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2023年5月19日 (金)

クリミア半島に注目して下さい

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キーウ、オデーサ、ハルキウなどは、連日連夜ロシアからのミサイル攻撃を受け続けています。
下図赤印が爆撃があった全土11都市にのぼります。

「木曜日、ロシアのミサイルがウクライナ全土の都市の標的を攻撃し、少なくとも9人が死亡した。
キエフ、オデッサ、ハリコフで建物とインフラが打撃を受け、いくつかの地域で停電が発生しました。
ウクライナは、ロシアが81発のミサイルを発射したと述べ、これは数週間の単一波で最大数である」
(BBC5月19日)
地図で見るウクライナ:ロシアとの戦争を追跡する-BBCニュース  地図で見るウクライナ:ロシアとの戦争を追跡する-BBCニュース

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BBC

首都キーウでは午前2時半から空襲警報が鳴り始め、2時間続きました。
深夜の攻撃は、眠りを妨げ市民たちを神経質にして厭戦気分を高めるためのものでしょう。
使われたのは弾道ミサイルとドローンの両方による攻撃のようで、「異例なほど密度の濃いもの」(ウクライナ国防省)で、動画を見ると防空システムがひっきりなしに首都上空に殺到するロシア軍ミサイルを迎撃した様子が映っています。
ウクライナ空軍は、18日、「ロシア軍がTu-160とTu-95から22発のKh-101/Kh-555を、黒海の艦艇から6発のKalibrを、地上配備型システムから2発のイスカンデルKを発射し、防空部隊は30発中29発を撃ち落とした」と発表しました。

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キーウ防空網は極超音速および巡航ミサイル攻撃を阻止する (funker530.com)

このウクライナを襲ったミサイルの中には、少し前までは迎撃不能と信じられていた最新鋭の超音速ミサイル・キンザールも含まれていたようです。
たぶんパトリオットが迎撃したのでしょう。ロシアは潰したと言っていますが、どっこい健在です。

「ウクライナ空軍のスポークスマン、ユーリイ・イフナットによると、ウクライナ全土の場所を標的にした砲撃には、6つのロシアのキンザール空中弾道極超音速ミサイルが含まれ、これまでの戦争での単一の攻撃で最も多く発射された。(略)
ウクライナ空軍スポークスマンのイナト氏によると、ロシアはMiG-31K戦闘機からキンザールを発射し、黒海の船から400発の巡航ミサイルと地上から発射された27発のS-37巡航ミサイルを発射した」
ウクライナは、キーウへの「例外的な」空襲中にロシアの極超音速ミサイルを撃墜したと述べています|事業内容 |postregister.com

このミサイル攻撃は地上からではなく、空中のミグ35Kや黒海にいるロシア艦隊から発射されたものだということに注目して下さい。
このことはロシアのミサイル攻撃を止めさせるためには、この策源地となっている黒海にいるロシア海軍を一掃する必要があることを教えています。
言い換えれば、この非道な民間人を狙ったミサイル攻撃を阻止するには、黒海艦隊の母港セバストポリを含むクリミア半島全域を解放せねばならないということになります。

さて、クリミア半島は、黒海を支配する要衝として何世紀にもわたって戦争が絶えなかった場所でした。
18世紀にオスマン帝国からロシア帝国に併合され、1850年代にロシアと英仏との間でクリミア戦争の戦場となっています。
例のナイチンゲールが、赤十字を作ることを思い立ったことで有名な戦争です。

そして1991年にソビエトが崩壊しウクライナが独立すると、ロシアとウクライナの間で帰属をめぐる対立が始まりました。
ウクライナはセバストポリの使用を認めていたのですが、2014年にウクライナで親露派が政権から駆逐されるや、プーチンはクリミア内部の親露派を傀儡にして、ロシア軍を侵攻させて住民投票を強行しました。

後はお定まりに、クリミアの親露傀儡政権にロシアに併合を要請させ、今年3月18日にプーチンはクリミアを併合すると一方的に宣言しました。といっても、2023年10月12日には、国連総会の緊急特別会合において、ロシアによるウクライナ4州併合は無効だとする国際連合総会決議ES-11/4が143か国の賛成により採択されており、まったく無効ですが。

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ウクライナが戦闘準備態勢、ロシア軍はクリミア半島を掌握 | Reuters

この2014年のクリミア侵攻は、今にして思えば去年から始まったクリミア戦争の序曲だったのですが、当時プーチンに幻想を持っていた西側の反応は鈍く、形ばかりの制裁を課しただけで容認同然としてしまいました。
西側陣営痛恨の失敗です。

ヒトラーのズデーテン地方併合と同じで、「国境の力による変更」は、起きた時点で国際社会全体が素早く秩序と法による支配の回復をせねば、必ず次には拡大した本格侵略が待ち構えているのです。
ナチス・ドイツによるチェコスロバキア解体 - Wikipedia

2018年5月にロシア本土とクリミアを直接結ぶクリミア大橋が完成した時は、大喜びで大型トラックを無免許で運転して渡り染めをしてみせるという馬鹿をやらかしています。
ここがプーチンの権力の絶頂でした。

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プーチン大統領、シートベルトせずにトラック運転。大統領府報道官「私は見ていなかった」 | ハフポスト WORLD (huffingtonpost.jp)

このようにプーチンにとって、クリミアは自らがなし得た歴代のロシア皇帝に並ぶ「偉業」であり、力を誇示する象徴的な場所でもあるのです。
プーチンは「力」の信奉者です。
力こそ正義で、「力」こそ支配の源泉だと信じています。
ですから、この「力」を失った独裁者は殺されるしかありません。

クリミアがプーチンの「力の指輪」だとすれば、ここをを失うことはプーチンがなによりも大事にしている「力」を失うこととイコールなのです。

ところで、いま、ザポリージャ州やへルソン州でのウクライナ軍の動きに関しては、完全な情報統制がなされていて動向はまったく出てきません。
おそらくウクライナ軍はこの情報統制ぶりから見れば、クリミア半島奪還とアゾフ海へ進出し、広く薄く延びたロシアの戦線をど真ん中のメリトポリ、ないしは戦争前半の最大激戦地のひとつマリウポリで断ち切って、ロシアのアゾフ「回廊」を分断し、クリミアを切り離す考えだと推測できます。

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クリミア併合から9年 ウクライナ、奪還へ反攻準備 南部攻防激化も - 産経ニュース (sankei.com)

この「回廊」の分断作戦と同時に、供与されたストームシャドウを使ってクリミア大橋を破壊するであろうことは間違いありません。

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プーチン氏が渡り初めした「クリミア大橋」爆発、ウクライナ側「違法なものはすべて破壊」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

「反転攻勢をめぐり、ウクライナの国防省の当局者が、ドイツメディアへのインタビューで明らかにしたのは、「クリミア半島と、ロシアが占領するほかの地域とを切り離すことを目指す」というものです。この文脈で言えば、南部ザポリージャ州のメリトポリの奪還ができるかがポイントになると見られます。メリトポリからクリミアにつながる補給路を断つことにつながるからです」
(NHK2月27日)
ウクライナ 次の反転攻勢は南部「クリミア半島」が焦点か - キャッチ!世界のトップニュース - NHK

クリミア大橋という動脈を断ち切られた場合、黒海艦隊は母港を失ってさすらい、クリミア半島のロシア守備隊は孤立して、一切の補給がなくなることを意味します。
ウクライナ戦争において両軍とも鉄道を標的にしてきました。
それはロシア、ウクライナ双方共に、国内の道路インフラが貧弱なために、軍の兵站は鉄道輸送に依存しているからです。
とくにロシアは交通インフラが貧弱なために、鉄道幹線による物資輸送に偏重してきました。

「ロシア軍の兵站は鉄道輸送に依存しており、クリミア大橋を経由することでロシア本土から直接クリミアのジャンコイ、ザポリージャ州のメリトポリ、ヘルソン州のノーバ・カホフカ方面に装備や物資を輸送することでき、車輌輸送にかかる負担を大幅に軽減してくれていた」
(航空万能論10月8日)

ロシアは鉄道とパイプラインに過度に依存し、道路輸送のシェアが極端に低いという物流構造の特徴は、近年になっても修正されず、むしろさらに強まっています。
軍事物資の輸送も、大部分は鉄道輸送に頼っています。

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乗り物ニュース

このロシアからの鉄道兵站の出所はクリミア大橋経由と東部ドンバスからの二カ所です。
東部からのものは「回廊」を通ってマリウポリ、サポロジェに行きますから、ここで断ち切ります。

ではクリミア半島にウクライナ軍が進撃した場合はどうなるのでしょうか。
下のクリミア半島の地図を見てください。
図の上に見える太い黒線がドニエプル川のロシア軍防御陣地です。
今、このドニエプル川東岸、つまりウクライナが解放した地域からウクライナ軍は渡河を完了してロシア軍と対峙しているようです。


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ウクライナ軍の大反攻、口火切るのはクリミア大橋の破壊か(JBpress)|dメニューニュース(NTTドコモ) (docomo.ne.jp)

「戦争研究所は22日、複数の露軍事ブロガーの報告を基に、ウクライナ軍がドニエプル川の渡河に成功したもようだと指摘。東岸地域の小都市アリョシュキの北方に陣地を構築したが、規模や意図は不明だとした」
(産経4月24日)
ウクライナ軍、ヘルソン州で渡河成功か 陣地確保の情報 露側は「虚偽」と否定 - 産経ニュース (sankei.com)

陸自情報分析官だった西村金一元一佐の分析を参考にして、シミュレーションしてみましょう。
このロシア軍防御陣地は強力に見えますが、ペラペラの薄いラインにすぎず、その背後はがら空きだということが、衛星写真でわかっています。
おそらくウクライナ軍は反抗作戦において、ここに西側によって増強された機械化旅団を集中して、一気に抜いてクリミア半島を南下するでしょう。
その時、ロシア軍は、ウクライナ軍がクリミア半島の付け根(②の防御ライン)に達する前に、メリトポリ・マリウポリの方向に退却しようとするでしょうが、ウクライナの進軍が早い場合は逃げ損なって半島末端まで追い詰められます。(③)まさに崖っぷちです。

③に追い詰められたロシア軍は補給も途絶し、援軍も来ない完全に孤立状態となります。
補給方法は、唯一セバストポリ軍港からの船舶補給ですが、船舶輸送では戦車や大砲などの重量物の輸送には限界があります。
そもそも、そうなった場合ロシア海軍は後ろも見ずに逃げ出していますし、ネプチューン対艦ミサイルの射程内には近寄りもしないはずです。

このようにクリミア大橋からの補給線こそが、クリミア半島を占領し続けているロシアの軍事的意味である以上、ウクライナ空軍の最優先の攻撃目標はこのクリミア大橋であることはいうまでもありません。

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西村前掲

F-16が供与されていなかった場合、MiG-29統合型の2機で直接攻撃することになります。
一機につきストームシャドウを2~4発携行します。
この空域には、緊密な対空ミサイル網が張りめぐらされているはずですから、この攻撃編隊とは別の2機で、HARM(対レーダーミサイル)攻撃をかけて、ロシア軍の眼を潰しておかねばなりません。
米軍ならこれほど大きな目標を攻撃するには、攻撃機、護衛戦闘機、対レーダー攻撃機、給油機、空中管制指令機によって成るストライク・パッケージで臨むはずですが、ウクライナ空軍にはそこまでの力はありませんから、最低限のユニットとなるでしょう。

この攻撃が成功した場合、クリミア半島守備隊はクリミア大橋の手前で包囲されます。
このようにしてロシアからのふたつの補給線は完全に断たれ、クリミア半島、南部、東部は三つのブロックに分断されます。
相互に兵員の移動もできず、支援も補給もできない孤軍と化し、個別に包囲されて粉砕されることになります。
しかも今15万といわれるロシア兵たちは、プーチンが新規に動員した訓練も経験も足りない新兵揃いです。

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「ウクライナ軍の反転攻勢には勝算がある。ウクライナ軍部隊は南方方面に進撃して黒海に到達すれば、それ以西に展開する露軍の補給路を断つことができる。結果、多数の露軍兵士を捕虜にすることも期待できるだろう。
対する露軍は国境を接するロストフ州から部隊を投入してウクライナ軍の進撃を阻もうとすると同時に、東部で第2の都市ハリコフの占領を図り、ウクライナ軍に戦力の分散を強いるはずだ。
ウクライナの機動戦が成功を収めれば、停戦を視野に入れた新たな展開への機運も生まれよう。ロシアも侵攻の緒戦で首都キーウ(キエフ)の制圧に失敗した時点で、想定した勝利の可能性は消えている」
(エドワード・ルトワック2023年5月17日)
【世界を解く-E・ルトワック】ウクライナ「機動戦」で展望開け - 産経ニュース (sankei.com)

ルトワックが言うように、この「回廊」の分断とクリミア半島の解放に成功すれば、初めて停戦協議の機運が生まれるでしょう。
そこまでは、ウクライナが日本のうすら甘いサヨク文化人たちが望むような停戦協議に乗ることは絶対にありません。
いずれにしても、そう遠くない時期にどこで反撃の火蓋が切られるかに、ご注目ください。

 

 

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宥和は平和に導かない
2014年のクリミア侵攻と違法併合に続いて、ロシアはウクライナへの暴力的な侵略を開始し、罪のない人々を殺害し、クリミアの人々の人権を侵害しました。プーチンをなだめることは平和をもたらさないでしょう。
在日ウクライナ大使館(@UKRinJPN)

ウクライナに平和と独立を

 

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コメント

ゼレンスキー大統領はロシア領内へ攻撃しないと発言していたはずですが、ハルキウ州の国境線付近からウクライナの戦車がロシア領内のロシア軍陣地へ砲撃を加え、どうなってるのかなー。
ウクライナの南部管区の報道官は、ドニプロ川の中洲で奪還作戦を行ってきたものの、足場が悪く大量の物資も送れず限界があり、奪還は無かったものとおもって欲しい。とのコメントがあったようです。
やはりザポリージャ州の渡河しなくてもいい場所からの反攻になるような気がします。
ストームシャドウの供与でロシア占領地に安全な場所は無くなりましたし、バフムート市内にワグネルを釘付けにしている今、いよいよ反攻の準備は整ったようです。

 ポイントはザポリージャ州あたりのどこかで回廊を分断し、その状態を維持し続ける事。それから何と言っても、クリミア大橋を落とす事に尽きます。
渡辺悦和氏は控えめに「成功確率50%以上か?」と言っていたけれど、兵器の質・兵員の士気から見て、もっと高そう。
なにしろ、今や欧州随一の陸軍力を誇るウクライナ軍を相手にするには、ロシア軍には荷が重すぎる。しかも、プーチンには戦術核ミサイルを使用する選択肢はありません。

ただ、ウクライナ西部フメリニツキ州で起こった原爆級弾薬庫爆発において、どのくらいの損失を被ったのか気になるところです。
作戦に支障を来さない程度であればいいのですが。


このタイミングでのゼレンスキーの電撃来日は驚きましたね。
一体これから何が起きるのか歴史の転換点を見ることになるやもしれません。

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