ついにウクライナ反攻は始まるのか?
お休みをありがとうございました。平常更新に戻ります。
さて、ワグネルのブリゴジンが「予言」したウクライナ反攻の日が迫っています。
それは5月15日、再来週の月曜日ですが、あるのでしょうか。
「ロシアの民間軍事会社「ワグネル」を率いるプリゴジン氏はロシア軍が協力しなければ、ワグネルは前線を離脱すると述べました。また、ウクライナの反撃はロシアに壊滅的な結果をもたらすと警告しました。(略)
プリゴジン氏はウクライナ軍の大規模な反撃は遅くとも5月15日までに開始されるとして、ロシアに壊滅的な結果をもたらすだろうと警告しています」
(テレ朝4月30日)
ワグネル創設者プリゴジン氏「弾薬不足が解決されなければ前線から撤退」 (tv-asahi.co.jp)
テレ朝
この男は、プーチンの国防相であるショイグと取引しようとしています。
「独立系メディア「重要な話」によりますと、プリゴジン氏は29日に公開されたインタビューで、ロシア軍からワグネルへの弾薬供給が滞っている問題を巡り、プリゴジン氏はショイグ国防相に最後通牒を添えた手紙を書いたと明らかにしました。
4月28日までに問題が解決されない場合、ワグネルはウクライナ東部ドネツク州の要衝・バフムトを去るとしています。
また「ワグネルは間もなく存在しなくなる」とも述べました」
(テレ朝前掲)
テレ朝
正直に言えば、私はブリグジンのこの「5月15日反攻開始」という「予言」を信じてはいませんでした。
なにせ言っているのが、反抗期を迎えたプーチンの茶坊主ですからね。
この男が情報攪乱をたびたびすることは知られたことでしたし、要はプーチンとショイグに支援物資を送らんと撤退するからな、わかっているのかオリャーというブラフだと考えていました。
ブリゴジンはこうも言っています。
「プリゴジン氏は「1日8万発の弾薬をワグネルは必要としており、露国防省に1日4000発の弾薬を供給するよう求めているが、800発しか渡されていない」とも指摘。弾薬不足が解消されない場合、ワグネルはバフムトから撤退するとショイグ露国防相に通告したと明らかにした。ワグネルと露国防省の間では、足並みの乱れがこれまでもたびたび指摘されてきた」
(産経5月1日)
ゼレンスキー氏「重要な戦い近い」 近く反攻着手を示唆か - 産経ニュース (sankei.com)
まぁ、気分としてはわからんでもありません。
ワグネルは満足な武器弾薬を与えられず、支援砲撃もまばらな中で突撃を敢行して壊滅的打撃を受けているからです。
いままでアフリカ、中東でプーチンの手先として、さんざん悪事を重ねてきたこの男ですから自業自得です。
しかし、今バフムト戦線から手を引かれたら、ロシア軍が困るのを見越してこう言っているのです。
しかも5月9日が、プーチンがなんとしてでも華々しく打ち上げたい「戦勝記念日」ですから、効き目があるかもしれません。
ところがブリゴジンに合わせたわけではないでしょうが、ゼレンスキーがこう言ったとなると話は違ってきます。
テレ朝
「ロシアの侵略を受けるウクライナのゼレンスキー大統領は、同国が国境警備隊の日と定める4月30日、国境警備隊員の職務をたたえる国家行事に出席し、「重要な戦いが間近に迫っている。われわれはロシアから領土と国民を解放せねばならない」と演説した。ウクライナ軍が近く大規模な反攻作戦を開始することを示唆した可能性がある」
(産経5月1日)
ゼレンスキー氏「重要な戦い近い」 近く反攻着手を示唆か - 産経ニュース (sankei.com)「ゼレンスキー大統領は北欧メディアとのインタビューでも「同盟国が約束したF16戦闘機の到着を待たずに、遅滞なくロシア軍への反攻を開始する」と述べています」
(テレ朝前掲)
ここで登場するF16の供与について、米国は明確に述べていませんが、ウクライナ空軍のパイロットが多数米国に訓練で訪れているのは確かなようです。
なにをしに行っているのかといえば、下のニューズウィークの記事では下調べの先遣隊ですが、今は本隊が入っているかもしれません。
目的はひとつ。旧ソ連製戦闘機しか搭乗したことのないウクライナ人パイロットがF16を使いこなせるようにするための機種転換訓練をしているのです。
ニューズウィーク
「複数のメディアによれば、ウクライナ軍のパイロットがアメリカ国内で、F16戦闘機の訓練に入った。正確には、どの程度の訓練が必要かの評価を受けている。
NBCニュースは4日、選抜された2人のウクライナ軍兵士はアリゾナ州で、F16戦闘機を含む航空機の訓練を完了するためにどのくらいの時間がかかるか調べるための「評価を受けている」と伝えた。(略)
またNBCは関係者の話として、参加するウクライナのパイロットの数は今後さらに増える可能性があると伝えている」
(ニューズウィーク3月6日)
F16供与への布石?ウクライナ軍パイロットがアメリカで戦闘機の訓練開始|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト (newsweekjapan.jp)
自衛隊では機種転換訓練に6カ月かけています。
有事なら期間を圧縮するでしょうが、それでも東側のミグ29やスホーイ27からF16への転換ですから、そうとうにめんくらうはずです。
なんせ旧ソ連製の機体はセンチ、米国製はインチで、計器の配置も兵装もまるで違います。
またその整備兵も大量に教育する必要がでてきます。
しかもロシア空軍は対空ミサイルが怖くて亀の子でいた分だけ無傷に等しい状態で、高性能の機体が多数温存されていますから、少数のF16で立ち向かうことは自殺行為です。
戦争にはあるていどまとまった物量が必要で、最低でも数個飛行隊(1個飛行隊約18機×2個で36機)ていどを一気に投入せねばなりません。
パイロットは1機につき2名として72人、整備員は1機につき3名で108人、う~んハンパない。
しかも、これに現実には稼働率を掛けます。
本家の米空軍でさえ、F16の稼働率は71.53%ですので、仮に2個飛行隊36機としても(少なすぎますが)実際には25機ていどが実働数なのです。
そのくらい「F16を供与する」ということは大変なことなのです。
おそらく米国はひそかに今年2月には第一陣を迎え入れているはずですから、仕上がるのはこの夏です。
バイデンの決断がいつもながら遅い。五月雨支援をするからこうなります。
F16の供与は、去年に決めておくべきでした。
ゼレンスキーがF16を待たない、というか待てないといった意味がわかってきます。
ところで、キーウ・インディペンデント紙はバフムトで反攻が始まったと伝えています。
「ウクライナ、バフムートで反撃開始。ロシア軍は「一部の陣地を放棄」
ウクライナ地上軍シルスキー司令官は5月1日、ドネツク州のバフムトの一部でウクライナ軍が反撃を開始し、ロシア軍に一部の陣地を放棄させたと報告した」
(キーウインデペンデント)
ロイターもこう伝えています。
「ウクライナのシルスキー陸軍司令官は2日、ロシア軍に対する反転攻勢を準備する中、ウクライナ軍は激しい戦闘が続く東部ドネツク州バフムトの防衛を継続すると表明した。 (略)
シルスキー司令官はバフムトで戦闘中の部隊を訪問し「効果的な防衛を確保しながら、敵に最大の損失をもたらすための多くの必要な決定を下した」と表明。「ワグネル戦闘員のほか、ロシア軍の戦闘能力の高い部隊を打ち負かし、バフムトを防衛し続ける」と述べた」
(ロイター5月3日)
ウクライナ、バフムト防衛継続 反転攻勢控え=陸軍司令官(ロイター) - Yahoo!ニュース
このように見てくると、おそらくウクライナは5月9日のプーチンの「戦勝記念日」前段でバフムトに大量の勢力を動員して攻勢をかけてくる可能性がある、と読むのが妥当かもしれません。
大攻勢の前には、双方が偽情報を出しまくるものですので、慎重に見ていきましょう。
ただその日は近づいていることだけは確かです。
※追記
クレムリンがドローンらしきものに攻撃を受けたと、タスが伝えているようです。
「タス通信などによると、ロシア大統領府は3日、ウクライナがロシア大統領府「クレムリン」への攻撃を試みたが、プーチン大統領は怪我をせず無事だったと発表した。攻撃はドローン2機によるもので、防空システムによって防御されたとしている。
一方、ロイター通信によると、ウクライナ大統領府の高官がロシア大統領府へのドローン攻撃について関与を否定したという。ウクライナ政府関係者は、この攻撃がロシアが数日中にウクライナに対して大規模なテロ攻撃を準備している可能性を示唆していると述べたということだ」
(アベマ5月3日)
ロシア大統領府への“無人機攻撃”に専門家「不自然なことが多い」「効果が高いものではない」 ウクライナ高官は関与否定(ABEMA TIMES) - Yahoo!ニュース
クリミアの石油施設破壊はまちがいなくウクライナの軍事攻撃でしょうが、今回は自作自演の偽旗作戦だと思います。
こんな小型ドローンンがブーンと飛んで行って自爆したとしても、十重二十重に守られたプーチンを殺害できるはずがありません。
クレムリンを狙う以上、目標はひとつ、プーチンです。
そこに確実にプーチンがいる時間を狙い、確実に仕留められるようなハイマース級の攻撃が必要です。
こんなチャッチな攻撃をしたら、逆にプーチンの防御を固めさせ、近づいている「戦勝記念日」に向け反対派の予防拘禁する理由にされるだけです。
また、現在も執拗に続けられている民間住宅へのミサイル攻撃も強化する気でしょう。
「ロシア大統領府は3日、モスクワ中心部にある大統領府に無人機2機を使った「ウクライナによる計画的なテロ攻撃があった」と発表した。3日未明にプーチン氏の官邸を標的とした暗殺目的だったと主張し、「報復する権利がある」と強調した。ウクライナ大統領報道官は「自国領土の解放に全力を尽くしている」として、関与を否定した」
(読売5月3日)
ロシア「プーチン大統領の暗殺狙ったテロ」「クレムリンに無人機攻撃」とウクライナ非難|ニフティニュース (nifty.com)
なにが「報復する権利」だ。
要衝バフムートは塹壕戦 ロシアは夜襲、「捨て石」の囚人兵…ウクライナ兵が証言:朝日新聞GLOBE+ (asahi.com)
ウクライナに平和と独立を
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コメント
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実質プーチンの私兵として世界各地で汚れ仕事をやらせておいて、ワグネルなんて組織は知らない!ロシア軍とは関係ない!と、長年プーチンは言い張ってたのにね。
クレムリンにドローンが突入する映像が出たけど、どう見ても分かりやすい自作自演でしょ。。
投稿: 山形 | 2023年5月 4日 (木) 06時07分
ザポリージャ、ドネツク他でウクライナ軍の動きが活発化していますね。でも、本命がどこなのか、まだ分かりません。
ロシアの航空戦力に対抗する手段が不十分との見方もあり、とても心配です。
ロシアの冬攻勢が失敗した以上、この機を活かさない手は無いと思いますが、成果を欲するあまりの結果にならなきゃいいんですが。
何とか頑張って欲しいです。ここで勝って領土奪還を実現させる事の意義は大きく、その後の展開がだいぶ楽になるでしょう。
クレムリンへのドローン突入は攻撃などと呼べるものではなく、いずれロシア側のやらせか、マニアの戯事のようにしか思えません。
日本でも、怪しい「即時停戦銀座デモ」なる親露派の催しが行われたようで、39名の賛同者に名を連ねた保守派言論人の多くは勝手に名を使われたか、主旨を偽られ署名したもののようです。
とは言え、侵略の重みを未だに理解出来ないバカが多いのは事実で、プロパガンダに利用される「役に立つバカ」はいまだに絶える事がありません。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年5月 4日 (木) 13時11分