岸田さん、「建設的かつ真摯な議論」ができない公明党とは手を切りましょう
岸田首相が産経のインタビューで改憲の意志をハッキりと言っています。
こんな調子です。
「首相 施行から76年たつ現行憲法は時代の流れの中でそぐわない部分、不足する部分が生じています。憲法は国の基本であり、絶えず社会の変化の中で見直していく姿勢が重要です。先送りできない課題だと認識しています。
3年の自民党総裁選で、任期中に改憲を実現したいと訴え、総裁に選出されました。就任して3年の衆院選、4年の参院選と2回の国政選挙で改憲を公約の大きな柱の一つとして掲げて戦い、勝利しました。改憲に向けた強い思いはいささかも変わりありません。
首相の立場で今後のスケジュールなどを具体的に述べることは控えなければならないと思いますが、自民党が掲げる改憲4項目はいずれも現代的な喫緊の課題です」
(産経5月3日)
岸田文雄首相・憲法記念日インタビュー詳報 改憲先送りできぬ課題 自衛隊役割大きく - 産経ニュース (sankei.com)
これを言ったのが安倍さんならなぁ、などとチャチャを入れずに聞きましょう。
ここで岸田氏が言う「改憲4項目」とはこのような内容です。
産経
これは安倍氏時代に作られた加憲論とまったく同一で、安倍がつき、菅がこねて改憲餅、座りしままに食うは岸田という観もなくはありませんが、しかし改憲に滑り込めば上等じゃないですか。
保守系の論客には、岸田は信用できん、ぜったい先送りすると言う方も多々おられますが、ここは信じるしかないでしょう。
たぶん岸田氏は次の衆院選に勝利し、その勢いで来年秋の総裁選も乗り切り、安倍氏並となるかどうかはわかりませんが、いずれにしてもそうとうの長期政権になることでしょう。
だから、彼の任期中に改憲を仕上げねばならないのです。
おそらくその覚悟があっての「改憲は先送りできない」ということだと解釈しました。
たぶん岸田氏は安倍氏から直接に、改憲は君が仕上げてくれと言われているはずで、その約束は守るはずです。
安部氏がやるより岸田氏が改憲をするほうが、通りがいいのは確かですからね。
ところで、本気で任期中に改憲を現実的に考えるなら、発議にたる議席数を確保するために連立のあり方を抜本的に考え直したたほうがいいでしょう。
公明は早々と憲法審査会で「反対」を表明しています。
発言したのがチンピラ議員ではなく、公明の副代表で入閣歴もある北側氏ですからシャレになりません。
「公明党の北側一雄副代表は20日の衆院憲法審査会で、自民党の4項目の憲法改正条文案(たたき台)のうち、自衛隊を明記する9条改正案に「賛成できない」と述べた。公明が自民の条文案に明確に反対したのは初めて。今後の憲法審での議論に影響を与えそうだ」
(毎日4月20日)
公明、自民の9条改憲案に反対表明 衆院憲法審査会で(毎日新聞) - Yahoo!ニュース
今回、公明は地方選で敗北しました。
「公明党は、公認候補1213人が挑んだ統一地方選後半戦で10人が落選し、前半戦に続いて目標としていた全員当選は果たせなかった。前半戦を含め計12人の落選は、平成11年以降の統一選で最多だ。なかでも公明が衆院選挙区の「10増10減」に伴い候補者擁立を狙う地域である東京都練馬区で、4人の区議選候補が落選し、党内には衝撃が走っている」
(産経4月7日)
最多の12人落選 公明に「練馬ショック」走る - 産経ニュース (sankei.com)
政党支持率はNHKの4月10日のものでこうなっています。
維新と1ポイントも差をつけられ、立憲の背中も見えてきました。
なによりも「勢い」がまったく違いますから、次の総選挙で野党第1党になることでしょう。
つまり、もう公明党は自民が期待する集票マシーンとしては機能しなくなってきているのです。
だから公明党、というか創価学会の岩盤層を支える女性部がしがみついている頑固派護憲路線に頼るしかなくなっているのでしょう。
ちょうど立憲が党勢が傾けば傾くほど、かつての社会党のような左翼支持者だけの党に回帰していったようなものです。
もう限界じゃないでしょうか。
ここまで政策が根本的に違ってしまい、それが基幹政策である改憲、安全保障・外交政策やエネルギー政策となると、簡単なすり合わせではもう無理です。
今回の旧統一教会がらみの救済法にしても、公明は我が身大事で足を引っ張り続け、ウィグルについての中国非難決議や防衛3文書についても抵抗勢力そのものでした。
そのうえ改憲反対ではもうどうしようもありません。
しかも在野ではないから始末に悪い。
ここまで政策が違ってしまったら、一緒にやることはお互いにとって得ではない時期がとうに来ています。
公明党は野党に戻ってもらいましょう。それがいちばんいい。
こういうことを書くと、いや、今の自民は公明党の支持で当選させてもらっている議員が大勢いるから無駄さ、という諦観の声が聞こえてきますが、そうなのでしょうか。
たしかに現況では公明の支援をもらえないと65人の自民議員が当落の境から転げ落ち、自民は過半数割れを起こす危険があります。
ただし、同じことが公明党にもいえるのです。
産経新聞政治部次長の酒井充氏はこう冷やかに言っています。
「あたかも公明がカードを握り優位にあるように見えるが、逆もまたしかりだ。公明は候補を擁立した9選挙区で全員当選した。しかし、自民が公明候補を推薦しなければ、最低でも当選に5万票以上が必要な選挙区で全敗だった可能性が極めて高い」
(産経2021年12月3日 )
自民の支持を失った公明党は、小選挙区で全敗の可能性も出ます。
地方選でも敗北、選挙区でも敗北となると公明党は立ち行きません。
政策内容は立憲と変わらない以上、選挙に強いというだけがあの党のアイデンティティですからね。
ですから自民が毅然として維新、国民との連立もあると言い渡せば、改憲反対などという妄言は吐けないはずです。
それを念頭に入れてか、岸田氏はこう言っています。
「首相 (維新や国民などは)建設的かつ真摯(しんし)な議論をされている。改憲の発議に向け、野党と合意を得るべく、国会の場で議論を積極的に行っていく必要があります。(野党案など)どれをベースにするとか、具体的な内容を私がいうことは控えなければなりません。自民党も4項目を提案しており、それを基に国会で議論を行い、できるだけ多くの方に賛同してもらう。そういう塊を作っていくことが大事だと思います」
(産経前掲)
改憲は、理念の段階から実現工程に入りました。
先日の護憲集会の風景です。
見渡すかぎり老人ばかりです。
改憲に対して「建設的かつ真摯な議論」をしようとしない公明党にはさっさと内閣から退場を迫るべき時期が到来したのです。
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篠田先生の「憲法論という高齢者福祉事業」というフレーズが腑に落ちて沁みます。
https://agora-web.jp/archives/230502211217.html
今よりもっともっと馬鹿だった15年くらい前の私には、アメリカに頼らなければならない要素を少しでも減らすには日本国憲法を無効にすればよいのでは、と考えていた時代がありました(遠い目
でも後年幸運にもこの夢から覚められて、以降右左の極に行くことなく来られて本当に良かったと思う今日この頃に考えることは…
人生の終盤にこれまでの自分を否定された気分に陥るのが嫌な人は、気の毒だから今のままでお逝きなさいな、それはそれ、で、より多くの明日がある者たちで先へ進もうよってことです。
投稿: 宜野湾より | 2023年5月 5日 (金) 17時09分
世論調査では拮抗しているものもありますが、大勢は改憲賛成派が多数になっています。安倍さんの時代と違い、国防に向き合わなければ立ち行かない国際情勢を憂慮した結果でしょう。
公明は選挙における積極的な運動員が年を取りすぎました。
若い学会員は一般人同様にスマートになって、戸別訪問など泥臭い運動に参加したがりません。
岸田首相は二階との距離感もちょうど良く、それが公明党に振り回されないで済む好循環になっているのかも。
私は維新は気に入らないですが、公明党よりは大分いい。国民のような現実的リベラルとも岸田政権は相性が良いようです。
投稿: 山路 敬介(宮古) | 2023年5月 5日 (金) 18時26分
フロント記事を読んで明るい気持ちになれた。ウイグルの非難決議にも賛成しなかった公明党は自民党と一緒にいるべきではありません。
岸田さん私はまだ好きになれないが、今後なにかイイ働きをしてくれないか と若干期待もしてみましょう。
投稿: ueyonabaru | 2023年5月 6日 (土) 22時44分