「チャンセラーズビル」、韓国軍の駆逐艦「セジョン・デワン」が参加して行われた」
(読売2022年10月6日)
日米韓のイージス艦が日本海で共同訓練…北朝鮮の弾道ミサイル発射後、陣形組み航行 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
さらっと読むとあたりまえに読めてしまいますが、韓国は海自の自衛艦旗が戦犯旗だ、韓国に寄港禁止だァといってのけたような国ですからね。
伊藤元海将は、ムン時代も日韓海軍同士のパイプは健在でしたよと言っていたので、もう少し見させて頂きます。
いずれにせよ、ほんとうに韓国が信頼に足るパートナーであるかどうかを計るには、今後韓国が統合抑止を理解して、より視野をインド太平洋にまで拡げていくことができるかにかかっています。
ユンが選挙前に言っていた、FOIP(クアッド)会議へのオブザーバー参加あたりはあんがい早く実現するかもしれません。
いずれにしてもこれからです。
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イ·ミョンバクも就任前からしばらくは国際状況見てマトモなこと言ってたんですけどね。やっとマトモなのが大統領になったと思ったら任期後半にレームダック化したとたんにトチ狂いましたからね。。
しばらくは様子見です。
物資輸出のホワイト国認定にもどしたのも、なんかあっちが緩めたので答えてやったみたいな感じがイヤだなあ。
米国としては日韓双方に強力なプレッシャーかけていたんでしょうけど、米大陸から見たら太平洋の向こうで中国が台頭して最大のライバルになってるのに極東の小国が隣同士でゴタゴタすんな!なんでしょうね。
38度線までは米軍がかつて多量の血を流して勝ち取ったラインなので、そうそう簡単に中国や北朝鮮側に行かれては困る!
アジアの伝統ある民族の国家感や違いのデリケートさなんてたかだか建国250年程度のアングロサクソン達の合衆国には理解出来ないことなんでしょうよ。
投稿: 山形 | 2023年5月11日 (木) 06時33分
一部の人たちが岸田首相の発言で不満を吹き上がらせている陰で、原発処理水海洋放出を巡る韓国視察団について、西村経産相が「処理水の安全性について評価や確認を行うものではない」と閣議後の記者会見で述べていること(それでハンギョレは、視察が「見学」の性格であることや安全性の確認は韓国視察団が介入する領域ではない点を明確にされたと不満げに伝えているわけです)、それと韓国を復帰させる輸出貿易管理令の一部改正についてのパブリック・コメント募集が今月31日17時まで続けられる(従って決定されるのはG7より後になる)こと
https://public-comment.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=595123034&Mode=0
は、もっと報じられても、またそれなりの評価はされてもよいことではないかと思います。
本日のエントリーを拝読して思い起こしたのは、もうずいぶんと遠い昔のことに感じる、嫌韓論が喧喧囂囂だった頃。
慰安婦問題を巡る大型掲示板スレッドのまとめサイト、そのまたコメント欄に寄せられた膨大な数のコメントを、読むのではなく「ウォーリーをさがせ!」を楽しむ時みたいに全体をぼーっと眺めていた時。
ふとあるURLが目に入ってきて、そのドメインがアメリカの公的機関のものだったのでリンクを踏んでみたら、合衆国国立公文書館のアーカイブで、後に広く世に知られることになった「日本人戦争捕虜尋問レポートNo.49」で、ビルマのミイトキーナ(英名ミッチーナ)で捕虜となった慰安婦への尋問が含まれているものでした。
そのURLは特段のコメントも付けずに投稿されていて、いろんな人がいる中で、こんな大事な情報をこんな風に紛れてひっそりと置いて行く人も世の中にはいるのだなぁと、あの頃思ったものです。
あれから時が経ちましたが今も、日米韓・日韓が上手く行かなくなって誰得かを考えれば当然、北朝鮮や中共による煽り工作もあるでしょう、期せずしてその手羽先に陥る人もあるでしょう。
面倒くさいっちゃぁ面倒くさいですが、全方向に対して直ぐには信じない、「信じるけど信じない」心掛けで、肝は何なのかをできるだけ見逃したくないです。
投稿: 宜野湾より | 2023年5月11日 (木) 10時30分
何が国益か?と問われれば、日韓関係の修復は大きな前進と言えるでしょう。だから外務省出身の松川るい氏なんかは手放しで推進・評価していますね。
ただ、ブリンケンも宏池会も、中国や韓国・民族主義的傾向を甘く見過ぎです。
どうしても民主主義だけでは立ち行かない、そういう韓国の一面を見るべきでした。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年5月11日 (木) 16時36分
とまれ、軍はどうするのでしょうか?
今後、協力関係を実現するうえで自衛隊トップとの会談が行われ、レーダー照射問題の整理が避けて通れないようです。
「(駆逐艦が)哨戒機に対して脅威を感じたから、レーダー照射した」などと言う戯言は世界中の嘲笑のマトでした。
ここですっかり事実をゲロしてもらわない限り、共に戦うという事は互いに命を預ける事と同義、そうした次元にはならないんでしょう。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年5月11日 (木) 16時39分